サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.01.10
XML
カテゴリ: カーネーション
 先の「身内」というキーワードで、糸子の闇市での「値切り」の場面をつらつら観ていると、ふと考えてしまうことがあるのです。

 大阪人にとって「値切り」とは文化のようなもので、街場の合理精神として理解されることが多いのですが、糸子的発想でこれを見ていると、こうした「値切る」行為とは、どうもそのような、少しでも安くといった損得の経済概念だけでは、測りきれない部分があるような気がする。「値切り行動」とは、外にあるモノを身内に迎え入れる時の、一種の「儀式」的な要素が働いているのではないか?ということなのです。
 要は外にあるモノを、売り手の言い値でそのまま身内に取り入れる、というのが「気持ちが悪くて、しかたがない」。「値切り」という売り手と買い手のやり取りを通して、今そこにあるモノの「値打ち」を当事者同士で決めていく。で、その場かぎりで了解しあった「価格」をつけることによって、糸子はそれまで外部であったモノを、安堵して「身内」の一部として迎え入れることができる、ということではないのか?
 もちろん当の糸子は、そんなことを意識したこともないでしょうが。

 こんなことを思ったのは、先にも触れましたが、現在の糸子的発想の根底には、強烈な「身内」と「外部」という意識が働いていると思うからです。それはたぶん生物レベルでの、身体の「内」と「外」という感覚と直結しているところがあるのではないか?

 逆に、「身内」で縫った下着その他を市場に持っていくとき、闇市では「物々交換」も可だったようですが、作ったモノの価値は市場(外部)が決める。糸子は「お札代わりに、下着を縫ってました」と言いますが、要は「そのお札(作った下着)の値段は、市場(外)に出してみないと分からない」。しかし、それは何も作ったモノの価値に、作り手(身内)が関与できないということではなく、否むしろ出来るかぎり値打ちをつけて、市場(外部)に送り出そうとするでしょう。
 別の番組でやってましたが、実在の小篠綾子さんは、お金持ちの奥さんにはずいぶんと高い値段で、作った洋服を売っていたそうです。これは何も、「よらずボッタクリ」の商売をやっていたということではなくて、「あなたには、これだけの値打ちで引き取ってもらう価値が、このモノにはある」というしかたで、顧客を「評価(リスペクト)」しているということであって、ここでヘンに安くするということは、逆に「顧客をバカにしている」ということになるでしょう。
 モノは、素通しで「身内」から「外部」に流れていくのではなく、その都度「内」と「外」のやり取りで、その「価値」を決めていく、という「回路」を必ず通さないといけないのです。

 先の「値切り行動」と、これはパラレルな関係にある。要は「内」と「外」との間には巨大な懸隔があって、そこを食べ物でも着る物でも通過させるためには、しかるべき手順を踏まないと、何か「怖いこと」がある。だから、たとえ「儀式」であってもそうした手順がないと、糸子たちは「気持ちが悪くて、しかたがない」。
 身体レベルで外部の栄養を内部に摂取するときの精妙なシステム、あるいは外部の予期せぬ侵入に対する強烈な免疫反応に酷似して、糸子的発想の根源は、その「生きている」という身体感覚の反応に、きわめて近いところで働いていると思うのです。
 そういえばこのドラマ、「食べる」「着る」「寝る」といった場面が、やたらと多いですよね。

― つづく ―





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.01.10 15:46:02
コメント(2) | コメントを書く
[カーネーション] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: