サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.03.14
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カテゴリ: カーネーション
光源氏亡きあとの「源氏物語」
 さて、新シリーズになってからの「カーネーション」について、私がちっとも触れないのに、シビレを切らしていらっしゃる方々も、おられるかもしれません。

 何で、二週も前の話を長々として来たのかというと、皆さんお分かりでしょう(察してください、この気持!)。
 オノマチの立ち去った後の「カーネー」が、ガッカリするような事態にならないように、あたかも「言祝ぐ」ような仕方で、作り手側の回し者のような「もの言い」をずうっとして来たのですが、現状は我々が一番懼れていた方向に向っているような気がしないでもない。
 その詳細について語ることは、やはりしんどいというか、基本的に「楽しい」気分になれないじゃないですか。かと言って、無理やり「面白味」を拾い集めて来るというのも、何とはなし「業腹」な感じがするし、もう少し様子を見るか、いっそ全部が終わった後で、一括してしゃべってしまおうか?とも思っています。

 でもその間、何も話しないというのは、せっかくこうして久しぶりに、年甲斐もなく「舞い上がって」、楽しくしゃべられるきっかけを与えてくれた、「カーネー」のドラマスタッフの皆さんに申し訳ない気もする。そもそも「玉枝の面罵」以降、しゃべらずにいられなくなったのは、このドラマスタッフの掲げた何やら「志」のようなものが高々としていて、しかもその達成度も驚くほどのレベルであることが感じられたからです。
 要は「朝ドラ」の既成概念をはるかに越えて、「映画」とか「文学」を享受するような仕方で、「話しても大丈夫そうだ」という、言わば「決め撃ち」で始めたわけでした。途中でかなりブーイングも鳴らしましたが、それはこちらが「決め撃ち」のハードルを、勝手にどんどん上げて行ったところに起因するのです。それと気付いてからは、大人気ない「外野からの文句」は差し控えて、言わばドラマに盛り込まれた「面白味」だけを、思い切り膨らませて話すことにしたのです。楽しみ方としては、そのほうが「精神衛生」上も良さそうじゃないですか。

 ところが今、新シリーズが始まってみると、とんと「話すことが、出来ない」自分がいることに気付くのです。「何かを話したい」という気分というのは、まさしく「気紛れ」で、それを起動するきっかけがないと、どうしようもない。それはたぶん、新シリーズの中味の問題である以上に、それ以前のオノマチ糸子の存在があまりにも大き過ぎた、ということがあるのでしょう。
 同じようなアポリア(難関)というのは、じつはこれまでも何回か、このドラマではあったのですが、その後に続く展開や描かれ方が見事過ぎて、「まあ、好いか」みたいなところがあったのです。となれば今回も、という期待もしたくなるのですが、またまたそっち方面で、観る側を「ドキドキ」させるのはいかがなものか?

 ところで、こうした「虚脱感」というか、巨大な空洞の開いた感じというのが、何やらどこかで「似たような感じがあったな」と考えていて思い当たったのが、光源氏亡きあとの「源氏物語」なのでした。
 「若菜」以降、尋常でない高揚感を示して、グランドロマンの醍醐味を味わわせてくれる「源氏物語」ですが、主人公光源氏が「雲隠れ」したあとの数巻というのは、まさしく彼の抜けた巨大な残骸を拾い集めるような話ばかりで、出来映えとしても、文字どおり「舌打ち」したくなるほど良くない。話が落ち着いてきて、「ああ、完全に別の物語が始まったな」と思わせるのは、「橋姫」あたりからでしょう。「宇治十帖」とも呼ばれる、まことに玄妙かつ難解な長い長い物語を、紫式部が腰を据えて話し出すには、しかるべき時間が必要なのでした。

 そうなのです。現在の「カーネー」は、観る側も作る側も、今だオノマチ糸子の(そして、綾子さんの)幻影に呪縛されている。
 一ヶ月という期間を持ってきたのには、明らかに新たな「明示性」をこのドラマにさらに加えるという、高い「志」があったからであり、何やらそうしたテーマ性も昨日今日になって、ようやく現れ始めたかという感じがしますが、かといって、それがどれぐらいの「完成度」で示されるか、というのはこれまた別の話なのです。
 経済大国に駆け上がって行った、「今は昔の日本」の糸子ではなく、どないしても「バブル崩壊と少子高齢化、そして二度の大震災」を経験しつつある、今の世の糸子を描きたい。あるいは「平成の今の世に、糸子的在りようは、果たして可能か?」というような、高い高い「志」であるならば、です。
 このように挑戦的なテーマを提示しようとすれば、それこそ完全に「尾野さんと綾子さんの影を、払拭しないといけない」のですが、これが今のところ、観る側も作る側も、なかなか難しいのですよね。
 あ~あ!

― つづく ―





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Last updated  2012.03.14 13:47:36
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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