サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.07.07
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テーマ: ギリシャ(35)
カテゴリ: 旅行
白色の文明観
 私たちが予期する「ギリシャ」とは、まさしくこのパルティノン神殿が示す「大理石の白」で、

パルティノン神殿02c.jpg

その「白色」ゆえに様々な相貌を時間や季節の経過に沿って示す。当時のカメラでは写せなかったのですが、その夜食事のあと散歩がてらアクロポリスを仰ぎ見たときは、この神殿は(当時はライトアップなど、なされていなかった)月に照らされて青白い光を放って見え、かつてトルコ軍の艦砲射撃によって列柱の横腹をえぐられた姿は、何がなしヒトの「肋骨」を連想させたものです。
 手前に散乱した大理石ともども「無機質の岩石」という感じがしないのは、この石の持つ「白色」の人肌のような独特の質感に由るところが大きいのでしょう。

 と、思っていたら、先日のNHKスペシャルで、ギリシャ文明がじつは「白い文明」ではなく「着色された」、それもかなりカラフルな文明であったことが明らかにされて、既成概念を覆されるという意味でとても面白かったのでした。我々が彼の文明に漠然と抱いている「白」のイメージが、じつは十九世紀大英帝国時代の貴族によって作られたニセの概念であったこと、彫像などが思いのほか色鮮やかな彩色を施されていたとなれば、私たちの「思い込み」は根底的にひっくり返されることになります。
 で、それは同時にクレタ島のクノッソス迷宮にみられるような、一種異文化的な臭気(今なら例えばインカ文明に我々が感じるような)の彩色文明をそれと一挙に結びつけ、さらにはそれらの母体である古代エジプト文明や東からのメソポタミア文明の伝播も直截に感じさせる、そうした番組でありました。
 要は、「地中海」という広大な内海を舞台にして、その周辺に住まう多様な民族は、その「多様性」を保ちつつ決して閉じられた文明ではなかった。古代において「隔てる海」ではなく「繋がる海」だったろう「地中海」の在りようが見えてくるのです。

 下はロードス島の北の端から見たエーゲ海、対岸はトルコ。

ロードス島04c.jpg

 しかしそうなると、では逆に大理石の彫像から彩色が失われて行ったのは、いつ頃からなのだろうという疑問が湧いて来ますね。早い話が、「ミロのビーナス」は彩色されていたのか知らん?ということになって来るのです。
 今、確かに言えるのは、少なくともローマ時代にはこうした彫像から彩色は失われて、大理石本来の持つ質感を前面に押し出していただろうということぐらいでしょうが、さてそれとて、はたして本当に「そうである」と言い切れるのかどうか。「白」に取り憑かれているのは、ひょっとして西欧近代文明だけの「幻想」ではなかったのか?

― つづく ―





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Last updated  2012.07.10 13:44:19
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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