サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.07.29
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テーマ: ギリシャ(35)
カテゴリ: 旅行
ヒチコック
 H・メルヴィルの「白鯨」に描かれた執拗なまでの「白」に対するこだわりというのは、何やら近親憎悪に近い印象を与えます。
この時代が帝国主義的産業市民社会の勃興期、つまり世界に隔絶した西欧の「白い文明」観の形成期に当たっていて、メルヴィルほど極端な「白」憎悪ではないにしても、似たような文学として、例えばE・T・シートンの「狼王ロボ」やJ・ロンドンの「野性の呼び声」などが書かれていますね。このような作品が出て来るについて、たんに「反近代」とか「自然回帰」といった抽象的な理念ではなしに、まさしく「白」に表象されるオリジナルであるべき西欧文明の奥に潜む根底的な「疚しさ」とか「胡散臭さ」みたいなものを、彼らは嗅ぎ取っていたのかもしれない。

アクロポリス01a.jpg

 しかしことさらな「白」憎悪というのは、やはり近代産業市民社会の矛盾が極端に現れて来た二十世紀になってからで、ヒチコックの映画には何やら白色(特に女性)に対する、屈折した「憎悪」があるような気がして仕方がない。
 ヒチコックが金髪碧眼の女優を偏愛したのは、よく知られたことですが、考えてみればそうした美女たちをことごとく窮地の追い込む(場合によっては、殺してしまう)という筋立てには、何やら彼特有の「嗜虐」嗜好性があるような気がするのです。

 美女(=弱いもの)を「いたぶって面白がる」というのは、何やら今どきの「イジメ」の心理にも通じるところがあって、こうした「嗜虐」嗜好性というのはおそらく人間に限らず、動物一般の根底的な振るまいであるように思える。早い話、ネコは捕らえた獲物を、簡単には殺さないでしょう。
 (だから例の大津中二生自殺事件だって、「イジメる側の心理と振るまい」をもっと検証しなくてはいけないのに、なぜか「イジメられる側」へのメッセージばかりが目立つ。この場合「イジメられる側」のパーソナリティーは、「イジメ」の問題とは関係がない。何かやられる側のサバイバルの方法だけを示して、事の本質を避けているように見えるのですが。しかし、これは別で取り上げます)。

 「ダイヤルMを回せ」のヒロインG・ケリーの姿態がもっとも映えているのが、まぎれもなく殺人者に襲われているシーンで、ヒチコックは明らかにそれを見止めているのです。
 同じような話でいうと、例の「鳥」など一見「自然からの復讐」というようなエコロジカルな印象を持たれますが、やっぱりそんな単純な発想では作られてはいないのではないか。

 ここから先はほとんど私の「妄想話」ですが、鳥の群れの振るまいを仮にヒロインT・ヘドレンの深層心理を描いたものと仮定すれば、この映画の全体の構図がうまく説明できるような気がするのです。

― つづく ―





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Last updated  2012.07.29 11:39:59
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
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