サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2013.01.11
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カテゴリ: カーネーション
 ここまでの話は、二年ほど前にあげた橋元淳一郎さんの「時間はどこで生まれるのか」(集英社新書)以下一連の時間論にほぼ完全に寄りかかり、さらに自分流に曲解して話しています。もうお分りのように、私の時間論はヒトの主観とか意識に現れる「時の経過とは何か」に限定したおしゃべりであって、例えば「歳をとるとなぜ月日の流れが速く感じられるのか?」といった類と同レベルのごく素朴な「問い」なのです。
 さて、橋元さんの本によるとイギリスの哲学者J・マクタガートの時間論では、これは流れそのものを対象にしているので、おおまかに彼の言うA系列に属する話らしい。対するに物理の座標系に配置されるような静止的な時間はB系列。さらにB系列を拡張して座標系じたいを取っ払ったみたいなのをC系列というらしいのですが、これはもう完全にバラけた世界であって、こうなるとそもそも時間を論ずることじたいが無意味になってしまう。
 ちなみにマクタガートの結論は、A、Bいずれの系列でも「時間が実在するとは証明されない(証明の仕方に矛盾がある。したがって時間は実在しない)」ということらしいのですが、ハッキリ言ってこうした観念論的哲学論議はちっとも面白くない。

 それでもこんな話をグズグズしているのは、先の「日にち単位での記憶の折りたたみ」という言いかたが、どうもここのB系列C系列という話に影響されているらしいからなのです。ベタに言うなら、テーブルに番号順に並べられたトランプのカードと、シャッフルされてバラ撒かれたカードみたいに、私は記憶の在りようを捉えているらしい。バラけた外部データを番号順に接着して折りたたむために、コトバは生まれて来たのだろう。事象はコトバで名指しされる(意味づけられる)ことによって、初めて時間として意識されるのです。
 これは言い換えると、物事を出来れば「因果関係で捉えたい」という、ヒト一般の願望の現われかもしれない。早い話、ヒト以外の生き物は、物事を因果関係では判断していないでしょう。
 物事を因果関係で捉え直すということは、逆に因果的に整序できない事柄(コトバで名指しできない事柄)は、記憶の蓄積から「捨て去っている」とも言えるのではないか?例えば「夢」に現れる映像などは因果的な整序が出来ない結果、たちまち忘れ去ってしまう。したがってここには時間は存在しないのです。同様にヒト以外の生き物にも、上のような意味での時間は存在せず、外界は「夢」のようにランダムに彼らの眼前を通り過ぎているのではないか。
 「因果」に含まれない事象が、私たちが日頃感じている時間世界の外側に、じつは大量にあるのかもしれない。しかもそれらが無意識のうちに、私たちヒトの振るまいに大きな影響を与えているのかもしれないというのが、S・フロイト以来の精神分析学あるいは哲学の流れでしょう。その中味や最近の動向などといった話は、とても私では手に負えないし、ここの話題とも関係ないのでこれ以上触れません。

 それでも「糸子は誰に向って、語りかけようとしているのか?」という主題には、次第に近付いているような気がする。
 彼女が何度も何度も「語りかけよう」としている先は、おそらくこの時間世界の外側(あるいは背後)に、大量に広がっている無意識界だと思うのです。繰り返し語りかけることによって、あらたに見えてくるものがある。もちろんすべてが明らかになるというような、「全面的解決」などということはあり得ないにせよ、生きている(意識がある)うちは、絶えずこうした「問いかけ」を繰り返す、否こうした「絶えざる問いかけ」の姿勢こそが、「生きている」ことの証だろうということなのです。
 というわけで私には結局、糸子のナレは我が身の「内なる他者に向って」語りかけている、と考えるのが一番腑に落ちるような気がする。
 と、大騒ぎして来たわりには、何だかごく平凡な線に落ち着いた感じですね。

― つづく ―





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Last updated  2013.01.11 11:45:50
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
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