サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2020.06.03
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卜部兼好
 WHOについてさんざん悪態をついた勢いで、共産党中国なる怪物国家の話をしようとしていたら、ネットその他で、すでに山のような「中国叩き」の話題があふれていて、何やら屋上屋を重ねる話題になりかねず、少し鼻白んでいます。中国だけじゃないですが、私は出来ればマッチポンプ的な「月並み」な話は避けたい。かといって、私は中国の専門家でも何でもないので、しかるべき話をしようとすると、それなりに調べも必要となり、つい億劫になって頭の回転が滞りがちとなります。

 ところで、最近日本がロックダウンなしに感染爆発を避けつつ、「緊急事態宣言」を解除したことについて、「日本モデル」のようなことが言われ、当初かなり批判的だった海外メディアも、何だか手の平返しのようにして、日本のコロナ対策に注目したり、あげくは礼賛する記事が出たりしているようですが、まだまだそういう話をするのは早い。確かに欧米に比べれば、コロナによる死者数は二桁くらい少ないけれど、何もそれは日本だけに特異的に起こった話ではないでしょう。
 であるにもかかわらず、この死者数の少なさだけに話を限定して、日本人の清潔好きだの、規律だの、医療システムの先進性だのをあげつらっても、あんまり生産的な話は出て来そうにない。ここで面白いのは、なぜそういう途中経過を示しているのか、例によって日本人自身が例えば台湾だの韓国だのと比べても、その中身を自信をもって「外に向かって明晰に説明出来ない」という状態のことなのです。この手の「外には明晰に説明出来ない」けれども、なぜか結果的に世界がびっくりするような復活をしてみせるというのは、過去日本には「敗戦」だの「大震災」だので何度もありました。
 しかしそれら一切合切の理由を、「日本人の特異的な精神性」みたいな話に帰してしまっては、何ら世界に資するところがないどころか、裏返しの「不気味な日本人」というイメージが張り付くことになってしまう。

 というわけで、こうした世界同時多発的な災厄に際して、私たちに特異的な振る舞いというものが、果たしてあったのかどうか、ということを考えてみたくて、こんな話をしているのです。世界的な同時多発的災厄というのは、戦争とか隕石落下という事態でもなかなか考えられない。同じ災厄を全世界がほぼ同時期、同時進行で被るというこのような事態が、果たしてこれまであったのかどうか。スペイン風邪が引き合いに出されますが、災厄の同時共有という点では、この「武漢ウイルス・パンデミック」は比較になりません。
 少なくとも、各国の政府、市民、医療従事者たちの振る舞いが、同時進行形で毎日伝えられるという事態は、間違いなく歴史上初めてなのです。それによって見えてくるもの、見えているものは今書き止めておかないと、おそらく半年もたたないうちに、時系列さえ判然としなくなってしまうでしょう。私たちはそうした歴史的事態に、今まさに遭遇していると言うべきでしょう。

 それかあらぬか、自粛自粛で引きこもりがちで、ストレスが溜まるかと思いきや、私にかぎっては怒られるかもしれませんが、歴史に立ち会っているという高揚感がずっと続いているのです。まあ、もともとコロナ以前から、実質的な引き籠り生活を意図して長く送ってきましたから、お上から「自粛要請」が出たところで、何ら普段の生活リズムに変りがあるわけではありません。それでも、さすがにマスクと手洗いは人にも迷惑をかけるので、かなり念入りに行うようになりましたが、他府県への移動にかんしては、親の介護という不要不急でない用事にかこつけて、毎週外出しています。
 世界中から飛び込んでくる衝撃のニュース映像と、実際に我が身の周辺に生じている風景の変化を、「怖いけど目撃しておきたい」という衝動は、なかなか抑え切れるものではないですね(要は「野次馬根性」丸出し)。

 毎年の冬なら電車の中では必ず、咳をし鼻をすする音が聞こえたものですが、今年はそれこそしわぶき一つ聞こえず、全員固唾をのんで息をひそめている感じ。マスクをしていると、不思議と咳も止まってしまうものです。
 それにしても、マスクをして分かったこととは、我が身の口臭のひどさ加減でした。まいったな、これは!

 兼好法師はどうも早くから我が身の行く末を予見して、おそらく半ば意図的に、我が身を「用なき者」として早々と出家し、はなはだ優雅な隠遁生活を送ったらしいのですが、人格的にはかなり「困ったチャン」であったとしても、その生きかたは「人には迷惑をかけない」という点では結構スマートでしたね。私は「徒然草」には、ちっとも共感しないけれども、「隠遁」という言葉には惹かれる。
 西行や芭蕉その他もそのクチの人たちであったとするならば、何かこう娑婆から離れて、なおかつ娑婆の出来事を眺めていたい、そうした「美学」を持った「生きざま」みたいなのが、けっこう日本には継承されているのかもしれません。私の場合はもちろんそんなにスマートでも何でもない、ケシ粒みたいな人生ではありますが。





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Last updated  2020.06.03 16:13:22
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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