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佐藤友哉 「デンデラ」
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
五十人の老婆が、奇妙なコミュニティを形成する現在の姥捨て山「デンデラ」。
ある者は自分を捨てた村を恨み、ある者は生き永らえたことを喜び、ある者は穏やかな死を願う。
様々な感情が渦巻く隠れ里は、一匹の巨大羆の襲来により、修羅場と化した。
「姥捨て山」後日譚。
村の掟で、年老いたことを理由に山に捨てられる老婆たち。
生き残った老婆たちが、ひそかに営んでいるコミュニティーが「デンデラ」です。
(時代も土地も特定されていません)
しかし、おばあさんたちのコミュニティーは、牧歌的な雰囲気なんて全くありません。
そこには、厳しい生存の世界があるばかり。
ある意味、死んだ方がよっぽどよかったと思わせる世界です。
慢性的な食料不足。
イデオロギーの対立による派閥争い。
謎の疫病の蔓延。
極めつけは、飢えた羆(ひぐま)の度重なる襲撃。
これらに対峙して、生き抜こうとする老婆たちの姿は、壮絶そのものです。
壮絶も壮絶。
文字だけで読んでいると、とうてい老婆たちの物語ではありません。ありえないことだらけの怒涛のストーリー展開です。
もちろん、著者もはなっから、リアルなんて追求していないだろうし。
村で村人として生きている時は、すべてが村の掟に縛られ、個としてのアイデンティティなどなかった老婆たち。
それが、そこから放り出されて 、初めて自分自身と向き合うことになります。
剥き出しの生の世界で、それぞれの老婆たちの選択に、いろいろ考えさせられます。
そして、最後の主人公・カユの選択には、うなるばかり。
生ぬるい生活を送っている私には、目が覚めるような小説でした。
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