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2004.12.18
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カテゴリ: 和食
角館の一行樹をマスヒロ氏がさかんに褒めていたので一度角館まで行こうかと話していながら、角館行って他に何するの?ってことになり結局行かずじまいだったら何と銀座進出。場所はレザンシュのあった場所だ。

まずはレザンシュの話から。私がレザンシュに初めて行ったのはこの前の夏頃だったと思う。いい意味で歴史を感じさせる内装で、サービススタッフもしっかりしていたし、まだ若かったシェフはあの自殺したベルナルドロアゾーの元で働いたこともあると経歴に書かれていた。水の料理と言われたロアゾーの元で働いていたと言うわりには結構しっかりした味付けであったがなかなか美味しかったのを覚えている。それが、UFJ騒動の中で、旧三和銀行系であった東洋ホテルが8月末にモルガンスタンレーに売却され同時期に東洋ホテルのオペレーションだったレザンシュも幕を閉じた。

話を元に戻そう。Ryo-ri Genten(中央区銀座4-6-1 03-3564-1511)は、バッグのブランドgentenを展開するクイッポがオーナーで1階はgentenのショップになっている。クイッポと一行樹を結びつけたのがマスヒロ氏とのことらしい。今日はそのマスヒロ氏が10数名の人たちと食事会をRyo-ri Gentenで開いていた。内装はレザンシュ時代の重厚なものではなく、gentenのブランドイメージと合わせたアースカラーと白を基調にしている。窓が大きく開放的な内装であり、これはこれで良い。料理は美しいのみでなく美味しいし、エルブリの影響を受けたようなプレゼンテーションなのだが、出汁等の基本がしっかりしており、巷に蔓延するなんちゃって創作料理とは明らかにレベルが違っている。私は1万円のコース、最近あまり食欲がないと言う妻は6000円のコースを事前にオーダーしていた(こういうオーダーはマスヒロ氏に怒られそうだが)。それぞれのコースにつき説明をすると、まず1万円のコースは、きりたんぽのテリーヌ(きりたんぽと糸コンニャク、青菜を出汁をベースにしたジュレで固めたもの。なかなか美味しい)、天婦羅・天つゆのヌーベ(天婦羅は衣軽めで上出来、天つゆをエルブリ流にムースにしたのは正解。天婦羅を食べる時って塩にするか天つゆにするか私はよく迷う。サクッとした感触を残したいけど、天つゆの味で食べたいという欲求の葛藤がおきるのだが、このムース状の天つゆはそうした天婦羅をサクッとしたままで天つゆの味で食べたいと言う私の欲求を満足させてくれる優れものだった)、ふかひれ茶碗蒸し(まあこれは良くあるもの。湯島の楽でよく出てくる。美味しいけど)、冬野菜のおひたし(冬野菜を数種類、それぞれジュレで固めて、色合い良く配置、センターにとうふのムース、まわりに出汁のジュレ。 これも美しく美味しい)、アマダイの酒蒸し(アマダイも脂が乗っており、だしも良好、オーソドックスな日本料理だが美味しく出来ている)、タラバガニの湯葉巻き揚げ(普通)、マガモのロースト(軽めの塩加減だが美味しく出来ている)、いぶりがっこのミルフィーユ(いぶりがっことパンとバターでミルフィーユ仕立てにしたものを極めて薄くスライスしてあるのだが、これはなかなかのもの)、キジハタと焼きおむすびの出汁茶漬け(山椒がピリッと効いており、出汁もよろしく美味しい)、デザートでは大葉のパウダー状のシャーベット。これが6000円のコースではふかひれ茶碗蒸し、タラバガニの湯葉巻き揚げ、いぶりがっこのミルフィーユがなくなり、冬野菜のおひたしの代わりにとうふのムース(とうふのムースをセンターにまわりに出汁のジュレ)、マガモのローストの代わりに短角牛いちぼのロースト、アマダイの酒蒸しの代わりに金目鯛の酒蒸しといった構成になっていた。全般的にポーションは少なく、食後感も腹八分目といった印象。料理は面白いだけでなく、しっかりとした基礎的な技術に則ったものであり美味しく、料理だけなら極めて満足なのだが、この料理に見合ったサービスがなされていないところがあまりに残念だ。

結論から言おう。このレストランはサービススタッフを即座に変更すべきだ。こうしたレベルの高い料理をサービスするスタッフは本当にこの料理が好きな人であるべきだ。そうすることで、この料理は2段階くらい美味しく感じられるだろう。6品のコースと9品のコースを同じテーブルで食べるという変則的なオーダーをしたのは悪いが、食べるのが早い私に合わせて品数の少ないコースを選択した妻の料理まで次々と持ってくる必要がどうしてあるのか。彼女が6品目のお茶漬けが食べ終わっておらず、私はまだ、いぶりがっこのミルフィーユの段階でお茶漬けまでたどり着いていないにもかかわらず、彼女にデザートのシャーベットを持ってくる必要がどうしてあるのか。溶けるので戻してくれと言ったら持ち帰ってくれたが。サービスが思考停止の脳死状態になっているのか、厨房とのコミュニケーションが全くなされていないのかのどちらかなのだろう。皿のさげ方もガサツで、料理の説明もなおざりだ。何よりも問題なのは全く楽しそうではないことだ。レストランという場所は食事を楽しみにくる場所だ。その場所のホストであるサービスがつまらなそうにサービスしていてどうするというのだ。サービスの年齢はかなり高いのだが、それだけの年齢になってそれなりの経験を経てもこの状態では改善は期待できないだろう。繰り返しになるがこの料理に見合うサービススタッフを即座に採用すべきだ。このままではあまりにもったいないレストランになってしまう。

サービススタッフにはJTに売却されたイタリアンレストランチェーン、レナウンミラノ出身のスタッフが多いと言う。さもありなんと思った。





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Last updated  2004.12.19 00:24:09
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