金曜の昼間に リースリング・リング
の企画で新宿伊勢丹にてリースリングのプチセミナーががありました。1時間弱の時間で4種類飲めて1500円です。おそらく一種類はいいワインが出る予感がしていてこの日は時間があったので参加することにしました。
リースリング・リングの代表でありヘレンベルガーの社長である山野さんが講師でした。ドイツの写真のスライドで現地の話を中心に、リースリングと提供されたワインがどういうものなんかということを中心に話をしていられました。うんちくを語るよりも目で見てそれを助長させる話で空気感を感じられるのが一番頭に入って残ると思うのでさすが山野さんはこういう会を重ねてるだけあるなーと思いました。
ワインはラッツェンベルガーのゼクト、甘口のカスパー(最後に提供)、ブロイヤーのグーツとトップキュベでした。
そのトップキュベのことを書きたくてこの記事を書きました。ラベルを見てにやっとしました。
リューデスハイム [ベルク・シュロスベルク] リースリング Q.b.A. トロッケン [2011] (ゲオルク・ブロイヤー) Rudesheim [Berg Schlossberg] Riesling Q.b.A. trocken [2011] (Georg Breuer) 【ドイツ】【辛口】【白 ワイン】
ブロイヤーのトップキュベは何種類かの畑のものがリリースされているのですがこのシュロスベルクが最高峰とされていて価格も一番高いのです。
だから嬉しかったというわけではなく(実際リューデスハイムの畑は直線的な味のベルク・ロットラントのほうが好きなので)、2011年だから飲んでみたかったという理由があるのです。
このワインは今年のゴーミヨでその部門の2位の点を獲得していたのです。しかしそれが辛口のトロッケンではなく中辛口、中甘口という枠のファインヘルプ(feinherb)の部門だったのです(ファインヘルプが何なのかは こちらを
)。
2010年までは全てトップキュベシリーズはトロッケン(trocken)だったからびっくりしたのです。このシュロスベルクとノンネンベルクが2011年はファインヘルプ、しかもノンネンベルクはこの部門の一位でした。なのでなぜファインヘルプになったのかその理由とどう変わったのかを実際に飲んで知りたかったのです。
ということで不意に絶好のチャンスが訪れたわけです。
試飲した感想は、固さがなくてトロッケンぽくはないなーと感じ、かといって甘みや果実みによるボリューム感もそんなになく気品のあるスラッとしたものです。一見地味ではあるのですがトロッケンよりも若干多いであろうと糖度と果実みによって収量をおさえて育てれられたぶどうのポテンシャルによる深みがより引き立っているように感じました。最初若干苦みがあってバランスにじゃまで気になったのですが数分たつとその苦みは消えていました。数年経つと全く気にならない要素になるでしょう。
間違いなくおいしい部類なのですが、価格を考量すると買いたいとは思わないものでした。僕はファインヘルプに関しては華やかなほうが好きなので。トロッケンだとすらっとしてるけど奥が深いものが好きなのですが。その中間でちょっと中途半端というか物足りなく感じたのです。
さて、セミナーが終わってから山野さんにこのワインがなぜトロッケン(辛口表記)ではないのか尋ねました。そうしたら残留糖度がトロッケン規定まで下がらなかったからトロッケン表記にすることができなかったとのことでした。ファインヘルプを作ろうと思っていたわけではなく、でもトロッケンではないからゴーミヨの部門ではファインヘルプに入れられるしかなかったのです。
醸造所としてはトップキュベは辛口ワインとして出したいと方向だそうです。でも糖度が下がらずそれ以上醸造してアルコール度数をあげて残糖を下げるとバランスが崩れるのでやむをえずトロケンにはしなかったということみたいです。この年がそれだけ果汁糖度のあるぶどうになったということです。たしかにこの年の他の醸造所のシュペートレーゼもボリュームがすごかったのを思い出しました。
醸造所のラベル表記にはトロッケン表記がなくインポーターの紹介の表記にはトロッケンとあるのは、醸造所としてはこのワインは辛口ワインであるという意図をくんだものなのです。
現在VDPではトロッケンにこだわらず上級のワインをプッシュという流れが強くなってきています。グローセス・ケヴェックスはトロッケンの残糖規定のものしか名乗れないのですが、昨年のグローセス・ケヴェックスの試飲会ではモーゼルに関してはファインヘルプの最上級のものを出していました(そのへんのことは こちらを参照
)。今年はモーゼル以外でもファインヘルプのものを出品するようです。
これらのワインをリリースしている醸造所のほとんどのところの方針としては、良いワインなのだったら辛口(トロッケン)とならなくてもよい、残糖が多くてトロッケンにならなくてもバランスがよくておいしければそれでよいじゃないか、というスタンスです。その考え方が認められてきて一つの流れとなってきています。
醸造所によっては意図して同じ畑からグローセスケヴェックスとその等級に値する残糖が少し多めのファインヘルプのものも同時にリリースしている所もいくつもあります。
ということでブロイヤーもそういう流れでトロッケンではないワインをリリースしたのかと思っていたらそうではなく不慮のことだったというわけです。このことを知れたのは大きな収獲でした。造り手の方針の違いというのをワイン法を通して伺い知ることができて面白かったです。
そして、イメージとしてトロッケン、辛口であることが大事、という考え方もあるのだということに気がつくことができました。僕はファインヘルプ推進派なのでそういう考え方が薄れていたのです。
ブロイヤーに関してはここで終了です。
この回は少人数で行われたのですが参加された方はドイツのリースリングワインに非常に興味を持たれたようです。特にこの辛口(系)のトップキュベにはびっくりしたようです。ドイツでこんなすごいものが造られているのかと。
そういうのを見ていて思ったのは、ある程度ワインのことがわかり良いものならある程度はお金を惜しみなく買うという人に関しては、大きなプロモーションによってドイツワインの良さを知ってもらうというより、こういうセミナーなどで実際に飲んでもらいそしてその魅力を説明することにより興味を持ってもらうという方法のほうが効果的だと思いました。飲んで説得させるというのが一番だと。効率が悪い一本釣りですがそれが効果的なのかなーと。いくら良さをアピールしたところでワイン愛好家はドイツに見向きもしないというのが現状で、でも飲ませたらその良さに気付くのです。そこで後押しするような説明があればドイワインに目を向けてもらえる人がかなりいると思いました。
もちろんドイツワインに少しでも興味を持ってもらうために話題を作ったりブームにすることは大事で、それがあることによって飲もうと思ってくれる率が増えるのは当然のことではるけれど、味のわかる人たちに関してはそういう方法をうまく使うことが重要だと思ったのです。
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