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2013.09.05
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カテゴリ: 内山の歴史
ユっぴー・コスモスです。
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035.JPG
 荒船山上の水源地(御池・沼)

6月に、「荒船山について学ぶ勉強会」を
荒船不動尊にて開催しました。

主催は「内山キラキラプロジェクト」。
(地域の魅力を発見し発信し磨いてゆこうという趣旨のもとに結成された
非営利の小グループ。)

勉強会の講師を務めてくださったのは、
内山在住、佐久の歴史研究家、羽毛田卓也さん。

たいへん深い知識を、わかりやすく話してくださいました。

その羽毛田さんが、当日のお話の内容を、整理して何回かに分けて文章にし
地元内山のコミュニティ紙「月刊こすもす」に投稿してくださることになりました。

今日は既に掲載された<その1>を、こちらでご紹介させていただきます。
 (ウェブ上で読みやすくするために、
  当ブログ筆者が改行や行空け等の手を加えていますことをご了承ください。)


──  水の信仰(荒船不動にて)その1  ──

去る6月9日に内山キラキラプロジェクト主催で、
荒船山の水の信仰の話を荒船不動尊で行いました。
今回から数回にわたり、その内容の一部を紹介します。


佐久地方には、古くから信仰されている山が3座あります。
蓼科山(古くは高井山)、浅間山、荒船山(古くは逆鉾山)です。
いずれの山も太平洋と日本海の両方に注ぐ川を持つ分水嶺です。

高井山の「タカ」は岳信仰に通ずるその地方を代表する高い山の意味があり、
「イ」は神の恵みである水が湧く「イズミ」をあらわします。
浅間山は、アサはウスから変化したもので、
火を噴くという意味をもちます。
アソも同じ意味となります。

ですので古代では、火を噴く山は
「アソ・アサ・ウス」などが付いた名前が使われ、
現在まで残っています。

逆鉾山は、荒船信仰で伝承している3人の巫女の内の一人が、
荒船山頂で逆さに刺した鉾の上に座っていた
という伝承から呼ばれた名称です。

荒船山を御神体とする神社は、
佐久側では「荒舩山神社」、
群馬側では富岡に鎮座する「抜貫神社」です。

荒船山の女神が里へ降りて来た際に、
座っていた鉾を抜いて、脇に抱えてきたため、
「抜貫」という名前になったと伝えられています。
まだ行ったことがない方は、荒船山という奥宮や水が共通する神社ですので、
一度は訪ねてみませんか。


荒船山の艫岩へ向かう登山道の脇に
御池があります。
ここが、女神信仰の母体となる水の信仰地です。

「抜貫神社」の禁足地でもあります。

群馬側では、荒船山の木を切ると神様のバチが当たるとして、
木を切ることを固く禁じていました。
山頂の木を切ると、御池の水が減ってしまうことを、
経験的に知っていたためと考えられます。

日照りの続いた夏でも水が枯れないということ、
ほぼ山の頂上にあるということ、
少量ですが水が湧くということで、
信仰の対象地になったものと考えられます。


現在の荒船山は、
地質年代の第三紀末に盛んに噴火した火山で、
その噴火の際に噴出した石英質な安山岩が山頂をすっぽりと包み込み、
北側に絶壁を持ちます。

その山頂部はほぼ平で、中央部がわずかに窪んでいます。
それが荒船山の溶岩噴出口の一つです。

その後、
八ヶ岳、蓼科山、黒斑山、浅間山の噴火に伴う粘土質の降下火山灰が何層も覆い、
現在の山容を形作っています。
頂上付近に降った水は、
石英質な安山岩の層と、粘土質な火山灰層に阻まれて、
地下に浸透することなく、頂上凹地に溜まり、
わずかな起伏を持つ粘土層の圧力により、
圧力の少ない御池付近で湧き出しています。

この御池の水は、
群馬側で鏑川の支流の源泉となり、
長野県側では、旧内山川の源泉となっています。


この水の信仰は非常に古く、
古代に遡るものと考えられますが、
江戸時代の中頃には、農業に必要な水として、
再び信仰の対象と成ります。

それが内山や平賀地区に伝承されている
「いっぱい水」の信仰です。

日照りが続き、旧内山川の水が枯れると、
農業に大変な損害が発生します。
そこで村の人たちは、代表者を荒船山の山頂に向かわせます。
当初は、結婚前の女性でしたが、そのうちに男性に代わります。

村の代表者は、一本のひしゃくを携えて荒船不動を目指します。
不動に着きますと、不動裏の湧き水、あるいは眼下の旧内山川で禊を行い、
山頂を目指します。
山頂の祠で、荒船山の神様に貯めている水を天からいただきたいとお願いし、
御池に向かいます。
御池着くと、ひしゃくで水をすくい、こぼさないように慎重に下山します。

こぼすと、その場所から水害が発生するとされ、
慎重にこぼさなように下山したそうです。

無事下山すると、水が欲しい耕作地や井堰に
御池から汲んできた水を撒きます。
すると2・3日の内に、荒船山の神様が願いを聞き入れて、
雨を降らせてくれる
という信仰です。

この信仰を母体として、
神道系ではあふり信仰(雨降神社)、
修験道・仏教系では石尊山信仰へと
移行していきます。

内山や平賀の各村々に残存する
「あふりさん」と「せきそんさん」の信仰は、
荒船山の御池の水を信仰としているのです。

これは群馬県側でも全く同じで、
あふり信仰(雨降りさん)が鏑川流域に広がり、
信仰の源の水は、荒船山の御池ということで共通しています。
──────

以上羽毛田さんの寄稿文です。
(改行等は当ブログ筆者)

後日、続編をご紹介します。



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最終更新日  2013.10.04 15:48:55
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