1
イタリアワインのタンニンの王者がバローロであるならイタリアワインの酸の王者は、ガッティナーラかゲンメでしょうか。いずれにせよ、このワインの「骨」を構築する要素で最大のポテンシャルを発揮するのは、僕にとってはネッビオーロです。いや、やはり酸ならサンジョヴェーゼではないか!アリアニコもなかなか凄いもんがある!!モンテプルチャーノの猛々しさもネグロアマーロの厳格さも、それぞれに捨て去りきれないポテンシャルはありますが。でも、味わいのもう一方の「肉」となるアルコールで王者と呼べるワインは、やはり アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラをおいて他にはないと思えます。そのアマローネの代表的生産者であるテデスキ社のテイスティングセミナーに金曜日、お邪魔してきました。以下、テデスキ社の5代目、リッカルド・テデスキさんのお話です。テデスキ社は、1630年からオステリア(酒屋、ワインバー)などにワインを販売していましたが、1960年、父レンツォ・テデスキの代からワイナリーとしてボトリングして一般への販売を行っている。私と姉がエノロゴ(醸造家)で、すべてのワインの味わいを決定するが、家族経営のワイナリーなので、父や母、また妹もテイスティングに加わって、皆で話しながら味わいを決める。テデスキ社のワインのスタイルは父レンツォの時代に確立される。すなわち、1.ストラクチャーのしっかりしたワインを造ること2.複雑性のあるワインを造ること3.エレガントなワインを造ること以上3つで、当時のヴァルポリチェッラでは非常に難しいことだった。ヴァルポリチェッラDOC区域は近年まで5000ヘクタールの面積を有していたが、現在6022ヘクタールあり、また生産者も増え、全部で2448のブドウ生産者がおり、そのうち1635がアマローネのブドウを作っている。ヴァルポリチェッラの構成ブドウは、40~80%がコルヴィーナ種、5~30%がロンディネッラ種、そして残り15%が他の地元認可ブドウをブレンドすることができる。テデスキ社のヴァルポリチェッラは、30%コルヴィーナ30%コルヴィノーネ、30%ロンディネッラ、そして残りの10%がロシニョーラ、オセレータ、ネグラーラ、ディンダレッラという地域のマイナー品種で構成されている。コルヴィーナはワインに果実味とストラクチャーをコルヴィノーネは、ワインにストラクチャーを(コルヴィーナよりフィネスに欠ける)ロンディネッラは、チェリーの味わいと他2品種との相性の良さがある。土壌は、粘土石灰質で、モレーンと呼ばれる堆積岩、泥灰土などで構成され、気候は非常に温暖で近郊のガルダ湖の影響が考えられる。ブドウの仕立ては、ペルゴラとグイヨを用いている。ペルゴラは香りの豊かなワインになりやすくアマローネに向いている。グイヨは、ストラクチャーや糖度を上げやすくヴァルポリチェッラに向いている。------------------------------------------------------以下、僕のテイスティングコメントです。まずソアヴェ・クラッシコガルガーネガ100%。収穫時期を遅らせて凝縮感を高めている。黄金色がかったレモンイエローがとても綺麗です。香りを嗅いでハッとするんですが、とてもとても強いフルーツの香りがあります。グレープフルーツ、ニワトコ、花の香りも強い。バランス、ヴォリューム感ともにとても良く、美味しさ飲みやすさ、そしてエレガントさが十二分に出た秀逸なソアヴェだと思います。ただ、スタイルは極めてモダンだと思います。洗練されたモダンで、自然や伝統に対して「無理をした」醸造は感じないものの、ピエロパンなどの「一歩引いた」スタイルとは違い、全面に香りの絢爛さを出したソアヴェです。ちょっとアルト・アディジェのワインのような雰囲気があると思います。よって、料理との相性などは、スタンダードなソアヴェより、限られてきて、味わいの強い白身の肉、鶏、豚系、あるいはしっかりと煮込んだ、オリーブやケッパーなどをあしらったトマト系の煮込みなどに良いと思います。次はスタンダードなヴァルポリチェッラ!スロヴェニアオークで1年熟成したヴァルポリチェッラ。「ヴァルポリチェッラはバリックには向かない」とリッカルドさん。黒みがかって、凝縮した色合い。ブラックチェリーやブラックカラント、干しブドウ。ヴァルポリチェッラで干しブドウを感じるのは珍しいと思う。味ワインのバランスも良くストラクチャーにも優れて素晴らしい!!熟成したチーズから、しっかりとした味わいのパスタ料理。クリーム系や煮込み系のソースのもの。3本目は、アマローネの搾りかすにスタンダードヴァルポリチェッラを漬け込んだ「リパッソ」バージョン。カピテル・サン・ロッコ続きましては、いよいよアマローネの登場です。ブドウを収穫後に陰干しして、レーズン状態から辛口の赤ワインをつくる傑作ワインです!収穫したブドウから50%以下の良質の房しか使いません。100日間の陰干し期間に30%重量が減り、ここに貴腐菌が付着します。除梗せずに2ヶ月のマセレーションを行い、2年の大樽熟成。6ヶ月の瓶熟成。色は枯れていながら凝縮したルビー。香りは、鼻に少し近づけただけでハッとするような絢爛たる世界!フルーツが凝縮した爆発!色んなフルーツの中にフレッシュなイチジクも感じられたりして、そこにタバコや皮革のニュアンスがすでに出ています。アマローネの面目躍如たる香り!味わってみて、、、、、あまりの美味しさになんだか ジ~~ンとしてきます(^^;)こういう感覚は久しぶりです。アルコールのヴォリュームが圧倒的にストラクチャーを包み込んでおります。なんなのこれ!!と言いたくなるほどの美味しさ!!これは、絶対に飲んでもらわなくっちゃ!!↑ クリックして買うこと!(^^;)最後のワインは、アマローネの単一畑ヴァージョン。カピテル・モンテ・オルミ1999です。ガーネット色。酸化がかなり強く出ていますが、そこからはっきりとしたフルーツ、ジャムの香りがあります。エキゾチックなスパイス。皮革、タバコ、そして梗のような黒い、植物的な苦味を伴った香りも感じます。スタンダードアマローネの美味しさに酔いしれていた僕はこの単一畑アマローネには、十二分の納得はしなかったものの、このクラスでしか発揮しない熟成香の深みにはやはり感動しました。リッカルドさんいわく「アマローネの熟成は、最初の8~10年は非常に早く その後じっくりと進んでいくので、瓶熟成の味わいも 是非、長く味わってほしい」とのことでした。アマローネの相性として推奨されていたのは、やはりパルミジャーノ・レッジャーノなどの熟成ハード系チーズ!そしてヘーゼルナッツなどのドライフルーツ。それから実に納得できた、甘酢系のお料理。中華料理やタイ料理など、エスニックな料理にとても合うと思う、と。地元料理としては、ラディッキオを使ったアマローネのリゾット(地元ではリゾットにはリパッソを使うらしいです)。そして肉のシチュー=ブラザート。アマローネなら地方性も考えて「馬のブラザート」にも良く合う、とも。あと、実に興味深かったのは、伝統醸造法としての「除梗をしないマセレーション」をテデスキ社が復活させたこと。これによる恩恵は素晴らしく大きいです!すなわち、発酵時の二酸化硫黄の添加をしないで済むということ。瓶詰めの時はどうしても添加しないといけませんが発酵前の添加がなくなったという事は、その量を半減することになった、とのこと。僕は、ソムリエ現役時代からテデスキのアマローネは大好きでしたが、スタンダードラインのアマローネに関しては、 「こんなに美味しかったっけ!?」という嬉しい発見をしました。果実味の爆発と言うと、どうしてもアヴァンギャルド的なモダン派ワインを想像してしまいますが、テデスキのワインは違います。あくまでも伝統的なアマローネの表現を凝縮し、洗練化させています。是非、いっしょに飲みたいですね!!
2009/06/06
閲覧総数 171
2
かろやかスイートなおせんべい、ハッピーターンをご存知だろうか。http://www.kamedaseika.co.jp/happy/しあわせの時間とおいしい笑顔!が保証されるという。原材料・・・米、植物油脂、でん粉、砂糖、たんぱく加水分解物(大豆、コーン)、食塩、調味料(アミノ酸)、植物レシチン(大豆由来)たんぱく加水分解物・・・いかがわしい名前。例の味の素(アミノ酸)よりは、危険性が少ないらしいがどうなんでしょう。(アミノ酸)・・・ベビーフードには添加が禁止されるほどのものだからね。植物レシチン・・・サプリメントとかにあるようね。植物レシチンの味!といわれてもわかんない。この手のオカキ・・・実は好きだ。ハッピーターンは最近まで知らなかったオカキだが、ぽりっと一口食べると、微妙な甘みと化学的な甘みが一体化してそれと、ポリポリの食感がなんともいえず食欲をそそる。一見、とんかつソースのような旨味や香りを感じるのだが薄くてあくまでもせんべえなのだ。せんべえは、お米の香りが命だ。これをワインでつぶしてはならない。なので赤は危険。白・・・ハッピーターンは結構甘みの利いたせんべえなのでやや甘口、または甘口ならOK.え?モスカート・ダスティ?もちろんOK!せんべえのポリポリという音とお米の香りに合うのはなんと言ってもスパークリングワイン。アスティならおやつ気分。天使のアスティ 750mlフレシネのカヴァなら食前のおつまみ気分。プロセッコでもいいだろうね。でも僕が一番オススメしたいのは、やや甘口の白、例えばフラスカーティやエスト・エスト、オルヴィエートなどのアマービレ、もしくはアッボカート。エストエストエスト2005 ファレスコフォンタナ・カンディダ フラスカティ・カンネリーノ 2006 750ml (ワイン)スパークリングでもロゼなら面白い相性になるだろう。今度試してみよ!でも、コンビニやスーパーの安売りちょいと甘口白ワインが一番質感的にも合うかもね。これだけは試してみないと何とも言えないけど。せんべえらしい塩辛さがとっても抑えられていて、その代わりに砂糖も化学系の旨味も結構しっかりと感じられる。これはちょっと甘みのあるワインで、アグレッシブな酸を持たないワインがよく合うはず。って、誰も試さんかね(笑)。かっぱえびせんは「モンフレール白」とメチャいい相性だったことを思えば、合点が行く。(僕のHPを味覚ラボラトリーでかっぱえびせんや、ポテチとの相性について触れています。ビールは苦味が強すぎて、ハッピーターンの甘みとややバッティングする。ビールの酸は合うし、泡の感触は絶対にせんべえなら間違いなく合う!またいろいろ試してみよ!
2005/01/27
閲覧総数 229
3
これまでの記事の紹介ではプーリアの二つの巨大施設で作られた大量の塩酸、硫酸の添加によって偽造された代物が中北部のワイナリーに流れた問題について触れてきました。エスプレッソ誌の最新版HPでその偽造ワインが流用されたと見られる、目下捜査中の14のワイナリーの名前が公表されました。1.ヴィニーコラ・マルセッリア (プーリア州フォッジャ県オルタノーヴァ ) Vinicola Marseglia2.カンティーナ・ズガルツィ (エミリア・ロマーニャ州ボローニャ県) Cantina Sgarzi3.カンティーネ・ソルド (ロンバルディア州ブレーシャ県) Cantine Soldo4.カンティーネ・ボルゴ・サン・マルティーノ (ピエモンテ州クネオ県ラ・モッラ)5.モレットーニSpa (ウンブリア州ペルージャ県)6.アチェティフィーチョ・ポンティローリ (エミリア・ロマーニャ州モデナ県)7.ヌオーヴァ・コンメルチャーレ (ピエモンテ州アレッサンドリア県オヴァーダ)8.コッパ・アンジェロsnc (ピエモンテ州クネオ県ドリアーニ) 9.ヴィニーコラ・サンタ・クローチェ (ヴェネト州ヴェローナ県モンテフォルテ・ダルポーネ)10.アズィエンダ・アグリーコラ・リッツェッロSpa (プーリア州ブリンディジ県)11.カンティーナ・カンピ (プーリア州レッチェ県)12.コオペラティーヴァ・トレ・プロドゥットーリ (プーリア州ブリンディジ県)13.カサ・ヴィニーコラ・ポレッティ (エミリア・ロマーニャ州ボローニャ県)14.サロム・ヴィーニsrl (エミリア・ロマーニャ州ラヴェンナ県) 日本では全く知られていない未輸入のもののはずなので我々の人体には直接被害はないことでしょうが・・・・。エミリア・ロマーニャ州 4プーリア州 4ピエモンテ州 3ヴェネト州 1ウンブリア州 1ロンバルディア州 1上位2州は、イタリアの2大平地のある地域ですね。ポー平野とサレント平野です。大量生産の地盤がしっかりありますから、信じやすい。こういうことも起こりうる、と。意外に思ってしまうのはピエモンテに3つも捜査中のワイナリーがあるということですね。それぞれの村の名前、ラ・モッラ、オヴァーダ、ドリアーニといえば一流ワインどころです!神聖視することなく、大量生産バルクワインの生産者とこうした地域が共存していることも我々は認識することが必要なのでしょう。ヴェネトのワイナリーなんか、ソアヴェ・クラッシコの中心地ですからね・・・・。ただ、まだこれらワイナリー、及び、プーリアの元締め巨大施設に関して、疑惑の目で見ることは尚早のようです。これらプーリアの二つのワイナリーであるVmcもエノアグリも「エスプレッソ誌を訴えてやる!」「完全な誤解である」と対決姿勢を強めています。「藪の中」ですな。信頼性というものが根底から揺るぎかねない問題ではあります。でも、「ならば、できるだけ高価格の信頼置けるワイナリーの ワインを買えば良いではないか」ということにもなるのですが、そこに素晴らしい偶然で重なったスキャンダルが、高価格ワインの権化ともいえるブルネッロ・ディ・モンタルチーノのスキャンダルで現在「プルネッローポリ」と命名されて、話題になっております。アンティノーリフレスコバルディアルジャーノバンフィと今のところ4つのワイナリーの「ブルネッロ」に、入っては行けない筈のカベルネ・ソーヴィニョンなどの外来品種が入っていたというものです。モンタルチーノ村の中でも大御所中の大御所、イタリアワイン界全体から見ても名門中の名門ワイナリーたちです。これについては、ワイン・スペクテイター誌でも詳細に触れられています。VinoVinoVino.com新着ニュースで翻訳して伝えてくれます。(英語は苦手なので助かります^^;)http://www.vinovinovino.com/news/?p=84僕の方からは、アルジャーノの現オーナーであるノエミ・マローネ・チンツァーノ氏によるコメントを訳してお伝えしますね。--------------------------------------------------(コッリエーレ・ヴィニーコロ誌Focuswineより)見出しブルネッロ・ディ・モンタルチーノアルジャーノ社は2003年ヴィンテージを降格させる”今回の事件で、私は深く困惑し、悲しみに沈んでいます。私たちの愛する土地で恐ろしくもインパクトの強い衝撃を与えられ、私の心は、長年に渡って厳しい仕事を献身的に行って私たちのワインを作ってきた多くの素晴らしい人たちと、大いなる情熱で私たちを応援してくれた忠実な顧客の人たちのことを思わずにいられません。ここ数週間、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは厳しい攻撃にさらされ、論争に火をつけ、否定的な影響力を広げてしまいました。これには、我々が今日までに到達してきたことのすべてを守り、世界的なレベルまでこのワインを有名なものにしてきた品質保護協会をも巻き込んでしまいました。アルジャーノに常にインスピレーションを与えてきた哲学をリスペクトすれば、この我々の最大のワインの身分証を固定し続けられるとは考えませんし、この結果がすんなりと出てくるとも考えません。我々の進むべき道は、今年もこの素晴らしいワインが応援してくださるお客様に楽しんでいただけるように配慮することです。かかる理由から、このブルネッロという最上級の身分証を枠外に外す大きな犠牲を払うことにいたしました。この忘れがたい、唯一の年である今年、新しいエチケット(ラベル)は、 IL DUEMILATRE DI ARGIANO アルジャーノ 2003年となります。我々のシンボルとなったこのクラシックな銘柄に変更を加えることに決めました。ワインは本質的に変わっておらずいつもと同じ、これまで長年に渡って我々に数々の賞を送り続け、国際的に認知された全く同じワインです。1580年より我々の歴史に強く根を下ろしてきた情熱とその価値を私たちは微動だにすることなく信じ続けています。私の人生に常に霊感を与えてきた夢は、感動を唯一のもの感覚的で魅力的な何かに、世界中の人たちと共に変えていくことです。私は最初の瞬間からアルジャーノに恋をしてきました。出会ってすぐさま、ここが私の野心を実現し、あらゆる所で知られ、評価されるワインができる場所だとすぐさま理解したのです。私は人生すべてをワイン界に捧げ、洗練された味わいに到達するための仕事に徹してきました。未来に向かって、私はすべてが元通りに戻っていくことを確信しています。というのは、最高の仕事はいつも成されてきた事、アルジャーノは、ワイン醸造の至高を旅する成功を再び収めることができると全身全霊で自覚しているからです。”-------------------------------------------------------苦境に追い込まれていることが手に取るように分かる言葉ですが、とにもかくにも、この件においてもまるっきり真相は明かされていない、ということですね。じっくりと当局の捜査を待つしかありません。いずれにしましても、これら2つの問題、発覚したのが世界最大のワイン見本市「ヴィニイタリー」直前でしょ?何らかの政治的な意図が働いていることだけは確かでしょう。問題のアルジャーノのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。2001年です.。 [2001]ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ / アルジャーノ イタリア トスカーナ / 750ml / 赤
2008/04/18
閲覧総数 129
4
大阪でのイタリアワインファンクラブ「チルコロ」で飲んだワインをご紹介していきましょう!「高岡さん、今回のテーマは?」といきなりお客様に鋭いツッコミを入れられて、ドキッとしましたが(^^;)、実は今回のテーマは 「最近飲んだ、美味しくて楽しいワイン」という、主に業者向けの試飲会で出会ったワインの中から選りすぐったラインナップでお届けしました。これは、ボローニャ近く、エミリア・ロマーニャ州のワインで北のロンバルディア、北西のピエモンテとの州境のワインです。 コッリ・ピアチェンティーニ DOCマルヴァジアは、おそらく様々な亜種を統一するとイタリアで最も広く分布する、ギリシャ起源のワインと言うことができると思います。いわゆる アロマティックな品種ですから、マスカット系とか、ゲヴェルツトラミナーとかをイメージさせる苦味の利いた甘みに特徴があります。「こういうワイン、生ハム&メロンとか、サラミ系と 合わすと最高なんですよ!」と打診すると、シェフの太田さんがしっかりお応えくださったのが嬉しかった。 しかも、生ハム&メロンではなく、生ハム&白桃という組み合わせがまた素晴らしい!!上のペルラート・デル・ボスコは、中部イタリアの白ワインとしては、最高のレベルにあるワインだと思います。「たかだかこの値段で?」と訝しく思われる向きもあるかもしれませんが、トレッビアーノの果実味と酸味の伸びを多品種の力を借りて、そしてスヴェレートという素晴らしいテロワールとともに表現した、非常にレベルの高い白ワインだと思います。トレッビアーノのワインで、果実味がこれほどまでに高貴な香りを感じさせるワインは、なかなかないと思います。もちろんヴァレンティーニのトレッビアーノ・ダブルッツォは別次元の感性が必要になると思いますので度外視しますが・・・。お料理は若鶏の胸肉のサラダとともに頂きました。もちろん味付けにも寄りますが、肉そのものの方向性から言えば、鶏肉は圧倒的に白ワインと合うと思います。そしてこのペルラート・デル・ボスコのしっかりとした果実味は、白身の肉とぴったり来ていました。またアクセントとして大根おろしがかけられていたのも面白かったです。大根がかかることで、全体の相性ではやや赤ワインに傾くようにも思いますが、そのシャープな辛味は、白ワインと寄り添いあいもします。わさびのグリーンの辛味が白ワインと合いやすいのと同じです。繊細な香りは、赤のフレーヴァーで壊れますから。次からは赤ワイン。ラクリマ・ディ・モッロ・ダルバdocはは~ん、ダルバがつくからピエモンテのワインだな。と思われた人がいれば、まだまだ甘い(^^;)これはアドリア海のワイン。マルケ州の土着ブドウラクリマ種を使った見事な個性派ワインです。味わい全体としては、ボジョレーの良質なものの果実味があります。そこにスパイシーさやフローラルな香りをややデフォルメさせて、全体のポテンシャルを強めた印象があります。こういう個性的なものがまだまだイタリアには隠されているんですよね。で、こういうワインをちゃんとひっぱって来て、紹介してくれるインポーターさんやワイン商さんがいるのが素晴らしいと思います。メチャメチャにマイナーなワインですから。二本目の赤ワインはコレ!残念なら楽天での扱いが見当たらなかったので携帯で撮った写真で。コロージ社のネロ・ダーヴォラです。コロージといえば僕にとってはマルヴァジア・デッレ・リーパリのワイナリーとして記憶されたワイナリーなのですがこのワインは、あのエオリエ諸島で作られるワインではなくアグリジェント県のブドウが使われています。ネロ・ダーヴォラの通常のイメージにちょっと「ひねり」がくわえられたような味わいです。ジャムのような甘さもありながら、非常に「厳格さ」を感じさせるスパイシーさと地中海的な薬草、ミネラル感がみなぎっています。この間、太田シェフからの料理は、 豚ばら肉の甘辛煮 鶏のスパイシーロースト、辛口トマトソース添えと続きます。豚バラの脂分と強い豚ちゃんのフレーヴァー、そして和食の甘辛系の味わいは、ぼくにはフレッシュな赤の果実香が良く合うように思います。またペペロンチーノ系のピリ辛は、やはりボディの厚みとフレーヴァの質からも赤ワインが合うと思います。白の繊細な香りは、ペペロンチーノ系の辛さでは難しい。だから白の安物系のワインならOKなのですが(^^;)そういう意味でもラクリマとネロ・ダーヴォラの味わいはこのお料理にはピタッと来た様に思いました。ワインは次なる比較テイスティングに突入します。トゥア・リータのベース的ワインですね。サンジョヴェーゼが半分、そこにカベルネ、メルロー、シラーがブレンドされています。シンプルでありながらもこのワイナリーの質の高さが十二分に伺える作品です。ベースのサンジョヴェーゼがチェリー系の香りとして、嗅覚と味覚の屋台骨を支えているように思います。そこに果実味とストラクチャーの補強剤としてのカベルネ、フルーツのチャーミングな香りとふくよかさの補強剤としてのメルロー、そしてスパイスと厚みのシラーがわずかに添えられている感じです。ワインは最後の作品になります。モダン派でありがながらも、行き過ぎた果実味がなく幅の広いそうで受け入れられるキャンティ・クラッシコだと思います。確固としたフルーツがあり、そこにスパイシーさ、バリック熟成起源の甘さと深みのある香りと味わいが添えられていて飲み飽きの来ない、料理に寄り添うワインを作り上げています。あと、今回のシリーズから僕が加えたコーナーとしての「今日の差し入れワイン」では、このデザートワインを持って行きました。ナスコという土着のブドウを使ったサルデーニャ島のワインです。ナスコを遅摘みして、糖分を過剰なまでに高めてから醸造するワインですので、こういう食後のほっこりしたい時間にはぴったりなのです。ブルーチーズ、スモークチーズ、そしてカマンベールチーズも添えられて、イタリアワインと料理の相性も良い具合に閉められました。イタリア文化やイタリアワインが大好きな人たちが集まって今回もとても気持ちの良い時間が過ぎていきました。もっともっとゆっくりしたかったのですが、僕の家が一番遠いと言う事情もあり(^^;)、早めに帰路につきました。ご参加くださった皆さん、また来月会いましょう!ご参加いただけなかった皆さんも、是非次回に!!次回開催は8月第一水曜日 5日 です!
2009/07/01
閲覧総数 4
5
土日を利用して、僕の両親、僕の姉とその娘、そして僕の家族の8人で石川県の粟津温泉に出かけてきました。近江八幡には、正月後の雪がまだ残っていましたので、豪雪地というイメージの石川県はどうかなと少々心配しておりましたが何のことはない、滋賀県の方がよほど雪は多く、道中、車のタイヤを心配することはほとんどありませんでした。初日は、雨とみぞれと晴れが入り混じった天気でしたので雄大な虹を見ることが出来ました。粟津温泉は、かなり寂れた印象でしたが、それだけに昭和の賑わっていたころの建物が残っている部分もあり到着してすぐに敢行したランニングの時に、地元の風景を楽しみました。温泉は、熱くもなく、ぬるくもなく、ちょうど良い具合のお湯で、快適でした。まあ個人的には、あっつあっつのお湯にだんだんと慣れていったりするのが好きなので、その点では少々不満は残りましたが(^^;)初めての体験でしたが、足裏マッサージもしてもらいました。かなり痛い部分があって、我慢していると、「我慢しないでください」と注意されました。別に僕はMと言うわけではないのですが、少々痛い方が、「やってもらった感」があるじゃないですか。だからずっと痛いのを我慢してやってもらってました(^^;)これって、身体に悪い?二日目も、朝風呂を楽しんで、朝食バイキングをたっぷりといただいてからゆっくりとチェックアウト。地元粟津の魚介系を中心とした市場と、お菓子のテーマパーク的なところを巡って、雪の舞う北陸道を通って敦賀に入り、ここも魚市場的なテーマパークに入って海鮮丼を食べて帰宅しました。ワインは飲めませんでしたが(^^;)、美味しい刺身そしてプレミアムモルツで、「これ以上もこれ以下もない」温泉旅行の雰囲気を満喫しました(^^)小さな旅でしたが、温泉を中心にして、ゆったり気分を家族水入らずで楽しめた週末でした。
2011/01/09
閲覧総数 15
6
SCHIFOSO スキフォーゾ というイタリア語があります。関西弁なら「気色わるぅ~~~!」という形容詞になりますが、一般的には「気持ちが悪い」「ひどくいやな・・」と訳せて、さらに現代若者風に訳すなら ムカツクゥ~~となる。ワインや料理で考えるなら当然「不味い」という訳が妥当でしょうね。急速に醸造技術が向上して、ワインの基本は「畑にある」という認識がいい意味で一般化されていく中、本当にひどいワインにはなかなか当たらなくなったなあ、と思っていたら、久しぶりに当たってしまいました。E' UN VINO SCHIFOSO CHE E' FINE DEL MONDO!!!「まるで、世界の終わり、とでも言いたくなるひどいワインだ!」でもね、イタリアワインファンであるあなたに一言いっておきたい!「ご安心ください。これはイタリアワインじゃありませんよ!」って。1000円程度のワインでも結構僕は、ワインの長所を見つけてスイスイと飲むんですが、これはなかなか難しい・・・・。フランスのヴァンドペイなのですが、色艶なし!香りの果実味なし!味わいの丸みのかけらもなし!と残酷なまでに長所が見出せません。キリリと冷やすと酸の角が立つ。結局、「尖った」といえるような酸のレベルじゃないんですね。弱いんだけど味わいに一体感がないから酸が浮いていて、弱いくせに際立っちゃう。だから少し温度が上がると味わいが完全にぼけてしまう。きょうび、こんなワイン、なかなかおまへんで!というタイプのワイン。本当に驚きました。というか、買った僕も実は非常に安易なんですが・・・。というのも、これ某Dイエーにずらりと並んだものから、「フルーツが出すぎていない白ワインを」と思って買ったんです。というのも、果実味がですぎるとワインは料理を選び出しますので。野菜や魚に無難にあうタイプが欲しかった。でも廉価なワインはほとんどがニューワールドでしょ。ニューワールドワインって、くどいほどフルーティーなのがあるのでちょっと避けたかった。イタリアワインのコーナーを見ると、手を出さないほうがよさそうだと思える大手メーカーのものばかりです。で、しかたなく(?) フランスのソーヴィニョン・ブランを選ぶ。やっぱ、フランスワインで品種名が前面に出ているヴァンドペイは危険ですね・・・・。撃沈されちゃった。それにしても、どうやって救おうか・・・。氷ぶっこんで、炭酸のミネラルウォーターで薄めちゃうという手が一番手っ取り早い。料理酒として使うのも良い。それともアルコール飛ばして砂糖ぶっこんでゼリーにでもしようか・・・。いや~、悲しいな。おそらくは2番絞りか、3番絞りのワインで作られた腰のない味わい・・・救いようがない。このワインのお陰で体調が優れません・・・。
2006/06/28
閲覧総数 118