ヴィーテ・イタリア高岡(Hiruccio)のイタリアワイン&主夫日記

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2008/05/13
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カテゴリ: 映画と読書

塩野七生ルネサンス著作集(6)


神の代理人・・・・つまり法王のことですね。


この本にはそのようなことは載っておらず、「法王」で
通されていますが・・・。

こちらをご覧いただくと良く分かります。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/memo/pope.htm

ともあれ、実体は同じです。


また「免罪符」という言い方も意味的に相応しくないという
ことで現在は使われないらしいですね。今は「贖宥=
しょくゆう」状というそうです。詳しくはWIKIPEDIAで
どうぞ)


この本は、いばわ「ローマ法王列伝」です。なので、
「ルネッサンスの女たち」では、女性を通したルネッサンス像を。
「神の代理人」では法王を通したルネッサンス像を描いています。


中でも、とても勉強になって、面白かったうちの一つは、
塩野七生のカトリック感といいましょうか。ルターが興した
プロテスタントに対してカトリックをどう評価するかの点
でした。


たとえば、カトリックとプロテスタントと、神に対する向かい
方はどちらが真摯かと問われれば、僕ならやっぱりプロテス
タントと答えるでしょう。


神と人の間に何も介さないプロテスタントの方が、聖職者、
そしてその長である代理人の法王を介すカトリックよりも、
より直接、より純粋に神に触れられて、抱擁される気持ち
良さがあるように思います。


この本では、第4章の法王レオーネ10世の台詞として
カトリックとプロテスタントの本質を言わせています。



 おけるイタリアの知的支配に対する嫉妬を内臓した反撥」


「仲介者なしに見えぬキリストと結ばれるには、一人一人が
 相当に強い意志力を持っていなければならない。ルター派は
 すべての人に、そのための、まじめでひたむきな意志力が
 備わっていると信じているからだよ。

 一方、カトリックは、人間性には善も悪も含まれるという、
 複眼的視野に立つ。人間性を単に悪ときめつけるだけでは
 なく、良き性も認めながら、同時に、人間の持つ弱さも
 忘れてはならぬ、というわけだ。

 だから、まじめでひたむきな意志力を失いがちな人々には、
 現実はこの方が多数なのだが、そのような人々のためにも
 仲介者となる見える教会、すなわち地上の教会があった
 ほうがよい、となるのだ」


 「そういう国(どんより曇り、霧がかかって、少し前を
 行く人が、灰色の影のように見える、アルプスの向こうの
 ドイツ)では、霧の向こうに何かがあるにちがいないと、
 幻想をいだけるのだろうか。

 神の正義と愛の支配する時代がくると、信じ込めるのかも
 知れない。ところが、太陽がすみずみまで照らしてしまう
 我が国では、すべてが見通しだ。向こうは楽観的でいられ
 ようが、こちらでは、はじめから悲観的だ」


プロテスタントの聖人聖像崇拝の禁止と教会装飾の
過度の禁止について

 「慎ましい家に住む庶民にとって、美しい教会は、自らの
 貧しい世界を離れ、地上の天国、しかも自分たちのもので
 ある、豪華さの中にひたることなのだ。

 誰でもいつでも入れるのだからね。人々のこの感情が
 何百年もかけて作られる協会を支えてきたのだ。華麗な
 教会は神の住みかには適していない、と簡単には断罪
 できないではないか。

 カトリックは、だからこれらを、信仰を助ける本質的な 
 手段としている。ややもすれば弱くなりがちな人の心だ。
 美しい教会、キリストや聖人を身近に感じさせる彫像や
 絵画、妙なる楽の音。これらは、単なる装飾品以上の
 働きを持っていると思うがね」

 道化「あちらさんのやり方は、何としても厳しくて
 陰気でございますねえ。色彩豊かな絵を、灰色で塗り
 つぶすような感じだ」

 「それに比べると、われわれカトリックのほうは陽気だ
 のう・・・(略)」




 気候が暗い、すべてのものが見えず、不安になり考えが
陰気になる、だからこそ見えないものを見ようとする力が
備わる。幻想を見やすくなる。よく言えば夢や希望、理想を
追い求めるようになる。

 気候が明るい、考えが陽気になる。現実はすべて見える
ので、現実を直視する力やユーモアのセンスが備わる。
幻想を見ず、夢や希望、理想を声高々に唱えず、現実を
直視する。金と芸術の力を利用する。


ワイン同様、人間も気候環境に左右されていて、それが
歴史を作ってきているんですね。


この本では、特に、もう一つの宗教的、また政治的な対立
としてのサヴォナローラと法王アレッサンドロ6世の往復
書簡を扱った第2章がスリリングで傑出して面白かった!


ルネッサンスの史実やその精神世界に興味がある人には是非
お勧めしたい書物です(^^)

イタリアワインが好きな人にも読んで欲しいですね。


ワインのことを知ったり学んだりするのは、歴史を知ったり
こうした精神世界を知ることで土台を掴んでいけるような
気がします。


こういう本を読むことによって、楽しみがより緻密に広がる
と思います。



塩野七生ルネサンス著作集(6)









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Last updated  2008/05/15 06:34:00 AM
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