2023年06月30日
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■マックは死ぬ前なぜウインクしたの?
■生命体はなぜイリーナを殺したの?​
祝!金ロー新吹き替え版「村井国男」復帰☆​​

​吹き替え映画の魅力を解説​

インディ・ジョーンズ
/クリスタル・スカルの王国

Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull

アメリカ(2017年8月11日公開)133分

■ 監督 スティーブン・スピルバーグ
■ 出演者 ハリソン・フォード/ ケイト・ブランシェット/ カレン・アレン/ シャイア・ラブーフ
イゴール・ジジキン/ レイ・ウィンストン/ ジョン・ハート/ ジム・ブロードベント




さて今更ですがw

6月30日公開のインディージョーンズシリーズの最新作
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』 公開を記念して

2008年に制作されたインディージョーンズの
実に19年ぶりのまさかの公開となりました4作目となる

『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
金曜ロードショーで放送されるのですが

今回の放送では 吹替版 が新たに録音された
新録版 での放送となり

本作のみ諸事情で別の声優の方が演じてきた
ハリソン・フォードの吹き替えに

俳優の 村井國夫 が復帰した完全版となっての放送となります☆

まあ、ただこれが言いたいだけの記事公開というW
というわけで、

今回は 「吹き替え映画の魅力を解説」 と題しまして
吹き替えに纏わるお話と

前作からまさかの19年ぶりの公開となった
『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

ウチ流の面白く観るポイントを解説しようと
思います☆





​​​ ■■■もくじ■■■

STORY

吹き替え映画の魅力解説編

吹き替え映画の魅力「村井國夫」編

声優交代劇の舞台裏

パラマウントが日本で展開しない理由

吹替版が字幕版より格下?


『クリスタル・スカルの王国』ウチ流解説編

本作を◯倍面白く観るポイントを解説

米国の悪政「赤狩り」って何?

どうして米国は共産主義を敵視したの?

移住した順番で階層化した移民問題

本作が「1941」のリベンジである理由とは?

★2024年8月追加★
インディがシルエットで出てくる意味

★2024年8月追加★
マックがウインクして大丈夫だと言ったのは?

★2024年8月追加★
神殿の生命体はなぜイリーナを殺したの?

SFはインディ映画らしくない理由とは? ​​​




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- STORY -



時代は赤狩りがはびこる1957年のアメリカ、

ネバダ州にあるアメリカ軍の施設エリア51では
軍人に成り済ましたソ連のKGBに拉致連行されたインディーが

その施設で謎のオーパーツ「クリスタル・スカル」を探す様に強要される



- 解説 -



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■吹き替え映画の魅力「村井國夫」編■




さて映画の解説は後で少しだけするとして・・・w
今回は「吹き替え映画の魅力」と題し

今やTVの洋画放送では当たり前となった日本語吹替版洋画の
裏話的トリビアとして今回は声優としても知られる俳優

村井國夫 にスポットを当て

「インディージョーンズ4」 での話題を中心に
ウチ流の映画の「見どころ」を語って行きたいと思います


現在 ハリソン・フォード の吹き替えは俳優兼声優の 磯部勉 が担当して
スターウォーズのソフト版、最新作の吹き替えも彼が担当しておりますが

元々ハリソン・フォードの吹き替えは俳優の 村井國夫 が当たり役として
長年担当して来ました

村井國夫と言えば、ドラマ映画で重要な役所を担当する
大物俳優として知られる人物で

私が知る所では「浅見光彦シリーズ」の浅見陽一郎役や

懐かしい所で三谷幸喜の名作『王様のレストラン』第七話「笑わない客」で
千石さんが「淀み切っております」と言っていた日本代表の政治家役などの

組織のトップや政治家役などで良く起用される
日本を代表する俳優の一人でもあります

そういう大物俳優は往々にして、津嘉山正種や本田博太郎の様に
「悪役専門」という立ち位置だったりしますが

どちらかと言えば主人公側の「正義」のポジションを数多く演じている方で

ダンディながらも軽妙でどこか「女たらし」な持ち味があり
企業の部長で20代の頃の浅野ゆう子辺りの若い美女を愛人に持つ・・・
みたいな役所を演じると光るという

日本を代表するバイプレイヤーとしても知られる俳優でもあります


村井國夫は1966年に俳優座養成所卒業後俳優としてデビュー
東映からの誘いを蹴って俳優座の舞台に立ち

舞台俳優としてのキャリアを重ねていきますが
食えないという理由で4年で脱退


多分に漏れずTVドラマの「悪役」を演じながらも
時代劇では悪役にいじめられる側を演じたりする多才ぶりを発揮します

その後TVドラマ界特有のローテンションを消化する様な制作体質に疑問を感じて
再び舞台役者として芝居の世界に身を投じますが

収入を度外視した一念発起だったので
結婚相手の人気女優 音無美紀子 とは色々な意味での「格差婚」となった様で

その為かこの時期は本人の言う所の 「仕事は何でもやった」 という事から
声優の仕事も受ける様になったという経緯があった様です

ルーカス作品では85年の 「レイダース」 の金ローの放送と
次の週に放送した 「スターウォーズ」 2度めの金ローの放送で

「伝説の黄金の吹き替え」となった
ルーク・スカイウォーカー:水島裕
レイヤ姫:島本須美 (風の谷のナウシカ:ナウシカ役)

で、初めてハリソン・フォードの吹き替えを担当しました

「スターウォーズ」でのハリソン・フォードの吹き替えは
日本テレビ開局30周年記念を祝う
1983年の悪名高い日本初放送では松崎しげるが担当しましたが

本編が始まるまでのタモリ研ナオコのオープニング的前振り番組が大不評で
さっさと始めろという苦情の電話が殺到したという

30周年の大型目玉企画として大金をはたいて獲得した
超大作映画放送の前座として勿体つけたイベントを施し

高視聴率獲得間違いなしに鼻息荒くするテレビ局側と

タダで大人気SF映画が見られるという前評判から
見逃すまいと当日ブラウン管にかじり付くお茶の間との

天と地ほどの温度差を感じる世知辛いお話は
どーでも良いとして・・・W


フォードの声には堀勝之祐や田中亮一、石丸博也、仲木隆司
千葉繁、内田直哉 他様々な声優が当てて

どれもしっくりこないと言われる中

ダンディーで軽妙な演技が持ち味の村井國夫が演じた事で以降

(97)「デビル」 (97)「エアフォースワン」(99)
「ランダム・ハーツ」(02)「K-19」

などのフォード作品の担当声優として定着します


その後ディズニーランドのアトラクション
「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮」も

ディズニー公認声優として村井國夫が担当し

本作のインディーの吹き替えも当然村井國夫が演じるものと
誰もが思っていた矢先・・・


『スタートレックエンタープライズ』の機関部長トリップ役や
アンディー・ガルシアなどの吹き替えで知られる

声優の 内田直哉 が担当し、吹き替え映画ファンを落胆させます


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■声優交代劇の舞台裏■

この声優変更劇はWikipediaによると

まずオーディションが行われたという事、

演出担当責任者が「日本語が分からない」日本人では無い
「業界で著名なアジア人責任者」 という事

前作から19年のブランクが生じた事で
村井國夫がこれまでハリソンやインディーの吹き替えをやって来た
実績がリセットされ
あくまでもハリウッドスタイルを重視して選んだ結果となった事

村井國夫はこの件に付いて最近のニュースのコメントで
「若い俳優に取られてしまった。外された」と表現している事から

そのオーディションに受からなかった、あるいは受けられなかった
という経緯が感じられる事

今回の声優交代劇にはウィキの解説でいう所の
収録には 「業界で著名なアジア人責任者」 が立ち会っている事から

その人物が
オーディションでも最高責任者だったと考えられますが

「日本語が分からないことから通訳を通じて演出や監修をした」
「声優や日本側の演出家が苦労する一幕もあった」

とも書かれている事から感じられるのは

「英語が話せない人種は頭が悪い」と捉える
悪しき白人至上主義的ハリウッドスタイルが背景にある匂いが
漂って来る様な

これらの背景から
ある種の尊大で 嫌な空気感 がある事を察し取れます


ジョン・ハート 演じる オックス を吹き替えた
「スタートレックボイジャー」でドクターを演じた事でも知られる 中博史
吹替版収録の様子を語っていて

オーディションで合格したのに実際のレコーディングでは
何度演じてもOKがもらえず困ったそうです

実は録音ディレクターもOKを出さない責任者の態度に困っていた様で

通訳を通して直接責任者から理由を聞くと
「あなたは若いから、ジョン・ハートのような雰囲気を感じ取れない」
とはっきりと言われたそうです

年齢を越えた所で演技をするのが俳優であるにも関わらず

声から受ける印象では無く「見た目」で判断し
英語を話さない人種の演る事をハナから認めない様な

横柄と無知ぶりに中博史は遂にブチギレて

「あの教授のあの恰好、あの表情、あの世界観を考えると
自然とこんな話し方になる」と説明した後

「僕が若いからどうのっていうのはあなたの考え方が固まりすぎている
嫌なら降ろしてもらってもいい」

と通訳を通してはっきりと抗議したら
「OK、GO!」 と納得したという一幕があったそうです

この一件を見て思うに

可能性として考えられる事は・・・

日本語が分からない担当者は、ある種 「テクニック」 として
出来の是非を声優自身に任せて
渾身の演技 だった時に ダメ出しされたら切れる だろうと判断し
切れるなら演技にも自信がある事になり任せられるだろうと
切れたらOKを出して口出ししないと考えて
中博史が何か言ってくるまで 泳がせた

という捉え方もありますが

一見、演劇界における言葉を越えた所の判断の一つ
かの様に思えても

何度もNGを出す羽目になったのは
中博史のせいでは無く
こんなやり方をするしかない
日本語を知らない担当者 だけ のせいになるので

人を弄ぶにも程がある 事になります

そうでなくても
抗議したら考え直す様な 「ブレた」 所も含めて

この責任者の事を口を揃えて
「業界で著名なアジア人責任者」 と表現する所も

その人物の日本文化や日本人に対して理解に乏しい
恐らく日本人が演る演技に付いても
表層的な所しか分かっていない

無知無理解ぶり 辟易 している 皮肉 の現れの様でもあり

この人物に対しての
日本の声優業界の困惑する様子が見て取れるものがありました


インディーの吹き替えの件で揉めた話は他にも有り

2010年ごろにWOWOWを中心とした
村井國夫を再起用した新録をする企画があった時

権利元のルーカスフィルムが
後に旧3作を新録した内田直哉バージョンで完結したものとして
「現在のテイクがベスト」と頑として受付けず

権利元もパラマウントも
全く日本の事情を頑ななまでに理解しようとしないという事で

仕方なく断念するという事がありました



日本でのインディーの吹き替えは
これまで村井國夫で上手く行っていた実績がありながら

あくまでハリウッドの「オーディション制」を重要視し
日本の事情を汲まないで権利側の判断だけで決定した事を押し付ける
というのは

まるで日本での展開に過度な期待を持っていない様な印象があり

ハリウッドシステムの重視はともかくとして
日本の吹き替えファンが納得しないという日本独自の問題があっても

決定事項に外部のクチを挟ませない
聞く耳を持たない、理解を感じさせないのは

悪い慣習としてのハリウッドスタイルを感じさせるものがあります


ハリソンが憑依した様な吹き替えでハマリ役となり
長年日本でのインディーの声を熱演してきた村井國夫に対しても

日本語も分からない様な責任者を派遣する事に対しても

日本の演劇に対しても何も理解するつもりがない
リスペクトのかけらも感じられない現れとしか
取る事が出来ない

一見「手続き」の重要性を主張し
「道理」としては正しい行いをしている様に見えながら

海外展開に於ける想定内な異例として譲歩する素振りもない

欧米側のまるで 日本を見下している としか思えないこれらの態度には
怒りすら覚えるものがあります



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■パラマウントが日本で展開しない理由■
Paramount Pictures 2022 (Blue)



パラマウント映画 がことさら日本人に「尊大」なのかどうか、

インディー声優から村井國夫を外したパラマントに
長年個人的に怒っていてこんな記事を書いているのかどうかの

真意はともかくとして・・・w

インディージョーンズシリーズ、ミッションインポッシブルシリーズ
スタートレックシリーズを始めとする
人気映画シリーズ、TVシリーズを制作する世界有数の映画会社

パラマウント・ピクチャーズが

日本に対して感じている印象は良くないという
イメージがありました


例えばドル箱コンテンツの 「スタートレック」 ですが
映画以外のTVシリーズを欧米では全作DVDレンタルしている事に対して

日本ではソフトのレンタルをしておらず

又、最近パラマウントは他サイトへの配信公開を取り止めて
パラマウント制作の作品は自社の配信サイト

「Paramount+」 でのみ鑑賞できる様に一本化をしたばかりですが

そのパラマウント作品が鑑賞できる「Paramount+」も
2023年12月からWOWOWオンデマンドで
一部公開することにはなっても

未だ日本では完全な形での展開はしておりません

現在パラマウント制作のTVシリーズは
日本で於いてのみNetflixやAmazonプライムで鑑賞出来る様ですが

今後はどうなるかも分かりません


この背景には欧米に於いても日本が不正ダウンロードに対して
実際にはあって無い様な法律しかしない

「コピー王国」 だというイメージが定着している事に起因した

パラマウントが自社のコンテンツが
日本のユーザーの違法ダウンロードの対象となり

海賊版化される防止策として、
レンタルも配信も行わない方針を取っている可能性が高く

日本をマーケットにするには リスクがあり警戒が必要 だと捉えている
印象があります


「MovieNEX」という形で「コピー前提」でソフトを販売する
「ディズニー」 の現実的思考とは異なり

パラマウントに取って日本は
自社のコンテンツが侵される防ぐ手立ての無い
潜在的な被害だけでも甚大なものになる

有数の海賊版輩出国家だと
ブラックリスト入りしているとも考えられ

ソフトレンタルも配信も日本のマーケットに於いてのみ消極的なのは
パラマウントが日本のマーケット展開を警戒している現れだと

言えるものがあります



「仮」にそうだとして、その様に
「権利」を何よりも重要視し
「訴訟王国」とまで呼ばれる欧米から見れば

「有効な法整備も出来ない遅れた国家」
としか映らない可能性を考えると

「文化」の遅れた「野蛮」な国という扱いで
「絵画演劇音楽芸術にも遅れている」

という「偏見」が根ざしている可能性が浮かび上がってきます


これらはあくまで私の「私見」で
欧米人の全てがそうでは無くても


日本人の役者に対して「無知前提」で接している
「アジア人責任者」による一連の態度の

「理由」にはなっているかと思えます
ともあれ・・・

今回 その封印が解けて最新作と前作の新録で 村井國夫復帰 となったのは

正に先程の 「ディズニー」 がルーカスフィルムを 買収
「スターウォーズ」「インディージョーンズ」

権利を持つ事になった のが理由となった訳です

これは、
「アナ雪」の「Let it go」というサビを「ありのままの~」と超訳した
日本文化を深く理解するディズニーあっての村井國夫復活となった

動かざること山の如しのパラマウントの山が動いた
ではなく崩れた・・・w


日本中の
吹き替え映画ファン歓喜
の出来事となった訳でした。

これを受けて前作「クリスタル・スカルの王国」でインディーを演じた
内田直哉と村井國夫は和解し(?)

Twitterでツーショットを公開しました、めでたしめでたしw

​​​​​
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■吹替版が字幕版より格下?■​


さて、
日本では海外作品は「字幕」がデフォルトで
吹き替えは字幕映画よりも「格下」という

なんとも権威主義的偏見が映画業界でまかり通っていた様ですが・・・


では、だからと言って「字幕映画」が格上かと言いますと
例えば翻訳界、映画字幕の大家、 戸田奈津子 が担当した映画は

誤訳 が多い事でも知られておりますので
とてもそうとは思えません

例を上げますと
「スタートレック」では「遮蔽装置」を「隠蔽装置」と訳したり

「スターウォーズ」でも「ローカル(地元)」を 「ローカルの星人」
「義勇軍」を「ボランティア」と訳したりとした事で

批判された話は有名で

特に 「ロード・オブ・ザ・リング」 では
原作と異なる「ワード」を多様した翻訳に激怒した著書のファンから
字幕差し替えの訴えが出る騒動にも発展しました

映画評論家の 町山智浩 は戸田奈津子の誤訳の多さについて

「製作側による英語の注釈が(翻訳用台本には)ついている。これが通常。
戸田さんはこの注釈を読んでないとしか思えない」と批判し

これは映画ファンが「字幕版映画」に対して
映画への「敬意」とそれに伴う「クオリティー」を求める事に対して

配給側が「まず大ヒット」を求めて大半の予算を「宣伝」に掛けて
「字幕制作」に割く時間的成約と予算を掛け無いという

その中でベストを尽くしているという翻訳の労苦とは別に

配給側の「字幕はあれば良い」程度の認識で委託される
翻訳家に丸投げな現状を物語るものでもあり

それが「映画警察」的存在の町山智浩には
とても感受できない違反行為に映るわけです


対して戸田奈津子を 養護する意見 も多くある事も事実で

戸田奈津子の字幕作業は
映画鑑賞で字を読む行為が加わる洋画で

原作がある場合の 「正確性」 にとらわれる余り
画面で字幕を追う事ばかりに気を取られて

演技を見る暇がなく 「集中できない」 ケースがある事を踏まえて
読む「テンポ」が重要だと考えて字幕を作っている所に
大きな特徴があります

結果「表現が不十分」「原作に無い表現」「世界観を削ぐ」
事態を招く事になるとしても

それは、一回で目に入るだけの 文字数 を考慮した
一般鑑賞者の 理解範囲 を越えない現実的配慮で
翻訳作業をしている現れだと言えます


例えば、一般人にとって意味不明な
SF映画の 専門用語 などが羅列される時などの


「ダイリチウムを核融合したインパルスドライブのソヴェリン級戦艦」
「クリンゴンの侵攻ルートに存在した惑星オルガニアに住む高次生命体」


という様なあっても無くてもストーリー上差し支えのない
「要らない情報」 は削ぎ落とし・・・w


「高エネルギで航行する巨大戦艦」「危険地帯に居るエイリアン」の様に

少ない文字数で内容を伝える事は
一部ファンの不評を買うというリスクはあっても

それは効率的な翻訳を目指した結果だと言えます・・・w


元々英語圏を考慮してセリフが作られた洋画で
あって無い様な専門用語を早口で捲し立てられる場面などは

作品世界を知らない人に取っては目で字幕を追うだけで疲れる
「地獄」の様な「何の時間?」でしかないので


英語がネイティブでは無い日本向けに制作される
字幕で「補助」しながら鑑賞する
「日本語字幕映画」では

作品ファンの満足を目的にした
その他の鑑賞者を淘汰する様な意味不明なワードは極力排除して

多くの鑑賞者の為の
映画が鑑賞しやすい環境作りを第一に考えるのが

翻訳の仕事だと言えます

戸田奈津子字幕の仕様の骨頂とも言える
画面の「白い範囲」に「黒文字」又は「黒い範囲」に「白文字」
で収まるだけの 一目で入る文字数 での字幕表示は

パッと読める、テンポの良い字幕作りを心がけた
誰もが同じ様に映画を愉しめて誰もが鑑賞しやすい

映画を観る人への「心遣い」が感じられます

たとえ作品のファンには不評でも、多くの人から
戸田奈津子の字幕は 読みやすい との高評価を得ているというのも
頷けるものがあります



因みに世界的には・・・米国的にはですが・・・w
海外作品は 「吹き替え」 がデフォルトです

これはコレで「米国に来て英語を話さない奴は頭が悪い奴」という

先程も語った
英語を世界のデフォルトとする白人至上主義的偏見が
背景の一つと言えます・・・w
(※の様に欧米を語る偏見もあるかもですが・・・w)


吹替版は俳優本人の声では無い難点はあるものの
字幕を読む必要が無い為
画面に集中して鑑賞出来るという利点があります

又問題の「ロード・オブ・ザ・リング」にしても
吹替版で使われたワードは 割りと正しい表現だったと評価も良く

「スタートレック」に至っては、カーク船長をTVと同じ矢島正明が演じ
「新スタートレック」映画にしても ピカード艦長を麦人が演じ

新旧船長が共演する「スタートレックジェネレーションズ」では
吹き替えも矢島正明と麦人が共演する豪華版で

吹き替えマニア感涙の共演となっております☆

それが「パラマウント」の都合で
「スタートレック4 故郷への長い旅」
「スタートレック5新たなる未知へ」
「スタートレック6未知の世界」

の「4」「6」の カーク船長 の吹替が
「新スタートレック」 ライカー副長 を演じた 大塚明夫 だったり
「5」のカークが 筈見純 というマニアックな人が当てたりという

謎の起用なのは序の口で・・・

「スタートレック6」 に至ってはもうカオスでw

カーク船長がライカー副長の 大塚明夫
敵役のチャン将軍が「4」のカーク船長の 筈見純
スポックが「新スタートレック」で 初代ピカード艦長 役の 吉水慶
クリンゴン宰相が 現在の ピカード艦長 役の 麦人

という新旧スタートレック映画声優総出演となった
コレはコレで吹替ファン必見の
謎の豪華共演となるといった

配給の都合なのか予算の関係なのか
スケジュールが合わなかったのか

作品の担当声優が当てられ無い場合が多く

多くは収録日に開いている、吹替制作社と提携するプロダクションの
所属声優に限られるチョイスとなるのが常で

ドル箱映画の「スタートレック」と言えども
カオスな吹替となってしまう訳です
(※後に可能な限りのオリジナル・キャストで新録されました)


・・・話をもどしますがw

YouTubeでもゼミ系の配信動画に
欧米対策で英語吹き替えを導入するユーザーが居るのは

欧米が「英語字幕」では無く「英語吹替がデフォルト」の為です


日本の若者の国語力低下が危惧される今日では
洋画の字幕となる「文字」を読んで理解しながら
物語となる映像を鑑賞する事が

ある程度の能力が必要となり、
多くは意味を取りこぼす可能性を捉えると

吹き替えが海外作品を鑑賞する
日本のデフォルトとなるのも

近いと言えるのかもしれません。



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​「クリスタル・スカルの王国」ウチ流解説編​
■本作を◯倍面白く観るポイントを解説■




さてここで「クリスタル・スカルの王国」も解説しておきましょう・・・w
とは言っても解説サイトが星の数ほどある本作ですので

本作がより興味深く観る事が出来る様に
ウチ流の「本作を◯倍面白く観る」ポイントを解説する事にしましょう☆


ジョージ・ルーカスは「インディー・ジョーンズ・シリーズ」を
元々5作作る契約を映画会社と交わしていましたが

ルーカスもスピルバーグも「大物」となり
ある程度の「口出し」が出来る立場になると

冷戦の世の中となり潜在的な脅威が日常に潜む中で暮らす現代に

「ナチドイツ」を悪役に仕立てて悪人たちの野望を阻止する
勧善懲悪な物語には世の中を吸引する力は無くなっていると考えて

シリーズ第3作 「最後の聖戦」 では

これまで「ヒーロー」として描いてきたインディー・ジョーンズを
人としては「何者」なのか今ひとつ良く分からなかったという事で

少年時代のインディーの活躍を描くOPで幕を上げ

父親役として ショーン・コネリー を招いて
物語に絡めた親子のやり取りの中で人間インディー・ジョーンズを描き

それを持って「3部作」としてシリーズを完結させようとしました


Balanced Rock, Arches National Park (50333197598)
実際に存在する「バランスロック」 (画像参照: wikimedia)

コロラド州の砂漠と高知に広がる絶景の岩場に目を奪われるOPから
巨大な岩があり得ない高所の場所にそびえ立つ

「バランスロック」のたもとを進むボーイスカウト一行との対比で
自然の脅威で生まれた「未知」の存在を感じさせる

ミステリアスな冒険が始まる予感を感じさせながら

広大なアーチ状の岩場からカメラは洞穴へと進んで行き
その洞穴の奥で「盗掘」を行う一味の中の

ひときわ目立つ「フェードラ帽」の見覚えある後ろ姿に
ここでインディの登場かと誰もが思いながら

一味が掘り出した目的の十字架の装飾物を手に取り
光が当たったその顔は明らかにインディーとは違う別人で

穴の上から一味の行為を見張っていた少年が呼ばれた名前が
インディーだったという

ちょっとした仕掛けを通して
スッと インディーの少年時代にタイムスリップさせながら

そうして一味から取り返したはずの十字架は
金持ちのコレクターに蹂躙された保安官に奪われ

骨があるじゃないかと、
一味のボスの男がインディー少年にかぶせて
画面いっぱいになった「フェードラ帽」を上げた顔が

今まさに大ピンチの中で今の事を思い出し
ピンチの状況すら楽しむ様に笑っている
現在のインディーの殴られる直前の顔に繋がるという

当時、最後のインディー映画として制作された本作に
映画人としての全てが注ぎ込まれた様な

画面から片時とも目が離せない映画的な流れる様な展開は
インディー映画のラストを飾るにふさわしい
冒頭から手に汗握る大冒険をさらりと繰り出す

スピルバーグ、本当に上手いな~と思います


それから1991年のWOWOWの開局のCMで
ハリソンのインディーっぽいビジュアルを観て以来

「インディー」の映像化はもう無いと思われた2008年
19年ぶりにまさかの最新作 「クリスタル・スカルの王国」 が公開されます

これは
異世界人の遺産となった 「クリスタルスカル」 と呼ばれるオーパーツを
ソ連のKGBと争奪する冷戦時代のお話で

ケイト・ブランシェット 演じる超能力を持つ悪役イリーナ・スパルコは
ソ連の領土時代の ウクライナ 出身のKGBの将校という役どころの

ロシア人で無い事から何倍もの 忠誠 を誓わなければならない身の上故に
出世を狙う将校なら誰もが避ける諜報活動という 「汚れ役」
自発的に行いおびただしい数の成果を上げて今の地位を得た人物で

逆に言えば
高い地位を得る為には誰もがやらない仕事をやるしかないという

当時のウクライナの 「損」 な役回りを負う 立ち位置 を伺わせる
現在の ウクライナ情勢 を知るには実にタイムリーな内容でした


この映画は旧3部作とは明らかに異なったトーンで作られてまして
それは本作を監督したスピルバーグが当時61歳という年齢で

歳を重ねたという事が作品に影を落としている
という事もあるかもしれませんが

「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ミュンヘン」と
重くリアルな映画を撮っていた反動で

楽しく観ることのできる映画を目指した映画化でした


映画冒頭、地面からいきなりCGのモグラが出てきますが

実写のアクション映画には似つかわしくない違和感があって
まるで昭和のテレビまんがみたいなチープさがありますが

アレは「さあ、マンガみたいな愉しい映画の始まりだ!」

という 「宣言」 の意味があった訳で

本来核兵器の破壊力や放射能を
鉛製の冷蔵庫に入っただけでかわせる訳が無いのに
インディーが無傷で出てきたり

その足元から冒頭のモグラが出てくる事で
この辺りには核の影響は無い事を示しながら伏線回収するのですがw

他にも

どう考えてもあの様な高い「滝」から3回落ちれば死ぬ所を
助かったカレン・アレンにハンドルだけ持たせて
ミッキーマウスディズニーアニメ的お笑いにしているとか

ジャングルでロシア兵に扮するイゴール・ジジキンと戦う場面で
インディーのパンチにのされた後
軍隊アリに巣まで運ばれて絶命するという

いくらなんでも あり得ない 演出をしたりするのも

そもそも本作は
マンガみたいな演出をしたかったスピルバーグの
お笑い満載なハラハラドキドキの
ディズニー的愉しい映画を目指した所に企画の理由があった訳です

しかし一方で

「シンドラーのリスト」では
ナチの党員でありながらユダヤ人を救った人物を描き

「プライベート・ライアン」では「戦争」の 実態 人間性 を描いた事で

「ナチ」を素直に「悪」と描くことが出来なくなった 弊害
「最後の聖戦」の時の様に 「戦争」 ネタ に笑いが 描けない
「レイダース」の時の様に中身を考えない映画を撮れなくなり

それで闘う相手をソ連のKGBにしたり

を「ソ連」にしたというよりは
共産主義を敵視する「赤刈り」なども含めた 「思想」 そのものという

潜在的な敵になりうる全ての状況が今回の 真の敵 として描いている所に
旧3部の時にあった映画的カタルシスが 薄く なり

映画で描く枠取りが増えて 多義 に渡っている分
トーンが変わったと言えます


例えばインディがKGBに拉致され脅迫されて行った行動が
当局に共産主義に寝返った行為に取られて

見に覚えのない「赤狩り」の対象にされる所などは
「勧善懲悪」なインディー・ジョーンズ・シリーズを 逸脱 したものすら
感じさせます


▲目次へ▲
■米国の悪政「赤狩り」って何?■

この映画をもっと理解する為に 「赤狩り」 に付いて
少しだけ触れたいと思います

「赤狩り」は「マッカーシズム」とも呼ばれる
1948年頃より1950年代前半に政府によって行われてきた

当時世界的に台頭していた 「共産主義」 を国内から排除する行為と
一環を指す言葉ですが

当初は国内の 共産党員 支持者 を政府が 弾劾追放 していた事が
やがて共産党員では無い家族や友人までもが追求される様になり

いつしか 「あの人物は赤っぽい」 という様な
「イメージ」だけで 処断 される様になって行き

偏見がまかり通り人が人を信じられなくなる様な

国民が疑心暗鬼に囚われて国内に不穏な空気が浸透していた
一連の 風潮 を指す言葉でもあります


ヲタク評論家の岡田斗司夫はコノ当時の「赤狩り」の風潮を
「不倫したら炎上するよりも酷いやつ」と表現してましたがw


この「赤」とはソ連の国旗の色であり共産主義を象徴するカラーとして
共産党とその支持者を指した言葉で

当時は「赤っぽい」と思われただけで当局に逮捕されたといいますので

しばしば歴史に於いて戦争に勝利した国が陥る
次は何が敵になるのかで国内が「スケープゴート」探しで騒乱する

人権を無視した 悪政 が戦後の米国にまかり通っていた事を
伺えるものがあります


背景としては、戦後に 共産主義 の大国のソ連が 力を拡大 しつつある事に
警戒してきた米国が

アジアや中東、中米の国々が 急速に共産主義国化 して行く事に対して

世界から 民主主義が消えてしまう のでは無いかと
恐怖心 を抱いた事がきっかけで 猜疑心 が芽生えた所にあり

それを受けて共和党右派のジョセフ・マッカーシー上院議員が
率先して「赤狩り」を進めた事で

本来共産主義とは何ら関わりの無い代議士や著名人、作家までもが
「赤」を思わせる発言やその様な著書を出版しただけで
連行されという様な

その実態は現政権の 潜在的な敵 と認知された人々が 弾劾 される
「共産主義者の排除」を大義名分とした

体の良い 政敵の排除 を目的とする謀計と言えました

これによって
偽の「共産主義者リスト」作成による事実の歪曲や偽証が横行し
マッカーシーのその様な冷徹で強引なやり口は 批判 を込めて

「マッカーシズム」 と呼ばれる様になります


やがて「赤狩り」の思想は世界的に波及し
イギリスやカナダ、日本までも影響を受け
西側諸国全体に行き渡る程に

「共産主義」への脅威は 「形の無い恐怖」 となり
戦後の世界を席巻して行ったのでした


しかしその様なマッカーシズムの横行に対して マスコミ が立ち上がり

1954年3月9日 ジャーナリストのエドワード・R・マローが
マッカーシーが行ってきた数々の違法行為と偽証工作を

自身の番組で取り上げ 批判 した所

番組の反響は凄まじく全国でマッカーシー批判が広がり
この一件以降、赤狩り一色だった風潮は転じて

マッカーシズム糾弾 へと向かいます

12月には政府はマッカーシーに 不信任 を突きつけ
こうして憑き物が落ちるように
米国における 赤狩りは終焉 を迎える事になるのでした



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■どうして米国は共産主義を敵視したの?■


米国の共産主義、社会主義に対する嫌悪は
社会主義ベースの民主主義を世界で唯一成し遂げたとも評価される
日本では理解出来ない

民主主義以外を 「異端」 と見なす
極端な資本主義的思想 に起因しているものと
捉える事が出来ます

例えばオリバー・ストーン監督の大ヒット作「ウォール街」の続編
2010年公開の「ウォール・ストリート」では

リーマンショックで世界金融危機に陥った米国で
政府が銀行の金融システムに関与する状況になって行く事に対して

銀行業界のトップ達があたふたとうろたえて
「社会主義が始まる!民主主義はもうおしまいだ!」

と取り乱す場面があり

これを観る限りでも米国人は国が関与する事を極端なまでに嫌い
国が主導する事 を端的に

「社会主義」 と捉える傾向がある事が分かります

オバマ政権の時に国民社会保険の導入を検討し
政府に棄却される事がありましたが

日本人にとってはとても良い制度でも
「自由主義と民主主義」が基本の米国では

フランシス・フォード・コッポラ監督の名作
「レインメーカー」の中で訴えられる極悪保険企業の様な

金儲け目的で病人から搾取をする様な
血も涙もない企業があったとしても

法律に抵触しなければ何をしても「自由」であり

例え人道的に正しい行いをするとしても
それに国が関与する様な事は

「自由が侵害される」=「社会主義」=「悪」なのであり

民間の保険が高額であろうとそれが「保険」という制度であり
加入するもしないも「自己責任」なのが「民主主義」であると

高額保険が「極悪」なら 誰にも選ばれない事で
社会的に自然と「抹殺」されるべきであるという

あくまで「自由」に基づいた
「一人ひとりの意思」を尊重している事が分かります


又、資本主義的民主主義な考えでは
金儲けに成功する事は正しい行為であり「正義」の現れで

「富裕層」は正しい生き方をする正しい行いをする人達であり
「貧困層」は間違った生き方しか出来ない悪い行いをする人種である

という極端な思想がはびこるのも

お金持ちになるのも貧乏になるのも全ては「自己責任」であり
どららの立場を選ぶのも「自由意思」である

「自由」とは良い面ばかりでは無く悪い面だってあるという
それが「自由」の本質でもあると捉えているからだと言えます

これは
「良い」面しかない都合の良いものなど存在しないし
「悪い」面があるからと言って放り出したりせず受け入れる

その様な「自由」の元に社会を作って生きるのが人間らしい姿であり
それが唯一叶うのが「民主主義」である、

の様に

「自由」 である事は 「誤ち」 が起こるのが 「当たり前」
である事を前提にして

皆が望んだ事で犯した「誤ち」が起これば真摯に受け入れて変えて行く

その様に価値観を常に変化させる 「現実的思考」
根付いている現れであり

その様な、唯一無二の人間らしい社会を作っている 「誇り」

米国人を 支えている 事が伺えます


つまり米国はその様な多種多様な考えで国が成り立ち
それによって特定の考えが多数を占めて

国がそちら側へと傾いた時も

正しい行いである事を信じて行動し続ける限り
たとえ過ちを犯したとしても世の中が 自然と正しい方向へと導く のが

「民主主義」 であると 捉えている 事が分かります


故に、国が 唯一の考えで統一 され
国民に選ばれていない世襲によって権力が受け継がれる
一部の特権階級によって成り立つ様な 全体主義 的国家や

国の運営を一部の 「プロ政治家」 委託 して
国民は政治に 無関心 となり

世の中が乱れたら 国のせい にし
自分の子供が公園で怪我をしたら 行政のせい にする

それで世の中が良くなる訳でも何でも無いのに
赤の他人の不倫を「悪」認定して世の中から 抹殺 する

まずは社会があって人が居て自分があると考えて
周りの事を考え災害が起これば整然と行動できる事を
世界の称賛を浴びながら

コロナになってマスクが品薄になると
奪い合う様に購入して店舗の商品棚を空にしたり
善意の配布にも何百もの人間が群がる様に押し寄せて
行き渡らなかった最後尾で怒りで暴れ出した人間が逮捕される様な

浅ましい
裏の顔を持つ

そんな どこかの
社会主義的民主 国家ではなし得ない
という事を信じている現れだと言えるので

その様な 「異端」 な思想が世界を席巻した時は
「人間的な社会」が侵され「誇り」が失われた末に

人としての拠り所となる
「アイデンティティ」 まで失われる 恐怖心 の余り

我を忘れてしまうという事なのかもしれません。



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■移住した順番で階層化した移民問題?■



さて、「クリスタル・スカルの王国」の話に戻りますが

大学を停職になり国から「赤狩り」の対象にされる失望で
国外に出るインディーをハーレーで追いかけてくる元カノの息子と

米国の定食屋にあたる「ダイナー」に入り
KGBの追手を巻く為に始めた騒動で

スカジャン一派と革ジャン一派が真っ二つになって揉める場面では


後にスピルバーグが映画化する「ウエストサイドストーリー」や
コッポラ監督の名作「アウトサイダー」でも描かれた

米国が人種のるつぼである事での 「移民問題」 を背景にした
当時の白人と有色人種による対立を「漫画的」的に描写して

根底にある 「人種差別問題」 「コメディー」 に変換して笑い飛ばす
社会性のあるキレの良いコントとなりました


スカジャンが大学生の白人 富裕層
革ジャンリーゼントが学歴の無い移民 労働層

この2つの層が事あるごとに反目し合いぶつかり合う
貧富の差が 「階層社会」 を生み社会問題となる

当時の世相 が良く描かれていて

この場面はその様な世相をエンタメ化する為に
ダイナーの場面をリアルにでは無く 「風刺画」 的に描写して

当時の世相と米国社会に反発しながら
行き場のない怒りに非行や暴力という形で世の中にぶつけるしかない

当時の激昂する若者を象徴する様な
リーゼント、革ジャンにバイクという元カノの息子と

「赤狩り」の風潮で失墜した米国に嫌気が差していたインディが
そういう 因縁 で行動を共にする様に描かれています



ここで描かれる 移民問題 も日本では良く理解できないので
この場面をもう少しだけ深く捉える事が出来る様に掻い摘んで説明します


米国の移民の歴史は欧州人によるもので

1620年のメイフラワー号での新天地を求めた新教徒が相次いで入植したのが
米国の始まりなので

カトリックの教えを強要される欧州から逃れたという理由からして
自由な社会を求める米国の精神とは「宗教」からの自由がルーツであり

ここから芽生えた精神だと言う事が分かります

ただ、「メイフラワー号」というワードから始めると
「インディアン戦争」やら米英不干渉までの歴史「モンロー宣言」とか

とんでもなく壮大な米国の歴史を語らなければならないので
ゴッソリと端折りますが・・・w

南北戦争やら色々騒乱や変革や戦争を経験して
国としての礎が徐々に盤石なものとなって行きます

そんな頃、
19世紀の後半には欧州の飢饉の影響で食糧難が発生し
米国の豊かな土地を求めてアイルランド系の移民が入植して来ます

やがてイタリア系、ロシア系、ポーランド系の移民も入植して来て
人種のるつぼ米国が形成されて行きます

後期には北米戦争が起きてスペインが敗北した関係で
スペイン領だったプエルトリコが米国の植民地となりますが

このプエルトリコは1950年に独立運動が激化し武力蜂起が起こり
国が乱れた事でアメリカはプエルトリコの安定の為に
「コモンウェルス」と呼ばれる自治領化を認めて経済的独立を推進し

自国で国内生産をまかなえる様に資本を誘致して工業化を進めるのですが

雇用にあぶれた人々が結果として次々と米国に移民する事になります
これが プエルトリコ移民 です


この様に移民として入ってきた様々な国の人々の多くが学も技術も無く
未熟練労働者として働いたためその様な 低所得層 がスラム化して

都市中心部で移民による スラム街 が形成される様になります

この様な 移民 が元から居た欧州系米国人の 職を奪っていく 事に
不満 を感じた事が 「移民差別」 の「核」となって行きます

そうして先輩移民から差別を受けてきた
アイルランド系移民の後に入ってきた

イタリア系移民が次の「差別」の対象となり

次に入ってきたロシア系、ポーランド系、やがて中国系移民も
その次、その又次、その又又次の「差別」の対象となって行きます


最初の後輩移民だったアイルランド系移民は
既に米国での地位を獲得していた為と
後から入ってきた後輩移民の先輩となった事で
「差別」の対象から外れ

次に入って来た後輩移民のイタリア系移民が
先輩のアイルランド系移民の「差別」の対象になって行きます

そうして今度はイタリア系移民が米国内で地位を獲得し
「差別」の対象から外れると

次に入ってきたポーランド系移民が後輩となり・・・といった


これらの移民が米国での入植してきた順番に地位を獲得して行くに連れて
差別からの「一抜け」をしながら
次に入植してきた後輩移民を差別する「差別の連鎖」によって

「移民の階層化」が形成されて行きます

そうして1950年代に移民してきた
最下級生後輩となったプエルトリコ系移民は

既に差別の連鎖から「一抜け」した
アイルランド系、イタリア系、ポーランド系などの上級生移民から
一斉に差別を受ける様になり

自由である筈の国で受ける、いわれのない差別と
「自由の国」とは名ばかりの、かけ離れた階級社会の枠組みに
激昂する事になる訳です


ハリウッド映画を見てもアイルランド系は検事や弁護士などの
知的な職に就く高学歴層として描かれ

主演のシルベスター・スタローンのサクセスストーリーとリンクした
「ロッキー」でも、
イタリア系移民の米国に於ける若干の地位が見て取れる様に

「インディー4」 での1957年という時代に
リーゼントに革ジャンにバイクで低所得層のスラム街で激昂する
ダイナーで富裕層と衝突して怒れる若者となるのは

つまりはそれら移民の最後に入植してきた
プエルトリコ系の移民だと言う事が

分かる訳です





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■本作が「1941」のリベンジである理由とは?■



インディが息子の運転するハーレに同乗する事で
私達は彼らの目線で当時の米国の姿を垣間見て

発展する街並みの影で虐げられる人々が居る事を物ともしない
理不尽の象徴の様な「当局」と一戦交えながら

図書館に乱入した時に「書には真実はない街へ出ろ」と

「レイダース」では大学で講義した時とは真逆の事を
インディが叫ぶ場面があるのですが

コレは純粋に「レイダース」をネタにしたパロディーである事以外に
何か「違和感」の様なものを感じた訳です

このセリフは言い換えると
真の問題とは映画の外で起こっている事であると
示唆しているので

これはスピルバーグがスクリーンを通して
「1941」のリベンジが叶った事を声明した

そんな特別な場面だったのでは無いかと思った訳です


これはどういう事かと言いますと
これは私の・・・ 「私見」 で、根拠はありませんが

1975年公開『ジョーズ』で世に出たスピルバーグは
1977年公開『未知との遭遇』に続く大作として

1979年に
真珠湾攻撃前夜の米国の小さな海辺の街を舞台にしたコメディー
『1941』 を公開します

当時関係者の誰もが企画に難色を示し
出演予定だった大物俳優の
チャールトン・ヘストンやジョン・ウェインが
相次いで病気を理由に出演を拒否し

「非愛国的」とまで言われながら

成功を信じて疑わないスピルバーグは撮影を決行し
映画は公開されます

結果、世界的には大ヒットとなりますが
スピルバーグの思惑とは裏腹に

映画は全米の半分の層に批判され内容的にも叩かれて

国内では制作費にも僅かに満たない
有り体に言えば興行的失敗で幕を閉じます


この映画が失敗した要因は

笑いがスベっていてダメ映画になっている事が
失敗の原因だとしても

真珠湾攻撃からまだ38年しか経っていない当時の米国で
それをネタにコメディーにした映画化であった事自体が
タブーであり

これは2001年9月11日に起こった
アメリカ同時多発テロ事件に対して
「911」というタイトルで
コメディー映画を撮る様なものだと思えば

「タブー」の意味が理解できると思われ
それが最大の失敗の原因だとされて

若くして成功し思い上がっていたスピルバーグがこの件で学び
後にそういう心情も汲める様に謙虚さを覚えたという話でしたが


「1941」の失敗の原因の一つだった「お笑いが苦手」という点は
「レイダース」の成功で克服したので、それは置いておき・・・


もう一つの原因の
「企画そのものが米国ではタブーだった」
という点に付いては

おそらくスピルバーグは「1941」ではやり方を間違ったとは思っていても
タブーネタを笑いにする事は間違っていなかったと

心の底でズット思いながら、
間違ってもそれは絶対クチにはしない様にして

これまで
歴史を知る当事者が事実を突きつけられる事への
「心情」を考慮しながら

米国の黒歴史やタブーを取り上げた
シリアスな映画を撮り続けて来たと思うので


人は 「真実」 によって 心が揺さぶられる という映画のセオリーが
「シリアス」にも「お笑い」にも通じるという事を

何度もこの目で十分すぎる位 確認 してきた所で

今回「お笑い」の場面に米国の黒歴史である
「移民問題」 を取り入れ

インディが元カノ息子にスカジャンの若者を殴らせた事が着火剤となり
ダイナーでスカジャンと革ジャンの層が真っ二つに分かれて
移民問題が爆発するという乱闘場面へと発展する様が

「1941」での兵隊同士の乱闘場面を思わせるものがあった
事からも

「移民問題」という
普通なら笑えない様なデリケートな社会問題をネタにして
それを笑いに転嫁させエンタメ化する事に成功させた
事になるので

スピルバーグ的には「1941」への満を持した リベンジ を行った
のでは無いかという 印象 を持った訳です

根拠としては

スピバーグは過去何度も米国の 「汚点」 とも言える題材を
作品として取り上げてきましたが

その切り口は常に 「これをどう乗り越えるのか」 という問いかけが
「核」 になっていたと言えます


つまりスピルバーグはこれらの 問題は常に
「乗り越えられる」 と思って映画を撮っているのであり

それは「1941」の時に若きスピルバーグが
米国はどんな痛みも必ず乗り越えて 笑い飛ばせる位の力強さ がある

と信じて

周りの 反対を押し切り 映画化した時の
その思い そのものでもあると言えます


そういう「自由の国米国」の「自由」に生きられない
「生きにくい」世の中の時代を舞台にした本作に


「自由の国」と言いながら「タブー」があり
それを「自由」に語れなかった「生きにくかった」

「1941」制作時の若きスピルバーグが叩かれた世の中を投影させて

問題は隠さず外に出す事で乗り越えられるという持論を

若い息子の運転するバイクの後ろにまたがる
年を取ったインディーのセリフに乗せて

長年の鬱憤を晴らす様にスクリーンを通して訴えた
と言う事だったのかも

しれません


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■インディがシルエットで出てくる意味■

ペルーのオレリャーナの墓でKGBに拉致されたインディーが
アマゾンのジャングルまで連行され
テントの中で尋問される場面で

KGBが盗み出したロズウェルの遺体から
クリスタルスカルを抜き出す所で

椅子に縛り付けられたインディーが
薄いカーテン越しからそれを観ている時

インディー越しに
巨大なインディーの シルエット が重なって映し出される
というシーンがありました

このインディーのシルエットは
第一作 『レイダース失われたアーク』 での序盤
マリオンが経営する酒場でも見られ

閉店した店内に訪れるインディーのシルエットが
マリオン越しに映し出されるというのがありました

このインディーのシルエットが
何を意味している のか ですが

これは インディー・ジョーンズの群像 を意味したもので

眼の前に居る「人間インディ」では無くて

考古学者で冒険家で腕っぷしの強いハンサムで男らしい
「ヒーローインディ」の姿を

表したものだと言えます

レイダースでマリオンの後ろに映る
巨大な影となったインディーの場合は

マリオンが10年前の無垢だった頃に 好きだった
ハンサムで男らしくて頭も切れるヒーローインディーが

今もマリオンの中に巨大な影の様に居続けて
心を蝕んでいるという事を表現したもので

実際に映るインディは
締まりの無いニヤけた笑いで登場し

シルエットとなった格好良いインディとは
随分な「ギャップ」を感じる事からも

眼の前の、中年になったインディーから感じる
10年という月日に対しても
マリオンの怒りは収まっていない、
今も現在進行中である事を表現してる事が分かり

その後インディーが求めるアイテムを所有している事に対して
マリオンが尊大な態度でイニシアチブを取るのも

帰り際のインディが 影で黒ずんだ中、眼にだけ光が当たるのも

大学の教授としての人間インディーでは無く
ヒーローインディーにスイッチが入って
マリオンの前に現れた現在のインディーと

マリオンの中で巨大な影となったインディーが重なって
「同化」しているという

昔のインディも今現れたインディーも
マリオンにはどちらも憎悪の対象という意味と

いくらニヤニヤ笑いながら登場してごまかしそうとしても
インディーの師でマリオンの父親の
レイブンウッド教授と仲違いした事が去った理由だったとしても
教授はその後ネパールで亡くなり
父親と同行し一人そこで取り残され
ここを去る費用も無く留まるしか無くなったマリオンを
長年苦しませ続けた過去からは逃れられない
インディーにのしかかる「罪」という意味がある訳です

インディーの光が当たった 「眼」

新たな発見を求めて探求を続ける旅の影で
常に誰かが犠牲になっている
ヒーローインディーの中の人間インディーが感じている
昔も今もインディーを憎悪し続けるマリオンへ向けた

「贖罪」 の現れを表しているものだと言えます

そして『クリスタル・スカルの王国』での
ロズウェルの遺体を観るインディーに重なった
巨大な影は

今や年を取った人間インディすらも持て余す程
巨大なレジェンドとなったヒーローインディーの姿であり

「失われたアーク」や「キリストの聖杯」などのアイテムを
価値ある歴史的遺物として追ってきたのは

「人間」も「ヒーロー」も同じ
インディー・ジョーンズであっても

寄る年波には勝てなくなり
昔は父親ヘンリーを乗せて運転したバイクも
今は逆に息子が運転するバイクの後ろに乗せてもらう身となり
理解できない事は無理に理解に努めず
何かと折り合いを付ける様になった
年を取った現在のインディーと

理解できない事でも真実にたどり着く為に
正面から立ち向かって時には力技で突き破って来た
ヒーローインディーとの

対比を表した場面だと言えます

もう一つは・・・

「レイダース」の冒頭で
当局の職員と学者がアーク探索を依頼する場面があるのですが

とある重要な無線を傍受したと語る蝶ネクタイの職員と
余計な情報を言わない様に時折口をはさみ噛み砕いて説明する
スーツの職員という

細かい心理のやり取りで
場面に緊張感を漂わせてながら

インディーの口から「アーク」というワードが出て
本作の柱となる重要なアイテムの解説に話が移る時

これを追っているんだとばかりに目を輝かせ身を乗り出し
オカルト好きなあのヒトラーが追う程のアイテムだから
絶対に価値のあるものに違いないと語るスーツ男が

一概には信じられないという口調の蝶ネクタイの男を
「それ見ろ、やっぱりあるだろ」という顔で見たり

そうは言ってもそんな雲を掴む様な話で
調査を依頼するのは問題があるのではという顔で

一瞬当局の男の顔を見る蝶ネクタイの男という

見えない心理を演じる二人の役者のやり取りの芝居が
中々良いのは・・・置いておきw

そんな二人の温度差とは別に

アーク捜索には前向きで物凄い歴史的価値を見出していても
アークの奇跡の力を半笑いに語るインディーは

単に価値ある遺物の発掘の旅に出られる事を
喜んでいるだけで

オカルト とか 奇跡の力 とか 宇宙人 とか
全く 信じていない 事がこれで分かります

つまり、もう一つの事というのは

そんなインディーが、毎回これらのアイテムが引き起こす
奇跡の力を 目撃 して来て

今回も宇宙人の死体を目の当たりにして
アイデンティー が揺さぶられて

そんな訳無いとあくまで事実を否定する人間インディーと
これまでも今回もアイデンティティーが揺さぶられ続けている
ヒーローインディーとの

巨大な葛藤
巨大なシルエットによって表現しているものだと言えます


この様な 心理を表現 する為には
通常はセリフにして 芝居 の中に落とし込むのが
基本なのですが

その心理状態が複雑であればある程
表現する セリフも場面も複雑 になり

とうてい子供がついて行ける様なものにはならないので
子供も鑑賞できる痛快アクション映画には
不向き となってしまいます

しかしそういう 場面をカット すればカットしたで
今度は 子供だまし な映画に成り下がる

ジレンマ が起こる訳です


これを 中途半端 にやると
どうなるかと言いますと

2000年に公開された織田裕二主演のアクション映画
『ホワイトアウト』の様に

中村嘉葎雄演じる警察所長の洞察力が
名探偵コナンよりも鋭すぎて
映画では 全編置いてきぼりに されます

ダムを決壊しようと企てるテロリストの目的を一人感知して
大事な捜査資料の地図に
良く分かる様にばーっとお茶をこぼして説明する
余計なパフォーマンスをしてみせる
この名探偵所長の暴走ぶりはまだ序の口で・・・w

それはクライマックスを過ぎた
かつて仲間の石黒賢を救出出来なかった負い目を抱えて
山岳救助隊を続ける織田裕二が
石黒賢のフィアンセ役 松嶋菜々子の巨体を背負いながら
下山して生還するラストの場面で

もう自分が背負って救おうとしているのが松島なのか
過去に遡って救えなかった、石黒賢の方なのか
意識が混乱して分からなくなる位、瀕死で意識を朦朧とさせて
皆に見える位に山の稜線を越えて下山する頃には
すっかり石黒賢を背負っている気持ちになっていて

そんな必死に助け出そうとする織田裕二の姿を見て
中村嘉葎雄は全てを超能力の様に察知して感極まり

「彼は間に合ったっつ!!!(泣)」と
もう誰もこのコナン所長を止める者は無く
一人で場面を持っていき

フィアンセを置き去りにした事をずっと恨んでいた
松嶋菜々子も号泣し と
斜め上の感動を力技で降臨させるという
TV出身の監督若松節朗の執念の演出が炸裂しますが

・・・まあ気持ちは分かりますが、色々端折ってません?
・・・という感じでw

これまでの日本映画には無い
日本人が抱く「ヒーロー像」を描き
ミッション・インポッシブル・シリーズの様な
激しいアクションを主役にした映画を目指しながら

ラストの締めが短い間に盛り込み過ぎで描き足りなくて
観ている方が色々脳内で補完して観なきゃいけないという
余りに映画ファンの善意に甘えた演出過ぎて・・・
ハナから「ポカ~ン」する子供は無視するという
日本が変にアニメの鑑賞年齢層が高い弊害からなのか
こういう事が邦画に良くあるのは良くないなあと思いながら

まあ結構好きな映画ですし
まあ大ヒットしましたし・・・w


そういう 中途半端 が無いハリウッドは
年齢層を下げる場合は徹底的に脚本を見直して

子供がついて行けない 場面は 全カット するので

大金 で制作されたアクション映画に 駄作 が多いのは
年齢層を高い収益が見込まれる10代まで下げて

内容を薄くしている為だと言えます


スピルバーグはこれらを
本編の中でセリフの芝居で扱うのでは無くて
この様な光と影を使った演出で場面の中に 「漂わせる」 事で

目に見えないものを浮かび上がらせながら
エモーショナルな場面として 奥深い印象 を与えるという

スピルバーグの演出の妙を見る思いがありました




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■マックがウインクして大丈夫だと言ったのは?

異次元へのゲートが開いた映画のクライマックスで
異世界人が作った遺跡が動き出して

何もかもが異次元ゲートへ吸い込まれ始めた時
何度もインディーを裏切ってきた元相棒の マック
未だ宝物に執着してかき集ていたのですが

その場所が異次元に吸い込まれはじめて
マックは足を取られうつ伏せのままとなり
動けなくなってしまいます

インディーがムチを投げて掴ませて救い出そうとしますが
その時なぜかマックは ウインクして「大丈夫だ」 といい
笑顔を見せます

周りはどんどんゲートに吸い込まれて
インディーは必死でマックを救おうとしますが

宙に浮いた状態となったマックは
掴まっていたムチから手をパッと離し
異次元に吸い込まれて行ってしまうのでした

という

初めて観た時、 なぜウインクして「大丈夫だ」 と言って
ムチから離した手も、たまらず離したというよりは
自らの意思で手を離して異次元に吸い込まれた様に見えたので

どうしてそんな自殺行為をしたのか
意味が分からなくて
ずっと頭の中に残っていました

映画を観る限りからしても 自業自得 という

ギャンブルで莫大な借金を抱えた末
返済の為親友を裏切り次から次と宿主を変えては
自分の利益を求めてきた
日和見主義な人物の末路と言えますので

その借金に付いて『マジでヤバいんだ』と言っていたので
かなり怖い筋から借用した莫大な額であれば
無事帰還した所で返す金が無ければ

命は無い事は分かっての
「自害」という意味があったとしても

このやり取りって何の時間?と
意味不明で、それだけに頭に残る

スピールバーグ作品にしては珍しくミスリードさせる
奇妙な場面 と言えました

というわけで 改めて検証した所

・・・日本語字幕・吹替では分からなかった
英語のセリフに真意 がある事が分かりましたので

順番に解説したいと思います


■行動から理由を「仮定」■

簡単に言えば「覚悟の自決」なのですが
事の真相はそう単純ではありません

実はスピルバーグはその様な込み入った事情を
少ないセリフと演技とエモい演出で
全てを汲んであの短い場面で見せていたので

チョッと長くなりますが
飛ばして読むと分からなくなるので
順番に読んで行ってください・・・w

さて、

まずこの場面の 「状況」 から見てみますと
ゲートの影響がマックの居る所まで及ぶと
衝撃でマックは足を取られて床に仰向けに倒れます

これはゲートが周りのものを「吸い込んでいる」から
ではありません

これはゲートからの何らかの力が
「重力」として神殿の中に及ぼし
その影響が 地球の重力を越え て強くなった事で

重力値 が大きく変わり

それまで「床」に向かって「下」に働いていた 重力の向き
ゲートからの力が発している
「クリスタルスカルの間(ま)」がある方向に変わって しまい

マックはおろか、その場にある壁も床も柱も宝物も
何もかもその方向に向かって 落下している のであり

それが 「吸い込まれている様に見える」 訳で


なぜマックが立てないのか
インディーが『立て!』では無く『足を使え!』と言っている理由も

これで分かります

という事でまずこの場面のマックの 「行動」

このままではすぐにインディーも周りもろとも
ゲートに向かって落下する事になってしまうので

直前で『ジョーンジー』と
親友だった時の呼び方でインディーに呼びかけ
直前でウインクして「今は親友のマックだ」と合図をして

親友のインディーを巻き込まない意思を伝えて
一人 犠牲 になる事を選んだ のではと

状況的にそういう流れだろうと 「仮定」 して

次にその 「根拠」 を見つける為に
問題の 「セリフ」 を検証してみます


■英語のセリフの中にあった行動の「真意」■

ここでのセリフですが

字幕 では
インディーがマックにムチを投げて 『つかまれ!』
ムチをつかんだマックに向かって 『踏ん張るんだ!』
となっています

するとマックはインディーを親しげに
『ジョーンジー』 と言った後
ウインクして 『大丈夫だ』 と告げると

ムチから手を離してゲートに吸い込まれる

というのが字幕での流れでした

ちなみに 吹替 はもう少し突っ込んだ表現をしていて

『足を使え!俺一人では無理だ!』
と叫ぶインディーに
『ジョーンジー』 と告げて

・・・この後のセリフですが・・・
落ち着いた口調で 『俺なら大丈夫だ』 と言い
ゲートに吸い込まれていく

という

字幕では感じられなかった 意味ありげな口調 が加わっているので
見方によっては、何かの影響で頭がおかしくなっている
様にも取れる場面になっていて

それがますます 意味不明 に感じる訳です

従ってここから考えられる事は

この場面のセリフの真意が
「英語」 だから伝わる事だったとしたら

それを 「日本語」 のセリフで何とか説明したくて
あの様な 意味不明 な状態になった・・・

そんな印象があります


そこでこの場面を「英語」で見てみます

まず最初
マックにムチを投げたインディーの英語のセリフは 『Grab it !』
字幕 『つかめ!』 なので、意味は 同じ だと分かります

その次の
『Use Your Legs, Mac. I can't do it alone !』 ですが
吹替 では
『足を使え!俺一人では無理だ!』
完全な翻訳 になっていましたが

字幕 『踏ん張るんだ!』 では

先程「 吹替版が字幕版より格下? 」の所で語った

観客が画面を観ながら 一目 で読める様にする余り
いろいろ 端折っている のが分かります


そして問題の 日本語字幕『ジョーンジー・・・大丈夫だ』 ですが

英語 のセリフは
『Jonesey! I'm going to be all right.』 となっており

通常 『大丈夫だ』 と訳される 『I'm all right.』 とは
かなり ニュアンスが異なっている 事が分かります


つまりここで注目すべきは 『going to be』


・・・ああこれは『will be』という形にも置き換えられると
学校で散々習った 未来形  というやつだ・・・と

ここで遥か遠き忘却の彼方にある
学生時代を思い出す訳ですw

正にこの「置き換えられる」と習った
昭和の日本の文部省が制定した
「ゆとり教育」よりもタチが悪い
「ザックリ英語教育」 のセイで

大学を出ても英語が話せず、アメリカのマクドナルドでも
『Potato Please』と注文して
『Why?』と言われたという人間を続出させたという
「罪」があると思っているのですが・・・w
それはさておき

そもそも 『will be』 『going to be』

言葉が違う のですから
意味も違う のは明白なわけです


学校では 『will』 「~するつもり、~だろう」 と習いましたが

この訳では意味が「やる気半分」位か
「するつもり~www」という
全くやる気が感じられない言葉としか受け取れません

そもそも 「will」 本来の意味は 強い意思 「即決」
確実にそれをやる意思を 「今」 見せている時に使うので

語っているのは「未来」の事かもしれませんが

それで「未来形」などという「フワッつwww」
とした要素は、実はどこにもありません


『going to be』 の方はもっと熾烈で
既に 「過去」 に決断しているというニュアンスがある時に
使う言葉になり

むしろ「未来形」の要素とは程遠いものがあります

昭和の英語の勉強では、同じ 「医者になる 」を

「I will become a Doctor.」 から
「I'm going to become a Doctor.」 に言い換えられる
みたいに習いましたが

I will は「 、医者になると 決断 した」事に対して
going to は「 ずっと前から 医者になると 決めて いた」事になるので

これらは全く違う意味の言葉なのです

しかも厳密には「未来形」は無いので

「I will を going to be に言い換えよ~w」
などという昭和の英語教育は

とんでも無い話
だった訳です

・・・という、当時の文部省に色々言いたい気持ちは
とりあえず置いておき・・・w

これらの
英語がネイティブでは無い日本人には理解が難しい
「英語の言葉の意味のコア」 に焦点を当てて

改めてここでのセリフを検証してみると


この場面のマックのセリフですが

『I will be all right.』 であれば、
今の状態 に対して言っている事になるので

字幕通り 『俺は大丈夫だ』 になります

しかし 『I'm going to be all right.』 だと
ずっと前 から大丈夫だった事になるので

この場合の 『大丈夫』 とは 何を指している のかが
重要に なって来る事が分かります

つまり 『大丈夫』 なのは 「この後起こる事」 に対してであり
この後自分の身に何が起ころうと『大丈夫だ』と
マックは言っている事になります

更にはそれを「今」思ったのでは無くて
それを 「ずっと前」 から思っていた訳なので

『いつかこんな目に遭うという事はずっと前から分かっていた』
という意味がある事が分かります


つまり、重複しますが
先程「行動から理由を仮定」した所でも語った様に


ギャンブルで莫大な借金を抱えた末
返済の為親友を裏切り次から次と宿主を変えては
自分の利益を求めてきた
日和見主義な人物の末路と言えますので

その借金に付いて『マジでヤバいんだ』とも言っていたので
かなり怖い筋から借用した莫大な額であれば
無事帰還した所で返す金が無ければ

「命は無い」事は分かっていていたとして


同じ「死ぬ」でも
このままでは自分を救おうとして決してムチの手を離さない
親友を巻き込んでしまうので

「親友を巻き込まない」という事なら意味があると考えて
覚悟の 「犠牲」 を選んだという事であれば

この言葉の意味が理解できますし

これをもっとピッタリとハマる言葉に意訳すると
『これでいいんだよ』 となり

インディーを親友だった時の呼び方の『ジョーンジー』と呼んだのも
ウインクして『俺は大丈夫だ』と言った意味も
ムチをつかんでいた手をパッと離した意味も説明出来


長年モヤモヤしてきた事にも
これで納得が得られます


只そうななりますと
「もう一つの可能性」 が出てきまし
てw

同じスピルバーグの映画に
未知の力に招かれて「デビルズタワー」に訪れた主人公が
ETとの遭遇を果たして宇宙に旅立って行く
壮大なSFファンタジー作品の

『未知との遭遇』 というのがあったのですが

この場面もひょっとしたら
同じ意味があったのかもしれないと
思った訳です

つまり、
この時のマックが異世界人の放つ何かを受けて
『未知との遭遇』 の主人公の様に

「異世界が俺を呼んでいる」
クリスタルスカルの異世界人が自分を招いている事を感じて

「おれは大丈夫だ」と言って

どうせ生還しても反社会の連中に殺されるのを待つだけならと
ムチを掴んだ手を離して「死ぬ」のでは無く

異世界人に招かれるままに 異世界に向かって旅立って行った
という事なら

オックスが言っていた「とても大きな贈り物」が
「異世界人の世界へ地球人を招く事」だとして

図らずもマックが選ばれて
ああして旅立って行った

という事かもしれません

そうして 『2001年宇宙の旅』 で 四次元宇宙に旅立って行った
ボウマンの様に、

「神」 となって再びこの宇宙に戻ってくる
かどうかはわかりませんがw


そうなりますと「イリーナ」は不合格で焼け死に
「マック」は合格となり

「当局の軍人」はダメで「詐欺師のスパイ」はOKという

異世界人の判断基準はどうなっているのか
良く分からないものがあります

これに付いては
「東京ディズニーランド」 のアトラクション
『クリスタルスカルの魔宮』 での
クリスタルスカル異世界人の設定 が話題になった事があって

それによりますと異世界人が怒った時のセリフが
「無礼者」「愚か者」「消え失せろ」「不届き者」
4パターンあるそうで

その怒る理由というのが
「(アトラクション中)水で身を清めなかったから」
「(アトラクションの)車のエンジン音で静寂を破ったから」

だそうでw

これが映画に当てはまるかどうかは又別の話として


ともあれ
実は 「かなりの良い場面」 だった事が分かります



因みにこの後ですが
「ロード・オブ・ザ・リング」でエルフ族の高貴な人物
ガラドリエル役を演じた事でも知られる
ケイト・ブランシェット演じるKGBの大佐イリーナが

異世界人の事を知りたくて心にリンクして
異世界人の心を読み始めた時

一人の人間の記憶には収まり切れない膨大な情報と
知りたく無かった驚愕の真実などが

ドッと押し寄せてきて
頭が破裂しそうになった時

イリーナは『もうやめて!』『お願い もう見ないで!』と叫び
吹替では『もういい!』『消して もう消して!』と叫び

字幕では『やめて!』『もうやめて!』
吹替では『もういい!』『見たくない!』
と言った後

突然異世界人が
「んだとーっつ!? お前が見せろって言ったんだろがー!!!」
とガン付けてきてw

異世界人の顔が画面いっぱいにUPになると
イリーナの目から炎が上がり、燃えて無くなってしまう
という壮絶な最後を遂げるのですが

これにしても言語では

『No more!』『Cover it. Cover it.』
『Enough!』『Enough!』

なので

『No more!』が 『もういい!』 は 良いとして

『Cover it. Cover it.』 は「それを覆って」と
自分の意識に入って来ない様に その記憶は隠してくれ
私に見えない様にカバーしてくれ
私には 見せないでくれ と言っている訳なので

吹替の 『もうやめて!』 は、 意訳過ぎ
字幕の『お願い  もう見ないで! 』だと、 意味が逆 になります

最後の
『Enough!』『Enough!』
「(もう)十分だ」 という意味に対して

字幕は 『もういい!』『消して もう消して!』
『Cover it. Cover it.』を 補完 するような意訳になっていますが
話している言葉としての整合性に欠けます

対して吹替の 『もういい!』『見たくない!』
同じ様に 補完する様な意訳になっていて

『Enough!』というセリフが
「拒否」 の意思に対する「十分だ」という
「理由」 を言っている事に対して

『見たくない』 という、本編に無いセリフで 「具体的」 に述べて
肝心の「理由」を 述べてない 所に

翻訳に問題ありという印象があります


この様なチグハグで意味不明な翻訳になる理由は
「セリフを勝手にいじれない」 縛りにあると思われますが

特に吹替翻訳のチグハグさの原因は
吹替脚本家の翻訳にある、というよりは


先程の 『■ 声優交代劇の舞台裏 ■』 の所で語った
また例の 「業界で著名なアジア人責任者」

責任なのだとしたなら


長年インディーの吹き替えを担当してきた
村井國夫をクビにしただけでは飽き足らず

ここでも日本語を蔑ろにする様な日本語版制作をしていたのが
本当なら

イリーナみたいに目から火を吹きだして
怒りが再燃する思いがします・・・w





▲目次へ▲
■神殿の生命体はなぜイリーナを殺したの?■​

クリスタルスカル異世界人の骸骨が祀られている
アケトーの神殿の間(ま)で
クリスタルスカルの生命体が蘇り

この後このイリーナは この生命体に睨まれて
内側から燃えて消えて無くなるのですが

なぜ生命体はイリーナを殺したのかが
映画では明確に描写がされていなくて

分かりづらくなっています

まあ「悪人」だからなんですが・・・w
という訳で、

クリスタルスカルの生命体は
どうしてイリーナを焼き殺したのかを

理由を探ってみます


まず、あの神殿は映画では 遺跡 として
インディー達が来るまで何も機能していませんでしたが
元々はクリスタルスカルの骸骨が祀られた 神殿 だった訳です


遺跡の中には宝物が沢山ありましたが
おそらく「 献上品」 として置かれたものだと思います

そして献上する理由は
当時の人間達が彼らを「神」として崇めていたからだと言えます

あの様な宝物を献上するのは 「奇跡」 を起こしてくれた「御礼」なのか
未知の力に対する 「畏怖」 からか

映画では7000年前ウーガ族が巨大な黄金都市を建設し
道路は舗装され、水道が引かれるなど

ギリシャ時代に確立された技術を
5千年前に先取りして取り入れ、これよって民族は繁栄し

以降、スカルの異世界人は叡智をもたらした「神」として
讃えられて来たという経緯があったとされています

そして16世紀にスペインの探検家オレリャーナが
この都市を求めて探検した時スカルと財宝を持ち去り

途中探検隊全員が謎の死を遂げ
原住民にスカルごと埋葬されたとあり

そのスカルをアケトーの神殿に戻すと
「スカルのパワーが身に宿る」という伝説から

イリーナ達とインディーとの争奪戦となったのが
本作という訳です

そのスカルをオックスが見つけて
アケトーの神殿にスカルを一旦は戻すのですが

「スカルのパワー」が精神を破壊する武器として
「超能力戦争」を夢見たスターリンの様な
時の権力者達の手に渡り

兵器として「悪用」される危機を感じて

オックスは再びスカルをオレリャーナの墓に戻し

スカルのパワーが人間の心を支配するパワーだと信じる
イリーナ達がそれを知って オックスを追い

オックスはイリーナ達に狙われている事を知って
スカルを隠した場所を記した暗号の手紙をマリオンに送り

その手紙を解読して貰おうと息子がインディーと接触し
イリーナ達はマリオンの息子がインディーと接触する所を狙って

互いにスカルの在り処を求めて
最終的に辿り付いたのがアマゾンの失われた都市の
伝説のアケトーの神殿だったという訳です


あの異世界人の生命体は
何体もの椅子に座ったクリスタルスカルの骸骨が
合体して一体になったものでした

イリーナは
「彼らは集合体だ、体は分かれているけれど同じ意識で繋がっている」
と語り
「意識が一つになれば強力なパワーとなる」
と言っていましたので

元はあの様な形で
「分裂」 して存在していた事になります

かつてロズウェルで見つかった宇宙人も
「合体」を目的にアケトーの神殿を目指したのか

クライマックスでスカル達が一つに合体して
一つの肉体になるのは、そういう事なのですが

ではなぜ こんな風に 「分裂」 しているのでしょうか


これは「想像」というかいつもの「妄想」が混じった
ウチの 「解釈」 ですが

多分この異世界人は 「四次元」 的多元宇宙に属する生命体で
3次元のこの宇宙では そのままの姿で存在できない
「全時間的存在」 で、

時間が過去から未来へ一方向に一定の速度でしか進まない
時間が空間を司る3次元宇宙では

どの時間にも存在する多次元世界人は
3次元宇宙では存在を時空の一点で 「点在」 させる必要があり

あの様な 分裂した姿で存在 させたのかもしれません


そうして
一つに合体した途端神殿が崩れて元いた世界に戻って行ったのも
この世界に点在する分身が一つとなる事が

スカルの異世界人の目的だったのでしょう


そしてこの生命体は「分身」しても存在出来る事から
それぞれの体がこの円形に時計的に配置された座席に座って

中心に来た人間の話を聴き 願いを叶え
聞き入れてもらえた人は御礼に 宝物を献上 する
というシステムになっていたのでしょうか

しかし宝物は倉庫化しているので
この生命体は地球の宝に何の価値も見出していない事が分かります

おそらくこの生命体にとっての 価値 あるものとは
人間の 「記憶」 そのものなのではないかと考えられるものがあります

イリーナが生命体とリンクして知識を得ていた事が
何よりの証拠なのですが


では なぜ生命体はイリーナを殺した のか です


先程も触れた
東京ディズニーランドのアトラクション
「クリスタルスカルの魔宮」 の設定では

体を清めないと怒りが下り
やかましい車の騒音でも怒りが下り

という設定があるらしいですw

なので 何かしらの 「無礼」 をした事が
「逆鱗」 に触れた可能性が考えられます


ただオックスの様に 礼儀正しく接すれば
「すばらしい贈り物」もしてくれる様で

その「贈り物」にあたるのが
膨大な知識そのものだった訳です

イリーナはスカルが分裂していた状態では
スカルの異世界人の知識が入って来る事に狂喜乱舞していましたが

合体を始めると苦しみ出しました

つまり、元々スカルは何体にも分裂して存在していた事から
この様な知識の譲渡は一人の人間にするのでは無くて

何人もの人間に「分割」して与えてきた様な
匂いがあります


又、この神殿を良く見ると
願いを叶えてくれる場所という見方以外にも

何人もの審判に囲まれた被告が立つ
裁判所 の様にも見えるものがあります

つまりあの場所は人類に叡智を与える場であると共に
あの時のイリーナの様に
審判の後、有罪が決まれば刑が執行される

人が裁かれる場 でもあったのかもしれません

そもそもアケトーの神殿を立てた民族は
16世紀には既に存在して居なかった訳なので

自滅したのかもしれませんが
「逆鱗」 に触れて滅ばされた様な匂いもあります


あの時のイリーナは「分身」している生命体「単体」から
それぞれ「情報」を得ていましたが

生命体が合体を始めた途端 膨大な情報で頭がパンクして
止めてくれと苦しみ出しました

おおよそ一人の人間が受けるには耐えられない程の
恐ろしい量の 「情報」
巨大な重さを持つ 「真実」 とが

心の中に濁流の様に押し寄せたのだと思います

そしてその中で
時を越えて何千年、ヘタをすれば何万年も存在続けて知り得た

宇宙の 「真理」 を見たのかもしれません

そうしてイリーナは
同時に生まれては消えてを繰り返す、文明の営みや
知識の 「崇高」 の極みや底しれない 「邪悪」 の根源まで
全てにアクセスした末に

「見たくない」 状態になったのでしょうか

それは自分がこれまでやってきた「殺戮」や「悪業」の記憶に重ねられて
いっぺんに白日の元に晒された様な

耐えられない衝撃 だったのかもしれません

一方、イリーナがスカルの生命体にリンク出来たのですから
生命体だって イリーナにリンク 出来る訳です

生命体にアクセスして何万年分もの膨大な情報がドッと押し寄せて
頭がパンクしたイリーナとは違い

大量の情報を何体にも分けて分割保管出来
それらを共有出来るスカルの生命体は

イリーナの記憶から
邪悪な権力者がパワーを悪用しようとしている事の他
イリーナのこれまでの人生に 一瞬でアクセス

イリーナのこれまでしてきた数々の 殺戮や悪業 を知った上で
「お前、悪人か?」と顔を寄せてきたとしたら

そんな悪人が 「すばらしい贈り物」 となった
「異世界人の知識」

誰にも分けもせずに一人で得ようとした事に
生命体の「逆鱗」に触れて

アケトーの民族が滅んだ時の様に

「死刑」 が執行された
という事なのかもしれません



▲目次へ▲
​​ ■SFはインディ映画らしくない理由とは?■ ​​



今回の「異世界人」と「エリア51」が登場する設定は
神秘ミステリーアドベンチャーな本シリーズ的には異色な展開でしたが

これはジョージ・ルーカスに
「レイダース」では謎だらけで終わったラストの「市民ケーン」的倉庫を

本作では「エリア51」の倉庫だったという事にして
そのまま「宇宙人」の遺産を巡る物語にするという構想があったからで

これに付いてはスピルバーグとハリソンが
インディージョーンズらしくないとして反対し

実現するまでには紆余曲折したという経緯があった様です

それがなぜ通ったかと言うのは、

「宇宙人」の設定に難色を示していたスピルバーグを
何とか説得できないかと考えたルーカスが、

ある日良い考えを思いついたとスピルバーグに連絡して来て
「宇宙人では無く異世界人なら良いアイデアだろ~w」と
嬉々として迫ったらしく

それで遂に根負けしたという事らしいですw

なのでラストでグルグル回って帰って行った時に天空に開いたアレは
異次元への扉で

連中の乗り物は「宇宙船」では無く「空間移動船」で
彼らも「宇宙人」では無く別次元に住む「異世界人」ですw


この「異世界人」というSF設定がインディージョーンズらしくないとして
映画ファンに不評を買うのですが

これまで描かれてきた「神の力」や「神秘」はOKで
「宇宙人」はNGというのは

神秘とミステリーとアドベンチャーがインディー映画であって
SFはそうでは無いという線引きがある事を意味しています

実は映画の中でもインディーは「神秘の力」を「迷信」だと考えていて
それは「レイダース」でも「最後の聖戦」でも

セリフとして言及しております

そんなインディが毎回、神の奇跡の様な神秘を間近に見てきて
今回も超能力を持つKGB士官と対峙して

信念が揺れるインディが描かれて来ました

そうして一瞬でも「奇跡ってあるのかも」と思わせる外連味が
インディ映画の醍醐味だったと言えます


CG全盛となった今では「レイダース」のオプチカル合成による特撮場面は
いささか古びた感は否めないものがありますが

「レイダース」のクライマックスとなった「アーク」の奇跡の場面は
劇場で鑑賞した当時は衝撃的で

鑑賞後はショックで軽く怯えていた事を覚えています


これはSF作品が常に
全ての事が「空想」ではあっても「科学」で説明が付く

「理屈」で成り立っている事に
「安堵」して捉える事が出来る性質とは異なり


神秘ミステリーアドベンチャーが
この世に存在する「不思議」をベースにした

「理屈抜き」で成り立ち、信念が揺らぐ「恐れ」に醍醐味がある
「未知への探求」だからだと言えます

つまり
SF作品の持つ「驚異の科学」が「想像力」で成り立ち
それが如何に「実存感」に繋がるかという所に醍醐味があっても

神秘ミステリーアドベンチャーが持つ
「未知」の物に対する「恐怖」と「憧れ」が

冒険活劇の「核」でもある所に

冒険物語のインディージョーンズシリーズには
「神秘ミステリー」が似合う理由があるのだと

言えるのでしょう☆




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Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull

■監督:スティーヴン・スピルバーグ
■脚本:デヴィッド・コープ
■原案:ジョージ・ルーカス/ ジェフ・ナサンソン
■原作:キャラクター創造:ジョージ・ルーカス/ フィリップ・カウフマン
■製作:フランク・マーシャル
■製作総指揮:ジョージ・ルーカス/ キャスリーン・ケネディ
■出演者:ハリソン・フォード/ ケイト・ブランシェット/ カレン・アレン/ シャイア・ラブーフ
イゴール・ジジキン/ レイ・ウィンストン/ ジョン・ハート/ ジム・ブロードベント
■音楽:ジョン・ウィリアムズ
■撮影:ヤヌス・カミンスキー
■編集:マイケル・カーン
■製作会社 :パラマウント映画/ ルーカスフィルム/ ザ・ケネディ/ マーシャル・カンパニー
■配給:パラマウント映画
■公開:アメリカ 2008年5月22日/ 日本 2008年6月21日
■上映時間:122分

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

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スピルバーグが単独プロデュースしたTVドラマって
ほとんどが打ち切りになっているんだよなあ・・・』

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最終更新日  2024年08月29日 19時37分21秒
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