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美しい!花にはない美しさがあるその昔高さたった六センチにも満たない小さな茶入れの壺を献上したおかげで織田信長に国を滅ばされずに安堵された大名がいた付藻茄子茶入(つくもなすちゃいれ)室町の頃中国から渡来したナスビ形の小さな容れ物は限りない人間の所有欲のはざまで歴史を揺り動かしてきた本能寺で奇跡的に生き残った茶入れはその後天下人の手を渡り大坂夏の陣で壊れたものを徳川家康が奈良の名工に修復させた明治の初め三菱財閥の岩崎家が四〇〇円で買い取ったとある今はとある美術館に眠るらしいたかが茶入れではないか と思うけれど今は便利な世の中で検索すればそんなことも一瞬のうちに教えてくれるでも一番感じいったことはそのサイトの資料の最後に書かれていたこと人間が頭の中で作り出すものよりも茄子の実のようにいたるところに見られる天然の美これらに目を向けて感動を覚えなければならないとある俳句そのものではないか
2018.06.06
よく言われる花の一生って なんだろう?開花期の長い花もあるけれどほとんどの花はある時期が来ると花開きほんの短い期間で萎んで散ってゆく桜の花がその代表かもしれない花は表情でいうと 笑顔だそれも ほほ笑み言葉でいうと ありがとうそれは時に人の胸にも花咲くときがある人の胸は限りあるものに哀感を抱く器だほほ笑みや ありがとう ですぐに溢れる壊れやすい小さな器だ
2018.06.03
腕時計をしなくなって久しい懐中時計を持つようになってからだもっともこの懐中時計メールもできれば電話もできる写真も撮れるしテレビも見れる辞書にもなるし百科事典にもなる何よりもネットにつながるもちろん正確な時計にもなる思えば夢のような話である夢のような話ではあるけれど腕時計をしなくなったからといって時が止まるわけではないそれは無慈悲なほどに確実に鋼鉄が錆びるように皆平等に年を召す例外はない
2018.05.31
公園の水栓をひねれば水が出るそれもたいがい飲める水外国の人から見ればサプライズらしい食事処に入ると黙っていてもコップに水がただで出てくるそれも驚きらしいちょっとした小さな公園の水道に飲料不適の札が掛かっていたちょっと気になったのはこの国では飲める水が多いからわざわざ飲めないと断り書きをしているのだろう飲めない水の多い国では当然 この水は飲めますの札が掛かるはず・・・もっとも ただ同然ではないと思うけれど日本人は空気と水と安全はただだと思っていると誰が言ったか知らないけれどなかなか的を得ている
2018.05.28
まるごと かぶりつきたし!夏は冷蔵庫で冷やしたトマトもおいしいけれど本当は畑でもぎたての 青臭いトマトが好き太陽の味がするところで トマトは果物か野菜か?1893年当時のアメリカでは輸入の際に果物への関税がなく、野菜には関税が課せられていた。このため、トマトの輸入業者は、税金がかからないように「果物」と主張。これに対して農務省の役人は「野菜」だと言い張った。両者は一歩も譲らず、さらに果物派には植物学者も加わり、論争はエスカレート。とうとう、米国最高裁判所の判決を仰ぐことになってしまった。判決は「野菜」。裁判長は随分悩んだと思われ、判決文には「トマトはキュウリやカボチャと同じように野菜畑で育てられている野菜である。また、食事中に出されるが、デザートにはならない」と書かれていた。 ―Wikipedia より引用― では スイカは?果物屋で売ってるもんなあ・・・
2018.05.25
自分をほめてやりたい誰かがそう言って流行ったような誰でも 時に自分をほめてやりたい時がある謙遜し自己嫌悪に陥るよりもたまにはそんな自分にこっそり拍手する居酒屋あたりで一人誰にも気兼ねなくお猪口の酒の味をかみしめる時そしてなにはともあれひと仕事終えて風呂の湯にざんぶりと浸かった時ああ今日もよく働けりぺんぺん草 aitu
2018.05.22
それにしても花々のなんと受動的なことよこれから咲き始める紫陽花の花に紫色が多いのは梅雨の時期のうす暗い場所でも蜂や蝶の虫たちにその色が目立つかららしいなんとも健気な話ではないかその場所から動けない植物はどうして動けるように進化しなかったのだろう億年という時間はたっぷりとあったはずなのに雌蕊と雄蕊の距離などたかがしれているのにどうしてわざわざ鳥や虫や風に花粉を運ばせるのだろう分類学上の花の種類は天文学的な数にのぼるらしいそんなにたくさんの花々の中には時に俺のようなひねくれものがいてただ待つだけの生き方に 異を唱えるものがいてもおかしくない花の一億年の歴史を打ち破る決死の覚悟で空に翔び立とうとするものがいるかもしれない俺はそういうものを応援したいひねくれものの突然変異を
2018.05.19
街のスーパースーパー と言ってももちろんスーパーマンではない夜遅くまで駅前のこのスーパーは眩しいほどの明かりを灯して営業している食料品から雑貨 ひと通りの衣類まで憲法第25条ではないけれど最低限度の生活を営む必需品はほぼ揃っている生活が健康で文化的 かは別として金があればなんでも買える時代金がないからといってそこらの公園に大根やじゃがいもを植えるわけにもいかないましてや半年や一年先のことよりも今日明日にひっ迫している者にとってはいくらたくさんの水をあげたとてその成長は腹の足しに間に合わない買物をすませてふとふり返った煌々と輝くスーパーはまさしく街のスーパーマンに見えた
2018.05.16
青梅は寡黙であるあれだけ花の頃はちやほやされたのに緑葉で枝も見えないくらいになると誰も見向きもしないふっと思い出したように枝を探り当てればいつのまにかあちこちに青い実を生している何か話しかけても固い口を一文字 頑固一徹黙り込んでいる旨い梅干しになりそうだ
2018.05.10
人類はずいぶんと花に助けられたらしい花を愛でる心は太古の昔から人の心を進化させたのかもしれない街中を歩けばいたるところに花が植えられている狭いアパートの壁にも鉢が吊るされて色とりどりの菫が咲いていたりする小さな川岸の市の「耕作禁止」の看板をものともせず季節の花が所狭しと植えられていたりする有名な植物園や名のある園地ではお目にかかれない道端のコンクリートの割れ目から黄色いたんぽぽが健気に顔をのぞかせていたりする満開のれんげ畑の横ではたいがいの人がスマホをかざして通る花の美しさよりも限りある命を一生懸命に生きることを花に教わっているような気がする
2018.05.07
空調を止めて窓を開け放つ時期が年に二度ある夏の手前の晩春と 冬の手前の晩秋とそれは家の窓も車の窓も同じことでどちらかといえば窓が開け放つためにあるのを実感するのはやはり 初夏のことが多いつられて心の窓も開きそうな気がする
2018.05.04
先日より座敷の隅っこにそろって鎮座してなさる扇風機たち各部屋に引き取られることもなくコンセントにつながれることもなく季節の優柔不断に翻弄されて並んでいなさるまだまだ春の暑さのような少々の暑さでは使いたくないのだろう先は長いのだカーテンを開けて窓を開けると少し強めの春の風にそれこそファンがそよりと回ったりするふふふふお前たちも早く思いっきり回りたいんだよなあ!人の優柔不断を季節のせいにしてもうすぐ 立夏
2018.05.03
学生の頃ごはんにマヨネーズをかけて食うそういう友達がいたええーっ!と思ったけれどそういう自分は今でも食パンにマヨネーズをはさんで食うのが好きだ食はおもしろい 2018.04.29 読売新聞よみほっと日曜版より
2018.04.30
妻の育てていたバラの花が咲いた淋しかった僕の庭にバラが咲いた♪ バラが咲いた バラが咲いた まっかなバラが 淋しかった 僕の庭に バラが咲いた ♪ バラが咲いた マイク眞木まっかなバラではないけれど淋しかった僕の庭にバラが咲いたそういえば高校の時にアルバイトして 初めて買ったギター指の皮がめくれるくらい よくこの曲練習したなああれから半世紀近く経ってこういう所で思い出すとは思わなかったよ
2018.04.27
いつの写真だろうもう母に尋ねてもあやふやでよくわからないなんのきっかけかこのごろ母は生前整理なるものを始めたまだ少しは元気なうちに身辺の片づけをすると言い出した普通はそうやって古いアルバムのひとつでも見つけようものなら懐かしさにどっぷりと浸りなかなか作業ははかどらないものなのに母はどういうわけか古いアルバムや写真もいらないと言い全て処分すると言ってきかない二十年ほど前に亡くなった父の写真も生き返るわけではないからとあっさりと処分したおそらくこの写真は長男である僕がまだ生まれる前の父と母が結婚したころのものと思われるこの写真だけもらって帰ってきた しがらみや束縛や煩悩にとらわれないで生きるのもいいかもしれない九十になって出家かと母の皺深い顔を見て冗談を飛ばしてきたわははは と入歯をはずした口を大きく開けて母は笑った お前たちに余計なものを残して迷惑かけたくないのじゃと 顔に書いてある近頃 めっきり忘れっぽくなってもいくつになっても息子に気を遣うのだけは煩悩のように心に沁みついている まだまだ出家は難しいかもしれない
2018.04.24
仕方がないよねえその昔土中に埋めた当時最新鋭の水道管さえ半世紀も経てば亀裂が入り水が漏れる道路の陥没にもつながるらしい時 というもののはかなさはなかなかに手強い針金も錆びれば荒縄も腐る
2018.04.20
花は生殖器だという植物学者がいる確かにそうかもしれないけれどそこまで言ってしまっては色気も何もない「種の永続の道具」として自尊心にたとえたフランスの思想家は言うそれは必要であり われわれにとって貴重であり われわれに楽しみを与えてくれるしかしそれは秘めておかねばならないものであると自尊心 ですか確かに
2018.04.17
ハサミのマークがあるけれどハサミで切らなくても手で開けられる缶切りのなくてなんの缶詰かなそんな時代があった今じゃ缶切りがなくても開けられる構造になっている便利な世の中だ蓋を開ける あるいは口を開けるスーパーで寿司を買えば付いてくる小袋に入った醤油やワサビもそのまま手で開けられる密封する技術も技術なら開封する技術もまた技術なりその昔固くなったジャムの瓶の蓋を開けてとよく妻に頼まれたことがあるけれど今ではどうなのだろう男が頼りにされることがだんだんとなくなりつつあるこの社会未婚の女性が多いわけだ
2018.04.15
夜中に爪を切るとおばけが出るぞ小さい頃言われた昔の家の照明の乏しかった時代手元の暗い所で爪を切るとケガをするという戒めも一説にはあるらしい蛇苺もちろん写真の苺ではないいかにも蛇の出そうな所に生えるそのとげとげしい色に毒キノコのような怪しさを感じる実際には無毒であるらしいけれど子供の頃は毒苺と呼んで食べてはいけないと言われたまむしのような蛇の出そうな藪に生えるし食べて腹をこわさないようにとの親の愛情だったのかもしれないフグやキノコのように 部位や種類によっては死に至る猛毒を持つものがある人類の祖先にもそれらを口にして命を落とした者も多数いたのだろう食えるけれど まずいもの食えば死に至るものおびただしい数の犠牲と経験の上に立って見分ける知恵が累々と積み重ねられ現代にいたっている言い伝えられてきた言葉にもそれなりの貴重な裏付けがあるそういうことを昔の長老はよく知っていた後世に伝えねば という強い使命感を持っていたはてさて 平成も終わろうかという昨今何をや伝えん・・・
2018.04.12
このところの世間は元気がない再びのオリンピックや万博の話にも昔ほどの盛り上がりに欠ける通勤電車の中にも大きな揺れに踏ん張れずよろめく人が多くなったような気がする柳のように皆肩を落とし 何かを考えている不安そうにでも柳は強い柳に雪折れなし心を柔軟にし 柳に風と受け流しいつまでも柳の下にどじょうはいないけれど柳腰でがんばろうん?柳腰?いかんこれは女性の細くしなやかな腰つきのことであったそれもまたいいけれど・・・
2018.04.08
「首を洗って待ってろ!」ふた言目にはそう言う上司がいたギロチン刑 斬首刑 古今東西罰として首を刎ねる刑はいろいろとあるとりわけ昔の日本の武士にとっては首は命よりも大事?な時代があった戦に出て敵の大将の首を獲るこれに勝る手柄 誉れはない逆に首をさらわれる屈辱はない本能寺で討たれたという信長の首は結局見つからなかったという光秀が これが信長の首だと天に掲げていたらまたその後の歴史も変わっていたかもしれない戦国時代でなくともこの平成の時代でさえ激しい首切りの嵐が吹き荒れた時代があった昔の上司ではないけれど首を洗って・・・とあまり頻繁に使われると首の価値も半減する大根の青首じゃねえんだから・・・
2018.04.06
ひと仕事終えて外に出るふと 見上げた空にまん丸のお月さまそれだけでなんだか疲れがとれる気がする足を止め しばらく眺めているいつも思うのだこうやって見上げる月は誰にでも公平に見ることができる裕福な人にも そうでない人にも若者も年寄りも 男も女も古代人が目にしたであろう同じ月をこうやって眺めていると狼の遠吠えのように小高い丘に登って思い切り吠えてみたくなるその昔人類も満月の夜 月に向かって吠えていたのではないかと思えてくる「ウウゥウオーーーッ!」
2018.04.02
その昔新選組が あるいは坂本龍馬があるいは尊王攘夷の志士たちが血走った眼で駆け抜けたであろう京の都この地を歩くと狭い路地の暗闇からも天空の彼方からも地の底からも何者かがじっとこちらを見ているような気がするあの「千と千尋の神隠し」の出だしのようなどこかしことなく結界が存在する来た道を忘れてしまいそうな 丑の刻
2018.03.31
娘がここ一週間仕事の企画書の資料作りで毎晩 遅くまでがんばっていた今朝ヒゲを剃ろうと洗面所に行くと娘が化粧をしていた昔に比べると化粧もずいぶんとうまくなった初めはパンダのような顔だったのが親が言うのもなんだけど結構 美人になってきた娘は最後の仕上げに唇に 真赤な紅をひいたひき終わると鏡に向かって「よしっ!」と小さく叫んだ今日がその発表会らしい女性が紅をひくのは何かの覚悟を決めるおまじないにもなっているらしい俺も剃り終わったあごにローションをパチパチ塗って「よしっ!」いってらっしゃい!
2018.03.30
セザンヌの水浴する女性にそれまでの絵画の豊満な女体はあまり見られないなんというか写真を引き伸ばしたようなどこか不自然なひょろりとした肢体が多いセザンヌの絵は何よりも色が美しいと言われる全体の構図のためなら女体の形も犠牲にする春の雨
2018.03.27
「すみません 写真撮っていいですかあ~?」おばあちゃんの耳元で大きな声で問う「こんなばばあを撮ってなにするんけー?」かぶった手ぬぐいの中からのぞく笑った深いしわの顔が勝手にしろと言っている堂々としたものだ腰の曲がったおばあちゃんは横の畑から大根や蕪を引き抜いてきては水で土を洗い落とし 横の棚にのせる道端の無人販売所一ケ100円と書かれた紙の字もうすれその100円を入れる缶かんも赤さびているたわしで洗うしわの手の先から 真っ白な大根が現れる土は落とされ おばあちゃんの手だけが僕の目に残る洗いたてのその大根をいただくことにするありがとう と言ったのは買った僕の方で聞こえたのか聞こえなかったのかおばあちゃんは何も言わずに次の大根を洗っている売れようが売れまいが とんとお構いなしのようだでも放り込んだ空缶の中で 100円玉がこ~ろころころ こころころ心がころがるような音がした
2018.03.24
犬の気まぐれに合わせて散歩するそこの電柱で用足しをするなら主もそこでしばらく待つ今の時期よその家の垣根からはみ出た木蓮が花を咲かせて昨日おととい咲いたかと思うともう花びらが亡骸のように地面に落ちているその花びらにしばし立ち止まると犬は何をしているのだと言わんばかりに首輪でロープを引っ張るどちらが主かわからない
2018.03.21
♪ もしも あの日 あなたに 逢わなければ・・・ ・・・・・・・・・・・・・♪ 芽ばえ 麻丘めぐみ
2018.03.20
いよいよ春本番の気候公園のベンチに腰掛ける人も多くなった笑う顔にも口にも目にも春が来て木の芽のようにほころび始める着る服にも春が来て上着の第一ボタンをはずしてゆく気がつけば長いとばかり思っていた夜がもうすぐ昼とおんなじ長さになる思えば毎年のことなのに転がる地球の丸さを改めて実感する
2018.03.17
昔思春期の頃父と面と向かって話をするのがなんだか照れ臭い時期があった大人になろうとしてまだなりきれない未熟さと父親をひとりの男として見る自分と反抗期って奴だったかもしれない三角形の二辺が平行でどこまでいっても交わらないそんな時期があったでも不思議なことにある時期を過ぎるとこの二辺が少しずつ傾いてきて少し遠いけれど ずっと先に交点ができるようになるそうなればそういう人たちの三角形の内角の和はすべて等しくなる鈍角の人も鋭角の人も直角の人も和すればみな花
2018.03.15
このごろはどこに行っても どこからか温もりのない視線を感じるコンビニでも本屋でも街の交差点でも新しく建ったマンションの入口でも駅の改札口 当然 銀行の周辺等々本人の記憶になくてもしっかりと記録に留めていてくれるもちろん近頃の犯罪捜査上にはなくてはならない味方として大活躍その威力は絶大でも何かしら 見えない不安が ちらちらと脳裏をかすめるのは 私だけかジャージにボサボサ頭で出歩く姿を近所の人に見られる不安ではないそんなことは死んだ嫁はんによく怒られただけのことだ
2018.03.12
梅や桜が咲き出せば 花見の季節人は何故 花見をするのだろう花を見てさまざまのこと思い出す人もいるけれどさまざまのことを思い出すために花見をするわけでもないだろうにたまたま通りがかりの公園の桜の花をしばし立ち寄り眺める人もいるその昔 ドナルド・キーン氏はふと思うどうして日本人は桜の花が好きなのだろう?すぐに散ってしまうのにおそらく日常の煩わしいことをしばし忘れさせ率直に生きていることの喜びを味わえるからではないか何のために生きているのか そんな哲学的なことよりも今 ここに桜の木の下にゐる この国に生まれたという自分が愛おしいのだ限りある命を生きているというのが無意識に嬉しいのだ永遠の命があるなら 誰も花見なぞしないと思うさまざまのこと思い出す桜かな 芭蕉 45歳の作だと云うなぜ我を愛でるかと問ふ桜かな aitu
2018.03.09
ドライブスルー今や流行りでなんでもかんでもドライブスルーファーストフードなど当たり前だし意外にも薬局や本屋 ピザにクリーニング店まである訳あって夜遅く夜食を買いに車で走った牛丼屋店の正面は明るいがドライブスルーの裏手はなんだかうす暗い応対に出た店員のスピーカーからの声もどこか腹の底から絞り出すような心細げな声前後に客はなくテレビ番組の世にも奇妙な物語の雰囲気注文したものを受け取る窓口にまわるともさぼったい男が立っていた口調は非常にバカ丁寧で胸に研修中の札とうとうお化け屋敷のドライブスルーでもできたのかと思ったよ
2018.03.07
こういう時季タンスの中は冬物 春物あわただしくなるもちろん熟練の主婦には慣れたものだろうけれど四季のある国のちょっとした優柔不断の苦悩でも昔から 四季があったからこそこの国に これだけの文化が芽生え根付いたのだろうタンスの中にはいくつもの季節をくぐり抜けてきたその家ならではの歴史があるナフタリンのような懐かしい思い出の匂いもある
2018.03.02
♪・・・・サックスの嘆きを 聴こうじゃないか・・・・東京でひとつ 銀座でひとつ若い二人が誓った夜のほんとの恋の物語 ♪ 銀座の恋の物語
2018.02.26
止まるな春日本列島突つ走れ大きな商業施設の駐車場はへたすると迷子になりそうだ迷子のように右往左往していた春がようやくと腰を据えて走り出す気配春はまず北国からだ雪を解かし氷を割り水のように自由なかたちに心をほぐす 春は迷子のふりをして焦らせてやって来る心憎い奴だ
2018.02.22
小さい頃空を飛ぶ夢を見たことがある鉄腕アトムや鉄人28号のようなジェット推進力ではなく鳥のように両腕を翼にして羽ばたかせるとゆっくりと浮上する羽ばたきを休めるとゆっくりと下降する大空を舞うとんびのような気分だった空からの景色は素晴らしかったけれどまだ飛行機にも乗ったことがない頃でどうして上空からの俯瞰図を夢の中で見ることができたのか不思議だそうやって自分の家の上まで飛んで来ると家の外で父や母や弟や妹が手を振っていた僕はひばりのように急降下してみんなを驚かすようにぎりぎりまで地面近くまで滑空しブルーインパルスのように再浮上したみんな笑っていた 喜んでいたなぜ 空を飛ぶ夢を見たのか今思うとひとつだけ思い当たることがあるその頃の我家は暗い出来事が続いてみんな同じ家の中の空間にいて気まずい雰囲気だった家族から笑いが消えて 何かが壊れかけていた幼いながら みんなをまた以前のように笑わせたくて よろこばせたくてそんな夢をみたのでは・・・と思う
2018.02.18
京都市立芸術大学作品展時にはこういうものも観覧せねばと将来の大家の作品を目の前にしているかもしれないしといってもなかなかに芸術は理解が難しいひと通り観て回って自分の感覚にピンと来たものがあるところにもう一度戻る何故ピンと来たのかは分からない自分を信じるしかないな下の娘の作品は 後回しとして
2018.02.12
この頃は流されやすくなった歳のせいだとは思いたくないけれど通す意見が折れやすくなった妥協というわけでもないのにあとひと山という所で息が上がってしまう急流を流れてきて少し澱んだところでひと息つくような登って来た小さな坂の頂で少し満足して振り返るような運命の流れに身をまかすのは気楽でいい怪しげに愉しんでいるようにも見えるたどり着くのがどこか分かればいいけれどまだまだずっと先なのかそれとも今日か 明日のことなのか人生の愚痴を言い出すと止まらないああ やっぱり歳のせいだ
2018.02.09
♪ おしくらまんじゅう~ おされてなくな ♪ ♪ おしくらまんじゅう~ おされてなくな ♪近頃は見かけなくなったなあ!部屋には暖房がきいてるしペタペタ貼るカイロもあるし服はいくらでも重ね着できるしなああったまる方法はいくらでもあるんやなあ 今は
2018.02.06
世の中にはまことに人を食ったような話がある「先生! 健康の秘訣はなんですか?」と言う記者の質問に「人を食うことだ」と答えた吉田茂元首相の逸話まことに 人を食ったような話ですなあ!
2018.02.03
吸血鬼が無性に人間の生血を欲するように時折無性に肉が食いたくなる身体の新陳代謝の何かが不足しているのだろうそうかと思うと牛のように野菜をむしゃむしゃと食いたくなる時もある少々酸味系のドレッシングをたっぷりとかけて田中邦衛のように顔をしかめながら明日は立春 日曜日暦の上ではと前置きを置いて月曜日のどこやらの朝礼でも引用されるのだろう現実はまだまだあちこちで雪は降るは氷点下の毎日吸血鬼のように春の日射しをたっぷりと浴びて早く身を焦がしたいものだ
2018.02.03
「ちくしょう」と「この野郎」を言わせれば一番絵になる俳優がいた渥美清渥美清といえばなんといっても「男はつらいよ」の寅さんであるけれども僕はその前の「泣いてたまるか」というテレビドラマが妙に記憶に残っている一話完結のまだ白黒画面だったような気がする渥美清の演じる主人公は トラックの運転手だったり建築作業員 養豚場の人夫 プロ野球の審判員そして しがないサラリーマンだったりする社会の底辺で泥臭く一生懸命に生きる笑うに笑えない人たちの哀感を見事に演じていた我が家にもやっとテレビがやってきた時代である♪ 空が泣いたら雨になる 山が泣くときゃ水が出る おれが泣いても なんにも出ない ♪この主題歌と渥美清の「ちくしょう この野郎!」というセリフを聞くたびに子供心に 泣いてたまるか 負けてたまるか という気概がふつふつと湧いたものだその「泣いてたまるか」がDVD版で復刻され本屋に並んでいるのを先日見つけた思わず懐かしさに胸がいっぱいになったけれどもなぜか今になってもう一度見たいとは思わない昔のまだ若かりし頃に見たからよかったのであって十分 年月を踏んできた今見てもあの頃の感動はおそらく伝わってこないだろうと思うむしろあの頃にふくらませた風船をなんだかわざわざパチンと自分の手で割ってしまうような気がするのである
2018.01.31
言葉とは なんぞや?国会でヤジを飛ばし辞任に追い込まれた副大臣大相撲の栃ノ心の優勝インタビュー日本語の分からぬまま角界に入りある意味 日本人よりも日本的に響く言葉使い慣れた言葉とよくよく噛みしめて発する言葉とあやとやら ニュアンスとやら 重みとやらなかなかに厄介な代物ではあるけれどやはり日頃から意識して如何に言葉を大切にしているかの差かもしれない 粗末に扱うと大いなるしっぺ返しが返ってくるのは何も言葉だけではないけれど・・・
2018.01.28
場末のトイレにも近頃は自動給水が普及している蛇口の下に手をかざせば自動的に水が出てくる確かに衛生的で特にトイレなどにはもってこいだと出始めの頃は誠に感心したものであるところがそういうものばかりが増えてくると自分はそんなに潔癖症でもないのにたまたま古いタイプの手動式の蛇口に出会うとコックを触る指にちょっと躊躇する自分がいることに気付くあれはなんだろう昔はどうってことなかったのに確かに衛生的ではあるけれど雑菌に侵される心配も減るけれどなんだかそれだけ身体がひ弱になるようなたくましさがなくなるような気がする気のせいか
2018.01.25
厳寒に立つ裸木のその枝の先にはよく見ると過去はなく未来ばかりがある拳を握って何かをじっと待っている
2018.01.20
調理などで使うラップラップフィルムの略らしい巻くこと 包むこと 服をまとうという意味らしい昔はなかった野菜など新鮮に保存できるし熱にも強い便利品のひとつだ恋人の付き合い初めの頃の新鮮な恋心もラップ保存できたらいいのにその時交された愛の言葉もラップできたらいいのに年月が過ぎ喧嘩ばかりの二人の間に開けてみるのもいいそこらあたりで見つけたほんの小さな幸せをいつも大事にしている人がいるきっと心にラップを常備しているのだろうどこに売っているのだろう
2018.01.17
小学生の頃夏草の茂る原っぱで弟とふたりで1メートルくらいの深さの穴を掘ったことがあるそれから先は水が湧きだしてきて掘れなかった何のために掘ったのかは覚えていなくてもあの時の胸のワクワク感は今でもこの老胸に残っている時々昔のように何もかも忘れてただひたすらに穴を掘ってみたい時があるでも大人になってそういうことをするとたいがいは不審がられる 大人になるとひとつやふたつ心に秘密のブラックホールを持っているきっと覗かれるような気がするのだろう
2018.01.14
♪しらかば~ あおぞら みなみかぜ~♪北国の春の歌近くの神社の戎祭に行ってきた十日戎の夜には境内に小さな舞台をこしらえてちょっとした歌謡ショーが始まる始まって二曲目くらいにこの歌そのイントロが始まったとき胸のあたりが急に熱くなり目に涙がにじんだそれも無意識のうちにだ脳裏にふっと亡き父の顔が浮かんだのだもう亡くなって二十年にもなるというのに自分でもおどろいた父が元気だったころは年に一度正月だけ隣近所の了解をもらって家族や親類が集まってカラオケ大会をやった酔いもまわってくるとみんなが次々と好きな歌を大きな声で歌った父はあまり歌わなかったけれど一曲だけ この北国の春をのどの奥が見えるほど大きな口を開けて歌ったその情景が鮮やかに脳裏に浮かんだのだ名も知らない女性歌手だったけれど着物を着て歌う彼女の舞台を囲んだ人たちの表情はどれもなんとも言えないたおやかな顔をしていた中には僕と同じように涙ぐんでいるような人もいた♪あのふるさとへ かえろかな かえろかな♪誰もが持つこころのふるさとを思い出しているような顔が寒夜の御神燈に並んでいたまさにえびす顔だった
2018.01.11
「検索」という言葉昔はあまり使っていなかったようなこのごろは辞書も売れているのだろうか若い頃は何かといえば辞書を引いたものだけど書籍さえ今は電子化の時代指先一本で調べたいことを知ることができる学校の先生や村の長老やましてや親に訊きにいかなくても教えてくれるものが手の平にある料理のレシピさえ台所にタブレットでも立てかけていれば多種多様の料理をとりあえずは作ることができるもう姑から嫁へというルートが廃れつつあるたまに辞書を引くとその手触りにおふくろの味のようなそこはかとない郷愁を感じるのは私だけか
2018.01.08
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