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八幡宮の上りは表参道から来た頂上から京の都も見えるその昔多くの兵どもが目指した都こうやってこの山の上に立ちやっとたどり着いた初めての都をいよいよだと遠くから眺めた武将もいたのだろう帰りの裏参道は鬱蒼とした暗い中に孟宗竹の軍勢が立ちはだかっていた「かかれーっ!」猛者揃いの軍団が大将のひと声だけで今にも襲いかかってきそうだ参道を一人下りる石段の竹落葉踏めば歴史の軋む音がする竹林の奥の方からじっと誰かに見詰められているような気がする傍らに苔むした石燈籠がある今夜も人知れず夢の跡を照らすのだろうか 京都 石清水八幡宮 男山
2018.01.06
昔から夜の神社は怖かった畑の向こうの鎮守の杜に提灯の灯りが狐火のようにぽつんと見えて行きたくないのに連れて行かれそうな気がした元日も夜になると人も少ない昨夜のにぎやかさがうそのよう今夜は酔いの力も手伝って近くの神社に足を運んだ思いのほか静かだった夜店の屋台もみんなシートでくるまれ御神燈のあかりにうす暗く照らされていた足下の砂利の音がいつのまにか子供の頃の足音になっているあの頃の狐火がやっとのことでここまで連れて来てくれたような気がする
2018.01.01
京都大原三千院昔「女ひとり」の歌がはやった大原女(おはらめ)装束は今では観光用でしか見られないけれど僕はこの庭園のわらべ地蔵が好きだわざわざこのわらべ地蔵を見に来る人もいる拝まれて思わずこちらも手を合わせたくなるその昔恋に疲れた女もさぞや癒やされたことだろう
2017.12.29
割れた窓をいつまでもほったらかしにしているとそのうち他の窓も割られやすくなりしまいには重大な犯罪につながる恐れがあるという理論軽犯罪を厳しく取り締まれば大きな犯罪への抑止力になるニューヨークかどこかの市長が取り組んで実績をあげたこともあるゴミだらけの所にはゴミを捨てられやすい塵ひとつないきれいな場所は人は汚しにくいという心理らしいそれでか近頃のコンビニやスーパーやレストランのトイレに行くとめっちゃきれいなところが多いおまけにたいがい同じような文言が貼られている「いつもきれいにご使用いただきありがとうございます」俺だけなのかこれってちょっとどっかひっかかるんだよなあ俺の行きつけの居酒屋の男子トイレには「はい しっかりつかんでもっと前へ!」店長という張り紙ちなみにここの店長は女性である割れ窓理論とは無縁である
2017.12.25
寒い朝近くの工務店のおじさんたちがドラム缶に木切れを入れて火を燃している火も風も雨も波も日光もそこそこのものならたいてい心地よい火事も台風も豪雨も津波も干ばつも度を超すものは願い下げとなる旅人の上着を脱がせるのは北風より太陽かもしれないけれどせいぜいそこまでだぎんぎんに冷え込んだ冬の日焚火の炎にあたるとそれだけで涙がにじむなぜだろう
2017.12.21
やってきました鍋の季節寒い日にみんなで鍋を囲む湯気がほんわりとたちのぼって心までほんわかとなる夏のバーベキューとはまた異なった一体感がある鍋はこの「みんなで」という所に良さがある独身の頃 そうだったけれど一人で鍋をやっても なんだかみじめさが漂う一人用の鍋も売っているけれどあれはせいぜい湯豆腐だね外国人にはみんなの箸を同じ鍋につっこむというところに抵抗を感じる人もいるらしい文化と国民性の違いなのだろう鍋はあまり外国人には似合わないような気がする年老いたジジ ババが孫に「熱いよ 熱いよ」と言ってやけどしないように気を遣い妻は気忙しく具を放り込んで 亭主は熱燗で顔を紅く染め面白話にみんなが笑い つられて鍋もグツグツと笑うそうやって寒く長い夜が更けてゆくこんなの幸せって言わなくてなんて言うんだいそのうちジジ ババは旅立ち 子供たちも巣立って行く土鍋が戸棚から出てくることも少なくなる気がつかないだけで幸せはそこらじゅうにころがっている家の戸棚の中にはそういったものがいっぱい沁み込んでいるだからみんな使わなくなっても捨てきれないでいる
2017.12.18
柿の枝は折れやすい という子供のころその柿の木から落ちた身が 人ごとのように言う折れた枝先で負った腹の傷が 今もへその横にうすく走る切腹の傷痕だと冗談で言ってきた子供のころの柿の木はもっと高かったように思う自分が小さかったからかもしれないこれからの季節 柿の実もなくなれば衰えた裸木に老いの幹や枝ばかり晒して一見 死にかけの枯木に見えるそこから春になるとまた若葉が芽を出してくるどこにそんなエネルギーがあるのだろう俺も負けてられない死にきれなかった切腹の痕ではないひもじさに登った空腹の思い出に過ぎない生きるために残った傷痕である大袈裟だけど・・・
2017.12.14
ほおぉ~っ!テレビの番組欄新聞を広げるとびっしりと一週間分の番組表が現れたそうでなくとも情報量の過多な時代ほおぉ~っ!言葉が出なかったみな誰かが視聴しているのだろうか各々の番組にはそれなりに必死で企画を考えプレゼンをして神経をすり減らして格闘している人たちがいるのだろう報われるものがあればいいけれど視聴率という悪魔にふり回される天使がかわいそうだ
2017.12.11
若い頃の情熱や意欲は如何ほどのものだったのだろう今はもうそれもしぼんでしまって胸のどこかに小さな穴でも開いているのか絆創膏でも貼るしかあるまい年をとると血圧計と心の圧力計が必要だ
2017.12.09
器が好きである春ときけば春の夏ときけば夏の秋ときけば秋の冬ときけば冬のそれぞれにそれぞれの器を用意してきたこの国の人々それぞれに区切りはあるけれどどこかにそれらしきことを自ずから進んで発見し適応する四季のあるこの国に暮らす人々の感性かもしれない来るものに抗わず往くものを追わずしてそのものをそのままに受け入れる器をいくつも懐に忍ばせているこの国に咲く花々さえ人の心を注ぐ器をそれぞれに持っているような気がするそしてそれはいつもあったかいところでお前さんは何のために生きているのだ何のために生まれてきたのだ花に問われそうな気がする皿のような器を笑われそうな気がする
2017.12.08
用水路は時にその水底をさらけ出す子供用の三輪車や壊れた椅子が沈んでいたりするこの籠も誰かに編まれたころはピカピカの新品だったのに使い込まれてそのうち要らなくなったのだろう水が満々のころはいいけれど目にしてしまえばそれは物の哀れさをさらけ出す人の哀れさをさらけ出す時の流れは水の流れのように後戻りできないだからいいのかもしれない
2017.12.03
戦争中青い目の人形の多くが焼かれた我が家にも西洋人形がくることはほとんどなかった今でも人形といえば日本人形が多い野口雨情の童謡とは直接には関係ないけれども人形にまで人種差別の時代があった ♪ やさしい日本の嬢ちゃんよ 仲よく遊んでやっとくれ 仲よく遊んでやっとくれ ♪雨情は戦争のもっともっと前からそう歌っていた
2017.11.29
月を撮る今日は少し仕事が遅くなり疲れて帰ったPCに向かうのもおっくうだ少々の酒と晩飯を食い雨戸を閉めようと空を見る雲のない夜の空にきれいなお月さまコップ酒を手に庭に下り椅子に腰かけるやおら三脚を広げてカメラを据えるファインダーを覗き焦点を合わすいつもの月の素顔だでも 今夜の月はなかなかシャッターを押させてくれないズームにしたりワイドにしたりカメラを望遠鏡代わりにしてそれこそ月を覗き見している覗き見の快感ではなく美しさの感傷に心が癒やされる人が写真を撮るのはアルバムや心の備忘録のためではなくその時その時の自分を真っ白な心の台紙に正直に貼り付けるためなのかもしれない今夜の僕の心の台紙は真っ黒なので月もなおさらきれいに見えたのだろうやっとこさ 最後の最後にシャッターを押した夜のしじまに月にも届きそうな澄んだ音がした
2017.11.26
日本ほど、客のニーズに敏感な国はないなあ、と思いつつ自動販売機にコインを入れる。ここにきての急激な冷え込み。あったか~い、という文字に連れ込まれたわけではないけれど、缶コーヒーのぬくさだけでも恋しくなる寒さ。まだあたたかいのは置いてないだろうな、と思いながら覗き込むと、へぇ~、冷たい青に混ざってもう赤いのも売っていた。たいしたもんだ。下の取り出し口から取り出そうと手を入れる。ん? 指先が冷たい。あれっ? ボタン押し間違ったかな?こんな日に冷たいコーヒーなんか飲みたかねぇ、ともう一度コインを入れて赤のボタンを押す。また冷えた奴が出てきた。おいおい、ちょっとほめてやりゃこれだもんなぁ。もういらんわと、ズボンの両ポッケに突っ込んで帰って来た。冷たいカイロを買わされたようなもんだ。蹴とばされんかっただけでも、運がよかったと思え、自動販売機。帰ってチンして飲んでやらぁ~。
2017.11.24
人には得手不得手がある国語ができなくても字の上手な奴数学などてんでだめでも暗算のすごい奴英語のテストなどちんぷんかんぷんでも外国人とは身振り手振りですぐにうちとける奴いつも何をやるにものろまでトトロの真っ黒くろすけにかけて真っ黒のろすけと揶揄されながらも水の中に入れば魚のように速く泳ぐ奴いろんな奴がいたいかにもワルに見える少年が電車の席を譲ったり強面の兄ちゃんがコンビニのドアを開けて先に入れてくれたりする履歴書の特技の欄に何も書くことがないと娘が嘆いているお前はいつも声が大きくてよく笑って まわりを明るくするどんな時もくよくよしない病気をしない家族や友達や二人のばあちゃんの誕生日を忘れたことがないうらやましい所がいっぱいあるじゃねえか
2017.11.21
相撲はスポーツではない と思うどちらかというと歌舞伎のような伝統文化の色合いが濃くて閉鎖的な限られた人数の中での勝負の世界だ心も情もある人間の世界だそういう中にあって相撲界の外国人力士の日本語のうまさには驚かされるあ~う~としか言わない日本人力士よりも聞き取りやすい時があるプロ野球の外国人選手など何年たっても通訳が要る日本人にとっても異質な相撲界に外国生まれの人が入門し出世してくる国は違えど 同じ人間として見ればちょっとやそっとの努力では成し遂げられない精神的な強さに惹かれる当然 応援もしたくなる相撲が国際化されるのではなく彼らが日本人化するような気がするそして今回の暴行事件横綱とは何か?心も情もある人間の世界でどこか神格化されたような存在相撲は世界でも最も民主的な競技だと言われている体重制限や区域での差身分の差人種の差などがあるわけではなく男であれば誰でも横綱に挑戦する機会が与えられている至極至難の業ではあるけれど・・・この国の伝統文化としての相撲を贔屓の関取や毎場所の取組みだけでなく取組みによる行司の違い 所作 装束の色の違いや形式の意味決まり手の数や種類 元々の相撲の成り立ちにまで思いを馳せて異なる視点から見ると もっともっと相撲も面白くなると思うそして できるなら実際に仲間内ででも相撲を取ってみることだと思う数分もすれば額に汗がにじんでくる遠き時代に豊作を祈って始まった農耕民族の相撲への思いがひしと伝わってくるかもしれない 写真は2017.11.18読売新聞朝刊より
2017.11.18
この時季林道を歩くと足の裏に カサコソ と誰かの噂でもしているような内緒話が聞こえてくるなになに とまた俺の悪口かと立ち止まるとふいに黙り込んでしまうそして俺が歩き出すのをじっと待っている
2017.11.16
なかなかに出口の見つからない日本経済世界に類をみないほどの経済発展を成し遂げた国が世界に類をみないほどの速さで少子高齢化の社会に突き進んでいる年金問題 福祉問題 環境問題 安全保障問題 原子力問題 憲法問題 財政問題・・・なかなかに出口の見つからない迷路をこの国の政治家連中も同じようにあっちだこっちだと自信をなくした目をして彷徨っている
2017.11.13
気心の知れた者同士わいわいと飲む酒仕事仲間と飲む酒接待で飲む酒冠婚葬祭で飲む酒酒にもいろいろとあるけれど時には一人で飲みたい酒もある塩焼きのさんまお前はどこで獲れたのだ俺は遠く九州の南の果てでとれた何十億分の一の俺の前にもうひとつの宇宙といわれる海からやってきたお前何かの縁を感じずにはおれないこれもひとりで飲むからお前と対峙できるひとりでも話すことはいくらでもあるさんま秋刀魚 と書くお前のおかげで日本人に生まれてよかったとつくづく思う
2017.11.11
ここらあたりですこし立ち止まってみるのもいいかもしれない。
2017.11.08
ふらふらと思い出したように飛んではすぐに着地する羽音も力がないなんだかどこかに死に場所を求めて彷徨っているようで他人事(?)ではない哀れさが漂ふ
2017.11.06
「ううっ さぶっ!」毛布の中でまる虫のようにちぢこまっていたなんだこの寒さはフローリングの床が冷たい毎年この時季はいつも後手に回されるいつまでも夏の残影に惑わされ空が澄んで高くなっても道端に秋の草花が咲いてもどこかでまだ疑いの眼差しを向けている風邪のひとつでもひいてからやっと掛布団をひとつ増やそうとするあわててタンスの中身も入れ替わるその頃には もう前方に次の季節の背中が見えていたりするあと三日もすれば立冬今年ももうあと残り二か月早いもんだ
2017.11.04
夜景が好きだ といっても 六甲山のてっぺんから眺める 百万ドルの夜景ではなく どこにでもあるような 一軒家の窓灯りであったり ずらりと並んだ同じ形の窓枠から洩れる 命のともしびだったりする 恋すれば 君住む家の灯りだけでも 遠くから ただぼうっと眺めていたくなる 恋すれば そんな 君住む街が好きになる そうやって、 眺めた昔が懐かしい
2017.11.03
一隅を照らす日によっていろんな面相に見えるこちらの心が見透かされている
2017.11.02
小さな子供をいっしょに精米機に連れてきている親子がいたコインを入れれば米は機械から産まれてくるものと子供は思いはしないかま 学校の課外授業などで田んぼに出たり稲刈りをしたりすることもあるだろうから年寄りの余計なお世話なのかもしれないけれど
2017.10.29
わたし どこか変?みんなジロジロ見るから。 ちっとも変じゃないよ! ここが君の生まれ育った所だからね。 かがやいて見えるよ!
2017.10.27
服屋のコンビニ。よくあるコンビニと違ってちょっと接客態度が仰々しい。そこは服屋のこと。折り目正しく教育されているのかもしれない。
2017.10.27
明日は 我が身かな?
2017.10.26
春の夜やスコッチ含む口軽しはるのよやスコッチふくむくちがろしこれは と思って撮った写真はこれは と思った時に使わないとあとで そのうちにと思っていると何でもない平凡な一枚になりさがってしまうことが多い逆に何気なく撮った写真が後で思わぬ展開に結びつくこともあるけれど大方の撮りだめの写真はパソコンやメモリーの肥やしになっていることが多いあってもなくてもいいような男の乳首みたいなもんだあったことさえ忘れているときがある川の水が減って普段目にすることのない岩が見え隠れする別にどうの という訳ではないいつかの台風や大水の時にどこからか流されてきたのだろう誰に決められたのでもなくその場所に居座ってどれくらいになるのだろうまた水が増えて見えなくなるとそのうちこの岩のあったことなど忘れてしまう僕の場合これは と思った時には見えない何かを心の中で感じているのかもしれないそれが写真にのり移っていないものがおそらく小さな半導体の肥やしになるのだろう何も肥やしが悪いと言っているわけではない芽が出ないだけのことである休日の前の晩酌も飲み過ぎると キーをたたく指先が軽くなっていけない
2017.05.28
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