南ドイツ 小さな谷の旋律

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February 23, 2012
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あれは中学校か高校の国語の教科書だったと思う。

植村直己氏の単独での犬ぞりで北極点踏破の手記の一部だったような気もするんだけど、詳しいことはほとんど覚えていない。

とにっかう、たった一人、犬ぞりで極寒の地を横断した男の話だった。

水面の上の、厚さの足りなさそうな氷の上を通過しなくてはならない。

そこを避けようと思うと、大幅に遠回りをしなければならないくて、食料の関係か、天候の関係か、体力の関係かで、それは無理と判断する。

一か八か、思い切って、そこを通過することにする。

運を天に任せ、ソリは犬に任せ、振り落とされないように体をソリに沈めて、犬を走らせる。

突然犬の足が止まり、恐る恐る目を開いて回りを見てみると、危険な場所はとうに通り過ぎていた。

ソリを引いていた犬たちは、司令塔が何もしないので立ち止まって、一息ついてリラックスしているような雰囲気さえあった。

あくまでも、私の記憶の中では。

そうか、犬ってやつは、その足の裏で直接氷の厚さを感じており、危険な場所には近づかないんだ。

というような内容だったと思う。

文明生活の中で感覚を鈍らせてしまった人間と違って、犬って、動物の感覚ってスゴイんだなあ、大自然の中で生き抜く能力なんだなあと、心のそこから尊敬の念を抱いた。




我が家のワン子は、寒さに強い。

北方系の犬の血が入っていると見え、毛自体は細くて柔らかいけれど、ダブルコートでびっしりと生えている。

雪が降れば、文字通り大喜びして走りまわるし、

雪も降らないような冷え込みの時でも元気いっぱい。

-9℃の日だって、いつもと変わらず平気な顔をして小川に入り、水を飲んだりする。

水から上がってきて、数歩歩いてから、ふと立ち止まって「なんか足冷たいんだけどっ」って顔をしたりする。


今年は、1月も2月もやけに温かくて、雪はほとんど降らず、このまま春になるのかと誰もが思っていた。


そんな、2月末、突如として寒波が訪れた。

気温は毎日下がり続け、先週は12℃くらいあったのに、1週間後には-14℃くらいまで下がった。


途端に、小川の岸がバッチリと氷ついた

氷で流れが狭まるために、水が溢れてレベルの低い牧草地がまたガビガビに凍った

岸の凍りが徐々に流れの中心に向かって広がっていき、流れの上で屋根のように凍った。

水が氷のトンネルの下を流れていて、所々で顔を出している。

そうして流れが狭まっているせいか、いつもよりも水流が激しく、勢い良くゴオゴオ流れている。


そうでなくても小川の大好きなワン子は、凍りついた池や水しぶきが凍っている小川の岸にも興味津々。

氷の屋根の縁近くまで行って流れを覗き込んだりしていた。


氷を踏み外して水に落ちて、流されて、トンネル部分に引っかかったりしたらいくら犬でも溺れるなと、少し不安を感じた。

が、まあ、犬だから危険なところには行かないだろうとたかをくくっていた。


雪が降った山の山頂付近や霜が降りて白くなっている農地の景色は美しくて、ワン子がはしゃいで小川の岸をタカタカ歩きまわっているのを横目で追いながら、冬景色に見とれて歩いていた。

すると、ザザッという不穏な音と同時に、目の端で捉えていたワン子が一瞬で姿を消した


落ちた!びっくり


驚いて、名前を叫びながら駆け寄った。

でも、姿が見えない。

必死で名前を叫んでいるのに、返事もしない(いや、普段でも返事はしないけど)

直感で、その先の下に居ると思い、もう一歩足を踏み出した。


ら、体が50cmくらい一気に沈み、小川の流れの中に立っていた


もしも流されて、奥の方で引っかかってたら、どうやって助けたらいいんだろう、

水流に飲まれていたら早く助けないと溺れちゃうと、

嫌な想像が驚くべき速さで頭の中を駆け巡る。


急いで、ココだと思う氷のひさしの下を覗いてみると、

ワン子がひさしの下で流れを避けて立っていた。

体が半分濡れて、ショックで(?)呆然として(?)恐怖で(?)、立ちすくんでいた。


良かった、無事だった、と思った。もうそれだけ。


抱き上げようとして、ワン子の方に一歩踏み出したら、長靴の上から冷たい水がザーッと入ってきた。

急いでワン子を腕に抱えて岸に立たせ、自分も岸に上がった。


救出されたワン子は、興奮が収まらず、グルグルグルグル、辺りを駈け回っている。


一方、私の長靴は水でいっぱい

しかも雪止め水だから半端無く冷たい。

すぐに足が痛くなって、とてもじゃないけど歩けなくて、仕方なく切り株に座って靴を脱いだ。

しかし、防寒のために分厚いフェルトが入っている-35℃でもO.K.というウィンターブーツは、水を吸ってしまっていて、逆さまにしても水は出てこない。

さらに、びっしょり濡れた靴下を履いている足は-10℃の外気にさらされて、凍るかというほど、ますます冷えた

あほか、私は。

仕方なく、もう一度ブーツを履いてとにかく家の方向に歩き出した。


我慢して10mも歩いているうちに、自分の体温で水が温まってきた。

それと同時に、アドレナリンが駆け巡って高ぶっていた気持ちが少し落ち着き、混乱して錯綜していた思考がようやく交通整理されて動き始めた。



っていうか、落ちるじゃん、犬びっくり

植村さーーーーん、ウチの犬、氷を踏み割って落ちましたーーーーーー号泣

しかも立ちすくんで動けなくなってるし



北極でソリを引く犬だから、北極圏で生まれ育っていて周囲の環境も熟知していただろうし、当然若い頃から訓練もしている。

隣の国で保護されてドイツへやって来て、一日中ソファやベッドでぐうたらしている我が家のワン子では足元にも及ばないのは当たり前か。









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最終更新日  April 2, 2012 06:48:14 AM
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