うさぎと暮らす

うさぎと暮らす

June 22, 2007
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アメリカのうさぎ関係者も注目しているのは、秋田ジャンボうさぎだ。
まだ桜前線がきていない大曲に出向いたのが、今年の3月。以前から興味のあった秋田ジャンボうさぎを直接見る機会を得た。

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秋田ジャンボうさぎの第一人者であり、常に品評会で優勝してきたKさんにご教授いただき、貴重な秋田ジャンボと対面した。
秋田ジャンボの歴史は、明治時代にさかのぼる。雪深いこの土地の農産物奨励の一環として取り組まれたジャンボうさぎの開発は、先人たちの筆舌しがたい努力によって導かれてきた。
岐阜県にいた、大型白色うさぎを連れてきて、大型になるよう改良してきたのだが、今の秋田ジャンボウサギ(8キロ以上)になるのには、50年の年月がかかっている。

正直いうと、完全にファンシータイプのウサギしか扱ったことない自分が、プロ中のプロであるKさんとお話しできるのだろうかと、緊張しまくりの訪問だった。
実直で口数少ないけれど、威厳のあるKさんは、最初はきっと胡散臭い女だと思っていたと思う。
ところが、実際にうさぎを見せてもらう段になったら、感動のうねと好奇心であれもこれもしゃべりまくっていた。
繁殖用のママうさぎの選別、餌、スタンダード、飼育方法、繁殖の問題点、品評会の審査方法と、いくら聞いても興味がつきない。

餌は、家畜用の高濃度栄養ペレットを主体にし、Kさんの畑で採れた野菜や牧草をたべている。水は与えない。水分は主に無農薬で新鮮な野菜の水分で賄われているようだった。
うさぎを触らしていただくと、ものすごく骨がしっかりとしていて、肉が引き締まっていた。
きちんとしたポーズ(ショーポーズ)で、うさぎを座らせてもらうと、後ろ脚はしっかりと地面に下ろされているが、前足はちょっとかかとが上がった感じで体を支えていた。
胸板が厚く、秋田ジャンボの名前にふさわしい体格だった。特に肩と首がたくましいのが印象的だ。

重たい体重を支えるためには、骨太の体格が必要で、また急激な体重増加の子供は、あまり適していないという。ゆっくりと体格が育ち、それに合わせて肉が成長するように餌の調整を行うのだ。
飼育施設は、1匹あたり、オスは横幅が1.8M以上あり、奥行きは1M弱、メスはそれよりも大きい。

ウサギを見ていると、感動で胸がいっぱいになった。
これだけのクオリティーのウサギの血統を保ち、毎日飼育しているという大変さが、本当によくわかる。また、長い歴史の中で確立されたジャンボうさぎは、本当に美しかった。
役場でいただいた歴史を読むと、改良の途中で、「めりけん種」を入れたとあった。
秋田ジャンボうさぎの顔や体格を見ていると、ヨーロッパの古い種(肉種)を連想させるのだが、めりけん種というのは、ニュージーランドではないかと想像している。

秋田ジャンボの肉は大変美味しく、毛の弾力も素晴らしかった。
地域の生産性を高めるために、とても優秀な家畜であったというのがうかがえる。
大人の秋田ジャンボは、東北の素朴な雰囲気を醸し出す、人懐こいわけではないけれど、決して攻撃的な性格でもないようだった。
ベビーたちは、好奇心の塊で遊んでほしくて、争うようにこちらによってきた。

Kさんのお話しでは、最近では本来の目的よりも、ペットとして飼育したいという人が増えているという。郊外の老人施設でも、お年寄りたちのペットとして活躍しているのだ。
また、本当に体格が美しく気品にあふれているので、ぜひショーに出展したいし、アメリカのショーでエントリーできたらと思う。
残念なのは、長い間よそに出る機会がないうさぎだったため、生産者以外の場所に移動するとストレスが強くかかり、病気や突然死を引き起こすということだ。

それを解消するには、子供のうちから育てて、環境にならすことが一番なのだが、都会であれだけ余裕を持ちながら生活環境を実現させることは、容易ではない。

なによりも、打ちのめされたのは、こんな貴重な血統を持ち素晴らしい知識を蓄積している生産者が、高齢化しており引き継いでいく人がいないことだ。
中仙の町ぐるみで、保護運動をしているものの、生産者の後継者がいないというのは、早急になんと働きかけたいと心から思う。
それだけ、この秋田ジャンボが素晴らしい改良品種であるし、大袈裟にいえば日本人の英知のような品種だと言える。



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Last updated  April 16, 2012 06:34:05 AM
コメント(4) | コメントを書く


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Re:うさぎ紀行秋田への旅  
えるまま さん
あーん!私も行きたかった!(笑)
数年前、一部の愛誤オタの運動により、皮肉な形で
全国に広まりましたが、本物か見たいですっ!
メリケンは戦中に“白色メリケン”という品種の名がありました。
ニュージーランドレッドと言うもあるので、別かなぁと
思ってます。明治時代はイギリス、イタリア、からも
輸入してたので、メリケンはアメリカンかと考えていました。
世界思想社から出ている『ウサギの日本文化史』を読んで
見ようと思ってます。 (June 23, 2007 11:10:05 AM)

Re[1]:うさぎ紀行秋田への旅(06/22)  
LOVELIN  さん
えるままさん
「うさぎの日本文化史」私も読みました。すごく面白いです。家畜の歴史は少なかったと思いますよ。
メリケンってアメリカのことだから、私はニュージーランドを想像しました。似ている部分もあります。
今、血統が濃くなりすぎて矮小化にいっているのも問題だと教えていただきました。
ここはぜひ、日米のブリーダーで交流してみたらどうかと思うのです。
(June 23, 2007 11:03:38 PM)

ジャンボうさぎ  
花子 さん
去年テレビで紹介されてたの見ました!
ジャンボうさぎコンテストがあるとか。すごい大きくて、顔なんかレポーターさんよりデカかったの見て驚きました(笑)
牛用の飼料をあげてるとかで、うさぎって本当に奥が深いんですね~
見に行ってきたなんて羨ましいです!私もいつか行ってみたいなぁ。
雪深い秋田で元気に育ってるうさぎさんたちですから、やっぱりうさぎは寒さに強いんですね。
家の中で飼ってる場合なんて、寒さ対策グッズとかいらないのですね、きっと。 (June 25, 2007 09:08:35 PM)

Re:うさぎ紀行秋田への旅(06/22)  
LOVELIN  さん
花子さん
コメント遅くなりました。ごめんなさい。読んでいてくださればいいのですが。

うさぎたちの小屋は、もちろん手作り。小屋の中はとても清潔です。そして小さなストーブもありました。これはうさぎのためというよりは、作業をする飼い主の方のためでしょうね。そしてうさぎたちのケージは、とても広いです。たぶん180センチの人が寝てもゆっくりと休めるくらいあります。
自家製の野菜を食べ、きれいな空気のところでゆっくりと育つウサギたちは健康そのものでした。残念なのはこの繁殖の技術を継承する若い世代が育っていないことです。 (August 27, 2007 11:36:50 PM)

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