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「水俣芦北地域育樹祭」に参加してきました。これは、今年11月に阿蘇市で開催される第31回全国育樹祭に先駆けての記念行事だそうです。。まずは室内で主催者と来賓の挨拶があり、緑の少年団と2名の林業家の活動報告がありました。続いて山に移動し、間伐体験や枝打ち体験がありました。で、感想なんですが、残念ながら県の予算消化のためのイベントとしか思えませんでした。呼びかけて集まった参加者は林業関係者ばかり。森を育てることの大切さは十二分に分かっていて、しかも実践している方々ばかりです。いまさら間伐体験ってことはないでしょう。緑の少年団の活動報告はすごく良かったですし、もっともっと活発に活動してもらいたいと思います。そうした活動をいかにサポートできるか、いかに広げていくのかが大切であって、関係者だけが集まって現状を愚痴っているような大会は意味がありません。緑を守ること、森を育てることの大切さに異論を唱える人はいないでしょう。それをどう実践していくか、具体策を示すような大会というのはできないのでしょうかねぇ。
2007.09.08
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「マイ箸」を持ち歩くことがブームになっているそうです。以前も取り上げたことがあります。「本当に環境保全につながる行為なのか?」 特に、「国内の森林を守ることにはつながらない。」ということをお伝えしました。しかし、これは考えたことはありませんでした。森林保護の面からだけしか考えませんでしたが、このリポートにあるように、割り箸そのものの安全性にも、確かに不安があります。食品だけでなく、玩具や洋服なども安全性が疑われている中国製品ですが、口に直接入れるのは食品だけでなく、割り箸もそうなんですよね。確かに、漂白剤や防カビ剤などが使われている可能性は十分あります。このリポートを読めば、割り箸を使うことを躊躇してしまいます。 ↓北村 豊の「中国・キタムラ・リポート」割り箸には、残留化学物質(6種類)の検査済みを示す「割箸安全認証マーク」制度というのがあり、70~80%の輸入割り箸がマークを取得しているということですが、残りの20~30%はどうなるの?という感じもします。やっぱり「マイ箸」を持ち歩いたほうがいいかもしれないという気がしてきました。注)箸を持ち歩く場合、使った後は箸も箸入れもきれいに洗いましょう。
2007.08.24
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『林野庁の「緑のオーナー制度」の9割以上が事実上元本割れしている。』というニュースが流れていました。「やっぱりなあ。」というのが最初の印象です。林業関係者は驚きはしないでしょう。それが現実です。報道によると、>1口50万円あたりの平均受取額は年々下がり、00年度は44万5000円だったのが、05年度は最低の27万7000円になった。>スギの立ち木1立方メートルの平均価格は80年の2万2707円がピークで、昨年は3332円まで下落。ということです。なんとも情けない状況です。もともと森を育てるための投資でしょうから、これで儲けようという発想自体がおかしいという気もしますが、現実に投資した人はとても納得はできないでしょうね。安易な制度だったと言わざるを得ません。残念なのは、「緑資源機構」の問題に続き、今回の「緑のオーナー制度」の問題で、国民の森づくりに対するイメージが非常に悪くなってしまったということです。地道に続けていかなければならない森づくりですが、「誰かがどっかで儲けていた。」みたいな話になってしまっては、多くの人の共感は得られなくなってしまいます。そこが一番心配です。コツコツと森づくりを続けている森林所有者や団体、ボランティアがいることにも、しっかりと目を向けて欲しいと感じています。
2007.08.03
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時事通信社「農林経済」第9877号の編集だよりに、次のようなことが書かれていました。引用させていただきます。>若者がよく通う居酒屋やレストランでは、自分専用のマイはしとかマイ割りばしを使いつづけることがブームになっている。そんなニュースがテレビに流れ、マイクを向けられた客たちは「資源の無駄遣いは避けたいから」「環境のために森林保護につながればいい」などと、堂々とコメント。その無邪気さにあぜんとしてしまいました。>しかし、これらのコメントの裏には、環境保全のために森林は伐採してはいけない、というまったくの無知ないしは誤解があるのではないでしょうか。森林破壊が進む国・地域ならいざ知らず、日本では樹木を間引く間伐が放棄され、あるいは間伐材が打ち捨てられているのが現状です。間伐材が原料となる割りばしなどが使われないからです。間伐が進むと、森林は生き生きと蘇ります。さすが、「農林経済」の編集者です!! いいこと書いてますねぇ!! 少し間違いもあります。間伐材が割りばしになるというのは正確ではありません。国産の割りばしは、端材(丸太を製材した余りの部分)などが使われます。ですから、割りばしの消費量が増えても間伐が進むとは考えられません。しかし、「環境保全のために森林は伐採してはいけない、というまったくの無知ないしは誤解がある」というのは、そのとおりでしょう。地球規模で見ると森林の喪失は急速に進んでいるわけですから、保護に取り組みことは重要なことです。しかし、国内に目を向ければ、国産材の需要を伸ばすことも考えなければならないのです。国内の森林資源を温存して、海外からの輸入に頼るというのも考えものです。もちろんむやみに伐採することは避けなければなりません。必要なのは、循環する仕組みを考えることです。森林所有者が育林に対する意欲をなくしていることは残念なことです。「間伐が進むと、森林は生き生きと蘇ります。」というのもまったくそのとおりですから、間伐が進むような仕組みを作っていくことが重要ですが、それは割りばしとはあまり関係がないかもしれませんね。
2007.08.01
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引き続きイベントの紹介です。さすが夏休みですね。イベントが目白押しです。以下転載。● あなたも森のお医者さん! ~森の健康診断と巻き枯らし間伐の研修会~手入れ不足で不健康な森林を健康な森林へ皆さんの手で変えていきませんか?皆さんに森のお医者さんになっていただいて、森林の健康状態を診察し治療まで行います。まず、「森の健康診断」で診察して、「巻き枯らし間伐」という治療をします。どちらもプロの仕事をボランティア用に安全で簡単な方法に改良しています。森づくりに関心のある方、未経験・初心者の皆さんもふるってご参加ください。日時 平成19年8月5日(日)9:00受付開始 9:30開始 14:30解散場所 陽の原キャンプ場(菊池郡大津町真木字弥護山1495-1)内容 9:00 受付開始 9:30 開会 講義: 森林、林業の現状 10:30 実技: 森の健康診断 11:30 診断結果評価 12:00 昼食 13:00 講義: 巻き枯らし間伐の説明 13:30 実技: 巻き枯らし間伐 14:15 まとめ 意見交換 14:30 解散参加費 無料募集人員 30名(先着順です)持ち物 弁当、水筒、動きやすい服装(長袖、長ズボン、手袋)、タオル、雨具 足元は滑りにくいもの(軽登山靴、長靴)、保険証の写し申込締切 8月1日(水) 下記問合せ先宛その他 天候によりスケジュールは変更になります。※「森の健康診断」とは森林の専門家が行う科学的な調査をボランティアに出来るように改良した方法。100円ショップで買える道具を中心に簡便な方法で森林の健康状態を評価できる。※「巻き枯らし間伐」とは立木を倒さない間伐です。樹皮をはがすことにより子どもから年配の方まで誰でも安全に取り組めるユニバーサル型の森の手入れ方である。お問い合わせ・お申し込み: 社団法人熊本県緑化推進委員会 森づくりボランティアネット URL http://www.midori-no-mori.net/
2007.07.24
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7月3日の岩手日報が、「岩手の林業 再生の好機が到来した」という社説を掲載していました。 ↓http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2007/m07/r0703.htm国際的な需給の変化や円安で輸入材の価格が割高となり、国産材の競争力が増したことを、その根拠としています。木材自給率も、わずかながら回復してきました。また、戦後植林された木材も大きく育ち、充分な供給力を持っています。確かにチャンスではあると思います。しかし、現状ではこのチャンスを逃してしまう可能性のほうが大きいという気がしています。現在の林業界はあまりにも弱体化しています。山林所有者も経営意欲をなくしています。そういう中にあって、「岩手県は06年度から地域の森林経営を担う経営体(経営者)育成のため、08年度までの3年間で30経営体の育成に取り組む。」ということです。期待したいと思います。森林の再生には、明日の林業を担う経営体を育てることが大事です。森林については、必ず環境との絡みが取りざたされますが、まずは経営体の育成を最重要視するべきでしょう。環境保全はあとからついてきます。「食」と違ってなかなか消費者の関心を得られない分野ですが、「誰が日本の森を守るのか」ということについて、しっかりとした議論をすべきです。このままでは山村から人はいなくなり、放置された森林ばかりとなり、災害の危険性さえ増してきます。経営体の育成に対して行政がもっともっと力をいれてくれることに期待したいものです。
2007.07.19
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久木野ふるさとセンター「愛林館」が、『働くアウトドア』の参加者を募集しています。『働くアウトドア』は、山林労働を体験するための合宿で、今年のプログラムは以下の通りです。◇予定◇8/3(金)18時30分愛林館集合 (鉄道の方は、水俣駅前発17時30分の「みなくるバス」でどうぞ) 4(土)炭焼き 5(日)休み・競り舟大会に参加 6(月)炭焼き・間伐 7(火)炭焼き・間伐 8(水)下草刈り(全日) 9(木)下草刈り(全日)・小宴・夜の照葉樹林観察 10(金)全休・そば打ち(午後) 11(土)下草刈り(全日) 12(日)下草刈り(全日) 13(月)炭出し・川で泳ぐ・豆腐作り 14(火)下草刈り(全日) 15(水)下草刈り(半日)・バーベキュー・たき火バウムクーヘン 16(木)解散(天候などで変更することもあります)詳しくは、「愛林館」にお問い合わせください。→ http://www7.ocn.ne.jp/~airinkan『働くアウトドア』の案内ページ→http://www7.ocn.ne.jp/~airinkan/hataraku.html
2007.07.09
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今日は、久木野分収林組合の下刈り作業に行きました。久木野分収林組合は、旧久木野村の村有林だった約600ヘクタールの山林を管理しています。木材価格が低迷する中で、毎年組合員に配当を続けているスゴイ組合なんですよ。組合員は毎年、下刈り作業に出なくてはなりません。夏場の下刈り作業は、かなり過酷です。今日は雨の中での作業になりましたが、それぞれ雨具を着て、終日の作業に取り組みました。村の人たちの営々とした努力によって、森が育っていくのです。老若男女が、黙々と草を刈り続けている現場にいると、感動すら覚えます。ところで、下刈りについてはこれまでこの日記でずいぶん紹介してきましたので、今日は小生の相棒を紹介しましょう。山仕事をする時に、これまでずっと愛用しているのが、これ『CASIO G-SHOCK DW-5600』 です。映画『スピード」で、キアヌ・リーブスがつけていたというG-SHOCKの定番モデルです。買ったのはいつだったかすでに忘れてしまいましたが、おそらく12年くらい前だと思います。このタイプは、バックライトが電球式なんですよ。これまで、電池交換1回、バンド交換が2回くらいだと思います。電池の持ちはピカイチですね。山仕事は過酷です。雨風やチェンソーの振動で、この時計に出会うまでのやつはすぐに壊れていました。振動で文字盤が180度回転したやつもありました。この「DW-5600」も、今では写真のようにボロボロになってしまいました。映画がクライマックスにさしかかった頃の、ターミネーター状態ですそれでも正確に時を刻んでくれています。本当に頼りになるやつです。これほどまでに使い込んでいる人は、そうはいないと思いますけど、どうでしょう?
2007.07.08
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大きな家です!!「産直住宅芦北の会」のメンバーで、材木を供給している家の建前を見学に行ってきました。半年前まで山に立っていた木が、すでに切り込みも終わり並べられています。1本づつクレーンで吊り上げられ、組み立てられていきます。我々が供給した材木のほかに、古材も多く使われています。写真中央の大黒柱や張り材は、古い民家を解体して運んできたものです。店舗兼住宅ということで、かなり大きな家です。無垢の木をふんだんに使い、しかも複雑に組み合わせていくために、建前に3日間くらいかかるということです。家が浮いてる!!興味深いのは、この段階では、家全体が20cmほど浮いていること。「4方指し」など、かなり複雑な組み方をするために、最初から基礎にべったりと固定した状態では組むことができないのです。全て組み終えてから、全体を基礎の上に下ろすということになります。「産直住宅芦北の会」では、すでに11棟分の材木を供給しています。この家は、8棟目になります。9棟目以降の材木は、まだ切り込み中であったり、乾燥中であったりしています。自分たちが山から切り出した材が、こうして家となって生まれ変わっていくのは、大きな感動です。またしばらくしたら、様子を見に行こうと思っています。
2007.06.28
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森を育てる目的はいろいろです。将来の蓄えとしたい。山崩れを防ぐ。森林浴をしたい。子孫に残したい。などなど・・・眺山(ながめやま)というのは、この地方独特の言い方ですが、眺めて楽しむ山ということです。自分が植林し手入れをした山が大きく育つのを見るのは、気持ちのいいものです。貯金通帳を見ながらニヤニヤするのとは、ぜんぜん違います。資産として増えたということではなく、木が育つそのこと自体が嬉しいのです。そこに、森の生命力を感じるからです。自然の力を感じるのです。NHK教育の日曜フォーラム「みどりのニッポン再生~地方からの提言」という番組を見ました。地球温暖化や市民と企業の役割などについて意見が出されていました。最終的に、「木を使うことが森を育てる」というのがパネラーの共通した意見のようでした。ただ、問題はそのための仕組みづくりです。「国産材を使いたいけど、どこで買えるの?」「誰に相談すればいいの?」というのが現状です。山を眺めて一喜一憂するだけでなく、消費者に対する積極的なアピールが必要なのかもしれません。
2007.06.17
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林研グループの総会がありました。今年もたくさんのメンバーが参加をしました。相変わらず木材価格は低迷しています。林業では、もう飯は食えないというのが現状です。それでも林研のメンバーは、意欲を持って山(森)作りに取り組んでいます。経済効率優先の世の中で、珍しい人ばかりです。変人かもしれません。ようするに、やっているのは山(森)作りです。儲けじゃないんです。もちろん儲ければ、それが一番いいのでしょうが、ただただ山(森)が好きな人たちですから、材価が下がったからといって、山(森)作りをやめてしまうことなどありません。林研グループの活動に参加している人っていうのは、そんな一途な人ばかりです。そんなグループに参加させていただいてることが、とても自慢なのです。
2007.06.08
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2007-5-12 日本農業新聞:論説森林・林業白書/追い風生かし活性化へ 国産の木材利用や、国内林業の活性化を進めるには、今が絶好の機会と言える追い風が吹いている。2006年は輸入木材の価格が大幅に上がる中で、国産材の加工技術が向上して、用途が一層、広がっている。一方で戦後、植林した木が木材として利用できるまでに育っており、資源が充実している。国産材の安定供給態勢を急いでつくる必要がある。06年度の森林・林業白書が11日、発表された。緑豊かな国土を未来に引き継ぐため、「美しい森林づくり国民運動」などの取り組みを盛り上げていきたい。確かに状況は変わってきました。追い風といっても良いかもしれません。問題は担い手です。誰が「国産の木材利用や、国内林業の活性化」を中心となって担っていくのでしょうか? 「国民運動」などと言っても、ボランティアでできるほど簡単なことではありません。一番に考えなければならないのは、やはり森林組合でしょう。しかし、この森林組合が弱体化しています。長引く林業不況の中で、その役割を十分に果たせなくなってきているのです。この森林組合をなんとかしなければ、「国産の木材利用や、国内林業の活性化」など絵に描いた餅になってしまいます。もう一つは、農地と同じように流動化を進めることです。農地と同じく林家の経営規模は小さく、専業林家はほとんどいません。技術を持つ専業林家の経営の安定を図るために、林地を集約していくことが望まれます。農業では「担い手づくり」が合言葉のようになってきましたが、林業においても具体的な担い手を見据えた政策が必要なのではないでしょうか。
2007.05.12
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4月26日付熊本日日新聞:社説より引用森林の再生 社会で整備・保全を支援へ林野庁は、京都議定書で決まった温室効果ガスの削減目標達成に向け、二酸化炭素(CO2)の吸収源となる森林を今後六年間で三百三十万ヘクタール整備する方針を盛り込んだ二〇〇六年度の森林・林業白書案をまとめた。五月の閣議で正式決定される。 (中略)林業が危機的な状況にある中で、多面的な機能を持つ森林を、どう再生し、維持していくか。いまや山村や林業従事者だけではなく、都市部の住民も大きな環境問題として考えなければならない時期を迎えている。森林の手入れに都市住民や企業、民間ボランティアが参加する取り組みなども増えてきた。森林の整備・保全は、社会全体で支援するという意識、実践の高まりに期待したい。http://kumanichi.com/iken/index.cfm?id=20070426「森を守ろう、森林を整備しよう。」というのはとてもいいことですから、こうした議論は活発に行われますね。しかし現実には、日本国内の森林あるいは世界中の森林が、依然として荒廃し続けています。他国の森林についての議論は別の機会にするとして、国内の森林が荒廃するというのはどういうことなのでしょうか?問題になるのは、 2500万haの森林の内の40%を占める1000万haの人工林です。国産材が使われないために、間伐がされない、あるいは伐採した跡に植林がされないという問題が起こっているのです。要するに、問題は単純なんです。単純だけど事態が改善しないのは、ただただ関心が低いという理由だけなんです。食糧にしろ木材にしろ、自給率を向上させようと本気で考える必要があると思っています。「都市住民やボランティアで協力して森を守りましょう。」なんてレベルの話ではないのです。国産材の需要を伸ばすにしろ、人工林を自然林に切り替えていくにしろ、どれだけお金や労力を注ぎ込めるかということでしかないのです。
2007.04.26
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『伝説の山師』が、お亡くなりになりました。彼は、機械化が進んだ頃には山仕事を離れ他の仕事に就かれましたが、昭和の時代に、まだチェンソーさえも珍しかった頃に、山で働いていました。彼は、なぜ『伝説の山師』として語り継がれているのでしょうか?それは、彼が「全盲」だったからです。当時の林業は、山から木材を運び出すのに「木馬」と呼ぶ木製のそりを使っていました。そりの道は、鉄道の枕木のように丸太を横に並べて作ります。土の上に並べるだけでなく、傾斜が一定になるように橋をかける箇所もあります。人は並べられた丸太の上を歩いていくのですが、彼は誰かに手を引かれるわけでもなく、足を滑らせることもなく歩いていたそうです。また、彼は一人で自由に山中を歩いていました。。一度だけ迷ったことがあるそうです。どうやら彼は、木に触れることで自分の位置を確認していたようなんです。山中をさまよった末、見覚えのある(触り覚えのある?)木に出会ったといいます。彼は、木に触れることで、その種類も分かったようです。生きている木だけでなく、炭になった木の種類も分かりました。炭焼きはプロ中のプロでした。炭の焼きあがりは煙の色で判断するのですが、煙の色を見ることのできない彼の判断が最も的確だったと、彼を知る人は語りました。驚異的あるいは超人的ともいえる感覚の持ち主だったのですが、それは、けっして驚異的でもなく超人的でもなかったという気がします。林業という仕事をしているという意識さえなく、ただ、森の中の村に生まれ、森の中で育ち、森の中で生きていく生命が、当然のごとく身につけた感覚だったのかもしれません。豊かさの中で、すべての感覚をアウトソーシングしてしまった現代人には、無縁の世界です。ご冥福をお祈りいたします。
2007.04.23
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「やま」というと、「山事」とか「やま勘」、「やまが外れる」などの言葉があるように、投機的な事業や一か八かの冒険的なことを指す場合が多くあります。古くから山林は、投機的な対象あるいは資産保持的な対象として見られてきました。林業界は、このところ長引く木材価格の低迷に苦しんできましたが、最近になって久しぶりに一筋の光が差し始めたようです。少しづつではありますが、価格が戻り始めています。これは、外材の輸入量が減少したことが要因です。中国や中近東諸国、インドなどの市場が拡大し、加えて輸出国で資源保護の傾向が強まったことにより、かつてのように日本が安い価格で欲しいだけ買えた時代は過ぎ去ったと言えます。そういう状況にあって、一部の投機的な行動で利益を独り占めしようとするエゴイストがいることを、林業ジャーナリスト・吉藤隆氏は嘆いていらっしゃいます。>今は、国内林業・木材産業にとって大事な時期にきている。心ない一部の業者の投機的な動きによって、国産材の供給と市況に乱れを生じさせ、国産材の信頼を損ない、待望久しい国産材時代が遠のくことのないよう、古い陋習にこだわる関係者の意識改革を願ってやまない。(山林4月号より引用)森林所有者の感覚も、資産保持的な意識が依然として強くあります。持続的に林業経営をしていこうと人は、ごく一部でしかありません。国内林業の最大の課題は、「安定供給」にあります。木材価格が上がってくると一気に売り抜こうとして、市況安定の脚を引っ張るというようなことは、自らの首を絞めるようなものです。一つだけ提案をしたいと思います。森林組合の合併です。各地に森林組合がありますが、これはもう各県に一つの組合で十分ではないかと考えています。そうすることで強力に林業・木材産業をリードしていって欲しいと思っています。林業・木材産業は、リーダーがいません。各々が自己の利益のみを追求し、せっかくのチャンスをつぶすようなことを繰り返しているのです。本当に久しぶりのチャンス到来です。互いに脚を引っ張ることのないよう、待望の国産材時代を築きたいものです。
2007.04.09
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>「あなたの職業は?」と問われたら、即座に「百姓です。」>「何をつくっているのですか?」と問われたら、「食べ物です。」と胸を張って言う。農業雑誌に掲載されていた、ある女性のお話です。「食べ物です。」っていうのは、目からウロコでした。実は、お恥ずかしい話ですが、自分の職業である「林業」を説明するのに、戸惑ってしまうことがよくあります。「柱などの建築用木材を生産しています・・・・」などと、訳の分からない説明をしてしまいます。「木材関係の仕事です・・・」なんて、かっこつけることもあります。単純に、「山の木を育てています!」って言えばいいんですね。
2007.03.08
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転載です。すっかり春らしくなってきたので、いい汗かくと気持ちいいですよ。*********************************「水とみどりの森づくり税」活用事業水源の森づくり ~森づくりは道づくりから~ 愛林館では、これまで「水源の森づくり」を行い、ボランティアの皆さんと21ha広葉樹林を育てています。植林前の地拵えに始まり、植林、下草刈り、つる切りと、様々な作業をこれまで行ってきました。こういう作業にはもちろん人の手が必要ですが、作業をしやすくするためには道が欠かせません。車で近くまで行くことで、作業の効率も飛躍的に向上します。今回は、このたび新しく設置した作業道の整備を行います。今年の夏は、この道を使って下草刈りの作業を行えるようになるでしょう。皆さんどうぞご参加下さい。日時:3/25(日)朝9時集合場所:水俣市久木野 愛林館水源の森集合場所:愛林館〈スケジュール〉9時:集合9時15分:出発9時30分:開会・オリエンテーション・作業12時:昼食13時:作業再開15時:終了 (雨天の場合スケジュール変更あり)持ち物:作業できる服装(長袖、長ズボン、手袋、しっかりした靴)、水筒、雨具申込み:不要。当日朝に現れて下さい。参加費:無料★昼食は愛林館のカレーを600円で食べられます。★前日夜、当日夜に愛林館に宿泊できます。希望者はご連絡下さい。問い合わせ先愛林館 867-0281 水俣市久木野1071 電話 0966-69-0485 メール airinkan@giga.ocn.ne.jp ホームページ http://www7.ocn.ne.jp/~airinkan/************************************
2007.03.07
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木材等の輸出戦略について検討していた林野庁の木材等輸出戦略検討会は、「国産材の輸出促進に向けて(論点整理)」という報告書を取りまとめた。同報告書では、中国を想定し、国産材を使った住宅の輸出を提案している。これまで丸太輸出は一部地域で行われてきたが、割高であり、また製品としてわが国に再輸出されるケースも見られるようだ。そこで報告書では、今後は、スギ、ヒノキ等の国産材を利用した、より付加価値の高い製品輸出を志向すべきとの見解が示されている。日本には、海外の住宅メーカーが数多く入ってきている。そして、今、急速に成長している中国に対しても、北米の住宅メーカーなどが積極的に木造住宅を売り込んでいるという。国内の森林は、現在十分に成熟し、供給できる木材は豊富にある。そうした状態にありながら荒廃しているのは、木材が使われないからだ。林業を営むものにとって、現在の木材価格では到底再生産にはつながらない。そのまま何もせず放置するか、伐採して、その跡地を放置するかのどちらかだ。国土の保全も何も、あったものではない。再生産ができる循環型の林業こそが我々の理想である。「住宅の輸出」が、林業の活性化につながることを期待したい。
2007.02.02
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山仕事をしながら、いつも感じることがあります。手を休めて、切り株に座り休憩します。チェンソーの音が止むと、静寂が訪れます。時の流れが止まったかのような錯覚に陥ります。自然の中では、時間がゆっくりゆっくり流れます。数年ぶりに訪れる森の姿は、以前訪れた時とほとんど変わることはありません。心もゆっくりゆっくり、行動もゆっくりゆっくり、急ぐことはなにもありません。慌ただしい都会に暮らす人たちは、こうしてゆっくりゆっくり時間が流れる空間があることをご存知でしょうか?時間の流れは一定ではないのです。あっという間に過ぎ去る時間もあれば、ゆっくりゆっくり流れる時間もあります。空間によって、時間の流れる速さが違うのです。人間の心は、それに反応します。慌ただしい時間の流れの中で、少しでも他人より前に進もうとし、他人を批判し、他人を裁き、他人の足を引っ張ります。たまには、ゆっくりと時間が流れる空間に身をゆだねてみませんか?「どうして俺はあんなに慌てているのだろう? 急いでいるのだろう?」きっと、ゆっくり自分を見つめなおすことができるかもしれませんよ。
2007.01.25
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山の仲間と、製材所、設計士、工務店が連携して取り組んでいる『熊本の山の木で家をつくる会』では、すでに9棟目と10棟目の作業に取り掛かっています最近ではマスコミも注目するようになり、今日は熊本のテレビ局が取材にきました。Tさんの山での伐採作業の撮影に出かけてみました。Tさんの山は、樹齢90年を越える見事な杉山です。おそらく、相当迫力のある映像が撮れたことと思います。放送は、2月13日(火曜日)の午後9時54分、TKUテレビ熊本の「くまもと元気印」です。ちなみに小生の出番はと言えば、最後にカメラに向かって手を振るシーンだけでした
2007.01.23
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水俣芦北林業研究グループが、『熊本県農林水産業功労者表彰』を受けました。これは、農林水産業及び農山漁村の振興と発展に貢献のあったと認められる個人や団体に送られるもので、我々林研グループの活動が認められたというのはたいへん嬉しいことです。なんといっても今の時代に、「林研グループ」なるものがこつこつと活動していること自体がすごいと思っています。ITだのブログだのウェブ2.0だの言っている時代に、間伐講習会だの椎茸の駒打ちだのやってる人たちもいるんですよ。絶滅危惧種みたいなものです。この価値観の違いはなんでしょうね?多くの人が共有できるような価値観ではないと思いますが、こんな連中もいるんだということは、ちょっと分かってほしい気もします。世の中には、世間の評価と関係なく、かたくなに自分の生き方を貫いている人たちもいるんですよ。ちなみに小生はと言えば、昼間の活動にはあまり参加できず、主に飲み会要員になってしまっております。トホホ σ(^_^;)?
2007.01.18
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9棟目の産直住宅に供給する木材の伐採を始めました「熊本の山の木で家をつくる会」の取り組みも、順調に進み始めました。先日は、熊本県が発行している森の情報誌『くまもと森森(もりもり)』に大きく取り上げてもらいました。 今月末には、テレビの取材も予定されていますただ、小生の場合は、現在、兼業でやっているので供給できる量はわずかです。その多くをS・I氏に頼っています。たいへん申し訳なく思います。m(_ _)mこうやって産直住宅が軌道に乗ってきて、また、国産材の需要も徐々に回復してくる兆しがある中、「そろそろ専業に戻ったほうかいいかな。」なんて考えたりもします。とは言っても、せっかく多くの方の支持を得てやり始めた仕事を中途半端で投げ出すのは無責任ですし、まずは与えられた役目をやり遂げることに集中しなければなりません。兼業林家は土日が勝負です。土曜日曜に雨が降らないことを祈りながら、もうしばらくは兼業で顔晴っていきます
2007.01.07
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このところ休日に雨が降るので、兼業農家としては作業ができずにこまっていました。今日は朝からいい天気なので、山へ行って間伐をしています。ところが・・・・なかなかうまくいきません。木を倒す方向が、思った方向にいってくれません。間伐と言っても、胸高直径が40~50センチはある大木です。切り口の向きの微妙な違いによって、意図せぬ方向に倒れてしまいます。なぜ、うまくいかないのか???精神的なものです。心の迷いです。このところ、いいことがあったかと思えば、嫌なことが起こったりと、心が動きます。木の伐採時は、集中が必要です。そうしなければ大事故につながります。午後から集中してやります。《 今日のアファーメーション 》悲観的な感情に負けそうになった時は、有益なものにだけ目を向けその他は無視せよ
2006.12.03
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「第19回日本の森と自然を守る全国集会」の案内がありましたので、転載し、ご紹介しておきます。第19回日本の森と自然を守る全国集会メインテーマ『緑のダム-森林の保水力』会期:2006年12月2日(土)から4日(月)会場:熊本学園大学(熊本市大江2-5-1)参加費:集会参加費2000円、懇親会費3000円(当日会場にてお支払いください)プログラム■第1日目(12月2日(土)) 13:30 ~ 開会挨拶 熊本実行委員長 原田正純 主催者挨拶 日本の森と自然を守る全国連絡会代表 笠原義人 来賓挨拶 熊本学園大学学長 坂本正 14:00~18:00 基調講演 『日本の森の現状と保水力』 横山隆一(財団法人日本自然保護協会常勤理事) 『九州の森の現状と保水力』 中村益行(脊梁の原生林を守る連絡協議会代表、山都町町議) 『森林の保水力―地質学からの提言』 松本幡郎(元熊本大学教授) 同時に九州脊梁山地の写真展開催 18:00 ~ 20:00 交流会 近隣会場■2日目(12月3日)、3日目(12月4日) 分科会と現地見学会(川辺川ダム建設予定)が予定されています。詳しくはコチラをご覧ください。 ↓日本の森と自然を守る会HP
2006.12.02
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林野庁が新たに作成した次期森林・林業基本計画によると、国産材の供給量を今後10年間で35パーセント増やすということです。新たな森林・林業基本計画これはちょっとしたサプライズです国産材の供給量を35パーセント増やすというのは、戦後造成されてきた多くの人工林が、利用可能な段階を迎えることを前提としています。確かに国内の人工林は、十分な供給量を持っていると思われます。競合する輸入木材は原産国の伐採規制や海外の需要の拡大で値上がりしており、木材の自給率もわずかながら上昇しているようです。川上での伐出作業は、高性能機械の普及により相当効率よくなっています。川下も製材・加工の大規模化などに取り組むことで、安定供給体制は確実に出来上がってくるものと思われます。ただやはり心配なのは、この日記で繰り返し書いていますが、森林整備が将来にわたってきちんと行われるか、ということです。新たな森林・林業基本計画では、企業やNPOの森づくりを支援したり広葉樹林化や長伐期化など多様な森林整備を推進するとしていますが、肝心なのは、施業意欲をなくしてしまった森林所有者が、再度森づくりに意欲を持てるようななるか、という点にあります。要は価格ですから、需要が伸びれば木材価格も上昇してくるでしょうし、また森づくりに対する意欲も湧いてくるかもしれません。お上頼りではいけないのでしょうが、悲観論ばっかり言っていても仕方ないので、少しでも状況が良くなってくることに期待したいと思っています
2006.11.17
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産直住宅の7棟目と8棟目に供給する木材の、搬出作業を始めました。今日は、玉切り(決められた長さに切ること)作業を行いました。今回は、スケジュールに余裕がなく、まだ伐採して1ヶ月ほどしか経っていないので、乾燥は不十分です。ただ、例え期間が十分にあったにせよ、択伐(抜き切り)の場合はどうしても葉枯らしでは乾燥しにくくなります。製材後の乾燥をしっかりやる必要があります。予想に反して材の色が黒いものがありましたが、おおむね良い材がとれそうです。次の9棟目の商談もすでに進んでいるので、年末から来年にかけて、またまた忙しくなりそうです。
2006.11.12
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「くまもと林業担い手の元気づくり大会」 に出席しました。これは、森林で働く仲間としての連帯感を深め、山で働く人々の元気づくりを目的として熊本県が開催したもので、メインは俳優の菅原文太さんの講演です。菅原さんには、「森林で働く人たちに元気を与えるようなお話をしてほしい」ということで講演依頼があったそうです。ちょうど会場に到着した車から降りられるところに遭遇。73歳になられたということですが、さすがに、貫禄というかオーラというか、違いますねぇ 雰囲気が違います。やっぱり只者ではありません。講演は、次の出番のために最初のほうしか聞けませんでしたが、なかなか良かったようです。次の出番はというと、ご存知、「フォレスト・モンキー・バンド」です。もともと森林で働く仲間同士で結成したバンドですからねぇ。こういう場には打って付けです。来年の全国育樹祭での出演も決まっているんですよフォレスト・モンキー・バンドの後は、県内の若手林業者4名の活動報告です。産直住宅に取り組む仲間の SI氏の報告もありました。中でも、球磨村森林組合の KN君の報告は素晴らしかったです。KN君はまったく違う世界から林業をやろうと森林組合に飛び込んだ異色の青年です。KN君は、山で働く人たちを「林業士」という名称で呼ぼうと提案します。そして、「将来、林業士が子供たちがなりたい職業のNO.1になる、ことが夢だ」と語ります。また、「林業士は、山で働く強靭な体力、あらゆる条件のもとで安全に仕事をするための冷静な判断力、豊富な経験と知識など、まさに心技体を兼ね備えた人でなければならず、誰でもなれるものではない。選ばれた者達なんだ。」と、熱く語ってくれました。意欲を持って林業に取り組む若者達が、少数ではありますが活き活きと活動しています。非常に頼もしく思えた大会でした。
2006.10.27
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今日の日本経済新聞は、建築資材として国内産木材を使用する動きが広がってきたことを大きく取り上げています。競合する輸入木材が原産国の伐採規制や海外の需要の拡大で値上がりし、相対的な割安感が出てきたことから、国産木材が再度注目されるようになってきました。記事では「仕入れや生産が追い付かない」という工場も紹介されています。将来的には、資源保護のための伐採規制や中国・インドでの需要はまだまだ拡大するでしょう。まさに国産材復活のチャンスです。各産地の動きも活発になりつつあるようです。ただ心配なのは、持続的な林業経営に対する森林所有者の意欲が薄れてしまったことです。高性能機械の導入などで、生産効率は飛躍的に向上しました。しかし、多くの伐採跡地が植林されずに放置されているという現実があります。木材の供給はできても、それが森林資源の減少につながれば何のもなりません。もちろん国産材の需要が増えて価格が少しでも上がっていけば、森づくりの意欲もまた湧いてくるかもしれませんが、森を育てる労力は半端ではないですし、技術を持つ人も少なくなりつつあります。国産材の供給のシステムづくりとともに、森を育てる新たなシステムも考え直す必要があると思います。状況が変わってきたことは間違いありません。せっかく育てた森です。やはり有効に活用してほしいですし、これからも意欲を持って森づくりができるような、そんな日本であってほしいものです。
2006.10.23
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産直住宅のシステムを利用して家を建てる予定の2家族が、材木を供給する芦北の山林を見学にいらっしゃいました。私を含む芦北の林業家5名と製材所、川尻の設計事務所と工務店のグループで、芦北地方の木材を使っての産直住宅に取り組んでいます。年に2棟のペースで建てており、現在8棟目の木材の伐採に入りました。現在、日本の木材自給率は20パーセント程度しかありません。多くの森林が大きく育っているにもかかわらず放置されています。その原因の一つとして、住宅の構造があります。私たちの住む九州は、気候的には亜熱帯に属します。そこにヨーロッパ型の密閉された家を作っています。多くのエネルギーを使って冷暖房を行います。日本古来の住宅は、軒を長く出し、また風の通りを考えて造ってありました。湿度の多い日本の気候に密閉した家は合いません。風をうまく取り込む構造にし、また、軒を長く出すことで外の温度と中の温度は10度以上も違ってきます。使用する木材の含水率は20パーセント以下にしなさい、という国の基準もおかしなものです。湿度の多い日本では、自然乾燥ではせいぜい40パーセントほどまでしか乾燥しません。それを、これまたたくさんのエネルギーを使って強制乾燥させます。含水率40パーセントの木材は、家を建てた後に少し収縮します。しかし、かつての大工さんたちはそこまで計算した家づくりをしていました。少し縮むことで、木と木ががっちりと組み合います。そうした大工の技術も消えようとしているのです。地震に対する強度を増すために、金属の補強金具を使います。しかし、本来、木と金属は相性がよくありません。強度を増すためには木材の寸法を大きくすればいいのです。細い木を使って金属で補強するというのは、効率性のみを考えた住宅メーカーの発想でしかないのです。私たちの取り組む産直住宅は、最初は施主さんが自分の家に使われる木材の育った山林を見に来ることからスタートします。そこで、顔の見える関係ができあがります。これまでに家を建てた人の中にはシックハウスの方もいらっしゃいました。接着剤で固めた家ではなく自然の木材をふんだんに使った家は、消費者に安心と満足を与え、エネルギー消費を最小限に抑え環境にもやさしく、そして林業の活性化にもつながるという、そんな贅沢な家なのです。興味のある方は、こちらをご覧ください ↓熊本の山の木で家をつくる会
2006.10.18
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林業のあるべき姿として、「長伐期施業」が理想だと信じてきました。択伐(抜き伐り)を繰り返しながら持続的に森林を維持していくやり方こそが、経済的にもあるいは環境保全の意味でも理想的だと思っていました。しかし、「現代林業9月号」において、小野田林材経営研究所所長・小野田法彦氏が指摘するように、ここに来て「短伐期施業論」が浮上してきました。最近の木材需要動向は、まさに様変わりしてきました。先日熊本県の林業士会の研修がありましたが、杉材の利用は乾燥材であることはもちろん、集成材として、あるいは合板として加工される割合が多くなってきています。住宅構法は、柱が全て壁に隠れてしまう大壁構法がほとんどです。木材市場においては、もはや長伐期の大径材は不要だと言っても過言ではありません。そうした状況を踏まえて、小野田氏は、「単純に現在の需要動向からして自説を述べろと言われたら『短伐期論』に傾かざるを得ない」としているのです。機会があるごとに発言をしていますが、環境保全を目的とした森林管理と、経済活動としての林業は、まったく別の考え方が必要です。しかし、経済活動としての林業も、環境を保全しながら持続的に継続していくことが最低条件になります。そこをしっかりと認識し、どういう施業をしていくか、考えなければならないと思います。径級14~18、21~28cmの材の需要が中心だとしても、それを「短伐期施業」でまかなうという発想ではなく、持続的に「長伐期施業」の森から伐り出すということも可能なわけです。現状では短伐期・並材の需要開発にあえて力を入れなくても、それが避けられない流れですし、むしろ問題は森林の持続性にあります。「短伐期」で伐採するのは簡単ですが、再造林がむずかしい状況にあるのですから、けっして2者択一ではなく、むしろ、持続的に健全な森林を維持していくという発想が必要だと思っています。【rinka】 夢のある森林経営を考えるサイト ■【送料無料】剣持勇:1961年 柏戸イス
2006.09.15
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2006年09月12日付日本農業新聞「論説」より林業基本計画/百年対策に公的関与を国土面積の7割を占める森林は、多面的機能発揮など国民の森としての役割が大きいだけに、持続的発展が課題だ。政府が決めた森林・林業基本計画は、これまでの50年サイクルの森林づくりから長期的な「百年先を見通した森林づくり」に考え方を転換している。国産材の利用拡大とともに、抜本的な財政的裏付けがなければならない。《 中略 》森林は生態系を支えているだけでなく、二酸化炭素の吸収源としての役割は大きい。森林は公的役割が大きいだけに公的関与を強めるのは当然だ。豊かな森林資源を次世代に引き継いでいくために、社会的コストとして負担する根本的な仕組みが必要だ。公的関与を強めるのは当然だ。 ←それはその通りなんですが、中途半端な関与ではどうにもならないと感じています。今、国内の森林は深刻な状況にあります近年の九州の杉生産量は増えつづけています。これは、高性能林業機械の導入などにより生産効率が飛躍的によくなったのに加え、ある程度大きくなった木を皆伐してしまおうという山林所有者が増えたからだ、と思われます。つまり、持続的な“経営”としての伐採ではなく、“清算”としての伐採が行われているのです。現状は2つに分けられます。前述のように全てを伐採してしまい、跡は植林せず放置してしまうか、あるいは、木は育ってはいるもののそのまま何もせず放置しているか、のどちらかです。では、どうすればいいのか? → これも2つあると思います。“積極的に利用する”か、“自然に即した形で大きく育てる”か、だと思います。どちらの選択肢も課題は多いでしょう。そう簡単なことではない。中途半端な公的関与ではどうしようもないでしょう。大きく育ってきた1000万haに及ぶ人工林を、今後どうするのか?国民の貴重な財産として、有効な資源として、さらに大きく育てていくのか?花粉症の原因だとして、邪魔者扱いして処分していくのか?いずれにしても、真剣な議論が必要なのです。
2006.09.12
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枝廣淳子さんが発行しているメルマガ 「Enviro-News from Junko Edahiro」に紹介されていたので始めて知ったのですが、 ↓ こういうのがあるんですね日本全国スギダラケ倶楽部スギダラとは・・・なんのこと ちょっと引用してみます。スギダラとは 「杉だらけ」の略です(略されているのは「け」だけという話もありますが)。 スギダラプロジェクトを一言で簡単に説明すると、戦後の植林によって杉だらけになってしまった日本の山林をやっかいもの扱いせず、材木としての杉の魅力 をきちんと評価し、産地や加工者、流通、デザイン、販売など杉を取り囲むシステムを結びつけることで、杉をもっと積極的に使っていこうじゃないか! とい う運動です。つまり、これからは山じゃなくて、街や住まいを杉だらけにしていこう! ということです。もちろん、ただダラダラと日本全国杉だらけにするの ではありません。クオリティの高い、愛情のこもった、杉ならではのモノたちを世の中に広く行き渡らせよう、というプロジェクトです。 ---------
2006.08.14
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コクヨ キャンパスノート(FSC認証)コクヨ Campusツインリングノート(FSC認証)(ミニサイズ)英国とインドネシアとの合同調査によると、インドネシアで生産される木材の50%が違法伐採木材だそうです。無秩序に伐採された木材が、日本にも輸入され消費されています。森林資源は、その地域の経済発展にとって重要な役割を果たすわけですが、将来にわたって永続的な利用を行うためには適切な森林管理が望まれますし、木材を利用する消費者の意識も問われていると感じています。「森林認証制度」は、経済的にも環境的にも持続可能な森林管理がされているかどうかを、独立した第三者機関が「認証」する制度です。違法伐採を防ぐ決め手として注目されています。現在の主な認証制度としては、「FSC認証」が良く知られています。FSCとはForest Stewardship Council(森林管理協議会)の略。認証された森林から出された木材・木材製品には、FSCのロゴマークが付けられます。日本国内でも、三重県の速水林業がいち早くFSC認証を取得されましたし、認証を得ようと努力する林業家も増えてきました。また、日本の森にふさわしい森林認証制度として「SGEC森林認証制度」も動き出しています。SGEC『緑の循環』認証会議紹介するノートは、FSC認証の森のパルプを30%使い作られたものだそうです。こうした製品を使うことが、即、森林資源を守ることにつながる!と言うと大げさですが、消費者の意識を変えることは重要なことだと思いますよ。追記:小国町森林組合が、『SGEC』を取得したそうです。 くまにちコム:〔朝刊早採り〕森林認証 小国町森林組合が取得 全国で2番目
2006.07.28
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ブログ更新が滞っております。この山童(やまわろ)日記のほかにも、〆切を過ぎた原稿もあり、最近どうもアンテナの感度が悪くなっているようです。年齢のせいか?単なる怠慢か? ・・・ 頭の柔軟体操が必要なようです。。:’* + ☆°・ ‥.゜★。°: ゜・ 。 *゜・:゜☆’:★ ,* +゜. ☆。.: ’* :・* + ゜。.★・”,さて、本題です。共有林があります。村の人たちが大切に育ててきた森です。いわゆる「入会林」です。実は、この共有林を処分することになりました。伐採です。私の住む村の話は、この日記でも時々話題にしました。各地の山村と同じように、高齢化した過疎の村です。これまで営々として森を育ててきた努力というのは、たいへんなものだったと思います。その森も十分大きくなりました。そして村人達も十分年をとりました。木材価格は予想以上に低迷してしまいましたが、「自分達が元気なうちに処分したい」という思いはそれぞれ強くあるようです。残念なことですが、後継者も残っていず、「子のため孫のために森を残す」という意識は薄れてきているのかもしれません。近々、処分のための話し合いをします。問題になるのは伐採後のことです。あらためて植林をするのか、ということが主題になります。ただ現状では、「植林はしない」ということになるだろう、と予想しています。ある程度まとまった金額で処分できるとは思っていますが、再度植林するとなると、それ以上の膨大な費用が必要となるからです。それと、再度植林をし、下草刈りをし、森を育てていくほどの意欲を、年老いた村人たちに期待することはできません。あとは「自然の再生力に期待する」ことになります。そして、それが現状では正しい判断だと思います。もう一度、杉・桧の森を育てるのではなく、「自然にまかせる」ということです。『植林放棄地』が問題になっています。「伐ったら植える」というのが、循環型の産業である林業の理です。しかし、その環が崩れてしまった。それを非難することは誰にもできないでしょう。木材価格が低迷しているとは言え、今後、私有林の伐採が一気に進むと予想されます。そこは『植林放棄地』となるでしょう。『ハゲ山』が増えれば、災害の危険性も大きくなります。森林の問題は所有者だけの問題ではなくなっています。広く国民的な議論が必要だと痛感しています。
2006.07.16
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今の時期は、土日を利用して山に下刈りに行きます。使う道具は下刈鎌です。柄の長さが120センチほど、刃渡りが40センチほどあります。場所によっては草刈機を使います。手刈りより機械の方がはかどりそうに思われるかもしれませんが、一概にそうともいえません。ススキの大きな株があったり竹が多かったりするところは、確かに機械の方がはかどります。しかし、機械は足場の確保に神経を使います。傾斜が緩やかな所はいいのですが、傾斜がきつい所は鎌が楽です。鎌の場合は、足場をしっかり確保したら長い柄をフルに使って、短く持ったり長く伸ばしたりしながら、場所を移動せずに半径2メートルくらいの範囲を刈ることができます。また、植林木の根元も鎌のほうが丁寧にできます。特に蔓が巻いているような場合はなおさらです。草刈機では蔓の処理に手間取ります。また機械を使うと、逆に機械に使われているような感覚になります。エンジンが動いているので、それに合わせてひたすら作業をし続ける、といった感じです。その点、鎌での作業はマイペースです。それに、手は忙しく動きますが頭は暇です。あれこれいろいろ考えます。かなりの重労働なので、論理的な事は考えられませんが、日常を振り返り、自分を見つめるいいひとときなのです。ちょっと大袈裟ですが、下刈り作業は僕にとっての「哲学の時間」なのです。普段の仕事のことや人間関係、子供のことや趣味のことなど、とめどもないことばかりですが、いろんなことを瞑想しています。マラソンランナーは「ランナーズハイ」という状態になることがあると言いますが、下刈り作業もひたすら続けていると、いつかそんな「ハイ」な状態を経験できるんじゃないかと考えているところです。
2006.07.09
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日本でただ一人?の森林ジャーナリスト田中淳夫氏は、かつて著書『「森を守れ」が森を殺す!』の中で、「割りばしを使うと森が豊かになる」と指摘されていました。割り箸愛好家宣言 ← 田中氏のエッセイ報道によりますと、その割り箸が高騰しているそうです。>引用です。(中日新聞:http://www.chunichi.co.jp/00/kei/20060705/mng_____kei_____001.shtml)割りばし業界異変~最大輸出国・中国の値上げで 最大の輸出国である中国が値上げしたために、割りばしの価格が上昇している。その影響で小売店は値上げに踏み切り、プラスチック製に切り替える居酒屋が出てきた。国産の間伐材で作った割りばしを復活させる動きも広がり始めた。 林野庁によると、2005年に国内で流通した割りばしは約258億膳(ぜん)。うち輸入品は254億膳で中国産が99%を占める。昨年12月、木材や原油価格の上昇などコスト増を理由に中国の輸出団体は輸出価格を30%引き上げた。>国産の間伐材で作った割りばしを復活させる動きも広がり始めた。 ということですが、6月6日放送されたNHKの、クローズアップ現代「割りばしに異変あり」では、>輸入継続に暗雲が漂う中、国産回帰も模索され始めたが、多くの産地では林業そのものが壊滅している。としています。現在の状況はまさにそのとおりです。>割り箸は日本では間伐材の端材を使う廃物利用だったが、中国では材木を丸ごと使うため森林資源を浪費してしまう。 クローズアップ現代より田中氏が言うように、割り箸をつかうことは山村を支えて森を守ることにもつながるはずですが、もはや手遅れ、という感もあります。プラスチックの箸に切り替える動きもあるようですが、記事にあるように、「プラスチックは石油製品。洗浄に水や洗剤も使う。環境に良いのはどちらか」 ということも考えなければなりません。あと考えられるのは、マイ箸を持ち歩くか・・・林業を営む我々としては、国内の森林の間伐を進め国産の割り箸に移行していく動き、「多少高くても国産の割り箸を積極的に使って、国内の森を守っていく」、そういう消費行動に期待したいものです。
2006.07.05
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今日は、久木野分収林造林組合恒例の『下刈り作業』が行われました。あいにく朝から大雨警報が出されるほどの激しい雨でしたが、決行です。山で働く人々は、天気予報より自分の感を信じます。「確かに激しく降ってはいるけれども、災害が起きるほどではない。」「やがて小降りになるだろう」という判断です。普通なら当然中止にするくらいの激しい雨でしたが、作業を決行するところが久木野の人たちのたくましさです。雨の日は鎌がよく切れます。作業がはかどります。合羽を着ているせいか、おしゃべりをすることもなく、ただただ黙々と草を刈っていきます。つらいのは昼食です。天気がよければピクニック気分で、みんなでワイワイと楽しい昼食となるのですが、なにしろかなりの雨ですから、テントの下もぐしゃぐしゃで、車の中で食べることにしました。車といっても軽トラックですから、かなり窮屈です。それでも横になって昼寝するくらいはできます。昼休みを有効に使って、読書と昼寝でした。毎年恒例の下刈り作業ですが、久木野の人たちはよく働きます。こうして久木野の森が守られてきたのです。久木野分収林造林組合の森は、久木野の誇りなのです。
2006.07.02
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没落・・・〔今まで栄えていたものが〕急に衰えて、見る影もなくなること。(新明解国語辞典:三省堂)岐阜県森林文化アカデミー学長・熊崎実氏の「日本林業没落」という文章が、大日本山林会が発行する「山林」2006.6号に掲載されています。国内の林業の衰退ぶりは、まさに見る影もない状況なのですが、あらためて「没落」などという言葉で表されるとショックです。熊崎氏は、日本とヨーロッパの林業を比較し、明暗を分けた現状を指摘しています。引用してみます。>アジア大陸の東端に位置する日本も林業の伝統において、これらの諸国と肩を並べていた。ところがこの30年か40年のあいだに、日本林業はすっかり衰退し、木材生産の面でヨーロッパに大きな差をつけられてしまった。>中央ヨーロッパ5カ国の現在の森林面積を合計すると、日本とほぼ同じ2,500万haである。森林から伐り出される丸太の量は、1960年当時両者とも6,400万立m程度で大差はなかった。それが40年後の2000年になると、中央ヨーロッパの木材生産量は1億立mを超えたのに対し、日本のそれは2,000万立mを割り込んでしまった。40年前に比べると、それぞれ1.6倍と0.3倍ということになる。では、こうした明暗を分けた理由はどこになるのでしょうか?単位面積当たりの蓄積量が少ないことやコスト高ということが考えられますが、熊沢氏の指摘の中で興味深いのは、「国際市場の中で奮闘している林業と国際競争を断念した林業の違い」という部分です。>日本では外材輸入が本格化するまでに時間がかかり、木材であれば何でも高く売れる時代が比較的長く続いた。そのために国産材の品質管理やコストダウンへの取り組みが不十分になり、林業・林産業の「近代化」が後れて、現在の窮状を招いたのである。>加えて、わが国の経済界にも林業を産業として育成しようという意図はなかったように思う。>いずれにせよ、わが国の林業は国際市場で競争しているという意識が伝統的に希薄であったように思う。小生が林業に取り組み始めたころ、「やがて国産材時代が来る」と盛んに言われていました。しかしそれは幻と終わりました。木は大きくなってきたものの、それを商品にするシステムができてこなかったのです。今は森林整備の名目で、造林や間伐には補助金がでます。その補助金に対しても熊沢氏は次のように指摘します。>この種の補助金は古い体制を温存させるだけで、改革の契機にはならない。林業振興と環境保全が一緒に議論されることに疑問を持っています。林業は環境を守っていると主張し、補助金を引き出そうとします。しかし、それは氏が指摘するように改革の契機にはならないのです。『林業を産業として育成する』・・・ここが最大のポイントなのです。
2006.06.08
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先週の土曜日のことですが、久木野分収林造林組合の総会が開かれました。久木野分収林造林組合は、旧久木野村が水俣市と合併する前に所有していた村有林約600ヘクタールを、合併後、水俣市との分収契約により管理をしています。組合員は毎年2日間の下刈り作業が義務づけられており、真夏の猛暑の中、汗だくになって草刈作業をします。その他にも、間伐などの保育作業のほとんどが組合員の手で行われており、見事な森が育っています。しかし、久木野の人たちが誇りとしているこの分収林造林組合も、材価の低迷によりその経営は厳しさを増し、加えて組合員の高齢化と減少により、管理作業もなかなか行き届かなくなってきています。現在は、幸いにしてこれまでの管理がよくできている山林なだけに多少は高く取り引きされることと、貯金がある程度あることから、現在の運営には支障はきたしていませんが、今後の運営が難しくなることは間違いありません。先人達が汗水を流し、たいへんな苦労をして育てた森が、まったく価値を無くしてしまう・・・これはとても悲しいことです。森は大きく育っています。建築材としていいものが取れる、というだけではなく、環境保全の面でも私達に多くの恵みをもたらしてくれているはずです。多面的機能では人工林は自然林に劣る、などと言われますが、間伐などが十分にされて適切に管理され大きくなった人工林は、自然林に劣るなどということはありません。経済的に価値がないからといって、邪魔者扱い・お荷物扱いをするのは憐れです。戦後の林業政策の誤りだ、などという人もいますが、林業家にとっては、自分の子どもに「お前を生んだのは間違いだった」というようなものです。森に罪はありません。それどころか、多くの恵みをもたらしてくれています。こうした森林を何らかの形で評価することはできないのでしょうか。そうしなければ経済的に価値がないからという理由だけで放置され、森は急速に荒れていくことになるでしょう。
2006.05.24
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自給率が回復しました。食糧自給率ではありません。(食糧自給率に回復の兆しはないようです w )木材自給率です。木材(用材)需給量・木材(用材自給率)の推移↑のデータでわかるように、昭和35年(1960年)に94.5パーセントあった木材自給率は、その年、木材が輸入自由化されるとともに急速に低下し、2000年以降は18パーセント台となっていました。それが、平成17年(2005年)では、20.2パーセント(暫定値)となっています。さらに、平成18年の自給率は、20.5パーセント(見込み値)と見込まれているようです。 ↓平成17年木材(用材)需給実績見込みの概要これは何故でしょうか? 国内の木材産業が頑張ったから?確かに、国産材については、製材用、合板用、パルプ・チップ用ともに増加し、前年比の105.5パーセント(見込み)と増えているようです。しかし、やはり大きな原因は輸入木材の減少でしょう。中国やインドの輸入が増えたということもあるでしょうが、世界の森林資源は急速に枯渇していると言って過言ではないと思います。国内の木材産業にとってはチャンスでもあります。輸入材に押され低迷してきた国内林業の復活のチャンスです。ただ、現状を見ると、林業の現場で働く人は減少し高齢化も進んでいます。森も荒れています。輸入が減ったからといって、すぐに国内林業が活性化するとはいかないかもしれません。地球規模で見ても、日本国内でも、森林の危機的状況は加速しているようです。木材は貴重な資源です。森を守ることは、けっして木材を使わない、ということでもありません。うまく利用することが大切でしょう。しかし、その「うまく利用する」ということがなかなかむずかしいようですね。
2006.04.05
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地球の環境問題は、私たちの大きな関心事となっていますが、なかでも森林の危機というのは、特に深刻な問題となっています。あらゆる場面で指摘してきましたが、森林の危機は、◎世界的には伐採による森林破壊が大きな問題であり、◎国内では伐らないこと(間伐しないこと)が森林の危機を招いています。日本は膨大な量の木材を輸入しています。その輸入材で問題になるのが、「違法伐採」です。森林は誰もが勝手に伐採できるものではなく、やはり環境を守るという観点から様々な規制がかかっています。「違法伐採」はそれを無視し、保護区であろうが伐採権を持ってなかろうが、伐採量の制限がされていようが、先住民族が住んでいる森であろうが、おかまいなく伐りつくしてしまうのです。そして、そうした木材も日本へ入ってきます。日本が輸入している木材のうち、約20%が違法な木材であるという、WWFの報告もあります。環境NGOグリーンピースは、2000年の日本国内の合板供給量のうち41・5%は違法伐採に由来するものだとしています。私たちは知らないうちに(気付いているのかもしれませんが)、そうした木材を使っているのです。「違法伐採」をなくすには、そうした材を輸入しないようにしなければなりませんが、実は4月から、「グリーン購入法」を用い、政府調達の対象を合法性、持続可能性が証明された木材とする措置が導入されることとなりました。「どのように合法材であることを証明するのか?」という部分などでまだまだ不明確なところもあるようですが、木材輸入大国である日本が違法に伐採された木材を排除するという方針を打ち出したことは、森林破壊の大きな原因となっている違法伐採を食い止めることに多少なりとも貢献できるだろうと考えます。そして、私たち自身が「緑の消費者」として、私たちの行動を振り返ってみる必要があります。木材製品については、選んで買うという状況にないことも事実です。家具を買うにしても、国産材を使ったものを選ぶというのは至難の業です。 (※ カーペントリーさと森さんのような方を応援したいですね)ただ少しでもそうしたことに関心を持ちながら、行動を変えていかなければ、地球環境はどんどんどんどん悪くなっていくばかりなのです。
2006.03.31
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今日(3月23日付)の日本農業新聞によると、鳥取県中小家畜試験場養豚研究室が、豚にドングリを与えると美味しい肉になることを確かめたそうだ。スペインで、最上級生ハムに使われる豚がドングリを食べているのをヒントに試験をはじめたということだが、「へぇ~」というよりも、「そりゃそうだろ」という気もする。山村に住んでいるものにとっては常識なのだが、ドングリが豊作の年は、猪の肉がうまくなるのだ。山に住む猪は、ドングリで太って、農作物の被害も減る。豚も猪も同じ仲間だろうから、当然豚もドングリを食べればその肉はおいしくなるというわけだ。と、ここまで書いて ふと 考えた猪はドングリが大好きなのだから、農作物の被害を減らすには山にドングリの木を育てればいいのだ。これって、すごく当たり前のことだけど、今まで誰もやっていない・・・なんでこんな簡単なことに気がつかなかったのだろう・・・もはやスギ・ヒノキを植えるような時代ではない。広葉樹植林もされているが、ケヤキとかイチイガシとかやっぱり用材になるもの(お金になるもの)ばかりだ。もうお金にすることは考えず、山を豊かにすることを目的とした植林をしよう。まだ3月だ。まだ間に合う。早速、山にドングリを植えよう。スペインの、ドングリを食べている豚を使った生ハム ↓ ↓ハモン・イベリコ・デ・ベジョータこちらは、ハモン・セラーノ コーレン1本物(骨付き・蹄付き) ↓ ↓
2006.03.23
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八代市泉町(旧 八代郡泉村)へと出かけて行った。林業家 S氏の、林業経営についてお話を聞いた。S氏が住むのは、「五家荘」と呼ばれ、平家落人伝説の残る九州中央山地の奥深い山間に点在する集落。九州の秘境 とさえ言われている。秋には紅葉が美しい。(五家荘とは樅木・椎原・久連子・葉木・仁田尾の5つの集落のこと。)S氏はここで複合経営をされている。販売されている作物は、シイタケ、ナメコ、クリタケ、タラの芽、ワサビ、キハダ、、オウレン、ウド、ヤーコン、ユズ、サンショウ、山芋、木炭、竹炭、花木(サカキ、シキミ等) 露地野菜 などなど栽培しているものだけでなく、自然に山で採れるものも多い。※ 山仕事のできない冬場は、久連子踊りのこけしづくりもされている。まさに『宝の山』なのだ!!S氏はかつて某製紙会社の山林を管理されていた。そのため多くの作業員を雇っておられたが、年間を通して仕事を確保するため、特用林産物の栽培を始められたという。「販売にはご苦労もあったのでは? 何か販売の工夫は?」と聞いてみたが、「販売に苦労したことはない。確実に売れる。特に工夫もない。」とのこと。made in 五家荘・・・マイナス面がプラスとして活きている。現在では、息子さんが販売会社を設立され、インターネットでの販売も手掛けられている。「何にもない、何にもない」と愚痴ばかり言う山村の人たちも少なくないが、こうしてみると『宝物』に溢れていることに気付かされる。ところで、昼食が素晴らしかった。「五家荘しゃくなげ会」の皆さんの手づくり。 ・平家大根の酢の物(岩茸入り!) ・ヤーコンのキンピラ ・いもがらの和え物 ・ふきのとう・椎茸の天ぷら ・地どりのから揚げ ・かぶ野菜のゴマ和え ・とうふとこんにゃくの田楽 ・ヤマメの甘露煮 ・うこっけい玉子の薬草煮 ・煮しめ ・鹿フレーク!! ・巻き柿すごいのだ!感動なのだ!! すべて地元で採れるものでここまでできる。 ※ 残念ながら、カメラを持っていってなかった(T-T)『五家荘』の底力を感じた泉・五家荘情報発信サイト 『五家荘ネット』http://www.gokanosyo.net/有限会社 クラッチhttp://www.clt1996.com/
2006.03.16
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この正月の休みを利用して、ヒノキの枝打ちに行った。最近は、枝打ちして無節材がとれるかどうかはほとんど価格に反映しないので、あまり念入りに枝打ちを行うことはないのだが、やはり、枝打ちをすることで間伐などの作業がしやすくなるし、通直な材を作るのには欠かせない作業であることには変わりはない。本来ならば成長に合わせてまめに行わなければならない作業なのだが、ちょっと遅れ気味になってしまう。要するに、枝が太くなりすぎて、枝打ちの傷が大きくなってしまうのだ。できるだけ傷をつけないように作業をする。一番いいのは鎌による枝打ちである。後の巻き込みが早い。しかし、枝が大きくなりすぎて、鎌ではできない枝も多い。そうした枝は鋸を使うしかない。腰より下の部分は鉈を使うので、鎌、鋸、鉈の3つの道具を持ち歩くことになる。こうした道具はしっかりと刃を研いでおくのがプロの仕事だ。なまくら刀では満足いく仕事はできないのだ。午後から出かけたので、大した仕事はできなかったが、やはり、山がきれいになっていく様は気持ちいい。まったく経済的には採算が合わなくなってしまった林業であるが、山仕事の爽快さは何ものにも替えられないものなのだ。
2006.01.03
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宮崎県都城市に行きました。都城地区製材協同原木市場と、広葉樹の植栽現場を視察しました。都城地区製材協同原木市場は、広葉樹材が多く出荷されます。かつては8割が広葉樹だったということですが、現在は2割ほどになっています。広葉樹材は、家具や建築など用途が広く、また美しい木目などから高く取り引きされる材も多くあります。ただ、多くは自然林から伐採されるため、現在では前述の通り広葉樹資源は減少の一途にあります。そのため現在では、杉桧と比べて、かなりの高値で取り引きされているのが現状です。※ バブル期のようなビックリするような高値がつくことはなりませんけど(^_^;広葉樹材は、材としては利用価値が高く、今後は杉桧一辺倒だった林業も広葉樹材の育成に目を向ける必要があると思っています。広葉樹林の育成は、最初から伐採を目的とせず、あくまでも自然の力を発揮させることを最大の目的に育てていきます。森の成長の過程で、果実として間伐材が利用できればと考えています。先日の高校生の体験学習の時にも話したのですが、木を伐って森もなくしてしまっては本も子もありません。木を伐って森を大きくするやり方が本来の林業の在るべき姿なのです。現在、NPOなどによる広葉樹の造林が各地で行われています。もっともっとその輪が広がっていけばと期待しています。
2005.11.24
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鹿児島に来ています。大隅町の「ベネフィット森林資源協同組合」を訪ねました。「ベネフィット森林資源協同組合」は、育林・伐採から製材・運送・住宅建築(川上~川下)までの事業体が一体となって設立され、森林資源を積極的に活用し、木材の流通、情報拠点づくりを行い、安定かつ高品質な製材品を供給されている先進的な企業体です。従来の市場を通した流通ではなく、山元から直接仕入れ、木材店・工務店に直接販売するというシステムで、しかも一方通行ではなく、必要なモノを必要なだけ供給するというシステムを確立し、山元にとっても木材店のとってもメリットのある仕組みを作り上げています。特に興味を持ったのが、在庫管理の為のNET上の「在庫共有システム」で、たいへん参考になりました。小生達も産直住宅に取り組んでいるのですが、在庫の管理がうまくできず、3分の1を産直にまわした後、残りは市場で販売せざるを得ないという状況です。残った材の在庫管理さえしっかり出来ていれば、注文に応じられる体制が確立できると考えています。それに、こうして頑張っている人・先駆的な取り組みを実践している人を訪ねると、一様に哲学・信念を持っていらっしゃることに気づきます。「ベネフィット森林資源協同組合」の森田代表理事は、「みんなが共に生きていかなければ、自分だけが一人勝ちするなんてことはありえない」と話していらっしゃいました。たいへん印象に残りました。まさに、この協同組合の理念です。たいへんいい研修をさせてもらいました。是非一つでも盗めるものは盗んでみたいと思いました。
2005.11.23
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神戸のK女子高校の2年生155名が、昨日から修学旅行で水俣に来ています。K女子高校は、4年前から環境学習として"水俣"を学んでいて、毎年、修学旅行でやってきます。初日の昨日は、「水俣病」についての学習。そして今日は、小グループに分かれての体験学習です。愛林館には40名がやってきました。これをさらに、「豆腐づくり」「こんにゃく作り」「ソバ作り」「棚田散策」「林業体験」のグループに分けます。小生が受け持ったのは、「林業体験」の生徒8名、先生1名。40名の中には見るからにやる気のなさそうな生徒もいて、やや不安になったのですが、「林業体験」の8名は、全員が自分から希望したということなので安心しました。森に入ってからは、「木を伐採することは善か悪か?」「木を伐って森を育てる」といった話をしたり、実際に間伐を体験してみたり、ロープワークを教えたりします。この学校のプログラムは、欲張りにいろいろ予定されていて、小生に与えられた時間は、2時間。移動の時間を考えると、正味1時間。ややバタバタでしたが、生徒達は熱心に、また興味を持って、話を聞いたり間伐に取り組んだりしてくれました。中学生や高校生相手の体験学習は、伝えるべきことが十分に伝わったのかと心配するのですが、最後に、「面白かった(^-^)」「一緒に記念撮影してください(^-^)v」などと言われて、小生も満足した体験学習でした。熊本日々新聞の記事はコチラ ↓http://kumanichi.com/feature/minamata/kiji/index.cfm?id=20051122000002
2005.11.22
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芦北町田川のMさんが主催する『山の神祭』に出掛けて行った。『山の神祭』が行われたMさんの山は、広くはないが緩やかな斜面に、4年生の杉が育っていて、普段着で森の中に入れるほど手入れがされている。Mさんは、自分の山で高校生に間伐の実習をさせたり保育園の遠足を招いたりと、森を育てると同時に、子供たちや多くの人に森に触れてもらう機会をつくろうと頑張っている人だ。「山の神」は、山を治め,山仕事をする者を守る神だ。山で仕事をする人は、常に危険と背中合わせであると同時に、山の持つ不思議な力を感じている。そこには独特の信仰がある。それは自然の力に対する怖れであり畏敬の念である。人間は常に自然とともにあり、自然に生かされているという感覚を持ち続けている。今、そうした感覚を持つ人はほとんどいないだろう。人の知恵、科学の力によって自然をも克服できると考えてる人のほうが多いだろう。自然と触れ合うことの少ない現代人のおごりである。山で生きていくのは厳しい。しかし、Mさんのように山を愛し、多くの人に山と触れ合ってほしいといろんな試みをすることは、現代にこそ必要なことだと思う。最近なかなか山に足を運ぶことのない私にとっても、あらためて森づくりの良さを再認識したいい一日だった。しかし・・・・普通『山の神祭』は、1月、5月、9月の16日なのに、なんで『田川の山の神祭』は11月3日なんだろう????
2005.11.03
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昨日に引き続き昭和34年の風景です。今回ご紹介するのは伐採した木を山から引き出す「だし牛」です。これはよく覚えています。人間の力なんてわずかなものですが、さすがに牛の力は相当なもので4,5本もの木をまとめて引いていきます。物凄い迫力でした。ところで、菅生庵「屯」さんのご指摘にもあったように、最近ではキャタピラー付の運搬車が主流になっています。その運搬車を通すために山肌を削って道を造ります。木材を搬出するための林地のダメージは大きくなります。木馬(きうま)は昨日書いたように丸太を並べて木馬道を造るので、林地へ与えるダメージは小さくなります。だし牛で引っ張ると、引っ張った跡がえぐれていきます。繰り返し通ることで大きくえぐれてしまいます。しかし、それでも重機で掘り返した道よりも自然に与えるダメージは小さいでしょう。効率を良くしようとすると、自然に与える影響は大きくなります。ここのところをしっかり考えないと、自然のしっぺ返しを食らうことになります。
2005.08.17
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かなり古い写真です。昭和34年の風景です。なんだかわかりますか?これは木馬(きうま)と呼ばれるもので、木材を運び出すそりです。幅は1メートルくらいで長さが2~3メートルあります。雪の上を走るそりと違い、木馬は木馬道(きうまみち)を滑っていきます。木馬道は長さが1.5メートルほどの雑木を横に並べてつくります。写真は谷間に木材を組んで橋をかけてあるところです。高さ5~6メートルの橋をかける時もあったようですよ。長い棒が1本出ているのは舵棒と呼ばれるもので方向を調整します。一人が舵棒を操りもう一人が後から押します。傾斜がゆるいところは油をぬったり、逆に傾斜がきついところは後をワイヤーで引かせブレーキをかけたりしていたようです。私は経験はありませんが、かなり危険な作業であったことは容易に想像できます。また、特に驚かされるのが、機械のまったくない時代に木馬に木材を載せる技術です。かなり大きな木を積み上げてあります。どうやって載せたのでしょうか?昔の人はすごかった!!
2005.08.16
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