楽しみにしていた今日のこの日。トリノ王立歌劇場のラ・ボエームを観てきました。とめどもなく涙が出て止まらないのでした。こんなに感動したオペラは久しぶりと言っていいくらいです。
友人のIさんが夢倶楽部会員で、夢倶楽部会員のみチケット販売の際、申し込んでもらいました。個人レッスンのS先生にも顔ぶれを見ていただき、フリットリはいい歌手だということ、トリノ歌劇場も素晴らしい大歌劇場だという知識を得て申し込んでいただきました。そして、私はS先生に病気のことで大変お世話になっているので、一緒に先生の分も申し込んでいただいたのです。
先生はイタリア在住の時、ラ・ボエームのミミは代役としていつでも代わって演じられるように、全部暗譜したとのこと。今は忘れましたがね、と笑っていらっしゃいましたが・・・。そういう方がご覧になるとまた素人の見方とは全然違って見えたと思いますが・・・。イタリア語も分かるし。
フリットリは、この人の声じゃないわとおっしゃっていましたが、2幕目以降はだんだん声に張りが出てきて、通る声になってきました。そして3幕。死が近付いたピアニッシモの細い声は最高に美しい声になってきたと私も思いました。自然に涙を誘います。
そして一番出色だったのは、テノールのロドルフォ役。マルセロ・アルパレス。リリックな美しい高い声が会場いっぱいに響き渡り、それはそれは魅力的でした。私はもう1幕の「冷たい手」を歌うときから涙が止まりませんでした。何と素敵なテノール。3大テノールの後継者と言われているそうです。
また、マルチェッロ役のガブリエーレ・ヴィヴィアーニのバリトンも朗朗と響きわたる声。二人の2重唱も心に響きました。
男声は皆良く響く声でさすがイタリアオペラだと感動しきり。
さて、ムゼッタ役の森麻季さん、ファンで大好きな歌手ですが、一抹の不安はありました。清楚な感じのコロラトゥーラ歌手が、妖艶で魅惑的なムゼッタをどう演じるのだろうかと。
やはり役に無理があったと私は思いました。先生は、この役には10年早かったとおっしゃいました。40代になればもっと腹筋も鍛えられ、大きく響く声が出るようになるでしょうに、今やるべきではない、というご意見。細い美しい声がともすると、オケと男声にかき消されそうになり、無理に大きな声を出そうとするとぶれが出てしまうのです。もったいなかったです。もっと適役で歌えば十分外国の歌手に引けおとらない声を持っているのに・・・。でも3幕のしっとりと細い声で歌うところは、フリットリに引けおとらない歌唱でした。
演出も保守的ですが、分かりやすい演出で、観客の涙を誘いました。3幕目ミミとロドルフォの死の間際の、思い出を歌い交わす場面では、しっとりと心に沁みる歌で、体が震えそうになりました。先生もロドルフォ役はもっと演技を勉強しないといけないわね。でもこれで演技もうまかったら嗚咽するところだったわ。とおっしゃったのには、納得がいきました。
もう一つ付け加えると、ノセダの指揮が素晴らしく、連行したオーケストラも素晴らしいものでした。管楽器も弦楽器もぴたりと息があっていました。プッチーニの甘く物哀しいメロディをたっぷりと演奏して、これも感動を呼んだのだと思います。
子どもの合唱を除いてオケも合唱も丸ごとトリノから移動した今回のオペラの上演は、イタリアオペラの醍醐味をたっぷり味あわせてくれました。
何回ものカーテンコール、ほとんど全員のスタンデイングオベーションで幕を閉じました。
会場は東京文化会館。ほとんど満席の状態でした。
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