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南アフリカから帰りました。1/29に第1回目の専門家会議は、南アフリカ各地から19名が集まり、ヨハネスブルグにて開催されました。会議の内容はまた別の機会としますが、南アフリカの滞在期間中で一番大きかった印象は、「社会格差」でした。「社会格差」や「貧困」というと、貧しい側の人だけが大変という印象があるかもしれません。ところが、格差が広がると、それはすべての人たちの暮らし方に影響してしまうのだということを知りました。犯罪などを恐れて1980年代以降に取られた対策は、外部から人が入れないようにする、町自体の「ゲーテッド・コミュニティ」化でした。「ゲートの中の安全」というのは幻想ではないのか?とも思いましたが、あらゆる住宅を取り囲むフェンスには、電線が張られたり、カミソリの刃のようなものがついた鉄条網で覆われているのでした。期間中、ミニバスを運転してくれていた運転手さんに聞くと、だいたい60から150世帯くらいの一軒家がひとつのコミュニティを形成していて、「子どもだけでは絶対に外には出さない」ということでした。誘拐やレイプという犯罪は、都市部、農村部に限らず、とても多いというのです。学校に行くにも、ショッピングセンターに行くにも、すべてが車を利用した「ドア・ツー・ドア」の世界。こうなると、すべての子どもの経験は「どのゲートの中に住むのか」ということと同じように、「お金で買うもの」となっていくのです。日本でもゲーテッド・コミュニティは生まれ始めています。そして、「未知の他人から受ける危害」に敏感な社会が生まれつつあります。南アフリカの社会格差や貧困は、個人の問題なのではなく、社会全体の人々の暮らし方に影響する問題でした。私たちにとっても、「社会格差は、想像を絶するくらいに強烈に子どもの環境を変えてしまう」ということを突き付けられるのは遠い未来ではないのかもしれません。
February 11, 2010
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めだかです。来週の月曜日から、南アフリカに行きます。以前にこのブログでも書いた、子どもの権利条約31条に国連がもっと積極的に動くことができるようにと、IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)がオランダの助成金を取って、世界8カ国で専門家を集めて会議を行うものです。第1回の南アフリカでは、8カ国でファシリテーターを担当する人たちが特別に集まり、実際の進行の仕方などを確認するのです。ところで、今も、空港のあるヨハネスブルグは、多少改善したとはいえ、世界でも治安が最悪の場所と言われています。市内の中心街は、「外国人は昼間でも車から降りてはいけない」と言われているようなところです。そうした中で、各地から仕事を求めて流入してくる人々のスラムが形成されていき、外国資本も郊外に移転しまっているという状況があるようです。そうした中で語られる「子どもの遊ぶ権利」というものがどういうものか、ということをつかんできたいと思います。ちなみに、東京ラウンドは、5月29日(土)開催。その様子は6月中に英語に翻訳され、8カ国で集約された報告が国連子どもの権利委員会への提言としてまとめられる予定になっています。本当は、時間とお金があれば、ライオンやキリンなどに会ってきたいのですが、どうも、そういう時間はほとんど取れなさそうです。残念。でも、季節は夏。夏の空気を吸ってきます。
January 22, 2010
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明けましておめでとうございます。このブログでは、私のお知り合いの方というのが少ないかと思いますが、本年もよろしくお願いいたします。2007年にイギリスから帰ってきたのちに、「子どもの遊びと大人の役割研究会」というものを立ち上げました。私が中心的に関わっているのは冒険遊び場というところなのですが、子どもが遊ぶ環境の大切さが社会で認知されていくようにするには、冒険遊び場のことだけを話していても、分野や業種でバラバラに子どもの遊びを語っていても始まらないと考えたからでした。今までにも、14回ほどの公開学習会やフォーラムなどを開催してきました。前回、イギリスの「ロンドン・プレイ(LONDON PLAY)」と呼ばれる公益法人のことを少し書きました。「すべての子どもが遊べる首都ロンドンを」をテーマにした、ロンドンの遊び環境整備のための公的な広告代理店とでも呼ばれるような組織です。今年、「子どもの遊びと大人の役割研究会」では、「TOKYO PLAY」の設立に向けて活動を始めようと考えています。具体的な方針づくりも、アクションもこれからなのですが、子どもの豊かな遊び環境を目指して、少しでも、より多くの人が動きやすくするインフラとして、広域のワーキングネットを目指したいというのが希望です。「東京」と限定したのは、ロンドンが東京都と政策協定を結んでいることもありますが、「活動別の利益代表団体」という視点ではなく、「広域」という視点から多分野の他団体と協働して解決できる課題が多くあるのではないかと考えたためです。「一般の人が、子どもが遊ぶことの大切さを感じられるキャンペーンをしたい」「実践者・行政・研究者の間で共有できるような、セレクトされたニュースを発信したい」「活動の枠を超えて、実践者の共通する専門性を整理したい」など、いろいろな「したい」があります。スローな立ち上がりで、本格始動はいつになるか、わかりませんが、少しずつ前に進めるようにしたいと思っています。新しい試みを一から始めることになりますので、もし関心がある方や、さまざまな経験からアドバイスをくださる方がいましたら、ぜひ、お声をかけていただきたいと思います。
January 16, 2010
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昨日、「London Play(ロンドン・プレイ)」から、定例のメールマガジンが届きました。「London Play」というのは、イギリス・ロンドンで1998年に作られた法人組織で、「すべての子どもが遊べる首都ロンドンを」というメッセージを掲げて活動する法人組織です。事業としては、子どもの遊び環境や実践をキーワードに「ロンドンという広域で」「分野を超えて」人と組織がつながれるような情報収集/発信やキャンペーン、セミナー、話し合いの場づくりなどをしています(わかりづらいですね…)。ただ、このような機能を持った中間支援は、ロンドンに限らず、東京やニューヨークなど、世界の大都市のインフラとして欠かせない存在だと思っているのですが、そのことについては、いずれ書いていきたいと思います。前置きが長くなってしまいました。さて、メールマガジンですが、政治関係からイベント、求人情報までさまざまなニュースが載っている中に、「Lifetime in Play in London Award 2010」というものがありました。これは、「ロンドンでの子どもの遊び環境の向上に長年にわたって貢献した実践者を表彰しよう」というLondon Playの試みです。すでに今回で5回目になる表彰ですが、この表彰式が、昨年から(みなさんもおなじみの時計塔)「ビッグ・ベン」横の国会議事堂の一室で行われるようになりました。そのため、招待者しか入ることができないのですが、国会議員も招いての表彰式になるようです。子どもが遊ぶことの大切さが社会の中で認知されるようになるには、さまざまなアプローチが考えられますが、このような表彰というものも、「子どもの遊び環境」と「政治」というものをつなぐキャンペーンのひとつの強力な形なのですね。ちなみに、応募基準は、最低25年以上、子どもや若者に関わる分野で活動し、そのうち5年以上、子どもの遊びの分野(プレイワーク)での現場経験があること。最低12年以上、ロンドンで活動をしていること。そして、ロンドンでの子どもや若者のくらしに大きな影響力をもつ仕事をしてきた人。たとえば、東京でこんな表彰をしたら、どんな人が思い浮かぶでしょうか?
December 10, 2009
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めだかです。「子育て応援とうきょう会議」の「市民等ネットワーク形成事業」では、2010年1月15日に青山ウィメンズプラザ(東京)で「協働フォーラム」を開催する予定です。その分科会のひとつとして、子どもといっしょに外に出ることの魅力を感じるための「おさんぽ」を企画しています。今日は、そのための下見に行ってきました。東京・青山というと、「おしゃれな街並みばかりで、緑もなく、遊べるものなど何もないのではないか?」という過程のもと、「東京でもできる子育て!」を求めて、「どんな音が聞こえるだろうか?」「においは?」「遊び心を感じられるものはある?」などをテーマに1時間ほど歩きました。最初、地図で歩く場所を確認してから出発したものの、意外とおもしろいものや場所がありすぎて・・・。ふつうに歩いたら10分もかからないところをぐるぐると回っていました。こんな隙間をみつけてもぐってみたり何故か、やしの木発見!ここはどこ?普通のおうちのカベにこんな飾りが。お店だったの!目的地もなく、おもしろいものを探して歩くのって、こんなに楽しかったのか!と思った一日でした。ただ、子どもの年齢が上がれば上がるほど、思い切り体をつかって、自然に触れながら遊べるところを見つけるのは、たいへんなのかもしれない と思いました。都会には都会の遊び方があるはずだけれど、今日は、それを目にすることはできませんでした。「お金のかからない」「誰でもできる」おさんぽ。公園や施設に行くだけが遊びじゃないんですよね。子どもが遊んで育つまちを「点」でなく、「面」で考えるとてもよい機会でした。
November 26, 2009
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めだかです。最近、引っ越しをしたり、イベントつづきということもあって、なかなかブログを書くことができませんでした。 最近、プレーパークに来るようになった3歳の男の子がいます。その子に「ゴロンゴロンのお兄さん」と呼ばれています。10月にできた赤土の築山でいっしょに遊んだときに、大人が山のてっぺんから転がったのですが、母によれば、「そんなことをする大人もいる」というのが、かなり衝撃だったらしい…。そんなわけで、「今日もゴロンゴロンのお兄さんのところに行く」ということになっているようです。 ヨーロッパも含めて、子どもの遊びに関わる大人の間で大切にされていることのひとつに、「かしこく見えてはいけない」というのがあります。そうでないと、「子どもは大人の顔色をうかがうようになり、大人も求められてもいないアドバイスをしたくなってしまう」と言われています。長年、東京・品川区の児童館・放課後保育で活動されてきた下浦さんが「子どもが自由に自分を表現できるようにするには、安心できる場でなければならない」と言われていたのを思い出します。場が活きるためには、「人」という要素がやはりカギになるのです。 最近の日本冒険遊び場づくり協会の動きとしては、提言書「外遊びの力を次の世代に」の完成や、民主党政権に移ってからの政策に関する集会や勉強会に顔を出したり、事業仕分けの話など、盛りだくさんな状態です。子ども夢基金については、全国の冒険遊び場活動団体の中にも、主要な活動費を頼っていた草の根団体が多いだけに、今後をどう考え、提案していくのかは大きな課題です。 さて、12月1日のイベントのお知らせです。「ソーレンセンの思想と冒険遊び場の誕生」日本冒険遊び場づくり協会では、この半年間での「プレイワーク」「都市の遊び場(復刻版)」「遊びの力」の三冊の関係図書の出版を記念して、公開学習会を開催します。今回の講師、望月 昭(もちづき あきら)さんは、世界で最初の冒険遊び場「エンドラップ廃材遊び場」を1943年に提案したデンマークの造園家ソーレンセン教授のお弟子さんです。ソーレンセンの思想や建築物を通して、遊び場が生まれた背景についても語っていただきます。貴重な機会ですので、是非ご参加ください。定員になり次第締め切りますので、お早めにお申し込み下さい。<3冊出版記念学習会「ソーレンセンの思想と冒険遊び場の誕生」>日時: 12月1日(火曜日)場所: キャロットタワー4階(東京都世田谷区太子堂4-1-1 田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅すぐ)時間: 19時~21時参加費:1000円 (協会正会員・賛助会員の方は500円)定員: 50名 先着順(申し込み方法)FAXまたはE-mailにて件名「学習会申し込み」と必ず記入し、以下の内容でお申込み下さい。氏名、( )年度(正・賛助・購読)会員 個人・団体/非会員連絡先、所属、電話番号、メールアドレス、講師に聞いてみたいこと■特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会 事務局 担当:細見■TEL./FAX. 03-5430-1060 ■E-mail: asobiba@ipa-japan.org
November 19, 2009
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めだかです。東京都に住んでいる方はご存知の方も増えているかと思いますが、東京都福祉保健局を事務局として、「子育て応援とうきょう会議」と呼ばれる行政・企業・市民活動によるよりよい子育て環境づくりのためのプロジェクトがあります。10月25日(日)は、その都民向けイベントが世田谷・駒沢公園で開かれます。その一角(自由広場)を使い、一日プレーパークを開催します。すてきな木立はありますが、ロープ遊具は作りません。その場でトンボ(グラウンド整備に使う道具!)を手作りして、たくさんある落ち葉をみんなで集めて何かやろうかという話をしています。こういうイベントのときはいつも、何をするか迷うのですが、何となくイメージは作りながらも、提供者側とお客さんに分かれないようにしたいと思っています。「遊び」というと、つい、「遊びのメニュー」に走りがちです。でも、「遊ぶ」ということを考えたとき、「遊びのメニュー」が、子どもにとって、必ずしも遊べるとは限らないのではないかと思うのです。以前、「冒険遊び場は、「遊びを支援する」の?」、それとも、「遊ぶことを支援する」の?」と、公園設計の人に聞かれたことがありました。公園設計では、「名詞(たとえば、ベンチ、花時計、ぶらんこ、噴水)」で語ってきてしまった結果、その好き嫌いでしか住民や行政との話が進まなくなってしまったとのことでした。「動詞(○○したい、○○を感じたい)」で語ることで、最終的に具体的な名詞が上がってくるのが大切」というのです。「遊び」にも、名詞はたくさんあります。ぶらんこ、ベーゴマ、ドッジボール、鬼ごっこ、ボール遊び、リズム遊び、工作・・・。けれども、子どもが遊ぶことに関心や責任を持つ人たちは、その裏側にある「動詞」を見ながら活動しているでしょうか?きっと、「動詞」が見えていないと、大人の役割は、ただの「新しいネタ探し」、「うまく「遊び」を導入するためのプログラム」というレベルに止まってしまうのでしょう。10月25日(日)は、実際にどうなるか、お時間のある方はぜひ見にいらしてください。また、今回、日本冒険遊び場づくり協会として、東京都内で活動する冒険遊び場を網羅した「とうきょう冒険遊び場MAP」を作りました。A3表裏カラーのすてきなものができあがりました。イベントの中で配布する予定です。小さな市民活動が元気づけられ、行政や社会一般とのお付き合いを広げていくためのツールになっていくことを期待しています。 とうきょうひろば2009について詳しくはこちら
October 15, 2009
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きのうは、IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)日本支部の運営委員会でした。今、IPA自体は、1961年に「国際遊び場協会」としてスタートし、現在48カ国に研究者・行政職員・中間支援組織・造園/都市計画関係者・プレイワーカー他実践者が会員となっているNGOで、国連のピース・メッセンジャー/ユネスコの諮問機関として位置づいてきた組織です。世界での動きとしては、3年ごとに世界大会を開催しています。次回は、2011年に、政府として「世界で初めて子どもの遊びに関する総合政策」を作成した英国・ウェールズ議会政府の首都カーディフで開催されます。今年、そのIPAでオランダのベルナルト・ファン・リーア財団から助成を受け、来年にかけ、「子どもの遊びに関する世界専門家会議」を実施することになりました。実施国は、南アフリカ、ケニア、ブルガリア、メキシコ、インド、タイ、日本となっています。これは、各国で15~25名の子どもの遊びに関係する専門家を招集し、国連子どもの権利条約第31条にもある「遊びの権利」についての提言を提出しようというものです。第31条は、子どもの生活の質を問うものとして重要な部分でもありながら、世界的にも、忘れられた条文として、今までにも具体的なアクションや方針が生み出されてこなかったエリアと言われています。「権利」という言葉は、日本だけでなく、アジア諸国では特に、イメージや使われ方などに反感を生みやすい傾向がある実情があります。ただ、「権利」という言葉を使うかどうかは別として、今回の世界専門家会議は、子どもが遊ぶということが、生物学的、文化的、社会的にも、人が生きていくうえで欠かせないものであるということが、国連/各国政府レベルで具体的な行動を伴う形で認識されていくことを目指すものです。東京での実施は、2010年の5月になる予定ですが、子育て・学齢期・放課後・長期入院の子ども、その他子どもの声を代表する専門家など、子どもの遊びに関係する各分野から課題を抽出しながら、政策・施策なども含めた具体的なアクションとして、何が可能かを整理したいと考えています。専門家会議のプレ実施が、2010年1月に南アフリカ・ヨハネスブルグで開催される予定で、現地にも参加してきます。関心がある方がいましたら、2011年の世界大会も含め、ぜひ、お声掛けをかけてください。詳細は、近日中に出る予定です。また、東京での実施は、IPA日本支部30周年記念事業の一環ともなるものです。
October 9, 2009
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めだかです。今日も本の紹介になってしまいますが、今月、鹿島出版会(建築・造園系の出版社です)から、『都市の遊び場』という本が復刻されました。日本の冒険遊び場づくりの原点ともなった本です。都市の遊び場新装版今日は、その著者のアレン・オブ・ハートウッド卿夫人の話を書こうと思います。この本は、1968年にイギリスで出版されたもので、1973年に大村虔一・璋子夫妻によって日本でも出版されたものです。著者のアレン・オブ・ハートウッド卿夫人は、第二次世界大戦後、都市計画家として活躍し、その後、世界幼児教育機構の代表も務めた人です。アレン夫人は、1946年にデンマークで見た廃材遊び場(冒険遊び場の当初の呼び名)をイギリスに紹介した後、自ら、ロンドンに「障害児のための冒険遊び場」を設立します。アレン夫人は、「彼らは、何もできない自分の境遇に不幸を感じているのではなく、周囲からは、何もできない人間と思われていることに腹を立てているのではないか」と考え、「自由に遊ばせるなんて無理だ」という周囲の声に反して、土地を探し、資金を集めていきました。この当時の映像が、短いながらも2007年にロンドンで開催された「ロンドン冒険遊び場週間」で映画館を貸し切って公開されました。日本でも特別に譲り受けているものがあるので、機会があれば多くの人に見てもらいたいところです。「実験を恐れるな。想像力は、単純さと手を結んで進む」「心が折れるくらいなら、骨が折れる方がいい」といったアレン夫人の力強いメッセージは、今でも新鮮さを失っていないと驚くばかりです。本については、さすが建築系のものだけに、世界の先進的な遊び場の実例が豊富な写真とともに紹介されています。面白いのは、子どもの遊びにまつわるイプセンやドストエフスキー、シラーなどの言葉が引用され、建築・造園と教育・福祉を結び付ける哲学書としても読めるところでしょう。ふつう、遊びについて書かれた本というのは、(ある意味、仕方のないことですが)どちらかに偏りがちです。けれども、それが、「遊び」に行政や研究者が取り組むことの難しさでもあるのでしょう。「子どもの遊び環境」が社会の課題になるのかどうかというあたりは、この辺の垣根を超える仕組みづくりにあるのだと思います。余談かもしれませんが、最近話題のココ・シャネルが自分の考える女性の生き方をデザインに表現したのと似ているような作業を遊び」「遊び場」として表現していくことの積み重ねが必要なのかもしれないですね。
September 24, 2009
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日本冒険遊び場づくり協会の嶋村です。最近、子どもの遊びに関わる活動の評価をどうするのか、という話があちこちでされることがあります。先日も、児童館職員有志の勉強会に参加していたところ、そういう話題になりました。特に近年の指定管理者制度導入の動きの中で、次の指定管理契約を確実にするためにも、「来場者数」を稼ぐために、イベントの数を極限まで増やし、いかにイベントを詰め込むかに必死になっている運営者と、その下で働く職員たちの実感のギャップが広がっています。来場者数の多さも、苦情や事故の少なさも、見た目では大切な要素ではあるものの、来場者数が多ければ質が高いかというと、実はそうでもないのです。「子どもの視点から見たときには、人数が多すぎると、遊び場として機能しなくなる」という視点を持っている行政の方もおられますが、なかなか少数派のようです。また、以前からも指摘されているように、それ自体が資産を生み出さないと考えられている子どもの活動や施設では、「いかに予算を減らすか」ということが最重要課題となっているため、「研修費は必要ない」というところもあることがわかっています。みなさんにも伺ってみたいのですが、「来場者数」「イベントの数」「事故や苦情の数」など以外に、「子どもが遊ぶ場としての実践」の質を評価でき、行政や社会一般の人たちとも共有できる「軸」には、どのようなものがあると思いますか?これは、子どもが遊ぶ場に関わる仕事をしている人たちが力を合わせて作り上げていく必要のある課題でもあると思います。そして、以上のような現状を把握するための調査研究も必要でしょう。ちなみに、労働組合の発達しているイギリスでは、行政区単位/その中での職場単位の組合ではなく、業種別の単位として、「プレイワーカー・ユースワーカー・コミュニティワーカー組合」というものが存在していました。組合という形態だけが、働く人たちの現状を突破できる手段だとは思いませんが、多くが非常勤雇用で働き、「官製ワーキングプア」の象徴でもある「子どもが遊ぶ場に関わる大人たち」が言葉を持ち、手段を持ち、声をあげられるようにしていく必要があると考えます。
September 17, 2009
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嶋村です。私事ですが、前回のブログにも書きました『プレイワーク 子どもの遊びに関わる大人の自己評価』が、ついに出版のはこびとなりました。出版社からの初めての出版だったので、できた本を出版社で見せてもらった時は、感動的でした。出版社の方から「どうですか?」って聞かれて、何て答えてよいものか迷ったのですが、本づくりをする人にとっては、「手に取ってみたときの存在感」「目に飛び込んでくる感じの全体感」というのが、売り上げにつながるだけではない、本づくりの冥利に尽きるという話でした。その点からいっても、なかなかかわいい本ができたと思っています。ところで、昨日、私のいる冒険遊び場(プレーパークむさしの)に、全国建設研修センターからの視察がやってきました。北海道から九州まで、各地の行政の公園管理や設計の方たちが30人ほど、遊び場を見ていきました。さすが、他の部署とはちがい、外で仕事をされているだけあって、作業ズボンを始め、とてもラフな服装の方たちでした。話の中心は、「管理責任や日々の危険管理をどう整理するか」「利用者も日々の遊び場の風景を作る一員として関われる工夫」などについてでした。冒険遊び場というと、、「危なっかしいところ」という印象もあるようですが、危険管理のための日々の点検表なども見てもらい、「危険を提供するには、素人以上の危険管理能力を伴った実践が必要」という認識を確認してもらいました。多くの冒険遊び場では、ハンモックのような遊具もプレーリーダーとその日に遊びに来ている母たちといっしょに作られていきます。そうした関わりあいを作る運営ができることで、市民が公園に愛着を持てるようになるということがとても大きいのですが、「管理する」という視点を超えた公園づくりに新鮮さを感じられて帰った人が多かったように思います。そして、東京はまだしも、地方都市においての一番の課題は、「人をどう養成するか」ということのようです。プレーワークのように、「まちづくりの視点」、「危険管理や遊具づくりなどの技能」、「遊ぶことを通した子どもの福祉」という要素を横断的に併せ持つ人の養成は、「保育」「造園」「コミュニティワーク」といった単独の分野だけでは、なかなか難しいものです。けれども、そうした他分野の関心を同じ土台に乗せていくことができるようなしかけ作りが、今、求められているのではないかと思っています。今後も、そうした課題を解決するための提案を探していきたいと思います。
September 10, 2009
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めだかです。この2年ほど、東京・練馬区にある冒険遊び場のプレーリーダーが集まって、勉強会をしています。テーマは、「子どもの遊びに関わる仕事の内容やあり方を言葉にする」ということです。そのことは、一般社会の人たちに向けてということもありますが、このような分野にこれから関わろうとする人たちに対して、どのように伝えるのかという点でも、重要な意味を持っています。このことは、保育士や教員、介護職など、人と関わる様々な分野でも共通でしょう。今年のテーマは、「この職業に就いてからの育ちの歴史を語る」というものです。「人には、それぞれの思想に歴史がある」のだとすれば、子どもに関わる仕事に就く人たちの価値観にも、歴史があるのだと思います。人の成長や育成を考えていく時には、ただ資格制度があればよいのではなく、それぞれの価値観の育ってきた歴史に触れ、寄り添っていくことが欠かせないものであるはずです。そこで、今は、一人一人がプレーリーダー職に就いてからの年表を作り、それについて語り、他の人との共通点や傾向、自分自身の気づきについて、掘り下げていっています。面白いのは、場やきっかけに違いはあるものの、共通点もかなり見えてくるということです。また、今年出版された子育て支援者コンピテンシー研究会編著の『育つ・つながる 子育て支援』(チャイルド社)にも見られる「コンピテンシー」という考え方は、今後のこの分野での人材育成を考える上で、大きな役割を果たすと思われます。育つ・つながる子育て支援ところで、来月初旬になる予定ですが、本を出すことになりました。イギリス・ウェールズで子どもの遊びに関わる「プレイワーカー」が集い、プレイワークのあり方と価値を整理した本の訳書『プレイワーク 子どもの遊びに関わる大人の自己評価』(学文社)です。関心のある方は、ぜひ手にとってみてください。
August 27, 2009
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お盆休みは、みなさま、どのようにお過ごしでしたか?今年は、素人ながら、北アルプスの山に登りました。「雲の上の稜線の道は危ない場所ばかり」ということが、改めて新鮮でした。管理責任に追われる大人の世界で難しくなっている子どもの遊び空間の危うさは、次世代の大人がさらに次の世代に危険との付き合い方を伝える力にどう影響するのかな、ということを考えていました。写真は、「太陽で線香花火」。めだか
August 20, 2009
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松田妙子さんから「書いてみない?」と紹介されました。名前は、嶋村仁志です。最近、「子育て応援とうきょう会議」のNPOネットワーク形成事業でご一緒させていただいてます。ふだんは、冒険遊び場でプレイワーカーの仕事をしています。一昨年から、子どもが遊ぶことの大切さを社会で取り組んでいくことと、そこに関わる様々な立場の大人のあり方を探るために、「子どもの遊びと大人の役割研究会」というものを始めました。IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)というNGOの関わりから、近年のイギリス政府の子どもの遊びに関わる政策やキャンペーン、中間支援組織のあり方などを調べています。少しずつ、いろんなことを書いていけたらと思います。よろしくお願いします!
August 13, 2009
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