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2022/01/23/日曜日/朝から寒い曇天
〈DATA〉
株式会社文藝春秋/李琴美
2021年6月25日第1刷発行
第165回芥川賞受賞
〈私的読書メーター)
〈昨年の芥川賞作と思い出すまで、YA小説は久しぶりと読み進めた。著者は台湾出身で独学で日本語を学び2017年来日。えーそんな短時間で日本語で、更に先島らしき言語も駆使してノロの世界を創造したのか。主人公の記憶を無くした宇実のように大変な勉強家で努力家だ。地理的状況は物語後半で明かされるが、車や太陽光発電パネルが島にもたらされても時代特定できないのがユニーク。寄せる波のように繰り返される歴史、災害、パンデミックとマイノリティへの目配せがパラレル感を読み手に与える。鳥葬など上橋菜穂子的文化人類学テイストも。〉
台湾はじめ南沙諸島辺りは、人も風景も穏やかで優しい感じがする。時に『首里の馬』みたいなとてつもない台風が来るけれど、確かにその傷跡は残すけれど、過ぎ去ればどこまでも青い空があっけらかんと広がるのだ。
沖縄本島を訪ねたほんの3年ほど前、人のいない砂浜で立派な紳士と娘さんらしき人が夕なずむ海に向かい、膝まづいて祈りを捧げる姿に出会わせたことがあった。
しんとして威厳があって、信仰というものが太古からこうして続いて来たのだと、こちらも居ずまいを正したことだった。沖縄とその周囲は祈りの島々だ。台湾の道教のお寺とは明らかに違う。神道の最も古い姿を留めているのではないかと直感された。
彼岸花の咲く島で、島生まれの少女と島に打ち上げられた記憶の無い少女がノロになるために女語を学ぶ。
ノロは島の歴史を語り継ぎ、薬草作りや葬儀祭事、神事を司る女性の集団だ。彼女たちの鉄の掟で小さな島は原始共同体のようなまとまりを持ち平和に暮らして来た。二人の少女も自らの意思でその道を歩み出す。
ニライカナイの解釈が私には腑に落ちなくもあったが、著者の母語ではない言語という挑戦に拍手したい。
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