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2022.04.11
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カテゴリ: 映画➕アルファ
2022/04/09/土曜日/晴天

2020年公開映画
モノクロフィルムが、1960年代ソビエトを活写する。

監督は今年85歳になるコンチャロフスキー。複雑で理解し難いソビエトロシア。今のウクライナ国境にほど近い辺境から捉えたその近現代史を、詩情豊かに多声で響かせた。

主人公リューダは共産党組織の地方委員会幹部で、スターリニズム真っ只中に成長した真っ直ぐなコミュニストである。

彼女の一見白系ロシア人風貌からは結びつきづらいが、彼女の父はコサック兵であることが映画の経過とともに理解される。

コサックを含むタタール系アジア系モンゴル系など多くの民族グループはかつて辛酸を舐めた歴史的背景をもつ。そのロシア帝国で、革命によりみな労働者として平等であり、労働者自らの自由な自治に基づき人類のユートピアが築かれる筈だった。

少なくとも彼女リューダはそれを信じて疑わず、真っ直ぐ生きて来た。が、その一方で彼女の地位故に長蛇の列に並ぶこたなく容易く、垂涎のラトビア産チーズもルーマニア産サラミも手に入ることには鈍感で、自前の事と理解している矛盾に無知である。

コサックであることの誇りと父祖的豊かさを体現する老人の父、自由で民主的な未来を体現する娘。その狭間で現実として立ち現れるソビエトの結局極めて古臭い因習に満ちた体面重視の社会システムを前に、同志ではなく個人が名前を持ち名前で交流することがどういうことか、監督はピアニッシモで問う。

硬直したこの国に老監督が見せる一コマ。
ドン河の、おそらくコサック民の子どもと馬の素晴らしく詩的な場面。その水につかり顔を洗うリューダの洗礼。今のロシアにも希望を告げてはならないのだ。世界が美しいことを知るのであれば。





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最終更新日  2022.04.11 07:33:58
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