吐く息が白くて
やかんみたいや、おれ
そう思いながら
冷たい手に
ダンボールを抱えて
公園に入っていった
待ち合わせの木の下のベンチに
リトルが
「おお~~い」と
手を振っている
奴の鼻から少し水がでてる
「おっ、こんだけかよ~」
「うん、少しずつ集めればええやん」
「ワッキーは?」
「今、缶ジュース買いにいってる」
いいながら
ダンボールを置いた
リトルは
ダンボールを足でけりながら
カタさを確かめている
「まだ、いるかな~」
「まだまだいるに決まってるやろ」
「この前、テレビで見たら公園で住んでるおっさんらの
見たけどかなりいると思うで」
ワッキーが缶ジュースを
抱えてどすどすと走ってきた
「お」
「うす」
無口で片言どころか
一音くらいしかしゃべらない彼の挨拶
もう慣れっこだ
もそもそと
ガムテープを取り出し
どさっと置いた
缶ジュースをのみながら
木の端切れで
地面に書き出した
「こんなんどや?」
「もっと、長くないと
寝られへんで」
「オレは寝れるけどな」
リトルは笑いながら
「ワッキー寝れるスペースちゅうたら
かなりいるで」
「そやなぁ・・・」
ワッキーは無表情で
黙って缶ジュースを
飲んでいる
「コッコお前でかすぎるねん
細いさかい、九の字でねたらどうや」
あぁでもない
こうでもない
中学生のええ年の男子が
地面で絵を描いてるなんて
同級生の女子にばれたら
恥ずかしい光景やなぁ
「おしっ!今日はここまで仕上げるか!」
ガムテープに
ダンボールを組み立てて
どんどん作業をする
意外と
時間かかりそうだぞ
こりゃ
「何日かかるんかな~」
「製作日数1ヶ月かかるで」
「ええ?おれ嫌やで。なっ!ワッキー」
もそもそ動くワッキーの肩を叩いた
何の反応もなく
作業をするへんな奴
「今日はここまでにしよっ」
床らしい感じは出ている
「おっ?ええで~」
リトルはころんと寝転んでみた
「なんか、棺おけみたいやな」
先月亡くなったおじいちゃんの
棺おけがふとよみがえった
「気色悪いこというなや」
すばやくリトルは
オレの妄想を打ち砕いた
「よし、そんなら明日どうすんねん」
「補習終わったら、正門集合や」
電灯に明かりが
同時に点いた
(ちゃりんこで来たらよかった・・・)
小走りに
家に走って帰った
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