BARBARA MASON / PLAYING WITH MY FEELINGS LP(WMOT 37060)'80
フューチャーズとの 「We Got Each Other」
など良質な甘茶ソウルを残しているバーバラ・メイスンの80年のアルバム「A PIECE OF MYLIFE」収録曲。このアルバムのプロデュースはBUTCH INGRAMという人で、調べると「U.S.BDG 究極のLPコレクション - グループ編」の「GALAXXY FEATURING RON AIKENS (POP ART 8784)'82」のプロデューサーでもある。このアルバムはBARBARA MASONも参加しているなど何故か結構製作陣がかぶってます。
DYNAMICS / VOYAGE THRU THE MIND LP(BLACK GOLD 5001)'73
「癖の無い爽やかな甘さ DYNAMICS / WHAT A SHAME」
として紹介済みのダイナミクスのセカンド・アルバム収録曲。「心の航海」ってな感じのこの曲もやはり癖の無い爽やかな甘さが魅力的。他の曲と比べて、よりスマートで洗練された曲調ですね。タイトル通りスケールの大きさを感じさせ、聴いた後で心が広くなり視界も大きく開けたような気分にさせてくれます。
因みにこのアルバムは全曲、プロデュースは多くの甘茶ソウルを手掛けているPAUL RISERで、作曲はRONNIE SHANNONという人。調べてみるとこのロニーにはアレサ・フランクリンのヒット曲を作った経歴があるようですが、一枚のアルバムにこれだけ多くの良曲を作り上げるとは実に素晴らしい才能の持ち主ですね。因みに日本盤ライナーによると格好良いモダンダンサー 「Ronnie LaShannon / Where has our love gone」
は彼の改名盤だろうとのこと。もっともっとこの時期の彼の作品を聴いてみたいものですね。
EBONYS / YOU'RE THE REASON WHY (PHILADELPHIA INTERNATIONAL 3503)'71
FIRST CLASS / COMING BACK TO YOU (ALL PLATINUM 2372)'77
スウィートソウルの中心地ニュージャージのソウルグループのヒット曲。プロデューサーにもGEORGE KERRとSYLVIA ROBINSONという巨匠が名を連ねており、まさしくスウィートソウルを代表する曲と言えます。こってりと濃密で甘く優しい唱法に、キャッチーで大甘なメロディを持つ泣き節曲。アナログな電話のベルが鳴り、女性へ語りかけていくという設定の凝った作りの曲。途中に電話オペレーターの声が入ったりと、こうした擬音が入るというのも甘茶ソウルの特徴の一つで、甘いムードや臨場感を出すのに一役買っています。アルバム「FIRST CLASS (SUGAR HILL 255)'80」収録のアルバムバージョンでは出だしにコイン投入、ダイヤル回しなどの擬音も入り、よりムードが出ています。
JIMMY BRISCOE & LITTLE BEAVERS / MY EBONY PRINCESS LP(PI KAPPA PK-600)'75
U.S.BDG #321、甘茶ソウル百科事典MOONY'S SELLECT 010選出の甘茶ソウル名盤アルバムのタイトル曲。プロデュースはポール・カイザーで彼の手腕がいかんなく発揮された見事な作品。暗く物悲しい曲調だけど甘く劇的に盛り上げるサウンドアレンジが素晴らしいですね。特にグロッケンの控えめな響きが曲の悲しさを増幅させてる感じでいい。リードもそれを盛り上げるコーラスも良い意味で幼さを感じさせ、青い果実的魅力に溢れています。サビ含めて全体のメロディも素晴らしいんだけど、途中に語りを入れたりと小技も効いています。このタイトル曲以外にもアルバムには「FOREVER」,「I ONLY FEEL THIS WAY」といった名曲が収録されていてお勧めです。
シカゴ/CURTOM時代の曲がフリーソウルものとして人気のグループのそれ以前にCHESSに残したシングル・オンリー曲。リードがこってり、ねっちょりと歌う大仰なバラードタイプの曲だけど優雅で甘美なストリングスも絡み甘茶な内容です。最大の聴き所は最後の最後に満を持して入るタイトル「GIVE A LITTLE LOVE」のコーラス部分。この最後のわずかな盛り上がりが実に素晴らしい。器の大きな包容力というか全てを許す許容力というか、温かみの有る深い安堵感を感じさせてくれる至極のフレーズです。このように最後の最後で盛り上がるパターンの名曲としては ROZETTA JOHNSON / HOLDING THE LOSING HANDS
が有りますが、このナチュラルフォーの方は、あっという間に終わってしまいます。せめてROZETTA JOHNSONのように30秒ぐらい続けて欲しかった所ですね。これはタリバンによるバーミヤンの大仏破壊級の世界的文化遺産の損失と言えましょう。録音自体はもっと長いものだったのでしょうから、何とか発掘し長いバージョンを世に出して欲しいものです。
AL HUDSON & THE SOUL PARTNERSの改名後のバンド、ワンウェイのアルバム(U.S.BDG #518)タイトル曲。 「AL HUDSON & THE SOUL PARTNERS / MY NUMBER ONE NEED (ATCO 7011)'75」
とどこか共通項を感じさせるミディアム甘茶ソウル。アル・ハドソンのしゃがれた味のある声と肯定感に満ちた、ひた向きな唱法に好感が持てます。お涙頂戴的に切なく迫るコーラスは反則ギリギリの荒技で、どちらかと言えば情感的には淡白に歌っているリードにも物悲しい雰囲気を分け与えている感じです。ウォーキング・テンポでド・ド・ド・ドと調子を付けるベースラインも特徴的で、べっちょりと甘く悲しいだけに終わりがちな曲にメリハリをつけていてイイ感じ。踊れる曲ばかりかかっているクラブでこんな曲がかかったら新鮮で面白いかもね。
SWEET BERRY FEATURING L.C.JACKSON / DON'T LET GO (RETTA'S 001)'77
この曲はGOLMINEからの歴史的名コンピ 「THE ESSENTIAL SWEET SOUL COLLECTION」
にも収録されていました。ミシシッピ州のレーベルでサウンドは南部のオーソドックスなディープ・バラードを思わせるもの。リード・ヴォーカルも基本的に非ファルセットなのでトロトロの甘さという訳ではない。然しながら優しくオブラートに包み込む「ウゥーウゥー」や切なく「DON'T LET GO」と繰り返すファルセット・コーラスが秀逸で曲に適度な甘さを添えています。ダイナミックに盛り上がるサビのメロディ、泣きの入ったリードの唱法もいいね。後半には我を忘れたのかのようにファルセットも交えて大いに盛り上がります。ちょっと大人向けのセミ・スウィートって感じでしょうか。いかした名前のグループ名もゲスト参加のL.C.JACKSONも共にこの1枚だけしか残せなかったようで儚いですねえ。
ザ・キングトーンズ&マリエ / TOUCH ME LIGHTLY LP(東芝EMI ETP-80042)'78
「グッド・ナイト・ ベイビー」のヒットで知られる60年代から活躍している日本のヴォーカルグループの78年のアルバム「RESURRECT」収録曲。山下達郎制作曲として知られ、山下達郎自身やNick De Caroによるカバーもあります。実を言うと長らくこの曲を歌っているのがあのキングトーンズではなく別のアメリカの黒人コーラスグループだと思っていました。つまりそれ程本場のスウィートソウルと判別不能なぐらいグレイドの高い素晴らしい出来の曲だと思うのです。イントロのエコー感のある太いベースに軽やかで透明感のある女性コーラスで一気に奥行きの有る大人の甘い空間を演出し、続いて高音域の伸びやかで甘く味わいの有るヴォーカルが続きます。山下達郎の作るメロディラインも美しいうえに胸をキュンとさせるものがありますね。達郎のセルフカバーと聞き比べてみてもアレンジ、ヴォーカルとも断然キングトーンズ版の方に魅力を感じます。日本産スウィートソウルの最高峰に位置づけられる素晴らしい作品だと思いますね。