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私の好きな甘茶ソウル(9)
MY FAVORITE SWEET SOUL (9)



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マニアック甘茶ソウル@YOU TUBE



【 甘茶偏差値 65

IMAGE / SPELLBOUND (JANUS 201)'72

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たった2枚のシングルしか残さなかった恐らくフィラデルフィア近辺のグループのシングル曲。甘茶ソウル百科事典 BILLY'S SELLECT 037版。作詞作曲は自ら優良甘茶ソウルを複数歌っているBARBARA MASON嬢でアレンジはフィリーのNORMAN HARRIS。B面などのクレジットなどからもバックを務めているのもフィリーの面々と思われます。曲は「SPELLBOUND,SPELLBOUND,SPELLBOUND OVER YOU~」(あなたに魅せられて)という悲しみに満ちたサビが特徴的な甘茶ソウル。かなり泣きの入った暗めの湿った曲調で日本の演歌あたりをも彷彿させる内容。従って個人的にはあまり好きな内容ではないのだけれでも完成度は高く人気の甘茶ソウルですね。リードのファルセットもなかなかのもので、もう少し明るく甘い曲も聴いてみたかった。もう一枚のシングル曲 「Betcha Didn't Know」 も良い出来なんだけどやっぱり暗いんだよねー。

「YOU TUBE」 で聴けます。

INDEPENDENTS / IT'S ALL OVER LP(WAND 696)'73

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シカゴのヴォーカルグループ「独立者達」の2NDアルバム「Chuck, Helen, Eric, Maurice」収録曲。当時は日本盤LPも出てたみたいですね。同アルバムには THE FIRST TIME WE MET という優良甘茶も収録されています。曲はかなりゆったりとした甘茶ソウル。全体として感じるヒヤリとしていて洗練された空気感はなるほどシカゴ産という感じでアレンジはトムトムが担当。バックで延々鳴り響く感傷的なオルガンの音色が特徴的で効果的。そこにピアノや温かみのあるホーン、優しく柔らかな女性コーラスなどで盛り立てています。語り混じりに情感深く歌い上げるリードもなかなかだけどメインは繰り返し歌われるタイトルコールですかねえ。

「YOU TUBE」 で聴けます。

INDEPENDENTS / THE FIRST TIME WE MET LP(WAND 696)'73

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「独立者達」とでも訳すのでしょうか、シカゴの男女混声4人組コーラスグループの2NDアルバム収録曲。 SOUL TRAINでこの曲を歌っている映像 を見ると、女性はコーラス担当のようですね。この編成はちょっと珍しいかも。

タイトルからこの曲が「男女の初めて出会った頃」について歌ったものだということが分かりますが、恋愛初期のときめき感、甘酸っぱくなるような想い出、純朴で瑞々しい気持ちなどがよく表れたメロディが秀逸ですね。時折ファルセットを交えるリードのかすれぎみの歌声もなかなかの味わいだし、優雅なストリングスの入ったサウンドも甘く、気品漂い好内容。別れ話とか離婚話とかが持ち上がって修羅場化してる男女がこの曲を聴いたら、思わず仲直り出来ちゃうかも。

INTRUDERS / I WANNA KNOW YOUR NAME (GAMBLE 2508)'73

INTRUDERS  I WANNA KNOW YOUR NAME 2.jpgINTRUDERS

フィラデルフィアのグループ、イントゥルーダーズの73年のヒット曲でアルバム「Save The Children」収録。生音の響きを活かしつつも華やかな雰囲気を持ったバックサウンド、温かみのあるコーラス、そしてとぼけた雰囲気のリードヴォーカルが特徴的。「君の名前を知りたい」なんて恋愛初期の純粋な想いと牧歌的で平和な雰囲気漂う空気が如何にも70年代初期という感じでイイのです。メロディも分かり易いので70年代スウィートソウル及びフィラデルフィア・ソウル(略してフィリーソウル)の入門篇としても最適ですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。なお同じく「YOU TUBE」にある WHISPERSによるカバー版 を聴いてみると、バックの音は一聴すると豪勢になっているものの変に機械臭が漂い、クセの無いヴォーカルも味わい・引っ掛かりに欠け、全体として洗練されたムードも却って味気無いものになっています。ここの部分が70年代スウィートソウルと80年代以降のR&Bとの大きな違いなのですが、イントゥルーダーズ版により魅力を感じられるかどうかが甘茶ソウル中級篇への試金石となっていると言えるでしょう。

ISLEY BROTHERS / I ONCE HAD YOUR LOVE(AND I CAN'T LET GO) LP(T-NECK 37080)'81

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70/80年代黒人音楽を代表するヴォーカル&インストゥルメンタル・グループのアイズレー・ブラザーズ。本国アメリカではEARTH,WIND&FIREと並ぶほどの人気だったとか。彼等の経歴は古く、実に多くのアルバムを残しています。ファンクにもスウィートにも良曲が多く、それらをそれぞれ 「GROOVY ISLEY」 , 「MELLOW ISLEY」 として纏めたフリーソウル橋本徹氏監修のベストアルバムも出ています。彼等のスウィートものは他にも良曲があるので必ずしもベスト選曲とは言えないけれど初心者の方にはまずは無難な内容かも。

T-NECKでの通算19枚目のアルバム「GRAND SLAM」収録のこの曲は、甘く淡い空間的拡がりを感じさせるバックサウンドが特徴的なスウィートソウル。冒頭のコーラスの第一声がなんともムーディーで洗練された大人の甘い恋愛世界を思いおこさせます。全体に流れる穏やかで上品な空気にソフトなヴォーカル、そしてムードだけじゃなくしっかりと内容の伴ったきれいなメロディラインが素晴らしいですね。かなり高品質な内容ですがヴォーカル含めて取っ付き易いクセの無い内容で甘茶ソウル初心者の方にもうってつけかと思います。 「YOU TUBE」 で聴けます。

ISLEY BROTHERS / LOVE MERRY-GO-ROUND LP(T-NECK 37533)'81



アイズレー・ブラザーズの81年のアルバム「INSIDE YOU」収録曲。 「メリー・ゴー・ラウンド」 は甘茶ソウルの大事なキーワード。この曲も速度的には行進曲タイプですがタイトルからも十二分なほどの甘さが伝わってきますね。華やかなイントロ後に迎えるAメロは胸をキュンとさせる甘さと品の良さ、メロディ・ラインの美しさを感じさせます。加えてアイズレーは超一流グループが醸し出すキャッチーさも兼ね揃えているところが、他のマイナー甘茶グループとは一線を画すところですね。ストリングスを交えたサウンドも洗練さと甘さ、そして軽やかなグルーヴが共存した素晴らしいもの。

フリーソウル橋本徹氏監修の2枚のベストアルバム 「GROOVY ISLEY」 , 「MELLOW ISLEY」 のどちらにも収録されていないことも、彼らの奥深さや長い経歴とその偉大さの証左と言えるかもしれません。

「YOU TUBE」 で聴けます。

JATO VON DEL / JUST A FEW STEPS UP THE ISLE (MR.G GREGORY 5547)'72



アルバムは残してないけど、数枚出したシングルがどれも素晴らしいアーチストというのが甘茶ソウル界には複数いますが、このJATO VON DELもその一つ。一体どう発声するのか、そもそも人の名前なのかグループ名なのか等と謎めいていますが、GREGORY RECORDSの住所をみるとヴァージニア州のアーチストみたいですね。

その認知度に反比例して曲の方は実にキャッチーで、例えば 「CASCADES / THE LAST LEAF」 のように、如何にも日本人の琴線に触れるかのような情緒的で郷愁を誘うメロディが素晴らしい。温かみのあるバリトン・パート、感情の昂ぶりが感動的なファルセット・パート、それらを優しく盛りたてるコーラスとなかなかのコンビネーションです。

因みに個人的には「ジェイト・ヴォン・デル」と発声していましたが、「イアート」(イタリアの地域名)、「フォン・デア」(ドイツ語)、「ファンデル」(オランダのホテル名)などを参考に新たに「イアート・フォン・デア」又は「イアート・ファンデル」という呼び名を提唱したいと思います。

「YOU TUBE」 で聴けます。

JATO VONDEL / SMALL TOKEN OF MY LOVE (GREGORY 5549)'73

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72年と73年にシングル3枚だけしか残さなかったけど、どれも質の高いことでマニアには人気の歌手の甘茶ソウル。米東部バージニア州の人のようです。どう発声していいのかよく分からない名前なんだけど、おそらくソロ歌手名と思われ。JATO VON DEL名義でも出てるけど、こちらはJATO VONDELとミドルネームがくっついてます。そうなると、「イアート・ファンデル」又は「イアート・フォンデル」と呼ぶのが相応しい気もします。既に JUST A FEW STEPS UP THE ISLE を紹介済みですが、73年のこちらの曲も同レベルの良質な甘茶ソウル。やはり日本人の琴線に触れそうな甘く優しく味わい深いメロディが素晴らしい。サビの心が洗われるような感じは CHI-LITES / COLDEST DAY OF MY LIFE に似てるかも。

「YOU TUBE」 で聴けますが、こちらの動画ではJATO VONDEL & GROUPとして紹介されているので、やはりJATO VONDELは個人名っぽいですね。

JERRY WARREN / I REALLY LOVE YOU (LATOSIA 1001)'86

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86年作でディープ臭漂うバリトン・シンガーの歌うスロウ。「CURTIS MAYFIELD / TRIPPING OUT '80」風の特徴あるベースラインを中心としたとてもシンプルなサウンドをバックに、控えめで透明感のある女性コーラス、ストリングスを伴い、ひたすら絶唱しまくるバラードです。ファルセットも男性コーラスも無し+絶唱ということで甘茶ソウルっぽさは薄い。然しながら冒頭に入る長めの甘い語りとトローリとしたギターなどで甘くコーティングされており、成る程テリー氏が絶賛するだけの何かを感じさせてくれる。

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JIGSAW / YOU BRING OUT THE BEST IN ME (Elektra E-47401)'81



「スカイハイ」の大ヒットで有名な70年代中心に活躍したイギリスの4人組白人グループの81年のシングル曲。曲はスタイリスティックスやブルーマジック辺りを彷彿させる売れ筋甘茶ソウル仕様のバラード。所謂ブルーアイドソウルと言えますね。日本盤シングルも出ていて邦題は「愛の贈りもの」。シンセを使ったイントロのしっぽりとした雰囲気が独特でなかなか効果的。リードはファルセットでこれが甘茶ソウルを感じさせる最大の要因かと。そしてサビのキャッチーな盛り上がりはなかなかの出来栄え。プロデュースと作家のFindonとMyersは79年のノーランズの大ヒット曲「ダンシングシスター」のコンビでもあり流石キャッチーな曲を作るなという感じ。甘茶ソウルファンの話題に上ることもない隠れた名曲と言えそうです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

JIMMY BRISCOE & THE LITTLE BEAVERS / I'LL CARE FOR YOU (PI KAPPA 700)'75

JIMMY BRISCOE LITTLE BEAVERS I'LL CARE FOR YOU.jpg

甘茶歴も長くなると、ちょっとやそっとのオーソドックスなスウィートソウルにはピクリとも反応しなくなってしまうのが悩みの種。それは在り来たりの男女のノーマルなAVを見ても何も感じなくなってしまうのと同じ事。そんな悩みをお持ちの貴方にお勧めなのが、このポールカイザーPによる青少年グループのシングル・オンリー曲。グループ名に「リトル」が冠されていることからも判る通り、少年~青年ばかりを集めた将にティーンエイジ・グループなのです。

未だ青い果実の、熟す一歩手前の頃の青少年の持つ未完成で瑞々しさ、甘酸っぱい色香を感じさせる歌声。そんな妖しい歌声で大人の愛の世界を艶やかに歌い上げるその様に、フェチ無しでは何も感じなくなってしまったオヤジのハートは胸高鳴るのであります。更にあたかも女性かのようなファルセット(裏声)を使って切々と歌う様や感極まったかのような遠吠えを発する様は、まるで女装少年(但し二次元に限る)が屈強なならず者オヤジにイケナイ事をされている(*注)かのようでフェチ度満点です。EDでお悩みの貴方、こんなフェチ度の高い「おとこの娘」甘茶はいかがでしょう。 「YOU TUBE」 で聴けます。

【注:具体例】 同人誌 『ツイてる☆アイドル(成沢空)』 におけるアイドルマスターの女装アイドル、秋月涼くん

J.R.BAILEY / SHE CALLED ME LP(MAM 9)'74

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甘茶ソウル百科事典P.66,MOONY'S SELLECT 002。74年のアルバム「JUST ME'N YOU」収録。2007年現在容易に入手可能なようですが、私の手持ちはこのお皿が未だ高嶺の花だった95年に何故か小山田圭吾主催のトラットリア・レーベルから日本盤化されたもの。解説はフラミンゴの御三方でJRベイリー=ヅラ説などをいつもの調子で展開しています。不安を煽る不穏な雲の感じがシュールでイイ雰囲気な表ジャケも素晴らしいアートワークですが、裏ジャケのごく自然な写真も実にカッコいいのです。

曲は雷の音、語り、テレフォントーク、タクシー、キッス等など擬音てんこ盛りのドラマ仕立ての大河甘茶。延々繰り返されるバックの「ルルル」コーラスや「SHE CALLED ME」というコーラスで全体がコーティングされた甘く切ない雰囲気が魅力的。それらの上で風に乗って彷徨うかのようなJRベイリーの高揚感ある軽やかなヴォーカルもイイ感じ。トーク部分は何度も聴くと飽きてしまうんだけど、最後にもう一度ちょびっと入るヴォーカルが実に粋ですねエ。こういうのを聴くとヴォーカル・オンリーのヴァージョンも聴いてみたくなってしまいます。作詞作曲はKEN WILLIAMS/J.R.BAILEYなので甘茶名曲「NORFOLK / DON'T ASK ME」と同じですね。ダニー・ハザウェイで有名な「LOVE,LOVE,LOVE」の方は作詞作曲が逆でJ.R.BAILEY/KEN WILLIAMS。こうしてみると素晴らしいコンビなんだなあと感心してしまいますが、他にも私の知らない絶品曲があるのではないかと気になってしょうがない。誰か作品集出してくれないかしらん。

LOOSE ENDS / YOU CAN'T STOP THE RAIN 12"(MCA 23743)'86

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80年代に5枚のアルバムを残したイギリスの3人組ソウルグループの1985年のアルバム「ZAGORA」収録曲。甘茶ソウル百科事典 BILLY'S SELLECT 050でU.S.BDGに記載なし。ということで甘茶ソウル的には王道から逸れた位置づけの曲ですね。曲は雨の音が入るバラード系擬音ソウル。全く泥臭さの感じられない都会的で洗練された雰囲気が特徴的。雨混じりの冷やかな空気の漂う中、哀しみに満ちた甘めのメロディが秀逸ですが、特にサビメロはキャッチーで素晴らしい。因みにルース・エンズは「やり残していること」という意味のようです。

「YOU TUBE」 で聴けます。
「リミックス版」 もどうぞ。

LOVE POTION / OUR LOVE STORY (AVCO 4577)'71

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この一枚ぐらいしか出てないと思われるフィラデルフィアのマイナーグループの71年の曲。やたらポピュラー色の強いメロディが特徴的です。調べてみるとプロデュースは「Dave Appell & Tokens」ということで、これは後の73年の大ヒット曲「Tony Orlando & Dawn / Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree」と同チーム。ポピュラー色の強い、白っぽいメロディの理由はこの辺にあったのかも。メインのサビメロをコーラスで聞かせるちょっと変わった構成だけど、劇的に盛り上がる情緒的なメロディが甘くて美味ですね。ただこのポピュラー色の強さは評価が分かれるところかも。

「JOHN MANSHIP」 で1分ほど聴けます。

MAD LADS / LET ME REPAIR YOUR HEART (VOLT 4080)'72

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U.S.BDGでは#75と随分前の方で紹介されているマッドラッズ。60年代中心に活躍した南部のグループで、甘茶ソウル百科事典には未掲載。スウィートファンにはあまり馴染みが無いグループという感じ。曲はマスルショールズ録音なのだけど、スウィート全盛の72年産ということで出来はなかなかのもの。派手な出だしのフレーズが印象的でストリングスを絡めて甘い雰囲気を作り出すのに成功。期待感MAXですね。バックコーラスもソフトで靄がかかったかのような淡いムードでいい感じ。ただしAメロはキャッチーだけどBメロの不出来やサビがAメロ似ということで全体的に単調な展開に感じさせてしまっているのが惜しい。リードは翌73年には甘茶なソロアルバムを出すJohn Gary Williamsでそちらもお勧め。

「YOU TUBE」 で聴けます。

MAGIC TOUCH / BABY YOU BELONG TO ME (ROULETTE 7143)'73

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甘茶全盛期の1973年にニューヨークの大手ルーレットレコードから出た甘茶ソウル。マジックタッチは翌年に変名のMagic Night名義でも一枚シングルを出してますが、結局シングル合計2枚のみで消えてしまった短命グループということになります。甘茶グループとしてなかなか味のある名前だっただけに勿体ないですね。曲はファルセットリードの静かで落ち着いた雰囲気のスウィートソウル。イントロはピアノや大人の渋みを感じさせるコーラスなどなかなか上品な味わい。メロディはAメロからなだらかで魅力的だけど、やはりサビに入ってからの緊迫感と悲壮感漂う展開が素晴らしい。ファルセットの哀愁感のあるか細い声質と相まって得も言われぬ甘茶ワールドが展開されますね。終盤の盛り上がりも素晴らしい。個人的にかなり昔の山下達郎氏のサンデーソングブックのオンエアで知りました。

「YOU TUBE」 で聴けます。

MANHATTANS / THE DAY THE ROBIN SANG TO ME LP(COLUMBIA 32444)'73



「KISS AND SAY GOODBYE」('76)という甘茶ソウルを代表するヒット曲を持つマンハッタンズの73年のアルバム「There's No Me Without You」収録曲。世界的ヒット曲の3年前の作品ということで、まだそれほど垢抜けていない時代の曲という趣き。トラックは71年の「MARVIN GAYE / WHAT'S GOING ON」を参考にした感じ。爽やかな曲調というところにも共通点を感じさせますが、メロディや唱法など、こちらの方は甘茶ソウル寄りな内容になっています。透明感のあるコーラスが曲に華やかさを加味し、なかなかいいムード。「KISS AND SAY GOODBYE」と比べると下心を感じさせない爽やかなスウィートという感じですね。「WHAT'S GOING ON」トラックの持つ軽やかさと爽やかな甘さの同居する時代の生んだ名曲です。

「YOU TUBE」 で聴けます。

MANHATTANS / WHEN WE'RE MADE AS ONE (Carnival 529)'67

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「KISS AND SAY GOODBYE」という甘茶ソウルを代表するヒット曲を持つマンハッタンズの初期のアルバム「Sing For You And Yours ('68)」収録曲。個人的には70年代中期・コロンビア時代以降の垢抜けてしまった頃の彼等の曲はあまり好きではなく、60年代のカーニバル時代のダイヤの原石といった趣のある泥臭く荒削りな頃の方がずっと好感が持てます。

仄かにDOO-WOPの香りを漂わせる67年のこの曲が、将にそういった魅力に溢れる曲。出だしのどこか懐かしい感覚を思い起こさせるような甘く優しいコーラスは、子守唄のように心に安らぎを与え、少し寂しげなリードの歌声は誠実さと切実さをヒシヒシと感じさせる。それは大衆受けや商業的成功とは無縁だった時代の彼らが持ちえた無垢さゆえ、より一層心の奥深くまで染み渡るように思えます。

「YOU TUBE」 で聴けます。なお、後年アカペラで再演してますが、残念ながら出来はいまいち。

Marvin Sims / Dream A Dream '72 (MERCURY 73288)

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60年代中期からMARVIN L. SIMSの名前で活躍していたシカゴのディープ・シンガー、マービン・シムズの甘めのサザン・ソウル。まあスウィートソウルと言ってもおかしくない内容ですね。ゆったりとしたリズムに淡く爽やかなサウンド。「夢を夢見て」というタイトル通り、メロディも多幸感に満ちた甘いもの。声質はディープだけど優しく歌い上げられ、かなり聴き易い内容です。展開が少し単調なのが玉に瑕。

「YOU TUBE」 で聴けます。

MELLO TONE TEE & MALVENA / AS TIME MOVES ON (GITTEN 1011)'89

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甘茶ソウル百科事典 TERRY'S SELLECT 027とP.93掲載曲。1989年のニュージャージ産ラブラップで、MELLO TONE名義だけど、MELLO TONE TEEというラッパーとMALVENAという女性歌手の組み合わせになってます。暗く哀しげな曲調の曲で、MELLO TONE TEEの甘いながらも落ち着いた渋いラップがしっとりとしたバックにうまく溶け込んでいる。MALVENA嬢の歌パートは悲しみを高らかに歌い上げており、悪い内容ではないけれど、個人的にはチト歌い過ぎに感じ更に萌えを感じさせないのが残念。完成度も高くバランスもいいけれど、どうせなら男性ファルセットで決めて欲しかったところ。G-RAP隆盛以前のいわゆるこうしたラブラップにも探せばもっと沢山いい曲があるのかな?

「YOU TUBE」 で聴けます。

MIDNIGHT STAR / LET'S CELEBRATE LP(SOLAR DRF-5109)'84

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U.S.BDG #436掲載のファンク・バンドの84年のアルバム「Planetary Invasion」収録曲。山下達郎もSSBで2回程オンエアしました。曲はイントロ当てクイズにも出てきそうな軽快なドラム音から始まる爽やかな甘めのバラード。所謂70年代の王道甘茶ソウルではないが、ファルセット、女性ボーカル?等で情感込めて歌われるメロディは心に染み入る内容。サビだけでなくAメロ、Bメロともなだらかできれいなラインを描きます。(達郎氏はムードよりも、こうしたしっかりとした職人技的メロディラインの曲を見つける才能がありますね。)

少し残念なのは全体に感じられる機械臭で、特にドラムの音は一聴すると聞こえはいいが、何度も繰り返し聞いていると耳障り。とてもいい曲なんだけど個人的に「生活の音」には成り得なく少し勿体無く思います。 「YOU TUBE」 で聴けます。

MODULATIONS / WORTH YOUR WEIGHT IN GOLD 「IT'S ROUGH OUT HERE」'75

MODULATIONS.jpgMODULA

ノースカロライナ出身のグループ、モデュレイションズの75年の1STアルバム「IT'S ROUGH OUT HERE」収録曲。既に当ブログでは同アルバムからは、 LOVE AT LAST WHAT GOOD AM I とを取り上げ済みです。所謂フィリー詣でで製作されたアルバムでVINCE MONTANA等がプロデュースし、MFSBがバックを務めています。75年産ということで将に甘茶ソウル全盛期の内容で甘茶ソウル史上に燦然と輝く名盤ですね。本曲はメンバー自身による作曲、プロデュースということで彼ら自身素晴らしい才能の持ち主であったことが分かります。内容はリードが高らかに歌い上げるすこし派手目の甘茶ソウル。ストリングスを中心に品良くまとまったフィリーサウンドをバックに甘めのコーラスも付けて夢見心地な雰囲気。エコーをかけたかのように澄んだ透明感のあるリードヴォーカルの歌声が空高く響き渡る感じが素晴らしい。メロディも全体を通して良く出来ていて特にサビが魅力的ですね。時折入るシタールも味が有りますねえ。フィリー全盛期の生楽器サウンドの素晴らしさと甘茶ソウル全盛期のヴォーカル&コーラス・ワークの素晴らしさが融合した、この時代だからこそ生まれた名曲と言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。
「YOU TUBE」 でソウルトレインの出演シーンが見れます。

MOMENTS / I DON'T WANNA GO (STANG 5073)'77



アルバム「WITH YOU」収録曲。オリジナルは同じ77年の白人シンガーソングライター Bruce Roberts によるものでAORな内容。Aメロの高度に洗練された情緒的なメロディは、言われてみればなるほど納得の著名作家によるものだったんですねえ。しかしこうして聴く比べてみると、この込み上げ度満点の甘いメロディラインは黒人ファルセット・シンガーが歌ってこそという気がしますね。アルバム・バージョンは6分程と長いものなんですが、後半はサビの繰り返しで一番旨みのあるAメロが鳴りを潜めてしまった冗長な内容になってしまっているのが残念。とはいえ万人受けするキャッチーさと瞬間的に胸をキュンとときめかせる大甘さを兼ね揃えた素晴らしいメロディを持つ優良甘茶ソウルと言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。

MOMENTS / WITH YOU (STANG 5068)'76



スウィートソウルを代表するグループ、モーメンツの1976年のアルバム「Moments With You」収録曲。プロデュースはニュージャージー・ソウルの女帝SYLVIAで、後にRay, Goodman & Brownに移行する直前の作品という位置づけになります。モーメンツは既に当ブログでは GOTTA FIND A WAY , LOVE ON A TWO-WAY STREET , I DON'T WANNA GO , LET'S MAKE LOVE TONIGHT の4曲を取り上げています。デビュー当初の音の悪い、いまいち垢ぬけない時代から大部たち、かなり洗練された内容になってますね。個人的にはRay, Goodman & Brownまでいくと垢ぬけ過ぎていまいち馴染めないのですが、その意味ではこの頃が一番聴きやすいと感じます。曲はゆったりとした甘く切ないスウィートソウル。Aメロ,Bメロ、サビとどこをとっても美しい円熟のメロディになってますが、個人的には特にAメロ最初の情感深い熟成したラインが胸キュンです。本当はコーラス含めてもっと派手に盛り上げて欲しいところですが、そこは上品に大人向け・一般受けしそうに仕上げた感じでしょうか。そんな内容ですので、 女性を口説く為の究極のBGMベスト10(スウィート・ソウル編) に選出したのですが、口説くというよりも、女性との愛の営みのBGMにこそ最適そうな甘いムードに満ちた名曲と言えそうですね。山下達郎のお気に入り曲でもありSSBで何度もオンエアしただけでなく、ご自身もカバーして披露しています。

「YOU TUBE」 で聴けます。

N.G.S.(National Groove Society)/ I'LL MAKE YOU MY WOMAN (DARAN 226)

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シングルを1枚だけ出して消えてしまった「全国グルーヴ協会」という如何にも胡散臭い名前の謎のグループのスウィートソウル。名前はアレだけど作品は王道、正統派の甘茶です。調べてみると90年に同じDARANレコードから「Next Life Time」というアルバムを出しているRichard Popeという人のグループらしい。本曲も同アルバムで再演されているようなのでマニアは要チェック!(かなりレアっぽい) DARANはシカゴのレーベルのようでRichard Popeは90年にChi-Litesのアルバム「Just Say You Love Me」にも参加しているようです。発売年度が不明なんだけど、B面のファンクの機械臭なども考慮すると80年代中後期の作品ということになりそう。

曲はゆったりとした静かな甘茶ソウルでヴォーカルの比重が高くサウンドはあくまで添え物という感じ。リードはファルセットで時折バリトンが切れ込み、ファルセットコーラスも全体を通して大きな役割を果たしている。冷ややかに張り詰めた空気感といい全体としてシカゴ、ぶっちゃけチャイライツっぽさが大いに感じられますね。Aメロ、Bメロ、サビとどれも甘く優しくいい雰囲気なんだけど、特にサビの最後のコーラスのフレーズが可愛らしさの中に謙虚さも感じさせ好印象。

「YOU TUBE」 で聴けます。

PLEASE / I'VE DONE YOU WRONG (TELEFUNKEN 88 001)'75

PLEASE I've Done You Wrong PC.jpgRAREST OF THE RARE SOUL HARMONY 3.jpg

以前レビューした 「RAREST OF THE RARE SOUL HARMONY Vol.3」 というレアもの甘茶コンピに収録されていた謎のグループの優良甘茶ソウル。「何なのこの甘さは!知らなかったなあ、このグループの正体は一体???」と全国津々浦々のマイナー甘茶ファンを大いに悩ませましたネ。まずはその時に書いた私の感想を以下に再掲。

「I've Done You Wrong - Please」知らなかったあ、凄くいい曲じゃん。トロリとしたギターとプログレ的雰囲気の神秘的シンセサウンドをバックに甘ーい語りが1分ほど入ります。基本は「CHI-LITES / HAVE YOU SEEN HER」的メロディ使いだけど、ちょっと切ないファルセットリードはいまいち垢抜けないが逆にそこが魅力的で、コーラスアレンジもなかなか凝っていて良い。随所に入るチープなオルガンも実にいい味だが少しうるさいか。全体に二流な雰囲気ながらチャイライツ的に垢抜けてない分個人的にはかなりツボ。このグループのことご存知な方、情報下さい。

その後どなたからも情報を頂けなかったので、自分でいろいろ調べてみたら意外な事実が分かりましたのでご報告。シングルの発売年度は75年で推測通りスウィートソウル全盛期のもの。但しグループ(バンド)の国籍は、ぬわんとフィリピン!「BRAZIL」という一発ヒットを持つバンドらしいですね。この曲はそのシングル「BRAZIL」のカップリング曲でした、、、。うーん、ビックリしました。この曲聴いて「黒人(ソウル)じゃないじゃん」って見抜けてた方いらっしゃいます?もちろん、その正体があまりにも想定外だったからといって、私のこの曲に対する評価が変わる訳ではありません。決して「○○○のクセに生意気だぞ!」とか言わないでね(笑)。

PULSE / DON'T STOP THE MAGIC 12"(SILVER CLOUD 6)'81

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80年代初頭に3枚のシングルを残して消えたマイナーバンドのスウィートソウル。と思って調べてみると後にグループ名を変え1986年にFULL CIRCLE、1987年にFIRST CIRCLEとしてそれぞれ1枚づつアルバムを残しているファンクグループのようです。本曲は81年制作ということで洗練されたスウィート。ファルセットリードでコーラスを伴い甘く情緒的なメロディを歌い上げます。70年代の香りはほのかに感じさせる程度で過剰な甘さはなく、爽やかで適度に抑制された初心者にも聴きやすいバラードという感じ。後半のリードの我を忘れたかのような盛り上がりはなかなかのもので、この路線で活躍し続けていてくれたらと思いますね。曲名に「マジック」とつくスウィートには良曲が多いですが、これもその好例と言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。

PHILADELPHIA STORY / YOU ARE THE SONG (I'VE BEEN WRITING FOR ALL OF MY LIFE) (WAND 11280)'74

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甘茶ソウル百科事典P.81掲載で山下達郎SSBオンエア曲。4人組のヴォーカルグループで、シングル3枚を残しているとのこと。曲は 「HAROLD MELVIN & THE BLUE NOTES / IF YOU DON'T KNOW ME BY NOW」 激似の甘めのバラード。壮大な雰囲気を持つゆったりとしたサウンドをバックに、バリトンリードが劇的に歌い上げます。BLUE NOTES版と比べると少し垢抜けない感じで、メロディもキャッチーさに欠けるけど、その分味わい深さがありますね。更にファルセットの絶叫が入る分、甘茶度は高いかな。因みにこのシングルの裏面の「IF YOU LIVED HERE, YOU'D BE HOMENOW」もなかなか良い出来のバラードです。

RAY, GOODMAN & BROWN / (BABY) LET'S MAKE LOVE TONIGHT 12"(EMI America V-19250)'87



偉大なる甘茶コーラスグループ、モーメンツの変名グループ「レイ、グッドマン&ブラウン」の86年のアルバム「Take It To The Limit」収録曲。スウィートソウルの有名グループとして初めて「モーメンツ」というグループ名を耳にした時、その語感にすらグッと来るものがあったけど単に人名を並べただけのグループ名は残念ではあります。MOMENTS時代の77年産「I DON'T WANNA GO」ですら大部洗練された雰囲気を醸し出していましたが、80年代中後期の作品であるこの曲は行き着くところまで行き着いちゃった感のある洗練さ具合。電話の呼び音に男女の甘い会話で始まる擬音入りイントロはムード満点。 「女性を口説く為の究極のBGMベスト10(スウィート・ソウル編)」 には惜しくも入らなかったけど次点候補に入れてもいいぐらいの洗練さと女性受けの良さ、汎用性の高さを感じます。逆に言えば初期のヒット曲と比べて垢抜け過ぎた感もありますが、メロディの出来は素晴らしく甘くソフトに歌うリードのハリーレイの声質・唱法の魅力もあいまって甘茶ソウル不毛のこの時代にあっては希少な良作と言えるでしょう。厚めのコーラスでしっかりとサポートされているからかバックの機械臭にも嫌味は感じないですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。

REALISTICS / PUTTING IT DOWN (TO THE WAY I FEEL ABOUT YOU , GIRL) (WARNER BROS. 16619)'75

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CHI-LITESのEUGENE RECORDが77年のファーストアルバムでカバーしています。この他にもシュラブラック?がやっているそうです(スペル含めて情報お持ちの方教えて下さい)。KEN GOLD作の大味で分かりやすいメロディはかなりの黄金旋律でメジャーグループ級ですね。リアリスティックスは結局数枚のシングルのみで終わってしまった訳ですが、あのチャイライツのリードがカバーしたという点をとっても、彼等とケンゴールドPが注目に値する優れものだったということが分かります。

穏やかでなだらかなラインを持つAメロ、少し憂いを帯びた悲しげなBメロ、大仰で派手なサビの盛り上がりは緊迫感があり感動的です。ストリングスを中心としたバックも甘く品の有る内容です。EUGENE RECORDのソフトなヴォーカルと比べて、ここでのリードは幾分甘味に欠けますが瑞々しさという魅力が有りますね。尚、壮絶甘茶「Gonna Make You An Offer You Can't Refuse」で知られるJIMMY HELMSもカバーしてます(UK 7N445769)'77。ファルセットじゃないし、ちょっと糖度は落ちますが、曲そのものがいいので悪い出来では無いですね。

追記:Al Southernによる カバー? もありました。同じ75年の発表です。

【ご参考】

「謎の甘茶ソウルグループREALISTICS」

「謎の甘茶ソウル REALISTICS / PURE MAGIC , UNCHAIN ME など続報」

「淡く穏やかな甘茶ソウル REALISTICS / SO SAD」


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