ワインを愛する人のために…

PR

×

Calendar

Comments

王島将春@ 技術そのものは善でも悪でもないニュートラル モエシノさんがXでポストされていたマチュ…
王島将春@ グレーが黒に変わるとき 3glassesさんが悔い改めたら、モエシノさ…
王島将春@ 聖書預言 はじめまして。福井市在住の王島将春(お…
3glasses @ Re:はははははは(笑)(05/03) テ ン カ ワさん >あれは女性人の言った…
テ ン カ ワ @ はははははは(笑) こんばんは~専属カメラマンいませんから…

Profile

3glasses

3glasses

Keyword Search

▼キーワード検索

2006年08月10日
XML
カテゴリ: その他
高校一年生の春に初めて出会い、
一瞬にして惚れ込んだ(というよりも魂の共鳴を覚えた)
ゴッホの?絵について、極めて遺憾ながらも、

贋作である事が濃厚
という判断がなされてしまいました。
(と、言うよりも、贋作を描いた人まで分かってるらしい)

所有者の大原美術館は、特別な要件がない限り、
展示はしない方針である事を確認しました。
特別な要件?でしか登場しないとなれば、

大げさに言えば私が
死ぬまで待っても


再会がかなったとしても、
「贋作」という烙印を押されているのです。
出会いは高校の課題ではありましが、
そこで感動し、憧れを抱きながらなぞらえた存在が、
会えたとしても人々の好奇の目に晒されている下…
という悲しい運命です。

当然かもしれませんが、その絵を印刷した絵はがきや目録、
パンフレットなども販売されなくなっています。
これだけ愛している絵だけに、まるで死刑囚として
収監された恋人を思い続けているような気持ちです。

頭の中に絵の面影はあるのですが、時の流れと共に

消し去ってしまうのも一つの生き方でしょうが、
自分自身を形成した土台を崩すように感じられ、
とてもできないのです。

何かにかこつけながら、事あるごとに思い入れを加えて
記憶を補正するしかないのです。


初めて会った頃を思い出します。

夏の強い日差しに大原美術館が浮き上がれば、
2階の北側の壁に架けてあったかな…と。

秋の澄んだ空気が白壁を包む頃には、
アルピーユもこんな透明な空気なんだろうかと想像し、

からっ風に倉敷川の水面が波打てば、
描かれた杉の生命感ある躍動を思い起こすのです。

緩やかにぼやけていく記憶を、愛してしまったが故に
補正し、美化し、さらに思いを強くしてしまう、
という年月を繰り返していたのです。

しかし運命は、思いがけない出会いを
招く事もあるようです。
たまたま美術館に併設されている売店で
働く人と知り合う事ができ、
私のこの絵に対する思い入れの話をしたのです。

すると数ヶ月後、その人が、今は販売していない在庫冊子の中に
その絵が載っているものを見つけ、
わざわざ持って来てくれたのです。

そこに見たのは、32年も前に出会った、
私の心の中のゴッホに違いありませんでした。

しかしその冊子を見た時、長い間の思い入れで
自分自身が作品を歪曲していたと
悟らざるを得ませんでした。
それは記憶の中にあるものより、
まるで年をとったかのように大人しく、
大らかさを持っていたのです。

そのギャップは、32年間に渡る私自身の
思い入れに他なりません。

絵の雰囲気に止まらず、細部の構図、
レイアウトや色合いまで、記憶の中で
デフォルメしてしまっていました。
多分、思い入れが大きければ大きいほど、
このデフォルメの度合いも激しくなったに違いありません。

この現象は、ワインの世界でも良く起こるようであり、
「ラフィットより美味しい5千円のボルドー・ワイン」
の話は、よく耳にします。

シャトー・ラフィット・ロートシルト ポイヤック1級[1987]
シャトー・ラフィット・ロートシルト
     ポイヤック1級[1987]

32,225円 (税込)

再度出会うのが難しいワインほど、
また人が余り知らないワインほど、
美味しさの度合いがパワー・アップするのが常ではあります。

ただ私の心の中のゴッホのように、
本当にそのワインを愛してしまった時、
「ラフィットよりも美味しい5千円のボルドー」は
真実となる事もありそうです。

一心に思いを募らせる者が居て、
その心を受け止めるワインが存在する、
そこでは世間の評価や位置づけなど
意味を持たなくなるように思います。

こういった愛を抱えた人が心の底からワインを語ってくれたならば、
きっと私も飲んでみたいと思うでしょう。
美味しさの世界は、そんな人と心の動きが
織りなしていくと思っています。

自分が心から美味しいと感じ、
造り手の情熱に負けないだけの愛を注ぐ。
それは理論や学問を越えた、
本能的・精神的な美味しさの境地への到達
と言えるかも知れません。

こうなるとラフィットだって敵うはずはありません。
飲む人にとっては、至上の存在となっているのですから。

私自身にとって、最高のゴッホは、
やはり大原美術館にあるアルピーユの道。
私は語ります。

alp.jpg

「うねる空は、キャンバスを歪めてでも
 ネジを巻くように動こうとしてむいる。
 それにくさびを打ち込がごとく突っ立つ糸杉。
 膨大なエネルギーで動こうとする自然と時を
 一瞬だけ止めたその下で、静かに彼方へと続く道は、
 辿る者の心を映す。

 もしかして故郷への郷愁、
 新しい地への期待、
 見知らぬ土地への不安…
 アルピーユの道を通る人それぞれが抱く心は、
 私を巻き込んでストーリーを展開していく…」。

「ゴッホらしくない」、「何かが足りない」
などという批評を受けたとしても、
全く問題ありません。

私の心の中では、最も輝き続けているゴッホ、
例え贋作であっても百点満点の真作を越えてしまい、
私に語りかけてくる120点の“本物”に違いないのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006年08月10日 09時23分13秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: