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ハート・ランドで賑わうこの日、店番をしていた私は、来店客の対応に店に出ました。美しい女性を両脇侍、華やぐロードを踏み締めてそこに立つのは、長身の男前。あれ~、見たことあるよこの人。ってことで、テンカワさん登場!連絡して来いよな。ホントにもう…。ブログには写真がしっかり載ってるかと思ったら、ちゃんと専属カメラマンがいるんだ。入る前に店の外観写真を 30分位撮り続けてたそうだけど、店に入っても、写真撮る撮る。バシバシと。でもそれ以上に、ドイツワインの発掘に傾倒し始める。何でネットにあげてないのコレ?…って、廃版蔵元のグロエネシュタインやECベレスなんかを次々と見つけては、これ欲しい…なんて言ってる。グロエネシュタインの睡蓮シュペートレーゼなんかに食い付いて離れないよ、この人。やっぱいい目してるね。遠路遙々来て下さったので、ちょっとばかり飲んで戴きたかったワインを一杯。いや二杯。三杯。いくらでも飲むなこの人…。好きなんだな、ドイツワインが、と思わせる心地良い飲みっぷり。いいねぇ。理屈じゃなくて、本能で飲んでるのが良く分かる。頭じゃなくて心で感じてる。この人は心底から楽しんでる。こんな飲み方をしたいなぁ…ってつい横から見てました。倉敷に観光に来た…っていう女性を傍目に、おれの目的はココだかから、もう満足。もう良ぃヨ…なんて言ってる。いや、可愛そうだよ、それ。せっかく倉敷に来たんだから、楽しんでいってよ白壁の街を。とりあえず、お昼御飯を…ってことで、紹介した美観地区のレストランへ向けてテンカワさん一行は出発!と思ったら、逆方向へ行ってて後戻り。根っから陽気な人の来訪に、私のハートランドな一日は楽しく彩られたような気がしました。ありがとうございました!
2009年05月03日
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2005 マイヤー・ネーケル シュペートブルクンダー ヴァイスヘルプスト QBA Meyer-Nakel Spatburgunde Weissherbst Q.b.A AHRマイヤー・ネーケル。ドイツのアール地方で1・2を争う造り手。ゴーミヨ(ワイン評価本)でのランクは4房、全ドイツで見ても、ほぼトップレベル。辛口が得意、そして栽培面積の75%がピノノワールという比率は、旧来のイメージでは特異に見えるでしょう。しかし、食事に合わせる…という目的で造られていると考えた時、すべてが合理的に見えてきます。単一葡萄品種で、等級がQ.b.AかQ.m.P.のロゼを『ヴァイスヘルプスト』と呼びますが、このワインは、贅沢にも100%ピノノワールです。グラスに注いだ時の色は、まさに赤銅色。ピンクとかゴールドと言うより、カッパー。食べ物の美味しさを引き立てる輝き。「ロゼなんて」…というのは、何世代も遅れた感覚。甘さを捨て去り、収穫量を制限し、凝縮感を得た上に、樽を巧みに使って複雑さを与えたホンモノの辛口です。お料理との調和を考え、研究・検討を重ね、高い領域でマリアージュを成し得るべく見事なバランスに仕上げられたワイン。ホンモノの「ロゼ」として認識する必要を感じる存在です。香の要素はさほど多くはないのですが、不思議に飽きさせません。下草、そしてベリー系の香。舌にほんの僅かチリチリとした微発泡、ボディはスリムですが、続いていく余韻は豊かで、楽しみをどんどん延ばしてくれるかのようです。これは、他では決して無い味わい。飾り気や嫌味の無いシンプルな風味、しかし本質へと至るものです。心地良い微発泡を楽しみながら喉の奥へと滑らせているとお料理が次々と頭の中に浮かんできます。しゃぶしゃぶ、天ぷら、煮豆、トンカツ、サーモン、肉じゃが、沖縄のアグー…止まらない想いは、ワインが引き出す幻想なのでしょうか。お料理を引き立てるワインとは、きっとこんな味と香。分かる人にだけ勧めたい、究極のロゼワインです。
2009年01月14日
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プチット・リュ那覇の公設市場の、一筋入った場所。凡そ、レストランとしては不向きな立地では…と思っていた。しかし、それは、見る目が無かった事を、後から知る事になった。後から案内された公設市場の中で、魚も肉も、新鮮な物を仕入れ放題。能動的に素晴らしい仕入れを行うなら、これほど適切な場所はない。だいたい、公設市場自体が、観光客が多く訪れるのだから、観光地の一部と考えれば、集客にも問題は無かった。最もレストランとして、素晴らしい場所である事に行ってみて初めて気づいた。でも、月・木が休みという週休二日制は、客商売としては…とも思った。しかし、これも、根本的な間違いである事も、後から分かった。シェフ=新屋健一さんは、この休みの日を利用して、野菜やハーブを直接農場へと買い付けに行くのだ。その為には絶対に必要な日なのである。何の事はない。最高の素材を揃える為の場所、休日…なのだ。それは、お料理に接すればすぐに分かる。ここのお店の、素材の生かし方は、実に良い。美味しい素材の長所を、最も良い状態で楽しませてくれる。最高の素材を手に入れた。それをどうしたら最高の状態でお客に出せるか…そんな心の動きが、お料理から伝わってくる。私は、お料理に添えられたルッコラを口にした時、一瞬で沖縄の大地に心奪われた。それほどに鮮烈で、香り高く、美味しかった。ただの付け合わせの野菜一つ…かも知れない。しかし、それが、究極の状態で私の口に入った、それは、栽培農家と新屋シェフの心の産物に違いない。この店は、那覇の、いや沖縄の宝である。この、素材に真摯に向き合うシェフの造るお料理がランチ980円なんてあり得ない。沖縄を、那覇を訪れたなら、ぜひ行くべき店である。…と自信を持って言う事ができる。そして、できれば、在庫しているフーバーさんのワインを飲んで欲しい…。 ユンゲレーベン [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年10月02日
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この雰囲気を悟れば、そして沖縄という土地柄を考えれば、これはもう、皆で飲むしかない!と心が動いた。この心優しき人達が、ワインに接し、理解し、楽しんでいるのを見ると、究極のピノノワールの一つであるこのヴィルデンシュタインを飲んで頂くしかないだろう。って事でソムリエの資格も持つ新屋シェフに開けて貰う。シェフは、大きなグラスを8つも出してきた。良く考えると、ワインが売れない店で、こんなにグラスが、しかも数があるはずはないのだ。注がれるヴィルデンシュタイン。緩やかに弧を描きながら美しく動く。立ち上がるのは、しっかりと樫樽で熟成させた、たおやかな香。そして赤いフルーツの香が玉手箱を開けたように溢れる。白眉の爺ぃになろうとも、手の中の珠を揺らし続けるしかない。ヴィルデンシュタインは鉄分が比較的多いビーネンベルク畑の中でも最も多く含むので重めになる…という先入観が、全く違っていた。この珠からの滴りは、優雅、それ以上に時の流れを忘れさせるスケールで展開されていく。 マルターディンガー・ヴィーネンベルク シュペートブルクンダー QBA レゼルヴェビーネンベルクのレゼルヴェに、ベルリンで鴎外の見たであろう舞姫をオーバーラップさせていたが、このヴィルデンシュタインは、さらに異世界へ… ヴィルデンシュタイン緻密な美しさに浸りながらも、周囲に飲まさずには居られない。これこそは甘露!とばかりに、口に運ぶ。止まらない余韻に酔いしれる私の舌の上で時空を忘れさせる乙姫の舞が続く。優雅・エレガンス・上品・可憐…赤いフルーツのてんこ盛り複雑で深く、長く続き途切れない味わい。しかし難解でなくシンプルに美味しい。酒躯はファットでもパワフルでもない。にもかかわらず美しく流麗で整っていて、後へ後へと要素が湧き上がる。名残惜しさが途切れないような余韻。その優雅で細い心の糸に引きずられ、更に注いでしまう、もう一杯。この日、沖縄の公設市場の片隅にあるプチット・リュでは竜宮城の門が開き、乙姫の舞が繰り広げられた。真にワインを愛する店主・奥さんそしてお客様のおかげである。我が家の家族は、それを実感し、嬉しくてしようがなかった。ベルンハルト・フーバー来訪記念ストーリーはこちら [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年09月27日
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だいたい、沖縄では泡盛、そしてオリオンビールが飲まれている…それは間違いないだろう。そんな意識を抱いて入った、このフレンチ・レストラン「プチット・リュ」(小さな通りの意)には先客が3組居た。 一番奥に座る二人の客、その隣に案内され着席。予想に反してその二人が飲んでいるのは、なんとメルロー100%のボルドー・ワイン。モロ沖縄系の男の人(実は香川県出身だった)と、女性が交わすワイングラス、ウサギの耳にして聞く会話も、スノビッシュでなく、分かった人のワインを楽しむ会話。何?ちょっと予想と違うじゃない。一つテーブルが空いた隣は家族連れ。大阪から来た…という声が聞こえて来たが、家族連れだけに、飲んでいたのは、ジュース類とオリオンビール。しかし、その向こうに二人で座る夫婦らしき二人、テーブルには大きめのグラスに赤い色が踊っている。風貌から、地元のご夫婦らしき印象。…と言う事は、この店に来る、地元の人は、なんと100%ワインを飲んでいるのだ!フレンチ・レストランとは言え、8月21日という夏、しかも沖縄の店でワインを飲んでる!なんて、ワイン好きが、どんな気持ちになったか?はご想像の通りである。この店のオーナーとは昵懇だったので、私は、ズゥズゥしくも自分のマイルストーンと認識しているフーバー醸造所のヴィルデンシュタインをオーナー夫婦と飲もう…と、前もって送りつけていた。タイミングを計ってスタートさせよう…と私は思っていた。 ヴィルデンシュタインそして時間の経過と共に、大阪から来たという家族連れ団体は帰った。店には、両端に二人ずつ2組、それ以外は我々3人(夫婦+娘)だけである。そんな時、向こうに座っていた地元夫婦からグラスワインの注文が入る。そして質問が、「このワインの葡萄は?ピノノワール。ふ~ん」などと言っている。ACブルゴーニュの優良品を飲んで、ここのシェフのセレクトを褒め、感心しているのが聞こえた。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年09月26日
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これまでに記したような、コルク上面の状態がある。比較してみると面白いので、以下写真を並べた。これがほぼ同じ十数年を経た状態とは思えないだろうが…。 かびがびっしり覆う かびが僅かにある 濡れている ドライで汚れなし温度12℃、湿度70%で均一に貯蔵した結果でもこのようにコルク上面は違ってくるのである。もちろん、蔵元から出荷港、そして日本への運搬、さらに定温倉庫、そして当店への搬入まで完璧なコンディション下に置いているという大前提の下である。ワインの価格を下げたければ、それらのルートの一部もしくは全部をドライ状態にすればコストダウンが図れる。('80年代中頃迄そうだったし、現在も個人的輸送はドライしか選べない)運送によるワイン外観の差は見分けにくく、私たちプロの目で見ても実質とは逆に思える場合さえある。だからこそ売る側の姿勢によって選ぶ道は決まってくる。温度の状態をグラフで見れば一目瞭然なのだが、右側の振幅の少ないのがセラー内温度。そして激しく上下する左側の折れ線が、我々の生活環境温度(3月頃の西日本)なのだ。赤道の下を2度くぐれば、この振幅は優に2倍にはなるだろう。 灼熱の戦場をくぐり抜けさせるか、それともVip待遇で冷蔵設備の下ゆったりと渡航させるか…そしてその後も、普通の倉庫に置くか、それとも適切な保存環境下に置くか…価格に左右されてしまいがちなワイン選びだがこの重要な部分に、目を背けて語る事は無意味だという事を是非とも認識していただきたい。実際、ワインの味が落ち着かないような状態の、到着したててでは分かり難いかも知れない(特に慣れてない人には)。けれども、セラーでじっくりと寝かせると、明らかになる。セラーが普及した現在、手元に置いておけばそれは明確になっていく。検討を重ねたルートも、貯蔵も、自信があるからこそ、10数年を越えたワインの栓を抜いて確かめ、さらに口を開けた状態で、どこまで保つか…と検討ができる。(ぞんざいな部分があれば怖くてできないだろう)そして飲む度に、造り手への敬意を新たにする。ここまでしっかりしているのか…と感動を持って楽しめるからだ。次のテイスティングは、(10)ヤンパブティストリースリング カビネット [1996] グンターロッホ かつて、ラインヘッセン地方を低く見ていた私はケラー醸造所の登場で思考の再構築を迫られた。そしてこのグンターロッホ。ラインヘッセン地方のケラーとはまた違った強力な柱が立っている事を知らされた造り手だ。ゴーミヨの評価は4つ房、全ドイツ中でもトップ級の認識。実際、並の品質では十年超は乗り切れないのはご想像通り。畑面積は14haと狭く、リースリング主体で栽培。土壌は赤色スレート土壌、これによってリースリングがモーゼルとは違った厚みと滑らかさを得る。収穫量も50hL/haに絞り込んでおり、ラインヘッセン地方ではケラーに次いで注目すべき存在と私は認識している。外観は極めて濃い黄金色、ちょっと濃いか?…と思ったが、輝きも透明感もある。香は極めて美しく立ち上がり、良い熟成を得ている。舌触り滑らかでツヤのある舌触り、酸味は、貯蔵が一定だったからか、しっかりとして若々しい状態。何よりも、こんな熟成が完了した状態のワインは入手が難しいだろう。10℃付近から、ゆっくりと空気に触れさせていけば、時の流れに身を委ねながら、心は過去へと遡る…そんなタイムトリップ感覚を楽しめそう。やや甘口だが酸のイキが良いので、旨味ある和食なら合わせられる。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月31日
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コルクは化学製品ではなく、自然の産物から得られるので質・特性が厳密には不均一である。人間の指紋のように全く同じ物はあり得ない。だから、頭封を解いたコルクの上の状態が全く同じにはならない。 カビがなくて少しドライな感じの場合がある。これの場合は、どちらかと言えば、コルクの密度が高く、ワインの息が少なめだったのだろう。さほど何もなかったように乾いた上面。カビもほとんど無い…という場合もある。カビが少ない場合も、カビがほとんど無い場合も、それだけで、貯蔵が悪い…と判断しないで頂きたい。間違いのない、パーフェクトな貯蔵を、しかも均一に行った場合でも個々の差があるのを、私自身が日常的に経験しているから。そして、コルク上に何のカビもなかった、このワインも、全く健全で、良い状態であった事をお伝えしておく。(1)ベルンカステラー バートスチューベ リースリング カビネット [1996]ドクター・タニッシュ ドクター・タニッシュが2つに分家した後の作品、概ねこちらを本流と認識したような気がするが、品質的に甲乙つけがたし…という状況だった。バートステューベは集合畑だが、それに含まれる単一畑Lay ,Matheisbildchen,Bratenhofchen,Graben,(Doctor)は、どれも超一流レベルで、素材の良さは文句なし。グラスに注げば、この色の濃さは、ほぼ限界と思えるほど。モーゼルのリースリング・カビネットでここまで深く濃い黄金色は私自身も経験がないほどだ。しかし、クリアーな上に輝きもあり、何よりも微弱発泡がある…(10年経ったものとしてはアンビリーバボー!)生き生きとしているのだ。まるで、廃墟と信じていた建物の中に、可憐に咲く花を見つけたような、そしてよく見ると、一輪でなく溢れるほど咲いていた…というような気分。香は、グレープフルーツ、八朔などの柑橘系に加え、若々しさの象徴とも言える青リンゴ、そして蜂蜜。古典的リースリングのゴム、今回の他のワインでは少なかったオークの香。そしてお約束の杉に濡れた熟成香。ミネラル分は、塩味のようにさえ感じさせてくれ、繊細で微妙な酸は、生き生きとして語りかけてくる。外観の深い黄金色に反して、内容は極めて若々しい風味。甘さは、ほのか~やや甘口の間、これならお料理と合わせる事も可能。このワインの生命力を検証する為、今回は一段と厳しい実験を行った。深夜から飲み始めて、65%程度残したまま、コルクを逆さまに突っ込んで常温に放置。翌朝、冷蔵庫に入れた。その次の夜、飲んでみたが、全く問題ない。さらに冷蔵庫に入れて3日目、コルクを抜いたら、微弱発泡のガスが滞留し、ポンッという音がした。風味は、よりグレープフルーツ、ブンタンのような柑橘が際立つ。フルーツサラダにも合わせたい…と想像を掻き立てる実力を持つ。より色が深かったので、もしかしたら、酒質が弱っているのか…という恐れもあったので、わざと残しながら、7日目。十分アライブ!優良ドイツワインの生命力の強さを改めて知らされた一本だ。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月24日
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コルク上面が濡れている事がある。1994年、14年を経たワインでも…だ。これは当店のセラーだけが持つ特質かも知れないが、状況を説明する必要がある。 この濡れは、外部からのものではなく、内部の液体のごく一部が湧き出たものだと判断できる。不思議なのは乾いていない…という事だ。ワインセラーの湿度は高く70~80%程度だが、いくら何でもちょっとだけ濡れたコルクが、ずっと濡れたままであるとは考えられない。と言うことは、ずっと内部のワインが湧き出し続けた…と考えられる。ならば、液面がズン…と下がるか、と言えばそうではない。14年を経たワインの液面としては正常以上に高い液面だ。ある意味、不思議な状態と言えるコルク上面の濡れ…なのだが、実存するのだ。このワインに限らず、これまで例えばJJプリュムの1990年代半ばでは良く見られた現象だ。コルクのスタイルなのだろうが、液面が異様に下がってないとすれば、このコルク上面の濡れも、不良とは言えない。実際、この濡れ方で、液面が必要以上に下がったワインは不思議にも皆無…と言えば驚くかも知れないが、事実だ。なぜなのだろう…と思ったが、すべてのワインの頭封を捲って見る訳にもいかず、問題が出ないので良いか…と判断する事にしている。また、この銘柄・年号のこのワインも、すべてがこうではない…とだけ申し上げておく。(7)ゼーリガー・シュロス・ザールシュタイナー リースリング シュペートレーゼ [1994]シュロス・ザールシュタイン このワインは、一つ前に飲んだ1996年より2歳年寄りだ。年号を変えて、同じワインを飲むことを「垂直試飲」と言うならばまさにそれに当たる。基本的なスタイルは、当然ながら同じであろうし、どのようにコメントするか…はポイントを絞る事になる。味わい分けに自信があるならば、微妙であろう風味の差を小さいからこそ細密に感じ取っていく事。でもそれよりも、時の流れがどのように影響しているか?各々の年号がどのようなワインを造ったか?という事の方が良いだろう。実は30年近く前、この醸造所のワインに出会い、私はザールワインの虜になった。それほど美しくエレガントな造り手だ。ラベルは当時と同じで地味。しかしながら“ザールシュタイン城”という名から、この城に居住する貴族を想像しながら、美しい酸に酔うのに十分だった。(実際は貴族の家柄ではないのだが…)その1996年に続いて飲んだこの1994年もの。外観的にはほぼ同じか、もしかするとこの94の方が色が薄いかも…という濃い黄金色。香もほぼ同じ構成と展開を辿るが、年号に反して、こちらの方が若々しい。時折起こる、古い方が若々しい…という状態だ。微妙な甘さのツヤでは96年、繊細な美しさではこの94年…という所だろうか。14年を経たはずなのに、酒質は生き生きとして繊細な酸は風味がぼやけるどころか、よりハッキリとしてスリムでタイトなカッコ良さを主張する。このワインも、飲み残して5日以上もチビチビやってみたけど、酸化せずに飲み続ける事ができた。良い貯蔵は、命を縮めないのだなぁ…とあらためて思った。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月15日
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前回、カビが生えるのは、良い貯蔵の証…と言った。実は、逆のクレームがくる事もある。「良い貯蔵をしているハズなのに、このコルクの上面にはカビがない。 貯蔵状態が悪い疑いがある」…というものだ。実際の所、コルクはすべてが均一ではないので、上面の濡れ具合も個々が違っている。また、セラーの中も、微妙に違う場所にあるから、すべてに均一なカビが生えるという保証はない。生えないから悪いという訳では決してなく、非常に厳密な貯蔵状態の下であっても、カビが生えたり生えなかったりする、としか言えない。内容が優良か、不良か…は、栓を抜いてワインに接してみるしかその方法はなく、コルク上のカビの有無だけで、ワインの良否を語る事はできない。上の写真のワインは、これから以下でティスティングしたワインだが、コルクのカビは少ないものの、内容は文句なく健全だった。(8)ゼーリガー・シュロス・ザールシュタイナー リースリング シュペートレーゼ [1996]シュロス・ザールシュタイン 色彩は、カビネットより濃い黄金色。このワインも深い色合いで、薄い色しか見てない人は驚くかもしれない。しかし、透明度も艶もしっかりとしており、熟成ワインとして、健全である。スタートの味の立ち上がりでは、カビネットと大差ない…と言うよりも、どちらかと言えば、このシュペートレーゼの方がよりフラット…平坦でのっぺりしたようにさえ感じた。しかし、空気に触れて開いてくると、折り畳まれた羽が伸びるように大きく羽ばたき始める。香が豊かに、そして味わいが次々と立ち上がってくる。柑橘系でも最もクリアーでスッキリとした、レモンの果皮の香を中心に、蜂蜜の甘い香…これですでに香のレモネード。フーダー(大樽)だから、オーク香も焦げ臭も付かないドイツワインだが、熟成という、大きな樽の中での貯蔵によって、木の香を得る。それは、樫樽のスパイシーなものではなく、しっとりとした杉の木の香。そしてリースリングは、良い熟成域に達すると、まるで同じ樽の中に入れられたように、この香を漂わせる事になる。同じ年号・蔵元のカビネットを一緒に飲んでいるので、より糖がある分、優しく豊かな味わいを楽しめる。と言っても、甘過ぎる残糖でなく、心地よく安らげる風味。味わいに深みと艶やかさがあり、ゆったりと楽しめた。このシュペートレーゼも、生き生きとしてアライブ。抜栓後も冷蔵庫貯蔵で一週間を過ごしたが、全く問題なく飲み続ける事ができた。十分な生命力を感じ取る事ができたワインだ。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月14日
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何やってんだ、もぅ…多くのワインを並べて比較しながら飲んでしまうので、順番がおろそかになってしまった。この中で一番に向かうべきは、これからだ。(以降、適宜順番を考慮しながら進めていく)(6)ゼーリガー・シュロス・ザールシュタイナー リースリング カビネット [1996]シュロス・ザールシュタイン ワインの外観…つまり液体の状態・色などを言う前の準備が熟成ワインには必要だ。ラベル状態、液面高さ、外からの色彩、そして頭封を外した後の、コルクの上面である。 こんなカビが生えた状態だったとき、普通の人がどんな反応をするかをご想像戴きたい。これこそが、時を重ねた年輪、素晴らしい貯蔵の証、喜ぶべき証明書!と言っても、一度ネガティヴ側に傾いた王様の心を戻すのは難しい。だからこそ、最初から、知識という免疫を取り込んで貰う必要が生じる。ワインはコルクを通して呼吸をする。だからコルク上面にその痕跡が残る。一方、ワインにとって最も適した条件は…と言えば、12℃程の一定温度で、湿度が70%程度、しかも光が当たらない場所。この条件下で、正常な息をしたコルク上面に、カビが生えるのは当然である。 逆に考えれば、温度が大きく上下したり、湿度が低かったり、太陽などの紫外線光が当たっていれば、カビは生えないだろう。呼吸をしないワインもカビとは無縁だ。…こんな事、ワインの世界では常識ではあるが、熟成ワインを経験しないまま、ワインのシェアが広がってしまった現在、こんなカビを見たら、嫌悪感を抱かれても仕方がない。一般の方からの問い合わせならまだしも、レストランを開いて3年以上のシェフが「大丈夫か?」と問い合わせてきた事さえあり、御存知でない人を、決して知識不足とは言えない。画像で見て戴いておけば大丈夫だろう。くれぐれも申し上げておくが、カビの根が、コルクを突き抜けてワインに到達する事はあり得ないのでご安心を。ただ、中身とグラス内で混ざっては困るので、濡れた布やティッシュで、ていねいに拭き取って戴きたい。さて、これからが、一般的なティスティング。グラスに注いだ時の外観は、やや濃いめの黄金色。モーゼルの、ザール流域のワインとしては、少々深い黄金色だ。ただ透明感もあり、健全な領域内の色の濃さであり、美しさも健在。 2006年カビネット 1996年カビネット 色の差は顕著だ香はリースリングのお約束である、レモンやライム、そして蜂蜜。…そして何よりも熟成リースリングが発する「杉の木の濡れた香」。さらにはオーク、そして森の下草などの熟成香も基底から僅かに漂う。時の流れという贅沢な積み重なりでしか到達できない、絶妙な熟成香。甘みは比較的抑えられている。また熟成により僅かに沈んだ感がある。一方、ザール特有の酸は全く健在。12年という時の流れにビクともしていない。酒質は生き生きとしており、死亡寸前のわびしさではなく、まだまだ生き続ける生命感にあふれている。控えめな甘みと、しっかりした酸によって、ある程度のお食事と合わせる事が可能になっている。ハムやソーセージなどは言うまでもなく、旨味の多い和食、寿司などには好適である。実際、経験してみないと分からない、絶妙なマリアージュが楽しめる世界だ。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月13日
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ドイツワインの評価本では、決まってニュー・リリースを評価し、それを頼りに買う人も多いようだ。蔵元から新しく出されたワインは、実際は若過ぎる状態のはずだが、これはよく売れる。到着したてで、まだ分子が暴れているような状態でも若い物の方がより好まれる傾向があるようだ。一方、貯蔵・熟成については、金利と貯蔵料が必要になり、現在の、価格だけで価値を評価してしまう人が多い市場では、個人的に熟成する以外は無理なのが現状。つまり、現在の日本の流通では、若いドイツワインしか認められないから、綺麗に熟成したドイツワインは、ほぼ流通していないし、本当の経験者となれば、さらに僅かな数になってしまう。この背景から、美しく熟成したリースリングを理解できないならまだしも、『不良だ』…などと断じたりする半可通が闊歩するから余計に熟成ドイツワインの市場が縮まってしまう悪循環となる。これが良い状態なのだろうか?少なくとも、本当の熟成ドイツワインを供給できる能力と自信があるので、歯がゆくてしようがない。白ワインの中で、最も熟成する可能性を持つドイツワイン、その素晴らしいポテンシャルを引き出せるセラーがあり、またそんな貯蔵を行って来たワイン達が手元にある。ならば、ちょっとばかり気合いを入れてテイスティングしてみる必要も…という気になってきた。今回は、あるレストランからテイスティングの依頼のあった若いドイツワインも合わせて、未踏ともいえるドイツの熟成品についてレポートしてみたい。ラインナップは以下。(1)ベルンカステラー バートスチューベ リースリング カビネット [1996]ドクター・タニッシュ (2)リューデスハイマー・ベルク・ローゼンエック リースリング シュペートレーゼ [1995]アウグスト・ケッセラー(3)ホッホハイマー・ドムデヒャナィ リースリング シュペートレーゼ [1995]ドムデヒャント・ヴェルナー(4)ホッホハイマー・ドムデヒャナィ リースリング シュペートレーゼ [1990]ドムデヒャント・ヴェルナー(5)ホッホハイマー・ヘレ リースリング シュペートレーゼ [1994]ドムデヒャント・ヴェルナー(6)ゼーリガー・シュロス・ザールシュタイナー リースリング カビネット [1996]シュロス・ザールシュタイン(7)ゼーリガー・シュロス・ザールシュタイナー リースリング シュペートレーゼ [1994]シュロス・ザールシュタイン(8)ゼーリガー・シュロス・ザールシュタイナー リースリング シュペートレーゼ [1996]シュロス・ザールシュタイン(9)ナッケンハイマー・ローテンベルク リースリング シュペートレーゼ [1996] グンターロッホ(10)ヤンパブティスト リースリング カビネット [1996] グンターロッホ以上、熟成品に加えて、今回の若い方の代表(と言っても2006年だからそれほどではない…)が、このワイン。(11)レプホルツ リースリング カビネット トロッケン [2006]オェコノミラット・レプホルツそして上の写真に写っていないのは、ある人物が、美味しさの余り、『持って帰らせてくれ!』と切に希望した為である。そんな、一瞬にして理解し、愛でる能力がある人も居た事に自信をつけ、知っている人も、ましてや経験した人も少ない領域だからこそ、これこそが通の醍醐味とばかり気合いが乗る。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月10日
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Wifeが娘に夕食指南をしていて出発がちょっと遅れる。約束の19:00まで4分を切ってしまい慌てて出発。前を小走りで行くのは、今日の参加者M君。遅れるのは我々だけではなくなったので一安心。と言いながら、15秒遅れで店に到着。この店にコース設定はない。その日の素材を見て、料理を決める。お任せしておけば、それなりの物が出てくる。お料理に合わせて、人数が6人居れば調味料のごとくワインを選んでいく楽しみがある。オードブルはキスのカルパッチョとフレンチキャビアここでは、シャンパン アンリオ スーヴェラン。 そして自家製オイルサーディン。次のワインは、ヴァン・ド・ペイ シャルドネ。喧嘩をしない物が良いと考え、シュールダルクを選択。が、グラスに注ぐとブショネ。弱度ではあるが、これはどうにもならない…。で、次に出して貰ったのは、同じくヴァン・ド・ペイのフォンタネル。 最初は温度が低いとフルーティーさだけが見えてやや閉じ気味の香り。しかし出てきたスープカボチャとオレンジの冷製。この余韻の中に仄かに感じるオレンジがワインが開いて出てくる柑橘の香と絶妙にマッチ。スープに合わせる、なんて不可能…そんな思い込みを払拭。見事なスープ。ワインの消費が、思いの外進む。真鯛のポワレが出された時、掟破りを思いつく。ここは、フーバーのユンゲレーベンを在庫している。白い魚にピノノワール…なんてブルゴーニュしか知らない時は考えもしなかった。しかし、シャンパン、白と飲んだ後。次のメインディッシュの赤とは違うワインが飲みたい。セオリーは白。 敢えてフーバーのシュペートブルクンダー。どうよ、これ。え?なぜ赤?という声が参加者から漏れる。いつもサープライズがあって嬉しいというMさん。彼の本質を衝く言葉に、私自身もモノを新しい角度で見る事ができる。フーバーのユンゲレーベンに「ピノノワールのワインは、いつもどこかでブルゴーニュの存在を感じる。 真似もあり否定もある。 しかしこのワインには、ブルゴーニュの影を感じない。 独自の存在だ」凄い。若くても社長をするだけある人物だ。シトー派のテネンバッハ修道院建立、そして、世界最高と謳われた700年前の“マルターディンガー”(ピノノワール葡萄の別名)の脈々と続く系譜。その姿を現代に甦らせたフーバー氏の思いを液体から読み取り、表現する能力には感服。分かる人には分かる。そのマリアージュの絶妙さにも感服。しばし、そのワインの深い味わいに酔う。ミディアム・ライトながらも、深く飽きさせない味わい。イヤミの無い美しい香り。かわいらしさを含んだ微妙なエレガンス。これのワインは、ある意味、日本人にとって最も使い易いワインと言えるかも知れない。さてお料理はメインディッシュへ…四万十ポークのロースト本来ならば柔らかい味わいの赤なのだが、赤好きの皆の心を捉えるには、相応のワインでなければならぬ。と言っても強すぎるとお料理を押してしまう。そんなシチュエーションにピッタリのワインがリストにある。シャトー・ローザンガシ 2001年 格付品であるが、それほど濃密ではない。かと言って深さが無い訳でもない。ほどほどに弱いボディが四万十ポークにちょうど良い。…って言いながら、後はワインをゆったりと飲んでいく。これで会計が6人で40,000円に届かなかったのだからチョッと驚き。この店は、ゆっくりとワインを飲みながら、食べて時間を過ごすには最高!--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年08月08日
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前2回で記したヴォナ村YASUDAの食事、写真が悪いので、どうも美味しさが伝えられず、少し田舎っぽく見えたかも知れない。しかし、お料理の本質を味に求めるならば、都会派のスタイリッシュなフレンチを凌駕する本質を持つ…と私は感じている。心を込められた絵が、鑑賞する人の心を打つようにここの料理からは、何かを感じずには居られないのだ。そして、ちょっとばかり驚いて頂きたいのは、その価格だ。ランチではなく、夜なのだ。私がお願いしたコース、┏━━━┓ スープ┗━━━┛ イエローピーマンのスープ┏━━━┓ 肉料理┗━━━┛ 牛バラ肉の赤ワイン煮込み┏━━━━┓ デザート┗━━━━┛ チョコレートのムースブラックココアのグラッサージュ 木の芽のシャーベット レモンライムのムース以上3品目で、1575円!なのだ。(もちろん、パンもコーヒーもついてます。)安くて申し訳ないので、オードブル盛り合わせも頼んだが、これが1,365円。┏━━━━━┓ オードブル ┗━━━━━┛ 自家製無農薬スナックエンドウのサラダと スナックエンドウのエスプーマーフレンチキャビア添え フォアグラとトリュフの田舎風テリーヌ ホタテ貝のテリーヌ サザエのブルゴーニュ風合計2,940円で、こんな贅沢なメニューだ。一品一品にしっかりと手間と心がかかっているのがすぐに分かる。最近小食になってしまった?私には、十分過ぎる量。そしてこのコスト・パフォーマンス。だからこそ、やや不利な立地なのだがランチなんて、いつも列ができている。皆んな、知ってるんだなぁ…と感じる。ジョルジュ・ブランのように、ヘリポートはないけど、高速道路・鴨方インターからすぐだから、ちょっとばかし遠出の際には、立ち寄ってみてはいかがだろう…。それだけの、いやそれ以上の価値は十分にあるから。 [The End]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年06月14日
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娘が行きたいと言うので出かけたヴォナ村・YASUDA(岡山県浅口市鴨方町)、体調悪かった私だが、元気が出るメニューに食欲がどんどん呼び起こされてしまった。┏━━━┓ 肉料理 ┗┳━━┛娘 愛媛県産 伊予のめぐみ豚のグリエ ┃ ブラックココアのソース きのこと竹の子添え ┃牛フィレ肉の自家製ベーコン巻き ┃フランス産うずらのポワレ 北海道産山わさびのソース ┗香ばしい豚のグリエ、竹の子、マイタケの風味とブラックココア。絶妙な味わいのバランス。春野菜の苦みに寄り添うようなワサビの香味と辛味。うずらのを引き立てて、見事な仕上がり。 ┳私 牛バラ肉の赤ワイン煮込み ┗ しっかりと煮込んであるバラ肉。キノコの風味も凝縮され、もう耐え難いほどの魅力。チョッと角の取れた熟成ボルドーを飲みたい!下草の香をもったヤツ。理性を無くしてしまいそうになるほど…時間と手間、この中に煮込まれたのはそれ以上に料理人の心。それでもって贅沢な量。十分過ぎておなかがもう一杯。そう言いながらも、パンにソースを染みこませてついつい食べてしまうほどの上出来品。┏━━━━┓ デザート ┗┳━━━┛娘 (1)ガトーピラミッド ┃ (2)バニラ風味のマカロン ┃ (3)自家製無農薬甘夏みかんのシャーベット ┃ (4)グロゼイユのムース ┗(1)少し甘いけど食感と風味が堪らなく美味しい。(2)よそではマカロンを食べたがらない娘もここでは別。 一皿の中でちゃんと味わいと香りのバランスのアクセントになってる。(3)(4)は娘の皿なので食べられなかった… ┳私 チョコレートのムースブラックココアのグラッサージュ ┃木の芽のシャーベット ┃レモンライムのムース ┗少し強いほどに木の芽の風味を残したシャーベットは新鮮そのもの。レモンライムのムースは酸が強く、スッキリ。チョコレートムースは程良く柔らかい甘さ。味わいの鼎立。それぞれが主張を忘れず、また配役も見事にこなす。ワインが飲めなかったのは残念だけど、見事な仕上がり。距離があっても、この店は、いつも行って良かった…と思える価値がある。今日も、最高の気分を貰って満足、満足。--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年06月12日
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娘がヴォナ村・YASUDA(岡山県浅口市鴨方町)に行きたいと言う。疲れ気味、昼にポークカツを食べて、まだ胃に残ってる私としては、ちょっとしんどい。が、行く事にする。ヴォナ村と聞けば黙って居れない。行くのだ。思い立つのが夕方5時過ぎだから、帰宅通勤ラッシュに重なってしまう。どの通路を通るか…が極めて難しい。結局、沖新道・中島~2号線に合流、玉島から高速道路を使う。通勤時間帯割引きで高速代は200円。6時前にはヴォナ村・YASUDA到着。おなかはまだ完璧な空腹ではないので、夫婦2人はコースも小さ目のものにして、二人でオードブル盛り合わせを一皿つけた。娘はしっかりとしたコース。だから二通りのメニューになってしまった。造る側は大変だったろう…と後から気づく。(申し訳ありません、シェフ!)出て来たお料理、毎度ながら、十分以上に楽しませてくれるものだった。┏━━━━━┓ オードブル ┗┳━━━━┛娘 寄島産ツブ貝のマリネ ┃ 若鶏もも肉の自家製燻製テリーヌ ┃ フラン産殻付きエスカルゴ ブルゴーニュ風 ┗娘はエスカルゴが初めて。でも食べてみたい…と目を輝かせる。思ったより柔らかく、おいしくて食べ易い。貝みたい…。と感想。ツブ貝のマリネが美味。寄島産という地場の素材が生きたお料理。テリーヌにも娘はニコニコ顔。 ┳私 (1)自家製無農薬スナックエンドウのサラダと ┃ スナックエンドウのエスプーマーフレンチキャビア添え ┃ (2)フォアグラとトリュフの田舎風テリーヌ ┃ (3)ホタテ貝のテリーヌ ┃ (4)サザエのブルゴーニュ風 ┗(1)優しい味わいのエスプーマーに覆われて、 エンドウ独特の青臭さを感じさせない。 爽やかで柔らかな春の味覚。(2)なんとも贅沢な風味の融合。(3)いつもながら優しく奥深い味わい。(4)サザエならでは…の風味。結構…というよりか、かなりぜーたく。なかなかお料理が出て来ないなぁ…と思ってたけど、この手のかかり具合を見れば、これは致し方ない…と思えた。┏━━━┓ スープ ┗┳━━┛ イエローピーマンのスープ ┗一口目、クリーミーさに覆われつつも、鮮やかにイエローピーマンの香り。ちょっとピーマンが苦手な私には辛い?と思いきや、二口・三口と重ねる毎に吸い込まれるように惹き付けられる。グルメな娘も、この店のスープなら、all OK。体調はベストではなかったが、美味しいのでついつい食べてしまう。この後も止まらない誘惑に、我を忘れてしまった。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年05月23日
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今回のひるぜんワイン『2006年・山葡萄・樽貯蔵』は、価格が3,990円と、はっきり言って高く感じるかも知れない。 『2006年・山葡萄・樽貯蔵』この東洋的なワインは、当然ながら、ヤマブドウで造る。すべての特徴をもたらすヤマブドウこそが、コスト高の原因であるのは間違いない。粒の詰まりが少ないとか、房の数が少ない…という部分だけでなく、最も厄介なのが、雄木・雌木がある事だ。当然ながら雌木にしか葡萄の実はならない。雄木は花粉を飛ばすだけ…という理論から、ほとんどを雌木にした年もあった。しかし、その年の葡萄の収穫量は悲惨な状態になってしまったので元の比率に戻したという。この特性によって、単位面積あたりの収穫量は、通常の葡萄の1/2になるのである。その代償を支払ってこそ、『透明感と美しさもある深く濃い色彩』『山桃やザクロなどの果実風味を持った特徴的な香り』『酸が一つの骨となり、全体像を構築していく』『余韻は思ったより長く、ゆったりと続いていく』そういった特性を得る事ができるのだろう。その上に、年々の進歩、樽使いの巧みさ。僅かながらもエレガンスを感じる位置に到達できているならば、この世界中で唯一無二な存在を認めてやっても良いような気がする。 少なくとも私は、今回の『2006年・山葡萄・樽貯蔵』については“岡山のワイン”として他県の人に飲ませる自信を持てた仕上がりだった。 [The End]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年05月04日
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今回のひるぜんワイン『2006年・山葡萄・樽貯蔵』は、ティスティングでは、前にに書いた通り、『ボディはライト寄りのミディアムでスリム』なのは間違いない。余韻部分も、強めなものが口を支配するのではなく、控えめな、超低空飛行ながらも広がりある後味が、止めどなく持続する…というスタイルだ。セオリーならば、ライトな食事に合わせる…と奨めるだろう。しかし、ヴィティス・コワニティエは、存在が違う。鳥の手羽・甘酢煮が冷蔵庫に残っていた。タレの部分は煮こごった状態になっている。結構、煮詰まって強い味になっているので、面白がって試してみた。が、押し切ったのはひるぜんワインの方だった。口に入れる食材が少なかったか?と再度挑戦するが、食材の多寡ではなく、存在としてワインが勝る。ボディがライト寄りと言っても、強い食材に合わせても、決して負けない。まるで巨漢を、細身の女性が一本背負いで投げる印象。柳は決して折れない?いや、そもそも弱いのか、この色彩で…と、心の中で存在が膨らんでいく。これこそが『和』のイメージなのだろう。やってみなければ分からないマリアージュの世界、ひるぜんワインの相手は、もっともっと広くに求めなければならないのかも知れない。 『2006年・山葡萄・樽貯蔵』山葡萄、ヴィティス・コワニティエ。誰にも似てない孤高の存在。だからこそ、可能性は無限大と言えるだろう。--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年04月27日
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『今迄で最高品質の“ひるぜんワイン”』と感じられたこのボトル、正体は何なんだ…と植木さんに問う。 すると、2006年産の樽貯蔵分を実験的に残し、少量だけ9ヶ月間貯蔵し、ブレンドしたもの…という。ブレンドと言っても、セパージュはこんな状態。2006 ヤマブドウ樽貯蔵 92.31%(→面倒なので93%と表記)2006、2005 ヤマソービニオン樽貯蔵 7.69%(→7% 〃 )一般的な表記をするならば、『2006年・山葡萄・樽貯蔵』として問題は無いし、ヤマソービニオンのブレンドを表記する必要は無い。香が複雑で豊かだった理由は、樽貯蔵を9ヶ月間という長期間行ったという点、そして93%の比率であるヤマブドウを入れた樽は、単一種類でなく3種類使ったからだろう。その3つの樽は、フランス産アリエを2/3(製作所が異なるものを1/3づつ)、アメリカン・オークを1/3である。前回のテイスティング・レポートで『余韻の中にも樽のヴァニラ香が絡みつきながら伸びる。』と表現した風味は、この辺りに秘密があったようだ。それも、未踏の期間=9ヶ月という長期樽貯蔵に挑戦するのは、造り手としては冒険と感じたのか、生産本数はわずか50箱のみである。ヤマブドウで造るひるぜんワインが、繊細な構成なのは間違いない。色素は息を飲むほど濃く、ポリフェノールは多いのだが、その線が細くも感じるボディのワインをどの程度樽貯蔵できるか…は、非常に難しい所である。が、少なくとも今回の完成品は、成功と呼べる領域に達している。ただし、ひるぜんワイン醸造所は、この50箱の樽貯蔵バージョンを2007年ヤマブドウワインをリリースするまでのつなぎ…としか考えておらず、いつから出荷するかは返答が無かった。そこで、折角の品質を知った私としては、無理を言って少数を瓶詰めして貰い、入荷した。まだ、出回っていない 『2006年・山葡萄・樽貯蔵』である。通常の3ヶ月熟成のものと区別するため、こんなラベルを裏に貼った。 やっと、岡山のワインとして胸を張って出せる物が生まれてきたようで、自分としても嬉しい気持ちで一杯である。--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年04月22日
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年々確実に内容がステップ・アップしている蒜山ワイン。造り手の植木さんからティスティングの依頼が来た。毎度ながらこのスタイル。素っ裸で、ラベルも何もない。添付データも付いてこない。 何かを当ててみろ…という事ではなく、純粋に味だけの評価が欲しい…という事なのだろう。さらに今回は、できれば…という事で5房の巨人=ベルンハルト・フーバー氏にもコメントが貰えぬか…という依頼も付いていた。フーバー氏が、予定時間より早い到着となり、時間的余裕ができたのでお願いした。フーバー氏は、笑顔で快諾。グラスに注いでみるとエッジに、少しレンガ色。…これは、2007年ではないな…とは、すぐに分かる熟成色。 グラスが大きいこともあったが、香を嗅いだフーバーさん。「これは、良い香りだね」と一言。そして結構期待を持って見えた横顔で口に含んだ後、もう一度「良い香りだ…。」と言って終わった。つまりは、ボディとかフィニッシュに、彼の賛辞は無いという事である。まぁ、5房という世界のトップレベルだからしょうがない。では、仕事柄、ありとあらゆるレベルのワインを経験する私が、ティスティングさせて戴こう。まずは外観。エッジにかすかにレンガ色がある。しかし中心部分は紫色。まるで過去と未来が同時に存在するような、相反する要素。さらに透明感と美しさも持っている。不思議な気持ちにさせられ、期待感をそそる。世界の頂点の一人、フーバー氏が褒めるだけある香。樽に起因するヴァニラ。しかも構成要素が一つでない複雑なオーク香。果実は赤系の印象。そして何よりも山桃の香り。これがヴィティス・コワニティエたる山葡萄の特質なのか。さらにグレナデン、オレンジ、夏みかんの渋さ。独特の要素が構築していく香は、『ひるぜんワイン』だけが持つ世界。香の固有性と複雑さは見事であり、世界の巨人が褒めた事も納得ができる。醸造にあたって減酸をしっかり行ったと言うが依然として十分な酸が要素として存在する。しかし、数年前の、耐えられないほどの酸はナリを潜め、酸が一つの骨となり、全体像を構築していく。ボディはライト寄りのミディアムでスリム、しかし味の余韻は、思ったより長く、ゆったりと続いていく。余韻の中にも樽のヴァニラ香が絡みつきながら伸びる。 飛びっきりとは言わないが、エレガンスを感じられる。山葡萄、ヴィティス・コワニティエ。誰にも似てない孤高の存在。『東洋的』と表現したいエキゾチックなスタイル。フーバー氏も褒めた香の良さ、静かに続く余韻は見事。ここ数年で、よくこの進化を得たな、と感動させてくれた仕上がりだった。--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年04月13日
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ヴォナ村安田シェフのお料理を食べながらこれを飲んだ人がどう感じるだろうか…その評価は観客次第。ポイントは、出足のクレマン・ド・ブルゴーニュからボージョレ白を飲んだ後、ロゼを飲んだ時に絞られる。 ブルゴーニュ ロゼ ロザエ [2006] 750ml ロブレ モノオマール海老のムース バートフィロー包み焼きソースアメリケーヌにロゼを合わせた時、声が上がれば、成功だ。観客は、レベルの高い人が多いからこそ、何かの声が欲しい…とつい思ってしまう自分を修行が足りないな…と自嘲する。晴れの日を夢見て、セラーに入り、ワインの準備にとりかかる。特にリューリー・ルージュ 1級 シャン・クルー2002 Dm.ミッシェル・ブリデコルトン=ブレッサンド 特級 1995 ミッシェル・ヴォアリックNon モーリー オー・ダージュ ヴァン・ドゥ・ナチュレル Dm.デ・スーレーヌ の3品目は、オリがある可能性が高い為、1週間前から立てて置く必要がある。そして、当然ながら、運ぶ時は極めて静かに行わなければならない。セラーのワインを立てる専用の場所に設置澱を静かに落とす。 晴れの日は近い。観客の笑顔を思い浮かべ、ワイン達を育んだ。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月23日
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締めのデザートに合わせるワインも重要だ。メニューは、 ・二種のチョコレートムース ・バニラとキャラメル ラムレーズンのアイスクリーム添えなのだ。この部分まで、「ブルゴーニュ三昧」を貫く事は素材的に無理なので、ワインの選択肢を広げて考える。フランス全土だけでなく、ドイツやイタリアやスペインまで。 ヴェレナー ゾンネンウーア シュペートレーゼ[2006] ミューレンホフ 375ml ドイツの2006年には、極めて高品質でリーズナブルな価格の貴腐ワインが多いので使えないか…と考えたが、チョコレート系、そしてキャラメル…となれば、合わないとは言えないが、シェフのお料理を考えると没。イタリアのパッシートやスペインのマラガなども考慮に入れながら検討したが、イメージだけでなく、風味が合わない。コルシカ島のモスカートも考えたが、今一歩。結局は、定番中の定番とも言うべきヴァン・ドゥー・ナチュレールを登場させることにした。 モーリー オーダージュ ドメーヌ・ド・スーレーヌ『美食家の合意』も奨める、マリアージュ。ルーションの強い日照がもたらしたしっかりした色素、ヴァン・ドゥー・ナチュレールの製法による高いアルコール。そしてカカオやチョコレートなどのニュアンス。 …選択の範囲は狭かったが、これは間違いなく合うだろう。頭の中でも、綺麗なハーモニーが聞こえてくる気がした。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月22日
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次は、オードブルの一部~魚料理にかけて白ワインを考察する。オードブルの中には、スパークリングでなければ合わせにくい…というものもあるが、白でもイケそう…というお料理もある。そして、魚料理のアメリケーヌ・ソースに白を残して貰い、それを合わせた後にロゼを登場させる事によって、よりロゼの存在を、浮きあがらせたい…という意図を持って選ぶ。当然ながら、コッテリ・どっしりではない。繊細かつ旨味があるもの。余り強すぎないもの。樽香もさほどでない方がお料理の引き立て役としては好適だろう。しかし、スパークリングが繊細、そして、後に登場するロゼも繊細。白が繊細過ぎて弱腰ならば、メリハリ無しのへなへなになり、面白みが無くなってしまう。導入部のスパークリングと、確固たる形を成した土台。そのリレーを巧みに勤め上げられるものでなければならぬ。この2点を結んだ線上に浮きあがるワインは、5点ほど思い浮かんだが、その中から最終的に、このワインを選択した。 ボージョレ・ブラン 2005 ドメーヌ・ラランドこのワインの繊細さ。シャルドネをしっかりと育て巧みに醸造した美味しさが生き生きと表現されている。いや、軽やかながらも深いこの美味しさは、ブラインドで飲んだ多くの人は「プイィ・フュイッセ?」と感じるはずだ。そんな美しい味香バランスを持っている逸品。2005年という年も、このワインをより美味しく育てたに違いない。ジョルジュ・ブランのクレマン・ド・ブルゴーニュと、ブルゴーニュ ロゼ ロザエ ロブレ・モノを結びつける線の役割は、このワインで決定だ。ふぅ。 これが、ヴォナ村安田シェフのお料理に対する私のセレクションだ。ワインを並べると、つい、息が漏れた。並ぶと何ら違和感はなく、「ブルゴーニュ三昧」のテーマに沿って、スゴく美味しそうなワイン達…という事になっている。しかし、このラインに仕組まれた仕掛けがヴォナ村安田シェフのお料理に合わせた時、私の意思を伴って発現するはずだ。舌のある人は分かるはず。そして、一歩踏み込んだ人は感じるはず…なのだ。安田シェフの絵を引き立てる額縁になれる体裁は整った。あとは、どの程度、引き立てる事ができるか?評価は、当日の観客次第…。そう思いながら、再度リストを眺めて悦に入った。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月21日
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お料理メニューに対応させるワインは、スタートのオードブルに対応させる物から決まっていく事も多い。何と言っても、最初にお客様に接する部分だから。ここでインパクトを与え、後は魚や肉料理…と少しブレがあっても許されるだろう…って事になる。それだけ、最初は大切なのだ。しかし、今回のシェフは、三つ星レストランであるジョルジュ・ブランで修行した経歴。 スタートは、シャンパン…を使うよりもジョルジュ・ブランのセレクションのクレマン・ド・ブルゴーニュで、シェフの世界へと誘いたい。だから、食前酒に敢えてシャンパンを使わなかった。予算が豊かになる分、本数を増やし、よりジョルジュ・ブランの優しい泡立ちを楽しんで貰えたら…と25人の参加者に4本を用意した。 クレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュッ ブラン・ド・ブラン ジョルジュ・ブランある意味、質だけでなく、量的な豊かさもお料理とのマリアージュを考えて、導入部には必要…と考えた。これで、食前~オードブルまで、飲む量が少ない人によっては魚料理までクレマン・ド・ブルゴーニュで通せるだろう…と目論んだのである。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月20日
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ヴォナ村・安田シェフのお料理に「ブルゴーニュ三昧」、アメリケーヌ・ソースの後に来るメインディッシュなら極めて単純に、“ピノ・ノワールの赤”に違いない。メインディッシュに対応させる赤ならば、十分な飲み応えがなければならない。しかし「ブルゴーニュ三昧」を謳うならば、ボルドーの赤ワインを持って来る訳にはいかない。さらにお料理がバルバリー鴨で、繊細なマスタードソース…ときたらなおさらだ。どうする?…と悩んでいる時、輸入業者の営業が1本のワインを持ってきた。「このワイン、めっちゃおいしいでっせ!」と注いだワインを飲んだ時、私は心の中で、「これだ!」と叫んでいた。 リューリー1級 シャン・クルー ドメーヌ・ミッシェル・ブリデ2002年綺麗に熟成を成し得たピノノワールの典型。偏った臭いは無く、美しく、角が取れた風味。円やかなミディアムボディで、十分な複雑さと広がり。見事に育ったブルゴーニュ・ワインだ。「これだ!」と叫んだのは、このワインの美味しさに感動したから…だけではない。これを踏み台にして、さらに高みへと次を打ち上げる二段式のストーリーが閃いたからでもあった。この綺麗に熟成したワインに、さらにもう一回り、造りと年号を膨らませたワインをトリに準備する。もちろん、そのトリこそが、メインディッシュであるバルバリー鴨の粒マスタードソースをさらに引き上げたら、二段式ではなく、多段式となり、月へも到達できるジュール・ベルヌ気分だ。 実は、「これだ!」とつい口から漏れたのは、そのトリが、同時に頭の中で決まったからでもある。それは、このワイン。 コルトン・ブレッサンド特級 ミッシェル・ヴォアリック 1995年『ワイン屋なんて、どこも同じ?』…なんて言うのは、物流として動く安物(価格だけの意味ではない)しか経験が無い人の、世迷いゴト…といえる内容を持つワイン。そう、私が意思を持って9年程抱え育てたのだ。そして魚~肉へ合わせるワインが決定した。ブルゴーニュ ロゼ ロザエ ロブレ・モノ 2006リューリー1級 ミッシェル・ブリデ 2002コルトンブレッサンド特級ミッシェル・ヴォアリック1995 この3本が作り上げるラインが見えた時、今回のコースに対するワインの土台は定まった、と感じた。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月19日
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そこで、考え抜いた末、結局はブルゴーニュのロゼを選ぶ事に決めた。 ブルゴーニュ ロゼ ロザエ [2006] 750ml ロブレ モノ選択肢の中では最も繊細で柔らかいロゼ。安田シェフのメニューに使われる野菜は、大抵「自家製」、あるいは「無農薬」…という言葉が添えられる。それに納得したのは、お料理を口にした瞬間だった。違うのだ、何かが…。心を込めた調理法がそう感じさせるのかも知れない。いや、それ以上に、野菜本体に思いが込められているのをとても強く感じるのだ。私は料理を作ることはできない。ましてや野菜を作ることもできない。ワインを造ることもできない。私ができることは、それぞれを懸命に味わい、記憶し、それを積み重ねてきた経験の中で使う事…だからこそ、すべての作り手の思いを自分の中に取り込む…という作業が必要になる。その結果、敢えて宣伝文句に「ビオ」を押し出さないビオデナミの造り手=ロブレ・モノを選ぶことにした。ヴォナ村さんのお料理に対しこのワインを選ぶ事が、私の人生の蓄積のようなものであり、美しく輝くバラ色を、この日の流れの中の少し魚料理側にシフトした中心点として定め、すべてを出発させた。ただし、この時点でも タヴェル・ロゼ(Ch.ダッケリア)タヴェル・ロゼ(ドメーヌ・モルドレ)プロヴァンス・ロゼという中心点も、代替案として持ちながら組み立てていく。この中心点を他のワインに変えるだけで、オードブル~デザートまでのラインは、万華鏡の模様のように入れ替わり、どれ一つとして同じワインが並ばない。一つ違えば何もかもが違って来る。ただ、シェフの修行された三つ星レストラン、そしてそのお料理から、ワインのテーマとして「ブルゴーニュ三昧」が、最も適していて分かり易いし、お料理を引き上げる事ができると判断、そのラインで組み上げる事にした。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月18日
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今回の魚料理は、オマール海老のムース パートフィロー包み焼き ソースアメリケーヌである。アメリケーヌ・ソースには、やはりロゼ。定番と言える組合せだ。ならば何を合わせる?プロヴァンスのロゼ…っていうのが1800円ほどで非常に扱い易い。 しかし、何かしら違和感を覚える。それは、プロヴァンスのロゼの持つ風味が私の想像するシェフの造るソースのイメージと僅かに不協和音を感じるからだ。ではもう少し北か?…とボルドーのサンテミリオンのシャトーが造ったロゼを記憶の中で合わせてみる。 いや、違う。このワインの華やな香は、どうもズレる。やはり南だろうか…。コート・デュ・ローヌ地方のワインならば… コトー・デュ・ヴァントー ロゼ Dm.フォンドレッシェいや、これも少し違う。しっくりはこない。南寄りのロゼでも、きっとタヴェル・ロゼの方が合いそうな気がする。では、十分な品質を持つ当店在庫のシャトー・ダッケリアを使うか。 (水の城っていう名前も良いよなぁ…)いや、でも少しニュアンスが違う。パートフィロー包み焼きだからこそ、もっと力強い、同じタヴェル・ロゼだったとしてもドメーヌ・モルドレの方が合いそうだ。 このタヴェル・ロゼ、金額が4200円で高いものの、その品質たるや究極状態、幻と言われるほど、入手が難しいワイン。確かにこれなら合いそうだ。しかし力強過ぎる。ここでモルドレのタヴェルを使うと、後に来る肉料理のブルゴーニュ・ワインを押してしまう。このロゼを越えるブルゴーニュを用意しようとすれば、少なくとも2万円級になってしまう。金に糸目を付けないのならまだしも、トータルで壮大な出費となってしまう。それだけでなく、お料理の前にワインがしゃしゃり出るような選択をしてはならないだろう。 ワイン屋だからこそ、それは避けねばならない。求めるべきは、お料理を引き立て、最高のマリアージュを産み出す事であり。ワインが目立つ事ではないのだ。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月16日
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ヴォナ村安田で行う食事会のメニューが手元に届いた。じっと眺めながら思いにフケる。お料理にワインを合わせる…。簡単そう?…に思えるかも知れない。特にフレンチの場合ならば料理の本を数冊でも紐解き、そこに書かれている「組合せ」をそのまま並べればそこそこの調和は得られるのだろう。しかし、そんなコーディネイトでは浅薄に過ぎる。熟達した料理人の仕事を目の前に、18,000本の在庫を抱える、キャリア30年のワイン屋が、書籍だけを頼りに、無難な選択をしていては自分の仕事をしているとは言えない。料理人の創る料理を思い描き、頭の中でメニューに記された料理を創り上げ、在庫の中から適合するワインを対応させていく。そのヴァーチャル・ワールドで、美しいハーモニーを聞けて、ニュアンスの差を感じ取れてこそ、「プロ」と言えるのだろう。メニューは以下の通り┌──────────────────────────│ 1.オードブル│ ・白アスパラのババロア│ 菜の花のソース│ ・サザエのブルゴーニュ風│ ・野生真鴨とリ・ド・ヴォーのテリーヌ│ ・タラバ蟹のムース フレンチキャビア添え││ 2.スープ│ 自家製無農薬大根のスープ│ カリカリベーコンと燻製オイル添え││ 3.魚料理│ ・オマール海老のムース パートフィロー包み焼き│ ソースアメリケーヌ││ 4.肉料理│ ・フランス産バルバリー種鴨のロースト│ ヴィオレ粒マスタードソース│ 5.デザート│ ・二種のチョコレートムース│ ・バニラとキャラメル│ ラムレーズンのアイスクリーム添え└───────────────────────────フレンチの場合ならば大きく外す事はないが多くの場合は80点位で止まってしまう。それではお料理の造り手に申し訳がない。参加者はグルメな強者ばかり。その程度のレベルでは、適当な笑顔と愛想の言葉は発するだろうが心の底から「美味しい」と思ってなど貰えない。天才ではない人間が、直感に頼れば、到達できるレベルはすぐに限界が見える。だからこそ、多角的な検討が必要になってくる。まずはこの食事会に先だって、安田シェフのお料理を数回頂いた。そのソース、味わいのバランスなどを体と頭に染みこませ、これらの料理の延長線上に今回のコースが組み立てられると仮定する。そして、お料理の中でどこを中心に置くか…を考える。本来なら、メインディッシュの肉に違いない。バルバリー鴨ならば、当然のようにブルゴーニュ・ワインとなる。が、ここに力点を置くと、余りに当たり前になり過ぎる。それと同時に魚料理に対して、焦点がぼやけてくるような気がした。そこでワインのストーリー展開の見せ場を、魚料理側に少しだけシフトして組み上げてみる。この魚料理への微妙な力点の移動が今回のマリアージュの面白さになる、と信じながら…。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月15日
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羅盤の針のように、踊る心と体…続けてマエストロ・シエラを飲んでみる。ボデガの名前は、職業に由来している。1832年頃、当時有名なシェリーハウスの樽作りは全部任されていた…という樽職人・シエラさんが興したからこの名前だと資料にある。 フィノに続いては、当然ながらオロロソだ。こちらは、アルコール度数が20%ある。ちょっとキツいかな?と思ったけど、どうしてどうして…。グラスに注げば深い琥珀色。しかし、この香の高さは凄い。バタースコッチの香に、スモーキーな要素が加わり、もしかしたらこの樽が、そのままウイスキーのシングルモルトへ回されるの…って思えるほどに燻系の香のニュアンスがある。ソレラシステムで15年間の熟成は、ダテではない。また、従来はぞんざいに扱われていたシェリーを丁寧に流通させれば、このレベルになるのだ…と確信させてくれた逸品。 オロロソ/マエストロシエラ 750ml【シェリー】 2,520円 (税込)最後にペドロヒメネス。今まで飲んだペドロヒメネスは、正直言って酷いモノが多かった。無茶苦茶な甘さ、どんよりと濁った外観と味、香は梅酒が古くなったような…っていう印象。お前は腐ってるだろう…てグラスに何度呟いたことか。しかし全く違う。琥珀色の深い色合いだがクリアーさがある。ロースト系に加えて、イングリッシュトフィー、オレンジなどの香が凝縮。これが、ホンモノなんだなぁ…と感じさせてくれた香。そして甘さが心地良い。 ペドロ・ヒメネス マエストロシエラ 750ml【シェリー】 価格 2,520円 (税込) 締めに飲んだこのペドロヒメネス、ガトー・ショコラと合わせてみる。甘さが調和して、実に心地良し。海の傍ら、尾道でほろ酔い加減になりながら、傾けるシェリー。船乗りになったような気分になりながら、時計を見ると、おぉ!東向き電車の最終時間が近づいている。慌てて店を出て、走る。酔いを増幅させながら尾道駅に向かう。 尾道駅のトイレの中に居た虫尾道発22:44っていうのはちょっと寂し過ぎる…。23:54倉敷駅着。 倉敷←1,110円→尾道倉敷を19:10に出発だったから4時間弱のトリップ。また行ってみたい…と感じさせる、尾道、そして「らぱん」でした。 [The End]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2008年03月14日
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バル・ラパンのお料理に、ワインを次々と合わせていく。パスタ、ベーコンとキノコのクリームソースパスタ、トマトとバジルバーニャカウダソース・野菜スティック添えピザトースト…う~ん。最高! 次々と出てくるお料理とワインに舌鼓。楽しみは一段と膨らみ、スペインのイメージならばここは一発シェリーを…と、「マエストロ・シエラ」を飲んでみる。大メーカーのシェリーとは全く違う、深く豊かな芳香と味わい。まずはフィノ。数年前に規格が変わり、アルコール度数が15%ほどになったので飲み易く、味わいが前に出て来るようになった…と私は感じている(以前は私にはアルコールが強すぎた)。何と言っても香り高い。棚晒しになってたりするモノとは全く違う。これが、ワインと同じ扱いで流通してきたシェリーなんだ!と感動。尾道で飲んでるからではないだろうが、海の香。ロースト・ナッツの芳香。強すぎずすっきり。 マエストロシエラ フィノ 750ml 2,200円 (税込) ラベルは安っぽい印象を否めなかったが、飲んで感動。シェリーの美味しさを再発見できる内容。シェリーは、その複雑な味香から初心者には無理…そんな思い込みを払拭する内容。羅針盤に身を置いた私の心は、シェリーを片手に、一挙に海原へと出航した。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→ ボージョレ・ヌーヴォーのお話もヨロシク!
2007年09月15日
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日曜日は、営業時間を夜7:00迄にしている。そこで!すばやく店を閉めて倉敷駅にダッシュ!山陽線下り19:10に乗車。行き先は、尾道の商店街にある「バル・らぱん」だ。尾道到着が20:10、駅前に出ると造船所のクレーンが見えたりして、なかなかの雰囲気。徒歩約10分、尾道の商店街に入り、目的地に到着。フランス語のラパン=ウサギではなく、羅針盤の「羅盤」、大航海のイメージはスペインと重なり、「バル・らぱん」を名乗る店だ。もちろん、海に面した尾道のイメージとも重なる。なかなか粋な外観、カウンターに座って適当なアテを頼んでみる。えいのフリット…これに合わせるならばスパークリングってことでまずはカヴァ。そして次のオーダーが、このワイン。 ロブレ モノ ロザエ[2006] 750ml 1,890円 (税込)エイは、海のイメージを演出するには極めて良いがなかなか難しい素材と言えるだろう。かなり厳しい味か?…と思っていたがなかなかどうして、見事に仕上げている。フリットにロゼ、これは海の街・尾道を印象づけるの組合せとなった。さらにマスターの舵取りで航海は続く…。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年09月13日
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という事で、ブレンド作業を終えた後、風呂に入る。そして、寝れば終わり…とはならないのが自営業者。本日のテイスティング用にピック・アップした物に向き合う。 昭和の終わり頃の路地裏のスナックの看板のような…バラのラベルに哀愁を感じながら、表記を見つめる。 ドメーヌ・モン・サンジャン アレアティコ[2005] ヴァン・ド・ペイ・ド・リレ・ド・ボーテ 1,500円 (税込)ヴァン・ド・ペイの表示名称が、L'Ile de Beaute =The Island of Beauty「麗しき島」としても良いが、できれば美人の島」としたいかな…などと思いながら頭封を外す。 コルシカ島出身の美人の唄もいいもんだ…コルシカ島のワインだ。しかもアレアティコという葡萄はナポレオンも好んだという古来種、彼のように3時間の睡眠に近くなってしまうのか…と思いながら資料を眺める。コルシカ島では、このモン・サンジャンという生産者のみがその伝統を受け継いでいる…と記されている。コルク上面には、コルシカ島の形状が焼き付けられていて可愛らしい。栓を抜いた時点で、華やかな香が立ち上がる。ベリー、ライチ、そしてえも言われぬ芳香。(バラの絵ラベルでもバラの香の要素は無い)スタート温度はセラーから出して来た12℃で、普通ならばタンニンの硬さやザラつきが気になるのだがこのワインに関してはスムーズ、これは「冷やして飲む赤ワイン」としてイケそう。アレアティコはマスカットの突然変異とも言われており、マスカットに、黒葡萄の果実香がブレンドされたような個性的なニュアンスを持っているのかも…。これは、これからの季節、暑くても飲める赤、魚料理にも合わせられる赤…として勧められるなぁ…と実感。そんな事を思いながら、冷えて美味しいこのワインが少しずつ温度が上がり、変化していく様を観察。結果的にwifeと二人で半分ほど空けて、本日の科目は終了。私の慌ただしい休日はこれで終わって寝床に就く。おやすみなさい。 [The End]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年06月09日
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ブレンドするにせよ、単体で魅力あるものを使いたくなってしまうのは人情。しかし不思議にも、最良・そして次いで二位…に感じたのは2006年をベースにはするものの、それに酸が強すぎると感じた2005年をブレンドする事だった。●ベスト2006年物(2) No.109 Allier MT2005年物(B) No.105 Allier + で、ブレンド比率は、75:25である。76:24としても大差はなかったので、そうして2006年を名乗るのが良いだろう。主体に使ったものは、単体だとNo.1のワインではない。しかも酸の強い2005年物をブレンドして“最良”となった事にちょっと驚きがあった。しかし、味覚は私の脳細胞にこれがベストと語りかける。果実のアロマがまず前面に出て来るのだが、香樽の辛さとスパイシーがあり、ボディーが適度に膨らむ。タンニンはさほど多くないのだが、力強さがあり、余韻が長く続いたのち、しっかりと締まる。酸は多目だが酸っぱすぎず、果実っぽさが浮き彫りになる。これは、昨年の樽を使わなかったものと比べると、3段は上のレベルの印象。これなら多分、銀賞以上はイケるのでは…と私は思う。●二位そして次に良かったのが以下。2006年物(1) No.108 Pennsylvania2005年物(C) No.106 American + ブレンド比率は、85:15もしくは80:20程度。こちらも2006年と名乗れる。これは、単体でNo.1だったものが主体になる。その個性を生かしたいから…という意図的なものは無いのだが、先ほどのブレンドと比べると、主体が85%~80%と比率が上がっているのがやはりこの(1) No.108 Pennsylvaniaの優秀性だと感じる。良さを生かしながら、アロマと酸が十分な後者で盛り上げる印象。これも立ち上がり~膨らみ~フィニッシュへと相応にまとまり、果実味と押しが出て上々の仕上がり。こちらも入賞できそうな気がするように感じた。かなりの組み合わせの中から絞り込んだ以上のブレンド、なかなかの仕上がりであり、未来が見えてきたような気がする。●さらに次のブレンドとして、2005年物(A) No.104 Nadalie(B) No.105 Allier(C) No.106 American + + をすべて1:1:1でブレンドする。これは酸が走るが、樽貯蔵の深みが十分に感じられ、旧来の山葡萄の味わいで支持を得ている層には受けるかも知れない。●そして、やや樽の方が勝ってしまったと考えられる2品目、2006年物(3) No.110 Allier MT(4) No.111 Pennsylvania + については、80:20のブレンドで不思議に木の香がバランスを取るような気がした。ただし酸が少し強めに浮いてくるように感じるが…。以上がソムリエと二人のテイスティングの結果である。車で1日揺さぶられている検体なので、醸造所にあるものとは少し違っているのは承知の上でのレポート。コンテストに提出するのがどのようになるか…は定かでないが、参考にはなるだろう…と思い、このデータを植木さんに提出する。できるならば、コンテストに入賞して欲しい…と願いながら、時計を見るとAM1:00を過ぎている。ブレンドの検討に入って、4時間が過ぎていた。たった7種類でも、組み合わせは無限。どのヒョウタンに駒が入っているか…を見つけ出すのは、尋常な作業ではなかった。しかし、翌日結果を伝えると、驚く事に、ほぼ同じ組み合わせ・割合を、植木さん自身も答にしていたようだ。どうやらジグソー・パズルに似て、パーツ素材が決定していたら、絵を形成できるパーツと配置は決まっている…のかも知れない。「混ぜる」という所作自体が我々日本人の感覚からはちょっと異質に感じるだけに、余り表立たない作業である。が、味覚だけを頼りに、暗中模索で最高の味を探り当てる事は、実に面白い作業でもあった。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年06月06日
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検体は7品目。以下の通り2005年物(A) No.104 Nadalie(フランス系)(B) No.105 Allier(フランス系)(C) No.106 American(アメリカ系) 2006年物(1) No.108 Pennsylvania(アメリカ系)(2) No.109 Allier MT(フランス系)(3) No.110 Allier MT(フランス系)(4) No.111 Pennsylvania(アメリカ系) オークの種類も簡単にアメリカ産とかフランス産とか言ってたけど、単純でないことを名称から知った。最近では、焼き具合のオーダーできるらしいので、製造側としてのチューニングはかなり難しそうだ。さて、まず各々を単体で飲んでみる。2005年ものは、概ね酸が強い。果実味は十分にあるのだが酸の強さが目立ち過ぎるスタイル。2005年の単体は、共感得るのはなかなか難しそうだ。一転して2006年物、気候も違ったという事だが、それよりも、余りに強烈な酸を和らげる手法を施した…と言う。するとどうだ。この味バランスは。一挙に良くなっている。それでもまだ酸は強めであるが、数段上に上がっている。中でも2006年物(1) No.108 Pennsylvania は非常に良い。単品で販売可能である。山葡萄は高価で、なかなか安くはならない。多分、三千円の上の方になるのだろうが、ポリフェノールの多さ、そして今話題のリスベラトールの多さでは、ヴィティスヴィニフェラ系の一般的なワインの数倍の含有量を誇る健康派だ。味がこの領域に達して、健康という付加価値がつけばあながち無理とは言えないかも知れない。そしてこれがもし2000円程度になったとすれば全日本レベルに到達…と言い切ることができる。なかなか難しいだろうが、頑張って欲しい…と願っている。さて、それに次いで単品で良い素材は2006年物(2) No.109 Allier MT である。ただしこれは単品で出したら、前者(1)には及ばない。一方(3) No.110 Allier MT は、少し木の香が癖があるように感じるし、(4) No.111 Pennsylvania は、ボディがヘナッとして、木の香が前に出過ぎている。樽に入れると思い通りに成長してくれるとばかりは限らず、かなり難しいことなのだ…と単品を飲んで実感した。 個々の特徴をしっかりと頭の中に置いて、次に、色々なブレンドに挑戦していく。1:1とか、さらに1:1:1…1:2:1など、細かに繰り返す。余り多くを混ぜても思い通りの素性へとは伸びず、また、伸ばしたい個性が隠れたり…とこの作業の難しさを知った。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年06月03日
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休日の一瞬のくつろぎ…うつらうつら…。が、携帯電話の呼び出し音で目覚める。そうだ!今日は夕刻からヒルゼンワインの植木さん が来る事になっていたんだ!!外部監視モニターを見ると、もう、前の駐車場に停まっている。慌てて起き上がり、迎える。ワイン教室で上がった声を、消費者の声として植木さんに向け、色々と伝えた。造りもしない者が、生意気に色んな事を言った。しかし、すべてを受け止めてくれる。より良いワインを造ろうとする植木さんの姿勢に感心した。 ひるぜんワイン ひるぜんワイン 山葡萄 [赤] 山葡萄 [ロゼ仕込] 3,885円 (税込) 3,360円 (税込)できれば、蒜山ワインのレベルをさらに上げたい。その気持ちは、私自身も強く持っている。イタリアの品種などの栽培も勧めてみた。ファランギーナとピエディロッソそしてアリアーニコ。火山灰土で日照量も近く、他の品種より成功の確率は高いのでは…と思ったりする。今回、植木さんの依頼は、仕上がった樽貯蔵のワイン達をいかにブレンドしたら良いか…という点だ。味わいの点でアドバイスを…という事で、7種類の樽の検体を持参下さった。 夜になって、ソムリエと共に検討に入る。前もって、微量づつのブレンドができるようにスポイトを購入してグラスの中でブレンドするように準備した。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年06月02日
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さて、娘&wifeと昼食を終え、保険の満期処理&加入という野暮用を済ませた後、休日定番、高脂血症改善のトレーニングに出かける。と言っても、自転車で20kmほどを走るだけだが…どの程度の距離を、どの程度の速度で走っているのか…は今まで全く分からなかった。しかし今ではこんな物があり、結構重宝している。 気分によってコースを変えるのだが、なぜか高梁川(岡山県三大河川の一つ)沿いに走ってみたい気分になった。倉敷市内の北部・酒津(さかづ)に辿り着く。遙か昔は、ここから吉備の地で造った酒を船に積んだ場所…ということで、名付けられた場所。 今、我々にとっては、倉敷全体を潤す農業用水の起点としての貯水池、そして水路がある場所としての印象が強く疎水百選に選ばれたのも納得がいく風情。そんな場所だからこそ、走りの要所としている。辿り着く迄はさほど気にならなかったが、酒津から川沿いに南下しようとするとすごい向かい風。でも南から風で、何か心躍るようなものを感じる。ギアは3~4段目がやっと。時速は20キロに達する事はなし。まぁ、トレーニングだから…とペダルを踏む。自転車で走っている間は、MP3プレーヤーで音楽を聴いているのと風景が変わる事だけが刺激。 風景から追憶や思考が生まれ頭の中で交錯していく。向かい風だったら余計のこと。苦しさと、イヤーフォンをかすめる風切音が想像を増幅していく。水江の渡しへの道が右手に見えた。知り合いが、ここで若い命の幕を降ろしてしまった事で私は鬱病の恐ろしさを知った。汗が噴き出しているはずだが、向かい風に乾かされているのか、それとも吹き飛ばされているのか…。自分が懸命に関わってきた事や、心を注いで来た事が外的な要因から、誰にも知られる事なく、また結果が何も出ず、蒸散し、消えてしまった…そんな気分になったのを思い出していた。MP3プレーヤーから、キングクリムゾンのエピタフがタイミング良く流れてきてつい潤んだ目も、南風によって干上がらされてしまった。 本来ならゆったりと流れる高梁川の流れに沿って行けば、緩やかな下りになってるはずだから、楽に進むのだが風が押し戻そうとする。逆らって前に進み続けたが、30分走った所で横に逸れた。すると、全くの無風。いや追い風。スピードメーターはすぐに30km/hを示す。それなのに、前からの風を殆ど感じない。我慢してた涙が溢れるように、体中から汗が噴き出した。家にたどり着いてシャワーを浴び、横になって、DVDを観る。 それぞれのエピソードでのテーマは、深く考えるほどに、味わいを増す。また、艦長の言葉は人生の多くの場所で教訓となる。…そんな画面を見ていたらうつらうつら…というのも休日ならでは。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年06月01日
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休日は慌ただしく過ぎていく…のは誰も同じだろう。ただ、零細な自営業の上に、健康に不安を抱えていてついでじゃなくて父親もやっていればその動きにも拍車がかかる。定休日を月曜にしているから、自分は休みでも世の中は動いている。従って自営業者が休日の朝起きて、一番にするのは、先週売れた欠品&今週売れそうなワイン達のオーダー。多くのアイテム数をチェックしながら慌ただしく注文、気がつくと11時を過ぎてしまっていた。すると中間考査中の娘が帰宅。彼女のグルメぶりは我が家一番。中間考査の最中だというのに、和食の店へランチに行こう…と言う。いつもは部活動で行く事ができないが、試験中なので部活動はなく、しかも昼前に帰って来てタイミングが合うので急いで「寿」 (“ひさ”と発音)へ。いつも盛況なこの店、ランチは特に人が多い。グルメなおばさま達が押し寄せる。ここのランチは手がこんでいる。 野菜サラダ、豆腐漬け物、小松菜の煮浸しお造り(鯛・カンパチ)卵焼き(千種焼き)エビ天(しそ巻き)マイタケのかき揚げヨモギ麩サワラの西京漬けひじき…いつもながら多メニューに、そしてそれぞれの味の質に感心。もちろん、ご飯、すまし汁(三つ葉・豆腐・小さな蛤入り)も付く。ご飯はおかわりOK。これで1000円(税込み)なのだから凄い。お造りは地の魚のようだが、それ以外は地の物の料理ではないので、観光ガイドなどには載りにくい。その為、観光客は少ないが地元のグルメ達はまず知っている店。ただし、私はこの店の大声の歓待は苦手。客へのもてなしの気持ちは料理の味と技で十分だ。声は小さくても料理に心が通っていれば、心は間違いなく伝わる。音楽も信じられないジャンル(プログレのロックなど)が流れたりして、それが好きな私でさえ違和感。…ただし、お料理が極めて良くて、価格がリーズナブルだからこそそれが浮きあがってしまうのだろうが…。美味しい昼ご飯をリーズナブル・プライスで食べたい人は、現時点の倉敷では、これ以上の店はない…と言って良いだろう。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月31日
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時をかける少女の中で、時間を移動する撮影をした場所と聞いたのが「タイル坂」。 正式には、“タイル小路”か“タイル小径”らしいのだが、伝説として響きを大切にするなら「タイル坂」と呼ぶ方が私にとっては心地良いので、勝手にこう呼ばせて頂きたい。監督ゆかりの地である尾道にあるという。それを初めて知った時、胸が高鳴った。行ってみたい…と思いを膨らませた。しかし、いい年した男が一人で行くのはどうも抵抗がある。彼女ができたなら、連れて行く、とかデート…という口実でなら可能かも知れない。いやこんな胸がわくわくしそうな場所だからこそ、彼女ができたら、ぜひ行ってみたいと思った。そう考えた時から、タイル坂は私の心の中で聖地となった。しかし生来の無骨者、そう簡単に彼女などできるはずもなかった。時は流れ、なんとか結婚は決まったものの、デートなどする余裕はなかった。思いは片隅に追いやられたまま十年以上が過ぎていた。結婚して二人の娘が生まれ、かなり大きくなってから尾道に家族で出かけた。千光寺公園・文学のこみち…そして、念願のタイル坂に差し掛かった。道に迷いながら着いたので、坂に上がるのではなく、上から降りるスタイルとなった。はやる気持ちは、私を家族より先に…と進ませていた。振り返ると、坂の上から降りてくる少女が居た。そして続けて4歳年上の娘、最後にはwifeが降りて来るのを見た時私の永年の思いは帰結した。時を駆けた彼女たちを見た私はタイル坂を後にし、右に曲がって細い路地になった階段を降りた。自分の心も間違いなくこの時、時を駆けた。 大林監督と並んで写真が撮れるとは思わなかった…それはかつて大林宣彦監督のくれたファンタジーという切符のおかげだった。 [The End]----------------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月26日
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でも、他人のそら似だったら?長髪・サングラスの、変な爺ぃさんだったら?…っていう恐れもあるので、レストランのテーブルに着いた後、ソムリエールに聞いてみる。 するとやはりホンモノ。倉敷芸術科学大学に、特別講師として講演に来たらしい。私が客として席に着いた時、監督のワインのオーダーが入ったのでソムリエールが相談に来た。(最悪、難しいオーダーで、適合在庫がここに無い場合、私が自分の店まで取りに帰らねば…という覚悟を持って聞いた)が、優しい監督、そんな難しい注文など出す訳もない。でもそれだけに下手なものなど出せない。このリストランテの在庫の中で、監督の舌に最も適合するワインは…と考え、モンテピローロ(サン・パトリニャーノ)2000年をチョイス。 モンテピローロ[2000] サンパトリニャーノ 4,200円 (税込) ソムリエールは、監督の席にワインを選んだ…という事で、挨拶に行っても良いだろう…と言ってくれたので、ずぅずぅしくも挨拶に行った。気が動転しているので、懸命にワインの説明をするだけに終始した。ワインを飲んだ監督、「おいしいよ。僕の好みに合ってる」と優しい言葉。良かった…と思うその後、ファンである事を伝えたかったのに、興奮していて、「ハウス」や「転校生」なんていう作品名さえ出てこなかった。邪魔しては悪いので、写真を撮らせて貰った後は、早々に退散し、興奮を抱えながらこの日のディナーを楽しんだ。この日は、来店客がやたら多い。後ろにはドイツから来た技術者集団がワイワイやってる繁盛ぶり。帰りがけに色紙へのサインをお願いし、帰宅した。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月25日
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TVでの芸能人のコメントなどは、まず虚像だろう。それは仕方のないこと。しかし、この大林宣彦監督が出演して、発する言葉は優しく、もしそうだとしても、実に心地良い。決して甘やかしているのでなく、若手に優しい。結構、ボロを出させようと突っ込むような番組もあったように思うが、それでも優しく切り返すのは人格のなせる技なのだろう。芸術家というのはともすれば、協調性が無い。才能が鋭ければ鋭いほど、それが顕著となっても仕方がないのだろう。しかし大林監督は全く違っていた。決して創り上げた役柄でなく、優しい。その言葉に、私もwifeも幾度となく癒された。思い起こせば、作品でも常に癒されてきたような気がする。中学校で自我が強く、友達が出来にくかった頃ハウスの出演女優の美しさで、共通する話題を提供してくれ、友達の輪が一挙に広がった。 転校生の小林聡美。活きの良さが可愛くてたまらなかった。時をかけた原田知世。ラベンダーの花ってどんな匂い…と一生懸命に花屋の友達に聞いてみたりもした。何か心くすぐられ、夢と想像の世界へ引きずり込まれる。現実にはあり得ないのだが、そのトリップで心は癒され続けたのだ。 その人が、そのテーブルの向こうに座っている! [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月21日
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今日がバスケの試合だった娘が、しっかり食べたいので夕食は、行きつけのシチリア料理=煉天地へ行こう…と言う。私も異存はなかった。歩いて5分もかからない、リストランテへ向けヨタヨタと春の宵を楽しみながら歩く。レストランのドアを開け、一歩踏み込んだ最初の席に座っている人に一瞬目を奪われた。あ、あれ?この人は…お、大林宣彦監督??何も分かってない中学校の時、初めてこの監督の作品に接した。よく宣伝されていたから面白いのだろう…と思い、友達と出かけた、“ハウス”という映画だった。 現実的な話しか許容しなかった当時、それでも小遣いをはたいて出かけたのは、出演した女優達に華があったからだろうし、またその魅力を画面の中で引き出した大林監督の手腕だったに違いない。映画という同一ジャンルで判断していた当時、どうしても比べてしまう洋モノの映画からは数段遅れている印象を抱いたものの、なぜかしら心に焼き付いた作品だった。同時に「大林宣彦」、この監督の名前がしっかりと心に残った。高校時代はそれほど映画は見る事ができなかったが、大学生になって少しずつ、そして社会人になってよく見たように思う。と言っても邦画はほとんど目もくれず、ほぼハリウッド・オンリーという、ありがちなスタイル。しかし、イーストウッドのマグナムの炸裂やシュヴァルツネッガーの繰り出すパンチに酔いながらなぜかしら必ず見ているのが 「転校生」 「時をかける少女」 …っていうのが、自分自身でも理解できなかった。でも、バック・トゥ・ザ・フューチャーを見た時に気づいた。私は大林宣彦監督の創り出した“ファンタジー”に身を委ねていたのだ…と。中学生の時見た「ハウス」のストーリーは荒唐無稽、だけどその画面の中に引き込まれ、リー・トンプソン以上に可愛らしかった大場久美子に恋をして、神保美喜の肢体に憧れ、池上季美子の色気に酔った。画面に登場する蚊遣り豚が気に入り、蚊取り線香も使わないのに、映画を思い出して買ったりもした。 大林宣彦監督の創り出したファンタジーの存在を嗅ぎ取り、それに共感し、年を重ねて来たような気がする。仕事の為にCPUの画面に向かい続ける自分、昨今では映画さえも余り見なくなったような気がするがそれでも、この監督の産み出して来たモノに影響され続けたのに違いなかった。 [To Be Continued...]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月20日
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(13)1953 シュタインベルガー キャビネット ナトゥーアライン “マウワーヴァイン” エーデルベーレンアウスレーゼ ラインガウ国営醸造所 本日のメイン・イベンター。シトー派であるエーベルバッハ修道院は、塀で囲まれている。この塀(マウワー)に栽培された葡萄で造ったのがこのワイン。緯度の高いドイツでは、日照が上からでなく、横から射し込む為、傾斜が強いほど、太陽の恵みを受けられる。そう考えれば、壁面は傾斜角90°の、究極の斜面である。現在も造られているが、表側ラベルには表記が許されないため、裏側にその旨が書き込まれる。このワインの専売権を握っていたのがバルタザール・レスで、同家のサブラベルが、金色で覆われた肩飾りと共に貼られている。 さて、現物を目の前にして、栓を抜くのに悪戦苦闘。リコルクなしだ。つまりは54年間、同じコルクで生きてきた事になる。従ってこれを抜くのは極めて慎重に行わねばならない。素性としては、シカゴの地下セラーで眠っていた品を若山氏がオークションで落として空輸したもの。1953年は、20世紀後半のトップ10に入る素晴らしい豊作年。若山氏曰く 「1953er シュタインベルガー マウアーヴァイン エーデルベーレンアウスレーゼ ファスヌンマー56 ナトウーアライン Cカビネット 国立エルトヴィレ醸造所 (この時代はバルタザール・レス社が 「壁ワイン」販売権利を独占) 金箔封を見よ!頭が高い!!控え控え!!! しかし、まあ誰でも、こうべを垂れるべき芸術品だろう。 あの憧憬を感じる旧ワイン法、その地方ごとの手本となる逸品を 造った国営醸造所…なんて浪漫!!!ああ!」現在は(というより他では一切)お目にかからない肩からかかった金紙。バルターザーレスのマウワーヴァインのみ、これを使っていた。これだけでも異様だが、ラベルを見れば、現在はワイン法にて禁止されている語句の羅列状態。 「マウワーヴァイン」という語句も現在は書けない。今も造られているが、裏ラベルにその旨を記述するのみ。「エーデルベーレンアウスレーゼ」も不可。“高貴な”ベーレンアウスレーゼ≒トロッケン・ベーレンアウスレーゼと捉えて良いだろう。「ファスヌンマー」は樽番号であり、現在はAPナンバーの中で数字を僅かに大きくして、樽番号を主張する事はあるが、この表記を書く事は禁じられている。「ナトゥーアライン」…自然のワイン。つまり補糖などをしていないという事の主張。現在、ドイツはプレジカーツ以上では補糖をしていないが、他国のワインがしている為、圧力がかかり、表記しない事とした。「Cabinet」=Kabinett・カビネットでなく“ツェー・カビネット”とドイツワイン好きの間では呼ばれる。取って置きの、秘蔵品…という意味に捉えて良いだろう。どの語句も71年の法改正の前にのみ使われていた。超特別な造りで、醸造も凄く贅沢で、自然で、純粋で、取って置きで…と座布団を重ねるように持ち上がっていく内容。いや既に10枚で景品を得るには十分そう。グラスに注いだ時、色が全く違う。白とは思えない色。大丈夫だろうか…と思った。が、このワインは間違いなくアライヴ。確かに最盛期は過ぎているが、落ちてはいない。いや気高さは十分に生きている。赤と差が余りないほどの外観。そうなっても、さすがエーデルベーレンアウスレーゼ。特別凄い原材料は、最高の醸造を得て、時の向こう側からやってきたのだ…と、飲み手を黙らせてしまうボディ&余韻。 美味しさに小躍りする若山氏。感動を蓄える三野氏。人の叡智の結晶、そして技術の粋。さらにはそれを静かに貯蔵した者。多くの人の手によって、壁ワインは我々の目の前に現れたのだ。 参加者の顔にも笑みが溢れた。エーベルバッハ修道院の壁…、その形も高さも知らない私だが、壁が受けた54年前の太陽の暖かさを、しっかりと受け止める事ができたような気がした。 [The End]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月19日
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さて、メイン・イベンターの一つ、壁ワインであり、なおかつTBA(トロッケン・ベーレンアウスレーゼ)のくせに甘くない…という信じられない存在が登場。(12)1988 ブルク・ホルンベルガー・ヴァルマウアー ゲヴィルツトラミネール トロッケンベーレンアウスレーゼ ホルンベルク醸造所 蔵元は、風格ある有名なホテル、しかし幽霊が出るという噂も絶えない城。その城壁の周囲に畑が広がっているが、当然高い位置にあるため、畑が斜面でなく段々畑状態になっている。その段々畑の縦の面に植えられ、日照を十分に受け糖度が上昇、さらに貴腐菌が付着した原料を使ったのがこのワイン。 ラベルにその畑の形状が描かれている当然、生産量が少なく、一樽しか造られていないし、この年号のTBAは日本には3本しか入っていない…と若山氏は明言。彼のコメントは以下の通り。「私は1990年にテイスティングしたとき、TBAなのに 甘味が殆んど無<て、苦い事にショックを感じた。 好みは分かれるが、面白いスィティルワインだ (なんと17%VOL!)今はどんな味になっているのだろう」このワインが、ヴュルテンベルク地方に属するか、それともバーデン地方か…という事が話題になった。一番の問題は、表記が無い事である。(ドイツのくせに少しあやふや?)この点について三野氏から解説があった。 醸造所自体はヴュルテンベルクに所在している。畑は、極めて入り組んだ場所にあり、州としてはバーデンであり、70年代迄はバーデンを名乗っていたはずである。71年に法改正でヴュルテンベルクとなったのではないか。88、89年はヴュルテンベルクの表記がある同畑のワインを持っているからヴュルテンベルクとして良いと考える…とのこと。ええい!そんな細かい事よりも、重要なのは造り手の腕前だ…と思いながら聞いていたら、ワインの内容については上々で、古くから高い評価を受けているとも説明があった。この蔵元が昔から辛口が得意なのは知っていたが、トロッケンベーレンアウスレーゼなのに甘くないとは…と、試飲にとりかかる。凄く濃い色。これ白ワイン?という声が上がる程に濃く茶色のトーンを持つ。一般的な指標だと、色が濃過ぎる…と判断できるのだが、何にせよ、あり得ない存在だけに受容が必要だ。外観と一転、味わいはまろやかに熟成。まったりとした滑らかさがある。若山氏が、かつて飲んだ時は極めて苦かったそうであるが、現時点ではそれほど苦くない。「苦い」と言うよりも、味の構成としての「締まり」がポジティヴ。長く続く余韻の後半を、城に潜む得体の知れぬ者がぐいぐいと絞り込んでいく。 アルコール分17%。しかしこのアルコール度数にも関わらず、舌を刺さない。膨らむボディ、力強い構成、そして今、まさに最高と言える熟成状態。緯度が高いドイツでは、平面の畑より垂直の壁面の方がより確かに実る可能性を持っているのだろう。単発酵で17%に達するという離れ業、TBAなのに甘くない、そしてそれがちゃんと美味しい…というのは、やはり城に棲む何者かが関与しているのだろうか。そんな想像を膨らませてしまう奇跡的ワインだった。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月18日
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この日のメイン・イベンターである貴腐ワイン達に比較すべく、若山氏が用意していたのが、このワイン。(11)1997 ヴーヴレィ キュヴェ・コンスタンス ユエ ロワール川流域で、最も質が高いワインを造ると定評があるユエ家のワイン。ムアルーやドゥミ・セックでも、楽に50年を越える能力を持っている。シュナンブランのポテンシャルを、最大限まで引き出せる技を持っているからだろう。同蔵元が、良い年に、一樽のみ造るのがこのキュヴェ・コンスタンス。愛娘の名前を冠したこのキュヴェは、生産量が少なく、なかなか入手が難しいワインの一つ。若山氏のコメントは以下。 「1997erヴーヴレー キュヴェ・コンスタンス シュナンブラン ユエ家 10年熟成して飲み頃。ドイツ的にいえばTBAのような物。 ロワール中流はドイツ的な造りをする。 1971年などは短命なQbAと長命な甘口を造り、 1984年などは長命なQbAだけで甘口は無い。 1984年のセックにはシェーン・ソイレ(美しい酸)を感じた。 しかし。バイオダイナミックにかぷれている。 フランスの農家のオヤジにとって、あったら怖い事・・・それは 跡取り息子がバイオダイナミックにかぶれること(笑) ‥だけど本当に(葡萄栽培に限らず)よくある事です(大笑)。 もっと怖い話は、日本にもいる事!」彼のコメントを尻目に、味わいを探ってみると…しっかりと酸を持った貴腐ワイン。この酸は、“私はまだ若いですよ”…というワインの声を聞いているかのようだ。貴腐ワインだけれど、強烈な糖度がねっとりとするタイプではない。案外、サラッとした甘口。優しい味わいで、飲み手の口元を緩めてくれた。 参加者の顔が和らぐ味わいだった浅い眠りの中で美しい少女に出会った…その名はコンスタンス。これから戦場に向かう緊張感を前に、目の前を駆け抜けた美しい乙女だった。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月17日
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メイン・イベンターの壁ワインが、二つとも貴腐ワインなのでそれに比較するべく、フランスの貴腐も…と考えて準備したワイン。(10)2000 コンドリュー クラン・ド・カミーユ ドメーヌ・シェーズ 容量500ml 4,179円(税込) 次の、(11)ロワールの貴腐を若山氏が準備していた為、彼の依頼で、それに比較・検討するべく、私が準備したのがこのワイン。コート・デュ・ローヌの北部、低収量ヴィオニエで造るコンドリューだが、このグラン・ド・カミーユは、貴腐果を収穫して造ったさらに贅沢なもの。残糖は恐らく100g~120g/L程度で、それほど強烈な甘さではない。「ヴィオニエは英語で言うならヴァイオレットだ!」…という若山氏の言葉通り、香が次々と立ち上がってくるワイン。このスミレは、日本産とは全く違い、西洋匂いスミレの香…と彼は繰り返している。 ただし、花の匂いに止まらない。黒蜜、焦げた砂糖菓子などに加えて紅茶や煎茶などの繊細かつ複雑に入り組んだ香。かつてデザートとして出された黒蜜のみつ豆添えてみたが、結構至極なマリアージュを楽しめた。必要十分な甘さ、それに加えて複雑深淵な構成が洋の枠を超越、繊細幽玄な“和”の雰囲気とさえも融合する能力を見せながら飲み手の心をくすぐる。夢の中への一歩となるような優しい味わいだった。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月16日
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メイン・イベンターの壁ワインが、二つとも貴腐ワインという事でそれに比較するべく、貴腐ではないにせよ、それに近い糖度を持つ物…として、ドイツのベーレンアウスレーゼの熟成物を準備した。(09)1976 グラッヒャー・ドムプロブスト リースリング ベーレンアウスレーゼ ステュデルト・プリュム 美しい頭封・ラベル。完璧な外観だった後に続くフランスの2品目、(10)2000 コンドリュー クラン・ド・カミーユ ドメーヌ・シェーズ(11)1997 ヴーヴレィ キュヴェ・コンスタンス ユエは貴腐ワインながら、残糖とすれば、このワインよりは低めか、同等が精一杯だろうし、ドイツとフランス、古いと新しいの対比を見るのに面白い…という発想からである。さてこのワインの1976年、モーゼルの中流域として、極めて良い年と言われている。しかし、私の印象としては、べらぼうな長寿は望めない…と感じている年号でもある。造り手はプリュム一族で、現在は2房級。しかし1976年当時は多分、そこまで良くはないかも…。このハーフ瓶は、外観から、頭封の状態は極めて良好に見えたがコルクはそこまで良い品質が使われておらず、長い熟成を、さほど意識してないのか…と感じてしまうほど。色彩的には赤のトーンも出ていて、少々色が濃過ぎる。リースリングが熟成した、木の濡れた匂い。でも実年齢よりも年を食っているように感じる。甘さは十分にあり、時の経過によって滑らかにはなっている。 参加者の評価が分かれたしかし、ピークは越えた印象がある。この年は、早めに飲んだ方が良かった年、という一般的な判断が正しかったかも知れない…と思わせる熟成状態だった。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月15日
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一体、いくつ前座が出て来るのか?と思ったりしながら次のワイン。(08)1995 リューデスハイマー・ベルク・ローゼンエック リースリング シュペートレーゼ アウグスト・ケッセラー 4,830円 (税込) 前座と言いながらも、思惑がちゃんとあった。これは、三野氏が、 [03]で出した赤ワインと、同じ蔵元のワインを私が所有していたので、当時の腕前を感じてみたい…とリクエストされたので、私が提出した。アウグスト・ケッセラーは4房蔵元だけど、それほど馴染みが無い。歴史的な部分に絡むのがラインガウ地方の蔵元だが、貴族とか騎士…といった地位でもないからだろう。しかし、品質は高く、20年以上前から高い評価を受けている。貴族的な歴史やネームヴァリューが無い割には、高評価で価格が高過ぎ、輸入業者が敬遠したのかも…。造り、品質、価格、そしてネームヴァリュー…という事でワインが売れるとすれば、最後の部分だけがアウグスト・ケッセラーに欠落していたのかも知れない。これを世に知らしめる為には、大きなコストがかかるので、それよりは、既に知名度が高い蔵元を扱っていた方が良い…というのが、輸入業者達の考えだったのだろう。今回、飲んでみると、その素晴らしさに驚かされる。優しく柔らかい。熟成色がしっかり出ている。外観と比べて、味わいはどちらかと言えば若い。大阪の輸入業者が、セラーにじっと寝かせていたワイン。セラーの最も低い温度の場所に置いていたと主張していたが、今回の試飲でそれは実感できた。活きの良い酸。バランスの良い味わい。外観の色が濃いので、抜栓後は、ワインが長持ちしないか…と考えたのだが、別の場所で開けたこのワインは1日・2日・3日・4日…までは、残った物を冷蔵庫に保存し、チビチビ飲んでいても、酸化する事なく生き続けた。十分な残糖…恐らく60g/L程度、時の流れによって優しく飲み易く、そして美しく熟成している。しかし、元気の良い酸があり、健全さを主張し続ける。外観だけは、深く濃い黄金色、深く広い超一流ラインガウワイン。アウグスト・ケッセラーの腕前の冴えを十分に堪能できた1本だった。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月14日
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前座6番目として登場させたのが、特別なワインだ…ということで、仕入れた(07)2004 アイラー・クップ リースリング カビネット アルテンホッフェン 2,100円 (税込) である。何が“特別”かと言うと、30年前のワインの造りをそのままを表現しようとアルテンホッフェンが造った…とのこと。古い造りとは何だ?どんな味?どんな香?…グラスからの香をたどると確かに特殊な匂い。典型的なリースリングの香に加えてパーマ液の臭い…サルファ?SO2系の残り香?いや、天然酵母を使って醸造した場合、この匂いが出易いから、それに違いないだろう。日本では雨が多くて天然酵母は使いにくいが、ドイツやフランスでは近年、多様されているようだ。技術系の人間(と私は考えている)であるアルテンホフェンだからこそそういった造りをしたと推測される。リースリングの香が明確に存在しているぶん、他の香が良く分かる。若い年号だから、もっと酸っぱいのかと思っていたが、案外まろやか。残糖は恐らく40g/Lを少し越えた所だろう。味わいのバランスは、今までに余り経験した事のない世界と言える。アルテンホフェンの造ったタイムマシン。彼の描いた過去の姿。当時を知るべくもない私としては、昔はこんなワインだったんだろう…と思いを馳せた。トータル的に良い仕上がりで、味香バランスがなかなか面白い。コストパフォーマンスは、極めて良い。参加者の中には、この日のベストワインに選んだ人も居て、アルテンホフェンの面目躍如。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月13日
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前座と言うには、余りに凄まじい13年物のカステル侯爵家、シュペートレーゼが登場。(06)1994 カステラー・クーゲルシュピール リースリラナー シュペートレーゼ カステル侯爵家 この蔵元は、11・2世紀に遡る歴史を持ち、貴族の系列であり、銀行なども経営する資産家。現在、フランケン地方でトップランクの4つ房級として愛好家の心を捉えている。このマイン川より東側の畑、クーゲルシュピールからのシュペートレーゼは、滑らかな中甘に仕上げられている。葡萄品種リースラナーは、名前の通り、リースリングと、シルヴァーナの交配種。かつては、この二者の交配種と言われたミュラートラガウがDNA鑑定で、グートエーデルとリースリングの交配種と判明した時、多くのドイツワイン・ファンが、なるほど…と思ったという。 熱い思いを抱えながらも、淡々と解説する三野氏ミュラートラガウとは全く違う、艶のある滑らかな味わい。熟成も手伝っているのだろうが…。しかし、普通の畑に植えたのでは、ロクなものにならないと言われるリースラナー。軸が弱くて、熟成すると粒がポタポタと落ちやすい葡萄。ドイツでは、落ちた粒は一切使わないから、その点だけ考えても栽培が難しい品種と言えるだろう。よくここまで遅摘みにして仕上げた…と感心できる内容。さすがカステル侯爵、フランケン地方のトップ…と感心。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月10日
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前座と言うには、余りに実力派の、5房蔵元の登場。(05)1983 オーバーハウザー・ライシュテンベルク リースリング カビネット デンホフ参加者の中には、1983年が生まれ年の娘さんがいたりして、ちょっと驚き。つい、自分の年を考えてしまった。頭封を外すとコルク上にきっちりとした黒いカビ。いわゆる“ケラートーフ”と言われるセラーのカビが見事。その匂いが、セラーを想像させるほど匂い立った。問題は、VDPの鷲の向きである。現在がこのデザイン↓だから、1994年(次順の試飲ワイン)のVDPマーク1983年のマークはこう↓だったのか?…と思った。これが1983年のワインの頭封に記されたVDPマークしかし実は逆転現象が起きているのだ。この1983年のワインは三野氏のコレクションだが、購入したのは2005年だと言う。そして多分、ずっとデンホフの蔵に置かれていたものがつい最近、出荷されたと推測される。三野氏曰く「VDPの鷲の向きが違う、…つまりこちらの方が新しいので 出荷が2002年以降だと思われる。」左から1983年(2002年以降の出荷?)・1994年・1995年のワインのVDPマークVDPのマークは、デザイン変更によって鷲の向きが変わったというのは、いかにもカルト的だが、さらに古い年号の方が最近出荷されている…というのも面白い。蔵に貯蔵されている間は、頭封をしていないのが普通であり、出荷時点で、頭封をした為に、年号は古いが、頭封のみが新しいものになったと考えられる。容量はオールドスタイルの700ml。色は極めて健全。年寄りではない。美しくエレガントな熟成。20数年経ったワインは、こうなって欲しい…という理想的な味と香だ。1983年は、糖度が上がりやすかったが、早飲みと言われるにもかかわらず、構成要素が極めてしっかりしているからこそまた、蔵で寝かされているからこそ、このような熟成の領域に達し得た…と考えられる。ラベルが前のデザインで風格がある。ゴーミヨ5房、ドイツ最高の一軒としての内容は凄みさえある。 人間が難しい…と評判のデンホフ。しかし、この1983年時点で、間違いなくドイツのトップレベルを造っていたようだ。芸術家は難しい人が多いと言われるが、デンホフは、多分、そんな人なのだろう。彼の本質は、ワインの味香でのみ語れば良いのだ。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月09日
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この日、一つ目の「壁ワイン」はこれ。(04)1989 ホーンスタッター・ケルテンベルク トラミナー ヴィンツァーゲノッセンシャフト・フライブルクベルリンの壁が壊され、壁の向こうからやって来たワイン。東ドイツ最後のワインと言って良いだろう。蝋封をした…と自慢の若山氏。コルクが悪いから、自らが蝋封をしたと言う。 確かにコルクは、一般的に見るものの、半分程度の長さ。質も悪い。 上がデンホフのワインのコルク。下がこのワインのコルク。ソムリエナイフを入れるのが怖い。しかし、確かに、若山氏が、蜜蝋処理をしているからこそ、コルクのコンディションは、良かった。極めて“右”に偏った彼のコメントは以下「最後の東ドイツワインだ!ベルリンの壁が崩されたのは、 これが収穫された1989年の秋。壁が崩された事を ラジオニュースで聞いたのは大阪の路上。 会社の車でしたが、ハンドルから手を放して 万歳をしたのを鮮明に覚えています。 味を云々すべきではない、マルクスの敗北が明白化した “年”を想って飲もう!」「生きてる!」と喜ぶW氏トラミナーの香は、スタート時点では残念ながら殆ど無し。スパイシーさがある。バラの香はなし。芳香成分はある。生きているというレベルではなく、ちゃんとワインの味わいが感じられる。しかし品種の特性…という点では、?を出さざるを得ない。 味わいの深さなどは、それほどではない。しかし存在が、歴史的。そして品質レベルが高くない事により当時の東側の内情を計り知ることができる。「壁」の崩壊は、隠れていたものが見えてきた…と、捉えた方が良いのだろう。ただし、それほど大したものは見えなかった。それを教えてくれたワインかも知れない。 [To Be Continued..]--------------------------------------------クリックよろしくお願いします→
2007年05月07日
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