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2007年05月19日
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カテゴリ: ドイツ
(13)1953 シュタインベルガー キャビネット ナトゥーアライン

         ラインガウ国営醸造所



本日のメイン・イベンター。

シトー派であるエーベルバッハ修道院は、塀で囲まれている。
この塀(マウワー)に栽培された葡萄で造ったのがこのワイン。
緯度の高いドイツでは、日照が上からでなく、横から射し込む為、
傾斜が強いほど、太陽の恵みを受けられる。
そう考えれば、壁面は傾斜角90°の、究極の斜面である。

現在も造られているが、表側ラベルには表記が許されないため、
裏側にその旨が書き込まれる。


バルタザール・レスで、同家のサブラベルが、
金色で覆われた肩飾りと共に貼られている。
steinberger53_2

さて、現物を目の前にして、栓を抜くのに悪戦苦闘。
リコルクなしだ。
つまりは54年間、同じコルクで生きてきた事になる。
従ってこれを抜くのは極めて慎重に行わねばならない。
edelbeeren1

素性としては、シカゴの地下セラーで眠っていた品を
若山氏がオークションで落として空輸したもの。
1953年は、20世紀後半のトップ10に入る素晴らしい豊作年。

若山氏曰く
13_waka
「1953er シュタインベルガー マウアーヴァイン
 エーデルベーレンアウスレーゼ ファスヌンマー56
 ナトウーアライン Cカビネット 国立エルトヴィレ醸造所
(この時代はバルタザール・レス社が 「壁ワイン」販売権利を独占)
金箔封を見よ!頭が高い!!控え控え!!!

あの憧憬を感じる旧ワイン法、その地方ごとの手本となる逸品を
造った国営醸造所…なんて浪漫!!!ああ!」

現在は(というより他では一切)お目にかからない肩からかかった金紙。
バルターザーレスのマウワーヴァインのみ、これを使っていた。
これだけでも異様だが、ラベルを見れば、
現在はワイン法にて禁止されている語句の羅列状態。
steinberger53_3

「マウワーヴァイン」という語句も現在は書けない。
今も造られているが、裏ラベルにその旨を記述するのみ。
「エーデルベーレンアウスレーゼ」も不可。
“高貴な”ベーレンアウスレーゼ≒トロッケン・ベーレンアウスレーゼ
と捉えて良いだろう。

「ファスヌンマー」は樽番号であり、
現在はAPナンバーの中で数字を僅かに大きくして、
樽番号を主張する事はあるが、この表記を書く事は禁じられている。

「ナトゥーアライン」…自然のワイン。
つまり補糖などをしていないという事の主張。
現在、ドイツはプレジカーツ以上では補糖をしていないが、
他国のワインがしている為、圧力がかかり、
表記しない事とした。

「Cabinet」=Kabinett・カビネットでなく
“ツェー・カビネット”とドイツワイン好きの間では呼ばれる。
取って置きの、秘蔵品…という意味に捉えて良いだろう。

どの語句も71年の法改正の前にのみ使われていた。
超特別な造りで、醸造も凄く贅沢で、自然で、純粋で、取って置きで…
と座布団を重ねるように持ち上がっていく内容。
いや既に10枚で景品を得るには十分そう。

グラスに注いだ時、色が全く違う。
白とは思えない色。
大丈夫だろうか…と思った。
が、このワインは間違いなくアライヴ。
steinberger53_color
確かに最盛期は過ぎているが、落ちてはいない。
いや気高さは十分に生きている。

赤と差が余りないほどの外観。
そうなっても、さすがエーデルベーレンアウスレーゼ。
特別凄い原材料は、最高の醸造を得て、
時の向こう側からやってきたのだ…と、
飲み手を黙らせてしまうボディ&余韻。
waka_mino_end
美味しさに小躍りする若山氏。感動を蓄える三野氏。

人の叡智の結晶、そして技術の粋。
さらにはそれを静かに貯蔵した者。
多くの人の手によって、壁ワインは
我々の目の前に現れたのだ。

customer_2
参加者の顔にも笑みが溢れた。

エーベルバッハ修道院の壁…、その形も高さも知らない私だが、
壁が受けた54年前の太陽の暖かさを、
しっかりと受け止める事ができたような気がした。

                         [The End]


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Last updated  2007年05月19日 12時09分43秒
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