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小説すばる 2023年4月号完全努力主義社会 人間六度ある日、突如空から降ってきた謎の生命体「M&M」。脅威に晒された社会は最適化の末、努力主義を採用した。報われるしかない努力に、運命に、坑え。(小説すばるより転載)これは凄い!ハードなSFで読み応え充分。久しぶりに夢中になって読んでしまいました。過酷な設定、細かな心情、最後の衝撃。面白すぎ。異星の謎の生命体「M&M」と戦う「裕生人類」。機動外套という名前のパワードスーツに乗って戦うのは19歳のメルト。ギガントジークという国は異星人に侵略されて、ほとんど負けようとしていた。もう後がない上層部はある決定をした。メルトの数日間の行動と過去のフラッシュバックで話は進行します。話の経過もグイグイ読ませますが、何と言っても終わり方が素晴らしい。感動で打ち震えてしまいました。このところちょくちょく載っている小説すばるのSFの中でピカイチでした。
2023年04月07日
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小説すばる 2024年10月号猪之噛 最終回 矢野隆東京から福岡の山奥に引っ越し、猟師として生活している明神マリア。職場である「ジビエ森の風」で、猟友会の会長吉中剛太郎と山の気配について話す。マリアの抱いた違和感は先輩猟師の三守一郎も抱いており、山からの獣の気配が消え去っているようだった。(小説すばるより転載・後半省略)猪と対峙する猟師の物語。その猪は想像を絶する野生動物。最初は猟師だけが気付くだけだったが、しだいに一般市民にも影響が及んでいく。命の危険を感じながら猪と対峙する猟師たち。味方になる人、文句を言う人、様々な人と関わりながら、猟師の矜持を持って猟をする人の話で、かなり感動します。迫力ある猟の場面、死ぬかも知れないと思う恐怖、そして人には危害を加えてはいけないプレッシャー。猟師の人々に頭が下がります。猪には罪は無いとはいえ、放置するわけにもいかない。とっても面白くて、毎回ドキドキしながら読んでました。これ単行本になったら一気読み間違い無しですね。
2024年10月29日
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小説すばる 2025年9月号クインテット 第四回 津村記久子何だかダラダラと大学生活が描かれていた話が、就職活動をするようになって、俄然面白くなってきました。いや、就職活動に苦労している大学生を面白いと言うのは不謹慎ですが、就職活動がすごく大変なのが伝わってきて大学生の就職活動はスゴイ世界だなあ、と感心してしまいました。時代がちょっと前の話なので、エントリーを郵送するところがちょっと古いですけど、就職するのにスゴイ労力がいるんですねえ。そして自分が何がしたいのか、どこに就職したいのか、難しいテーマに急に向き合うようになる就職活動って決断力と行動力が問われますね。登場人物の就職先がとても気になります。
2025年09月15日
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オール読物2010年1月号美弥谷団地の逃亡者 辻村深月高雄とは別れられない。相田みつをを教えてくれた人だから(オール読物あらすじより転載)今注目の辻村深月さんの短篇。最初から主人公の女の子のバカさ加減にいらいらしながら読んでいました。あまりにもバカなので途中でやめようかとも思いました。しかし、ラストは衝撃的でした。これって、去年実際にあった事件が元ネタですよね。(もちろん細部は違うのでしょうが・・・)最後まで気がつかない私もバカです・・・ラストの持ってき方がうまいです(架空の話ですが)この女の子の将来が心配です。
2010年01月11日
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小説すばる 2024年8月号檸檬の家 平戸萌氷室冴子青春文学賞受賞の新鋭が描く、新しい家族の形。恋愛に関心を持てないまま三十代を迎えた榛奈は、久々に再会した前職の同僚・竹美と「家探し」を始めるが・・・。(小説すばるより転載)三十代の上野榛奈と四十代半ばの里中竹美は二人で暮らせる場所を探すが、なかなか良い物件が見つからない。ユニークな不動産屋さんに紹介してもらったユニークな大家さんの物件が気に入って、ようやく住むところが見つかる。世の中は偏見に満ちあふれていますし、何事も決めつけてかかる風潮にも困ったものですが、親子でも恋人でもない二人が暮らす場所を見つけるのは大変そうです・・・。この大家さん、妙な制約がありますが、偏見が無く、大らかなのがいいですよね。実際にこんな物件があったら住んでみたいです。様々な背景を持った店子と触れあえて、これは理想的な物件ですよね。里中竹美の背景に厳しいものがあるのに驚き。家族といえど、全てうまくいくわけではないですからね。とりあえず前に進むしかないですよねえ。
2024年08月07日
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小説すばる 2024年11月号ウロボロスの環 第十八回 小池真理子夫・俊輔に起きたことも衝撃でしたが、今回、連載始まって以来最大の爆弾が落とされました。なんということ・・・。その上に影山から聞かされる話。俊輔の両親の話がこれまた衝撃で、運命の皮肉に打ちのめされます。小池真理子さん、こんな展開に持って行くとは凄すぎます。今回息を止めて読んでしまいました。次回も大注目です。
2024年11月11日
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小説すばる 2019年10月号笑わない少女の死 道尾秀介妻と死別し、定年を迎えた元・英語教師。退職後に一人訪れた異国の地で、彼はある少女と出会う。傑作「光媒の花」「鏡の花」に続く、「花」シリーズ最新作。(小説すばるより転載)アイルランドの首都ダブリンを旅行している「私」は元・英語教師。英文を読むのは得意だが、会話は苦手な元教師という皮肉な設定。ダブリンはラフカディオ・ハーンが幼少期を過ごした街だ。そのダブリンで「私」は少女と出会う。英会話が不得手な「私」は、出会った少女との会話もろくに出来なかった・・・。話全体を覆う、得体の知れない不安感。途中で挿入されるハーンの話。英語が聞き取れないために上手く意思の疎通が出来ないもどかしさ。全てが陰々滅々としています。少女の死亡した経過は最後に語られますが、その真相は謎めいたもの。少女の死亡は確実ですが、その原因はわかったような、わからないような・・・。箱の中の正体は?ミステリーというより、ホラー小説に近い短篇でした。
2019年09月28日
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小説すばる 2021年4月号名のない毒液と花 道尾秀介生徒に頼られる先生に憧れ、理科教師は「犬」とともに教え子を追う・・・。「光媒の花」「鏡の花」に続く花シリーズ、第五話。(小説すばるより転載)各話がゆるく繋がっているこのシリーズですが、今回はこれまでちらほらと話に登場していたペット探偵・江添正見の話でした。ペット探偵の過去が語られます。何故、江添の犬が吉岡という名前なのか。何故、江添は一人でペット探偵をやっているのか。そこには思いもよらない悲しい過去が・・・。途中、事件を未然に防ぐ過程でミステリーっぽくなります。しかし、そこにはまた違う悲しい出来事があり、決して明るい結末ではありません。つらい人生にかすかな光明を見いだして生きていくしかない人生。悲しみを背負って生きていくのって辛いなあ、と思わせてくれる話でした。
2021年03月25日
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小説すばる 2021年8月号浮雲心霊奇譚 第二十八回 絡新婦の毒 前編 神永学その滝には絡新婦が棲んでいるという。近づいた人間は滝壺の中に引き摺り込まれ・・・。(小説すばるより転載)浮雲と土方の旅の新章です。三島の手前の絡新婦の話となると、浄蓮の滝の伝説が元ネタでしょうか。絡新婦に滝の中に引きずり込まれて体中の血が抜かれてしまうと言う、恐ろしい事件が3件も続きます。その話を聞いて、土方が興味を示し、浮雲が反対するという、いつものお約束で話が展開します。両替商の植松屋に話を聞きに行った土方はおきみという旅の女の話を聞く・・・。おどろおどろしいですね~。お約束の展開が続いて楽しいです。続きが楽しみ~。
2021年08月12日
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黒川博行さんの「凶花」の小説すばるでの連載が2024年10月号を最後に掲載されていません。それまでは毎月載っていましたし、隔月みたいな感じでもないみたいだしでどうなってしまったのでしょう?小説の先が書けなくなったのか、体調なんかの関係なのか・・・。まあ、月刊小説誌の連載ストップはよくあることで、そのままフェードアウトすることが多いですよね。と思っていたら、いつの間にか単行本が出ていた事もあるのでよくわからんです。しかも他社から出版されていることもあり、イマイチ出版のルールがわかりません。楽しみにしていた連載なので、再開を望んでいるのですが、こればっかりは待つしかないですね。そういえば、王谷晶さんの「令和元年生まれルリカ50歳」もいつの間にか連載停止してますよね。
2025年03月06日
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