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ある夏の日、桃を食べた
夏休みのおばあちゃん家で、たくさん食べた。
小さい私は大の桃好き。
そうして、ああ、おいしかった・・・
と、思ったとき、ふと、手に残った種を見た。
大きいな~桃の種って。。
そうだ!おばあちゃん、これ庭に蒔いていい?
おばあちゃんは、桃の種を綺麗に洗ってくれた。
そうして、一緒に、桃の種を蒔きに庭に出た。
この辺りがいいかな・・・
そうして、丁寧に土をかけ、水をやった。
大きくなりますように・・・
夏休み中おばあちゃん家に居たときは、毎日水をやった。
でもまだ芽は出なかった。(そんなすぐには出ないよ・・・)
そうして、水をやりながら、いつも物干し竿の脇から
水色の空を眺めながら、庭でひとときを過ごした。
夏休みが終わって、おばあちゃん家を離れるとき、
毎日お水あげてね!といって、あとは、おばあちゃんにたくし、
私はまたいつもの生活に戻り、桃の種のことも忘れていった。
そうして、また次の夏が来て、おばあちゃんの家にいった。
ちょっと、大きくなっていた小さな小さな木
まだまだ何かわからない程小さかった
芽が出て大きくなってきたことに
心から驚いて、嬉しかった。
毎年、少しずつ、桃の木は大きくなった。
私も大きくなった。
ある時、おじいちゃんがお空に帰る日がやってきた。
おばあちゃんと一緒におじいちゃんを見送った。
その頃、桃の木は、私の目の高さくらいまで大きくなっていた。
まだまだ細く、花も実もなっていない。
それから、数年が経ち、
私は結婚し、ますますおばあちゃん家から遠くなった。
そうして、何年も訪れていない、ある日、
おばあちゃんが家をでて、病院へ入ることになり、
家には誰もいなくなった。
そういえば、桃の木はどうなったかな・・・
ある日私は思いだした。
もう、10年以上、桃の木を見ていない。
母に聞いてみた。
すると、庭にそういえば、梅みたいなのが
咲いてたし、実がなってたよ。
ほ、ほんと!?
嬉しい・・・・本当に実がなったんだ・・・
あれね、私がおばあちゃんと植えたんだよ~
本当にすごいね~
そうして、喜んだ5日後、
家が取り壊されてしまった。
おばあちゃんは、今は病気で何も憶えていない。
元気だけど、赤ちゃんにもどっていくような感じ。
あの頃のあの桃の木。
おばあちゃんの記憶には残っていないかもしれないけど、
きっと見えない心のどこかに刻み込まれている。
一緒に大きくなった私にとって、
この桃の種は、私の中で、大木になった。
そして、甘い桃の実をつけた。
今、私も子どもがいる。
子どもに桃の種を残してあげたいと思った。
心の種を・・・
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