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2023.10.07
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カテゴリ: 探訪


唐門を眺めた後、 二の丸御殿の正面 の外観のほぼ全景を眺めて、御殿に近づいていきます。

二の丸御殿の出入口 入母屋造の妻側に唐破風造が付いた屋根 です。この部分が玄関口。
この建物部分は「 車寄 」と称されています。

唐破風造の屋根の上には獅子口 が見えます。破風には 菊の紋章を打ち出した飾金具
江戸時代には、たぶん菊の紋章ではなくて、三葉葵の紋章が輝いていたことでしょう。

唐破風造の屋根の内側から眺めて行きましょう。

虹梁の中央部には屋根を支える 蟇股 が組み込まれ、その内側に 唐獅子が透かし彫りに されています。虹梁の正面は 草花文の飾金具 で装飾されています。

虹梁と頭貫の間は、一枚の厚板に 細密な浮き彫りの瑞鳥や草木で埋め尽くされ ています。

右側 
左側
上掲正面の 左右の欄間 は、 筬(オサ)欄間の中央部の州浜文様の枠の中に、樹木と鳥が透かし彫りに 金泥塗りのよう です。


これは受付窓口横の自動券売機で購入した「 入場券/二の丸御殿観覧券 」です。
左側が表面になるのでしょう。
車寄に入ったところで、この券の提示を求められました。係員が、このQRコードを個別にスキャンするのです。
かなり昔に訪れたときはそんな手順はなかったと記憶します。

この車寄から先、二の丸御殿の建物内は撮影禁止 です。
建物の外側の戸は全て閉められていますので、御殿から二の丸庭園の景色は見えません。

当日入手した小冊子からこの 二の丸御殿の平面図 を抽出しました。
二の丸御殿では、北西方向に 雁行形(ジグザク形)に配置された6つの大小の建物 を廊下伝いに 時計回りの一方通行で観覧 していくことになります。

車寄 ⇒ 遠侍 ⇒ 式台 ⇒ 大広間 ⇒ 黒書院 ⇒ 蘇鉄の間 ⇒ 白書院 
と南側・西側の廊下から眺めて行き、そこで折り返して、
黒書院 ⇒ 蘇鉄の間 ⇒ 大広間 ⇒ 式台 ⇒ 遠侍 ⇒ 車寄 ⇒ 外へ
と東側・北側の廊下を進んで行き、車寄に戻って、外へ出るということになります。

遠侍   来殿者の控えの間。最大の広さ。襖には竹林群虎図。威圧感があります。
     北東側に「勅使の間」。「若松の間、柳の間」と観覧順路の最後です。
式台   南側:式台の間 将軍への要件や献上物を取り次ぐ間
     北側:老中の間 
大広間  将軍と大名や公卿衆との対面所。一の間(北西側)が将軍の座で上段
     1867(慶応3)年、この場所で、大政奉還の意思表明がなされたとされます。
黒書院  江戸時代には「小広間」と称したとか。一・二の間は「桜の間」とも。
     将軍と德川家に近しい大名や高位の公家などとの対面所
白書院  江戸時代には「御座の間」と呼ばれ、将軍の居間や寝室と推定されます。

平面図には、黒書院と大広間の間の廊下と思える箇所に「 蘇鉄の間 」と表記されています。
現在では廊下の機能だけに見えますが、幅が広すぎます。たぶん大広間と黒書院をつなぐ廊下と部屋のある建物だったのでしょう。
この空間の東寄りに展示品が置かれていました。メモをしていませんので、展示品の名称を記憶していませんが・・・・。
蘇鉄の間を含めて、6棟の建物が廊下でつながっています。

一番下に載せた城内マップをご覧いただくとわかりますが、上掲の間取り図の建物群の他に、 北東側に「台所・御清所」と記された建物 があります。

この二の丸御殿には、「 江戸初期に完成した住宅様式である書院造の代表例 として日本建築史上重要な遺構であり、江戸城、大坂城、名古屋城の御殿が失われた今日、国内の城郭に残る唯一の御殿群として、 昭和27年(1952)に国宝に指定された (屋外の案内掲示板より一部転記) のです。
この御殿は6棟で、部屋数は33室、800畳余りになる とか。
寛永期の障壁画を含む約3600面の障壁画が残されていて、そのうち、1016面が1982(昭和57)年に重要文化財に指定され ています。
「寛永期の障壁画は、1626(寛永3)年の後水尾天皇の行幸のために大改築された際、幕府御用絵師であった 狩野派の若き棟梁・狩野探幽が一門の総力を挙げて制作した ものです」 (小冊子より転記)

現在、二条城内には 「展示収蔵館」 がありますので、重要な障壁画の大半がこちらに収蔵されているのでしょう。探訪した時は残念ながら休館中でした。
上記の順路で観覧する範囲で拝見する障壁画は、一部ということになります。

なお、「模写を制作し、御殿内の原画と模写画をはめ替える事業です。修理では原画の画面に復元的な措置を一切講じませんが、模写では、江戸初期の姿を復元することを目的に、失われた部分を補い、後世の補筆を除くべく、慎重に検討を重ねて、形や色、筆法を決めています。また、伝統的な材料と技法を用いて制作するため、伝統的な絵画技術の調査、伝承という役割も果たしています。」
という事業活動が行われています。

二条城のホームページをご覧いただき、あとは二の丸御殿を実見し巡ってみてください。



二の丸御殿を巡る最後に初めて見えた中庭の箇所。
      建物内ではないので撮ってみました。

  「遠侍」の廊下から見た東側の土塀


    二の丸御殿を出て、 車寄の東側に回り込んで みました。

ここで目に止まった 屋根の鬼板 。鬼瓦が好きなので一枚撮りました。

自宅でこの鬼板を眺めて 文様の奇妙さが気になり 、モニターの画面上で部分拡大してみました。

そして気づいたのは、鬼板の内側の造形の左側に 蛇が首を持ち上げている姿 になっていたことです。こんな鬼板は初めて見ました。不思議な意匠です。悪疫封止の意味合いを象徴しているのでしょうか。

「遠侍」の建物の東側面 には、 団体観覧客専用の張り出し空間 が設けてあります。
北東側から撮った景色 です。この景色の左(東)側に、唐門から続く築地塀が二条城内での敷地の境界として南北方向に設けられています。

元に戻って、車寄前から西側、二の丸庭園に向かいます。

遠侍の建物の南側は 土塀の前に樹木が植えられて、一種の境界に なっています。


二の丸御殿の南側空間と二の丸庭園との間 には境界として 土塀 が設けてあります。
庭園への入口の少し手前に、この 2つの釣鐘 が展示されています。

鐘は京都所司代屋敷で火事等の緊急事態を周辺に知らせるために使われていた
 京都所司代とは主に朝廷や大名を取り締まっていた江戸幕府の出先機関である。
 京都所司代屋敷は二条城の北に隣接して3ヶ所あり上屋敷・堀川屋敷・下屋敷(千本屋敷と呼ばれていたが、これらは下屋敷で使われていたものである。慶応3年(1867)に京都所司代が廃止された後、二条城に移されたと考えられる」 (案内掲示文転記)


釣鐘の側から南方向を見ると、この敷地内に 井戸 がありました。


城内マップ (小冊子より)

それでは、二の丸庭園に向かいましょう。

つづく

参照資料
*観覧日に入手の小冊子「世界遺産 元離宮二条城」 京都市

補遺
世界遺産 元離宮二条城 ​  ホームページ
  ​ 二条城障壁画 展示収蔵館
書院造 ​  :「NHK for School」
書院造とは?床の間の特徴や寝殿造との違いも画像で解説【書院造のインテリア】
                         :「インテリアのナンたるか」
狩野探幽 ​ :ウィキペディア
狩野探幽 ​ :「美術手帖」
京都所司代 ​  :「刀剣ワールド」
京都所司代 ​  :ウィキペディア
京都所司代跡 ​ :「フィールド・ミュージアム京都」
京都所司代跡 ​ :「幕末トラベラーズ」
「京都所司代」上屋敷跡、池底地中に木製導水管 出土例少なく、特異な流路構造 /京都 ​ 
                        2020.6.25    :「毎日新聞」

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Last updated  2023.10.15 18:08:58
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