地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2007.03.06
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カテゴリ: アガルタ
<1>よりつづく

「金色の虎」


 小説なのだから、特定の個人・団体をモデルにしたものではなく、総合的なフィクションである、と自称している。だが、これはあきらかに具体的なモデルがあって、その特定の個人・団体を、作家としての宮内が「類推」し「妄想」して自らの「心情」を吐露している作品と考えていいだろう。その理由はいくつかある。

 書かれる個人・団体をインドの「教団」としているところ。アメリカのセラピーセンター、エサレンなどの実名を出しながら、セラピストたちの動きを書いているところ。「グル」が「500年前」に3日を残して毒殺されたくだりを書いたところ。「108台」のロールスロイスを何度も何度も書くところ。アメリカに移動してコミューンを作るところ。国外追放になるところ。ここまでストーリーを借りてきて、純粋なフィクションだ、というなら、すべてこの作家の書くものは読む必要がない。それだけ独創力のないフィクション・ライターということになる。

 高橋和巳の「邪宗門」は、大本教と出口王仁三郎の経緯を書いた小説だった。あの本を読んだ時のような、高橋なりの視点からの「人間」像が書かれている、というような感動が、この宮内の小説にはない。むしろ、まだきちんと読んではいないが、チベットの奥地にある「聖地」をみてきたとする青年が、その世界の異様さを伝えながらも、その所業を悪魔に例える、いわくつきの小説群を彷彿とさせる。それはなぜなのだろう。

 この本は、最初から、特定の個人や団体を「誹謗」するものと読んで間違いないだろう。それ以外に、この本をどのように読めばいいのか。もし精神世界の探究譚と読むとするならば、その書き出されている世界の、あまりの杜撰さに驚かざるを得ない。嫉妬、疑心暗鬼、中傷、すりかえ、まやかし。まるで、この作家自身が、実は、そのような「グル」や「教団」や「教え」を作りたかったのではないか、とさえ思えてくるから不思議だ。

 プロレスラーのような黒いグル、セックス教団、財宝の在り処、などなど、ことごとく揶揄し、類推し、誹謗する。フィクションならフィクションらしく、もっと創造性豊かにストーリーを展開したらいいのではないだろうか。これでは、「フィクション」を語った、ブラック・ノンフィクションでしかない。しかも三流、五流だ。

 作者は、この小説を結局は10年がかりで仕上げていることになる。初出の文章をほとんど全編改訂したということだが、そも、その初出の段階ではどんなことになっていたのか、と考えると、ちょっとお恥ずかしくなるような内容であったに違いない、と判断する。まぁ、この作家にしてこの程度の見方しかできないのだなぁ、とあらためて認識した。

この項、<完>





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Last updated  2009.02.03 23:30:45
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