地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2007.07.19
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カテゴリ: レムリア

<1>より続く


「現代人のための『チベット死者の書』」 <2>
ロバート・A.F.サーマン /鷲尾翠 2007/05 朝日新聞社 単行本 444p 原書THE TIBETAN BOOK OF THE DEAD 1994
おすすめ度 ●●●●○

 この本は人気があるらしく、ようやく私の番が回ってきた。でもよく見ると他の図書館からの借り出しだった。ということは、私がリクエストした図書館では蔵書して揃えてくれなかったということになる。一部では人気が高いけど、必ずしも一般的ではない、ということか。この本の原書のタイトルは飽くまで「チベット死者の書」だ。そこに「現代人のための」と修飾したのは何ゆえだろうか。

 このブログでも他の
「チベットの死者の書99の謎」 や「 「チベット死者の書」 も読んできた。私の手元には他の何冊かの別の「チベットの死者の書」がある。これらの本の中にあっても、原書がでた1994年は、他の本たちがでた時期と重なっているので、この本自体が出遅れた、ということではないだろう。ここに至って、この本の日本語版が今回ここにでたのはどういう流れがあったのだろうか、とちょっと好奇心をかきたてられた。

 90年代前半の日本人のチベット文化への憧憬は、まだまだエキゾチックなものを眺める物珍しさだけが際立っていたかもしれない。しかし、21世紀もすでに7年も過ぎ、すでに「チベット死者の書」は、日本人そのもののガイドブックになるつつあるのかもしれない。同じ「仏教国」でありながら、日本においては、かならずしも「死」の世界は語られることは少ない。いやいや、日本に限らずチベット文化ほど、「死」の世界を探求した文化は他にないのだ。

 中沢新一がまえがきを寄せている。著者サーマンは、1941年生まれ。大学で哲学を学んだ後、インドに渡ってダライラマの側近の紹介でゲルク派で修行し、欧米人で初めて得度を受けた。その後インド哲学博士となり、執筆活動その他に勤めている、ということである。思えば、このプロフィールは、中沢新一その人のプロフィールに似ている。もちろんサーマンのほうが先行しているわけだから、中沢のほうがエピゴーネンか・・? いずれにせよ、サーマンは1998年に出した「Inner Revolution」や、リチャード・ギアなどとともに活動して話題の人だということだから、その辺あたりからの経緯で、あらためて日本でこの本が翻訳されたのかもしれない。

現代チベット文明は、地球上でもユニークな文明である。このような特別な文明があってこそ、この本で紹介する、死ぬことと死についての技術と科学を生み出すことができたのだ。私は、このチベット文明のユニークな特性を「インナー・モダニティ(霊性的先進性)」と呼びたい。 p35

 チベット文化というと、どうしても前近代的な古色蒼然とした世界を連想しがちだが、サーマンは、チベット文明こそ先進性があり、とくに「霊性」において、現代の地球人こそチベット文明から学ぶべきだ、と言っているのであろう。であればこそ「現代人のための」という文言が生きてくる。

 「霊性」というと、どうも
島薗センセイ を思い出して、私個人は気色ばむのだが、島薗のいう「新・霊性」運動となると、ここはもうチベット文化を抜きには語れなくなることになる。このブログで言っているところの「スピリット」あるいは「スピリチュアル」というものとほぼ同等のものと見ていいだろう。表現の違いは、感性のちょっとした違いによるものだろう。

日常生活の中でできる、とてもシンプルな瞑想として、一般のチベット人たちがおこなっている、マントラ(聖音)を唱える修行がある。「オーム マニ パドメ(ペメ) フーム」という、大いなる慈悲を呼びさますマントラを唱えるのだ。 p113

 原書がそうなのか、翻訳者がためらったのか、ここで「パドメ(ペメ)」と揺れたのは、面白い。いままで、このように二重表記になっている文献は見なかった。でも、大体はこの本でも他の部分は、「パドメ」で通している。

キェー、善い人よ! 不安になってはいけない。自分の心にしっかりと集中しなさい。このように瞑想しても、子宮の門が閉じられなければ、再び子宮へと引き寄せられるだろう。そこで、すべては本性のない幻なのだという教えにしたがって子宮の門を閉ざさねばならない。 p304

 ここはまさに、有名な「チベット死者の書」特有の死生観の表れであり、死と生との境目にあって、転生をしないことこそ貴いとするチベットならではの表現である。

 このブログでも、チベット本は7・80冊以上は読んだことだろう。しかし図書館には、まだまだ関連の書物がうずたかく積まれている。私にはもう読みきれない。私自身は、これからもおりに触れてチベット本は読むだろうけど、集中して読む必要はもうない、と感じている。そして、もしその中にあって、限定的におすすめ本があるとすれば、やはりこの本を挙げないわけにはいかない。出版が新しいということもあるし、わかりやすい言葉遣いに気を配っている。巻末の用語集も50ページにわたり、初心者にも、チベット文化が俯瞰できるようになっている。

<3>につづく


オーム パド フーム






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Last updated  2008.11.07 20:14:23
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