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半世紀以上経っても輝き続ける超名盤 スモール・フェイセス(スモール・フェイセズ、Small Faces)は、1960年代後半に活躍した英国のバンド。本邦では人気がないどころか、その名前もさほど認知されなかったりするわけだけれども、当時のイギリスでは大いに人気を博した。スティーヴ・マリオット、ロニー・レーン、ケニー・ジョーンズ、ジミー・ウィンストンの4人で結成され、まもなくウィンストンの脱退によってイアン・マクレガンが加入した。 そんな彼らの作品は、筆者も後聴きなのだけれど、後世に聴いてもクオリティが高い。中でも第3作の『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク(Ogdens' Nut Gone Flake)』は、ずっと聴き継がれたい名盤に数えられると思う。この盤は、6週連続でイギリスチャートにおいて1位を記録したとともに、オリジナル活動期の最後のスタジオ盤となった 。 サウンド面の特徴はと言うと、サイケデリック色の濃いロックということになるだろうが、何よりも音楽自体の“力強さ”が印象的で、本盤の魅力になっていると感じる。前半がミュージカル風、後半については、各曲の冒頭に語りがついていて、おとぎ話を紡ぐといった展開になっている。コンセプト盤なので、通して聴くというのがあくまで前提だろうが、以下、敢えて注目曲をいくつか挙げてみたい。 インパクトという意味では、表題曲の1.「オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク」は外せない。2分半ほどのインスト曲であるが、上で述べた“力強さ”が特によく出ている。2.「アフターグロウ」は、翌年のバンド解散の頃にレコード会社が勝手にシングル化して発売したナンバーで、楽曲の美しさと演奏の力強さが同居している。シングル・リリースに際し、この曲の表題は「アフターグロウ」から「アフターグロウ・オブ・ユア・ラヴ」に変更された。 6.「レイジー・サンデイ」はアルバムに先行して発表されたシングル曲で、全英2位のヒットとなった。8.「ローリン・オーヴァー」は、迫りくるという表現がぴったりの演奏の迫力がいい。弾き語りギター風の11.「マッド・ジョン」は、スティーヴ・マリオットのヴォーカルのカッコよさが際立っている。[収録曲]1. Ogdens' Nut Gone Flake2. Afterglow3. Long Agos and Worlds Apart4. Rene5. Song of a Baker6. Lazy Sunday7. Happiness Stan8. Rollin' Over9. The Hungry Intruder10. The Journey11. Mad John12. Happy Days Toy Town1968年リリース。 【輸入盤CD】Small Faces / Ogdens Nut Gone Flake 【K2018/8/3発売】(スモール・フェイセズ) 【輸入盤】Ogdens Nut Gone Flake (3CD+DVD) [ Small Faces ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月27日
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若きJ・D・サウザーのデビュー盤 J・D・サウザー(J. D. Souther, John David Souther)と言えば、イーグルスへの楽曲提供やウェストコーストの立役者といったイメージが強いかもしれない。そんなサウザーには1979年のヒット作『ユア・オンリー・ロンリー』という代表盤があるが、活動歴は長く、ソロ最初の作品となったのは、1972年発表のこの『ジョン・デイヴィッド・サウザー・ファースト(John David Souther)』というアルバムである。 1945年にミシガン州デトロイトで生まれ、その後、テキサス州アマリロで育った。カリフォルニア州ロサンゼルスに移ったのは20歳代になってからのことで、1960年代後半にグレン・フライやジャクソン・ブラウンらと交流し、前者(グレン・フライは今回の盤にも参加している)との関係はやがて“影のイーグルス”、“もう一人のイーグルスのメンバー”などと呼ばれるものに発展していった。 本盤はカントリー・ロックや1970年代ウェストコースト・ロックといった傾向を持つ楽曲と演奏が中心になっており、いずれもサウザー自身のペンによる楽曲である。1.「ファスト・ワン」は初期イーグルスを彷彿とさせる、カントリー調を生かしたナンバー。3.「ジーザス・イン・3/4・タイム」は、イーグルスの楽曲作りへの参加(例えば「至上の愛」)を想起させるもので、彼のバラード調の曲に対するセンスが発揮されている。5.「これも音楽(サム・ピープル・コール・イット・ミュージック)」も、どこかしらイーグルスっぽさを想起させるが、なかなかよくできた楽曲で、この盤の中では注目の曲の一つだと思う。 アルバム後半で注目したい曲としては、まずは、7.「イッツ・ザ・セイム」。バラード調の静かなナンバーで、洗練度は十分とは言えないかもしれないが、曲のよさが光る。あと楽曲のよさという意味では、9.「アウト・トゥ・シー」も外せない。全体として才能の片鱗を感じさせ、完全に洗練されているとは言えない部分もあるかもしれないものの、楽曲も歌と演奏もレベルが高く、個人的な好みのものが多い。このデビュー盤の時点で、彼の才能が十分なものであったことを示す一枚とも言えるのかもしれない。[収録曲]1. The Fast One2. Run Like a Thief3. Jesus in 3/4 Time4. Kite Woman5. Some People Call It Music6. White Wing7. It's the Same8. How Long9. Out to Sea10. Lullaby1972年リリース。 【輸入盤】 J.D. Souther ジェイディーサウザー / John David Souther (+7 Bonus Tracks) 【CD】 【輸入盤CD】J.D. Souther / John David Souther (JDサウザー) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月24日
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追従者に終わらず、コルトレーンの先を切り開こうとする意欲作 アーチー・シェップ(Archie Shepp)は、1937年フロリダ出身のジャズ・サックス奏者。1960年からセシル・テイラーのバンドに加わり、その後、ジョン・コルトレーンの『至上の愛』(1964年録音、ただし彼が参加した演奏はリリース時には採用されず、後に2002年のデラックス・エディションで日の目を見た)や『アセンション』(1965年録音)などに参加している。 そんなコルトレーンからの推薦でインパルスからリリースすることになった彼にとって最初のリーダー作が、本盤『フォア・フォー・トレーン(Four for Trane)』である。タイトルからも想像できるように、敬愛するコルトレーンのナンバーを4つ並べたもので、5.のみが彼の自作曲となっている。 本盤は、フリージャズで活躍していたアーチー・シェップの魅力が存分に発揮されている。コルトレーンの信奉者で追従者というのではなく、尊敬するコルトレーンを題材にしてフリーの演奏の幅を広げていこうとする姿勢が十分に見える作品に仕上がっているのではないかと感じる。 取り上げられているコルトレーンの楽曲のオリジナルは、1959~60年頃に吹き込まれたものである。言い換えると、『至上の愛』や『アセンション』を吹き込んだ時期よりも前のことであり、アーチー・シェップはその先を自らの感性で演奏に結実させようとしたのだろう。 そんな中でも特に注目したいのは4.「ナイーマ」(「ナイマ」または「ネイマ」とも表記される)。コルトレーンの妻の名を冠したナンバーで、コルトレーンが好んで演奏した曲でもあった。美しい雰囲気(といってもフリーに根差した演奏なので、計算された“調和”という感じではない)で始まり、次第に“アーチー節”が高まっていく。聴いている方としては、どういうところに行きつくのか、なかなかスリリングで、本盤の中で聴き手がいちばん高揚する曲だと思う。あと、自作曲の5.「ルーファス」も必聴の演奏。フリージャズを牽引していく若きアーチー・シェップの気概が十分に凝縮された演奏に仕上がっている。[収録曲]1. Syeeda's Song Flute2. Mr. Syms3. Cousin Mary4. Naima5. Rufus (Swung His Face At Last To The Wind, Then His Neck Snapped)[パーソネル、録音]Archie Shepp (ts), Alan Shorter (flh), John Tchicai (as), Roswell Rudd (tb), Reggie Workman (b), Charles Moffett (ds)1964年8月10日録音。 フォア・フォー・トレーン [ アーチー・シェップ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年05月20日
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ブルーノートでのワンホーン名盤 デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)は、1950年代の大半をドラッグと刑務所暮らしで棒に振った。1961年、38歳にして初めてブルーノートに吹き込みを残すべく、ニューヨークに滞在した。電話ボックスからコールする姿のジャケット写真は、彼の拠点だったカリフォルニアからニューヨークへという距離感を表現したものと思われる。 ブルーノートのアルフレッド・ライオンからニューヨークに招かれたデクスターは、複数のセッションをこなした(彼のリーダー名義の『ドゥーン・オールライト』は本盤よりも先の吹込みである)。本盤『デクスター・コーリング(Dexter Calling…)』はワンホーンで、リズムセクションの3人(ピアノがケニー・ドリュー、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズ)は往時のブルーノート最強のメンバーとも言える。実際、完璧なリズム隊抜きにこの盤の魅力は成し得なかっただろう。 そして、デクスターのテナーである。彼のワンホーン盤と言うと、1955年の『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』(この盤のピアノもケニー・ドリューである)や、今回の盤の翌年の『ゴー!』がよく知られる。これらが大名盤であるのは紛れもないのだけれど、この『デクスター・コーリング…』もまた、彼のキャリアの中で上位の評価となる名盤だということを忘れてはならないだろう。 筆者のお気に入りの演奏をいくつか挙げておきたい。1.「ソウル・シスター」は、まったりとしたワンホーンが心地よい。対して、2.「モーダル・ムード」は、よりスピード感があり、スリリングな演奏だが、これら2曲には大事な共通点がある。それが、上記のリズム隊の着実さと安定感である。これら2曲に加え、筆者のお薦めは、4.「情事の終わり(ジ・エンド・オブ・ラヴ・アフェア)」、さらにもう1曲挙げるとすれば、7.「スマイル」。なお、8.「ランドスライド」はCD化によって加わったボーナス曲だが、この演奏も勢いに乗っていて、なかなかの気持ちよさがある。[収録曲]1. Soul Sister2. Modal Mood3. I Want More4. The End of a Love Affair5. Clear the Dex6. Ernie's Tune7. Smile8. Landslide(CD追加トラック)[パーソネル、録音]Dexter Gordon (ts), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)1961年5月9日録音。Blue Note 4083 【中古】 デクスター・コーリング+1(紙ジャケット仕様)/デクスター・ゴードン(ts),ケニー・ドリュー(p),ポール・チェンバース(b),フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) 【中古】ジャズCD デクスター・ゴードン /デクスター・コーリング+1(H) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月17日
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スウィングすべきか、せぬべきか… シェークスピア作の戯曲『ハムレット』の有名すぎるセリフに、“To be, or not to be”というのがある。これをもじって“スウィングすべきか、せぬべきか”としたのが、バーニー・ケッセル(Barney Kessel)の本盤『トゥ・スウィング・オア・ノット(To Swing or Not to Swing -Barney Kessel, Vol. 3)』である。 結論から言うと、概ね“スウィングして”いる。というのも、選曲からして、往年のスウィンギーな曲のレパートリーを選んだという点が大きい。言い換えれば、かつてのビッグ・バンドのスウィング感を、少人数編成で、かつギターを中心に据えて小気味よく演奏しようとしたものだということになるだろう。 導入的なギター中心の1.「ビギン・ザ・ブルース」からして、リラックスしてスウィングするムードが漂う。個人的な好みで注目曲を少し挙げると、アルバム前半では、2.「ルイジアナ」。ハリー・エディソンのトランペットが愛らしく、それを支える全体のスウィング感がいい。4.「エンブレイサブル・ユー」は、ケッセルのギターの本領発揮曲で、ギターの弦が文字通り“歌って”いる。 アルバム後半は、小気味よいスウィングの6.「インディアナ(バック・ホーム・アゲイン・イン・インディアナ)」から始まる。筆者の好みは、スウィング感が最も高まる7.「モーテン・スウィング」。テナーのジョージ・オウルドとリズム隊の絡みも心地よい。ついでながら、表題の通りのラグタイム風の勢いとリズムを見せる11.「12丁目のラグ」で盤が締めくくられているのも、なかなかいい感じがすると思っていたりする。[収録曲]1. Begin the Blues2. Louisiana3. Happy Feeling4. Embraceable You5. Wail Street6. Back Home Again in Indiana7. Moten Swing8. Midnight Sun9. Contemporary Blues10. Don't Blame Me11. Twelfth Street Rag[パーソネル、録音]Barney Kessel (g)Harry Edison (tp; 2, 3, 6~10)Georgie Auld (ts; 2, 6, 7, 12)Bill Perkins (ts; 3, 5, 9)Jimmy Rowles (p)Al Hendrickson (g)Red Mitchell (b)Irv Cottler (ds; 1, 2, 4, 6~8, 10~11)Shelly Manne (ds; 3, 5, 9)1955年3月28日(3, 5, 9)、6月26日(1, 2, 4, 6~8, 10~11)録音。 バーニー・ケッセル / TO SWING OR NOT TO SWING +8 [CD] 【中古】 トゥ・スイング・オア・ノット/バーニー・ケッセル,ハリー・エディソン,ジョージ・オールド,アル・ヘンドリクソン,ジミー・ロウルズ,レッド・ミッチェル,アーヴ・コットラー,ビル・パーキンス 下記のランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年05月12日
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現代イタリアン・ピアノの魅力 特に日本のリスナーにピアノ・トリオ好きが多いおかげで(加えて、某友人の影響もあったりして)、ついついでに“もう1枚”となって、聞いたことのないピアノ・トリオ盤などを買ってしまうことが多い。当然ながら、その中には当たりも外れもあるのだけれど、個人的には、イタリア人のピアノ盤が“当たり”になることが多いという傾向がある。 本盤『フォワード(Forward)』はそうした盤の一つである。エットーレ・カルッチ(Ettore Carucci)は4歳でピアノを始め、大学ではクラシック音楽を修め、現在はフィレンツェの音楽院で教鞭をとるピアニストである。本盤は2006年に吹き込まれ、その翌年にイタリアのレーベル(ドディチルネ・レコード)からリリースされた。 ドラムスとベースは、それぞれアメリカのアダム・クルス(クルーズ)とベン・ストリートが務め、安定感のある演奏を披露している。カルッチ自身の演奏はというと、知性と叙情性の絶妙なバランスの上にしっかりとしたリズム感が被せられているといったところ。言い換えれば、リズムに乗った安定感だけで聴かせるわけでもなければ、ジャズ的な意味で型にはまった演奏に安住するわけでもない。だからと言って、下手に叙情性に頼りすぎないところが、筆者としてはツボにはまったのではないかと思う。 聴きどころと言えそうな曲をいくつか挙げておきたい。自作曲の1.「アイ・リメンバー・モンク」は、セロニアス・モンクばりのトーンを巧みに織り交ぜつつ、疾走感のある演奏が心地よい。スタンダード曲の3.「枯葉」と、コルトレーンの5.「ロニーズ・ラメント」は、有名曲を決してありがちには演奏せず、エットーレ色のついた演奏に仕上げているところに好感が持てる。「ピアノ・インプロ」と題された4.と6.の演奏は、いずれもピアノの独奏で、インタールード的に(と言っても決して短い演奏時間ではないが)、アルバム全体の流れの中で異なる雰囲気を演出している。あと、圧巻なのは、7.「バイ・バイ・ブラックバード」。有名曲ながら、落ち着き払った冒頭から、リズム感を次第に得ながら流れるようなピアノ展開されていく演奏は実に気持ちいい。[収録曲]1. I remember Monk2. Confusion3. Autumn Leaves4. Piano impro #15. Lonnie's Lament6. Piano impro #27. Bye bye Blackbird8. My Favourite Eyes9. Dolphin Dance[パーソネル、録音]Ettore Carucci(p),Ben Street(b),Adam Cruz(ds)2006年4月1日録音。 ↓本記事のものとは別の盤(同じアーティストが参加しているもの)です。↓ 【中古】 エニウェイ/ベラルディ・ジャズ・コネクション,Ettore Carucci(p),フランチェスコ・ロマギストロ(ds),Camillo Pace(double bass),Vincenzo Presta(sax),Andrea Sab ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月08日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここしばらくの記事へのリンクを追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、 各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月05日
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カントリーに傾倒したコステロ盤 デビュー以来、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は年に1枚のペースでアルバムを発表していったが、1981年は年頭に『トラスト』を発表し、さらに秋になってもう1枚、この『オールモスト・ブルー(Almost Blue)』というアルバムを発表した。コステロ自身としては通算6枚目、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello & The Attractions)名義としては5枚目のオリジナル作となった。 表題の“オールモスト・ブルー(ほぼブルー)”というのを耳にすれば、なんだかブルージーな演奏を想像する人が多いかもしれない。けれども実際に聴いてみればすぐさまわかるように、見事なまでのカントリー曲集である。事のいきさつはと言うと、コステロ自身によれば、メランコリーを主題とした様々な曲からなるアルバムを作ろうと考え、このタイトルにしたのだという。ところが実際にアルバムを制作する段になると、カントリーに魅かれていってこのような内容の作品になったのだという。 そのようなわけで、デビュー当時の作風とはかなり雰囲気の異なる楽曲・演奏が繰り広げられている。実際、当初のLPジャケには“警告:このアルバムにはカントリー&ウエスタンが含まれており、了見の狭い人はラディカルな反応を起こすかもしれません”と記されたシールが貼られていたという。確かに、ニュー・ウェーヴや“怒れる若者”を求めるファンは面食らうことになるが、コステロのキャリア、作風の幅を考えたとき、このアルバムはきっと大きな意味を持つものだったんじゃないかと思う。さらに、後世の作品も聴いてから再びこの盤に戻った筆者は、最初に聴いた印象よりもはるかにすんなりとこれらの楽曲を楽しめた。 本盤からは都合3曲がシングル・リリースされた。本盤全体を通して見られるコステロの歌心が存分に発揮された7.「グッド・イヤー・フォー・ザ・ローゼズ」は、英チャートで6位(さらにアイルランドでは5位)となった。残る2曲のシングルは、2.「スウィート・ドリームス」、4.「アイム・ユア・トイ」だった。 なお、蛇足ながら、1994年のリイシュー時には、元の収録曲数がほぼ倍増するほどのボーナス・トラックが加えられた。アバディーンでのライヴ、アウトテイク曲、さらにはシングル発売されたロイヤル・アルバート・ホールでの4. (これがなかなかの名バラードだったりする)のライヴ・テイク、あわせて11曲が追加収録されている。[収録曲]1. Why Don't You Love Me (Like You Used to Do)?2. Sweet Dreams3. Success4. I'm Your Toy5. Tonight the Bottle Let Me Down6. Brown to Blue7. Good Year for the Roses8. Sittin' and Thinkin9. Colour of the Blues10. Too Far Gone11. Honey Hush12. How Much I Lied1981年リリース。 【輸入盤CD】Elvis Costello / Almost Blue (エルヴィス・コステロ) 【中古】 【輸入盤】Almost Blue/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月01日
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