べリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)は、1958年、ロサンゼルス(ハリウッド)出身の女性シンガーで、1980年代前半に活躍したガールズ・バンドの先駆けゴーゴーズ(The Go-Go’s)の元メンバー。このバンドが1985年に解散した後、出世頭としてソロ活動を展開していったのがべリンダだった。1986年にソロ・デビューし、1stアルバムを発表した後、1987年には2ndアルバムのタイトル曲「ヘヴン・オン・アース(Heaven Is A Place On Earth)」が全米1位を記録。その後に2年の間をおいて発表されたのが3rdアルバム『輝きのままで(Runaway Horses)』であった。今回の記事のタイトルの「輝きのままで(Leave A Light On)」は同サードアルバムの冒頭飾る1曲であり、シングルとしては全米11位、全英やオーストラリア・カナダではトップ5に入るヒットを記録した。
冒頭の“Take My Hand~♪”という歌いだしの節回しとややハスキー気味の声からして筆者はノックアウトされてしまう。このべリンダ・カーライルという人のヴォーカルは、情感豊かでちょっとした発声の微妙な具合で歌の情感や押したり引いたりを非常にうまく演出できる、そんなタイプだ。この歌唱力は天性のものかもしれないが、同時に、ソロ・デビュー以降、ヴォーカリストとしての役割にうまく専念できる環境が整えられてきたというのもその大きな理由だろう。実際、セカンド・アルバム制作時にべリンダは、“初めて全曲に関してどう歌っていいかに自信を持って臨めた”という旨の発言も残しており、サード・アルバムの制作時(つまりは本曲「輝きのままで」のレコーディング時)にも同じく、ヴォーカリストとして専念できるいいレコーディング環境にあったものと見られる。