音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年07月19日
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 ヨーロッパ(Europe)の大ヒットアルバム『ザ・ファイナル・カウントダウン』(1986年リリース)に収録されている1曲。ヨーロッパはスウェーデン出身のバンドで“北欧様式美”のハードなロック・サウンドが特徴だったが、このサード・アルバムからは、より聴きやすいアメリカン・サウンドを指向し、結果、一気にメジャーな地位を得るに至った。同アルバムからは表題曲をはじめ複数のシングルがビッグ・ヒットとなったが、人気絶頂の中、ほとんど惰性でいちばん最後にシングルカットされた(実際、米国シングルチャートでは72位にしかならなかった)のがこの「チェロキー(Cherokee)」である。

 ヨーロッパのアルバム『ザ・ファイナル・カウントダウン』は、主にスイスのチューリッヒでレコーディングされたそうだが、そのレコーディング地のチューリッヒに向かう直前に、アルバム収録曲中でいちばん最後に出来上がった曲だったと作者ジョーイ・テンペスト(ヨーロッパのヴォーカリスト)は述べている。

 曲のテーマであるチェロキーとは、北米先住民族集団の名称。16世紀にヨーロッパ人が渡来した頃には、ミシシッピー川流域一帯に住んでいた。やがて18世紀になるとイギリス、ついで独立したアメリカ合衆国との再三の戦いを経て、1830年代、とうとう米陸軍によってインディアン居留地(後のオクラホマ州)に強制移住を強いられた。この時の強制移住の移動は、大半が基本的に徒歩移動で、その道程は“涙の旅路”と呼ばれる。この曲のサビで歌われている“Cherokee, marching on the Trail of Tears”という詞はこの歴史に沿ったものだ。

 スウェーデンから米国市場に売り込みをかけるロック・バンドにしてみれば、何とも大胆な曲ではないかと思うのだが、予想通り(?)米市場では大して売れなかった。曲調としては、わかりやすい詞だし、ギター・ソロもコンパクトにきれいにまとまっていて(しかもその後のシンセがいかにもこの時期のヨーロッパの売り込み路線といった感じで)、なかなかうまい具合に売れ筋に仕上がった楽曲だったと思う。けれども、過去の歴史の暗い側面を暴くような内容は、米国白人層には受けが悪かったのだろう(あるいは“無反応”という反応しか返ってこなかったのかもしれない)。しかし、こんな曲をアルバムに収録し、大ヒットの余勢をかってとはいえシングル・カットまでしたバンドとレコード会社関係者の決断の度胸はなかなか思いっきりがあって拍手喝采ものだったと思う。米国の歴史教育を受けた連中がこのような曲を書こうという発想自体、おそらくは起こらないだろうし、そういう意味では、逆説的ながら、“外国人”であるヨーロッパだからこそ、この曲を作り、発表することができたということだろうか。



[収録アルバム]

Europe / The Final Countdown (1986年)
その他、ベスト盤類にも収録。






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