上記のテリー・ナイトとの訴訟に発展した(しかも敗訴した)後、6か月かけて制作され、バンドの次のステップを示すことになったのが、第6作に当たる本盤『不死鳥(Phoenix)』であった。元々、ドン・ブリューワー(ドラム)、マーク・ファーナー(ヴォーカル、ギター)、メル・サッチャー(ベース)という最少人数の編成でもって“大きな音を出す”という特徴を持っていたこのバンドは、キーボーディストのクレイグ・フロストを迎え、鍵盤楽器を大幅に取り入れて音の厚みとポップさを増した。この次作『アメリカン・バンド(We’re an American Band)』では、トッド・ラングレンをプロデューサーにしてヒットを飛ばし、まさしく“アメリカン・バンド”へと躍進していくわけだが、その転機の前兆は、既に本盤で示されていたように思う。