音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2016年11月21日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 エロール・ガーナー(エロル・ガーナ―とも、Erroll Garner)は、1921年ピッツバーグ出身のジャズ・ピアノ奏者および作曲家で、1977年に死去している。後に再評価されたとはいえ、現在もジャズ・ピアノの世界では決して有名どころという感じではなく、中途半端に評価されているミュージシャンの一人と言えそうだ。彼の代表作としては、『コンサート・バイ・ザ・シー』(1955年)が圧倒的に有名だが、2枚目・3枚目を考えた時に外せない盤となるのが、その前年に録音されたこの『ミスティ(Plays Misty)』という盤である。

 一番の聴きどころととなるのが表題曲の1.「ミスティ」。ジャズ・スタンダードとして知られるナンバーだが、ガーナーの作曲後ほどなくして詞が付けられ、ジョニー・マティスがポップ・ソングとして1959年にヒットさせた。このシンガーの他にも、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンもこれを歌い、さらに1975年にはレイ・スティーヴンスがカントリーのカバーをしている。この曲の誕生秘話なるものがよく語られるが、それによると、飛行機移動中のガーナーはこの曲を思いついた。ところが楽譜の読み書きが苦手なガーナーはその場でこの曲を書き留めることができず、飛行機を降りてから慌ててテープレコーダーに録音し、無事にこのメロディが留められたと言う。ともあれ、これを聴くだけでも、とりあえず本盤の価値はある。

 その一方、その他のいくつかの曲の演奏からは“ガーナー節”が存分に感じられる。よく言われるように“ビハインド・ザ・ビート”の呼び名で知られる独特の左手の演奏である。聴き手によって好き嫌いが生じるのは承知の上で述べるけれど、“右手と左手は別々に動く”という、考えてみれば当たり前の行為が実にヴィヴィッドに伝わってくる。3.「ユー・アー・マイ・サンシャイン」の躍動感は特筆ものだと思う。ちなみに8.「ラヴ・イン・ルーム」や10.「ザット・オールド・フィーリング」も同じような感覚に襲われる。

 繰り返すけれども、この“ずれた左手の感覚”は人それぞれで好みがあると思う。けれども、右手と左手が有機的に組み合わさっていくのを感じ取るという意味では実に興味深く、かつ思わず惹き込まれてしまう演奏だというのが個人的な感想である。この不思議な世界、好き嫌いはともかくも、ぜひ一度は体感してみるのがいいと思うのだけれどもいかがだろうか。



[収録曲]

1. Misty
2. Exactly Like You
3. You Are My Sunshine

5. Frantonality
6. Again
7. Where Or When
8. Love In Bloom
9. Through A Long And Sleepless Night
10. That Old Feeling


[パーソネル・録音]

Erroll Garner (p)
Wyatt Ruther (b)
Eugene “Fats” Smith (ds)

1954年録音。





ユニバーサルミュージック エロール・ガーナー(p)/ミスティ 生産限定盤 【CD】






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Last updated  2016年11月21日 23時17分16秒 コメント(2) | コメントを書く


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