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2018年10月31日
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カテゴリ: ニュース
作家の藤沢周氏は、最近出版された3冊の本について、7日の東京新聞にユニークな書評を書いている;




 「ぼくは、わたしは、生産性の結果なの?」。さらに、虫を観察したり、宇宙について考えたり、きれいな花にうっとりしたりするのは、生産性がないことだから、ダメなの? となる。民主主義って? 生産性って? 未来の日本を想(おも)って暗濃(あんたん)たる気持ちになるではないか。

 だが、たとえば戦後民主主義の、この危機的状況に警鐘を鳴らしたのが、今上天皇だという見方がある。 (1)白井聡『国体論 菊と星条旗』(集英社新書・1015円) は、「生前退位」のビデオメッセージを、「天皇による天皇制批判」と見るのだ。

 現在死語となっているかのような日本の「国体」が、じつはアメリカを頂点とした八紘一宇(はっこういちう)として機能し続けている。その事態に対して、いわゆる「お言葉」は、危機を表明したものであると解釈。

 「積極的平和主義」は究極、米国流平和主義である「戦争をすることを通じた安全確保」であり、国民の犠牲など無視し没落へと突き進んでいるのが、この現代日本だと。

 震えながらも然(しか)り、とうなずき、 (2)保阪正康『昭和の怪物 七つの謎』(講談社現代新書・950円) を繰れば、昭和の恐ろしき闇の実態が露(あら)わ。無謀な戦争に突入した背景が、生の証言の数々からリアルに浮き上かってくるのだ。



 まず軍人首相・東條英機。秘書官などの証言から見えてきたものは・・・。何が何でも負けはない、突き進め、と日本を悲惨な地獄に陥れた男は、「精神論が好き」「妥協は敗北」「事実誤認は当たり前」だった。 つまり、「自省がない」。なにやら現首相と似ているではないか。 自省なき国家の行き着く先は、存亡の危機である。石原莞爾、犬養毅、吉田茂など軍人・政治家を緻密に検証しながら、日本の未来を考える。

 「没落を運命づけられた政治システムは、本能的にこの没落を早めるようなことを多々行うものである」というサルトルの言葉がエピグラフとなっている本、 (3)ノーマン・オーラー『ヒトラーとドラッグ-第三帝国における薬物依存』・(須藤正美訳、白水社・4104円)。 ヒトラーに主治医モレルが処方し続けた「ペルビチン」なる薬が、人類を最悪の悲劇へと向かわせた驚愕(きょうがく)の事実に唖然(あぜん)。「錠剤の形をしたナチズム」は、現代日本と無関係か? いや、ドラッグは空気の中にあるかも知れぬ。
(作家)


2018年10月7日 東京新聞朝刊 8ページ 「藤沢周さんの3冊の本棚-自省なき国家の行方」から引用

 「何が何でも負けはない、突き進むだけ」というのは勇猛な兵士としては評価されるかも知れませんが、こういう人物に国家の舵取りを任せるのは危険であることは歴史が証明していると言えます。現首相もどことなくそういう雰囲気で行動しているように見えます。このまま国民が盲従すると、やがて「1945年8月」を繰り返す羽目になるのではないかと心配です。





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最終更新日  2018年10月31日 10時47分08秒


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