フリーページ
「ぼくは、わたしは、生産性の結果なの?」。さらに、虫を観察したり、宇宙について考えたり、きれいな花にうっとりしたりするのは、生産性がないことだから、ダメなの? となる。民主主義って? 生産性って? 未来の日本を想(おも)って暗濃(あんたん)たる気持ちになるではないか。
だが、たとえば戦後民主主義の、この危機的状況に警鐘を鳴らしたのが、今上天皇だという見方がある。 (1)白井聡『国体論 菊と星条旗』(集英社新書・1015円) は、「生前退位」のビデオメッセージを、「天皇による天皇制批判」と見るのだ。
現在死語となっているかのような日本の「国体」が、じつはアメリカを頂点とした八紘一宇(はっこういちう)として機能し続けている。その事態に対して、いわゆる「お言葉」は、危機を表明したものであると解釈。
「積極的平和主義」は究極、米国流平和主義である「戦争をすることを通じた安全確保」であり、国民の犠牲など無視し没落へと突き進んでいるのが、この現代日本だと。
震えながらも然(しか)り、とうなずき、 (2)保阪正康『昭和の怪物 七つの謎』(講談社現代新書・950円) を繰れば、昭和の恐ろしき闇の実態が露(あら)わ。無謀な戦争に突入した背景が、生の証言の数々からリアルに浮き上かってくるのだ。
まず軍人首相・東條英機。秘書官などの証言から見えてきたものは・・・。何が何でも負けはない、突き進め、と日本を悲惨な地獄に陥れた男は、「精神論が好き」「妥協は敗北」「事実誤認は当たり前」だった。 つまり、「自省がない」。なにやら現首相と似ているではないか。 自省なき国家の行き着く先は、存亡の危機である。石原莞爾、犬養毅、吉田茂など軍人・政治家を緻密に検証しながら、日本の未来を考える。
「没落を運命づけられた政治システムは、本能的にこの没落を早めるようなことを多々行うものである」というサルトルの言葉がエピグラフとなっている本、 (3)ノーマン・オーラー『ヒトラーとドラッグ-第三帝国における薬物依存』・(須藤正美訳、白水社・4104円)。 ヒトラーに主治医モレルが処方し続けた「ペルビチン」なる薬が、人類を最悪の悲劇へと向かわせた驚愕(きょうがく)の事実に唖然(あぜん)。「錠剤の形をしたナチズム」は、現代日本と無関係か? いや、ドラッグは空気の中にあるかも知れぬ。
(作家)
「貴族」生む養子策 憲法違反(7日の日… 2026年08月07日
[大弦小弦]金子文子と天皇(6日の日記) 2026年08月06日
「女系天皇誕生封じる」 海外、日本社会… 2026年08月05日
PR
キーワードサーチ
コメント新着