フリーページ
【遠藤修平】
◆「桜」で自粛した活動、徐々に再開
「お疲れ様、がんばってね」。新潟市での講演後、安倍氏が見送りに来た細田派の細田健一衆院議員(比例・北信越)に声をかけて車に乗り込むと、細田氏は深々と頭を下げた。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で開かれた講演には約600人の支援者が詰めかけた。
細田氏は新潟2区の党支部長を務める。だが、過去に同選挙区で敗れた鷲尾英一郎氏が旧民進党から入党。次期衆院選の公認争いが続いている。こうした中で、 同じ派閥出身の安倍氏の来訪は、細田氏にとって追い風 になる。
安倍氏は「桜を見る会」前日に開催した夕食会費補(ほてん)の問題で昨年末、安倍氏の公設第1秘書の男性が政治資金規正法違反(不記載)で略式起訴され、党内外から反発を招いた。同年12月の国会招致に応じ自らの答弁を修正。後に自身は不起訴処分となったものの、菅政権の低迷の一因となった。 党内からは「議員辞職すべきだ」との厳しい批判も上がった。
こうした状況を受け、講演活動などを控えていた安倍氏だが、ここにきてSNSを頻繁に更新するなど、徐々に動きを活発化させている。安倍氏自身も新潟市での講演で、こう強調した。「引退するつもりはありません。日本のために働きたいですから、まだまだ」
◆派閥復帰をにらんだ動き?
安倍氏が精力的に活動を始めた理由について、党内では「派閥復帰をにらんだ動き」との見方が強い。
安倍氏は首相就任を受けて細田派を離脱。首相辞任後も派閥復帰は見送っているものの、次期衆院選後の復帰がささやかれている。
細田派の所属議員は96人で、第2派閥の麻生派、竹下派(各53人)に大きく水をあけている。長期政権を築いた安倍氏が細田派に復帰し、同派会長に就任すれば、同派の影響力は一層高まるのでは――。細田派内では、こうした期待が強まっている。
安倍氏自身も細田会長ら派閥幹部とは会合を重ねている。所属議員の各選挙区情勢を聞き取り、「求めがあればどこでも出向く」と意欲を示しているという。実際、他の派内議員からも安倍氏の来訪を求める依頼が増えている。安倍氏自身も4月中に派内の若手を対象にした意見交換会を始める。
派外でも安倍氏への関心は高まり始め、細田派以外の議員が 経済、外交安保政策の意見を聞くために安倍氏の事務所に足を運ぶ 場面も目立ち始めた。
安倍政権の継承を目指す菅政権の支持率が低迷を続ける中、長期政権を敷いた安倍氏の存在が改めてクローズアップされているとも言えるが、他派閥から安倍氏の派閥復帰に異論も上がっている。
「安倍氏が細田派に戻ったらそれは国家の損失だ。派閥の長のアベではなく、自民党のアベだ。何が起きるかわからないから、安倍氏は『すぐ動けるリリーフ』として準備していないとならない」。別派閥に所属する党幹部は安倍氏の派閥復帰にクギを刺した。
◆安倍氏の脚光の背景に「後継者不足」
一時は「桜」で批判を浴びた安倍氏が脚光を集める背景には、明確な「ポスト菅」候補が不在という、自民党の危機感がある。その状況を作り上げた要因に安倍氏の存在を挙げる党関係者は多い。党ベテランは「 7年8カ月の長期政権を担った安倍氏がその間に明確な後継を育てなかった ことが、今になって影を落としている」と不満を漏らす。
「派内で将来の総裁候補を競わせながら育てるのも、あなたの役目だ」。細田派出身の森喜朗元首相は安倍氏に繰り返し、こう説いてきた。
自民党の次期リーダーをどう育てていくのか。安倍氏への「宿題」はまだ積み残されている。
「貴族」生む養子策 憲法違反(7日の日… 2026年08月07日
[大弦小弦]金子文子と天皇(6日の日記) 2026年08月06日
「女系天皇誕生封じる」 海外、日本社会… 2026年08月05日
PR
キーワードサーチ
コメント新着