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サウジ、イラン、中国の3力国で共通するのは、国内の人権問題が米国から批判を浴びていることだ。さらに米国の圧力にもかかわらず、批判されている人権問題がちっとも改善していないという点も共通している。例えば中国をめぐっては、米国は習近平政権による少数民族ウイグル族への弾圧を問題視して制裁を強めてきたが、ウイグル族の人権状況は改善の兆しが見えない。サウジについても、バイデン政権は2018年の記者殺害事件を批判してきた。原油高に悩むバイデン大統領は昨年7月、人権問題を脇に置いて石油増産を求めたが、サウジに袖にされた。
3月10日に発表された 3力国の共同声明では、主権尊重と内政不干渉が盛り込まれた。人権侵害に対する米国の批判が念頭にあり、内政不干渉の原則を盾に批判をはね返す意図があるのは明確だ。
習氏は昨年春に「グローバル安全保障イニシアチブ」構想を提唱した。構想は、対話を通じた紛争解決や中国との安保協力を各国に呼びかけるとともに、「内政に干渉せず、各国の社会制度を尊重する」とも強調していた。習政権は、人権よりも国家権力の安定や治安維持を優先する世界秩序の形成を目指しており、今回の3力国合意はその成功例と位置づけられる。
習氏は欧米への不信感を隠さない。3月に行われた全国人民代表大会(全人代)の期間中、民間企業経営者らとの会合で「米国が率いる西側国家が全方位的な封じ込め、包囲網、圧力を強め、わが国の発展にかつてなく厳しい挑戦をもたらしている」と米国を名指しで批判した。 中国は世界のリーダーへと発展する道を歩んでいるが、米国が妨害しているという世界観だ。
今回の3力国合意によって少なくとも中東地域では中国の存在感が増すとみられ、中国紙、環球時報の編集長だった胡錫進(こしゃくしん)氏は同紙への寄稿で「米国は内心苦々しく感じているはずだ」と指摘する。実際、人権を重視するバイデン外交は人権侵害を止められなかったばかりか、人権侵害が指摘される3力国の結束を強めてしまった。
一方で米中関係には対立以外の側面もある。 米中の貿易額は昨年、過去最高を記録した。サウジとイランの関係正常化も中東に安定をもたらすことが期待でき、米国にとっても悪い話ではない。
習政権は昨年秋、欧米や日本との対話路線にかじを切った。中国経済に依存する日本にとって安定した日中関係は利益が大きい。一方で、人権侵害への批判が絶えない大国とどのように対話を進めるか、日本も米国も難しい課題と向き合うことになる。
(外報部)
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