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「胸に手を当てて、議会にうそをついたことがないと言える」
22日の英下院特権委員会。議場全体から視線が注がれる中、「事情聴取」の冒頭にジョンソン氏はこう宣誓した。
同氏は2020年、新型コロナウイルス拡大時の口ックダウン(都市封鎖)のさなか、首相官邸で開かれた規制違反のパーティーに参加していた。昨年1月の下院質疑で公式に謝罪し、4月には現職の首相として初めて警察当局に罰金を支払った。パーティーは複数回にわたり、首相辞任の引き金となった。今回の聴取は、下院で追及された同氏が「ルール違反はなかった」と繰り返していたことが発端。一連の言動が「議会を欺いた」と批判を浴び、下院議員の全会一致で特権委の開催が決まった。
特権委とは何か。議員が議会の動きを妨げた可能性がある際、議会から審査を依頼される常設委員会で、1990年代に前身の機関が発足している。名古屋大の近藤康史教授(政治学)によると、日本の国会の懲罰委員会に近く、開催頻度は数年に1回程度という。今回の委員長は野党労働党から出ており、6人の委員は会派ごとの議員数に応じて割り振られた。
近藤氏は 「英国政府では古くから、虚偽答弁やハラスメントに厳しい『閣僚行動規範』があるが、この規範を犯したジョンソン氏自身が昨年、軽微な違反なら辞任しなくても済むように修正した。このような信用をおとしめる行動が特権委の開催を招いた」 と語る。
英公共放送BBC(電子版)によると、同氏は、意図的にうそをついたかについては「当時、私が正直に知り、信じていたことに基づいていた」と否定。だが、 世論調査会社ユーガブの調査では、国民の66%が「故意に議会を欺いた」と考え、「そうではない」は15%だった。
聴取後、特権委は「謝罪」「職務停止」「除名」のいずれかを下院に勧告し、妥当性を下院が判断することになる。除名なら当然失職だが、職務停止でも停職期間によってはその後所属選挙区内でリコール投票が行われ、有権者の一割の署名があれば失職となる。
成蹊大の高安健将教授(英国政治)は 「議会の動きを妨げたことは、議員が特別視される英国では大きな罪となる」 と指摘。「勧告は政権全体のイメージに影響を与える。他の議員たちは『この人も同じか』と思われるのを恐れて行動することになるので、特権委の持つ機能は大きい」。下院での採決時、現与党でジョンソン氏が党首を務めていた保守党は自由投票の方針を示している。
「一連のパーティーの開催について、英国民の注目度は依然として高い」と語るのは、同志社大の吉田徹教授(比較政治)。強い言葉でジョンソン氏を非難する特権委の姿勢を「英国議会では、本会議も委員会も与野党が丁々発止でぶつかり合い、言葉からにじみ出る議員の人柄を国民は注視しているから」と説明し、こう続ける。
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