さて、リーダーのマグナレリだが、おいしいところを大王様にかっさらわれながらも、地味に自己主張をしているのが偉い。いや、猫麻呂的にはかなり評価の高いトランペッターと言える。モンク・コンペティションでライアン・カイザーに負けて2位に甘んじたというエピソードもマグナレリらしくて良いではないか。こうなったら徹底的にマグナレリをヨイショしてやろう。マグナレリの素晴らしい点は、中低音域でのメロディの歌い上げ方だ。もちろん、ニコラス・ペイトンのようにメロディの歌い上げ方の巧いヤツは他にもいるだろう。しかし、マグナレリの歌い方にはケニー・ドーハム風の「泣き」が入っている。ニコちゃんは巧いけど泣かないんだな。ライアン・カイザーなんてマグナレリと比べれば単なるマシンみたいなもの(って言いすぎかな?)。トランペットという楽器、はサックスのように細かいフレーズやブルージーな音が出せない分、表現力に限界がある。しかし、男の背中に漂う哀愁を表現するなら、サックスよりもトランペットに分がある。そう考えて聴くと、"How Deep is the Ocean"や"When Your Lover Has Gone"のような曲でのマグナレリの「泣き」には注目なのだ。