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バ レ ン タ イ ン の 女 由美はやっと元気になり本来の生気が 戻って表情が明るくなっていた。 由美という名前がすごく気に入っている。 本当に名前というのは不思議なものだと思う。 新しいエネルギーをもらった気がしていた。 Aさんから由美への変身がどんな 新しい人生をもたらすであろうか。 由美の個人データーはまだまだ 内容に乏しいものがある。 これはいずれまたブログ王子さまに お話しなければいけないでしょう。 バツイチ女のしがない過去を 暴いてもらいますかねぇ 時刻は1700前である。 夕食の準備をしてお風呂の掃除をして また明日からの仕事に頑張ろう!! 元気になった由美はそんなことを 考えていた。 まだBさんの素性ついてはほとんど 書かれていない。 2か月間のメールだけのやりとりだから Bさんのことは知っているようで知らない。 ブログ王子さまがBさんのデーターを あと少しすればもってきてくれるだろう 由美は、Bさんの名前はどんなんだろうかと 内心どきどきして不安になった。 つづく
2005年04月07日
バレンタインの女 ジャーン!! 筆者じゃ ウアッ びっくりしたわ 筆者さんが来たときのジャーンの 合図の音なんですねぇ” ごめんごめん!! 起こしてしまったね。 いやあ~もうしわけない。 あのなぁ~物書き大王の許可を もらったんじゃよ!! 眠っていたのにいいのかい? ああいいですよ。よく寝たから ああぁ~ウウッ””ぐっすり眠ったわぁ!! 少し楽になってきたわ”” 熱もほとんど平熱になったから 今何時なの? もう4時すぎなんだぁ~ 4時間も寝ていたんだわ”” ところで私の名前はどうなったのかしら? まず筆者の名はブログ王子と決まったんじゃ 今日から筆者は王子さまなんじゃ!!あははっはっ ゴーストライターといえど王子とはなっ!! ははっ いいよねぇ かっこいい名前で ブログ王子さまよろしくね これでゴーストライター凡人文楽さまも すっかり大変身なさいましたねっ 筆者と言っていたのがブログ王子さまと 言わないといけないなんて・・・ これは すごいイメチェンだわ”” イメージアップになったわねぇ~ 王子さまなんてとても素敵よね。 ブログ王子とは物書き大王さまが 名付け親なんじゃ!! 大王の下には多くのブログ王子が いるんじゃよ。その一人というわけでなっ まあ大王さまに飼われている鎖につながれた 羊みたいなもんじぁよ。。 あははっ それからじゃAさんの名前も 次のように決まったぞ!! いやこれについては個人データーで 示すからよく見ておくんじゃねぇ ほらこれがAさんの個人データーなんじゃ!!~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 名前: 吉谷由美(よしたに ゆみ) 年齢: 35歳 身長: 165cm 体重: 54kg 血液型: A型 職業: ひばり保育園(保育士) 学歴: 高校卒 婚歴: 離婚 (生別) 子供:なし 趣味: 美術館めぐり・映画・音楽鑑賞 読書・ドライブ・ガーディニング 家族: 母( 58歳 / 別居 ) 住居: インペリアルマンション7F~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ アッツこれが私のデーターなの。。 名前は吉谷由美というのねっ 素敵な名前をいただいたわ” どうもありがとう!! でもみんなオープンなのね。 ちゃんとしたセキュリティーを しっかりたのんどくわよねぇー こんな大切なデーターを紛失 しないようにしてもらわないと 誰が保管してるわけ? ああ大丈夫じゃよ 心配はいらないから。 物書き大王さまの大金庫の中で 厳重に管理されているんじゃよ。 今日からはもうAさんと 言わなくていいんだよねぇー 由美さん!!由美ちゃん!! こんな名前で呼べるんだからいいよなぁ~ 吉谷由美さんというのいい名前だろ? データも気に入ってくれますよねぇ? 私の個人データーについては、 何もいうことなんてないわ!! Aさんから由美に変わるだけで 元気がでてくるみたい。。。 これでもっと女性らしく生きて いけるような気がしてきましたね” うれしいです。とてもうれしい。 でもね”名前は変わっても私の運命が 開かれなかったらどうするの? 一番肝心なのはそこのところだから ブログ王子さまよろしくお願いするわ!! 由美のこれからの人生はどうなるの? Bさんとの関係はどうなるの? アッBさんの個人データーあるのよねぇ あったら由美と同じように物書き大王さま からもらってくれませんかぁ~ ああ~そうだったなあ~ Aさんが由美さんになってBさんが そのままだったら話にならないよね!! わかったよ!! 今夜はAさんから電話があるんだったなぁー。 すぐにまた物書き大王さまのところへ行ってくるよ。 じゃぁ~由美さんまたくるからな!! ヒューッ つづく
2005年04月03日
バレンタインの女 「いつも筆者ですがと言っているのは あまりにも様にならないし、みんなと 同じくゴーストライターの筆者にも 名前をつけたいんじゃ」 「それから筆者は透明人間じゃ!! 黙っていればどこにいるかわからんのじゃよ」 Aさんとは声のやりとりしかできないが 色々と心のうちが知りたいんで よろしくたのんだよ。 まあAさんは筆者の声をイアーホンで 聞いているようなもんじぁのう」 「そうねぇ姿が見えないだけに声を 聞いても誰だかわからないことがあるわねっ」 「そうだAさん!! 次からは筆者の声は じゃ~言葉”を使うからいいかなぁ」 「なんですか?じゃぁ~言葉というのは?」 「これはだね。。語尾にじゃぁをつけるわけだよ」 「ああじゃこうじゃというようにね~」 「これで少しは筆者であるとわかるだろうね」 「それからいいかいAさん!!」 「Aさんに用事がある場合はジャーンという 音をだすから筆者がきたという合図だと 思ってくれないか いいねっ」 「ああっその音で筆者だとわかるのね」 「私のフルネームはいつ頃決まるのかしら?」 「ああその話かね」 「これは物書き大王さまの許可がいるんじゃよ!」 「物書き大王と言ったらブログを牛耳っている?」 「許可を受けないと名前はつけられないの?」 「そうなんだ!!特に人の名前は許可を うけないとだめなんじゃ!」 「今から超特急で物書き大王様に 話をして許可を受けることにしよう!!」 「それからAさんの個人データも もらってくるからね」 「なんですって。。私のデータをもらう?」 「物書き大王様によろしくいってよねぇ~」 「わかったよ!!じゃぁ~またくるよ!!」 (つづく)
2005年03月29日
バ レ ン タ イ ン の 女 女はマンションに着くとジャージ姿になった。 リラックスして過さないと明日から 頑張らないといけないのでね。 C子にメールした 少し風邪気味だから20日の 日曜日に会おうね。・。 そんな返信メールをいれた。 「Aさん!! 筆者ですが診察結果は 大事にいたらず何よりだったねぇ」 「あっ!!これは」 「その節は親切にしていただいて ありがとうございました。 おかげで本当によくなりました。」 「びっくりさせてゴメンなさい!」 「透明人間の筆者だから音声だけで すいません!!」 「いやAさんもお疲れかと 思うんだが色々と話をしたくてね」 「ああ~いいですよ。なんでもお話しますから。」 「いやこれからもゴーストライターとして 書いていくのだがこの辺で決心しないと いけないと思ってねっ」 「えっ決心ですってぇ?」 「ああ~実はなぁ~AさんとかBさんとか C子さんとか言っているが色々とこれから やっかいなことになりそうなので 名前をつけたいと思っているんだよ」 「ああ~そういうことですかぁ””」 「いい名前で呼ばれたいわ」 「名前は筆者に任せてくれるかい?」 「いいですよ 筆者なんですから 私は何もいえないわ!!」 「わかったよ!!それじゃふさわしい名前を 真剣に考えることにしょう」 「それから筆者も名前をつけたいんじゃよ!!」 「えっ!!ゴーストライターにも名前を」 つづく
2005年03月28日
バ レ ン タ イ ン の 女 Re:おはようございます。 ★昨日はお仕事なのに会って くれてありがとうございました! 遅くまですみませんでした 早速ワインのチョコレート 味わってくれたんですね。 とってもうれしいわっ!! 家に着いたのは02:00頃でした。 今日も仕事で頑張ってるから 心配はいりませんよ。 ではまたね メールには嘘をいれた。 病院に来ているのに保育園にいる こういう嘘を書かねばならなかった。 昨日の帰りにこういうことがありまして などとは死んでもメールできなかった 昨日の帰りのことは胸のなかにそっと しまっておかなければいけない。 誰にも言えない秘密であった。 Bさんがチョコレートを味わってくれた。 あと6個のチョコレートを味わって くれることにうれしさがこみあげてきた。 異性に対してチョコレートあげたことが こんなにも自分をうれしい気持ちにさせて くれるものなのか。。 前の夫には感じなかった女としての 純真な愛が心のなかで騒いでいた。 メールをしていると昨日の夜Bさんに 逢ってからの弾けた私を思い出した。 つたない演技がよみがえり胸の中で クスッと笑う自分がいておかしくなった。 バレンタインの女になれたうれしさと帰りに 味わったつらさが心の中に同居していた。 病院にいてもBさんの面影がちらついて 少し心が乱れているのを感じていた。 次の方お入り下さいといわれハッとして 女は診察室に向かった。 女はまた赤いプリウスのドアを あけ、運転席でエンジンを始動させた。 熱も下がっていてこれで明日は 保育園を休まなくていい 診察の結果にホッとした。 診断結果は扁桃腺のはれからくる発熱で あって体温は37度7分であった。 喉の痛み止めや解熱剤など4種類の 薬をもらった。 人間なんて弱いものなのよ! 男も女も病気には勝てないのだ。 今年は花粉症でマスクをした人が 多い気がした。 花粉症が猛威をふるい悩んでいる人がいる。 C子もそうであった。 帰ってからC子に返信メールをしょう そう思いながら車を発進させた。 赤いプリウスを運転すると気分が癒された。 女の運転は安全運転であった。 住宅街だから駅前のショッピング街 に行かないとこれといった店はない。 帰りの道も案外静かであった。 体調が悪い時は無理をしないのが 一番だからどこにも立ち寄ることなく マンションに帰った。 つづく
2005年03月27日
バ レ ン タ イ ン の 女 真っ赤なプリウスが駐車場から発進した。 心地よいエンジンのひびきが女の顔を紅潮させた。 赤い色を見ると色彩学的には元気になれるらしい。 闘牛士のもつ赤い色をみて突進する牛たち どうも赤い色には興奮するなにかがあるようだ 私もあの男に向かって突進する闘牛になれるか どうかは今夜のあの人からかかってくる 電話の中身によるだろう。 傷ついても傷ついても突進する牛に なれるどうかは女の気持ち次第だった。 だるくても赤い車で疾走すると元気が生まれた。 少し遠回りして病院に向かった。 プリウスに関しての余談だが・・・ このトヨタプリウスは最近外国でも人気がある。 タイタニックで人気俳優となったレオ様も このプリウスに乗っているそうである。 レオナルド・ディカプリオはいわずと知れた ハリウッドスターだが彼は雑誌の取材で 「 燃費が悪く、排気ガスをまき散らす環境に悪い 車なんて僕には関係ない。。プリウスがあるから」 ほかにもアンソニー・ホプキンス、プラッド・ピット、 メグ・ライアン、メリル・ストリープ、ジム・キャリー などはプリウスを愛車としているようだ。 閑話休題 女の運転するプリウスが青空内科に着いた。 車は病院の隣のスペースにとめた 女はゆっくりと車のドアをあけて病院に入った。 診察券を出し受付を終えて順番を待つことに したが診察を受けるのは自分をふくめて5人だった。 そして診察の待ち時間にBさんにメールした。 時計の針は10:15をしめしていた。 つづく
2005年03月26日
バ レ ン タ イ ン の 女 08:10にBさんから・08:45に C子からのメールがあった・・・ 「きのうはどうもありがとう!! 無事着きましたか? 帰りが遅かったものだから心配でした☆ またチョコレートを頂いてありがとう!! 帰ってからワインのチョコレートをひとつ 頂いたけどおいしかったですよ これから毎日ひとつづつ頂いて七つの味を 楽しませてもらいますよ! それから今晩1000頃TELしますので よろしく!!またメール下さい。」 Bさんは早速ワインのチョコを食べたんだ。 私が昨日どんな状態だったか知らないBさん!! まあ内緒にしとかないと 今晩TELあるっていうけどなんだろう? 私の思いに対するBさんの返事かも知れない? きっとそうでしょう。。。 言いにくいのでメールするからと言っていたBさん!! そんなことを考えて少しだけ不安になった。 C子からは次のメールだった。。。 「おはよう!!どうだった? また会おうね。また会える日知らせてね。 じゃあ~ね!」 C子といつ会おうかなぁ まあ病院に行ってこないと 女は病院に行く支度をした。 寒気がするようでまた熱があるのかも 知れなかった。喉の奥はまだ痛い。 病院は駅の近くにある青空内科に行く ことにした。この街では評判のいい 病院だった。 駅前にはもうひとつ雨森(あめもり)医院 というのもあったが名前が嫌であった。 いかにも診察がルーズであるような イメージがして青空内科に決めた。 病院には自分の車でいくことにした。 バスやタクシーでもよかったが マイカーで行きたかった。 駅に行くのには保育園の前を通るので 少しまわり道をすることにした。 なぜそうするのか知りたければ教えましょう。 それは私の車が赤いプリウスだから 赤くて目立つからこの近辺では誰が乗っている のかよく知っている人がいるからなのよ。 園長に見っかったら困るからだ。 女の自慢の車で女友達の家に行ったり 買い物をしたりこの車があるから離婚後も 少なからず元気で暮らしてこれたのだと いつもそう思っている。 この車がなかったらどんな暮らしをしていただろう。 楽しみは半減していたことだろう。 この車がなかったらと言ったが 買ったのは2年前であった。 それまでは赤い日産マーチに乗っていた。 私は赤い車が好きなのかもしれない。 いや赤い色で元気をもらった気がする。 バカにしないでよ”~♪ そっちのせいよ”~♪ 赤いポルシェではないが真っ赤な プリウスに乗ると心が高鳴った。 それは女の住んでいるインペリアルマンションの 居住者の中でプリウスに乗っているのは私だけ” そんな気持ちがうれしくてハンドルを 握るのが楽しくてしょうがなかった。 ただ燃費がいいからと買ったプリウスだけど 最近はエコカーとして地球環境に自分の車も 少なからず貢献しているという思いがあった。 つづく
2005年03月25日
★ 長 編 ロ マ ン 小 説 ★ ♪ 連 載 開 始:2005・2・14♪ ★ バ レ ン タ イ ン の 女 ★(38回) リリリジ~♪ リリリジ~♪ 女の細い手がのびて目覚まし時計の音を止めた☆ さあ~起きようとしてりきんだが 体が重くて起きれなかった。 起きようかもう少しベッドにいようか 女は逡巡していた。 疲労が体のなかでうんうんとうなっている。 布団の中で天井をみてうつろな目を開いた。 私に一体何が起こったんだろう? 頭がボゥ~としてまだ夢をみているようだった。 今日は保育園の仕事を休んでしまったんだ。 昨日から今日にかけて起こったことを整理した。 バレンタインデーの昨日の帰りは最悪 であったことを思い出しまた情けなくなった。 さあ終わったことは忘れてとにかく 病院へ行かねばならない。・。・ 女はやっとベッドを離れることにした。 眠い目をこすりながらバックにいれていた 携帯をだして受信を確認した。 Aさんと女友達のC子からメールが来ていた。 (つづく)
2005年03月23日
★ 長 編 ロ マ ン 小 説 ★ ♪ 連 載 開 始:2005・2・14 ♪ ★ バ レ ン タ イ ン の 女 ★(第37回) ★ 夢なるか 恋する女 バレンタインデー 女の部屋は7階であった。 友達から家を買う時は3階以上に しなさいよ!!といわれていた。 そして購入する際に7階の部屋にきめた。 理由は泥棒は1・2階に入ることが多いからだった。。。 それと生垣とか樹木とかによる外部からの目隠し にも問題があるから1・2階はだめだからね” そういわれていたからである。 エレベーターで7階までいき少し 歩いて710号室のドアを開けた。 夜のマンションには管理人もいなくて 一人で自分の部屋にくるのも怖かった。 ドアを開けるとホッとした。 ああ~やっと我が家に着いたぁ。 女はコートもマフラーもバッグも和室の 6畳の部屋においてあくびを噛み殺し ながらトイレにたった。 それから冷蔵庫を開け牛乳を飲んだ。 ほてった体の中に冷たい水分が流れこんだ。 唾を飲みこむと喉の奥にまだ痛みがあるが 薬の効果があったのかどうか少し 和らいでいるのを感じていた。 あとはもう眠るだけだった。 疲れて果てて今日ほどつらい日はなかった。 バレッタをはづしすぐにシングルベッドに潜り込んだ。 目覚し時計は09:00にあわせておいた。 保育園の園長には筆者文楽さんが電話して許可を もらってくれるそうだから何も心配することはない。。。 そう思うと一気に睡魔がおそってきた。 何もかも女の脳裏から消えていった。 (つづく)
2005年03月22日
バ レ ン タ イ ン の 女 女のマンションの白い壁が闇のなかで眠っている。 玄関前のシンボルツリーが寒夜の風にゆれていた。 「Aさん!! 筆者はこれで失礼するがいいですか?」 「はい!!本当にありがとうございました。」 「これからすぐ寝てまた病院で診察を受けますので」 「色々とご心配かけっちゃった””」 「ごめんね筆者文楽さん!!」 「いえいえ無事帰ることができてよかったねっ」 「ああっそれから今日は保育園の方には 休むように言っとくよ」 「えっなんですって””筆者文楽さんが言ってくれる?」 「ああ~魔法の杖があるからね””だいじょうぶじゃ!!」 「Aさんの声で園長さんの許可をもらってやるよ」 「休みはとりあえず今日だけということでなぁ~」 「病院に行くまではぐっすり眠るんですよ」 「わかったわ”お任せしますから・・・」 「よろしくお願いします。0830頃連絡してくれますかぁ~」 「了解したよ!!じゃあ~今日はゆっくりしなさいよ。」 「今日のご恩は忘れません!!ありがとう!!」 女は玄関前で何度も別れの手を振った。 薬の効果が少し出てきたのと家に着いたことで ほっとしてやれやれと思っていることだろう。 「じゃあ~筆者はまたくるよ””お元気で・・・」 「さようなら~」 時刻は0330になっていた。 つづく
2005年03月21日
バ レ ン タ イ ン の 女 やっと女のマンションが見えてきた。 体調さえよければもうとっくに着いていた はずだがすっかり予定が狂ってしまった。 人生には色々とつらいことがあるものである。 女の悲しみは今日で終わりにしたいと 思ってはいるのだが順調に幸せな人生に なるかどうかというのは誰も予言できない。 人生色々なんだよ男も女も 小泉首相もたしか国会で「人生色々」 そのように発言したと思う。 一国の首相がいった言葉だけに重みがある。 飲み屋の平凡なお客さんが言ったのとは わけが違うんだ。 けれどもこの「人生色々」という言葉は 人間社会を生きていくうえでの真理を ついた数少ない心にすぅ~とはいってくる そしてよく理解できるフレーズではないか? 困った時つらい時失敗した時につぶやいて みるがいい!!心が少し軽くなったような 気分になるというものだ!!」 「人生色々」というのはまさしく名言であろう。 人生を順風満帆にまっとうして・・・ 「いい人生だった」なんて言って死ねる人は そんなに多くは存在しないのではないか。・。・ 人生は波の上をいく航海によくたとえられる。 航海をするうちには暴風雨にも台風にも 悩まされあるいは船の進路だってわからない 時もあった。それが人生ではないのか? 小さな辛苦も大きな辛苦も愛する妻と あるいは夫とともに生涯を過せた。 そういう意味で口にする言葉ではないだろうか? いい人生だったと口にして死んだ人でも 少なからずの葛藤はあったはずである。 ここでいういい人生だったというのは 色んな苦労はあったけれどそれらを乗り越えて なんとか人間最後に優秀の美を飾ることができた。 もう何もやり残すことはない充実した人生だった。 そんな思いではないだろうか? この女Aさんも情けない思いでいっぱいであろう。 ””死んでしまおうなあ~て””とは思わなかった だろうが精神的に相当にまいったに違いない。 ゴーストライターの凡人文楽であってもあえて これからも筆者と言わせてもらうこととするが 筆者としてAさんに言う!! 「人生色々なんだ!!これからが本当の人生だよ」 「いつも前を向いてバレンタインの女として人生を 謳歌するんだねっ」 「恋にも愛にも仕事にも幸運を祈っているからね」 つづく
2005年03月20日
バ レ ン タ イ ン の 女 「魔法の杖とか物書き大王様 のことをもっと知りたいです」 「ああ~また教えるよ””」 「魔法の杖は、ほら! 薬とか体温計・それから ミネラルウォーターをAさんにあげただろう!!」 「あれが魔法の杖の力なんだ!!」 「かけ声はエィツヒュウーというんだよ」 「ええっあれなんですかぁ? すごい魔法の力なんですねぇ」 「また色々とその話をしてあげるから これからもよろしくたのんだよ」 「この小説のヒロインはAさんだからねぇ~」 「筆者はなぁーいつでもAさんの味方なんだから 何かつらいことがあったら相談するんだねっ」 「筆者に出来ることがあればなんでも相談にのるよ”」 「魔法の杖もあることだからねぇ~」 「筆者の方もAさんに相談にのって もらいたいこともあるだがね」 「わかりました!!バレンタインの女の小説は 私で成り立っているんだから私の心のうちの すべてについてお話することにします。」 「多少恥をかいてもできるだけ協力しますよ」 「ああ~そうしてくれんか! ほんと筆者も助かるよ」 「実はなっAさんとは声だけのやりとりなんじゃ””」 「Aさんの実像は筆者にはよく見えているんだが Aさんには筆者凡人文楽は見えていない!!」 「残念だが筆者は声だけのやりとりしか 出来ない透明人間みたいなものでのぅ」 「わかっています””」 「筆者ですから透明人間なんですね!!」 「でも声だけで励ましてくれたり 応援してくれたりそれだけでいいんです。」 「淋しい時に声をかけてくれると本当に 私はれしいんですよ。。。」 「今日も色々ありがとうございます””。」 「いやいやそう言っていただければ 筆者ももっとAさんのために頑張って いい小説を書かなければいかんのう」 「なんでも恋心とか心のうちは よくわからんからねぇ」 「Aさんによく確認して、話を聞きながら 進めたいのでよろしくお願いしますよ」 「いえっ こちらこそよろしくお願いします。」 「あっ私のマンションのエントランスが 見えてきたようだわ””」 つづく
2005年03月19日
バ レ ン タ イ ン の 女 「それからひとつだけ筆者凡人文楽からのお願いじゃ!!」 「いやゴーストライターとしてこれからもこの小説を 書いていくことになるんですが、Aさんのことを もっともっと知りたいんだよ!!」 「筆者が女性の心理や気持ちがよく分らなくて 書くことにいきずまった時は、直接Aさんに 聞きながら進めていきたいと思ってるんですがね。」 「Aさん!! いいだろうか?」 「それは筆者文楽さんの小説がスムースに 書けるように私は協力をおしまないわよ””」 「もう私は弾けちゃっているから。・。・ 女の気持ちを何でも話しますよ。」 「過去のことも話していいわよ!! だから何でも聞いてくださいね。」 「いえっ。。愛してくれる誰かさんを ずぅっと待ってる女じゃなくて私から 積極的に男を愛したいの””」 「これって筆者文楽さんわかる? 」 「いや~何といっていいか。」 「女の方から愛したいというのだね」 「わからないのぅ?」 「私は、筆者文楽さん!!バレンタインの女でしょ””」 「もう待ってる女が嫌になったの”」 「いい加減はじけないと死ぬまで待っている 女になってしまうわよ””」 「ああなるほどぅそういうことなのか。。。 バレンタインの女とはそういう意味なんだ!!」 「受身の女じゃないのがバレンタインの女なんだ」 「今度また、ゆっくり聞かせておくれ」 「 体がよくなったらまた頼みますね」 「筆者文楽の魔法の杖のことも教えるからねっ」 「なんですって!!いま魔法の杖って言いました?」 「エイッ!!ヒュウーというやつさ。」 つづく
2005年03月18日
バレンタインの女 「いやゴーストライターというのは代筆屋でしてね」 「ということは誰かに代わって書いてるわけ?」 「ああそういうことなんだよ」 「それで誰に代わって?」 「それはなぁ物書き大王様の依頼を 受けて書いているんだよ!!」 「なんですかぁ?その物書き大王様の依頼とは?」 「いやいや”話せば長くなるんだが・・・ それはだねっ ネットの世界に君臨する 物書き大王様から「バレンタインの女」という 小説を書くように言われたんだよ」 「だからバレンタインの女のストーリーも 最終的には物書き大王様が決めるんだ!!」 「あえて筆者と言わせてもらうんだが文楽が 書いても気に食わなければ修正されたり 削除されたりされるんだよ。」 「だから運命が開けると言いたい ところだが100%確実にはなぁ~」 「いや書くのは凡人文楽だからこれからも Aさんの幸せを願って書いていくつもりだよ!!」 「物書き大王様はどこにいるの?」 「ああネット上の色んなブログを牛耳って いる王様なんだ!!」 「牛耳っているんですかぁ??」 「ああ~このことについては、また 教えることするからいいですね””」 つづく
2005年03月17日
バ レ ン タ イ ン の 女 なだらかな坂を10分ほど歩けば女のマンションがある。 5年前に買った新築マンションで8畳のリビング・ 6畳の和室・6畳の寝室がありこの女の安らぎの マイルームであった。 保育園は駅とマンションの中間付近にある。 「文楽さん!!」 「私の運命は開かれますか?」 一歩一歩ゆっくり歩きながら 女は筆者に問いかけた。 これは、バレンタインカードのメッセージ を教えてほしいとAさんに筆者が頼んだ ことがあった。 そのとき筆者は、教えてくれたらAさんの 運命が開かれるかも知れないと言ったのだ。 しかしそのあと筆者は運命が開かれない かも知れないと言っているのだが 「 確かに運命が開かれるかも 知れないと言ったよなぁ~ 」 「実はなぁ~そのことなんだが 言っておかなければいけないことがあるんだ!!」 「あのなぁ””筆者凡人文楽などと言っているが ほんとは、ゴーストライターなんじゃ!!」 「えっ筆者じゃなくてゴーストライターですって?」 つづく
2005年03月16日
バ レ ン タ イ ン の 女 「Aさん!!Aさん!!大丈夫ですか? 頑張るんですよ。。。 あと少しだから 」 「ワッ」「だれっ?」 女は一瞬たじろぎ恐怖で慄いた。 「いったい誰なの?」 女は不意の問いかけに一瞬びっくりした。 こんな夜中に男の声で呼びかけられると そりゃ~びっくりしただろう。 「筆者です””凡人文楽ですよ。・。・」 「あっ!カードメッセージに 書いたことを教えてあげた?」 「ええっそうなんです! 文楽です」 「ああ~よかった!! 誰だろうて思ったわ””」 「淋しくてつらいんです」 「Aさん!! かなりしんどそうですね。。。」 「だるくて節々が痛いのよ!!」 「Aさん!! 薬( 解熱剤 )と体温計。 それからミネラルウォーターのボトル を投げるから受け取って!!」 「 エイッ!! ヒュウ~ 」 「アッ!!ありがとうどうも!」 「さあAさん!!まず熱を計ってみてよ””」 「すいません!!こんなことになって。。」 「淋しかったけど筆者文楽さんとお話できる ので心強いわ””もう少ししたら私の勤務している 保育園があるのよ そこで休憩します。」 少しだけ女も元気がでたみたいだ。 なだらかな坂になる手前に保育園はあるようだ。 女の勤めている保育園が見えてきた。 小学校の横にある保育園にいつも この坂を歩いて通っているという。 桜の木だと思うが繁った 黒い葉が風にゆれている。 それ以外には何ひとつ動くものはなかった。 女の長い影が近づいて保育園にある木製の ベンチにふぅ~とため息をついて腰をおろした。 ほのかな電灯の下で女は休憩した。 保育園の遊び場にブランコやすべり台など 子供たちの遊具が静かに眠っていた。 女は体温計を脇に入れてからミネラルウォーター を口にして喉の渇きを潤した。 「Aさん!!熱は何度かな?」 「ええ””38度5分あります」 「それはきついよ!!すぐ薬を飲みなさい」 「水で、2錠飲めばいいよ」 「はい!!わかりました。」 しかしこんな深夜に女がひとりベンチに 座っているのを誰かに見られたら きっとびっくりして警察に不審人物で 通報されるかも知れないなぁ。 いやみんな怖がって腰をぬかすかも知れないよ。 「文楽さん!!ほんとにありがとう。。」 「ああ~薬を飲んだから熱も下がって くるとは思うけれどいいかなぁ」 「38.5分というのは大変だから 今日は病院で診察を受けるんですよ」 「わかってるわ””病院へいきますよ」 「それから私からのお願いなんですけど」 「あと10分くらいで自宅なんですけども」 「玄関を入るまで私と一緒にいてくれませんか?」 「ああいいですよ。最後まで見届けますから」 女は、はじめて白い歯を少しみせて微笑んだ。 「ああ~よかったねぇバレンタインのAさん!!」 「はい!!これも筆者文楽さんのおかげです。」 「なんといってお礼をいえばいいのか。。」 うぅっ 「Aさん!!最悪のバレンタインの日だったねっ 」 「Aさん!! もういいから。。もう心配ないからね」 「ひとりというのはこんな時つらいよねぇ。」 「もう大丈夫だからねっ」「さあ頑張って歩くんだよ!!」 女は本当にうれしかったのだろう。 筆者文楽も女の泣き顔を見るのがつらかった。 さあ頑張って 頑張るんだよもう少しだから 時刻は0230であった。 つづく
2005年03月15日
バ レ ン タ イ ン の 女 女はひとり帰宅の途についているが 足早に歩くわけにはいかなかった。 アスファルトの歩道を歩くブーツの音が フラフラとする女を支えているようだった。 みんな寝静まり街灯の薄灯りだけが ボゥーと路面を照らしていた。 ときおり夜風が黒い木の葉をゆらした。 寒い!! 女の顔に冷たい風があたると 身震いをして立ち止まった。 長い女の黒い影が路面に静止している。 こんな真夜中にひとりで夜道を歩いている 女なんて世間にはいないと思う。 ましてこんな服装で夜道を歩く女なんて みんなタクシーで帰るか お迎えの車で家に帰っているわ”” 愛する家族か彼氏が迎えにきて そして優しい言葉をかけてもらって でも私には迎えに来てくれる人は誰もいなかった。 女友達はいるが恥ずかしくて何も言えなかった。 愛してくれる恋人がほしい! 支えあう人がほしい! 寄り添える人がほしい! 女の性が心の中でそう叫ぶと悲しい 気持ちで胸がいっぱいになった。 静止していた黒い影がまた動きだした。 自分のみじめさがこみあげてきて 自然と二つの目がウルウルした。 女は泣いている。 涙があとからあとから出てきた。 暗いから涙のあとはわからない。 しかし街灯の灯りに照らされる場所に くると女の白い顔がゆがんで見えた。 筆者は泣いている女の涙を確認した。 女は泣きながら淋しい夜道を歩いていた。 きっと声にならない嗚咽に近いものだろう。 胸がはりさけるほどのつらさであろう。 淋しさにこらえてきれない涙だろう。 筆者はこの女に励ましの声をかけて あげなければならないと思った。 楽しかった昨夜のバレンタインの日の 逢瀬の帰り夜が、泣きながら歩く女に なるだなんて誰が想像しただろうか。・。・ 不運としかいいようがない。 風邪には違いないと思うが咳はしないから 扁桃腺でもはらしているのかも知れない。 喉が痛くて体だるく高熱があるはずだ。 大阪の街の寒さと男への緊張感から心身の 弱った女の体に悪い細菌がとりついたのだろうか。 たった3時間前までは元気で弾けた バレンタインの女だったのに それを思うと筆者は、この女が可哀想で 仕方がなかった。 つづく
2005年03月14日
バ レ ン タ イ ン の 女 いよいよ女が降り立つ駅が近づいてきた。 あぁ長くてつらい旅だったわ” 女はコートを着てマフラーをして バックをもって降りる準備をした。 カタカタと疾走していた列車の速度が だんだんゆるやかになってシュシュッという ブレーキの音とともに駅のホームに 大蛇のような車体が横たわった。 女は昨日14日の午後にこの駅を出て そして14日の深夜(翌日)再びホームに立った。 降りたのはこの女ただひとりだけで 駅のホームには誰もいない! 疲れ果てた女の顔には精細ががなかった。 無理もない。人には言えない体調の悪さなのだ。 ひとりの女を降ろすと列車の扉がギィッーと閉まって 大蛇のような車体はまた次の駅に向かって動きだした。 駅のホームの時計は0150を表示していた。 ほんとなら軽快な足取りで帰宅する ところなのに寒気がしてとてもだるかった。 昼のうちならベージュのマフラー・黒色のコート・ 赤いセーター・茶色の毛皮のブーツ・たっぷりと レースを縫いこんだヘェミニンバックも鮮やかで あっただろうが、淋しい夜の暗いホームでは 見栄えがしなかった。 薄緑色のバレッタもパールの小さなピアスも 胸元のペンダントも夜の色になっていた。 夜の冷たい風が頬と耳にあたると ひゃ~として身を丸めた。 女は小さな改札口を出てひとり歩きだした。 こうだるければタクシーでもと思ったが 深夜の駅にタクシーはなかった。 わが家まで25分の道のりである。 ピューと冷たい風が吹くと誰かに 身を寄せたかった。 住宅街をぬけなだらかな坂を登って 帰らなければならなかった。 つづく
2005年03月13日
バ レ ン タ イ ン の 女 この列車は一体どこへいくんだろう。 意識があるのかないのか無表情な 女の顔が列車の窓に映っている。 バレツタでとめた黒髪がシルエット になって横顔は眠っているように見えた。 まだ夢を見ているのかもしれない。 女は頭がボーッとしていた。 終着駅のない宇宙の果てに向かって 列車は疾走しているような気がした。 私は地球から来たひとりの悲しい バレンタインの女なのよ 銀河系の大宇宙の中でひとり漂い 泣きながら誰かに助けを求めて 手をふるバレンタインの女がいた。 誰かにとはBさんであろうか? 見知らぬ遠い世界へ連れて 行かれるのではないか 誰かあ~!!助けに来て~ バレンタインの女を助けて~ そう言いながら女は脳裏の中で その恐怖に震えていた。 いやいや違う!! 家に帰るんだ バレンタインの女の家に帰るんだわ!! そう思うとハッとして女は目が覚めた。 あぁ~ここはどこなの? 頭が重くて、こめかみ付近に痛みがある。 喉の奥が渇いて唾を飲み込むと 両あごに痛みがはしった。 胸の奥底にたまった涙があふれそうになった。 でもあと少しだから頑張らないといけない。 何がいけなかたんだろうか。 誰のせいでもない、自分を責めることしか 出来ないバレンタインの女になっていた。 あぁ次の次で降りるんだ。 もうひとつの駅が過ぎれば私の駅だわ” もう少しで到着すると思うと体中の筋肉が こころなし、ゆるんでいくのを感じた。 列車は、カタカタと可哀想な女を乗せて 暗黒の闇の中を大蛇のように疾走した。 つづく
2005年03月12日
バレンタインの女 女は多分風邪だろう。。 やっと目を覚ましたが顔が少し赤い気がする。 あぁ~何ということだろうかバレンタインの日の 次の日に風邪になってしまうなんて。。。 そう思っているに違いない。 昨夜は、当初は2100まで大阪にいてすぐ帰る 予定がとうとう2300までいたものだから こんなことになったんだ!! 女は何も言わないが心でそう思っているだろう。 何もあんなに遅くまでいなくても早く帰って いたらよかったと反省しているかも知れない。 眠ったから少しはましになったような 気がするがそれでも体がほてっている。 肩や腰までいや節々に痛みがある だるくて喉の奥がカラカラである。 さきほどから2・3回ペットボトルの冷たい お茶で喉を潤すが唾を飲み込むと痛みを感じる。 今日はまた休まなければとても仕事どころではない。 ああぁ早く家に帰って眠りたいと女は思っているだろう。 昨日の休みは1ヶ月前に計画し2週間前に 所用があると言って園長の許可を受けていた。 そして今日は風邪を引いたので休ませて 頂きますと言って許可をもらわねばならない。 情けないけど仕方がない話だ。 もう何年も風邪なんか引いたこともなかったのに 今日に限って引いてしまうなんて最低だわ 私はもう、若くないんだわ”” ああぁ昨夜のバレンタインの女は 結果として最悪の女となってしまった!! あと四つ目の駅で降りるんだけどまた その駅から15分ほど歩かねばならない。。。 計算が完全に狂っているわねぇほんと 私ってバカな女だわ””なんて思ったかどうか あと少しの辛抱なんだ あと少しで降りれるんだからなんとかなる。。。 列車はバレンタインの女を乗せてカタカタと 深い夜の闇の中を猛烈に突き進んでいる。 女は窓外に流れゆく闇を見つめながらあわれな バレンタインの女として列車に身をゆだねていた。 つづく
2005年03月11日
バ レ ン タ イ ン の 女 ( Aさんのバレンタインカードメッセージ ) ★ーあなたのハートをとろけさせる魔法の媚薬です ー★ ★ーたっぷりのミルクと私の愛ー★ ★ーそして毎日ひとつ、七つの味をおためしあれ ー★ ★ー最高級のお酒が入ったチョコレートです ー★ ★ーあとはあなたの微笑みのエッセンスをプラス すれば超最高級のチョコになるはずです。★ カードは愛の告白のようなもの バレンタインカードに女が書いたメッセージ!! きれいなピンクのカードに手書きで書いたそうだ。 七つの味をおためしあれとは、毎日ひとつづつ 女の愛を感じながらチョコとお酒の味を 味わって下さいということだ。 なかなかいいメッセージだと思う!! さてさてこのメッセージで男の愛を勝ち取る ことが出来るかどうか今はわからない。。。 ただ男への愛がよく伝わるような 名文句と言えるかも知れない!! 「どうもAさん!!ありがとう 絶対教えないと言ってた大切なメッセージを 教えてくれて」 ありがとうといっても女は体の調子が悪く 疲れもあって窓際によりかかるように眠っている。 女の体調が気になるが家に帰ったらぐっすり 眠り早めに医者に行ってほしいと思う あとどれだけ列車に乗るんだろう? 冷たいようだがどうするわけにもいかない!! 「悪いがこれで筆者は失礼する!!Aさん!!」 「お体を大事になさってくださいね!!」 「それから今の恋心を大切に。。。」 そして無事帰宅できるよう祈っています。 筆者はそう言って女に別れを告げた。 つづく
2005年03月10日
バ レ ン タ イ ン の 女 どうも体がだるくて風邪気味の女に聞くのは 気がすすまないが筆者は聞かねばならない。 それは、バレンタインカードに何を書いて いるか知らねばならないからだ。。 それを知らずにしてこの小説は前に進まない。 女は絶対言わないと言っているがあえて 筆者は腹をすえて聞くことにした。 [Aさん”筆者文楽ですがよろしいですか?」 「はい!!何かしら?」 「いやお疲れのところすまない”」 「バレンタインカードにどういうことを 書いたのか教えてもらえないかと思って?」 「そんなのだめですわ!!」 「これだけは、誰にも言えない秘密の カードなんだから無理ですわ!!」 「Aさんこのカードの内容によりあなたの 運命が変わるかも知れないんだがね」 「運命が変わるってどういうこと?」 「いやこれから筆者がこの小説のストーリーを 吟味しつつ書いていく上で重要なことなんだ!!」 「今ここでどういう運命になるかなんていうことは 言えないがAさんがBさんに書いた愛のメッセージ によっては運命が開けるかもしれないと言って いるんじゃよ!!」 「だけどねぇ。。。こんなんは私とBさんのふたりの 秘密の話ではないですかぁ~」 「それを教えてくれと言われてもねぇ」 「いやAさん!!こう言ってはなんだがバレンタインの 日の由来やホワイトデーのこと教えてあげたでしょ!!」 「今度は筆者のお願いだ”頼むよ!!よろしくね。”」 「ああ~その時はどうも助かったわ!! 「ほんとその節はどうもありがとう!!」 「仕方がないわ””他の人には言わないでよね!!」 「わかったわ!!しかたがないわねっ」 「誰にも内緒にしておくつもりだったけど。。。」 「ううぅなんか体がだるくてだるくて。。。」 「今からこの紙切れに書いてお渡ししますから」 そういって女は手帳の切れ端を筆者にくれたのであった。 「体がだるそうだから大事にして下さいよ!!」 女は疲れとだるさから座席の 窓際に倒れる形で体を寄せた。 筆者は座席のフックに掛けていたコートを とって横に倒れるようになっている 女の体にサッとかけてあげた。 時刻は0120であった。 つづく
2005年03月09日
バ レ ン タ イ ン の 女 夜のしじまを破って走る列車の カタカタという音だけが聞こえる あぁぁ~と小さな声を出して女は目が覚めた。 何時だろうか? 左手首の男用の時計が 0040を告げていた。 少しかみ殺したような小さなあくびををして 二度三度ゆるやかに首を左右に動かした。 「うぅぅ~疲れたぁ~」と言いながら 両腕を突き上げた。「うぅ~ん」 そうつぶやいてから座席にあった バック中からコーヒーガムを取り出し 銀紙を解き口の中に入れた。 眠気覚ましのためコーヒーガムの ブラックをいつも持っている。 旅行や友達と逢う時はこのガムを いつもバックに入れているのだった。 帰りのバック中にないのは、男にあげた バレンタインチョコレートだけである。 コーヒーの味だけが口に広がり唾液と 入り混じって喉の奥に流れ込んでいった。 今日は仕事だわ”頑張らないといけない。 そう思ってはいるが、先ほどから体が熱っぽく 喉の奥の方がカラカラするのを感じていた。 なんでだろう?体がとてもだるい” 女はうつろな目で窓外の闇に 点滅する灯りを見つめていた。 つづく
2005年03月08日
バ レ ン タ イ ン の 女 女は相当に疲れている模様である。 窓に右肩と右頬をよせたまま眠っている。 呼吸をしているのかしていないのか わからないほどの安らかな眠りだ。 愛する人へ贈ったチョコレートの メッセージが気になるところであるが 女は目を覚ましてくれない。 女から男への愛のメッセージカードが これからの二人の仲を大きく変えて いくかも知れない。 いや何も変わらないかも知れない。 女の愛のメッセージに対する感受性と 女を愛する素直な気持ちがどれほど この男の心の中にあるかということだ。 女が今付き合っている人はいるの? と聞いた時、男は今付き合っている 女性はいないとはっきり答えているのだ。 その時、女はとても嬉しかったに違いない。 列車のレールの音だけがカタカタと ゆれて耳朶に響いているだけである。 起きて窓の外を見ても単調な 冬の闇が流れていくだけだ。 眠るという行為を意識的にしなくても 自然と眠くなるのが夜行列車である。 男も仕事の帰りに女に逢ってから 1時間ほど通勤電車に乗って帰って行く。 同じ帰りの男と女の心中にはいかほど の愛の気持ちがあるのだろうか。 女の愛する気持ちは痛いほどわかるのだ。 だが男の女に対しての気持ちは今の ところよくわからないところがある。 そしてこの男の身の上についても 今のところよくわからない。・。・ いずれ筆者はこの男について詳しく 書かねばならないであろう。 2ヶ月のメールで簡単に愛が生まれるのか。 今はこの男の心のうちに女の愛が叶えられるか 叶えられないかが、かかっているのである。 夜行列車の座席に眠る女の心の中には 男へのたったひとつの愛だけが秘め事 のように眠っているだけであった。 つづく
2005年03月07日
バ レ ン タ イ ン の 女 女は眠っている。 コートをフックにかけ、バックとマフラーは 自分の前の座席に置いて列車に身をまかせて ぐっすり眠っているようだ。 大阪に来る時に描いていた男との出逢いが 少し期待はづれの形になりお疲れのようだ。 もっとはっきりと男の気持ちを聞きたかった。 いやそれは男の方からはっきりと女に 言ってほしかった!! そういう思いでいっぱいだったろう。 男から少なくとも愛の言葉ひとつ かけてくれたらこんなにも淋しく むなしい気持ちで帰ることはなかったと この女は思っているに違いない。 ただひとつの慰めは男が逢ってくれたこと 仕事なのに遅くまでバレンタインの夜を 一緒に過してくれたことについては 感謝しなければいけないであろう。 また来たときと同じように2時間も 列車にゆられて帰って行く女。 私はバレンタインの女になるといって バレッタをはずした女。 今夜は弾けちゃうと言って 「好きです」と男に告白した女。 いずれにしても女にとっては精一杯の 告白の一日であったことだろう。 今日は、仕事を休んできている。 明日という日は仕事だからしっかり 眠っておいた方が女のためである。 いや時刻は0010であるから すでに明日という日になっていた。 自宅に着くのはどうだろう? 0300前かも知れない。 女は相変わらず疲れたような 表情をして眠っている。 女の寝顔は疲れた表情はしていても 「眠れる森の美女」のようであった。 つづく
2005年03月06日
バ レ ン タ イ ン の 女 列車が到着した。 帰りの淋しさはひとしおなのである。 行きはよいよい、帰りはこわい” 寂しさと疲れとが混ざり合った感じである。 夜遅い電車だからお客も少なかった ひとりで座席にいるのが憂鬱になっていた。 時刻は2345分!!ゆっくりと列車は動きだした。 男を愛する幸せを思いながら一末の不安がよぎる。 言いにくいからまたメールするから これが男の返事であった。 カードメッセージを読んで男に 私の今の気持ちをわかってほしい” 女は列車の座席で今日の逢瀬を思った。 2時間かけてバレンタインの日に男に 逢いに行く女の心は男への一途な 愛という真心以外のなにものでもない。 この女の愛がこれからの人生に 変化をもたらすのであろうか? 今は誰もわからないことである。 筆者は、男にも女にも幸せな人生を 送ってほしいと願っているのだが。。。 しかし男と女の愛ほど変化に富むものはない!! 今日うまくいかなかったじれったい 男女の仲でも明日になればうまくいく。 そういうことだってあるだろう。 男と女の愛や恋いうのはいつも変化に まどわされるというのが定説であろうか ただ最近の日本男児は女々しく なってしまったのかも知れない 言いにくいからメールでという男の返事にも 少し女々しさが感じられるというものだ。 ただ急に「好きです」なんて言われると 男としてもつぎのリアクションがとれなかった。 これだけは、頭の中に入れておくべきか しかしまだカードに書かれた言葉によって ふたりの仲がどう変化するかも知れない。 どうなることか女はよい方向にいって あの男と一緒に暮らせることが 出来るなら私は幸せになれる。 そう思っているのであった。 女は列車の中で窓に顔をよせて闇の中の 流れゆく家の灯りをぼんやり眺めながら これからの人生を考えていた。 窓に映る女の横顔は疲れた表情をして 放心状態のようである。 ああこれで私のバレンタインデーは みんなすべて終わったわ 二人はただののメル友だけの 繋がりだけだったのか、これから もっと深い男女になっていけるのか それは、想像もつかないこれからの話である。 時の流れに身をまかせるほかはない。 若い男女ではないんだから!! 二人ともいい大人なんだ!! 男との出逢いには緊張感もあった。 精神的な疲れがきたのか首を窓側に傾け よりかかるようにして女は眠ってしまった。 つづく
2005年03月05日
バ レ ン タ イ ン の 女 男と別れて一人になると夜風がひとさら身にしみた。 女はまた化粧室に行き髪の毛を束ねバレッタでとめた。 きれいなパールのピアスが二つ小さく輝いていた。 バレッタをはずし黒髪をたらせば男は、女優の 鈴木京香さんに似ていると言ってくれた。 黒髪を束ねた私は誰に似ているのだろう。 チョコを渡す時七つの味がするから毎日一個 食べてねと言ったらできるだけそうするよ。 Bさんはそういったがほんとに毎日一個づつ 食べてくれるんだろうか。 チョコをいっぺんにむしゃむしゃ 食べてもらっては困るわよ。 いい年をしてそんなことを 考えている自分がおかしかった。 改札口を出て帰りの駅のホームに立つと なんとなく淋しくなってメールをいれた。 もちろん相手はBさんであった。 「今日は何かとご迷惑をおかけしました。 2345分の列車で帰ります。 ありがとうございました。<(_ _)> これからもよろしくね。」 時刻は2320分であった。 帰りの列車は、2345分出発である。 ホームのベンチでじっと待っていると 男のとの逢瀬が思い出されてなんとなく せつない思いと脱力感でいっぱいになった。 今宵のバレンタインデーは 絶対に私は忘れられないと思う 列車の出発時間がきたようだ。 女はまたJR大阪駅のホームに一人立った。 これから列車で帰るのだが心には淋し 風が舞っていた。 つづく
2005年03月04日
バ レ ン タ イ ン の 女 二人は大阪の街をゆっくりと歩いた。 夜の闇が二人をつつんで黒い影になった。 女の心はとても切なかった。 でも自分の思いをはっきりとBさんに 伝えたから、気が晴れたような心地である。 いいんですよこれで・・・ そういって自分を慰めつつ男と一緒に歩いた。 二ヶ月ぶりに逢ってまた好きになった。 それは二ヶ月のあいだ思い続けた 女の素直な気持ちであった。 愛も恋も今日ほど甘く切ない日はなかった。 心のなかで「今日はお仕事だったのに Bさん本当にありがとう!!」 そう思うと胸がキリキリと痛くなった。 「Aさん”本当に今日はありがとう!!」 「気をつけてなぁ~夜も遅いしね」 「ええ””こちらこそ今日は楽しかったです。」 「Bさんに逢えただけで私は幸せだったよ。」 「またメールしますからBさん」 「Aさんこれからもよろしく」 「Bさんここでいいですから」 「いいんですかここで?」 「大丈夫です。Bさんもお仕事頑張って下さいねぇ」 「じゃあAさん!!ここで失礼しますよ!」 「さようなら~」私は手をふった。 「Aさん!!元気でなあ~またなぁー」 男は最後の言葉を言いながら頭を 3回ほどさげながら、私に手をふった。 つづく)
2005年03月03日
バレンタインの女 「コーヒー二つお持ちしました!! よろしいでしょうか。。。」 「どうもありがとう!!」 「Bさんフレッシュはいれる?」 「あぁ~僕は砂糖だけでいいですよっ」 「ハイ!! 愛の砂糖がいっぱい(小さじ一杯)」 「Bさん!!聞いていい?」 「あぁ 聞いてくださいよなんでも」 女も男も正面をむいたまま小さな声だった。 「あのぅ 今交際している方いますよねぇ?」 男は正面を見たままだまっている。 一息ついてから「今はいないよ!!だれも」 その言葉は、かすかな声で女の耳にしみこんだ。 女はバックを開けてチョコレートを出した。 [Bさん!!はい”” 私からのプレゼントです」 右手にコーヒーカップを持っていた男は カップを置くなり「おおっこれはありがとう!!」 うれしそうな顔をして微笑みながらペコリと 頭をさげた。 ありがとうの声にははりがあった。 「これは七つ味のチョコレートなのよ」 できたら一日一個食べてほしいわ””」 「カードも入れているからよろしく”」 「ありがとう”出来たらそうするよ!!」 「ねぇBさん”私のことどう思う?」 [Aさんのことですか」 男は何もはっきりしたことを言わない。 はっきり言わないのはやっぱり私は圏外かも 男のあいまいな態度にいらいらしている女。 弾けちゃおうかぁ””きちんと告白した方がいいわ!! 告白した方が清清しい気持ちで帰ることができる。 中途半端だとお互い気持ちがだらけるわ. 一年一度の愛の攻勢ができるのは、今日だけよ。 「あのねっBさん私はBさんがいいと思って いるんだけれど・・・」 「私は、Bさんが好きなんですけど」 はっきりとBさんの耳元で女はささやいた。 コーヒーを飲んでいた男は横を向き女の顔を見つめた。 バレッタをはずした鈴木京香に似た女””Aさん!! 男からとまどいの眼差しを向けられると 女は目をあわすのに気おくれしてうつむいた。 「あのぅ 言いにくいのでメールするから」 「それで了解してほしいんだ!!わかってっAさん!!」 「はい! わかったわ” いいんです。・。・」 「逢っていただいただけで今日来たかいがありました。」 「Bさん今日はごめんなさいね。どうもすみません!!」 「ほんとご馳走になったりいろいろとご迷惑かけちゃった。」 時刻は、2230分を告げていた。 「さあ~時間がきたようだね”ほんと今日は、ありがとう!!」 「駅まで送るからそろそろ出ようか?」 「ハイ!!出ましょう コヒー代は私が」 「いいよっ僕が払うから!!」と言って男は先に レジに向かった。 外に出るとまた冬の寒さが身にしみた。 つづく
2005年03月02日
バ レ ン タ イ ン の 女 ディナーも終わってコーヒーを飲みに行くことになった。 今夜の特別ディナー代の6000円は男が払ってくれた。 本当に申し訳ないと女は思っている。 無理を言って逢ってもらってすぐに帰ればいいものを 女も払いますからと言ったが、男はいいですよ”と言った。 Bさんにすいません””と言って甘えることにした。 女にとってはバレンタインの日のBさんへの ひとつの負い目となってしまった。 「今日ははいいよ!!心配しないで。。遠いところ 来てくれたんだからこれぐらいのご馳走は僕がします。」 「何をおっしゃいますか。・大丈夫ですよAさん!!」 Bさんはそう言って女の差し出す手をさえぎった。 女は2300頃に帰る予定だからあと2時間である。 最初は2100頃に帰る予定だったのに バレンタインの女になって弾けちゃうなんて女が言う もんだからとうとう4時間の逢瀬になってしまった。 外に出てせかせかとした大阪の混雑な人ごみの中に わが身を置くと女の心は落ち着かなかった。 二人で一緒に歩いているとやはり私はBさんが 好きだという思いがあふれ幸せな気持ちになった。 Bさんはどんな思いで歩いているのだろう? 逢いたかったのよぅ。。そう思うとBさんの 胸に少し顔を寄せたくなってしまった。 ちょっぴり弾けちゃうんだよ。 今日だけのバレンタインの女だから逢瀬を楽しむの 女は男のたくましい左腕にそっと右手を差し入れた。 腕と腕とがひっぱられ二人の命がつながった気がした。 男と女は大阪の夜の街で歩調がひとつになった。 人生もこの人と一緒に歩調をあわせて歩めたら 幸せなんだけどと女は思っていた。 「Bさん私は2300までBさんといて2330分 発のJRで帰りますからあと約2時間、よろしくね」 「ああ~遅くなったけどかまわんのだね~」 「ここのCAFEに入ろうか? いいだろう””」 「はい!!ここにしましょうか。・。・」 その店はJR大阪駅に近いコヒー専門の店だった。 [BさんBさん!!こちらの席にしましょう。」 Bさんと向かい合って座るより横の方が私は好きなの」 「向かいあうと話せないからこちらへ座って!!」 「あぁどこでもいいよ””僕は。・。・」 男は右に座り女は左に座った。 窓際だから通行人の往来の見える場所であった。 窓際といってもカウンターだから前後50センチ ほどの幅の長いテーブルの上に飲み物を置くのである。 肘をついても充分なスペースがあった。 周囲はみな若いカップルで埋まっている。 どうも中年の男女は少ないようだ。 軽い音楽が流れていて心なし、気持ちが和らいだ。 時計をみると時刻は2110を指している。 「私の人生が変わるかも知れないなんて 思って大阪まで来たんだからね」 「バレンタインの女になって弾けちゃうから Bさん覚悟はいいですかぁ~」 これは女の独り言だから男には聞こえない”” 「お待たせしました””ご注文決まりましたか?」 「ハイ”ホット二つ下さいますか。」 「Aさんケーキなんかはどうなんか?」 「いえっ”もうとても。コーヒーだけで十分!!」 「コーヒーだけでいいですね。かしこまりました。」 店員は水の入ったコップを「どうぞ”」と言って カウンターに置いた。 (つづく)
2005年03月01日
バ レ ン タ イ ン の 女 ヘアースタイルを急に変えて化粧室から 出て来たものだから周囲の視線が女に集まった。 特別ディナーを楽しんでいたお客さんの顔が 心なしか「あの女性””ヘアースタイルを 変えてイメチェンしたわ””」というような 眼差しで見られているように感じた。 あまり私を注視ないで下さいよぅ””” 女は心の中でそう言いたかった。 店内のうす灯りの下で胸のペンダントが 男の前できらきらと悩ましく光っている。 身も心もバレンタインの女になろうとして バレッタをはずした女の顔が窓から見える 夜景と重なってゆれている。 男は化粧室から帰って席につく女の髪型をみて アレッという驚いた表情をしながら聞いた。 びっくりするのも無理はない 「どうしたんなぁ~髪型を変えたから イメージが変わってしまって・・・」 「どう!この髪型は似合ってる?」 「そうだなぁ~鈴木京香に似てる感じだわ!!」 「えっ女優の京香さんに似てるって」 「ああ血と骨に出ていた美人女優””。 たしか日本アカデミー賞の主演女優賞 を獲得した女優さん!!」 「髪をおろすとそんな感じでまた素敵になったね!!」 [Bさんは前の髪型と今の髪型とどちらが好き?」 「どちらが好きかって””Aさんはどちらも ほんとよく似合う女性だから、どっちらもいいよ””」 バレンタインの女になるのもむづかしいの”” だって女性としての優しさや気配り! そして気品を落としてしまっちゃだめだから 言葉遣いも大事だし、タイミングとかいろいろと 自分の意思を伝えるというのは大変なのよ!! まず髪型を変えてイメージチェンジしたのが 第一段階というわけね!! 今夜のディナーもいよいよおわった。 お茶を飲んでいる女と男は次に何処へ 行こうかと二人とも思案顔であった。 「ねぇ””Bさんは何時までならいいの?」 「今2050だけどまだいいんですよね。 よかったら喫茶店でコーヒーでもどう?」 「アッもうそんな時間!!」 「Aさん!!帰る時間じゃないんかぁ。。・・」 「いやいいんですよ。まだっ””」 「JRだから2300まで大丈夫です。」 そう女がいうと「よっしゃ行こうか!! Aさんの帰る時間もあるから、 コーヒーが最後になるねぇ~」 「Aさん””ほんと大丈夫なんかぁ!!」 「僕はいいけど帰り遅くなるなぁ~」 男はそう言い放った。 つづく
2005年02月28日
バ レ ン タ イ ン の 女 女は化粧室で気持ちを整理した。 Bさんへの思いがつのって大阪まで来た女だが その思いに特別なことが何も起こらないもどかしさ。 チョコレートもまだ渡さずにバックの中にある。 二度目の出逢いの男女にはメールでかわした ような心地よい会話のキャッチボールがなかった。 男は真面目なタイプで企業戦士みたいな人”” メールでは愉快な会話だった。 お互いに独り者だからメールの会話が淋しさを まぎらわせる手段であったかもしれない。 淋しさをメールでまぎらわせる男と女。 Bさんの方も女性に積極的でない寡黙な男。 私もあまり自分の意思をはっきりあらわせない女。 その辺に話が弾まない理由があるのかも。 それともBさんが私に興味がないのかも。 私は、恋人未満の片恋の女だわ”” そんなことを考えると女は少し悲しくなった。 涙が目を潤し鏡が気のせいか曇ったように見えた。 短い逢瀬の時間がより女をせつなくさせていた。 この女の容姿は若々しくて服装センスもとてもよい。 おしゃれな感覚がより女を美しく見せている。 赤いセーターの胸元にシルバーの小さなペンダント がきらきらと女の心のようにゆれている。 女の黒髪はうしろで束ねられバレッタできちっと とめられて女としての色香をかもしだしている。 鏡の前で女の指がうしろの束ねた黒髪に動いた。 細い手でバレッタをはずすとサラッとした 黒髪がさがり女のきれいなふたつのピアスを隠した。 今夜はバレンタインの女になってやるわ””” そう思うと心のうちで何かが弾けるような気がした。 私はバレンタインの女なの”” 今夜は、バレンタインの女になってやる。。。 そう思いながら女は化粧室を出た。 時刻は2040分になっていた。 (つづく)
2005年02月27日
バ レ ン タ イ ン の 女 女は過去のことを思い出だしている。 Bさんをいい人だと思ったのは2ヶ月前だった。 逢った瞬間に素敵な男性だわ!! そう思ったのは外見から感じる女の性かも知れない。 じっとBさんの姿を私の目と心が追い求めた。 うる覚えながら何年か前に歌手の松田聖子さんが 歯科医師と結婚して会見した際、””ビビッと体が 感じた男の人だった””と言ったような気がする。 そのときの結婚をビビッと結婚と言われた。 確かそういって女性週刊誌をにぎわしたような 記憶が私にはある。 ビビッと感じたのがBさんでした。 私もそういう感じだったといいたいの どこにビビッときたのと聞かれてもここです なんていえないくらいだった。 胸の奥でカランカランと鐘がなったの。 Bさんを見た瞬間に稲妻が走ったみたいだった。 Bさんにはじめて逢ったのは去年の 二月はじめ、女友達の紹介だった。・・ アリスが歌った「冬の稲妻」? ひとことで言えば私の好みのタイプだったのよ!! 思ったのよねぇ~その時にひょっとしたら 神様が私とBさんをめぐりあわせたのかも? ひとりよがりの勝手な思いかも知れなかったのに。・ 私と目があってBさんがニコッと微笑んだ時に この人と私は結婚するんじぁないか。。。 そんな運命的な出逢いであってほしい。 女の性がそういう思いにさせたの。 山口百恵が歌った「いい日旅立ち」の一節~ 「ああ~」 「日本のどこかで私を待ってる人がいる~」 私を待っていてくれた人かも知れない!! ちょうどその頃はいい人がいたら結婚したい なんて思っていた頃だったからよけいに 離婚して10年目になるくぎりの年だったから 心の中で男を探していた私だったの。 離婚の痛手も癒されやっと仕事にも 慣れて充実した時期だった。 少ない給料でもマンションを購入して 私生活も自由の身でそれなりに楽しかった。 でも何かが充たされなかった。・ 本当の意味の心の充実が欲しかった。 私は淋しかった。とても淋しかったのです。 園児達とともに過すことは楽しくて 仕事の上では何も言うことはなかった。 でもひとたび自宅のマンションに 帰ると誰とも話すことはなかった。 ベットに入って一人眠る前にいつも思った。 ああ~私は自宅に帰ってきてから今日も 誰とも話をしなかったわ”” でも今はこんな一人暮らしでも、いつかは いい人に出逢って二人で暮らしたい。 信頼できる素敵な人と結婚して 人生をやり直したいと思った。 今の淋しい生活から脱却して愛する人と 有意義な人生を送らねば・・・ 眠る前にそう思うようになっていた時に Bさんが私の前に現れたのだった。 つづく
2005年02月26日
バ レ ン タ イ ン の 女 食事をしながら好きな男と一緒に過すのは楽しい。 だが思うように自分の思いが伝わらない 二人の会話に重い空気がただよい 陰鬱な気がして女はうつむいた。 「Aさんどうかしたの?」 「いいえ別に。。ちょっと帰る時間が気になって。」 「まだ大丈夫なんでしょう?」男は心配顔で聞いた。 「ええ~まだまだ大丈夫です」 メールのやりとりほど話は弾まないのはなぜか 心はときめいていても言葉として発散できない。 女はやはりチョコだけ渡して帰ればいいか なんとなくそう思うようになっていた。 [土・日はどんなにして過しているん?Aさん!!」 男はやんわりと聞いてきた。 「そうねぇ一人暮らしだし、女友達を誘って ショッピングや食事をしたり。。。」 「家でいてる時はTVをみたり音楽を聞いたり ボーと過すことが多いわね。どちらかというと お宅っぽい女なんですよ””」 食事はまだおわらない。・。・ 八品もある特別ディナーだから 食べきれないほどのボリュームである。 だいぶお腹がふくらんできて体が重たく なったような気がしてしょうがなかった。 「Bさんは、なにして過してるの?」 「ああ~僕かいなぁ・・・そうねぇ・・・」 「僕は、散歩とか出歩くのは好きなんだけど 案外行動範囲はせまくて近場が多いんです。」 「映画をみたり本を読んだり音楽を聞いたり”” どちらかというと一人で過すことが多いわ!!」 「仕事が毎日PCなもんでね」 「無機質な機械との対話だから やっぱり足が向くのは自然とやすらぎの あるものにいきますね。”” 音楽だってフォークとかニューミュージックとか、 歌のないギター演奏とかそんなんばかり””」 男はとても落ち着いた口調である。 女のように動揺したところはひとつもない。 あっさりとして淡々としゃべるタイプみたいだ。 時間は2100頃までと思っていたがせっかく の機会だから2130頃までならいいだろう。 女はそう思うようになっていた。 短い逢瀬である。時刻は丁度今2000となった。 女は切ない思いを伝えるべきだと思うように なり、気持ちを整理するため男に断ってから 化粧室に向かった。 Bさんに逢うのも今夜が最初で最後かも知れない!! 女が愛を告白するのはたった一度限りだわ”” あとは、Bさんの決断にかかっているだけよ。 吉とでるか凶とでるか、どちらでもいいや 女がいくらときめいても男がときめいて くれなくちゃどうしょうもないわ!! 男と女には片思いっていうのがあるんだから バレンタインの日にお互いが両思いなんて そんなんないんじゃないだろうか 私は片恋の女かも知れないね。 男が逢ってくれただけでも幸せな 女なのかも。・。・そう幸せなんだ!! そう思うと元気がでてくるような気がした。 だったら今夜という日を存分に楽しもうか 時間がくるまで楽しまないと損なのよねぇー。 ロマンチックな夜は、今夜でジ・エンドかも。。 自分の思いを素直にぶつけてみようか 今夜は好きな男の胸に私の直球をおもいきり 力いっぱい投げてやるかぁ~ うっ 全力投球の女の球を受けてみな!!うっ 今夜は弾けちゃおうかなぁ~ 弾けちゃおう~ 女は鏡を見ながらそう思った。 つづく
2005年02月25日
バ レ ン タ イ ン の 女 この女はいつ男にチョコレートを渡すのだろうか? 女はそのことを考えているのだが。。。 「ハィ!!チョコレート」なんて 簡単に渡せないもどかしさがあった。 心がうちとけ最高潮に盛り上がった時に 男にさしあげるのが一番望ましいはずだ。 グレードの高い高級チョコレートである。 義理チョコのように誰彼なくばらまくような 安っぽいチョコならわざわざ大阪まで来る 必要なんてないんだと女は思っている。 ここでホワイトデーについて書かねばならない。 なぜなら女がそれを知りたいと言っているからだ。 2時間も電車にのって好きだと思う男に逢いに くるのは並大抵の心境ではない。。。 それを思う時この女の希望することには つとめて応えてやらねばならない。 さてホワイトデーだがカレンダーにはふたつの 種類がある。それは、ホワイトデーと書かれて いるカレンダーと書かれていないカレンダーである。 ということは、バレンタインデーと違っていまだ 認知されていない・定着していないということだ。 ホワイトデーも日本だけのイベントである。 これを仕掛けたのは博多の老舗「石村萬盛堂」です。 この店の代表的なお菓子はマシュマロの 「鶴の子」というお菓子である。 この店がバレンタインデーの一ヶ月あとに 「マシュマロでお返しをしましょう」 というキャンペーンを行った。 それにお菓子業界が便乗して、「ホワイトデー」 と名うってキャンディーなどを贈る習慣が加わった。 これがホワイトデーのはじまりだと言われている。 このくらいでこの女は了解してくれるだろうか? 「教えてくれてありがとう!!助かります"」 女はそういってくれた。 時計を見ると1940分である。 [ホワイトデーのこと少しはわかった?」 「バレンタインデーにチョコをもらった人への ただ単なるお返しなんだなぁ~!!」 「それ以上のなんでもないねぇ。」 それは様にならない歴史的違いであった。 3世紀ローマ時代のキリスト教司祭・ バレンタインにつながるバレンタインの日と マシュマロのお返しキャンペーンから はじまったホワイトデーの由来には 歴然とした格の違いがあった。 バレンタインの日は男に対して受身ではなく 女が能動的かつ積極的に行動できる日であり、 男の気持ちを確認できる唯一の日である。 チョコレートを贈ることにそえて女の愛を 誰に臆することなく告白できる日であった。 バレンタインの日に逢ってほしいと言うことは その男が女にとって大切な人であるという 女の意思表示であった。 だが、その男と1対1で面と顔をあわせると 勇気が減退して、愛の告白など出来なかった。 ただチョコを渡して男に好きだとも言わずに 今夜の列車に乗って帰るだけの女なのか!! この心情をこの男はどう感じているのだろう? チョコさえ渡せばそれだけでお役は終了!! ロマンチックな二人の夜が静かに流れていく。・。・ 男の前で女の心は揺れ動いていた。 (つづく)
2005年02月24日
バレンタインの女 バレンタインの日は女のためにあるんですよ””。 そう言おうとしたが口に出しては言えなかった。 よくよく考えてみると女性から男性に 贈り物などをするのは日本だけらしい。 欧米などでは男性からカードを送るのが主流だ! 世界的な見地からいえばこの男のいうことも まんざらでもないわ””女はそう思った。 でもどちらが幸せを感じるんだろうか? 2時間も列車にゆられ男に逢いチョコを渡す女と 逢ってほしいと言われてチョコをもらう男と。 男には女の愛する気持ちなどわかるのかしら? 女には妙な気持ちがよぎっていた。 [あのねっBさん!バレンタインの由来知ってる?」 そう聞いてみると男は言った。 「全然知らないわ!Aさん知ってるの!!」 「それからホワイトデーというのも。。 あれもわからんねぇ~なんにもわからんなぁー」 「じゃ~教えるわね”」「バレンタインの日に チョコを贈るようになったのは。・。・。」 女は少し得意顔になり、いろいろと由来など ついて優しい気持ちで男に話をした。 事前に聞いていたことがとても役にたったようだ。 「そうなんですか!チョコを渡すのは昭和50年 頃に定着したんだって知らなかったなぁー”」 「バレンタインの日は古くからあったんだね」 女は、バレンタインチョコをいつ渡そうか” 気にかけていたがなかなかタイミングがつかめず、 料理を食べながら話をするだけであった。 「Aさん! ホワイトデーはいつだっけ」 チョコも渡してないのに男は急に思いついた ような声をあげて聞いてきた。 男なのにホワイトデーのことよく知らないんだ!! そう思ってもみたがよく考えれば私だって。。。 女も教えてもらうまでは、バレンタインの 日の由来など何も知らなかったのである。 男もホワイトデーについては何も知らない。 そんなもんなんだ!! 女も男も・・・ 由来など知らなくてもどうでもいいんだ。 「ホワイトデーは確か一ヶ月後の3月14日よ!!」 「でも由来はよくわからないわ”」 ** ちょっと待ってぇー ** 管理人の文楽さんに聞いてみるわ!! 「なんだってぇ。。管理人の文楽さんだって。。」 ちょっとまってよねぇー知りたいんでしょ ホワイトデーの由来について。・。・ ホワイトデーについては次にまた書くからって 文楽さんが約束してくれたのよぅ。 つづく)
2005年02月23日
バ レ ン タ イ ン の 女 この女とかこの男とかの言い方も会話に なるとどうにもさえない感じがする。 だから時には女をA、男をBとして書く。 「いらっしゃいませ”おふたり様ですねっ」 その店はホテルの21階にあった。 店の入り口に「バレンタインデー特別ディナー」 のメニュー看板があった。 「この店でいいかなぁ!!」「おいしそうですね”」 そういうことで和食の店に決めたのだった。 ほんのりとした灯りがふたりをより親しくさせた。 窓際の席に座ると大阪の夜の街が展望できて ふたりはロマンチックな気分にひたっていた。 白いテーブルクロスの上には一輪の造花が 飾られてバレンタインの日を演出している。 「これって梅の花ですねっ」 「香りはせんけどもきれいやねぇ~」 「特別ディナー二つお願いします。」 「それからビール一本!!」 「ハイかしこまりました。特別ディナーおふたつ” ビール一本” 少々お待ち下さいませぇ~」 日本的な香りのするたたずまいが 落ち着いた雰囲気をかもしだしている。 軽音楽のメロディーがなんとなく心地よい。 「Bさん!!今日はお仕事で疲れてるよね」 「いやね~休みだったらよかったんだが なかなか思うようにならなくてねぇー」 「大阪は何ヶ月ぶりなんですか?」 「去年3月に来たことがあるんです。」 「そうなんですか!! 1年ぶりなんだね」 「けどスーツ姿のBさんも素敵ですよ 2ヶ月前のイメージと大違いだわ”」 「アハハッそうですか。。どんなに違う?」 「ええ”今日は企業戦士みたいでたくましいわ”」 「企業戦士かぁ~いい仕事してるからなぁ~」 「どうもお待たせいたしました”どうぞごゆっくり”」 「さあ箸をつけて。。食べましょうか”」 「うわぁ~おいしそう!! 豪華できれい!!」 「う~んおいしい!!」「うまいよな!」 「この料理は最高ですね」「そうだね”」 男はネクタイの結び目をゆるめてから。。。 「Aさんビールはどう?」と聞いた。 「いえっお気持ちだけいただくわ” 飲むとすぐ顔にでて真っ赤になるし、 もともとお酒は飲めなくて。。。」 「悪いけどいただきます。」といったので 女はすぐさま「お注ぎしますから。。」 といって男のもつコップにビールを注いだ。 「うまくいかなくてごめんなさい」 「いいよいいよ” ありがとう!!」 そういうと男はうまそうにビールを飲んだ。 「今日はバレンタインでしょ!! Bさんはたくさんチョコもらったんでしょうね?」 「チョコの数かいなぁ~ エヘヘッ そんなんは 義理チョコばかりでねぇ~ 会社の女子社員がみんなに均等に配るチョコ 友情のこれからもよろしくという友チョコや 頑張っての激励チョコなら少しもらったわ”」 そういって男はケラケラとひとり笑っている。 「ごめんなさいね!! いらんことを聞きました?」 「いやいや別になんでも。。。」 そういってからビールをコップに注ぎながら 「バレンタインの日というのはチョコを 贈る女性のためにあるのか、チョコをもらう 男性のためにあるのか?どちらなんだろうなっ”?」 男はそういいながらまたビールを飲んだ。 (つづく)
2005年02月22日
バ レ ン タ イ ン の 女 あと15分で1900である。 さあ~あの人に逢うために待ち合わせの 場所に行かないと。。。 喫茶店のレジでコーヒー代を払うと 女はまたキリッとした表情になり外に出た。 「おぅー寒ぅ~」女は小さな声でつぶやいた。 冷たい風の中にいると身震いがした。 約束の場所はJR大阪駅から近い有名な ホテルのロビーであった。 そのホテルのロビーに着くと休憩用の 座席は全部埋まっていてすわれなかった。 しかたなく女はロビーの壁を背にして 立ったままじっと男を待つことにした。 もうあの人がくる頃だわ”そう思って いるとメールの着信があった。 「すいません!!15分くらい遅れる かと思います。よろしく。<(_ _)>」 男からのメールであった。 しばらく待っていると紺のスーツに 左腕にコートをかけ右手に黒いカバンを提げて こちらにゆっくりと歩いて来る男を見つけた。 2ヶ月前にはじめて逢ったときよりも、 いっそう男らしい姿だと思った。 女は少し微笑んで会釈をした。。 「いやあ~待たせてすいませんねぇー!!」 「しばらくです。。。遠いところどうも。。。」 男はそう言ってペコリと頭をさげた。 「いえっ 今日は本当にご無理をきいて 頂いてすいません!!お仕事だったのに。。。」 お互いに言葉をかわすと女はすっかり気が 楽になって疲れが吹っ飛んだような気がした。 「疲れたでしょう!!食事でもしながら話を しましょうか!! 「今日は21時ごろまでなら大丈夫ですか?」 「ハイッ!!遅くともその頃には帰らないと。。。」 「何がいいかなあ~和食か洋食か?」 「和食がいいですねぇ~和食にしましょ!!」 女がそういうと男は小さくうなずいた。 (つづく)
2005年02月21日
バ レ ン タ イ ン の 女 外は冷たい風が吹いているようだ。。。 喫茶店での待ち時間も退屈だし この女も少し疲れていることだろう。 女の選んだチヨコはどんなんだろうか。 2000円の和風チョコだという。 このチョコは「和風七つの味」という 七つのチョコのボトルに日本酒・梅酒・ぶどう酒・ ブランデーなどのお酒が入った大人のチョコである。 まあウイスキーボンボンより少し大き目の和風の チョコレートといえるだろう。 チョコをなめるとお酒の香りがして。。。 しばらくするとチョコが溶けていき、お酒の味が ジュワッーと舌にひろがっていくのだ!! その味に女の愛を感じるっていうわけ? 一日一個を食べて1週間にわたり愛が伝わるのだ?? 男が毎日一個づつ食べてくれるかどうかは わからないけれど・・・ チョコが嫌いかも知れないし? 聞いたことがあるのだがチョコアレルギー なんていう人もいるようなんです。 でも女にとっては結果はどうであれ甘くせつない のがバレンタインデーのプレゼントなんです。 チョコは少し大き目だから一日一個で十分です。 アルコールが入っているからチョコの酔い心地で ああ~美味しいバレンタインチョコだなあ~ こんなチョコレートはじめてだよ!! **さん素敵な美味しいチョコをありがとうー☆ なんて言ってもらえるチョコかも知れないなんて。・ このチョコレートを筆者文楽も食べてみたいよ。 だって七つの味が楽しめて美味しそうだからねぇ。 いやいや、これはこれはこれは話が脱線した。 いらぬことを書いて申し訳ない!! これは単なる余談ですからねぇ さてさて、本題にもどさねばならない。 この女の知りたいことついて これから書かねばならないのである。 バレンティノが死ぬ前に。。。 「あなたのバレンティノより」 という手紙を残した。 これにちなんで2月14日に 恋文を出すことが盛んになった。 欧米ではバレンタインカードを 送るのが盛んになったのです。 男性から女性にカードなどを贈るのが 世界的・共通的なバレンタインの日なんです。 だから日本のように女性から男性に贈り物 をするのは世界的にみると逆のことなんです。 さらにチョコレートを贈るのも日本が 生み出した独自の習慣です。 日本でバレンタインデーの広告を最初に 出したのはいつ頃だっただろうか。・。・ これは、昭和11年にモロドフが出しました。 モロゾフというとモロゾフチョコレート? モロゾフというとたしか神戸にあったような 気がしますが間違っているかなっ。 そして昭和30年代に入ると恋人に贈り物を する日としてデパートがいろいろ宣伝しました が定着しなかったのです。 ところが昭和33年になり、メリーチョコレート が新宿伊勢丹で「バレンタインデーにチョコ レートを贈ろう」というキャンペーンを行った。 バレンタインの日にチョコレートを贈ることを はっきりと打ち出したのはメリーチョコレート が最初だったのです。 だが最初の年は単なる話題になっただけで チョコレートはほとんど売れなかったらしい。 しかしこれを最初としてバレンタイン広告が 毎年でるようになったのです。 そして昭和50年からバレンタインの日に チョコを贈ることが定着したのであった。 女性がチョコレートなどの贈り物に添えて 愛を告白する日となったのは? 本命や義理チョコが話題になったのは? このへんについてはいつの頃からなのか 知らないのでゴメンナサイ。 最初は恋人にチョコレートを贈ろうだったんだ!! でもその恋人がいつしか男性になり、女性から 贈り物(チョコ)を贈るようになった? チョコをもっと男性に食べてもらいたい!! そういうのがあったのかも知れないね。 まあとにかく昭和33年にスタートしたんです。 すでに約半世紀もたっているんです。 今ではチョコも多種多様ですねぇ~ 手作りや時季ものの有名ブランド・ ショコラティエといわれる職人のチョコまで。。 この時季にはどっと店にあふれます。 あまり聞いたことのないメーカーまでが チョコを売り出すんですからね。 でもあたりはずれもあるようです” チョコレートの売れ残りがありました。 半額の売値がついている!! 今日は文楽コレを買いました。アハッ V・S・O・Pブランデーのボンボンです。 値段は半額で300円でした。 ボトル型のチョコが12個入っていました。 チョコとウイスキーがミックスされて 美味しかったです。 いや~つまらぬことを書いてしまったが、 このくらいでいいでしょうかねぇー ホワイトデーについてはまたつぎに。。。 「ほんとよくわかりました”」 「ありがとうございました”。<(_ _)>」 女は了解をしてくれた。 そして、しばらくしてからまた席をたった。 急にどこへ行くのだろう。・。・ それは2度目の化粧室であった。 最後の化粧を整えている美しい 女がひとり鏡の前にいた。 つづく
2005年02月20日
バ レ ン タ イ ン の 女 喫茶店で女はゆっくりと休憩している。 バレインタインの日にチョコを男性に 贈るようになったのはいつ頃なんだろうか。。。 女は今、そのことについて知りたい思っている。 だったらこの女の知りたいことについて 少し書かなければならないであろう。 カレンダーを見ると「聖バレンタインデー」 と書かれている。 バレンタインデーの2月14日は、女性から 好きな男性に愛を告白するという甘く切ない 日なのである。 由来は、古代ローマの3世紀にさかのぼる。 古代ローマ皇帝クラウディウス2世の時、 強兵策のひとつとして若い兵士の結婚を禁じた。 結婚すれば戦士として戦う力が弱くなるとでも 考えたことなんだろう!! 結婚を禁じたことに反発したキリスト教司祭 バレンティノは、多くの兵士を結婚させたが、 皇帝の怒りをかって殺されてしまった。。。 バレンティノは愛の守護聖人となり、殉教した 日が聖バレンティノの日として愛の記念日と なった。そういわれているようです。 古代ローマ3世紀の話だから古い歴史があります。 司祭バレンティノが殉教した日、これが。・。・ バレンタインデーの由来ということです。 このことはよく知っておかねばならないだろうね。 特に女性の方はインプットしとかないとダメだよ。。 この日記のタイトルは、「バレンタインの女」 筆者文楽もよく知っておく必要がある!(笑) ところでこの女の人は、わかってくれたかなっ。 まだ知りたいことがあるようだ”” 「なぜチョコレートを渡すようになったの?」 わかりましたでございます。 このことが一番知りたいことなんですねっ。 由来はわかったがしかし。。・・。。 なぜチョコレートを贈ることになったのか? ではそのことについて書いてみましょう。・。・ ところで男に逢う時間は大丈夫ですかな? ああ~まだ30分もあるんだね。 エッッ! なんだいー なんだいー!! 逢う時間の調整なんてどうにでもなるって・・?? アッハァ~ 筆者文楽まかせかぁ~~ククッ (笑) どうにでもなるんだよ!! ククッ (●^o^●) (つづく)
2005年02月19日
バ レ ン タ イ ン の 女 時計をみるとまだ40分もある。 まだ夕食はすんでいない。。。 あの人と食事をしながら楽しく語りたい。 そう思ったらグゥーとお腹がなった。 私はどうかしてるわ”そう思った あの人にあったら何を話そうか・・・ でもきっと話せないでしょう。。。 面と向かうと何も言えないわ。 メールなら結構すき放題なことが言えるのに。。。 まあいいかっ!! 食事をしてチョコレートを 渡すだけ、それだけでいいんだわ” 私が選んだチョコを食べてくれるだけでいい。 箱の中に入れているバレンタインカードを 読んでくれるだけ、それだけでいいのよ” 何を書いたのか聞かれても 誰にも絶対言わない!! 好きな男への愛の告白なんだから。・。・ ほっといてよう~ そんなことを考えていたらいても たってもおられなくなってきた。 でも男の人にチョコを贈るなんてはじめて。。 いい年をして自分本位な出逢いを求めるなんて 私もわがままな女よね” なんでしょうねぇ~こんな思い。。 離婚して10年間一度もなかった 男に対する女の気持ちだった。 つづく
2005年02月18日
バ レ ン タ イ ン の 女 「今大阪に着きました。(*^^)v 喫茶店で少し休んでから予定どおり待ち合わせ 場所に行きますからね。ゆっくり来てください。」 メールをすると少し余裕が生まれた。 女はバックをあけてリボンで結ばれた 小さな箱を手にとり結び目を確かめた。 何を隠そうバレンタインチョコレートである。 今日14日に逢う男にあげる思いをこめた 愛のチョコレートあった。 2日前にデパートのバレイタインギフトコーナー でみつけた高級和風チョコで2000円 もした数少ないお気に入りの品であった。 エンジ色の包装紙に金色のリボン!! それは、優しい愛に包まれていた。 いつ男に渡せばいいだろうか・・・? ホットコーヒーを飲みながら女は つまらない思案にふけっていた。 遅くとも2100には大阪発の電車に 乗って帰らなければならない。・。・ 約2時間の短い逢瀬であった。 今日逢うことについては女の方から メールしてお願いしたいきさつがあった。 無理な出逢いかも知れないなどと一度は 逢うことを躊躇したがだめだった。 今日逢うことに意味があったのだ。 逢いたい気持ちが強くなりどうしょうも ないほど恋しい気持ちになっていた。 人に嘘はつけても自分の気持ちに 嘘をつくことは女にはできなかった。 結果については男が決めることだから それだけはどうしょうもない。・。・。 前にも言ったが女には最初の印象で 好きか嫌いか決まるらしいのだ。 逢った時にピーンと胸騒ぎがするらしい。・。 簡単に言えば人目ぼれというのだろう。・ 違うのはただの人目ぼれではおわらない。 思いつのれば何もいらないから、あなたと 一緒に暮らしたいなんていう心境になるという。。 想像だが、この女もきっとそんな気持ちに なっているのではないのだろうか? もうひとつ言っておかねばならないことがある。 女はバツイチでありひとりマンションで暮らし ている。仕事は保育士(保母)だという。 離婚して早や10年になるが子供はいない。 相手の男についても少しだけ書いてみよう。 デジタル関係の会社に勤め、総務の仕事に 従事しているらしい。 ほとんどデスクワークのようだ。 第一印象で好感をもたれる男だといえる。 年齢は30代後半だが結婚歴はない。 電車で梅田に通勤しているようだ。 男から返信メールがあった。。 「わかりました。 1900に行きますのでよろしく!!」 ただそれだけの返信メールであった。 2ヶ月前に女友達に紹介されて逢って以来 男には一度も逢っていない。 2度目の出逢いがバレンタインの日であった。 だんだんと逢う時間がせまってきている。 女は気持ちが高ぶってくるのを抑えるため 化粧室に行き鏡に映る自分の顔をじっくり とみつめた。 (つづく)
2005年02月17日
バ レ ン タ イ ン の 女 窓から見る景色が変化していよいよ 大阪の街が近づきつつあった。 女はこれからの行動について想像しながら 心に秘めたわが思いを表情にしのばせた。 バックの中からコンパクトな手鏡を取り出して うすい口紅を小指で左右に一度だけ引いた。 また少し景色が変わり大きなビル群が流れていく。 陽は落ちてすっかり夜の気配になった。 列車は大阪の街に入り窓外のネオンが ひときわにぎゃかになっていた。 女は降りる準備をした。 座席のコートを着てマフラーを首にまとった。 速度が極端に遅くなって列車が大阪に 着いたことを知ると女は少し緊張した。 大阪駅に降り立つときりっとした表情 で改札口を通りぬけ横断歩道を渡った。 冷たい風が頬をなでるとコートのエリを つかみ肩を上下にゆらせ首をすくめた。 大阪に着いてからは、混雑な人の流れに 圧倒され妙に落ち着かなかった 時計を見ると1720である。。。 男に逢う時間は1900であるから CAFEで休憩することにした。 少し歩くといい雰囲気の店があり そこで時間をつぶすことに決めた。 コーヒーを注文し女は男にメールした。 (つづく)
2005年02月16日
バ レ ン タ イ ン の 女 (2回) どのくらい眠ったことだろう。。。 女は目を覚まし腕時計をみた。 約30分もの間。。。 心地よく眠っていたのだった。 あと1時間少し列車に乗らなければならない。 そう思うと女はバックから取り出したコーヒー ガムを口に入れ、その味を唾液とともにかみしめた。 今日の出会いがひょっとして私の新しい 人生をになるかも知れない。。。 あの人が今の私にとって一番大切な人なんだ!! 思いをめぐらせると自然とほほの筋肉が ゆるんでいくのを女は感じていた。 2ヶ月前に女友達に紹介され男に会った時に 感じた印象がおぼろげながらよみがえってきた。 「女には第一印象というのが確かにあるわ!!」 女友達はそういうことをよく言っていた。 会った時その男にそれを感じたのだった。 それからメールのやりとりがはじまった。 何回ものやりとりの中で男の性格も人柄も 1ヶ月たった頃にようやくわかることが出来た。 メールの送信と受信する時に女はいつも男への 愛を感じてしまうようになっていたのだった。 着信音が聞こえないようにして男のメール を待っているひとりの女になっていた。 女は列車の振動を感じながらメールの送受信歴 を確かめるとまた瞼をとじて今日の出会いに 思いをはせていた。 (つづく)
2005年02月15日
★ バ レ ン タ イ ン の 女 ★ 女は鏡を見ている。 今日はあの人と会う日である。 さわやかな瞳の中でひとりの 男を思い出していた。 女はある思いをもって、仕事を休み そしてひとり外出するために鏡の前にいる。 うすい化粧をしてコートとベージュの マフラー・手提げバックを手にした。 そしてもう一度バックの中身を確認した。 女は30代半ばであろう。 黒い皮のブーツをはきマフラーをクルッと まわしその先をコートの中に入れ家を出た。 家から近くの駅まで25分ほどである。 JR大阪までの切符を買い、階段を 上がって駅のホームに立った女の姿には 他の誰よりも美しく清清しいものがあった。 華やかな女のやさしさと色香が周囲に漂った。 この駅から列車にゆられ2時間をかけて ひとりの男性に逢いに行くのだという。 その男性といつ知り合い、いつから愛を 感じたのかは今は誰も知るよしもない。 この女性しか知らない心の内であった。 ただ長い付き合いではない。 2ヶ月程度の友達関係だというのだ。 列車がホームに滑り込んできた。 始発駅だからゆっくりと座れた。 発車のベルがしてゆっくり列車は動きだした。 女はひとりの座席でその男をまた思い出していた。 その男の風采がどんな男かなどということは 誰もわからないのだが。。。 ただその女より3・4歳年上の独身の会社員で どうもIT関係の仕事をしているらしい。 女は窓の外にながれる田園風景を見ながら 男との出会いに心をときめかせていた。 そのうちに睡魔がやって来たんだろう。 うつらうつらと眠ってしまった。 列車はいまどこを走っているのだろうか。 ガタンガタンというリズミカルな振動が 音楽となって眠りにに誘われた 脳裏の中で考えながら深い眠りとなった。 その眠りには、とても美しい女の表情があった。 (つづく)
2005年02月14日
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