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アメリカ海軍の空母ジェラルド・R・フォードが5隻の艦船を伴って11月16日にカリブ海へ入った。閉鎖されていたプエルトリコの海軍基地を修復、使えるようにしている。9月からドナルド・トランプ政権は少なくとも8隻の水上艦船と1隻の潜水艦を派遣、「麻薬密売船」だとして小型船を9月から約20回にわたって爆撃し、少なくとも80人を殺害している。 しかし、ベネズエラからアメリカのフロリダまで約2000キロメートルあり、破壊されている小型船では辿り着けない。アメリカへ麻薬を密輸している船ではないことを承知でトランプ大統領は攻撃している。航空母艦が到着したなら、すぐにベネズエラへの軍事侵攻を始めるとする見方もあったのだが、今のところべネルズエラ上空に飛行禁止空域を設定しただけだ。 11月上旬、威嚇のために2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行させたが、陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ戻らざるをえなくなった。そのほか中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備されたようだ。 10月下旬にロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラへ何かを運んできた。この会社はロシア軍や傭兵会社ワグナーの貨物を輸送したとしてアメリカから「制裁」されていることから軍事物資、あるいは戦闘員を輸送したのではないかと言われている。ロシアのスペツナズ(特殊部隊)もベネズエラへ入ったとする話も伝えられている。 カリブ海の軍事的な緊張が高まる中、ロシアだけでなく、中国やイランもベネズエラへの支援を始めている。イランは航続距離が2500キロメートルだという攻撃用ドローン「シャヘド」を供与、これによってベネズエラはフロリダのアメリカ軍基地を攻撃できる。アメリカ軍がベネズエラを軍事侵攻した場合、ロシアの防空システムや対艦ミサイルの洗礼を受けることになるだけでなく、アメリカ本土も戦場になる可能性がある。 アメリカを含むNATO諸国はロシアを征服、分割して石油や天然ガスを含む資源を手に入れようとしてウクライナで戦争を始めたが、ロシア軍に負けてしまった。中東ではイスラエルがイランに勝てないことが明確になっている。東アジアで軍事的な緊張を高めているが、それと並行してベネズエラの石油を手に入れ、それを利用してロシアや中東の産油国を屈服させようと考えているのかもしれないが、その前にはロシア、中国、イランが立ちはだかっている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.27
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ロシア軍は11月22日、ウクライナとルーマニアの国境にある検問所をドローンで爆撃、その翌日にオデッサからルーマニア近くまでの地域をミサイルなどで攻撃した。ルーマニアからオデッサにかけてはウクライナ軍やNATO軍の重要な兵站線。この攻撃によってイギリス、フランス、ルーマニアの兵士も死傷したと伝えられている。イギリスやフランスがロシアに対する攻撃の拠点にしているオデッサは厳しい状況に陥った。今後、ロシア軍はオデッサの制圧に乗り出すかもしれない。 アメリカを中心としてNATOは2014年2月から22年2月にかけてウクライナのクーデター体制を軍事的に強化するため、戦闘員の育成、兵器の供与、そして反クーデター軍が支配していたドンバスの周辺に要塞線を築いていた。 その要塞線の中核がマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルに建設された地下要塞。すでにこの地下要塞はロシア軍に制圧されているが、要塞線全体がここにきて崩壊しはじめたようで、ロシア軍の進撃スピードが速まっている。 11月に入ってロシア軍はポクロフスクを制圧したが、ここはウクライナ軍の補給を支えていた幹線道路が交差する場所。ドンバスのウクライナ軍への補給路が立たれることになる。さらにロシア軍は周辺地域を制圧中だ。 キエフから撤退するなと命令されているウクライナ軍は包囲され、降伏するか戦死するしかない状態に追い込まれている。降伏しようとする兵士がウクライナ軍のドローンに攻撃されている映像も流れている。 ポクロフスクではウクライナの情報機関GUR(国防省情報総局)が特殊部隊をUH-60Aブラックホークで送り込んでいたが、CIAの上級工作員、あるいはNATOの将校が取り残されたからだと言われている。その人たちが現在どのような状況になっているかは不明だ。 ウクライナでの戦闘はロシア軍が攻撃を始めて間もない2022年3月上旬には停戦が内定していたのだが、これを壊したのがイギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソン、同年4月9日にキエフへ乗り込み(ココやココ)んで戦争を継続するようキエフ政権に命令した。 そのジョンソンが現在、ウクライナでの戦争を継続させようと活動している。ウクライナ人は最後のひとりになるまでロシア人と戦い、ロシアを疲弊させろというわけだ。第2次世界大戦でソ連はドイツ軍に攻め込まれ、勝ったものの疲弊、結局立ち直ることができなかった。そのドイツの役割を今回、ウクライナにさせようとしているのだが、そうした思惑通りには進んでいない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.26
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【与那国島へのミサイル配備】 与那国島へ日本がミサイルを配備しようとしていることを中国が非難したと伝えられている。与那国島へのミサイル配備計画が順調に進んでいると小泉進次郎防衛相が語ったことが引き金になったようだが、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設している。それに続いて2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。【アメリカの軍事戦略と日本】 本ブログで繰り返し書いてきたことだが、こうしたミサイル配備の理由をアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書で説明している。これはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するというアメリカ軍の計画に基づいているのだ。 この報告書が作成された当時、アメリカは日本が掲げる専守防衛の建前、そして憲法第9条の制約を尊重していた。そこでASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にするとしていたのだが、2022年10月になると「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」と報道された。亜音速で飛行する核弾頭を搭載できる巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。要するに、アメリカの命令だということだろう。 こうしたアメリカの計画は1992年2月にアメリカ国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)の草案に基づいている。この指針は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 1991年12月のソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようというわけだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するに、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。 また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。 こうしたアメリカの独善的な計画が危険だということを日本の政治家も理解していたようで、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するが、94年4月に崩壊した。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったが、押し切られている。 日本側の動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。 沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。 この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ急ピッチで組み込まれていく。【米英の対中国戦略】 台湾の与党である民進党(DPP)がいう「台湾の独立」とは、アメリカにとって対中国戦争のための「不沈空母」を手に入れることにほかならない。例えば、2019年9月から21年1月まで国家安全保障補佐官を務めたロバート・オブライエンは20年10月、台湾を要塞化するべきだと語り、アメリカ空軍航空機動軍団のマイク・ミニハン司令官は23年1月にアメリカと中国が25年に軍事衝突する可能性があるとする見通しを記したメモを将校へ送っている。 ミニハンがアメリカと中国が軍事衝突する可能性があるとした今年の5月15日、エグザビエル・ブランソン在韓米軍司令官は、対朝鮮だけでなく中国を牽制するためにも在韓米軍の役割を拡大する必要があると主張、韓国は「日本と中国本土の間に浮かぶ島、または固定された空母」だと表現している。アメリカにとって韓国も台湾も「不沈空母」、つまり大陸を制圧するための重要な拠点なのだが、日本も同じだ。また、アメリカは台湾向けにATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)を製造している。ウクライナにおける対ロシア戦争と同じパターンだが、ウクライナではトマホークの供与には消極的になっている。。 中国中央軍事委員会の張又俠副主席がモスクワでアンドレイ・ベロウソフ国防相と会談、ミサイル防衛と戦略的安定について協議し、両分野における協力強化で合意したというが、台湾の問題とは中国と米英との問題であり、ロシアにとっても重大な問題なのである。米英との対立は少なくとも19世紀のアヘン戦争まで遡って考えなければならない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.25
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マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は11月21日、来年1月5日に議員を辞職すると発表した。ドナルド・トランプ大統領の同志だとされていた議員だが、ジェフリー・エプスタインに関するファイルの全面的な公開を求める彼女は大統領と対立していた。トランプ大統領がエプスタインと親しかったことを否定できない。またグリーン議員は今年初め、イスラエル軍によるガザにおける破壊と殺戮について「ジェノサイド」だと表現したが、こうした発言もイスラエルと緊密な関係にあるトランプ大統領と対立する一因になっただろう。 アメリカの政界においてイスラエル批判はタブーだ。辞職する理由について彼女は、大統領が支援する「傷つき憎しみに満ちた予備選挙」から家族を守るためだとしている。トランプ大統領はグリーン議員の辞職表明について、「国にとって素晴らしいニュースだ」と発言した。 グリーン議員はイスラエルと小児性愛の関係にも言及している。ラスベガス警察は今年8月16日、小児性愛者を標的にした囮捜査を実施、8名を逮捕した。そのうちのひとりがイスラエルの国家サイバー局で局長を務めるトム・アレクサンドロビッチ。専門家会議に出席するため、アメリカに滞在していたという。この捜査にはFBI、警察、国土安全保障省、ネバダ州司法長官事務所が参加していた。 アレクサンドロビッチは尋問後に釈放されてホテルへ戻り、2日以内にイスラエルに帰国した。警察の記録によると、この容疑者はヘンダーソン拘置所に収監され、その後判事の面前で1万ドルの保釈金を支払って釈放されている。誰が保釈金を支払ったのか、どのようにして出国してイスラエルへ戻れたのかは不明だ。 アレクサンドロビッチはイスラエルが小児性愛者を受け入れていることも知られている。CBSニュースによると、多くのアメリカ人小児性愛者がイスラエルに逃亡、彼らは法の裁きを受けていない。イスラエルには「帰還法」と呼ばれる法律があり、ユダヤ人であれば誰でもイスラエルへ移住し、市民権を取得できる。 小児性愛の容疑者を追跡しているアメリカの団体「JCW(ユダヤ人コミュニティ・ウォッチ)」は2014年から活動を開始、それ以来、60名以上がアメリカからイスラエルへ逃亡したとしているが、実数ははるかに多いと考えられている。 イスラエルのクネセト(国会)では今年6月3日、数人の女性が未成年時代に宗教儀式の一環として受けた性的虐待について証言した。イスラエル軍がイランを攻撃する10日前の出来事だ。 証言した被害者のひとりであるヤエル・アリエルによると、彼女は5歳から20歳まで儀式的な虐待を受け、ほかの子どもたちに危害を加えることを強要されたという。 警察に被害届を出したものの、数カ月で却下。しかも彼女が自分の体験を明かにすると脅迫を受けたとしているが、これは彼女だけではないようだ。別の被害者、ヤエル・シトリットによると、人身売買は全国で行われていた。薬物も使用され、レイプを含むサディスティックで残酷なことも行われ、その行為は撮影されていたとされている。被害者がそうしたことを証言しても荒唐無稽の話だと思われ、信じてもらえなかったという。 被害者たちによると、聖書の物語を模倣した虐待を受けたともいう。例えば、加害者がイサクの縛りを真似て被害者の女性を縛り付け、間に合わせの割礼の儀式を行うという儀式に強制的に参加させられたと複数の女性が証言している。 ひとりの被害者はいとこから虐待を受け、14歳になると地域社会の著名人から拷問と飢餓に苦しめられていたと主張した。「一般公開のイベントがあり、手錠をかけられて高い柱に縛り付けられる内部儀式もありました」と彼女は当時を振り返り、月経血を飲む儀式や猫などの動物の屠殺についても説明した。 1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同様、イスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。ロバートは1960年代から、エプスタインとギレーヌは1980年代の後半からその情報機関に所属してたとベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) エプスタインの事件を明るみに出す上で重要な役割を果たしたひとりは被害者のバージニア・ジュフリーだが、時速110キロで走行していたバスと自分の自動車が衝突、腎不全に陥ったと3月31日にインスタグラムへ投稿した。彼女の家族によると、警察に通報したものの、現場に駆けつける人がいないと言われたという。その後、容態が悪化したため病院に搬送されたとされている。彼女は退院した後、4月25日に西オーストラリア州の自宅で死亡した。「自殺」とされている。 ジェフリーはフランスのモデル・スカウト、ジャン-リュック・ブルネルがエプスタインの人身売買に協力していたと告発していた。1998年から2005年にかけての時期、ブルネルはエプスタインのプライベート・ジェットに25回搭乗した記録が残っている。 また、ブルネルは2008年にエプスタインが逮捕された際、拘置施設でエプスタインと70回以上面会した記録が残っている。そのブルネルは2020年12月、未成年者へのセクハラと性的犯罪の罪で起訴されたが、22年2月に独房内で「自殺」した。 エプスタインがロスチャイルド家と親しかったことも有名。ギレーヌ・マクスウェルによると、イギリス王室のアンドリュー王子(ヨーク公爵)をエプスタインに紹介したのはエべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドだったという。リン・フォスターはエプスタインの友人だ。ビル・クリントンとエプスタインが親しかったことも知られているが、ヒラリー・クリントンがリン・フォスターと親しいことを示す電子メールも漏洩されている。 なお、アンドリューはエプスタインとの関係や子ども時代からの性生活が暴かれた(Andrew Lownie, “Entitled,” William Collins, 2025)こともあり、貴族としての称号を返上すると10月17日に表明、同月30日に国王から剥奪された。 また、エドモン・ド・ロスチャイルド・グループのCEOを務めるアリアンヌ・ド・ロスチャイルドは「2013年から2019年の間に、銀行での通常業務の一環としてエプスタインと面会していた」という。彼女はエプスタインがニューヨークに保有していた自宅を訪れたこともあるようだ。新たに公開された電子メールによると、アリアンヌはエプスタインとブロードウェイ公演や2014年のモントリオール旅行など、私的な旅行や社交を計画していた。 エプスタインはイスラエルの元首相エフード・バラクとも親しく、その関係で同国の軍事情報局特殊作戦部に所属する秘密技術部隊の81部隊の人脈と繋がっていた。またエプスタインはバラクとロスチャイルド家との間のメッセンジャーを務めていたともされている。 エプスタインがイスラエルの情報機関と深く繋がっていたのだが、あくまでもネットワークの一部であり、「中間管理職」にすぎない。エプスタインと同じようなことをしているグループはいくつも存在し、そのネットワークの罠に落ちた「世界の要人」は少なくないはずだ。弱みを握られた人間だけを出世させ、世界を操るということもできる。 西側世界を支配している人たちは、買収、恫喝、暗殺、クーデター、侵略戦争へとエスカレートしていく。弱小国はひとたまりもないが、ロシアや中国が相手になると簡単ではない。 しかし、この「犯罪集団」とも言える勢力はウクライナでロシアに敗北した。西側世界が混乱している大きな原因のひとつはそこにある。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.25
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小泉進次郎防衛相は10月22日の記者会見で原子力潜水艦という選択肢を排除しないと語った。高市早苗が総裁に就任した自民党は日本維新の会と連立することになり、合意書を作成した。そのなかで、長射程ミサイルを発射できる垂直発射装置(VLS)を搭載し、長距離、長期間の移動を可能にする「次世代の動力」を活用した潜水艦の保有に向け政策を推進すると記載されている。 言うまでもなく、原子力潜水艦は核分裂反応で生成されるエネルギーを利用してスクリューを回転させる。沿岸海域で敵の艦船に備える攻撃型潜水艦としても使えるが、それならわざわざ高コストの原子力を使う必要がないだろう。長期にわたって潜水することができ、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を発射できるからこその原子力潜水艦だ。 アメリカの命令で中国やロシアとの経済的な関係が弱まり、日本企業は厳しい状況に追い詰められている。その苦境を軍需産業で切り抜けようとしているのかもしれないが、そうした政策をとったEUの経済は壊滅的な状態だ。 10月21日から総理大臣を務めている高市早苗は「右翼キャラ」の政治家だが、その高市が防衛大臣に据えた小泉進次郎はネオコンの手先として日本社会を破壊した小泉純一郎の次男で、関東学院大学を卒業した後、成績を無視する形でコロンビア大学大学院への入学が許可された。同大学院では、CIAとの関係が噂されているジェラルド・カーティスの研究室に3年間在籍したという。その後、進次郎はCSIS(戦略国際問題研究所)の研究員になる。 この研究所の創設に関わったレイ・クラインはジョージ・H・W・ブッシュに近かく、1958年から62年にかけてCIA台湾支局長を務め、引き続いて66年までは情報担当のCIA副長官を務めた。その後、1969年から1973年までは国務省情報調査局長だ。 原子力潜水艦の保有は「有識者会議」で提言されていた。つまり官僚たちは高市内閣が成立する前から原子力潜水艦を保有する方針だったと言える。また、日本はイギリスやイタリアと次世代戦闘機プロジェクトのGCAP(グローバル戦闘航空計画)を始動させている。南アルプスの地下を走る巨大建造物が地下要塞として使われるかもしれない。 日本政府は判で押したように「自由で開かれたインド太平洋の実現」を主張するが、有り体に言えば、インド太平洋をアメリカの管理下に置き、中国をはじめとする国々の海上輸送路を抑え込むこと。そうしたアメリカの戦略に日本は協力するわけだ。 アメリカは同じアングロ・サクソン系国のイギリスやオーストラリアとAUKUSを創設、アメリカ、オーストラリア、インド、日本はクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強化してきた。 NATO(北大西洋条約機構)の事務総長だったイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーとするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。AUKUSの後、JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成した。 また、AUKUSではアメリカ製の攻撃型原子力潜水艦を売却することになっている。そうした潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上アメリカ海軍の潜水艦になるとも言えるだろう。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明している。 日本では核兵器の保有も主張されてきた。そのひとりが石原慎太郎。福島県沖で巨大地震が発生する3日前の2011年3月8日、イギリスのインディペンデンス紙に石原へのインタビューに基づき記事が掲載されている。外交の交渉力は核兵器であり、日本は1年以内に核兵器を開発できるは主張していた。そうしたチンピラ的な発想に対し、ロシアは西側を凌駕する兵器を保有していることを示し、実戦でも使用している。 佐藤栄作政権も核兵器を持とうとしていた。NHKが2010年10月に放送した「“核”を求めた日本」によると、1965年に訪米した佐藤首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えたという。 1977年に東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入るが、山川暁夫は78年6月に開かれた「科学技術振興対策特別委員会」で再処理工場の建設について発言、「核兵器への転化の可能性の問題が当然出てまいるわけであります」と発言している。実際、ジミー・カーター政権は日本が核武装を目指していると疑い、日米間で緊迫した場面があったという。 しかし、1981年にロナルド・レーガンが大統領に就任するとアメリカ政府の内部に日本の核武装計画を支援する動きが出てくる。東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)はプルトニウムを分離/抽出するための施設だが、この施設にアメリカ政府は「機微な核技術」、つまり軍事技術が含まれていた。 調査ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、東電福島第1原発が過酷事故を起こした当時、日本には約70トンの兵器級プルトニウムがあったという。自らが生産した可能性もあるが、外国から持ち込まれた可能性もある。トレントだけでなく、アメリカの情報機関は日本が核兵器を開発してきたと確信しているようだ。 第2次世界大戦後、原子力を日本へ導入したのは中曽根康弘である。彼は内務省を辞め、1947年4月の衆議院議員選挙に出馬して当選し、河野一郎の配下に入り、児玉誉士夫と知り合った。 中曽根が権力の階段を登り始めるのは、1950年6月にスイスで開かれたMRA(道徳再武装運動)の世界大会へ出席してからだ。MRAはCIAとの関係が深い疑似宗教団体で、岸信介や三井高維も参加していた。そこで中曽根はヘンリー・キッシンジャーを含むCFR(外交問題評議会)のメンバーと知り合っている。 中曽根は1953年、キッシンジャーが責任者を務めていた「ハーバード国際セミナー」というサマー・スクールに参加しているが、このセミナーのスポンサーはロックフェラー財団やフォード財団で、CIAともつながっていた。 中曽根が国会に原子力予算を提出したのは1954年3月。修正を経て予算案は4月に可決された。その背景には、1953年12月にドワイト・アイゼンハワー米大統領が国連総会で行った「原子力の平和利用」という宣言がある。 1964年10月に中国が核爆発の実験に成功した3カ月後、佐藤栄作首相はワシントンDCを訪れ、リンドン・ジョンソン大統領と秘密会談を実施、もしアメリカが日本の核攻撃に対する安全保障を保証しないなら日本は核兵器を開発すると伝えた。それに対し、ジョンソン大統領は日本にアメリカの「核の傘」を差し出すと約束している。 1976年にアメリカ大統領となったジミー・カーターは潜水艦の原子炉技師を務めた経験を持つ人物で、プルトニウムと高濃縮ウランについて熟知していた。そのカーターは1978年に核拡散防止法を議会で可決させた。この法律はウランとプルトニウムの輸送すべてに議会の承認を得るように義務付け、日本からの多くの機密性の高い核技術の輸入を阻止するものだ。 当時、アメリカのエネルギー省では増殖炉計画が注目されていたが、カーター大統領はその流れにブレーキをかけた。その方針に反発したひとりが原子力規制委員会のリチャード・T・ケネディにほかならない。そのケネディを助けたアメリカ海軍大佐のジェームズ・アウアーは後にバンダービルト大学の終身教授に就任、同大学の米日研究協力センター所長にもなっている。 しかし、1980年にロナルド・レーガンが大統領に就任すると状況は一変し、ケネディたちを喜ばせることになる。そのケネディをレーガン大統領は核問題担当の右腕に据え、ケネディはカーター政権の政策の解体させていく。そして始められたのがクリンチリバー増殖炉計画。エネルギー省は1980年から87年にかけて、このプロジェクトに160億ドルを投入するが、議会は突如、計画を中止する。 世界的に見ても増殖炉計画は放棄されるのだが、日本は例外だった。その日本とアメリカの増殖炉計画を結びつける役割を果たした人物がリチャード・ケネディ。アメリカのエネルギー省と手を組んでいた日本の動力炉・核燃料開発事業団(後に、日本原子力研究開発機構へ再編された)はCIAに監視されていたが、動燃が使っていたシステムにはトラップドアが組み込まれていたとも言われている。 この計画に資金を提供することになった日本の電力業界の関係者は核兵器に関する技術を求め、兵器用プルトニウムを大量生産していたプルトニウム分離装置をリストに載せた。東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)はプルトニウムを分離/抽出するための施設だが、この施設にアメリカ政府は「機微な核技術」、つまり軍事技術である遠心分離機が運び込まれている。 アメリカは日本へ技術を提供するだけでなく、日本へ限りなく核物質を輸出し、それを制限なくプルトニウムに再処理し、他国へ再移転する権利が与えられていた。 それだけでなくイギリスやフランスの再処理業者が日本へ返却するプルトニウムも核兵器に使用できるほど純度が高く、アメリカ産の核物質はトン単位で日本へ輸送されているようだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.10.28
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アメリカのニューズ・ウェブサイトAxiosは11月18日、アメリカ政府がウクライナ戦争の終結に向けた新たな計画を秘密裏に策定中だと伝えた。キエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権やロシアとの戦争継続を主張しているEUの指導部だけでなく、ロシア政府が掲げている戦争の目的とは相容れない内容で、合意は難しい。ロナルド・トランプ大統領も、その計画案で戦争を終結させることはできないと思っているはずだ。 この計画案を作成したスティーブ・ウィトコフは事実上、ウラジミル・プーチン露大統領担当特使。その案ではウクライナが東ドンバス地域全体の支配権を放棄することになっているが、その一方でロシア軍に対し、ヘルソンとザポリージャで軍事作戦を凍結し、ハリコフとスーミから撤退するように求めている。 プーチン大統領はウクライナにおける戦争の目的として、ウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を認めるように求めている。この条件は一貫していて、妥協はしないだろう。もしトランプ大統領が事実を把握しているなら、今回の計画案でロシアを説得できないことを理解しているはずだ。 この文書には、NATOの拡大とミサイル配備の根本原因を認識している兆候は全くなく、「米国を仲介としてロシアとNATOの間で対話が行われ、あらゆる安全保障上の問題が解決され、緊張緩和のための条件が整えられる。それによって世界の安全保障が確保され、協力と将来の経済発展の機会が拡大する」という漠然とした約束があるだけだ。 そこで、この提案の狙いはプーチン大統領を追い詰め、ロシア側が主張する基本原則を放棄させることにあるという推測が出てくるが、そうした展開になる可能性は小さい。戦況は加速度的にロシア軍が優勢になっている。この勢いをロシア側が止めるとは思えない。戦争の真の相手であるイギリスは19世紀からロシア征服を目論んでいるのであり、その長期戦略を放棄することはないだろう。ロシアとしては、中途半端な形で戦闘をやめるわけにはいかない。 ウィトコフによると、Axiosの執筆者は計画案を「Kから入手した」という。アメリカの有力メディアはこの「K」をロシアのキリル・ドミトリエフ特使だと宣伝しているが、その可能性は小さく、ウクライナ特使を務めるキース・ケロッグだろうとされている。ケロッグはネオコンの一員で、ロシア嫌いとしても有名。ネオコンが描いているシナリオを「事実」として主張していた。 Axiosへのリークがあった翌日、そのケロッグが来年1月に退任すると伝えられた。20日にはその情報が正しいとホワイトハウスは確認している。「自然な退任時期」だとアメリカの有力メディアは伝えているが、28項目の「和平計画」に関する情報を漏洩したことから解任されたと見られている。 11月20日にはダニエル・ドリスコル陸軍長官が率いるアメリカ軍高官代表団はキエフに到着、ゼレンスキーと会い、ロシアとの和平交渉の可能性に関する協議を再開するの話し合ったという。この代表団は来週末にモスクワへ飛び、クレムリンと「和平案」について協議する見込みだとされている。ドリスコルの代表団がゼレンスキーと会談した後、でトランプ大統領はケロッグにかわる新しい特使としてドリスコルを任命した。そのドリスコルは21日にキエフでNATO諸国の大使たちに説明したとも伝えられている。 ケロッグ退任の報道に合わせるかのうように、ロシア南西部にある都市ボロネジに向かって4機のATACMSが発射された。いずれもロシア軍によって撃墜され、ふたつの発射装置も破壊された。 ATACMSに限らず、ある程度以上の性能を持つ兵器の場合、訓練の期間が必要であるだけでなく、ターゲットに関する情報の収集、衛星によるミサイルの誘導も不可欠。つまり、NATO軍が直接関与しなければならない。今回の攻撃にはアメリカ軍将校がオペレーターとして関与し、ロシア軍の反撃で戦死したとされている。 兵士不足のウクライナでは街頭で男性を拉致するだけでなく、コロンビアをはじめとするラテン・アメリカ諸国、あるいはドイツ、フランス、イギリス、ポーランドなどのヨーロッパ諸国から傭兵を連れてきていると言われているが、NATO加盟国は正規軍の将兵を送り込み、相当数の死傷者が出ていると主張する人もいる。そうした死傷者を出している国なら、正式に派兵すれば、秘密裏に行っていた戦争を誤魔化すことができるという推測もある。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.24
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モスクワを訪問していた中国中央軍事委員会の張又俠副主席がアンドレイ・ベロウソフ国防相と会談、ミサイル防衛と戦略的安定について協議し、両分野における協力強化で合意したという。アメリカはヨーロッパだけでなく日本列島にも大陸を攻撃できるミサイルの発射施設を建設しているが、そうした動きを意識したものだろう。 自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設したと言える。核弾頭を搭載できるトマホークを配備するともされているが、トマホークが発射されたなら、相手は核弾頭が搭載されているという前提で反応する。つまり核兵器で反撃される可能性がある。 ロシアの周辺部にもアメリカはミサイルを配備、NATOを東へ拡大させた。これはナチ時代のドイツによるソ連への軍事侵攻、バルバロッサ作戦を彷彿とさせる動きであり、ロシアが反発しただけではない。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、リチャード・ニクソン元米大統領は1994年3月21日にビル・クリントン大統領へ手紙を出し、その中でウクライナの内部状況が非常に危険だと警告。ウクライナで戦闘が勃発すれば、ボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争は「ガーデンパーティー」のように感じられるとしている。 また、「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンは1998年、NATOが拡大について「これは新たな冷戦の始まり」であり、悲劇的な過ちだと批判、この政策を決めたアメリカ上院での議論について表面的で無知だと指摘している。 こうした政策は必然的にロシアから悪い反応を引き出すことになる見通し、NATOがロシア国境までの拡大すれば新たな冷戦を引き起こすことになるとしていた。ポーランド、ハンガリー、チェコで拡大が止まれば、そこで新たな分断線が引かれるともケナンは予測していたが、実際はそこで止まらず、ウクライナを制圧しようとする。「新バルバロッサ作戦」だ。 ヘンリー・キッシンジャーは2014年3月5日付けワシントン・ポスト紙でウクライナとロシアの関係について論じている。 ロシアの歴史はキエフ・ルーシで始まり、宗教もそこから広がり、ウクライナは何世紀にもわたってロシアの一部であり、その前から両国の歴史は複雑に絡み合っていたと指摘している。ロシアにとってウクライナが単なる外国ではないということだ。特に東部と南部はロシアとの繋がりが強い。 こうした「旧保守」の警告をネオコン(新保守)は無視、対ロシア戦争を始めてしまった。簡単にロシアを屈服させられると考えていたのだろうが、逆襲で敗北必至のNATO諸国はパニックに陥っている。NATO諸国を率いている人びとは今でもロシアの戦力、工業力を過小評価し、自分たちの戦力と工業力を過大評価しているようだ。 ウクライナで敗れたアメリカやイギリスは東アジアの軍事的な緊張を高め、自分たちの存在感を高めようとしているが、中国とロシアの同盟は強化されている。バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを仕掛けた当時、日本でも中国とロシアが手を組むことはありえないと主張する「知識人」が少なくなかったが、それは妄想にすぎなかった。 東アジアの均衡を保つための前提、「ひとつの中国」を高市早苗首相は否定、核を保有しない、製造しない、持ち込まないという非核3原則に否定的な姿勢を示した。台湾と中国が別の国だということは台湾にアメリカが軍事基地を建設して「航空母艦」にできるということであり、日本列島に並べられたミサイルの核弾頭を搭載することもできるということを意味する。高市は首相に就任して早々、中国を軍事侵略するかもしれないと脅したわけだ。 ネオコンは中国やロシアを脅して屈服させようとして失敗したが、高市首相も同じことをしている。EUは自分たちの経済を支えていたロシアのエネルギー資源を断ち切ることで破滅へ向かっている。菅直人政権の前原誠司と同じように、高市首相は日本にとって最大の貿易相手国である中国との関係を悪化させた。日本を破壊しようとしている。 高市首相が民族派? まさか!**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.22
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ジョン・F・ケネディ米大統領はテキサス州ダラスで1963年11月22日に暗殺された。62年前の出来事だ。テキサス州は副大統領だったリンドン・ジョンソンの地元であり、ダラス市長だったアール・キャベルはケネディ大統領にアレン・ダレスCIA長官と共に解任されたチャールズ・キャベルCIA副長官の弟である。 ケネディは大統領に就任して間もない段階でアメリカ軍のキューバへの軍事侵攻を止めて軍やCIAの軍事強硬派と対立、ミサイル危機は話し合いで解決してソ連との核戦争を回避することに成功した。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなどは1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。楽勝できると思っていたのである。 ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこで、1962年10月までにソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込む。これがキューバ危機だ。 またアメリカ軍をベトナムから撤退させることを決断したケネディは1963年10月にはNSAM(国家安全保障行動覚書)263を出した。アメリカ軍の準機関紙であるパシフィック・スターズ・アンド・ストライプス紙は「米軍、65年末までにベトナムから撤退か」という記事を掲載している。 しかし、この決定はケネディ大統領の暗殺で実行されていない。新大統領のリンドン・ジョンソンは1963年11月26日付け、つまり前任者が殺されて4日後にNSAM273を、また翌年3月26日付けでNSAM288を出し、ケネディのNSAM263を取り消してしまった。(L. Fletcher Prouty, "JFK," Carol Publishing Group, 1996) ジョンソンのスポンサーはハリー・トルーマンと同じアブラハム・フェインバーグ。この人物はシオニストの富豪で、彼が経営していたアメリカン・バンク・アンド・トラストはスイス・イスラエル銀行の子会社である。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) 第2次世界大戦後、アメリカでは「反ファシスト派狩り」が展開された。いわゆる「赤狩り」だが、その中心的な人物だったジョセフ・マッカーシーの法律顧問を務めていたロイ・コーンはジョン・ゴッチを含むニューヨークの犯罪組織を顧客としていた人物で、のちにドナルド・トランプの顧問にもなっている。そのコーンはリンドン・ジョンソンも支援していた。 また、ケネディは巨大資本の横暴を批判、その一方でイスラエルの核兵器開発に厳しい姿勢をとり、CIA(中央情報局)の解体を目論み、その代わりにDIA(国防情報局)を設置した。通貨制度へもメスを入れようと考え、EO11110という大統領令を出している。 そして1963年6月10日にケネディ大統領はアメリカン大学の卒業式で「平和の戦略」と呼ばれる演説を行い、ソ連と平和共存する道を歩き始めると宣言した。 アメリカにとって都合の良い「平和」を軍事力で世界に押しつける「パックス・アメリカーナ」を否定することから演説は始まり、アメリカ市民は「まず内へ目を向けて、平和の可能性に対する、ソ連に対する、冷戦の経過に対する、また米国内の自由と平和に対する、自分自身の態度を検討しはじめるべき」(長谷川潔訳『英和対訳ケネディ大統領演説集』南雲堂、2007年)だと語りかけた。 ケネディ大統領に続き、マーチン・ルーサー・キング牧師が1968年4月4日に、大統領の弟で元司法長官のロバート・ケネディが同年6月6日に暗殺されている。ロバート・ケネディは1968年の大統領選挙における最有力候補で、キングが副大統領になるとも言われていた。 ケネディ大統領の暗殺にはナチ親衛隊の幹部だったオットー・スコルツェニーの名前も出てくる。大戦後、アメリカ政府はナチの元幹部や協力者の逃走させ、保護している「ブラッドストーン作戦」だ。そのひとりがスコルツェニーだった。 スコルツェニーは拘束される前にナチスの仲間をアルゼンチンへ逃がすための組織ディ・シュピンネ(蜘蛛)を設立、1948年7月には彼自身も収容施設から逃亡することに成功した。この逃亡にはアメリカ軍憲兵の制服を着た元親衛隊将校3名が協力しているのだが、スコルツェニーはアメリカ政府が協力したと主張している。この組織のアメリカでの暗号名がODESSAだという。 スコルツェニーは1950年までパリで生活、そしてマドリッドへ移動し、そこでイルゼ・フォン・フィンケンシュタインという女性と結婚した。2度目の結婚だ。この女性はドイツの国立銀行総裁や経済大臣を務めたヒャルマール・シャハトの姪にあたる。イスラエルでの報道によると、スコルツェニーはケネディが殺された1963年、イスラエルの情報機関であるモサドに採用された。 スコルツェニーとシャハトはドイツの高等弁務官だったジョン・マックロイに助けられた。このマックロイはウォール街の大物で、1947年3月から49年7月まで世界銀行の総裁を務めている。ケネディ大統領暗殺未遂を調査したウォーレン委員会のメンバーでもあった。 ケネディ大統領を敵視していた勢力の多くはソ連を壊滅させたいと考えていた。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、こうした戦略は19世紀にイギリスで始まった。そして現在まで続いている。ウクライナでの戦争を中途半端な形で「停戦」した場合、欧米諸国が近い将来に再びロシアを征服しようと仕掛けてくることは必定。ドナルド・トランプ米大統領がどのような条件を出そうとも、ロシアは自分たちの特別軍事作戦が目的を達成した場合にのみ、戦争を終結させると見られている。ウクライナでの戦争はロシアの存亡がかかっている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.23
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危機的な状態に陥った人びとを救うために大活躍する「高市」を主人公とするNetflix映画「新幹線大爆破」がヒットしたようだ。主人公で車掌の高市和也を演じたのは草彅剛、高市と並ぶ作品の中心的な存在である運転士の松本千花をのん(能年玲奈)が演じた。この作品の宣伝などで「高市」という名前を嫌というほど聞かされた印象がある。 ところで、同じ高市という苗字の人物が今年10月21日から日本の総理大臣を務めている。右翼キャラの人物で、好戦的なパフォーマンスをしてきた。その高市は10月7日に衆院予算委員会において、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。 これを聞いて驚いた人は少なくないだろう。最も大きな軍艦で、強力な艦砲が装備された「戦艦」だが、すでに時代遅れで、運用している国はないとされている。軍艦の中でまだ使われている航空母艦も時代遅れで、相手国を威圧する程度のことしかできない。戦闘になれば、対艦ミサイルで簡単に撃沈されてしまう。イージス・システムを搭載した駆逐艦は使われているが、これも対艦ミサイルには脆弱。すでに海軍は潜水艦が主力になっている。高市首相のイメージは第2次世界大戦で止まっているのか、あるいは「宇宙戦艦ヤマト」が刷り込まれているかもしれない。 中国が台湾に対する軍事行動を起こすとするならば、最も可能性が高いケースはアメリカ軍が中国への攻撃を念頭に基地を建設し、軍隊を入れる場合だろう。台湾は中国を攻撃するための「不沈空母」だと考える人もいる。 中曽根康弘は総理大臣に就任して間もない1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとっている。その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと語ったと報道された。 中曽根はそれをすぐに否定するが、インタビューは録音されていた。そこで、「不沈空母」ではなくロシア機を阻止する「大きな空母」だと言い換えたが、このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。 中曽根は首脳会談で日本周辺の「4海峡を完全にコントロールし、有事にソ連の潜水艦を日本海に閉じ込める」、また「ソ連のバックファイアー(爆撃機)の日本列島浸透を許さない」と発言した。「シーレーン確保」も口にしたが、要するに制海権の確保だ。 国外に出たことから口が軽くなったのかもしれないが、当時、アメリカとソ連との間で軍事的な緊張が高まっていたことは事実だ。例えば、1983年4月から5月にかけてアメリカ軍はカムチャツカから千島列島の沖で大規模な艦隊演習を実施、アメリカ海軍の3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加している。この演習を日本のマスコミは無視した。 この演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返し、米ソ両軍は一触即発の状態になったのだ。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年) 徳川体制を倒して成立した明治政権は1872年に琉球を併合、1874年に台湾へ派兵、1875年に江華島へ軍艦を派遣、1894年の日清戦争、そして1904年の日露戦争へと続く。その背後でイギリスやアメリカの外交官が暗躍、日本にアジアを侵略するように煽っていた。自覚していたかどうかはともかく、明治体制はアメリカやイギリスの手先として動いていたと言える。 日清戦争の結果、清朝政府は1895年に下関条約を締結し、台湾を日本へ割譲するのだが、その当時、台湾に住む人びとの間には共通のアイデンティティがなかったという。漢民族は祖先である氏族、あるいは故郷の福建省や広東省との結びつきをより強く意識、先住民族は部族的なアイデンティティで繋がっていた。日本の植民地になった後、台湾では共通のアイデンティティが形成され始めたようだ。 第2次世界大戦後、日本軍の将校、下士官、兵士が蒋介石軍によって処刑される中、日本は台湾との軍事的な協力関係を築いている。蒋介石が接近した旧日本軍大将の岡村寧次は海で戦犯として裁判にかけられたが、1949年1月に無罪の判決を受けてすぐに帰国、GHQ/SCAPの保護下に入っている。蒋介石が岡村の下へ曹士徴を密使として派遣したのは同年4月のことだ。 曹は岡村や富田直亮少将と東京の高輪で会談して「台湾義勇軍」を編成することで合意、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。 その白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授した。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡っている。 白団へ軍事情報を渡していたのは「富士倶楽部」、つまり陸士34期の三羽烏と呼ばれた服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、あるいは海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちだ。服部はノモンハン事件で作戦指導を行った軍人で、1949年には市ヶ谷駅の近くに「史実研究所」をつくり、その後、約20年間に白団へ6000点ほどの資料を渡している。その中には自衛隊の教科書も含まれていた。白団メンバーのうち23名は自衛隊へ入っている。 服部や大前を含む旧日本軍の軍人、つまり有末精三陸軍中将、河辺虎四郎陸軍中将、辰巳栄一陸軍中将、服部卓四郎陸軍大佐、中村勝平海軍少将、大前敏一海軍大佐はアメリカ軍の下で活動している。このグループはKATO機関、あるいはKATOH機関と呼ばれた。 森詠によると、このうち辰巳中将を除く5名は東京駅前の日本郵船ビルを拠点にしていた。その3階には「歴史課」と「地理課」があり、歴史課は1947年5月から50年12月まで活動、地理課は朝霞のキャンプ・ドレークに移転した後、75年まで王子十条にあったアメリカ軍の施設内で活動していたと言われている。 歴史課には杉田一次陸軍大佐、原四郎陸軍中佐、田中兼五郎陸軍中佐、藤原岩市陸軍中佐、加登川幸太郎陸軍少佐、大田庄次陸軍大尉、曲寿郎陸軍大尉、小松演陸軍大尉、大井篤海軍大佐、千早正隆海軍中佐らが、また地理課には山崎重三郎陸軍中佐など参謀本部支那班の元メンバーが出入りしていた。こうした旧日本軍の軍人たちを統括していたのはGHQ/SCAPのG2(情報担当)を統括していた親ファシストのチャールズ・ウィロビー少将だ。(森詠著『黒の機関』ダイヤモンド社、1977年) ソ連が1991年12月に消滅した直後、92年2月にアメリカの国防総省内でDPG(国防計画指針)の草案が作成された。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから、この文書は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 ソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようというわけだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するに、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。 また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。 1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するが、94年4月に崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったが、押し切られている。 日本側の動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。 沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。 この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ急ピッチで組み込まれていく。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、ウォルフォウィッツ・ドクトンに従ってアメリカは世界制覇戦争に乗り出すのだが、日本もそれ追随している。 国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていたが、すでにそうした配慮は放棄されている。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。 日本は中国やロシアと戦争する準備を進めているのだが、命令しているのはネオコン。ウクライナでロシアに戦争を仕掛けて敗北、ガザで苦境に陥り、中国との経済戦争でも負けている勢力だ。ネオコンの代理として日本人は中国やロシアと戦争させられようとしている。戦争が現実になった場合、ウクライナより凄惨な状況になるだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.11
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国連の安全保障理事会は11月17日、ドナルド・トランプ米大統領のガザ計画を承認する決議を採択した。13カ国が賛成し、中国とロシアは棄権している。当初の決議案ではパレスチナ主権の可能性について言及されていなかったのだが、追加されたことでアラブ諸国やパレスチナ自治政府が決議を支持、ロシアは拒否権を行使するという姿勢を撤回、中国も棄権に加わった。s ガザを民族浄化して地中海リゾート開発を行うべきだとトランプが公言していたことを考えると、この決議はトランプが構想する開発を実現するための地上げを承認するためののものだと見ることもできる。 この決議によると、ガザの復興調整を担う暫定政権としての平和委員会設立を歓迎、暫定的な国際安定化部隊(ISF)を設置する権限をその委員会に与えている。その委員会を指揮するのはトランプ大統領になるため、ISFもトランプの指揮下に入る。 ガザではイスラエルによる破壊と殺戮に抵抗するため、ハマスが武装闘争を続けてきたが、そのハマスを武装解除することが決議では定められている。 ハマスが武装解除されたのち、イスラエル軍はガザから撤退するというのだが、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ国家への反対を改めて表明し、そのような事態は決して起こらないと断言している。ハマスもこの決議について、これはガザに国際的な監視メカニズムを押し付けるものであり、パレスチナ国民はこれを拒否していると宣言、決議を拒否した。つまり、今回の決議では当事者の意思が無視されている。 ハマスが武装解除を拒否する可能性は小さくないが、そうなると、トランプが指揮する部隊とハマスの戦闘が始まる可能性がある。しかもハマスが武装解除されなかった場合、イスラエル軍はガザに居座るとしており、三つ巴の戦いになるかもしれない。イスラエルやアメリカの影響下にあるパレスチナ自治政府が出てきても、事態が複雑になるだけだろう。安定化部隊はパレスチナ自治政府と連携しないという見方をする人もいる。 パレスチナでは今回と似たような展開の出来事があった。1981年6月7日にイスラエル軍はイラクのオシラク原子炉を空爆、7月17日にはベイルートにあったPLO(パレスチナ解放機構)のビルに対して大規模な空爆を実施した。 それに対して国連のブライアン・アークハート事務次長がイスラエルを説得するようにアメリカ政府へ働きかけ、停戦が実現する。イスラエル側ではアリエル・シャロン国防相も準備不足だとして停戦を望んでいた。 シャロンは1982年1月にベイルートを極秘訪問、キリスト教勢力と会い、レバノンにイスラエルが軍事侵攻した際の段取りを決め、1月の終わりにはアメリカに送るメッセージについて話し合うためにペルシャ湾岸産油国の国防相が秘密裏に会合を開いた。イスラエルがレバノンへ軍事侵攻してPLOを破壊してもアラブ諸国は軍事行動をとらず、石油などでアメリカを制裁しないという合意を取り付けることが目的だった。 1982年6月に3名のパレスチナ人がイギリス駐在のイスラエル大使を暗殺しようとするが、この3名に暗殺を命令したのはアラファトと対立していたアブ・ニダル派だった。イスラエル人ジャーナリストのロネン・ベルグマンによると、暗殺を命令したのはイラクの情報機関を率いていたバルザン・アッティクリーティだという。(Ronen Bergman, “Rise and Kill First,” Random House, 2018) この出来事を口実にしてイスラエル軍はレバノンへ軍事侵攻するが、8月21日にアメリカの仲介で戦闘は終結、西側諸国が監視する中、パレスチナの戦闘員は9月1日までにベイルートから撤退。西側諸国は難民と難民キャンプの保護を保証していた。 撤退の直後、イスラエルのメナヘム・ベギン首相はレバノンのバシール・ジェマイエル大統領と会談し、イスラエルとの和平条約への署名を強く求めたが、イスラエルとの和平条約の締結を拒否し、残存するPLO戦闘員を掃討するための作戦を承認しなかった。 パレスチナ難民の安全を保証していた国際部隊は9月11日にベイルートから撤退、ジェマイエルは9月14日に暗殺され、その翌日にイスラエル軍は停戦協定を無視して西ベイルートへ侵攻するが、パレスチナ難民キャンプへはファランヘ党の部隊を入れることにしていた。 ファランヘ党を中心とする部隊は9月16日、イスラエル軍から提供されたジープに乗り、イスラエル軍から提供された武器を持ち、イスラエル軍の命令に従って行動、サブラとシャティーラの難民キャンプに侵攻し、大量虐殺を始めた。1万数千名の市民が殺されたとされている。その際、レイプなどの残虐行為も行われたという。 パレスチナ人を虐殺したのはレバノンのファランヘ党だが、そのファランヘ党にパレスチナ人を虐殺させたのはイスラエルであり、反イスラエル感情は世界に広がる。 要するに、イスラエルはパレスチナでの民族浄化を放棄することはなく、保護するという西側諸国の保証は信用できない。ハマスが武装解除に応じようとしないのは当然なのだ。トランプ政権もそうした展開を予想しているだろう。西側諸国にしろ、アラブ諸国にしろ、ロシアや中国にしろ、ハマスが武装解除に応じなければ、イスラエル軍がガザ占領を続けることを容認する口実ができる。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.20
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APEC(アジア太平洋経済協力)の年次総会が10月31日から11月1日にかけて韓国の慶州で開催される。その会議にドナルド・トランプ米大統領も出席する予定。その途中、日本に立ち寄るのだが、そこで新首相の高市早苗は恭順の意を表するのだろう。アメリカは日本に対し、サハリンにおける天然ガスの開発から手を引くように求め、日米の軍事的な連携を強化することも要求するはずだ。その矛先は中国とロシアに向けられている。 アメリカの世界戦略は1991年12月にソ連が消滅した際に変化した。その直後、1992年2月にアメリカ国防総省は新たな軍事戦略DPG(国防計画指針)の草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成したが、その中でドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合、要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むことや、新たなライバルが再び出現することを防ぐとも謳っている。 ソ連の消滅でアメリカが唯一の超大国になったと確信したネオコンたちは他国を気にすることなく傍若無人に振る舞えると考え、国連を無視するようになる。 それに対し、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗したものの、94年4月に崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったが、押し切られた。 そうした動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令する。 その報告書には、10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われていた。沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になった。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。 そして1995年8月、アメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載される。この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆していた。この1995年に日本はウォルフォウィッツ・ドクトリンに書かれている通り、アメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。 アメリカのビル・クリントン政権はNATO軍を使い、1999年3月から6月にかけてベオグラードを空爆、翌年の大統領選挙でジョージ・W・ブッシュが次期大統領に選ばれた。ブッシュ・ジュニア政権がスタートした2001年の4月には小泉純一郎が総理大臣に就任、その年の9月にはニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、人びとはショックを受けて茫然自失になる。そうした状態を利用し、アメリカ政府は戦争を開始した。 ウェズリー・クラーク欧州連合軍(NATO作戦連合軍)元最高司令官によると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていた。(3月、10月) アメリカの戦略変更はソ連消滅とロシアの属国化から始まるが、21世紀に入り、ロシアではウラジミル・プーチンをはじめとする勢力が再独立に成功、ウォルフォウィッツ・ドクトリンの前提が崩れた。それにもかかわらず世界制覇プロジェクトを推進し続け、ロシアを再属国化しようと目論み、泥沼から抜け出せなくなった。 支配力が弱まったアメリカは軍事同盟を強化するため、2017年11月にオーストラリア、インド、アメリカ、日本で組織されるクワドの復活を協議。アメリカ太平洋軍は2018年5月にインド太平洋軍へ名称を変更されている。太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うとされた。 そして2020年6月にはNATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言、21年9月にアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロ・サクソン3カ国は太平洋で軍事同盟AUKUSを築く。さらにJAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成した。 こうした仕組みが作られる一方、アメリカは日本列島にミサイル発射施設を建設する。アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書で説明されているように、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を持っていた。 その計画に基づき、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 RANDは2022年4月の報告書の中で、専守防衛の建前と憲法第9条の制約を気にしている。そこで、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されていた。 ところが、ウクライナで本格的な戦闘が始まっていた2022年10月には、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があり、23年2月に浜田靖一防衛相はトマホークを一括購入する契約を締結する方針だと語った。その年の10月には木原稔防衛相がアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官に対し、トマホークの購入時期を1年前倒しすることを決めた伝えられている。トマホークは核弾頭を搭載できる。 9月26日に自衛隊の駆逐艦「ちょうかい」がアメリカのサンディエゴへ向かって出航したが、これは艦船を改修してトマホークの発射能力を獲得させ、来年夏頃まで実射試験を実施、その一方で乗員を訓練するためだという。 RANDの報告書が出た半年後には憲法第9条を無視している。こうした日本の動きロシアや中国を刺激していることは間違いないだろう。最近の動きを見ると、すでに中露は対応し始めている。その中国とロシアは朝鮮との連携を強めているが、その朝鮮は10月22日、同国北東部に向けて短距離弾道ミサイル(SRBM)を発射した。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.10.24
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【非核三原則の見直し】 高市早苗首相は11月11日、衆院予算委員会において、核を保有しない、製造しない、持ち込まないという非核3原則を堅持するかどうかを問われ、明言を避けた。見直しを検討しているという。 自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」は報告書の中で、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設しているわけだ。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する核弾頭の搭載が可能な巡航ミサイルを日本政府は購入する意向を表明したのだ。 トマホークの射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制核攻撃できるということになる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。 高市首相は10月7日、衆院予算委員会において、台湾で軍事衝突があれば軍事介入する意思を示した。日本にしろ、アメリカにしろ、「ひとつの中国」という主張を受け入れているわけで、中国と台湾が軍事衝突したなら、それは「内戦」ということになる。その内戦に日本が軍事介入するということになる。これは少なからぬ人が指摘している。 中国との戦争を覚悟しているということになるが、ならば食糧やエネルギーをどのように確保する準備をしなければならないが、高市の行っていることは食糧生産を弱体化させ、エネルギーをどうするかも考えていない。中国に依存しているレアアースを輸入できなくなれば、日本経済は破綻するだろう。ウクライナでの対ロシア戦争で自爆したヨーロッパと同じだ。 リチャード・ニクソン大統領は1972年の中国との共同声明で、台湾海峡両岸のすべての中国人が中国は一つであり、台湾は中国の一部であると主張していることを認めると表明した。それが「ひとつの中国」にほかならない。2022年8月2日、アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが台湾を訪問してこの原則を揺さぶったが、それでも「ひとつの中国」という立場は維持している。日本も同じだ。その立場を変更するとなると、その前提で動いてきた政治や経済の関係も崩れる。【日本の核兵器開発】 1965年に訪米した佐藤栄作首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えたという。(NHK、「“核”を求めた日本」、2010年10月放送) 1977年に東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入るが、予想された通り、ジミー・カーター政権は日本が核武装を目指していると疑い、日米間で緊迫した場面があったという。 ところが、1981年にロナルド・レーガンが大統領に就任するとアメリカ政府の内部に日本の核武装計画を支援する動きが出てくる。東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)はプルトニウムを分離/抽出するための施設だが、この施設にアメリカ政府は「機微な核技術」、つまり軍事技術が含まれていた。 調査ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、東電福島第1原発が過酷事故を起こした当時、日本には約70トンの兵器級プルトニウムがあったという。自らが生産した可能性もあるが、外国から持ち込まれた可能性もある。トレントだけでなく、アメリカの情報機関は日本が核兵器を開発してきたと確信しているようだ。 第2次世界大戦後、日本を原子力を日本へ導入したのは中曽根康弘である。彼は内務省を辞め、1947年4月の衆議院議員選挙に出馬して当選し、河野一郎の配下に入り、児玉誉士夫と知り合った。 中曽根が権力の階段を登り始めるのは、1950年6月にスイスで開かれたMRA(道徳再武装運動)の世界大会へ出席してからだ。MRAはCIAとの関係が深い疑似宗教団体で、岸信介や三井高維も参加していた。そこで中曽根はヘンリー・キッシンジャーを含むCFR(外交問題評議会)のメンバーと知り合っている。 中曽根は1953年、キッシンジャーが責任者を務めていた「ハーバード国際セミナー」というサマー・スクールに参加しているが、このセミナーのスポンサーはロックフェラー財団やフォード財団で、CIAともつながっていた。 中曽根が国会に原子力予算を提出したのは1954年3月。修正を経て予算案は4月に可決された。その背景には、1953年12月にドワイト・アイゼンハワー米大統領が国連総会で行った「原子力の平和利用」という宣言がある。 1964年10月に中国が核爆発の実験に成功した3カ月後、佐藤栄作首相はワシントンDCを訪れ、リンドン・ジョンソン大統領と秘密会談を実施、もしアメリカが日本の核攻撃に対する安全保障を保証しないなら日本は核兵器を開発すると伝えた。それに対し、ジョンソン大統領は日本にアメリカの「核の傘」を差し出すと約束している。 1976年にアメリカ大統領となったジミー・カーターは潜水艦の原子炉技師を務めた経験を持つ人物で、プルトニウムと高濃縮ウランについて熟知していた。そのカーターは1978年に核拡散防止法を議会で可決させた。この法律はウランとプルトニウムの輸送すべてに議会の承認を得るように義務付け、日本からの多くの機密性の高い核技術の輸入を阻止するものだ。 当時、アメリカのエネルギー省では増殖炉計画が注目されていたが、カーター大統領はその流れにブレーキをかけた。その方針に反発したひとりが原子力規制委員会のリチャード・T・ケネディにほかならない。そのケネディを助けたアメリカ海軍大佐のジェームズ・アウアーは後にバンダービルト大学の終身教授に就任、同大学の米日研究協力センター所長にもなっている。 しかし、1980年にロナルド・レーガンが大統領に就任すると状況は一変し、ケネディたちを喜ばせることになる。そのケネディをレーガン大統領は核問題担当の右腕に据え、ケネディはカーター政権の政策の解体させていく。そして始められたのがクリンチリバー増殖炉計画。エネルギー省は1980年から87年にかけて、このプロジェクトに160億ドルを投入するが、議会は突如、計画を中止する。 世界的に見ても増殖炉計画は放棄されるのだが、日本は例外だった。その日本とアメリカの増殖炉計画を結びつける役割を果たした人物がリチャード・ケネディ。アメリカのエネルギー省と手を組んでいた日本の動力炉・核燃料開発事業団(後に、日本原子力研究開発機構へ再編された)はCIAに監視されていたが、動燃が使っていたシステムにはトラップドアが組み込まれていたとも言われている。 この計画に資金を提供することになった日本の電力業界の関係者は核兵器に関する技術を求め、兵器用プルトニウムを大量生産していたプルトニウム分離装置をリストに載せた。東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)はプルトニウムを分離/抽出するための施設だが、この施設にアメリカ政府は「機微な核技術」、つまり軍事技術である遠心分離機が運び込まれている。 アメリカは日本へ技術を提供するだけでなく、日本へ限りなく核物質を輸出し、それを制限なくプルトニウムに再処理し、他国へ再移転する権利が与えられていた。イスラエルへも再移転できるということだろう。 それだけでなくイギリスやフランスの再処理業者が日本へ返却するプルトニウムも核兵器に使用できるほど純度が高く、アメリカ産の核物質はトン単位で日本へ輸送されているようだ。 高市の発言は重い。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.18
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アメリカのコリ・ブッシュ前下院議員はジャーナリストのマイケル・トレーシーに対し、彼女や民主党の議員がウクライナへの軍事支援に賛成したのは、ウクライナが敗北してアメリカの「黒人と褐色人種」がロシア軍と戦わなければならなくなると恐れたからだと語っている。資金の相当部分が兵器の代金としてアメリカの軍事産業へ還流し、ロビー団体等を通じて議員の懐へも流れ込んでくると見られているが、彼女はその点に触れなかったようだ。 ウクライナが降伏することをドナルド・トランプ大統領も望んでいないはず。アメリカでの報道によると、朝鮮戦争のような、平和条約を締結しない戦闘の凍結という形をアメリカ側は望んでいるというが、すでに何度も欧米諸国の政府に騙されているロシア政府がその案を呑むとは思えない。 朝鮮戦争は1950年6月から53年7月まで続いたとされている。1949年に中国で国民党の敗北が決定的になった時点でコミュニストの指導者が揃ったところで砲撃により暗殺、偽装帰順させていた部隊を一斉蜂起させる計画を立てていたが、これは事前に発覚して失敗、その時点でアメリカの破壊工作機関OPCは朝鮮半島で挑発作戦を始めている。 その段階で中国への軍事侵攻が計画されていたと見られ、アメリカ軍は日本を兵站の拠点と考えたはず。そこで、ストライキで物流が止まらないように、海運の拠点である横浜をFに、神戸をTに抑えさせる。陸の輸送を担う国鉄は労働組合が強かったが、1949年7月に下山事件と三鷹事件、8月に松川事件が引き起こされ、いずれも労働組合が実行したことにされて組合は弾圧された。 しかし、アメリカ軍は山岳での戦闘に慣れていないこともあって劣勢になり、朝鮮半島の南端に追い詰められる。この戦況を好転させたのは旧日本軍の参謀たちだと言われている。 1953年1月に大統領はハリー・トルーマンからドワイト・アイゼンハワーへ交代、泥沼化していた戦争の早期停戦を目指す。そこで、新大統領は中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。休戦は同年7月に実現した。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) アイゼンハワー政権で副大統領を務めたリチャード・ニクソンはベトナム戦争から抜け出すため、カンボジアに対する秘密爆撃を実行しながらアイゼンハワーの手法、つまり核兵器で恫喝したとされている。(前掲書) ロシアが戦争の凍結に応じないと少なからぬ人が推測している。これまで西側から何度も騙され、煮湯を飲まされてきたからだ。朝鮮や北ベトナムとは違い、ロシアを核兵器で脅しても効果はない。 イギリス、ドイツ、フランスといった国の兵士で構成される「平和維持軍」をウクライナへ入れることも考えられない。イギリス、ドイツ、フランスはアメリカと同様、ウクライナでロシアと戦っている相手だ。ロシアから見ると、敵を引き入れることになる。 そもそもウクライナで大統領を名乗っているウォロディミル・ゼレンスキーは2020年10月に大統領としてイギリスを公式訪問した際、イギリスの対外情報機関MI6のリチャード・ムーア長官と密談している。会談はジャーナリストに察知され、道でインタビューされている。ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、ムーア長官がハンドラーだと信じられている。 また、ウクライナの治安機関SBU(ウクライナ保安庁)や情報機関HUR(ウクライナ国防省情報総局)はCIAの配下にある。ウクライナ政府とロシア政府が停戦でほぼ合意した2022年3月5日、SBUのメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺した。4月9日にはイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令している。 こうした流れの中、ゼレンスキーの周辺にいる警護のチームはイギリス訛りの英語を話し、ウクライナ国旗の上下を逆さにするような人たちで構成されるようになった。 ウクライナでロシアが戦っている相手はイギリスとアメリカだとも言えるだろう。ウクライナがロシアに降伏するということは、イギリスとアメリカがロシアに降伏することを意味すると言われても仕方がない。**********************************************【Sakurai’s Substack】
2025.01.21
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日本人が政界や芸能界のスキャンダルに気を取られている間に東アジアにおける軍事的な緊張は高まっている。そうした緊張をさらに高めるかのように、アメリカ軍の空母がこの海域に集まりつつある。 アメリカ軍の2空母、セオドア・ルーズベルトとカール・ビンソンは自衛隊とフィリピン海で軍事演習を実施しているが、それだけでなく横須賀には空母ロナルド・レーガンが入港中で、空母エイブラハム・リンカーンは今月の初めにサンディエゴを出航した。数週間のうちに空母ジョージ・ワシントンがロナルド・レーガンと交代するともいう。 2空母を参加させた演習は威嚇行為だと言えるが、それ以上に挑発的なことをアメリカ軍は1983年春に行っている。千島列島エトロフ島の沖で実施した艦隊演習「フリーテックス83」だ。この演習にはエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーの3空母を中心とする機動部隊群が参加、演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したとされている。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年) 米ソ両軍は一触即発の状態だったのだが、日本のマスコミは沈黙していた。その異様さを香港の英字週刊誌「ファーイースタン・エコノミック・レビュー」はからかっていた。(Far Eastern Economic Review, June 16, 1983)さる高名な「軍事評論家」によると、この演習を調べること自体が「政治的」なのだという。その御仁は質問されたことに立腹していた。 演習当時の総理大臣は中曽根康弘。1982年11月に組閣、それから間もない翌年の1月に彼はアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとった。その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと語ったと報道されている。 中曽根はそれをすぐに否定するが、発言が録音されていたことが判明すると、「不沈空母」ではなく、ロシア機を阻止する「大きな空母」だと主張を変えた。このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。 ワシントン・ポスト紙は「大きな空母」発言以外に、「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」と主張し、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語っている。こうした発言はソ連を刺激していた。 そして1983年8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便が航路を北側へ逸脱、NORADの緩衝空域と飛行禁止空域を横断、アメリカ空軍の偵察機RC-135の近くを飛行してからカムチャツカへ侵入、ソ連の軍事基地の上空を飛行している。ソ連側の交信記録によると、ソ連領空へ侵入する際、機影が一時レーダーから消えている。 カムチャツカを横断した後、大韓機はソ連側の警告を無視して飛び続け、サハリン沖で撃墜されたとされている。ソ連側の通信記録を読むと撃墜された航空機はモネロン島の上空で右へ旋回しながら降下したと戦闘機のパイロットは報告しているが、レーダーの記録を見ると左へ旋回している。もしサハリンで飛行が終わらず直進した場合、そこにはウラジオストックがある。ロシア軍の重要な基地がある都市だ。 その年の11月、NATO軍はヨーロッパで大規模な演習「エイブル・アーチャー83」を予定していた。これを軍事侵攻のカモフラージュだと判断したソ連政府は核攻撃に備える準備をはじめるように指令を出し、アメリカのソ連大使館では重要文書の焼却が始まったと言われている。演習を計画していた1983年11月、レーガン政権は戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備、作業は85年の終わりまで続いた。 その後、1991年12月にソ連は消滅、ネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、翌年の2月に世界制覇プロジェクトを作成した。それがアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案だ。この草案を作成したのはネオコンの国防次官だったポール・ウィルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。その時の国防長官はネオコンのディック・チェイニーだった。 このドクトリンによると、旧ソ連圏を乗っ取るだけでなくEUや東アジアを潜在的なライバルと認識、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れると同時に、新たなライバルの出現を防ぐともしている。アメリカはドイツやフランスなどヨーロッパ諸国をロシア攻撃に使うだけでなく、同時に破壊している理由もそこにある。 しかし、当初、日本はウォルフォウィッツ・ドクトリンに従おうとしなかった。ネオコンは怒り、1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表している。その前後に衝撃的な事件が引き起こされたのは、おそらく「偶然」なのだろう。 つまり、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。 1980年代とは違い、空母を集結させる軍事的な意味は大きくない。対艦ミサイルの餌食になるだけだ。アメリカが中国と戦争を始めたならば、ロシアも出てくる。空母の意味は目立つことにあり、つまり示威行動に使える反面、目標にもなりやすいということだ。そういえば、アメリカ軍の戦略的、戦術的能力が低いことをウクライナでの戦闘は明らかにしている。
2024.02.23
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【日本はアメリカの従属国】 日本がアメリカの植民地なのかが国会で問題になった。高市早苗首相は日本を主権国家だと主張したが、日本がアメリカの支配層に従属していることは言うまでもない。 アメリカの支配層の中核には金融資本が存在、その下に日本の外務、軍事、治安のトライアングルが存在している。その支配構造の基盤が「日米安全保障体制」にほかならない。財務省の打ち出す政策もそこから出てくる。自衛隊がアメリカに刃向かう恐れがなくなった現在、アメリカは日本国憲法の第9条を必要としなくなったどころか邪魔な存在になった。 現在の日本は単にアメリカの従属国ということだけでなく、アメリカの戦争マシーンに組み込まれていることは本ブログで繰り返し書いてきた。ソ連が1991年12月に消滅した直後、92年2月にアメリカの国防総省内でDPG(国防計画指針)の草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」が作成された。 そのドクトリンの作成で中心的な役割を果たしたポール・ウォルフォウィッツはネオコンの大物だが、そのネオコンはソ連の消滅でアメリカが唯一の超大国になったと確信、世界制覇戦争を始めようとする。そして作成されたのがDPG草案だ。 その中にはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合して民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。アメリカにとっての平和地帯とは、アメリカが支配し、誰も逆らわないという地域を意味する。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。 また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。 このドクトリンが作成された時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュだが、その政権の中にもネオコンの世界征服プロジェクトが危険だと考える人もいたようで、有力メディアにリークされた。日本の政治家や官僚の中にも危険だと考える人がいただろう。 1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するが、94年4月に崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったが、押し切られている。 日本側の動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。 沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。 この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ急ピッチで組み込まれていく。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、ウォルフォウィッツ・ドクトンに従ってアメリカは世界制覇戦争に乗り出すのだが、日本もそれ追随している。 国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていたが、すでにそうした配慮は放棄されている。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。 日本は中国やロシアと戦争する準備を進めてきたが、高市早苗首相はそうした動きを加速させようとしている。【明治維新から日本は米英の影響下にあった】 ところで、第2次世界大戦で敗北する前から米英の金融資本は日本に大きな影響力を持っていた。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、関東大震災以降、アメリカの巨大金融資本の影響下に入った。復興資金調達の結果、日本の政治や経済をアメリカの巨大金融資本JPモルガンが動かすようになり、治安維持法によって思想弾圧が強化され、「満蒙は日本の生命線」と言われるようになった。その構図を象徴する存在が1932年から駐日大使を務めたジョセフ・グルーだ。 その年にアメリカでは大統領選挙があり、ウォール街が支援していたハーバート・フーバーが落選、ニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが勝利する。1933年から34年にかけてJPモルガンを中心とするウォール街の大物たちはニューディール派政権を倒し、ファシズム体制を樹立すためにクーデターを計画したが、スメドリー・バトラー退役海兵隊少将によって阻止された。 グルーはアメリカの金融資本に属す人物である。彼のいとこ、ジェーンはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥の妻なのだ。しかもグルーの妻、アリスの曾祖父にあたるオリバー・ペリーは海軍の伝説的な軍人で、その弟は「黒船」で有名なマシュー・ペリーにほかならない。こうした背景もあり、グルーは天皇周辺に人脈を持っていた。 グルーが親しくしていた日本人には松平恒雄宮内大臣、徳川宗家の当主だった徳川家達公爵、昭和天皇の弟で松平恒雄の長女と結婚していた秩父宮雍仁親王、近衛文麿公爵、貴族院の樺山愛輔伯爵、当時はイタリア大使だった吉田茂、吉田の義父にあたる牧野伸顕伯爵、元外相の幣原喜重郎男爵らが含まれていたが、最も親しかったのは松岡洋右だと言われている。(ハワード・B・ショーンバーガー著、宮崎章訳『占領 1945~1952』時事通信社、1994年)グルーは1942年6月に離日する直前、商工大臣だった岸信介からゴルフを誘われている。(Tim Weiner, "Legacy of Ashes," Doubledy, 2007) ジョン・W・ダワーによると、「上流階級の一定の『穏健な』人々に対して、個人的な敬意と好意を抱いていることは決して隠そうとしなかった」のだが、日本人一般は人間扱いしていなかった。日本を「全員が女王蜂(実生活では天皇)に使える騒がしいミツバチの巣」に例えていたという。(ジョン・W・ダワー著、猿谷要監修、斎藤元一訳、平凡社、2001年) 豊下楢彦が指摘しているように、第2次世界大戦後、日本はダグラス・マッカーサーと吉田茂ではなく、ウォール街と天皇を両輪として動き始めた。ドイツが降伏する直前、アメリカではフランクリン・ルーズベルト大統領が急死、ニューディール派の力は急速に衰え、ウォール街が実権を奪い返していた。 そうした中、ジャパン・ロビーと呼ばれるグループが戦後日本の基盤を築き上げていく。そのグループの中核的な団体が1948年6月にワシントンDCで創設されたACJ(アメリカ対日協議会)。設立メンバーの中心的な存在はジョセフ・グルー。そのほか、ニューズウィーク誌の外信部長だったハリー・カーン、同誌東京支局長だったコンプトン・パケナム、トーマス・ハート提督、ウィリアム・プラット提督、ウィリアムキャッスル元国務次官、弁護士のジェームズ・カウフマン、ユージン・ドーマン、ジョセフ・バレンタインたちが含まれ、その支援グループにはジョージ・マーシャル国務長官、ロバート・ラベット国務次官、ジェームズ・フォレスタル国防長官、陸軍省のケネス・ロイヤル長官とウィリアム・ドレーパー次官、ジョン・マックロイ、フランク・ウィズナーなどが名を連ねている。 JPモルガンの前はイギリスの金融資本と関係が深かった。例えば、日露戦争で日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシッフと親しくなっている。 この戦争について、セオドア・ルーズベルト米大統領は日本が自分たちのために戦っていると語り、日本政府の使節としてアメリカにいた金子堅太郎はアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦ったと説明していた。1910年に日本が韓国を併合した際、アメリカが容認した理由はこの辺にあるだろう。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 明治維新の背後でもイギリスの怪しげな人脈が蠢いていた。アヘン戦争で清(中国)に勝利したとされているイギリスだが、内陸部を支配することはできなかった。そこで、サッスーン家と同じようにアヘン取引で大儲けしたジャーディン・マセソンは日本に目をつける。 同社は1859年にふたりのエージェントを日本へ送り込んできた。ひとりは長崎へ渡ったトーマス・グラバーであり、もうひとりは横浜のへ送り込まれてあウィリアム・ケズウィック。歴史物語ではグラバーが有名だが、大物はケズウィックだ。母方の祖母は同社を創設したひとりであるウィリアム・ジャーディンの姉なのである。 グラバーとケズウィックが来日した1859年にイギリスのラザフォード・オールコック駐日総領事は長州から5名の若者をイギリスへ留学させることを決め、井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)が選ばれる。この若者は1863年にロンドンへ向かうが、この時に船の手配をしたのがジャーディン・マセソンだ。 薩摩も1865年に留学生15名をイギリスへ派遣しているが、この時に船を手配したのはグラバー。その留学生の中には五代友厚、森有礼、長沢鼎も含まれていた。年少の長沢以外はロンドン大学へ入学した。 その後、薩摩からの送金が途絶えたことから9名の留学生は帰国したが、長沢や森を含む6名はアメリカへ渡り、ニューヨークに拠点があった心霊主義を信奉するキリスト教系団体「新生兄弟」へ入る。イギリスでこのカルトに取り込まれていたのだろう。 何人かはすぐに離脱したが、長沢と森は残る。その森も1868年に帰国したが、長沢ひとりは残った。のちに長沢は教団を率いることになるが、1890年代前半に解散している。その一方、ワインの醸造所を建設してビジネスは成功、「ワイン王」とも呼ばれている。 森は文部大臣に就任、「教育勅語」を作るなど天皇カルト体制の精神的な基盤を作るが、その一方、森の下、日本へ迎えられたルーサー・ホワイティング・メーションを中心に唱歌が作られる。安田寛によると、その目的は日本人が讃美歌を歌えるようにすることにあった。(『唱歌と十字架』音楽之友社、1993年) 日本の中国侵略は1872年に琉球を併合した時から始まる。「維新」で誕生した明治体制は琉球併合の後、1874年に台湾へ派兵、1875年に江華島へ軍艦を派遣、そして1894年の日清戦争、1904年の日露戦争へと進んだが、こうした侵略はアメリカやイギリスの外交官に煽られてのことだった。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.16
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次の「櫻井ジャーナルトーク」を12月19日(火)午後7時から駒込の「東京琉球館」で開催、「ウクライナ後の東アジア」について考えてみたいと思います。予約受付は12月1日午前9時からですので、興味のある方は東京琉球館までEメールで連絡してください。なお、「櫻井ジャーナルトーク」は12月で定期的開催を終了します。東京琉球館https://dotouch.cocolog-nifty.com住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:makato@luna.zaq.jp アメリカの軍事や外交をコントロールしてきたシオニストは1991年12月にソ連が消滅した直後、世界制覇プロジェクトを始めました。その計画書とも言える文書が1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成されています。1990年代以降の世界を考える場合、この文書からスタートしなければならないということになるでしょう。 その当時の国防長官はリチャード・チェイニー、文書作成の中心にはポール・ウォルフォウィッツ国防次官がいました。そこで、この文書は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれています。このドクトリンの前提はライバルのソ連が消滅、アメリカが唯一の超大国になったということであり、他国に気兼ねすることなく、国連を無視して好き勝手に行動できるとチェイニーやウォルフォウィッツを含むシオニスト、いわゆるネオコンは考えました。 しかし、21世紀に入ってウラジミル・プーチンが登場、ロシアの再独立に成功します。そこでネオコンはロシアを再属国化するため、2度のクーデターを仕掛けました。2004から05年にかけて実行された「オレンジ革命」と2013年から14年にかけてのユーロマイダンを舞台としたクーデターです。 しかし、ソ連時代にロシアから割譲された東部や南部では住民の多くがクーデターを拒否、クリミアではロシアと一体化する道が選ばれ、東部のドンバスでは武装抵抗が始まりました。旧体制の軍人や治安機関の少なからぬメンバーがクーデター体制を拒否、その一部は武装抵抗に合流したとも言われています。 抵抗運動は強く、NATOはクーデター体制の戦力を増強しなければならなくなります。そのための時間を稼ぐ必要が生じました。そこで成立させた停戦合意が2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」です。その後、8年かけてNATO諸国は兵士の育成、訓練、兵器の供与などでクーデター体制の戦力を増強しました。 2021年から25年にかけて大統領を務めたジョー・バイデンはロシアに対して軍事的な挑発を強め、クーデター体制は22年に入ると反クーデター勢力への砲撃を強め、大規模な軍事作戦が始まると噂されました。そうした中、ロシアが先手を打って2月にウクライナ軍部隊や軍事施設などを攻撃、戦闘は始まります。 出鼻をくじかれたウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアと停戦交渉を開始しました。交渉の仲介をしていたのはイスラエルとトルコで、仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉内容を詳しく説明しています。トルコ政府を仲介役とする停戦交渉は仮調印にこぎつけていました。 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会っていますが、その3月5日、SBU(ウクライナ保安庁)のメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺してしまいました。そして4月9日、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとウクライナの停戦交渉を壊します。(ココやココ) ジョンソンはウクライナ人に対し、最後のひとりになるまでロシアと戦えと命令、ヨーロッパ諸国に対しては資金と長距離ミサイルをウクライナへ集中させるように求めました。ジョンソンを含むヨーロッパの嫌ロシア派やアメリカのネオコンは簡単にロシアを倒せると信じていたようですが、NATO側が8年かけてドンバス周辺に築いた要塞線も突破されてロシアの勝利は決定的です。最後のひとりになるまで戦えという号令の効果はありません。 すでにウクライナ戦争から距離を置き始めているドナルド・トランプ政権はロシア政府と停戦、安全保障、ヨーロッパの枠組み、将来の関係について水面下で話し合いを進めていると伝えられています。マイアミでアメリカのスティーブ・ウィトコフ中東担当特使とロシアのキリル・ドミトリエフ特使が会談しているようですが、これは事実上、敗者であるNATOと勝者であるロシアとの降伏交渉だと言えるでしょう。トランプ政権としては、その結果がアメリカの降伏に見えないように演出したいはずですが、プーチン政権は「ミンスク合意」の二の舞にならないよう事を進めるはずです。 それに対し、ヨーロッパの嫌ロシア派とアメリカのネオコンはそうした交渉を認めようとしないでしょう。「停戦」ではなく恒久的な和平が決まった場合、欧米諸国で戦争を推進してきた勢力は厳しい状況に追い込まれてしまいます。 権力を維持するため、欧米の「エリート」はベネズエラや東アジアで新たな戦争を始める可能性もあります。1995年以降、日本がアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、中国やロシアと戦争する準備を進めてきたことは本ブログでも繰り返し書いてきました。そうしたことを最終回に考えてみたいと思います。櫻井 春彦
2025.11.21
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NATO事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは6月8日、組織を改革するため、NATO2030なるプロジェクトを始めると宣言した。ロシアと中国に対抗するため、機構を太平洋へ広げ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにしようということのようだ。NATOが出てきた理由は東南アジア諸国がアメリカの思惑通りにならないためだろう。 日本はアメリカと1951年9月8日にサンフランシスコのプレシディオで安保条約に調印、その1週間前に同じ場所でアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約を結んでいる。安保条約国とANZUS条約国に韓国をNATOに加えようということのようだ。 ストルテンベルグは「自由、民主主義、そして法による支配」という価値観を実践すると主張しているが、勿論、戯言。この価値観はNATOを生み出した勢力が破壊してきたものだ。 本ブログでは何度か書いてきたが、NATOはイギリスとアメリカが第2次世界大戦後に設立したACUEをベースにして1949年に設立された。表向きの目的はソ連軍の侵攻に備えるというものだが、当時のソ連軍はドイツ軍との死闘で疲弊、西側を制圧する余力は残されていなかった。真の目的はヨーロッパを支配するためだ。 大戦の終盤、米英両国はコミュニストが主導権を握っていたレジスタンに対抗するため、ジェドバラというゲリラ戦部隊を編成していた。戦争が終わってからそれを基盤にして秘密部隊を編成、NATOが創設されると、その中へ組み込んだ。そうした秘密部隊の中でも最も広く知られているのはイタリアのグラディオだろう。 これも本ブログで繰り返し書いてきたが、イギリスにはユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸国を締め上げていくという長期戦略がある。アメリカはそれを引き継いだ。その戦略をまとめ、1904年に発表したのが地政学の父とも呼ばれているハルフォード・マッキンダー。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づいている。 ユーラシア大陸を締め上げる三日月帯の西の端はイギリス、東の端は日本。イギリスが明治維新に深く関与し、日本に技術を提供、資金を供給したのは日本列島を東アジア侵略の拠点とし、日本人を傭兵として使うためだろう。琉球併合、台湾派兵、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争、韓国併合、そして中国侵略はイギリスの長期戦略に合致している。 イギリスとアメリカの支配階級、より具体的に言うならば両国の巨大金融資本がその後、日本を支配し続けてきたことは本ブログで何度も書いてきた。そうした勢力が日本を支配するために作り上げたのが天皇制官僚システムだ。 ところで、ストルテンベルグは2005年10月から13年10月にかけてノルウェーの首相を務めた人物。その間、2011年7月にノルウェーでは77名が殺されるという事件が引き起こされている。オスロの政府庁舎が爆破されて8名が犠牲になり、ウトヤ島のサマーキャンプ場での銃撃事件で69名が射殺されている。 キャンプ場では与党だった労働党の青年部が企画したキャンプが行われていて、約600名のティーンエージャーが参加していた。犠牲になったのはそうした人びとだ。党幹部にも責任はあったのだが、ストルテンベルグは責任をとっていない。首相を退いた後、彼はNATOの事務局長になり、タカ派ぶりを遺憾なく発揮することになる。
2020.06.25
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは2024年5月に大統領の任期が切れた後も大統領を自称している。そうしたことを可能にしているひとつの理由は彼がイギリスの対外情報機関MI-6を後ろ盾としているからだろうが、ウクライナがロシアに敗北していることを隠し切れなくなった現在、西側のメディアもゼレンスキーにとってマイナスになる情報を伝え始めている。そうした記事のひとつがイギリスの体制派メディアとして知られているスペクテイターに掲載された。 ウクライナ国家汚職対策局(NABU)の捜査により、ティムール・ミンディッチの所有物の中に、純金製のトイレや200ユーロ札が詰まった戸棚などが含まれていることが判明した。ミンディッチは家宅捜索の数時間前に国外へ脱出、イスラエルへ向かったとも言われている。 ミンディッチは不動産、肥料、銀行、ダイヤモンドの取り引きで富を築いているが、ゼレンスキーが率いるテレビ制作会社「クヴァルタル95」の共同所有者でもある。ふたりの関係は緊密だ。 アメリカ大使館が管理していたNABUとSAPO(専門汚職対策検察庁)をゼレンスキーは自分の配下に置くことに決め、自分が任命する検事総長に従属させる権限縮小法案を今年7月に可決させた。自分たちに対する汚職捜査を阻止するためだったと見られているが、この試みは国民の抗議活動を引き起こし、失敗に終わる。アメリカ政府からの圧力もあったはずだ。 NABUが注目していたのは、ロシアのミサイルやドローンからエネルギー施設を守る防空システムの建設を請け負った業者からの「キックバック」疑惑に焦点を当てていたようだ。これは1億ドル規模の汚職計画で、ウクライナの国営原子力発電会社エネルゴアトムを含む大手公営企業が関与していたとされている。 イギリス、ドイツ、フランスの政府や欧州委員会の幹部は今でもゼレンスキーを支援、これまで彼をコントロールしてきたイギリスのMI-6、ゼレンスキーに忠誠を誓っている治安機関のSBU(ウクライナ保安庁)を傘下に置いてきたCIAがどのように出るかが注目されている。 かつてロシア人を虐殺するべきだと主張していたユリア・ティモシェンコ元首相はウクライナが「主権を失いつつあり、権利を奪われた植民地」だと訴えたようだが、2004から05年にかけての「オレンジ革命」でビクトル・ヤヌコビッチ大統領の誕生を阻止された段階で主権は奪われていた。ティモシェンコ自身、ウクライナの主権を放棄した仲間のひとりだ。 西側諸国からウクライナへ流れ込んだ資金の相当部分をゼレンスキーたちが盗んだことは明確になっているが、資金を送った国々の「エリート層」へもキックバックされていた可能性もある。2013年11月から14年2月にかけてキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で展開されたクーデターの後、ウクライナはマネーロンダリングの舞台になったとも言われてきた。盗まれた資金はシティを中心とするオフショア市場のネットワークへ流れ込んでいる可能性が高い。 クーデター当時、アメリカの副大統領だったジョー・バイデンの息子であるハンターはウクライナのエネルギー企業ブリスマ・ホールディングスの取締役を務めたが、元国務省職員でFFO(自由オンライン財団)を創設したマイク・ベンツによると、ブリスマはCIAの作戦であり、ロシアのガスプロムを解体しようとしていたという。 ハンターはNDI(ナショナル民主主義研究所)の所長諮問委員会メンバーを務めていたが、この団体はIRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターなどと同じように、NED(ナショナル民主主義基金)の資金、つまりCIAの資金を流す役目を負っている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.17
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モスクワのトロエクロフスコエ墓地で破壊工作グループがセルゲイ・ショイグ安全保障会議書記を暗殺しようと計画、それをFSB(連邦保安庁)が阻止したと11月14日に発表された。花瓶に偽装された爆弾を国外からの遠隔操作で作動させる仕掛けになっていたようだ。 爆弾を仕掛けようとしたグループには中央アジアからの不法移民、麻薬中毒で有罪判決を受けたロシア人ふたり、そして殺人と武器密売の容疑でロシアが指名手配していたキエフ在住の人物が含まれ、その容疑者とウクライナの情報機関GURの工作員が連絡を取り合っていたことが判明したとされているが、その背後からアメリカやイギリスの情報機関が指揮していたはずだ。 すでにNATOはロシアをテロで攻撃している。例えば、ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊を率いていたイゴール・キリロフ中将は昨年12月17日にモスクワで暗殺された。電動スクーターに取り付けられた爆発物が遠隔操作で作動したという。ウクライナの情報機関が実行したとされているが、その背後にはアメリカやイギリスの情報機関がいる可能性は高い。 実は、2022年2月にロシア軍がウクライナを攻撃する前からCIAはロシア政府の高官を暗殺していた疑いが濃厚だ。バラク・オバマ政権は2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、その2年後の16年8月、マイク・モレルはチャーリー・ローズの番組に出演した際、司会者のローズに対し、ロシア人やイラン人に代償を払わせるべきだと語ってる。ローズからロシア人とイラン人を殺すという意味かと問われると、その通りだと答えたうえ、わからないようにと付け加えているのだ。モレルは2010年から13年までCIA副長官を務めた人物。退職した理由はヒラリー・クリントンを支援するためだった。 その発言の直後、2016年9月6日にモスクワでウラジミル・プーチン露大統領の運転手を40年にわたって務めた人物の運転する公用車に暴走車が衝突、その運転手は死亡。 さらにロシア政府の幹部が変死していく。例えば、2016年11月8日にニューヨークのロシア領事館で副領事の死体が発見され、12月19日にはトルコのアンカラでロシア大使が射殺されている。その翌日、12月20日にはロシア外務省ラテン・アメリカ局の幹部外交官が射殺され、12月29日にはKGB/FSBの元幹部の死体が自動車の中で発見された。2017年1月9日にはギリシャのアパートでロシア領事が死亡、1月26日にはインドでロシア大使が心臓発作で死亡、そして2月20日にはロシアの国連大使だったビタリー・チュルキンが心臓発作で急死した。モレル発言の前、2015年11月5日にはアメリカ政府が目の敵にしてきたRTの創設者がワシントンDCのホテルで死亡している。 テロを実行するのは軍事的に相手を倒すことが困難な集団、つまり弱者が採用する戦術だ。CIAやMI6には正規軍を動かす力はなく、破壊活動、つまりテロを使うしかない。ウクライナでは当初、ウクライナ軍を手先として利用していたが、兵士も兵器も枯渇してロシアに勝つことは不可能に近い状態になっている。少しでもロシアを疲弊させようとアメリカやヨーロッパの国々はウクライナ政府に対して対ロシア戦争の継続を命令してきたが、限界に達し、NATO軍が前面に出ざるをえなくなっている。 ロシア軍が掃討作戦を進めているポクロフスクではGURが特殊部隊をUH-60Aブラックホークで送り込み、救出しようとしたが、これは包囲された舞台の中にCIAの上級工作員、あるいはNATOの将校がいるからだと見られている。 また、キエフ州ボルィースピリにある特殊部隊の訓練基地をロシア軍はマッハ10という極超音速ミサイルのキンジャールで破壊したが、そこで訓練を受けていた傭兵の出身国はドイツ、フランス、イギリス、そしてポーランドだとされている。ロシア軍はスムイにある深さ50メートルという地下バンカーを極超音速巡航ミサイルのツィルコンで破壊したとも伝えられているが、そこにはイギリス軍の将軍とフランス軍の大佐、そしてウクライナのGUR(国防省情報総局)高官がいたという。キリーロ・ブダノフが公の席に現れるかどうかが注目されている。 西側ではNATOの正規軍が出てくると主張する人もいるが、アメリカ軍が出てくる可能性は小さく、ヨーロッパ諸国だけではロシア軍に蹴散らされることは必至だ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.11.19
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イタリアではCOVID-19(新型コロナウイルス)の患者に抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンが処方され、効果を上げているという。19世紀の終盤、イタリアではマラリアで毎年1万5000人から2万人が死亡したと報告されているが、2013年から17年にかけても流行している。21世紀に入って流行した地域とCOVID-19の患者が多い地域とは重なるようだ。 すでにCOVID-19を沈静化することに成功した中国では、キューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2bが有効だったとされ、ワクチンの開発も進んでいる。世界的に見ても病気を収束させるめどが立ったと言えるだろうが、その段階になって西側では危機感を煽る動きが目立つようになった。
2020.03.25
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日本の医薬品メーカー「興和」は1月31日、イベルメクチンが「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症」の治療に有効だと確認したと発表した。この医薬品の有効性については既にインドやメキシコで確認済み。メキシコの保健省と社会保険庁によると、2020年12月28日からCOVID-19の治療に使われ、入院患者を大幅に減らしている。興和と北里大学による共同研究はそれを再確認したと言える。 最初に「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」が発見されたとされる中国では2002年のSARSにおける経験から「インターフェロン・アルファ2b」を使用し、有効だったと報道されている。この薬品の有効性を見つけ出した中国軍の陳薇は今回のケースでも現場を指揮、やはり病気の早期沈静化に成功している。 この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされ、吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。中国の習近平国家主席は2020年2月28日、キューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 このほか、抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは早い段階から研究者や現場の少なからぬ医師が主張、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。 こうした治療薬の存在は「ワクチン」の接種が始まる前から知られていたが、国際機関であるWHO(世界保健機関)、あるいはアメリカのFDA(食品医薬品局)やCDC(疾病管理予防センター)を含む各国の政府機関は封印しようとしてきた。COVID-19騒動は史上類を見ない薬害、あるいは大量殺戮の様相を呈してきたとも言えるだろう。(参考)櫻井ジャーナル:「中国でCOVID-19を沈静化させたのはロックダウンでなくインターフェロン」
2022.02.01
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アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は2月4日現在、前の週より466名増え、2万3615名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人強から200万人強に達するということになる。 世界的に見ると、COVID-19は「枯れ尾花」にすぎないと考える人が増えてきた。日本の政府やマスコミは依然としてCOVID-19を悪霊として描き、「COVID-19ワクチン」を接種させようと宣伝しているが、これは例外的だろう。「オミクロン」になってからパンデミック推進派は息切れしている。 この「変異種」が最初に発見された国のひとつ、南アフリカで政府の主席顧問を務めるバリー・シューブは最初からオミクロンが深刻な事態を引き起こしているとする話を否定していた。南アフリカ医師会のアンジェリーク・クーチー会長も症状はないか軽いとしている。昨年12月20日、アメリカのテキサス州ハリス郡で「オミクロン」で患者がひとり死んだと発表されたが、これは例によって死者がオミクロンに感染していたと判定されただけで、死因は別にあったようだ。 アメリカのジョー・バイデンは「COVID-19ワクチン」を強制接種しようと必死だが、逆風が強まっている。
2022.02.12
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ジョン・ボルトンは7月12日、CNNの番組でアメリカが外国でクーデターを実行してきたことを認めた。ホスト役のジェイク・タッパーから2021年1月のホワイトハウスでの抗議活動について質問され、それに対する答えの中でのことだ。 ボルトンはロナルド・レーガン大統領から共和党政権でホワイトハウスの中枢で活動、ドナルド・トランプの下では国家安全保障補佐官を務めた人物。つまり当事者としての発言だけに、注目されている。 クーデター計画の例としてボルトンはベネズエラのケースを挙げている。彼が国家安全保障補佐官を務めていた2019年4月、ベネズエラではクーデターが試みられている。クーデター政権の大統領としてアメリカ政府が用意したのはフアン・グアイド。カラカスの大学を卒業した2007年にアメリカのジョージ・ワシントン大学へ留学、14年の反政府行動では指導者のひとりとして参加している。 アメリカ政府が目論んだクーデターは定番の「カラー革命」方式。その中心グループは2003年にセルビアで設立されたCANVAS、その組織を設立した「オトポール(抵抗)!」から手ほどきを受けていた。訓練のため、アメリカの支配層は2005年に配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。 オトポール!は1998年、スロボダン・ミロシェビッチの体制を倒す目的で作られた。これらにはアメリカのNED(ナショナル民主主義基金)、IRI(国際共和研究所)、USAID(米国国際開発局)などから、つまりCIAから資金が提供されている。 ベネズエラでカラー革命が失敗した後に一部の部隊が軍事蜂起、ラ・カルロタ空軍基地の外で銃撃戦があったのだが、これも失敗に終わった。事前にクーデターを持ちかけられた軍人や政府高官の相当数が提案に同意、成功すると見通したようだが、そうした軍人や政府高官の多くの同意は嘘で、アメリカ側をトラップにかけたという話も流れていた。アメリカ側でこのクーデター計画を指揮していたのはエリオット・エイブラムズだとされている。 アメリカがベネズエラの体制転覆工作を始めたのはウゴ・チャベスが大統領に就任して間もないころで、2002年にはクーデターを試みた。そのクーデターを背後で指揮していたのは1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、1981年から85年までのホンジュラス駐在大使、2001年から04年までは国連大使、04年から05年にかけてはイラク大使を務めたジョン・ネグロポンテ、そしてイラン・コントラ事件に登場したエイブラムズだ。ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画された。 エイブラムズが中米でCIAの秘密工作に参加した1980年代、ニカラグアではCIAが操っていた反革命ゲリラ「コントラ」が活動、エル・サルバドルでは「汚い戦争」が展開されていた。いずれも少なからぬ市民が殺されている。 2002年と06年のクーデターに失敗した後、07年にアメリカは「2007年世代」を創設、09年には挑発的な反政府運動を行った。こうしたベネズエラの反政府組織に対し、NEDやUSAIDは毎年4000万ドルから5000万ドルを提供する。ベネズエラでのクーデター工作をアメリカの支配層は継続中だ。 第2次世界大戦後、アメリカの支配層は目障りな体制を転覆させてきたが、最初のターゲットはイタリアだ。本ブログでは繰り返し書いてきたように、西ヨーロッパでドイツ軍と戦ったのは事実上、レジスタンスだけ。その中心がコミュニストだったことからフランスやイタリアではコミュニストが強く、1948年の総選挙でコミュニストが勝利することをアメリカは懸念した。 そこでジョージ・ケナンはコミュニストを非合法化するべきだと主張し(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press, 2008)、イタリアの選挙結果がアメリカ側の思惑どおりにいかなければフォッジア油田をアメリカ軍が直接占領するとも言っていた。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年) この選挙工作を指揮していたのはCIAのジェームズ・アングルトンだが、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)のジェイ・ラブストーンとアービング・ブラウンも協力している。労働組合とはこのようなものだ。どこかの国だけの問題ではない。 ラブストーンはアメリカ共産党の元幹部で、ブラウンは戦時情報機関OSS出身。工作資金は労働組合ルートからイタリアの社会党へ流れ込んでいく。そしてコミュニスト排除の動きが始まった。(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press, 2008) その後、イタリアではNATOの秘密部隊が配下のファシストを利用、1960年代から80年代にかけ、極左を装った爆弾テロを繰り返して治安システムの強化を国民に受け入れさせ、左翼を弱体化させている。 一方、CIAは1953年にイランでムハマド・モサデク政権を、54年にはグアテマラのヤコボ・アルベンス・グスマン政権を、73年にはチリのサルバドール・アジェンデ政権をそれぞれクーデターで倒している。勿論、アメリカの体制転覆工作は枚挙にいとまがなく、これらは氷山の一角に過ぎない。2014年にはウクライナでもクーデターを成功させた。
2022.07.16
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CNBCの番組でホストを務めているジム・クレイマーは11月29日の番組で、全アメリカ人に「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を強制接種させるために軍隊を投入するようジョー・バイデン大統領に求めた。強制接種を打ち出しているバイデンだが、まだ手緩いといういうことだろう。 アメリカを含むいくつかの国で強制接種を言い出しているのは、それだけ抵抗が強いからにほかならない。「ワクチン」の効果に疑問があるうえ、深刻な副作用が報告されているわけで、当然の反応だ。中長期的にどのような問題が出てくるかもわからない。「ワクチン」を口実にして導入が図られているデジタル・パスポートは人類の管理を強化するためのものだ。 帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)だけでなく、体の麻痺は早い段階から報告され、今年4月頃からイスラエルで「mRNAワクチン」が年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすと言われるようになった。心筋の問題はFDA(食品医薬品局)やCDC(疾病予防管理センター)も無視できず、緊急会議を開いている。 「ワクチン」の接種が始まる前からADE(抗体依存性感染増強)の問題は懸念されていた。コロナウイルスの表面にあるスパイク・タンパク質と呼ばれる突起物を「ワクチン」は体内で製造、そのスパイク・タンパク質に抗体を作らせることになっているのだが、抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させることがある。その結果、人間の免疫システムに任せておけば問題のない微生物で深刻な病気になるわけだ。 「ワクチン」の接種を宣伝している医者のひとりがブログで引用していた著作を書いたポール・オフィットもADEを懸念していたひとり。過去の例として、デング熱ワクチンのケースを語っている。 デング熱のワクチンはアメリカ軍が生物化学兵器の開発拠点にしているフォート・デトリックで作られたもので、開発の資金はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団が提供した。この病気は1970年代からキューバに対し、生物兵器として使われているが、そのワクチンをGSK(グラクソスミスクライン)がタイで試験的に投与している。2016年4月にはベニグノ・アキノ3世時代のフィリピンでデング熱ワクチンは接種され、深刻な副作用が問題になった。接種しないケースより悪い結果になると言われている。 2009年にはシアトルを拠点とするPATHなるNGOがインドのテランガーナ州で9歳から15歳の少女1万6000名に対してメルク製とグラクソウスミスクラインの子宮頸癌ワクチンを接種、COVID-19よりはましだと言えるだろうが、深刻な副作用で死亡者も出て問題になった。 このNGOに資金を提供していたのもビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団。インド政府は2017年、インド公衆衛生基金などのNPO法人がこの財団を含む外国のスポンサーからの資金受領を禁止した。 こうした「ワクチン禍」を引き起こしたビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の仲間は世界規模で過去に例がないほどリスクの高い「ワクチン」を強制接種しようとしている。
2021.12.02
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ウクライナではポーランドへ脱出しようとするインド人学生が国境でウクライナの兵士や警官に阻止され、その際に棍棒などで殴打されているのだが、その一方で脱出できる人もいる。西側メディアの表現を借りれば、「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」だ。 アメリカのジョー・バイデン政権は発足してまもない頃から外交、経済、軍事、あらゆる手段を使ってロシアを恫喝、今年2月17日頃からウクライナ側からドンバスに対する攻撃が激しくなる。本格的な軍事作戦が始まりそうだったのだが、2月21日にドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、軍事作戦を始めた。戦争が不可避なら先手を取るとウラジミル・プーチン露大統領は口にしていたようだが、それを実行したと言えるだろう。いわば「後の先」だ。 そのためか、西側の特派員らは本音を口にしてしまったようだ。ロシア軍の攻撃で「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」が殺され、難民化することを西側の特派員は悲しんでいる。彼らによると、文明が遅れているイラクやアフガニスタンとは違うらしい。世界各地から西側メディアに対する怒りの声が上がっている。優生学丸出しだ。 1997年1月からビル・クリントン政権の国務長官を務めたマデリーン・オルブライトはその前年、経済制裁で死に至らしめられたイラクの子ども約50万人について意見を求められ、アメリカが目指す目的のためには仕方がないと言い放った。悲しみを感じていないようだ。彼女は1998年秋、ユーゴスラビアに対する空爆を支持すると表明。これは先制攻撃である。 オルブライトはヒラリー・クリントンと親しく、コロンビア大学でズビグネフ・ブレジンスキーの教え子でもあった。バラク・オバマの師でもあるブレジンスキーは1970年代、イスラム系カルトのワッハーブ派やムスリム同胞団を軍事訓練した上でアフガニスタンへ送り込み、破壊活動を展開してソ連軍の介入を誘い、戦争の泥沼へ引きずり込むことに成功した。この時に作られたジハード傭兵を募集し、訓練するシステムが「アル・カイダ」の基本になっている。 オルブライトはビジネス戦略を提供している「オルブライト・ストーンブリッジ・グループ」の会長を務めている。現在、国務副長官を務めているウェンディー・シャーマンや2014年2月のクーデターでウクライナを破壊したビクトリア・ヌランドはその会社で上級顧問を務めていた。
2022.03.02
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アメリカでCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染者数が増えているようだが、増えているのか前から存在するのかは明確でない。同国のCDC(疾病管理センター)によると、今シーズン(2019年から20年)のインフルエンザの患者数は少なくとも3200万人、死者は1万8000人を超えたとされているが、その中にCOVID-19の患者が含まれている可能性もある。はっきりしないのは、COVID-19の検査に力を入れていなかったからだ。 自分たちに都合の悪い事実を調査しないのは日本も同様。東電福島第一原発の事故によって環境中へ放出された放射性物質の情況、その放射性物質が人びとをどの程度汚染したか、その人体への影響がどうなっているか、あるいは水俣病など公害病の実態など、日本の支配システムを動かしてきた「エリート」は調べたがらない。調べなければ数字は出てこず、数字が出てこなければ事実がないことにできるというわけだ。 日本ではHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に汚染された血液凝固因子製剤が原因で血友病の患者などがエイズに感染、大きな問題になったことがある。遅くとも1983年の段階で非加熱の血液凝固因子製剤が危険だと専門家の間では認識されていたことから、その責任を問う裁判が1989年に起こされている。 当時の厚生省事情に詳しい人によると、同省の官僚たちは当初、日本でもアメリカと同じように性的な行為による感染が拡大し、その中に血液凝固因子製剤による感染は埋没してしまうと見通していたのだが、見通しとは違った展開になり、官僚は自分たちの責任が問われることを恐れ、慌てたというのだ。この話が正しいかどうかは不明だが、エイズ患者の総数が増えれば薬害エイズは注目されなかっただろう。 COVID-19情況を隠そうとしていたアメリカや日本の政府がここにきて危機感を煽り、人びとを怯えさせている。怯えた人間は操りやすいと考えられているらしく、街のチンピラも治安機関も情報機関もさまざまな手段を使って脅すが、ここにきて同じ手法がとられているように見える。多くの人を脅すために重要な役割を果たしているのがメディアだ。 1960年代から80年にかけてイタリアでは爆弾テロが相次いだ。政府や有力メディアは極左の犯行だと宣伝したが、イタリアの情報機関が手先として使っていたグラディオという秘密組織が実行していたことが後に判明する。 その情報機関は第2次世界大戦後、SIFAR、SID、SISMIと名称を変更しているが、違法活動が発覚したことが変更の理由。秘密組織はNATOに所属しているが、その背後にはアメリカやイギリスの情報機関が存在する。NATOの秘密組織はネットワークを形成、ヨーロッパを米英がコントロールするために使われてきた。 グラディオが爆弾テロを繰り返した目的は、コミュニストが強かったイタリアの左翼を潰して治安システムを充実させる、つまり収容所化を推進することにあった。これは成功したと言えるだろう。 人びとを脅すために「妖怪」を作り出すこともある。オサマ・ビン・ラディンやダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)にもそうした側面があったが、最近はCOVID-19(新型コロナウイルス)が使われていると言えるだろう。
2020.03.30
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ワシントン・ポスト紙でコラムニストを務めるマーク・スィースンによると、中国にCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大の法的な責任があるのだという。アメリカ人が監禁状態になり、失業者が増え、死人が出ているのは中国のせいであり、アメリカの貧弱な社会システムとは無関係だというわけだ。 戯言なのだが、この戯言を書いた人物は戯言を作り出すことを生業としてきた。1995年から2001年にかけてジェシー・ヘルムズのスピーチライターを務めた後、ジョージ・W・ブッシュ政権で国防長官に就任したドナルド・ラムズフェルドの主任スピーチーライター、そして後にブッシュ大統領のスピーチを書いていたチームに加わった。ヘルムズはジョン・ボルトンの後ろ盾でもあった。 2009年1月にブッシュがホワイトハウスを去ると、スィースンはネオコン系のフーバー研究所やAEIのフェローになり、2010年3月からはワシントン・ポスト紙のコラムニストだ。 ワシントン・ポスト紙を「言論の自由の象徴」と考える人が日本には少なくないようだ。ウォーターゲート事件の影響だろうが、この事件を取材したことで有名な元ワシントン・ポスト紙記者のカール・バーンスタインによると、アメリカの有力メディアとCIAは緊密な関係にある。400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) メディアをコントロールするプロジェクトをCIAが始めたのは第2次世界大戦が終わって間もない頃。デボラ・デイビスによると、1948年頃からモッキンバードと呼ばれる情報操作プロジェクトが始められている。アメリカの有力メディアに「リベラル派」とか「左翼」と呼べるようなものは存在しない。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) こうした工作はアメリカ国内に留まらない。ドイツの有力紙、フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の編集者だったウド・ウルフコテによると、ジャーナリストとして過ごした25年の間に彼が教わったことは、嘘をつき、裏切り、人びとに真実を知らせないことで、多くの国のジャーナリストがCIAに買収されているとしている。 彼が告発を決意したのは、人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開、人びとをロシアとの戦争へと導き、引き返すことのできない地点にさしかかっていると感じたからだという。2017年1月、56歳のときに彼は心臓発作で彼は死亡した。 言うまでもなく、ブッシュ政権はイラクを先制攻撃してサダム・フセイン政権を倒したが、その攻撃を正当化するため、ブッシュ政権はイギリスのトニー・ブレア首相の協力を得て大量破壊兵器に関する偽情報を広めた。その偽情報の流布に果たしたマーク・スィースンの役割は軽くない。 アメリカ主導軍はイラクを侵略したわけだが、その結果、100万人を超すとイラク人を殺したとも推計されている。例えばアメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から2006年7月までに約65万人のイラク人が殺されたと結論、イギリスのORBは2007年夏までに94万6000名から112万人が死亡、またNGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたとしている。 その後、バラク・オバマ政権はジハード傭兵を使った侵略に切り替えたが、戦争自体は現在も継続され、中東から北アフリカにかけての地域は破壊と殺戮でこの世の地獄と化している。スィースンはその責任を感じていないようだ。そのスィースンは、つまりネオコンはCOVID-19の問題で中国を誹謗中傷している。 ネオコンは1991年12月にソ連が消滅した際、アメリカは唯一の超大国になり、世界制覇は間近に迫ったと考えた。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、当時の国防次官でネオコンの大物として知られるポール・ウォルフォウィッツは1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると語っている。(3月、10月) その当時はジョージ・H・W・ブッシュが大統領で、ウォルフォウィッツの上司にあたる国防長官はリチャード・チェイニー。1992年2月にこの人脈は国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成した。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」で、ソ連のようなライバルが出現することを阻止、力の源泉であるエネルギー資源を支配しようという内容だった。 ネオコンが潜在的なライバルとして最も警戒した国は中国。そこで東アジア重視が打ち出される。必然的に日本の戦略的な役割は重くなり、アメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。それがナイ・レポート以降の動きに反映されている。COVID-19を口実として進められている収容所化もそうした戦略の延長線上にある。
2020.04.21
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すでに中東ではUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)が戦闘で重要な役割を果たしているが、COVID-19(新型コロナウイルス)の伝染拡大を理由にしてロックダウンを宣言、つまり人びとを監禁状態にしている国の中にはUAVを利用して人びとの行動を監視しているところも現れた。そうした国のひとつがアメリカ。通行人相互の距離を計測できるカメラはすでに存在、ひとりひとりの体温を調べることも可能だ。 こうした監視システムの高度化を飛躍的に進めると見られているのが5G(第5世代移動通信システム)。これは健康に悪い影響があるとも指摘されているが、アメリカの支配層はこの技術を世界支配の道具にしようとしている。 ところが、その技術でアメリカは中国に先行されている。アメリカがファーウェイ・テクノロジーズ(華為)を攻撃してきたのはそれが大きな理由だ。 昨年10月31日から11月3日にかけて中国国際情報通信展が北京で開催されたが、その開会セレモニーで5Gの商業的な利用が武漢で始まると宣言されている。またこの展覧会ではファーウェイ・テクノロジーズはアメリカからの圧力を批判、そうした情況が続くなら報復するとしていた。5Gの問題でもアメリカと中国の対立は激しくなっていたのだ。 その武漢では展覧会の半月近く前、10月18日から27日にかけて軍人の競技会が開かれ、アメリカも400名近い選手団を派遣。そして11月中旬、あるいは12月からそこでCOVID-19の感染が始まった。
2020.04.25
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安倍晋三首相は5月25日に緊急事態の解除を宣言した。WHO(世界保健機関)が3月11日にパンデミックを宣言、これを受けて3月13日にアメリカ政府は国家緊急事態を宣言、イギリスのボリス・ジョンソン首相は3月23日にロックダウン(監禁)を宣言、そして4月7日に安倍政権は緊急事態を宣言した。こうして世界的な収容所化の流れが作られたわけである。 新型コロナウイルス(COVID-19)の患者が今年に入って中国の武漢で発見されたところから騒動は始まるが、当初、それほど深刻な病気だとは認識されていなかった。3月に入る頃には伝染が沈静化している。イギリス政府は3月19日にCOVID-19をHCID(重大感染症)から外している。中国で感染が抑え込まれそうになったのを見て、あわててWHOはパンデミックを宣言したようにも見える。 日本政府の緊急事態宣言が遅れたことについて、東京オリンピックを開催させるために安倍政権は感染の拡大を認めなくなかったからだと言われた。確かにそうかもしれないが、COVID-19で人びとを脅して世界を収容所化することはアメリカやヨーロッパの支配層による戦略であり、安倍政権のローカルな利権など守られるはずはなかった。 イギリス政府がHCIDから外すような病気、しかも世界に蔓延する前にパンデミックをWHOが宣言できたのはパンデミックの定義が変更されていたからだ。2009年1月から10年8月にかけて新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が流行、有力メディアが危機感を煽っていたが、定義変更はその前。新型インフルエンザの時もWHOはパンデミックを宣言したのだが、定義変更がなければパンデミックを宣言できなかったと考えられている。これについては西側の有名メディアもインチキだと報じていた。 パンデミックの判断はWHOのSAGEが行うが、そのメンバーの過半数は大手薬品メーカーやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と緊密な関係にあることが知られている。中でもオランダのアルベルトゥス・オステルハウスが製薬会社を大儲けさせるWHOの判断に重要な役割を果たした。つまり大手製薬会社と結びついている人びとがパンデミックを宣言させたのである。昔の定義なら、今回もパンデミックを宣言できなかっただろう。 今回、致死率はアメリカやEUが高く、東アジアは低い傾向があるのだが、人びとの行動を厳しく制限したのはEUだ。国家規模のロックダウンを実施したのはイギリスのほかフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギーも含まれている。 この点についてJPモルガンは調査、ロックダウンは失敗したと結論づけた。感染を止められず、人びとから仕事を奪うことになったというのだ。そこでロックダウンを解除する国が増えているのだが、解除した後に感染は減少しているという調査結果も出ている。 ロックダウンの解除はアメリカ経済にとって危険だとNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長は主張していたが、今のところ逆の結果が出ている。ファウチにとって重要なことはワクチン接種を世界規模で進めることだろう。 本ブログでは何度か書いたことだが、欧米の死亡者数には疑問が投げかけられている。例えば、アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は4月8日にFoxニュースの番組に出て、病院では死人が出ると検査をしないまま、死亡診断書に新型コロナウイルスと書き込んでいると語っている。死者数の水増し。新型コロナウイルスへ感染していた場合、病院が受け取れる金額が多くなるからで、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるという。利益誘導だ。 イタリアの場合、健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディによると、コロナウイルスが直接的な原因で死亡した人数は死者全体の12%にすぎないという。またCOVID-19が原因で死亡したとされる患者の中で96.3%の死因はこのウイルスではないとビットリオ・スガルビ議員は主張している。 アメリカでもEUでも死亡者数を水増ししていることになるが、日本政府が検査に消極的だった理由は死亡率を下げたくなかったからではないかという見方がある。 COVID-19で危機感を煽り、収容所化政策を推進している人びとはワクチンを接種させようと必死だが、その危険性が知られるようになってきた。そこでワクチンの強制接種がイギリスで言われ始めている。
2020.05.26
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ヒドロキシクロロキンという抗マラリア剤が新型コロナウイルスの有効な薬のひとつとして注目されているが、そうした評価を否定する論文がイギリスのランセット誌とアメリカのニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されたことは本ブログでも紹介した。ランセット誌に掲載されたのは5月22日、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されたのは6月3日(オリジナルは5月1日)のことだ。 ふたつの論文が依拠しているデータを作成したのはサージスフィアという2008年に設立された医療分析会社だが、そのデータの信頼度に重大な疑問があることが発覚、両誌がその事実を告知した直後の6月4日にふたつの論文は撤回された。サージスフィアの分析能力に疑問が持たれているだけでなく、データそのものが存在しない疑いがある。論文が発表された後、世界各地の研究者からデータに対する疑問の声が挙がっていた。 論文を作成するための資金を提供したのはブリガム・アンド・ウィメンズ病院で、そこの医師が執筆に参加しているのだが、その病院はギリアド・サイエンシズと協力関係にあり、同社が開発した抗ウイルス剤、レムデシビルの臨床実験を行っている。 言うまでもなくレムデシビルとヒドロキシクロロキンはライバル関係にあるのだが、その事実を執筆者も雑誌編集者も明らかにしていなかった。新型コロナウイルスに関してはヒドロキシクロロキンのほかクロロキン、そしてキューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2bが有効だと報告されている。レムデシビルやワクチンの開発を有力メディアは宣伝しているが、奇妙な話だ。
2020.06.06
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SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の蔓延を理由にして社会の収容所化が推進され、経済活動は麻痺、ワクチンの強制的な接種が目論まれている。このワクチンは人類を個体単位で監視するシステムにとって重要な役割を果たすと見られているが、このシステムのもうひとつの柱が5G(第5世代移動通信システム)だ。 昨年10月にジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、世界経済フォーラムがニューヨークでイベント201を主催し、そこでコロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーションが行われた。そのシナリオによると、18カ月間で6500万人が死亡するとされている。 そのイベント201を主催した団体のひとつ、世界経済フォーラムは新型コロナウイルスの伝染を利用し、資本主義の大きなリセットが必要だと訴えている。彼らは資本主義以外を認めていないので、生産システムを支配する一部の富豪が大多数の庶民を従属させる体制を変えるつもりはないだろう。 彼らが国の仕組みを弱体化させ、私有化を促進させてきたことを考えると、1%を遙かに下回る富豪を中心とする私的権力による支配体制への移行を目論んでいるように思える。本ブログでは繰り返し書いてきたが、フランクリン・ルーズベルトは私的権力が国を支配する仕組みをファシズムと呼んだ。私的権力が支配する無政府体制とも言える。そうした体制へリセットするつもりだろう。 現在、新型コロナウイルスへの恐怖を利用して社会を収容所化し、人間関係を断絶、さらに経済活動を麻痺させて庶民をさらに弱体化させてようとしている人びとがいるが、そうした政策は米英の支配層が19世紀から続けている長期戦略、ソ連が消滅した直後に始められた中期戦略に合致している。 長期戦略とはユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げていくというもの。内陸国であるヨーロッパ諸国は2度の世界大戦で弱体化、残されたロシアと中国が現在のターゲットになっている。両国とも一度は米英の軍門に降ったが、曲がりなりにも再独立に成功、戦略的な同盟関係を築き、その中露を中心とするネットワークができつつある。 中期戦略とは1992年2月にアメリカ国防総省のDPG草案という形で作成された世界制覇プラン。アメリカが唯一の超大国になったという前提で書き上げられた。 その当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。執筆の中心がウォルフォウィッツだったことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれる。このドクトリンに基づいてネオコン系シンクタンクのPNACが2000年に「アメリカ国防の再構築」という報告書を出した。 2000年にはアメリカで大統領選挙があり、当選したのはジョージ・W・ブッシュ。この政権はPNACの報告書に基づき、つまりウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいて国際問題に関する政策は決めた。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンは旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルが実際のライバルへ成長することを阻止すること、そして力の源泉であるエネルギー資源を抱える西南アジアを制圧することを目的にしていた。そうした中、日本の経済は銀行や証券会社のスキャンダルなどもあり、崩れていくが、中国は潜在的なライバルとしてアメリカに警戒されていた。そこでPNACもバラク・オバマ大統領も東アジア重視を打ち出したのだ。 ところが、中国とロシアは21世紀に入ってから実際のライバルに成長してしまう。そうしたライバルや潜在的ライバルだけでなくアメリカも新型コロナウイルスで疲弊しているが、リセット後の資本主義世界を支配するつもりらしい強大な私的権力は富を増やし、ファシズム体制の樹立に向かって驀進している。その体制を安定させるためには中国やロシアを従属させる必要がある。そうした状況の中、米英の支配層にとって幸運なことに、新型コロナウイルスの伝染が始まったわけだ。
2020.07.13
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アメリカの有力メディアはSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の悪霊化するための宣伝を続けているが、その宣伝に異を唱える医師のグループが活動している。その人びとの主張を紹介する映像も存在するのだが、ユーチューブもツイッターもフェイスブックもそうした映像を削除してしまった。人びとを脅そうとしている支配者は追い詰められているとも言える。 本ブログでも何度か紹介したが、ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は2010年5月に「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表している。 そのシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者になるとされている。経済活動へのダメージも想定され、人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていた。 また、社会的にはマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定。市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄、電子技術の基盤が整備されている先進国では全ての市民に生体認証が義務づけられるとされている。 この報告書では感染の拡大を抑制することに成功する国も存在するとしている。その例として示されているのが中国。「強制的な隔離」、つまりロックダウンが機能するという想定だ。つまり、パンデミックが発生したならロックダウンしろというメッセージだろう。 今回、ヨーロッパ諸国の多くはロックダウンしたが、スウェーデンはそうした政策を取らなかった。経済のダメージが大きく、フラストレーションから飲酒や喫煙へ逃げ込む人が増えるだけでなく、失業、ホームレス、そして自殺の増加といった深刻な社会問題を引き起こすことが懸念されたことも、そうした政策を取った理由だろう。そのスウェーデンにおける死亡者数はヨーロッパの中で高いとは言えず、4月中旬から大きく減少している。ロックダウンは有効と言えないのだ。 また治療薬の存在も指摘されている。ヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると方法の有効性はフランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループが3月の段階で報告していた。このコンビネーションが有効だとアメリカ人医師のグループも指摘している。 ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。キューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2bの有効性も中国で確認されたと言われている。 勿論、感染を拡大させる要因が存在していることも間違いない。日本では女性や男性が客に酒の接待をする店、あるいは風俗店などが感染を広める原因になると言われている。早い段階から指摘されていたが、何か方策が講じられたようには思えない。後にそうした店は危機感を煽るために使われていた。 しかし、それ以上に警戒すべきなのはアメリカ軍だろう。アメリカ兵の出国や入国はチェックできない。 SARS-CoV-2の感染者が最初に見つかったのは中国の武漢。昨年12月31日にそこで原因不明の肺炎患者が見つかったとWHOへ報告があったのだが、その後、武漢がある湖北省で11月17日に患者が出ていると確認されている。 その前月、10月18日から27日にかけて武漢では各国の軍人が集まって競技会が開かれた。アメリカ軍からは172名が競技者として参加、代表団の総勢は369名だったという。アメリカでは昨年夏、陸軍感染症医学研究所があるフォート・デトリックの施設が数カ月にわたって閉鎖されている。その際、何らかの病原体が環境中に漏れ出た可能性は否定できない。 パンデミックとして有名なスペイン風邪は1918年2月から流行しているが、最初の患者はアメリカのカンザス州にあるフォート・ライリーにいたアメリカ兵だと言われている。前年の夏、ここには新兵を訓練するためにキャンプ・ファンストンが建設され、そこで新兵は訓練を受けていたのだ。そして訓練中に多くの兵士が感染、フランスへ向かう船の中で少なからぬ死者が出たという。さらにアメリカ兵はヨーロッパでインフルエンザを広げることになった。 アメリカの一部支配者は、SARS-CoV-2を悪霊化して見せることで人びとを恐怖させ、社会を収容所化して人びとに主権とプライバシーを放棄させようとしている。そうした「テロ政策」を広める役割を果たしている学者は日本にもいて、その学者を崇めている人もいるようだ。
2020.08.04
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シェル・ゲームという古典的なイカサマ博打がある。3つのクルミの殻のどれかに玉を入れ、それらの殻を移動させ、どれに入っているかを当てさせるというものだが、移動の途中で玉を出し入れして客を騙して儲けるというもの。 殻の代わりにコップを使うことも多く、これをベースにしたマジックもある。マジシャンは玉やボールがコップを移動しているかのように演出、その数を増やしたり減らしたりして客を楽しませるわけだ。 勿論、玉やボールがコップや殻を移動することはなく、そう見えるだけのこと。そうしたことをマジックだという前提で見ている客は理解できるが、そうしたマジックを知らないと、本当に玉やボールがコップや殻を移動していると思い込むだろう。玉やボールがウイルス、コップや殻が人間という演出をすれば、伝染病のように見える。 人びとに伝染病が世界に広がっていると思い込ませることに成功すれば、特定の場所に深刻な病気を引き起こす病原体を撒くことにより、その病気が世界規模で流行しているように演出することができる。 現在、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)の感染拡大で世界は混乱している。重症急性呼吸器症の患者がどこにいるのか知らないが、ともかく社会は混乱し、生産活動は麻痺、交易は停滞、少なからぬ企業の経営が悪化して倒産に追い込まれ、失業者、ホームレス、そして自殺者を増加させている。働き、集まり、公的な情報を知る権利、あるいは表現する自由などが奪われつつあるのだ。 このコロナウイルスは感染者の8割から9割は症状がないとされている。2002年には致死率の高いSARS-CoVが流行したが、感染はさほど広がらなかった。2012年にはMERS-CoVが話題になったが、やはり感染はさほど広がっていない。2009年にWHOは新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が感染爆発していると宣言したが、これは間違い、または嘘だった。重い症状を引き起こす伝染病は感染が広がりにくいと言えるだろう。パンデミックが必要な誰かが感染爆発を演出しても不思議ではない。
2021.01.24
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COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策だとしてワクチンの接種が推進されている。世界的に見るとロシア製ワクチンの「スプートニクV」を使う国は少なくないのだが、アメリカやその属国ではファイザーとBioNTechが共同で開発した製品、あるいはモデルナのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンだ。EUの高官がEMA(欧州医薬品庁)に対し、mRNAワクチンを迅速に許可するよう圧力を加えていたことを示す電子メールが公表されている。 本ブログでも伝えてきたが、CDC(疾病予防管理センター)とFDA(食品医薬品局)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)が発表しているデータを見ると、昨年12月14日から今年2月4日までの期間にCOVID-19ワクチンの接種による死者は653名と報告されている。そのうち602名がアメリカで、死者の平均年齢は77歳。58%はファイザー/BioNTech製で、41%がモデルナ製だ。こうした犠牲者が出ているが、医薬品会社は免責されている。 そうした中、ワクチン接種を推進してきたビル・ゲイツはワクチンの接種回数を3回にする必要があるかもしれないと語っている。インフルエンザウイルスも変異に対応するため、毎年新しいワクチンを接種しなければならないとされているが、その効果は3割程度だと言われている。効果を感じられないという人も少なくない。 COVID-19の原因だとされているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は変異が激しいRNAウイルスの一種。今後、安全性が確認されていないワクチンを接種し続けなければならないと言い始める可能性がある。 これまでコロナウイルスのワクチンができなかった理由のひとつはここにあるわけで、ワクチンに予防の効果があるという主張自体が怪しい。そもそもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を感染の有無に使うことは適切でないと指摘されているのだが、それを度外視しても、RNAウイルスの激しい変異にPCR検査は対応できない。 昨年11月にファイザーは自社のワクチンについて有効率は95%だと主張していたが、その数値を疑う人もいて、FDAに質問しているが、回答は拒否された。COVID-19騒動は全てが如何わしいのだが、ワクチンの有効性にも疑問があるということだ。 過去のワクチンでも問題が指摘されてきた。例えば、1950年代に開発されたポリオ・ワクチンの場合、そのワクチンを投与したサルがポリオを発症することがすぐに判明、警告が無視されたことから多くの被害者が出ている。 バーニス・エディという研究者はワクチンの中に発癌性のSV(シミアン・ウイルス)40が混入していることにも気づき、人間の体内に入り込むと癌を誘発すると講演の中で語っている。その当時、彼女はアメリカのNIH(国立衛生研究所)に所属していたのだが、その発言にNIHの上司は激怒したと言われている。 組織の幹部は警告を封印し、医薬品メーカーはワクチンの製造を続けた。製造が止まるのは1961年7月。リコールが宣言されたものの、NIHは市場へ出回っている製品全てを回収することを命じなかった。そこでアメリカ人は発癌性のワクチンを1961年から63年にかけて接種されることになる。 ジョン・F・ケネディ大統領の甥に当たるロバート・ケネディ・ジュニアによると、その結果、1996年の時点で血液サンプルの23%、精子サンプルの45%からSV40が発見され、80年から95年にかけて生まれた新生児の6%が感染していたという。(Judy Mikovits & Kent Heckenlively, “Plague of Corruption,” Skyhorse, 2020) アメリカでは1970年代の終盤から皮膚癌、リンパ腫、前立腺癌、乳癌が増え始め、1980年代の半ばから増加の割合が高くなり、この傾向は1987年まで続いた。その原因は1950年代にアメリカで使われたポリオ・ワクチンにあると推測する学者もいる。 最近ではレトロウイルスであるXMRV(異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス)が問題になっている。癌だけでなくアルツハイマー病や自閉症の原因になるという疑いも持たれている。 それでもワクチンの接種が推進されている。勿論、ビジネスという側面はあるが、それだけではないだろう。今回のケースではワクチン・パスポート的な仕組みの導入が図られている。欧州委員会とWHO(世界保健機構)は2019年9月12日に共同でグローバル・ワクチン接種サミットを開催したのもそのため。2022年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入、人びとの管理に利用しようとする計画もある。 WHO(世界保健機関)とUNICEF(国連児童基金)が2014年にケニヤで接種した破傷風ワクチンを検査したところ、調べた6つのサンプル全てからHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)抗原が検出され、集団避妊の実験をしたのではないかと疑われている。この疑惑は公的に否定されたが、WHOには良くない噂があり、疑惑は消えていない。 こうした背景があるため、COVID-19用のワクチンを拒否する動きは強く、カリフォルニアなどアメリカでは医療従事者の半数がワクチンの接種を拒否、オハイオ州では60%という数字も報告されている。アメリカ軍の約3分の1もCOVID-19ワクチンを拒否しているという。
2021.02.19
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12月3日現在、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を接種した後に死亡した人の数は前の週より354名増え、1万9886名に達した。この数値はアメリカのCDC(疾病予防管理センター)とFDA(食品医薬品局)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告に基づいている。過去の例から実際の1%未満あるいは10%程度と言われている、実際はこの10倍から100倍、つまり数十万人に達すと見られている。 こうしたワクチンの副作用を誤魔化すため、「変異種」を登場させて脅してきた。最近はボツワナで発見されたという「オミクロン」を新たな悪霊として使っているが、ボツワナとほぼ同時に見つかった南アフリカでは入院患者が増えず、深刻な事態とは言えないという。これは南アフリカ政府の主席顧問を務めるバリー・シューブの話だ。 しかし、それでも人びとの行動を制限し、「COVID-19ワクチン」の接種を推進しなけらばならず、「先手を打つ」というようなことを言っている。新たな恐ろしい悪霊が必要になってきたとも言えるだろう。「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」に続く「SARS3」を投入する時期が近づいているかもしれない。 世界を「リセット」させつつある「COVID-19騒動」の中心にいるのはNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長だ。1984年11月からこのポストに収まっている。このファウチの実態に迫るロバート・ケネディ・ジュリアの本(Robert F. Kennedy Jr., “The Real Anthony Fauci,” Skyhorse Publishint, 2021)が出版された。この本を開くと、約半分がエイズ(後天性免疫不全症候群)の話だということがわかる。 ファウチがNIAIDの所長に就任した当時、世界は「エイズ」で揺れていた。感染症の脅威が弱まり、CDC(疾病予防管理センター)やNIAIDの存在意義が薄らいでいたのだが、新たな「感染症」の出現によって、そうした機関への予算が膨らんでいった。そうした動きの中心にファウチがいたということである。 ファウチが重要な役割を果たしているというだけでなく、エイズとCOVID-19には共通項が少なくない。ケネディは著作の中で、エイズとCOVID-19の構図は基本的に同じだと指摘している。 エイズの原因はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)だとされているが、それを証明する論文は存在しない。COVID-19でも原因だとされるSARS-CoV-2が単離されていない。HIVを発見、2008年にノーベル生理学医学賞を受賞したパスツール研究所のリュック・モンタニエは1990年6月、サンフランシスコで開かれたエイズに関する会議でHIVは無害かもしれないと語っている。その前からそうした指摘をしていた著名な学者もいるが、その指摘をした後、「村八分」的な状況になった。 エイズが「感染症」で、感染が広まっているとする話を成立させる仕掛けもCOVID-19と同じように、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査だった。この検査で陽性になった人を感染者と見なしていたが、使い方によって偽陽性が多くなることはCOVID-19と同じ。しかもHIVそのものを探すことはできない。そもそもHIVがエイズを引き起こすという説に疑問がある。 PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもこの問題について語っていた。この技術は分析が目的であり、診断に使うべきでないと語っていたのだ。PCRがエイズの診断に使われていたことからエイズについて調べているが、その結果、エイズの原因がHIVだということを示す論文がないことを知り、HIV原因説に疑問を持つようになったようだ。この説を広める上で重要な役割を果たしたファウチとマリスは対立することになる。 このマリスは2019年8月7日、パンデミック騒動が始まる半年ほど前にカリフォルニア州の自宅で肺炎によって死亡している。COVID-19でもPCRが使われてきたが、生きていたなら、マリスはこの問題でも何らかの発言をしただろう。ファウチと対立した可能性は高い。 エイズの場合でもPCR検査で陽性になると感染していると判断され、「AZT(アジドチミジン、現在はジブドブジンと呼ぶ)」が投与されてきた。この薬は癌の治療薬として開発されたが、副作用が強く、使えなかったという。それがエイズによって復活したのだが、副作用がなくなったわけではない。 PCRで陽性になってもHIVに感染しているとは限らず、しかもHIVは少なくとも単独では無害だとも言われている。そもそもエイズなる病気は存在しないという人もいる。さまざまな病気の原因をHIVだということにしているだけだというのだ。エイズには謎が多い。 健康な人がAZTで死んでいる可能性があり、エイズで死んだとされる人の相当数は薬の副作用が原因ではないかとも言われている。この点もリスクの高い「ワクチン」を接種しているCOVID-19と似ている。COVID-19の問題はエイズの問題と密接に結びついていると言えるだろう。
2021.12.11
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ロシア軍は3月18日、超音速(マッハ10)ミサイル「Kh-47M2キンジャール」でウクライナ西部にあるデリャテンの地下武器庫を、また沿岸防衛システムの「K-300Pバスチオン-P」でオデッサ地域の無線監視センターをそれぞれ破壊したという。バスチオンの主要な役割は艦船に対する攻撃だ。 3月13日にロシア軍は8機の巡航ミサイル「カリブル」を使い、ポーランドとの国境から約25キロメートルの場所にあるヤボリウ基地を攻撃した。キンジャールと同様、約1000キロメートルを飛行、ターゲットを正確に捉えている。 いずれのミサイルも実際に軍事施設を破壊しているが、それだけでなく、ロシアが保有する最新鋭兵器の性能をデモンストレーションしているのだろう。 ウラジミル・プーチン露大統領は2018年3月1日の連邦議会における演説で、ロシアやその友好国に対する攻撃には反撃すると宣言、同時に保有する最新兵器を明らかにした。これはアメリカが2002年にABM(弾道弾迎撃ミサイル)条約から一方的に脱退したことに対するロシアの回答だとしている。 アメリカがABM条約から脱退した当時、同国の好戦派は自分たちが「唯一の超大国」であり、何をしても許されると信じていた。そうしたことを示しているのがフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキアー・リーバーとダリル・プレスの論文。 この論文ではアメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てると主張している。この雑誌は外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物で、アメリカ支配層の考え方が反映されていると言えるだろう。中でもネオコンは1991年の湾岸戦争以来、ソ連/ロシアはアメリカが軍事侵攻しても出てこないと考えるようになっていた。そうした考えがアメリカ支配層の内部では広まっていたのだ。 イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京オリンピックの開催に合わせて2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃したのもそうした判断があったからだろうが、この攻撃は失敗に終わる。ロシア軍の反撃でジョージア軍は完敗したのだ。 バラク・オバマ政権がシリアをリビアと同じようの壊滅させるために本格的な軍事介入を準備していた2015年9月30日、シリア政府の要請でロシア軍が介入し、アメリカ、イギリス、フランス、サウジアラビア、カタールなどを後ろ盾とするジハード傭兵、つまりアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)を敗走させた。 そして10月7日、カスピ海にいたロシアのコルベット艦から発射された26機のカリブルは約1500キロメートルを飛行し、シリアのターゲット11カ所を正確に攻撃、破壊している。この性能にアメリカ側はショックを受けたと言われている。キンジャールにしろ、バスチオンにしろ、使った目的は同じだろう。単に軍事目標を破壊しただけではない。アメリカに従属するヨーロッパ諸国だけでなく、アメリカもロシアを攻撃したなら確実に報復され、破壊されるということだ。 スタンリー・キューブリックが監督した映画「博士の異常な愛情」ではアメリカ軍の先制核攻撃に対し、ロシア軍の「ドゥームズデイ・マシーン」が起動して地球は破壊され、放射性物質で汚染されることになる。本来、「ドゥームズデイ・マシーン」は抑止力として考えられたのだが、発表前に核攻撃があり、人類を破滅させることになる。それに対し、プーチンは事前にロシアが保有する最新兵器を明らかにしたわけだ。
2022.03.20
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新型コロナウイルスの感染が拡大しているという理由で安倍晋三政権は学校を一斉に閉鎖、コンサートなどイベントを中止させた。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの艦内で患者が見つかった際、厚生労働省は適切な対応をせずに批判されたが、そうした批判を利用して戒厳令の予行演習らしきことを行っているように見える。世界的に見ると中国人差別にも感染が利用されているが、欧米では黄色人種差別に利用され始めている。 今回の感染は世界の現実を明らかにする役割も果たしている。新自由主義が推進した「グローバル化」によって経済システムが脆弱化していることは株式相場の急落を見てもわかるが、そうした政策によって社会が崩壊している現実も見えやすくなった。 新自由主義が政策として最初に導入された国は軍事政権下のチリ。この国では1973年9月11日にオーグスト・ピノチェトがサルバドール・アジェンデ政権を軍事クーデターで倒したが、その背後にはCIAの破壊工作部門が暗躍していた。その部門を動かしていた人物がヘンリー・キッシンジャー。巨大資本の代理人だ。この政策はマーガレット・サッチャーが首相だったイギリスでも採用され、そこから全世界へ伝染していった。 この政策は通貨システムを重視して生産活動を軽視、富を一部の人間に集中させ、貧富の差を拡大させてきた。アメリカでは公的な年金や健康保険が事実上存在せず、公的な教育は崩壊している。暴力が蔓延している刑務所のような学校もある。アメリカの刑務所は命の危険があるのだが、学校もそうした危険があるということだ。 アメリカの私立学校は授業料がとてつもなく高額で、庶民が通うことは無理。少しでもましな公立高校へ入れようとするなら高級住宅地に住まなければならない。住宅を買うことは不可能だが、家賃も高額。経済的な負担が親の肩に重くのしかかり、破産することになる。表面的には破産の理由が不動産にあるように見えても実際は教育が原因だということである。 勿論、高級住宅地に住むことが端から無理な子どもも少ないない。例えばニューヨーク州教育局によると、2018年から19年にかけての年度におけるホームレスと認めた生徒は11万4085名に達し、3万4000名以上がニューヨーク市のシェルターで生活している。こうした情況にあるため、生徒を街頭へ放り出すことになる学校閉鎖をニューヨーク州は実施できないのだという。 中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三、菅直人、野田佳彦といった政治家は日本へ新自由主義を導入するために大きな役割を果たしてきた。そうした中、教育の破壊も着々と進められている。庶民は考えず、支配者の言うことを信じていれば良いという考え方が教育破壊のベースにあるのだろう。 教育課程審議会の会長を務めたことのある作家、三浦朱門は自分たちが考え出した「ゆとり教育」について、「平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。できん者はできんままで結構。戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。」(斎藤貴男著『機会不平等』文藝春秋、2004年)と語っている。 教育改革国民会議で議長を務めていた江崎玲於奈は、「いずれは就学時に遺伝子検査を行い、それぞれの子供の遺伝情報に見合った教育をしていく形になっていきますよ。」と主張しているという。(前掲書) 安倍晋三が敬愛しているらしい彼の祖父は成績が良かったらしい。
2020.03.10
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フランスの著名な細菌学者で医師でもあるディジ・ラウは、ヒドロキシクロロキンと抗生物質のアジスロマイシンを早い段階で投与すれば90%の患者に効果があったとしている。大規模な検査を実施、早い段階で感染している人を見つけ出すことが重要だということになるだろう。ヒドロキシクロロキンは抗マラリア剤として知られ処方され、イタリアでCOVID-19(新型コロナウイルス)に感染した患者に投与して効果を上げていることは本ブログでも紹介した。 この薬でCOVID-19の伝染を沈静化することに成功したと言われている国が韓国、シンガポール、台湾、ベトナム。中国はキューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2bが使われ、やはり伝染の沈静化に成功している。 こうした成果を西側の「先進国」は使っていないようだ。ジャーナリストのペペ・エスコバルによると、フランス政府が保有していたクロロキンが消えたという。この薬は10錠で1ユーロと安く、大手薬品会社にとって儲からない商品だということが原因だと見られている。 ロシアや中国ではCOVID-19のワクチン開発が進んでいるが、アメリカでは2018年に「弱毒化されたコロナウィルス」に関するピルブライト研究所の特許が認められた。この研究所への主要出資者はWHO、EC(欧州委員会)、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団など。こうした薬は薬品会社に利益をもたらすはずだ。 COVID-19の蔓延を利用し、学校を閉鎖、コンサートやスポーツのようなイベントを中止させたり無観客で実施させるということが実施されている。特定の地域を封鎖するということも検討されているらしいが、伝染病対策としては時代遅れであり、適切な対策ではないと言う専門家もいる。ただ、こうしたことが戒厳令の予行演習になるとは言える。迅速に検査し、早い段階で治療を始めて病気の蔓延を防いでしまったら、こうしたことはやりにくいだろう。
2020.03.28
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1968年6月に暗殺されたロバート・ケネディの息子、ロバート・ケネディ・ジュニアはワクチンの問題に取り組んできた。そのジュニアが今回の新型コロナウイルス(COVID-19)について語っている。それによると・・・ コロナウイルスは通常、深刻な病気を引き起こすことはないが、強い病毒性を持つ形態に作り替えることもできる。そうしたウイルスを作り出す研究をNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長は行っていたのだが、2014年にバラク・オバマ大統領が研究の中止を命じた。 そこでファウチは研究の拠点を武漢へ移動させる。そこには中国科学院武漢病毒研究所があった。NIAIDはNIH(国立衛生研究所)の下部機関だが、そのNIHが武漢の研究所へ研究費として370万ドルを提供していたことが明らかになっている。 遅くとも2013年にロシアはアメリカがロシアや中国の周辺に細菌兵器の研究施設を建設していると批判していた。ウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアなどで細菌兵器の施設をアメリカは作ったとされている。さらにアフガニスタン、パキスタン、台湾、フィリピン、韓国、そして日本にもアメリカ国防総省の影響下にある細菌に関する研究施設が存在しているという。 オバマ政権はホワイトハウスの内部にパンデミック対策を目的とするオフィスを設置していたが、ここは武漢のコロナウイルスに関する研究に資金をファウチを介して提供していた。ドナルド・トランプ大統領は2019年9月20日、そのオフィスへの資金提供を停止、30日に武漢では多くの研究者が解雇されたという。 2019年3月にはカナダのNML(ナショナル細菌研究所)から中国へ非常に毒性の強いウィルスが秘密裏に運ばれ、中国当局から抗議されたとも伝えられた。7月にはそのNMLから中国人研究者が追い出されたとする情報も流れている。 アメリカと中国はコロナウイルスの研究で複雑に絡み合っているようだが、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がNIAIDを含むCOVID-19の危機を煽っている機関のスポンサーになっていることは本ブログでも指摘してきた。トランプ政権へも巨大製薬会社のカネが渡り、医薬品行政をコントロールしていることも判明している。 インフルエンザのワクチンとCOVID-19との関係を疑っている人もいるが、ファウチが強い病毒性を持つコロナウイルスを持っている可能性があるということも忘れてはならない。
2020.05.12
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日本やアメリカの有力メディアや政府はCOVID-19(新型コロナウイルス)に有効な薬としてギリアド・サイエンシズのレムデシビルなる抗ウイルス薬、あるいはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団などが推進しているワクチンを宣伝している。 それに対し、中国やイタリアなどでの経験からキューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2b、あるいは抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンが効果的だとする話が伝わっている。 また、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文が2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。 キューバの医療制度が優れていることは有名で、マイケル・ムーアが監督し、2007年に公開された映画『SiCKO(シッコ)』ではアメリカの無残な医療体制と比較する形でキューバの情況を紹介している。そうしたアメリカの無様な状態を明らかにするキューバの話をアメリカやその属国の政府や有力メディアは無視する。 抗マラリア剤が有効だということになると、アメリカをはじめとする西側の医療利権グループにとって大きなダメージになる。そうした薬は安いからだ。 そうした中、5月22日にヒドロキシクロロキンやクロロキンは患者の死亡率を上げるとする論文がイギリスのランセット誌に掲載されたのだが、すぐにデータが実際の数値と合わないことが発覚、同誌の編集部はその論文について重大な科学的疑問があると6月2日に告知している。この論文が理由でWHOはヒドロキシクロロキンの臨床試験を中止していたが、この問題が発覚したこと受けて再開した。その翌日、アメリカのニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌にヒドロキシクロロキンはCOVID-19に有効でないとする論文が掲載された。こうした論文が純粋に学問的な目的で書かれたのかどうか、疑問に感じる人もいるだろう。
2020.06.04
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世界を収容所化する動きが鈍っている。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を悪霊のように思わされた人びとは安心感を得るために主権を放棄しようとした。その罠に人びとは気づき、支配者との対立が激しくなっている国もある。 西側では当初、ギリアド・サイエンシズのレムデシビルなる抗ウイルス薬が宣伝されたが、それ以上に宣伝されてきたのがワクチン。まるでワクチンが開発されないと人類は死に絶えるかのような話が広められてきたが、COVID-19の原因になるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染しても7割から8割は症状が出ないか軽く済むと言われている。 しかも、本ブログでも繰り返し書いてきたように、抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは研究者や現場の少なからぬ医師が主張している。フランスの著名な微生物学者、ディジェ・ラウルを含むグループが3月の段階でこのコンビネーションが有効だと報告、アメリカ人医師のグループも同じように主張している。 また、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。2005年8月22日、ウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。アメリカで伝染病対策を動かしているアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)はNIHの下部機関だ。 また、キューバで研究が進んでいるインターフェロン・アルファ2bもCOVID-19に有効だと言われている。キューバでは1981年にデング熱が流行したが、この病気に効果があったことから研究は本格化したようである。デング熱の流行はアメリカによる攻撃だったと見られている。この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高めると言われ、COVID-19にも効果があるわけだ。 インターフェロン・アルファ2bが有効だったひとつの理由は、人の免疫システムがCOVID-19に対して機能しているからだろう。カリフォルニアにあるラホヤ免疫研究所の研究員は、2年以内に通常の風邪を引いた人はCOVID-19に対して交差反応する免疫が作られたとも報告している。 こうしたCOVID-19を悪霊として描き、人びとを脅すことで欧米の一部支配者はワクチンを接種させる環境作りに執着している。その理由のひとつは体内にナノチップを入れ、5G技術を利用してひとりひとりを監視する仕組みを作りたいからだとも言われている。街頭のCCTVカメラやスマートフォンを利用した監視だけではないのだ。 現在、アメリカではmRNAを利用したワクチンの開発が進められている。DNAの遺伝情報がmRNAに転写され、その遺伝情報に従って特定のタンパク質が合成されるのだが、その仕組みの中に侵入して情報を書き換えることができるようになり、可能になった技術だ。 その技術を開発した人物がハーバード大学の准教授だったデリック・ロッシ。2010年にモデルナ・セラピューティクス(現在のモデルナ)を創設した。この技術は安全性に疑問があるとも言われているが、細胞の中にどのようなタンパク質でも発現させられるという問題もある。人間のDNAを書き換える技術とも言える。 アメリカにDARPA(国防高等研究計画局)という秘密兵器の開発機関が存在することは本ブログでも繰り返し書いてきた。電子技術を利用した個人の監視システムが開発、実用化されてきたことは本ブログや拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも書いたが、細菌兵器の開発も行ってきた。DARPAはDTRA(国防脅威削減局)と同様、2018年からコロナウイルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進めている。 DARPAから資金を受け取っていたデューク大学の研究者は2010年、症状が出る前に人がウイルスに感染しているかどうかを遺伝子分析する道具を開発しているが、このデューク大学は中国の武漢大学と共同で昆山杜克大学を設立している。 2014年にDARPAはIVN(生体内ナノプラットフォーム)プログラムを開始した。皮膚の下にコンタクト・レンズのような形状のセンサーを注入、5Gネットワークを通じて、ひとりひとりを監視するシステムを作り上げようとしていると見られている。 2019年9月、欧州委員会とWHO(世界保健機構)は共同でグローバル・ワクチン接種サミットを開催し、22年にはワクチンを接種したかどうかを示すカード/パスポートを導入しようという方針を打ち出した。もしセンサーが「陽性」を示した場合、その人は外出が禁止され、それを無視すると逮捕されるという「新しい生活様式」が導入される可能性もある。これを「人類の家畜化」と呼ぶ人もいる。
2020.09.22
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COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を予防するためだとしてワクチンの接種を強制する動きがある。スペインではワクチンの接種を拒否した人のリストを当局が保存し、ヨーロッパ諸国とその情報を共有すると同国の保健相が語った。 しかし、12月18日現在で、接種した人のうち3150名が日常の活動や仕事ができなくなったり、医師や健康管理の専門家にかからなければならないような状態になっていると報告されている。 COVID-19用ワクチンでは別の問題も指摘されている。ファイザーの副社長を務めていたマイク・イードンと欧州評議会議員会議の健康委員会で委員長を務めるウォルフガング・ウォダルグはワクチンの臨床試験を中止するように求める請願をEMA(欧州医薬品庁)へ提出したのだが、その理由は女性を不妊にする可能性があるというものだ。 ファイザーとBioNTechが開発したワクチンはmRNAを利用して製造されたもの。DNAの遺伝情報はmRNAに転写され、その遺伝情報に基づいて特定のタンパク質が合成されるのだが、その仕組みの中へ侵入して情報を書き換えるのだ。この技術は安全性に疑問があるとも言われ、細胞の中にどのようなタンパク質でも発現させられる。人間のDNAを書き換える技術とも言えるのだ。 このワクチンに限らず、COVID-19向けに開発されているものは、いずれも安全性を確認していない。そもそも長期的な影響は確認が難しいのだが、それだけでなく、通常の手続きを経ていないのだ。 COVID-19に対する恐怖を煽るため、引き合いに出されることがあるスペイン風邪の場合にもワクチンが原因ではないかとする疑いがあることは本ブログでも紹介した。 スペイン風邪は1918年2月から始まったとされている。名前から受ける印象とは違い、アメリカのカンザス州にあるフォート・ライリーにいたアメリカ兵が最初の患者だった可能性が高い。第1次世界大戦へアメリカが参加することになり、1917年の夏に新兵を訓練するためのキャンプ・ファンストンがここに建設されていたのだ。 スペイン風邪はインフルエンザだったと思っている人は少なくないようだが、アメリカの国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によると、1918年から19年にかけて死亡した人の大半は細菌性肺炎による可能性が高いという。 そこで注目されているアメリカ軍の報告がある。1917年10月から11月にかけて髄膜炎が流行、ロックフェラー研究所が研究していた実験段階のワクチンを志願者に接種、血清がイギリス、フランス、ベルギー、イタリアなどへ送られているというのだ。 ハリウッド映画などでは魔法の薬のように描かれるワクチンだが、実際は問題が少なくない。例えば1950年代に開発されたポリオ・ワクチンの場合、そのワクチンを投与したサルがポリオを発症することがすぐに判明、警告が無視されたことから多くの被害者が出た。 バーニス・エディという研究者はワクチンの中に発癌性のSV(シミアン・ウイルス)40が混入していることにも気づき、人間の体内に入り込むと癌を誘発すると講演の中で語っている。その当時、彼女はアメリカのNIH(国立衛生研究所)に所属していたのだが、その発言にNIHの上司は激怒したと言われている。 組織の幹部は警告を封印し、医薬品メーカーはワクチンの製造を続けた。製造が止まるのは1961年7月。リコールが宣言されたものの、NIHは市場へ出回っている製品全てを回収することを命じなかった。そこでアメリカ人は発癌性のワクチンを1961年から63年にかけて接種されることになる。 ジョン・F・ケネディ大統領の甥に当たるロバート・ケネディ・ジュニアによると、その結果、1996年の時点で血液サンプルの23%、精子サンプルの45%からSV40が発見され、80年から95年にかけて生まれた新生児の6%が感染していたという。(Judy Mikovits & Kent Heckenlively, “Plague of Corruption,” Skyhorse, 2020) 最近ではレトロウイルスであるXMRV(異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス)が問題になっている。癌だけでなくアルツハイマー病や自閉症の原因になるという疑いも持たれている。
2020.12.30
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COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン接種率が圧倒的に高いイスラエルでワクチンに関する新たな問題が指摘されている。 この感染症を引き起こされるとされるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は変異しやすいRNAウイルスだが、公表されている変異種はイギリスで発見された「B.1.1.7」、南アフリカで発見された「B.1.351」、そしてブラジルで発見された「P.1」。イスラエルのテルアビブ大学の研究チームによると、そのうち南アフリカ変異種の場合、BioNTech/ファイザーのワクチンを接種すると罹患しやすくなるという結果が出たのだ。 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になった800人のうち400名にはワクチンを接種、残りの400名はワクチンを接種せず、ワクチンを接種してから14日以降に再検査したところ、罹患率はワクチン接種者が5.4%だったのに対し、非接種者は0.7%だったという。同時に調べたB.1.1.7の場合、両者に差は見られなかった。 昨年の終わりには、COVID-19の症状(つまり風邪やインフルエンザと同じ症状)がなくなり、治癒したと診断された後に再度検査すると、陽性になる人がいると報告されていた。大半は症状がないという。ワクチンを接種してもPCR検査で陽性になるケースがあり、ワシントン州保健局は調査に乗り出したようだ。 これに対し、ホワイトヘッド生物医学研究所、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の研究者はCOVID-19のRNAが逆転写されてヒトゲノムに組み込まれ、それに反応しているのではないかという仮説を昨年12月に発表しているが、元々自分の遺伝子の中に持っている人がいる可能性も否定できないだろう。 またBioNTech/ファイザーの製品ようなmRNA技術を使ったワクチンが人間のゲノムに取り込まれて死ぬまで残る可能性があるのではないかとする疑惑も出されている。 ホワイトヘッド生物医学研究所には、遺伝子編集を行うCRISPR技術をアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)から得た資金で行っている人がいる。2017年当時、その資金は6500万ドルだと伝えられていた。言うまでもなく、DARPAは軍事的に利用できる技術を開発している。遺伝子編集もそうした目的で行われているはずで、例えば「スーパー兵士」や生物兵器を作り出すことを考えているだろう。
2021.04.16
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世界は「COVID-19(新型コロナウイルス)騒動」なる悪霊のために大きく揺らいでいる。この騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を実現すると宣言したのはWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブ。この人物は2016年1月、スイスのテレビ番組でマイクロチップの話をしている。最初は服、さらに皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。 悪霊が現れたのは2019年12月、中国の武漢だとされてきた。そこにある病院でSARSのような重症の肺炎患者が9名ほどが見つかったのだ。その病気の原因とされたのがSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)。そこから世界へ感染が広がったと宣伝されたが、その宣伝の軸になった単語が「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」だ。 これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、ウイルスそのものを探し出すことはできない。増幅回数を示すCt値の問題も含め、この検査方法に頼ることは危険である。例えば2007年1月22日付けニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事でもこの問題が取り上げられている。この記事が具体例として取り上げたのは、アメリカのニューハンプシャー州にあるダートマース・ヒッチコック医療センターで2006年4月にあったケースだ。 ひとりの医師が2週間ほど咳き込みはじめ、他の医療関係者も咳をするようになったところから話は始まる。百日咳が疑われ、医療センターで働く1000名近くが簡易検査を受け、勤務から外された。 そのうち142名が感染しているとされ、数千名がワクチンを接種する事態になったのだが、何人かは本格的な検査の結果、百日咳菌に感染していた人は確認されず、通常の風邪だった可能性が高いことがわかる。騒動が始まってから8カ月後、関係者は伝染病が発生したとする警報はまちがいだったことを知らされた。こうした間違いを引き起こした原因のひとつがPCRのような高感度の簡易検査だと指摘されている。 COVID-19は世界へ広がったとされ、「黒死病」の感染が始まったかのごとく語る人もいた。そして2020年3月11日にWHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言したが、武漢と同じような状況が世界に広がったとは言えない。局地的に重症者が出ているものの、世界全体を見ると、パンデミックを宣言するような状態とは思えない。 アメリカで感染症対策を指揮しているNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長は2020年3月11日にアメリカ下院の管理改革委員会で、COVID-19の致死性は季節性インフルエンザの10倍だと発言、その日にドナルド・トランプ政権は国家緊急事態を宣言している。ところがファウチは2月にCOVID-19の致死率は通常のインフルエンザ並みかもしれないとしていた。 ここにきて発表された報告によると、アメリカの50州で2020年1月2日から3月18日かけて2万4079名から採取された血液試料の抗体を調べたところ、イリノイ州、マサチューセッツ州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ミシシッピ州の7名は、これまで確認されていた「感染者」より前。そのうち3名は1月7日だった。またイタリアでSARS-CoV-2の感染が始まったのは昨年9月ではないかとする報告もあり、始まりは武漢だと断定できる状態ではない。 2020年夏にはメリーランド州にあるフォート・デトリック細菌戦に関する研究施設が半年にわたって閉鎖されたと伝えられている。廃液に絡む安全上の問題が発覚したことが原因のようだが、詳細は軍事機密だとして明らかにされていない。この時に何らかの病原体が環境中に流れ出た疑いもある。 フォート・デトリックはアメリカにおける生物化学兵器の研究開発拠点である。1943年にUSBWL(陸軍生物兵器研究所)がここ(当初の名称はキャンプ・デトリック)に設立されているが、研究開発が本格化するのは第2次世界大戦の後、日本やドイツから生物化学兵器に関する資料がアメリカへ引き渡されてからだ。同時に両国の研究員がアメリカの施設へ来ている。 アメリカ国防総省にはDARPA(国防高等研究計画局)やDTRA(国防脅威削減局)といった機関もある。このふたつの機関は2018年からコロナウイルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進め、またDARPAと関係の深いアメリカのデューク大学は中国の武漢大学と提携し、2018年にデューク崑山大学を開設している。 中国科学院武漢病毒研究所(WIV)へはアメリカのNIH(国立衛生研究所)から研究費として370万ドルが提供され、またここでは石正麗を中心とするチームがSARSに似たコロナウイルスの「スパイク・タンパク質」が人間などの細胞の「ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)」と結びつくメカニズムを研究していた。石はノースカロライナ大学のラフル・バリックとも協力関係にある。 石とバリックは2015年11月にSARS1ウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替えて新しいウイルスを作り出すことに成功。コウモリのコロナウイルスを操作してほかの種を攻撃させる方法をバリックは石に教えたともいう。 その後、石はWIVへ戻るのだが、彼女は研究費として、「エコヘルス連合」のピーター・ダスザクを介し、NIHの下部機関であるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から資金を受け取っていた。エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)にアドバイスする立場にもある。武漢はアメリカの政府機関が生物化学兵器の開発拠点にしているとも言えるだろう。
2021.06.17
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(オリジナルは2021年4月22日に掲載) 「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を接種から48時間以内に死亡したり、深刻な副作用が現れるケースが報告され続けている。この「ワクチン」が中長期的にどのような影響を人体に及ぼすのかは全くわからない。 死亡を含む副作用は先行しているmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン、つまりBioNTech/ファイザーやモデルナの製品が多く、アメリカのペンシルベニア州では接種から12時間後に33歳の女性が原因不明の麻痺で入院したという報告もある。ジョンソン・アンド・ジョンソンの製品は血栓ができると報告されているが、同じ症状はほかの製品でも起こる可能性があるという。 ここにきて注目されているのは、因果関係が証明されたわけではないが、BioNTech/ファイザーの製品を接種したあとに帯状疱疹が現れることがあるとするイスラエルからの報告。公害にしろ薬害にしろ、因果関係の証明にはそれなりの月日が必要であり、最初は「奇病」だ。 副作用を調べるため、491人に本物のワクチンを接種、99人に偽ワクチンを接種したところ、実際にワクチンを接種された女性6人に帯状疱疹が現れたという。そのほか4名に関節リュウマチ、1名にシェーグレン症候群、1名に未分化結合組織病が見られた。大半の症状は軽いというが、死亡、あるいは深刻な副作用に比べて頻度が高いと言えそうだ。イスラエルの接種者比率は圧倒的に高いが、死亡者の報告も多い。いわゆる「コンプライアンス」という点からすると、こうした実態をワクチン接種の責任者は明らかにする義務があるはずだ。 COVID-19の場合、ワクチンに関する情報だけでなく、COVID-19そのものに関する情報も少ない。日本ではいまだにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を促進するべきだと主張する人の声を聞く。 この検査の陽性者を「感染者」と見なし、人間の行動を制限するべきだというわけだが、この技術が「偽パンデミック」を引き起こす可能性があることは、2007年1月22日付けニューヨーク・タイムズ紙も報道していた。PCRを開発し、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスはこの技術をウイルスの検査に使ってはならないと語っていた。今年1月20日にはWHOはPCR検査を診断の補助手段だと表現、その結果が症状と合致しない場合は再検査するように指示している。PCR検査に頼るべきでないことを認めたと言えるだろう。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、PCRは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術。その増幅サイクル(Ct)を増やしていけば、医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になる。 以前から専門家の間ではCt値の適切な数値はできたら25から30、多くても30から35にするべきだと言われていた。ところが2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」を見ると、その値は40。日本では不適切なCt値が使われ、陽性者を増やしていた。 こうした実態が知られると、WHO(世界保健機関)は責任回避のつもりなのか、昨年12月14日にPCRのCt値を高くしすぎないようにと通告している。今年1月22日に日本の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は「医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)」の「別添2」にCt値を30~35にするよう書いている。 こうした厚労省の指示が守られていればCt値は35までのはずだが、それでも実際に使われているCt値を明らかにするべきだ。 COVID-19で死亡したとされる人数も怪しいとされている。アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は昨年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら、死因をCOVID-19として良いと通達、同じ時期に同じ趣旨の通達をWHOも出している。 昨年4月8日、アメリカのスコット・ジャンセン上院議員はこの事実をFoxニュースの番組で話していた。COVID-19に感染していたことにすれば、病院が受け取れる金額が多くなることも死因をCOVID-19だと書かせる要因になっていた。CDCのガイドラインが変更される前の基準で出される数値は後の基準で出される数値の6%程度になるとする人もいる。 そもそも、今回のパンデミック騒動はパンデミックの定義が変更されなければ存在しなかった。その変更は2009年1月から10年8月にかけて「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行する直前に行われている。前の定義では「病気の重大さ」、つまり死者数が重要なファクターだったのだが、それが削除されたのだ。流行が終わった後、「新型インフルエンザ」は「偽パンデミック」だったことが判明する。 COVID-19騒動は2019年12月の終わりに中国の武漢の病院で肺炎患者9名ほどが見つかったところから始まる。重症の肺炎だったことから注目されたのだ。 その患者のサンプルを「BAL(気管支肺胞洗浄)」によって調べ、SARSに似たコロナウイルスが病原体だと判断された。気管支内に牛理食塩水を注人し、肺胞や末梢気道を洗浄、その回収液の細胞成分や液性成分を解析したのだ。そこでSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と名づけられることになった。 2020年1月22日、中国の国務院新聞弁公室で行われた記者会見に中国疾病預防控制中心(CCDC)主任、つまり中国における感染症対策の責任者である高福が登場、武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したとする見方を示す。 この後、武漢の肺炎はSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19で、武漢の海鮮市場から世界に広がったというストーリーが語られるようになったが、この高福が曲者である。 2019年10月18日にニューヨークでコロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーション「イベント201」がジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、そしてWEF(世界経済フォーラム)の主催で行われているのだが、そのシミュレーションに高福も「プレーヤー」として参加していた。 そのほかのプレーヤーには、バラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務め、現在のジョー・バイデン政権で国家情報長官に選ばれたアブリル・ヘインズ、国際的な情報の集中管理を提案している広告会社エデルマンのCOO、マシュー・ハリントン、海軍少将のステファン・レッドも含まれている。 1月22日以降も高福CCDC主任が中国のCOVID-19対策を指揮していたなら、イベント201を主催した団体やWHOの描くシナリオ通りの展開になったのかもしれないが、2月になるとCOVID-19対策は中国軍の医療部門の幹部で細菌戦の専門家と見なされている陳薇が指揮することになり、武漢の病気は一気に沈静化する。2019年12月に武漢で見つかった肺炎の原因も詳しく調べ直す必要があるはずだ。 ところで、武漢には中国科学院武漢病毒研究所が存在している。この研究所へはアメリカのNIH(国立衛生研究所)から研究費として370万ドルが提供されていた。 また武漢病毒研究所はテキサス大学のガルベストン・ナショナル研究所やカナダのNML(ナショナル細菌研究所)と共同で細菌に関する研究を実施、タミフルやレムデシビルを開発したアメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズともつながる。 中国の研究機関はアメリカの私的権力と密接な関係にある。
2021.09.20
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フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークに続き、アイスランドでもモデルナ製の「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)感染症」接種を停止すると伝えられている。若い人に心筋炎や心膜炎を引き起こすからだという アメリカのFDA(食品医薬品局)で「ワクチン研究評価室」の室長を務めてきたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスを含む研究者が執筆した報告書をイギリスの医学誌「ランセット」が9月13日に掲載したが、その中で「COVID-19ワクチン」の追加接種(ブースター)を慌てて頻繁に実施することは危険だと警鐘を鳴らしている。 この報告によると、「mRNAワクチン」を利用したモデルナやファイザー/BioNTechの製品は「心筋炎」を、また、アデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがある。 「COVID-19ワクチン」の接種を受けた十代の若者を含む若い人びとに心筋炎や心膜炎が現れていることがイスラエルで発覚、問題になったのは今年4月頃のこと。 こうした情報に対し、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は「COVID-19ワクチン」と心臓の炎症に関連性はないと主張したが、5月になると「ワクチン」のデータを見直すと言わざるをえなくなる。そして緊急会議を開催することになり、CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月23日に「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと語る。6月25日になると、FDAはmRNA技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表した。「mRNAワクチン」で使われるLNP(脂質ナノ粒子)は人体に有害な物質で、それが肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。卵子に影響を与え、不妊になる可能性も否定できない。最近、子宮内膜の癌が増えているとも報告されている。日本では、こうした問題を隠して「ワクチン」接種を推進した。責任は重い。 「ワクチン」の接種が本格化する前からADE(抗体依存性感染増強)を懸念する専門家はいたが、接種が始まってから帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)が増えると言われ始め、体が麻痺するケースも少なくないようだ。そして心筋の炎症。現場からの報告によると、懸念されていたように、ADEも急増しているようだ。 ジョー・バイデン政権はこうした危険な「ワクチン」を強制的に接種させようと目論み、アメリカに従属している国の一部は同じ政策をとろうとしている。 こうしたバイデン政権の政策に反発する研究者はFDAの幹部にも存在。「ランセット」に掲載された報告を執筆したグルーバーとクラウスもその中に含まれる。ふたりは抗議のため、辞表を提出した。モデルナ製の「ワクチン」だけが問題なのではない。
2021.10.12
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カリフォルニア州をはじめ、アメリカの西海岸を中心に展開している人気ファースト・フード・レストランのチェーン、「In-N-Out」のサンフランシスコにある店舗を公衆衛生当局が10月14日に閉鎖した。「ワクチン」を接種したことを示す文書を携帯していなくても入店させていたからだという。「ワクチン警察」になるつもりはないと店側は主張しているようだ。 アメリカ以外の国でも「ワクチン・パスポート」の携帯を広めるため、「パスポート」がなければレストラン、パブ、劇場などへ入ることを禁止、さらに教育を受ける権利や仕事を奪おうとする動きがある。人類を巨大コンピュータで一括管理するシステムを築こうとしているのだ。日本も後を追おうとしているが、そうした動きを支えているのは政府、自治体、マスコミ、専門家などが推進している「無コロナ運動」だ。 WEF(世界経済フォーラム)を創設したクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートの話をしている。最初は服に取り付け、さらに皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというプランだ。脳へ埋め込まれたチップを使い、感情の起伏を調べるだけでなく、記憶を促進したり管理しようとしていると言われている。 シュワブはハーバード大学へ留学していた当時、ヘンリー・キッシンジャーから学んでいた人物。昨年6月にはCOVID-19のパンデミック騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を実行すると宣言した。ドルという「呪物」を崇拝する現在の資本主義は限界に達したと考え、新たな「呪物」を作ろうとしている。 そうした見方をしているひとりがゴールドマン・サックスを経て2013年7月から20年3月までイングランド銀行の総裁を務めていたマーク・カーニー。各中央銀行が管理するデジタル通貨のネットワークを作ろうと考えている。彼はフェイスブックが発行している「リブラ(ディエム)」をイメージしているようだ。カーニーはシュワブと親しいようだが、『闇の銀行」のひとつ、ブラックロックのCEOを務めるラリー・フィンクはWEFの役員だ。
2021.10.27
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2月25日までにアメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)へ自主的に報告された「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は前の週より425名増え、2万4827名に達した。なお、一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われている。 COVID-19騒動で社会はロックダウンや「自主規制」などで収容所化し、言論はシリコンバレーのハイテク企業によって「私的」に検閲されるシステムが確立しつつある。デジタル・パスポートはまだ実現していないが、監視システムは強化されてきた。いわば「ソフト戒厳令」の中で人びとは生活するようになっている。 この騒動はWHOが2020年3月11日にパンデミック宣言を出したところから始まる。前年の12月に中国の湖北省にある武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た症状の肺炎患者が見つかり、1月22日に疾病預防控制中心の高福主任は武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したと記者会見で語り、そのシナリオが広まっていったのだ。 この段階で発症した肺炎は深刻だったようだが、2月から対策を指揮し始めた中国軍の陳薇は短時間で抑え込んでしまった。2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのも陳のチームで、この時の経験からインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、2019年のケースでも有効だったのだ。 この薬はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。今回の件で中国の習近平国家主席はキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 このほか駆虫薬の「イベルメクチン」や抗マラリア剤として知られている「ヒドロキシクロロキン」、またヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り除いた構造をしている「クロロキン」もコロナウイルスに有効だとされている。イベルメクチンの有効性については既にインドやメキシコで確認済みだ。 本来ならこうした薬で対処すれば良いのだが、WHO、FDA、CDC、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)は「ワクチン」に執着、それによって少なからぬ人が深刻な副作用で苦しみ、死亡している。 アメリカ軍はウクライナで生物兵器の研究開発施設をハリコフ、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフなどで建設しているが、その運営にNIAIDのアンソニー・ファウチ所長も関係している。
2022.03.05
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アメリカのジョージア州に花崗岩で作られたモニュメントが建てられたのは1980年3月のことだった。高さ5.87メートルの巨大な石碑で、そこにはメッセージが英語、スペイン語、スワヒリ語、ヒンズー語、ヘブライ語、アラビア語、中国語、そしてロシア語で彫られている。そのモニュメントが今年7月6日に爆破された。 彫られた文面を読むと、建造した何者かは自分たちを賢明で沈着な理性を持つ公正な判断ができる存在だと信じているようだ。その自分たちが世界を管理するため、各国の法律や行政機関を廃し、自分たち以外の人間の権利を制限するべきだと主張しているように解釈できる。人類が「地球の癌にならない」ようにするため、総人口は5億人以下に減らすべきだとも主張している。 このモニュメントを誰が建造させたのかは不明だが、CNNを創設、人口削減を主張しているテッド・ターナーが関係していると推測する人は少なくない。 ターナーによると、地球の環境問題を引き起こしている主な原因は多すぎる人口にあり、環境問題を解決するには人口を減らさなければならない。彼は1996年、「理想的」な人口は今より95%削減した2億2500万人から3億人だと語っている。2008年にはテンプル大学で、世界の人口を20億人、現在の約3割まで減らすとしていた。 ターナーと同じように人口を削減するべきだと主張しているひとりがマイクロソフトの創設者でパンデミック騒動で前面に出ているひとりのビル・ゲーツ。彼は2010年2月、TEDでの講演で、ワクチンの開発、健康管理、医療サービスで人口を10~15%減らせると語っている。彼にとって「ワクチン」は人口を減らす道具のようだ。 そうした考え方の根底にはトーマス・マルサスの人口論がある。人口の増加は等比級数的であり、食糧の増加は等差級数的なため、その不均衡が飢饉、貧困、悪徳の原因になるという主張だ。強者が弱者を虐殺して富を独占、飢饉、貧困、悪徳が広がっていることを気にしていない。しかも、すでに人口は減少する方向へ向かい始めている。 アメリカのNSC(国家安全保障会議)は1974年、ヘンリー・キッシンジャーの下で「NSSM(国家安全保障研究覚書)200」という報告書を作成、人口増加の地政学的な意味が指摘されている。発展途上国の人口増加はアメリカの利益、つまりアメリカを支配する私的権力の利益にとって良くないと分析。同じことをイギリスの王立人口委員会も1944年に指摘している。 それまでアメリカを含む欧米諸国は発展途上国が自立し、経済を発展させることができないように努力してきた。欧米に依存せざるをえない経済構造を押し付けてきたのだが、人口の増加がそうした枷を壊してしまう可能性がある。欧米支配層が懸念しているのは、自分たちが寄生している国での人口増加だろう。
2022.07.08
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岩塩の採掘場を利用して築かれた全長200キロメートルという「地下要塞」があり、戦略的に重要な位置にあるソレダルを制圧したロシア軍は次の目標としてバフムート(アルチョモフスク)に狙いを定めているようだ。その間にキエフ政権側の軍事拠点を破壊、アメリカ/NATOは兵器の追加供給を強いられている。 そのアメリカ/NATOは現在、ロシア軍の新たな軍事作戦がいつ、どのような形で始まるかを気にしているはずだ。ウラジミル・プーチン露大統領は昨年9月21日に部分的な動員を実施すると発表、集められた兵士のうち約8万人は早い段階でドンバス入りし、そのうち5万人は戦闘に参加、さらに20万人から50万人が訓練中だという。 朝鮮戦争で休戦後に設定されたようなDMZ(非武装地帯)を考えている人もいるようだが、兵器の能力が飛躍的に進歩していることを考えてもそうした形の決着は考えにくい。DMZの幅を100キロメートル単位に広げてもネオ・ナチが存在している限りロシアは納得しないと推測する人は少なくない。 ウクライナでの戦闘は2010年の1月から2月にかけて実施された大統領選挙でアメリカと一線を画す立場のビクトル・ヤヌコビッチが勝利したところから始まる。 この結果を懸念したアメリカ政府は7月にヒラリー・クリントン国務長官(当時)をキエフへ派遣、彼女はヤヌコビッチに対し、ロシアとの関係を断ち切ってアメリカへ従属するように求めたが、西側の植民地になることを望まないヤヌコビッチはこの要求を拒否した。そこからバラク・オバマ政権のクーデター計画が始まったと言われている。 その計画が指導したのは2013年11月、翌年の2月にネオ・ナチがヤヌコビッチ政権を倒した。このクーデターが始まるのは2013年11月。キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で行われたカーニバル的な集会が始まりだ。 12月になると集会への参加者は50万人に達したと言われているが、人が集まったところでネオ・ナチのグループが活動を始める。2月18日頃から棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始めたのだ。この年の2月7日から23日にかけてロシアのソチでは冬期オリンピックが開催されていた。 クーデターを仕掛けたのはアメリカのバラク・オバマ政権にほかならない。その際、混乱を話し合いで解決しようとしたEUについて国務次官補だったビクトリア・ヌランドはウクライナ駐在アメリカ大使のジェオフリー・パイアットに対し、電話で「EUなんかくそくらえ」と口にしている。アメリカ政府は暴力でヤヌコビッチ政権を倒そうと決めていたのだ。 アメリカ/NATOを後ろ盾とするネオ・ナチはクーデターでキエフを制圧したものの、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民は反発し、クリミアはロシアと一体化する道を選び、ドンバスでは内戦が始まった。 そのドンバスでの戦闘を停止するという名目でドイツやフランスを仲介者とする停戦交渉が行われ、ウクライナ、ロシア、OSCE(欧州安全保障協力機構)、ドネツク、ルガンスクの代表が2014年9月に協定書へ署名している。これが「ミンスク合意」だが、キエフ政権は合意を守らず、2015年2月に新たな合意、いわゆる「ミンスク2」が調印された。 この合意について、アメリカの元政府高官を含む少なからぬ人が時間稼ぎに過ぎないと批判していたが、それが事実だとうことがここにきて明確になった。アンゲラ・メルケル元独首相は12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと語ったのだ。メルケルと同じようにミンスク合意の当事者だったフランソワ・オランド元仏大統領もその事実を認めた。 ウクライナの議員として議会でクーデター計画の存在を指摘したオレグ・ツァロフは昨年2月19日、緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出している。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始すると警鐘を鳴らしたのだ。 キエフ軍の作戦はロシア語系住民を狙った「民族浄化」で、キエフ政権の軍や親衛隊はこの地域を制圧、自分たちに従わない住民を虐殺しようとしているとツァロフは主張、SBU(ウクライナ保安庁)がネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行するともしていた。 ツァロフがアピールを出した3日後にロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を開始、航空基地を破壊されたと言われている。同時にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われた。 西側ではミンスク合意をアメリカ/NATOの時間稼ぎだと考え、プーチン政権を「甘い」と批判んする人もいた。その判断が正しかったことをメルケル元独首相やオランド元仏大統領は認めている。プーチン政権もどこかの時点でそれを認めざるをえなくなったのだろう。プーチン政権のアメリカとつながっている勢力はドンバスの問題でも「バランスの取れた取り組み」を主張し、西側に戦争の準備をする余裕を与えて事態を悪化させた。「特別軍事作戦を始動させたことでロシアは批難されるべき」で、ミンスク合意を尊重するべきだと今でも主張する人がいるが、それならばメルケルやオランドの発言をどう考えるのかを明らかにするべきだ。 現在、ウクライナでNATO軍とロシア軍が本格的に軍事衝突する可能性が高まっている。短期的に見れば2010年の大統領選挙から始まるのだが、中期的に見ると1990年の約束が大きな意味を持つ。西側諸国はNATOを東へ拡大させないと約束していたのだ。 例えば東西ドイツが1990年に統一される際、ジョージ・H・W・ブッシュ政権で国務長官を務めていたジェームズ・ベイカーはソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領やエドゥアルド・シェワルナゼ外務大臣に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないと語った。その事実の記録をジョージ・ワシントン大学のナショナル・セキュリティー・アーカイブは2017年12月に公開している。 またドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っているほか、ドイツの外務大臣だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年2月にシェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約したという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) しかし、アメリカ/NATOは勢力圏を東へ拡大させ、ウクライナに到達。そうした中、ジャック・シラク仏大統領の外交顧問を務めたモーリス・グルドー-モンターニュはウクライナをNATOへ受け入れることがモスクワにとって微妙な問題だと指摘、ヨーロッパにおける戦争の原因になる可能性があると警告している。ところがオバマ政権はウクライナでクーデターを実行、国を乗っ取った。 オバマ政権で副大統領だったジョー・バイデンは2021年1月から大統領を務めているが、就任して間もない頃からプーチン大統領を愚弄、挑発、経済戦争を仕掛けてきた。 その年の12月7日にプーチン大統領とオンライン会談を実施した際、プーチン大統領はバイデン大統領に対してNATOの東への拡大は止めるように求めたが、バイデンはウクライナのNATO加盟へロシアは口を出すなという態度を示した。 同じようにEUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表(外相)は自分たちのことを決める権利を持っているのは自分たちであり、ロシアは口をはさむなと言っている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長もロシア政府の要求を拒否している。
2023.01.22
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