《櫻井ジャーナル》

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2010.04.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 権力者は自分たちに都合の悪い情報を隠す呪文として、「安全保障」という言葉を使うことが少なくない。かつての日本では「国賊」、最近では「反日」という呪文も流行っているようだが、要するに「臑(すね)の傷」を隠したいだけのことだ。

 最近、イスラエルでも「安全保障」をめぐる騒動が持ち上がっている。以前、イスラエルのハーレツ紙は、ヨルダン川西岸で展開された暗殺工作に関する記事を掲載したことがある。裁判所の命令を無視して、パレスチナ人ターゲットを暗殺する作戦をイスラエル軍が命令したことを示す機密文書に基づく記事だったのだが、この文書を持ち出したジャーナリストが逮捕され、裁判にかけられようとしている。

 つまり、裁判所の命令を無視した軍ではなく、司法システムを破壊するような作戦を展開した軍を告発した人々が逮捕されるという倒錯した出来事がイスラエルでは展開されているのだ。実際に暗殺された人物の中には、イスラエル側が「恩赦」した人物も含まれていた。そうした事実を国内で報道することも「安全保障」上の理由から禁止、解禁されたのは8日だ。

 この機密文書を明るみに出したジャーナリストのアナト・カムは昨年12月に逮捕されている。カムは軍隊時代、軍の中央司令部で問題の文書をコピーし、イスラエルのハーレツ紙に持ち込んだとされている。記事を書いたウリ・ブラウ記者は現在、ロンドンにいると言われているのだが、イスラエルの治安当局はあらゆる手段を講じて連れ戻すとしているようなので、また拉致するつもりなのかもしれない。

 イスラエルでは、都合の悪い情報は暴力的に封印し、意に沿わない人間は相手が誰であろうと暗殺してきた。そうした犠牲者のひとりが1948年に殺された国連の調停官、フォルケ・ベルナドットだ。

 イスラエルはイランの「核開発」を非難し、軍事侵攻をするべきだと主張してきた。そうした圧力が影響したのか、アメリカはバンカー・バスター爆弾(387発の「Blu-110」と「Blu-117」を含んでいる)をカリフォルニアからディエゴ・ガルシア島へ運び込んでいる。

 そのイスラエルは世界有数の核兵器保有国である。200発以上の核弾頭を保有していると1986年に暴露したのはイギリスのサンデー・タイムズ紙。その情報源は、1977年から約8年の間、技術者としてディモナの核施設で働いていたモルデカイ・バヌヌだ。

 イスラエルのスパイ網は世界のメディアに張り巡らされ、バヌヌの動きはイスラエルの情報当局に筒抜けだった。最初に持ち込まれたシドニー・モーニング・ヘラルド紙は掲載を拒否すると同時にオーストラリアの情報機関ASIOへ通報、ASISを介してイスラエルへ伝えられた。ザ・エイジ紙やイギリスのデイジー・ミラーも掲載しなかった。

 イスラエルの情報機関モサドはイギリスの治安当局と問題を起こさないように、バヌヌをイタリアへ誘い出し、そこで拉致している。そこからバヌヌは船でイスラエルへ運ばれ、裁判にかけられて懲役18年の判決を言い渡されている。1988年のことだ。



 先日、バラク・オバマ政権がアメリカ市民の暗殺を承認するという話が伝えられ、イスラエルによる暗殺工作のインパクトが弱まったとは言えるだろうが、イスラエルの行為は決して許されないだろう。





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最終更新日  2010.04.10 02:13:30


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