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トイモイ

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2008.03.03

選択の連続だ。人生というものは。

(6)

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そして、人生を切り開いてゆこう、そういう前向き、ポジティブシンキングな考え方もある。しかしである。逆もアル。徹底的に自分で判断しないという方法だ。自分で選択することをしないということだ。これなら、後悔したり、後年、自分のせいにすることもないというメリットがある。

例えば、何と言うか、例えば、好きになった人、結婚する人って、学校の同級生、職場の人や取引先、何かの合コンなど、とにかく、そこに住んでいたから、そこに就職していたから、たまたまその合コンに参加したからに過ぎない。それがなかったら、また違ったパートナーであったかも知れないし、その方が幸福になれたかもしれないのだが、それは、確認の仕様がない。就職、住むところ、どこに行くか、何をするか、そこではない何かを選択していたとしたら、その方が良かったかどうか、悪かったかどうかそれは分からない。分からないが、少なくともうまくいかなかったと感じた場合には、選択したことを後悔する。うまくいったか、普通だった場合は、気がつかないか、忘れる。

ああ、学生の頃だったか、ニューサイエンスの旗手の一人であるグレゴリーベイトソンの「精神と自然」だったかに、「鎖を引っ張ると、一番弱いところから切れる、が切れるまではどこが弱いか予測できない」という、当たり前といえば、当たり前のことが書かれていて、ああ、そらそうだなあ、と思ったものである。ずっと、未来から現在を見ないと分からないのだ。まあ、そんなことぐらい分かっているけど、普段は意識しない。

そうなのだ、例えば、ガラスなど、工業製品を精巧に作れば精巧に作るほど、その結晶や塊が規則正しく作られる訳で、力を入れると、どこから壊れるか、ますます予測不可能になるものである。精巧でなく、例えば、傷があれば、そこから壊れることは予測できるのである。一般論に置き換えてもそうかも知れない。世の中均質になればなるほど、精巧緻密な世の中になればなるほど、どこから破滅していくか、あるいはいい意味でどこからブレイクするか分からなくなっていくものなのかも知れない。

小さな話であるが、最近、特にあの２，３年前にあった尼崎駅手前で過密スケジュールの管理しすぎた故に起こした脱線事故がゆえに、やたらＪＲが遅れるようになった。日本以外では、１０分、１５分遅れようが誰も気にしないものだが、やたらイライラする。でもその前に、自分が寝坊したときに限って、電車が遅れていたりなんかして、もし、もし、もし、の連続であり、「何で、私が！」その他なんであの子が！、なんでよりによって彼女が！と当事者になったときのみ嘆くのである。

先日、ブロガーとしてではなく、副業としての仕事として、デジカメで撮影していたのだが、前から、自転車が来て、急ブレーキで止まり、若者が「おらあ、邪魔じゃ、うっとうしい！」と叫んだ。少なからず、「なんじゃ、言い過ぎちゃうンカオマエ」といおうとしたら、すぐに行き過ぎたのであるが、やっぱり、ショックを受けた。当たり前のことだが、彼にとって、無関係の私は、存在価値ゼロであり、できれば、自転車の行く先に立ちはだかる鬱陶しい死んで欲しい人間だった訳だ。自分がハンドルをよける面倒さなら、私が死んだ方が良いという認識である。

なるべく選択しないというより、ほら、あれも！、これも！ってのが、実際に手に入るか別にしてハッピーな状態なのかもしれない。成り上がった、お金持ちになった、地位があがった、そういったものと、別ラインに幸福のラインがあることには、なかなか私たちは気がつかないものである。あるいは、そういったものをまず手に入れてからしか気がつかないなんて思っているのかも知れない。勿論、おおよそ、一番の幸福の路線は分かっている。それは、認められること、必要とされることだと。それは、最高峰をみてきた大富豪カーネギーから最底辺をみてきたマザーテレサまで同じことを言っている。

考えれば、リアルとは、何だか分からないが、かつて、と今との価値基準が違うことはあきらかだ。人類は何千年も超越的なものを世俗から優越超越して信じてきた。しかし、ここで、特に先進国といわれる国々では、少なくとも貧困や格差はあれこそ、飢餓や飢饉、長い常に生命の危機時代から少しは脱却することができるようになった。不思議なことに、そうなると、人類は離人的症状を見出すようになってきたのかもしれない。猟奇的殺人は大抵裕福な白人である。あ、言いたいこと今、忘れてしまった。

飛行機の中で、バブルでＧＯという映画を去年見て思い出したのであるが、当時は、まだ私も働いてなかったので分からないのであったが、調子のいいときは、常にずっとこの調子が継続されると、人間は信じるものであるのだなあと改めて思ったものであった。バブル学生が、「長銀に決まったよ」といい、未来から来た主人公広末が「ああ、潰れる銀行ね」といい、学生が「国家の銀行が潰れるわけないじゃん、はははと笑い飛ばしたのであった。あっけないものである。

とにかく、理性や理論は、遅れてきた１周遅れのランナーなんである。チャンチャン。