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2014.12.07

立ち飲みに行った日々の（昨日の）続き　贅に入らず布団に入って寝ろ

(2)

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つづき。

それで、確かに震災後、何ヶ月かは震災平穏音頭の時節だった。会社が大阪だったので、収入的にはダメッジを受けなかった私は、ここぞとばかりに、神戸に金を落とす作戦と称して、夜な夜な、飲み屋街を歩き、倒壊した建物周辺でも、声を掛けてくる人の店には、とにかく、値段を聞いてからだけど、入ることにしていた。勿論、店での話題は、震災のことばかりである。

　そんな中、山手幹線の北側を歩いていると、路上のバーがあった。よく見ると、イッサモッサと書いてある（ロクツボヤと書いてあったかも）。あれ、頑張ってますね、寒いのに大変ですね、と飲むことにした。後ろのブロック塀の上には酒が２０本ぐらい並べてある。これだけが、あの店から壊れずに残っていたボトルだったんですよ、とバーテンダーが言った。店員は２人で、簡単な机が２つ、店から運び出したものがあり、震えながら酒を飲んでいて、トイレ行きたいなあとつぶやくと、バーテンダーは、トイレないですね、と寂しそうな目をした。横の坂道を見ると、全く倒壊したまま手が付けられていない状態の小道が続いていた。真っ暗である。

　立ち飲みしながら、あのときはオマエとそうやって飲みに行ったなあと言った。震災も３ヶ月ぐらいを過ぎると、私もそろそろジャンパーやめて、ネクタイにスーツに戻らないといけませんね、と呟いていた。彼の職場は神戸であったが、資本は東京だった。だから彼も、この３ヶ月全力で、会社として商品無償提供協力してきたのだ。その商品とはビールである。そのとき、ビール券も無尽蔵に使ってもいいことになっていた。

　まあ、そん話をしたか、頭の中で妄想したか、まあ、どちらかである。結論からいえば、どちらでもいいのである。
どちらでもいいのが、中年である。人生も半分を超えると、大半の人間が認められたいとか相手に良い人で見られたいとか、役に立ちたいとか、目立っていきりたい、まあそんな気持ちや意識が髪の毛と共に薄くなってくる。それは、若い頃、特に社会に入っていっていない子供や学生時代にとっては、社会ってのは暗い闇、大海の荒海、そういうのに対して気構えとか、いきがらないと、とか誰が味方なんだ、いっぱいいるほうがいいじゃないか、とか知らないうちにバリアも張りながら、できるだけ自分利益の確率をあげとくために、認められるように行動する。

でも中年になると、社会の仕組みが見えてきて（そんな気になりながら、というか、それは自分の限界も分かってきてというか、限界でいいやんと思うようになって自分でつくるんだ）、まあ、舐めてくるってことだろう。社会は、まあだいたい分かったよ、そんなに八方美人になる必要もないことを知り、役に立ちたいアピールもしなくなり、みんなのボスになろう、憧れの的になろうなんて思わなくなるものなんだ。（まあ、それは昔からなかったか、目立ちたくないからなあ）

　まあそういいながら３時間ぐらい、立ちっ放し、のままとなり、解散となった。西から上ったおひさまが東に沈む～、バカボンの曲で太陽がどちらから昇ったのか覚えた世代の集まりであった。