ある後追いファンが語る河合奈保子さん

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2024.10.07
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カテゴリ: 河合奈保子
河合奈保子さん3枚目のアルバムは「ダイアリー」、1981年8月10日にリリースされました。「日記」をテーマにしたコンセプチュアルな面があり、女の子が日記に書くような内容を歌ったような楽曲が多いようです。「Naoko Premium」のブックレットによると、ご本人は「日記をつけていなかったのに、恥ずかしかった」とコメントしているそうな…。紙ジャケットを再現した「Naoko Premium」版の「ダイアリー」に付属している歌詞カードはCD用とはいえ広げるとかなり大きく、帯に記載されているとおり「特写カラー満載」、1981年8月から11月までのカレンダーが付いています。

70年代歌謡曲風な陰影の曲が多かった前作「TWILIGHT DREAM」に比べると、よりストレートに明るくリズミカルな曲が目立ついっぽう、「湖サンセット」のように抒情的なバラードもあれば、ロカビリー風の曲もあったりとバラエティに富み、全体を通して楽しめるアルバムになっています。最初は突き抜けた高音が素晴らしい「別世界」について書こうと思っていたのですが、アルバムを通して聴くと、どの曲もそれぞれ異なる魅力があり、何について書くか迷ってしまいます。

とりあえず、今まで取り上げていないタイプの曲について書こうということで、メジャー⇔マイナーの転調系の曲ははずし、バラードの「湖サンセット」はとても良い曲なのですが、同じくバラードの「​ Twilight Dream ​」について書いたばかりなので後回し(ちなみに「湖サンセット」もマイナーからメジャーへの転調があります)、シングル曲「スマイル・フォー・ミー」はよく知られているのでこれも除外、ということで、結局「危険なサマー・タイム」にしました。

ざっとネット検索したところ「危険なサマー・タイム」について書かれた記事は非常に少ないので(サマータイム導入反対の記事がヒットしたりする)、ここで取り上げる意義(?)もあるだろう、というところは良いのですが、この手のアメリカンな雰囲気のロックンロールな楽曲は私にはかなり疎い分野なので、何をどう書こうか、また迷います(私にあるていど馴染みがある範囲は、ぎりぎり遡ってもビートルズ以降のブリティッシュ・ロックです)。とりあえずロックンロールって何だ、ということでプレスリーの曲を聴いてみたり、50年代つながりで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の "Johnny B. Goode" の動画に迷い込んだりして…そういえば奈保子さんは、中村雅俊さんとのデュエットでプレスリーの「監獄ロック」をパロディにした「看護婦ロック」を歌ったこともありました。ロックンロールよりは幅広い範疇になりますが、86年のEASTライブではオールディーズメドレーを披露したりもしているので、こうしたジャンルは奈保子さんも好きな分野だったのかもしれません。

結局、にわか仕込みで「ロックンロール」について語ろうにも無理があるので、自分が聴いたままを書くしかありません。

「危険なサマー・タイム」は作詞:湯川れい子/作曲:馬飼野康二/編曲:後藤次利というメンバーによるもので、河合奈保子さんの楽曲で湯川れい子さんが作詞したものは、ちょっと自信がありませんがこれ一曲だけではないでしょうか。ついでに言うと、歌詞の中に「ビキニ」というワードを用いたのも、この曲が最初と思われます(「エスカレーション」が最初、ではないのです)。

曲はF#メジャー(またはG♭メジャー)の明るいサウンドで、A-B-A-B-Bの構成、アレンジはピアノとサックスが目立ちます。クレジット上は「Keyboards」と記載されていますが、私の印象としては電子ではなく本物のピアノで演奏されているのではないかという気がしています。サックスはテナー&バリトンサックスを使っていて、語彙が貧弱で申し訳ないですがブイブイという感じ。このサウンドに奈保子さんの弾む歌声が違和感なく乗っています。Aメロの歌い方が特徴的で、同じ節でも「夢から覚めても」「くちびるあたりに」「ホイップクリーム」といった歌詞に応じて表情を変えています。出だしの「夢から…」はスタッカートを強調して溌剌と歌うのに対し、リピートの「くちびる」はささやくように歌っていますが、「くちびる」のところを抑えて、続く「あたりに」でクレッシェンドして勢いを出しています。同じフレーズをリピートする際に2回目の表情を控え目にして変化をつける奏法を「エコー」と言ったりしますが、単に機械的に弱くしているのではなく、言葉のイメージで表情を付けている印象です。後の「UNバランス」で「恥ずかしい…」と「向こう見ず」でガラッと表情を変えているのと似ています。いっぽう「ホイップクリーム」はちょっとコミカルな表情を出しています。

スタッカートとレガートを織り交ぜながら歌うサビ的なBメロでは、高音での歌声の伸びだけでなく「抜き具合」もたいへん巧みで、これが実に生き生きとした躍動感を与えています。このメロディーをベタっと歌うと、ロックンロールな雰囲気は決して出ないでしょう。初期の河合奈保子さんの歌い方を俗に「ハネる」、と形容するらしい、ということは実は最近知ったことなのですが、このような形容が生まれたのは、ここに書いたようなメロディー、音楽への表情づけによるところが大きいと思います。






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最終更新日  2024.10.07 06:30:08
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